arrow_back 原神 クエスト
沈玉の祝福
浮錦仙人を手伝い、沈玉の谷の水土を整える儀式を行おう。
マオくん:
旅人お兄さん、パイモンお姉さん!
パイモン:
わぁ!マオくん、後ろ!
マオくん:
え?違う違う!彼女は僕の友達なんだ!この前、お兄さんとお姉さんに友達のことをたくさん話したでしょ。さっきちょうど会えたから「捕まえ」たんだ。二人に紹介しようと思ってね。
パイモン:
ええと…こ、こんにちは?
霊淵:
……
旅人:
俺は旅人、こっちはパイモン。
霊淵:
……
マオくん:
その…彼女、人見知りなんだ!僕はいつも「藍」って呼んでる。本当の名前は僕も知らないけど。
マオくん:
ああ、心配しないで。旅人お兄さんもパイモンお姉さんもいい人だから。僕と一緒に冒険してくれてるんだ!それに山や森にも詳しいし!
霊淵:
ふむ、分かった。一つ質問に答えてもらおうか。汝らはなぜ自然を御する力を持っている?
パイモン:
自然を御する…って、どういうことだ?
霊淵:
草木は日差しや雨、肥沃な土壌を求めて育つ。鳥や獣が食べやすい実を結んで、消化されてばらまかれる。そして草の実や果実を食べるものは捕食者の餌となり、やがてすべては大地に還ってゆく。
霊淵:
枝には蛇が、渓流には魚が、森には獣が棲み、それぞれが自然に包まれた大地を闊歩している。それでいいではないか。だというのに、なぜ汝らは来た?
マオくん:
ね…ねえ、そんな怖い顔しないでよ、藍…
旅人:
…二つも質問してる。
旅人:
俺の「仙力」は浮錦仙人から貰ったもの。
旅人:
沈玉の谷の水と土を整えるのを手伝ってる。
パイモン:
そうだぞ。沈玉の谷の水と土の調和が崩れてるから、浮錦仙人に協力を頼まれたんだ!でないと…えっと、少なくとも、翹英荘は茶葉の味がどんどん落ちて、そのせいで衰退しちゃうかもしれないらしくって!
パイモン:
けど浮錦仙人は、オイラたちが投瓏儀式をすれば、沈玉の谷の水と土を回復できるって言ってた。
霊淵:
投瓏儀式か…なるほど。汝らは質問に二つ答えてくれた。汝らも二つ質問してよいぞ。
パイモン:
ん?質問を二つ?どういうことだ?
霊淵:
何かを受けたら返すべきだ、それが自然の摂理。さあ、もう一つ聞くがよい。
パイモン:
え?今のもカウントされるのかよ…?ええと、じゃあ旅人が聞いてくれ!
旅人:
「自然を回復する」ってマオくんに聞いた…
旅人:
それって「水と土を整える」のと同じ?
霊淵:
……
霊淵:
…違う。
パイモン:
え?違うのか?旅人、おまえたちなんの話をしてるんだよ?
マオくん:
そうそう、何が違うの?
霊淵:
…新しい茶葉の味はもっといい、昔のものに近い。
パイモン:
え?昔のものって…うわぁ、消えたぞ!
マオくん:
パイモンお姉さん気にしないで、藍はいつもあんな感じだからさ!目を離した隙に木の陰に消えちゃうんだ。でも日差しに目がくらんだり、鳥の鳴き声に振り返ったりすると、また近くにいるんだよ。
マオくん:
よし、これでもうみんな友達だね!
旅人:
ははっ、やった!
パイモン:
そっか…マオくんの友達って、本当に不思議なやつなんだな。
マオくん:
そう?でも旅人お兄さんも、他の人にそう思われてるんじゃない?
マオくん:
だってほら、「仙力」を使って青苔を消したり、金色の石で出来たものを消したかと思ったらまた出したり、物語のように鯉になって飛び回ったりするじゃん!
旅人:
何しろ飛雲商会の坊ちゃんだからね。
パイモン:
なに言ってんだよ?
マオくん:
えっと…?
パイモン:
でもまさか、マオくんの言ってた「友達」がああいう…えっと、「怪物」とか「あんなの」って言ったら失礼だよな…う~ん、マオくんの友達ってほんと青いな!どうりで「藍」で呼んでるわけだぜ!
マオくん:
へへ、だから今まで誰にも言わなかったんだ。大人たちに藍と友達だってバレたら、僕、閉じ込められちゃうかもしれないからね!
旅人:
えっ、閉じ込められる?
マオくん:
あっ、本当に閉じ込められるわけじゃないよ!外に出るのを禁止されて、「顔を綺麗に洗って、しっかり勉強しなさい」って言われるんだ…でもそうなったら、山で遊べなくなるだろ?
マオくん:
へへ、だから今まで誰にも言わなかったんだ。でも二人とも僕の友達だから大丈夫!旅人お兄さん、パイモンお姉さん、ついて来て!
マオくん:
いい場所に連れてってあげるよ!
マオくん:
旅人お兄さん、スゴイ!濛気を払ったときみたいに、あっという間に青苔を引かせるなんて!
マオくん:
でも前回ここに来たときはなかったのに…これも自然の力なのかな…
パイモン:
心配すんな!青苔だろうがヒルチャールだろうが、旅人にかかればラクショーだからな!ところでマオくん、この絵はなにを伝えてるんだ?
マオくん:
へへ!最初は僕も何の絵か分からなかったけど、今日浮錦お姉さんの話を聞いて分かったよ。霊濛山の壁画は過去にここで起きたことを描いてるんだってね!
マオくん:
ほら、大昔の人は天にいる仙人と話ができたんだ。きっとあの真ん中の大きな玉に向かって話してたんだと思う。
マオくん:
そこには人々を導き守ってくれる神様もいるんじゃないかな。ほら、パイモンお姉さん、ここに描かれてる金色の人を見て。体が光ってて一番前に立ってるでしょ。きっと一番力のある人だと思う。
マオくん:
浮錦お姉さんが言ってたように、そのあとに起きた異変のせいで、沈玉の谷の先祖は導きの使者を失い、天にいる仙人と話せなくなった。それで投瓏儀式が生まれたんだ。
パイモン:
なるほど…たしかにマオくんの話は筋が通ってるな!
マオくん:
へへ、パイモンお姉さんありがとう。旅人お兄さんは?どう思う?
マオくん:
へへ…
マオくん:
そう考えると、先祖の人たちってスゴいと思う。そのとき残してくれた玉に、自然を回復するための力がまだ残ってるんだから!今でこれなら、当時はどんだけスゴかったんだろ?
旅人:
違うよ。世界はずっと進歩してる。
旅人:
…これまでの蓄積こそが、貴重な宝物。
マオくん:
わぁ…旅人お兄さんってば本当にスゴいや。そんなこと考えたこともなかった。
パイモン:
いや、マオくんだってスゴいぞ。オイラたち冒険の間に古代のものや古代のなぞなぞ、それから古代の不思議な力と怪物をたくさん見てきたけど、オイラそんなこと考えたことなかったし…
マオくん:
へへ、そんなこと考えたことなくたって、パイモンお姉さんは十分スゴいって!パイモンお姉さんは大人になったら、きっと僕のお姉さんみたいに、楽しげにあちこち旅する冒険者になるんだろうな!
パイモン:
あれ、マオくんってお姉ちゃんがいたのか?
マオくん:
ううん、本当のお姉さんじゃないんだ!その人は沈玉の谷で一時期働いてて、毎日山を登ったり川のほとりを走り回ったりしててね。それに付き合ってたら、この洞穴を一緒に見つけたってわけ!
マオくん:
お姉さんが言うには、この小さな洞窟は彼女の「ルビコウ川」なんだってさ!まあ、「ルビコウ川」が何なのかは分かんないけど…
浮錦:
ここに現れるのも久しぶりじゃな。
浮錦:
この地はかつて賑やかで、香の煙が絶えることもなかった…まだ我ら三人が、山野や川の間を自由に行き来できた頃の話じゃがの。
浮錦:
まさに…月下に流れる川のように、仄暗くも輝く日々じゃった…
浮錦:
おっと、昔のことを懐かしむのはここまでにしておこう。
浮錦:
おぬしらのお陰で我は再びここに戻って、投瓏儀式を行うことができるようになった。
パイモン:
えっ?ってことは…浮錦仙人があの壁画の人物なのか?
マオくん:
あっ、なるほど!あの山頂で卵を抱いてた人が、浮錦お姉さんだったんだ?
浮錦:
コホン…マオよ。あれは宝玉じゃ、卵ではない。
浮錦:
「投瓏」は力に満ちた儀式じゃ。川を鎮め、風雨を安定させるが、殺傷力も持っておる。旅の途中でおぬしらを助けてくれた仙力は、呪いの力と紙一重なんじゃ。
浮錦:
我は、投瓏儀式が人間に悪用されぬよう見守らなくてはならぬ。コホン…つまり、あの壁画に描かれた「卵を抱えた人」は我じゃ。
マオくん:
そっか…じゃあ、浮錦お姉さんってかなりの…えっと…歳なんだ?
浮錦:
ああ。だがマオよ、我のことは「お姉さん」と呼ぶがよい。ほれ、そのほうが若い娘っぽいじゃろう?
浮錦:
ふふ、もちろん!だが「仙人」と呼ばれても…理水畳山たちのような本物の仙人と比べれば、雲泥の差があると言えよう。
浮錦:
仲間たちの中でも、我は最も力が弱い。命を救う薬を作ることも、山野を駆け回ることもできぬからな。だがそうと分かっていても、仙人らしさを捨てるわけにはいかぬ。
浮錦:
そうでなければ、沈玉の谷の人々に顔向けができぬからのう。
浮錦:
だがまぁ、我のことは好きに呼ぶがよい。何せ、我らは…うむ、その…もう友と呼べる仲じゃからな。
浮錦:
それに仙人と呼ばれた日々は、この場所と同じようにもう過去のこと。
浮錦:
投瓏儀式は喜びに満ちた日で、ここは大層賑やかじゃった。我らは豊かな一年を祝い、笑い、爆竹や獣舞で厄を払った。だが今の人々にとって、ここは単なる忘れられた古代遺跡となっておる。
旅人:
完全に忘れられたってわけじゃない…
パイモン:
そうだぞ。翹英荘の人たちから、浮錦仙人が妖怪を倒して茶樹を植えたって話を聞いたしな。それに、陸じいちゃんが奉茶儀式はとある鯉の仙人に捧げる儀式だって、いかだで話してたぞ!
マオくん:
あと遺瓏埠には、大きな鯉が戦う物語を歌ってる人がいるでしょ?そこに登場する浮錦お姉さんって、ほんとにスゴいんだから!それに獣舞を踊る人は今でもいるし!
旅人:
「仙人」の定義を君は言ってたでしょ?
浮錦:
……
パイモン:
まぁ定義はともかく、浮錦がオイラたちの友達なのは間違いないぜ!だから、そうくよくよすんなって!投瓏儀式のことばっか考えないで、友達と一緒に冒険するって考えたらどうだ!
マオくん:
うん、一緒に冒険しよう!
浮錦:
あ…ああ!その通りじゃな!礼を言おう。我から協力を求めておきながら、勝手に落ち込み、ひたすら過去を懐かむとは…もっと気を引き締めねばな!
浮錦:
話を戻そう。儀式の準備にあたり、おぬしらにはまだ頼みたいことがある。
浮錦:
四方を冒険している間、「仙像」を見かけたじゃろう?あれはかつてよく用いられた儀式精霊で、人々はそれに家を守ってもらっておった。この近くにもきっとあるはずじゃ。
浮錦:
旅人、パイモン、マオよ。付近の仙像を祀ってきてくれぬか?さすれば投瓏儀式に向けて、この地の霊脈を整えることができる。
旅人:
任せて。
浮錦:
ああ。おぬしらを信じておるぞ。
パイモン:
見ろ、山に亭子が建ってるぞ!
旅人:
いかにも仙人らしい…
パイモン:
うーん…オイラたちの探してる金色の鯉はどこにいるんだ…うぅ、広すぎだろ、ここ!
マオくん:
前と同じじゃないかな?旅人お兄さんが壁画の鯉に仙力を使ったら、鯉が中に隠れたでしょ?
マオくん:
お兄さんお姉さん、ここに鯉の石像が四つあるよ!四匹の鯉が中に隠れてるかもしれない!
パイモン:
おお!マオくんって頭がいいんだな、確かにそうかもしれないぞ!旅人、仙力の反応はあるか?
旅人:
ないみたい。
旅人:
…なんだか一部が足りてない気がする。
パイモン:
う~ん…もしかしたら、それが手がかりかもしれないな。
マオくん:
あっ!ほら、旅人お兄さん!一部の鯉の像に玉が入ってる!
マオくん:
そういえば、麓に鯉と大きな玉の像があったよね?あの玉が役に立つんじゃない?
パイモン:
よし!さっそく確かめてみようぜ!
浮錦:
大したもてなしができずにすまぬ。人と茶を飲むのは久しぶりでな。茶を淹れる腕が衰えてなければいいんじゃが…
浮錦:
我は…コホン、茶にはいささか心得がある。そのおかげで今年の奉茶儀式の茶の香りが異様なことに気づき、水と土の調和が崩れていると気づいたのじゃ。
浮錦:
ふふっ、これで茶の趣を分からぬ者に「茶はよいものだ」と堂々と言える。さあ旅人、茶だ。
旅人:
それって浮錦の急須?
パイモン:
たしかにそうだな。オイラたち、前に璃月港でピンばあやの急須を手入れしたことがあるんだ!へへっ、どうやらオイラたち、なにかとお茶に縁があるみたいだな!
浮錦:
ピンばあや?…ふむ、誰のことか大体察しがついたぞ。ふふっ、我の昔の知り合いじゃ。その友も何人か知っておる。
浮錦:
マオの言う通り、我は元々「大鯉」じゃ。清水を長く離れられぬし、塩水の中を生きることもできぬ。それであの者たちは、この「急須」を我に贈ってくれたのじゃ。
浮錦:
さすれば、友らは急須にいる我を連れ、帰離集や璃月港に行くことができ、あやつらの言う「愛しい人々」に会いに行ける。だが…そんな機会はやってこなかったがの。
浮錦:
旅人、パイモン、二人は璃月港に行ったことがあるのじゃろう?璃月港のことを教えてくれぬか?
マオくん:
旅人お兄さん、パイモンお姉さん、僕も行ったことないから聞きたい!
パイモン:
オイラが話すと、万民堂のことからになるから…
旅人:
俺が話そうか?
パイモン:
おう、頼むぜ!でも、美味しい食べ物の話は飛ばすなよ!
「あそこは山に沿って作られた港町で…」
あなたがそう言うと浮錦が遮った。それより、「あなた自身」の璃月港の話が聞きたいそうだ。
あなたはその意味を理解して、また口を開く——
「俺とパイモンが璃月港に行くと、ちょうど迎仙儀式がやっていて…」
目の前の子供と仙人は、あなたの話——時折パイモンが補足する——に体を前のめりにさせ、物語の随所で小さな驚きの声や安堵のため息を漏らした。
合間合間に、二人は思ったことを口にし、璃月港に関する質問をしてきた(各料理屋のメニューや味、お婆さんの売っている玩具の種類、緋雲の丘の宝石についてなどを…)。
物語や語り口に心を動かされる浮錦とマオくん、それにパイモンを見ていると…
旅人:
(旅の途中で…)
旅人:
(いろんな仲間に出会ってきた。)
旅人:
(いろんな仲間に出会ってきた。)
旅人:
(そして、いろんなことを経験した。)
旅人:
(そして、いろんなことを経験した。)
旅人:
(そのどれもが価値あるものだった。)
マオくん:
…わぁ!そんなにおっきな海獣が!?スゴいね!
浮錦:
璃月港…想像していたものとは違うようじゃな。
旅人:
がっかりした?
浮錦:
いや、違うからといってがっかりするとは限らんじゃろう?おぬしの語ってくれた璃月港、実に気に入ったぞ。
浮錦:
…それにこうも長い時間が経ってしまったが、薬君が璃月港に居を構えたと知れたのは何よりじゃ。
浮錦:
……
浮錦:
そうだ、マオの友達のことも話してくれぬか?どんな友達なのか気になっておったんじゃ。
マオくん:
うん、いいよ。パイモンお姉さんと旅人お兄さんに話したのに、浮錦お姉さんにだけ話さなかったら、友達として不公平だからね。
マオくん:
知り合ったきっかけはね…
僕がまだ山に詳しくなかった頃の話——ある夜、林の中を野獣に追われて、とても怖い思いをしたことがあったんだ。
なんとか開けた場所まで逃げたんだけど、その野獣が林から飛び出してきて囲まれちゃってね。もう食べられる…って思った瞬間…突然そいつらが怯えながら林の中へ逃げていったんだ。
振り返ると、そこにはいつの間にか彼女がいて、こっちを見ていた。玉石のような、それでいてとても威厳に満ちた姿だった。
で、すぐに僕は気づいたんだ——彼女はじいちゃんやばあちゃんが言ってた山主だって。でもちっとも怖くなかった。だから、こう言ったんだ…
「やっと見つけた!ずっと探してたんだよ!」
でもどういうわけか、彼女はそれを聞くと何かを考えるようにうつむいて、その場を去った。耳を澄ましても、枝や落ち葉を踏む音さえ聞こえなかったよ。
その日から、山に遊びに行くと木々の間に彼女の姿を時々見るようになった。月が昇るとその光で、高い山の上に影ができる。
その時になって、僕はようやく不思議に思ったんだ。どうして今まで彼女の存在に気づかなかったんだろう…ずっとそばにいたのに、って。
会えばいつも声をかけた。けど、彼女はすぐにいなくなっちゃうんだ。しばらくして、ようやく話してくれるようになって、それから高い山や深い森の中にも連れて行ってくれるようになった。彼女はいろんなことを聞いてきたけど、僕にもいろんな話を聞かせてくれた。
昔、翹英荘が名もない荒山だったこととか、川は気持ち次第で溢れたり枯れたりしたとか。
彼女は荒山と川で、二人の仲間ができたんだって。それは魚と蛇だったらしいけど…
マオくん:
…でも最後、蛇はバラバラに切られて、魚は水底に沈んじゃったって言ってた。藍は唯一の生き残りだとも…
浮錦:
話してくれてありがとう、マオ。
マオくん:
うん…藍のことは他の人に言わないでね!
パイモン:
もちろん言わないぞ!
旅人:
浮錦はマオくんの「友達」に詳しそうだね。
浮錦:
うむ。だが、もう前世のことじゃ。我が自由に動けなくなってもう長い年月が経っておる。マオの話からすると、あやつはそう変わっておらぬようじゃが、我にとってはもう馴染みがない。
パイモン:
ぜ、前世?
浮錦:
ふふっ、そう言っていいかは分からんがの。我は完全に死んだわけではなかった。単に元の姿を失い、力と神智が霊脈に乗って散っただけであった。
浮錦:
旅人とおぬしを錦落の庭に呼んだ理由も、その点にある。あそこでなければ、おぬしらに見せる姿も、話す声もないからの。
浮錦:
おぬしらのお陰で、過去の力も取り戻しつつある。それにここへ来て、再びこの景色を眺め、昔の仲間に会うこともできた…そして、もっと大事なのは、新しい仲間と出会えたことじゃ。
浮錦:
心の底から幸せを感じておる。
旅人:
君は、どうして亡くなったの?
浮錦:
…もうよく覚えておらん。昔、我と薬君はある魔神に仕えておった。我は投瓏儀式を行い、主に代わって沈玉の谷を流れる河川や渓流を管理しておってな。もう一人は…いつも自由な獣じゃった。
浮錦:
あの平和な時代——我は滝に登り、奥蔵山や琥牢山に行って、自分より力も見聞も遥かに優れる仙人と交遊した。もちろん、あの戦争が始まるまでの話じゃが…
浮錦:
主は決して悪逆非道な者ではない。かつてあの方は多くの夢をもたらしてくれた。本当の悪とは、まさに「魔神戦争」を指すのじゃろう…聡明なおぬしらのことじゃ、我が説明するまでもなかろう。
旅人:
薬君と反乱を起こしたって言ってたけど…
浮錦:
ふふ、そうじゃ。互いに生涯で最も胆力を振り絞った瞬間かもしれぬ!
浮錦:
主は俗世の神の地位を欲するあまり…あるいは生き残るためにおかしくなったんじゃ…だが、モラクスに勝てる力はなかった。
浮錦:
主は最後の賭けに出た。碧水川を凄まじい勢いで氾濫させ、下流にあるものすべてを破壊しようとしたんじゃ。もちろん、沈玉の谷の人々がどうなるかは分かっておっただろう。
パイモン:
うわ…どんな事情があるにせよ、そんなことしちゃダメだと思うぞ…
浮錦:
それが戦争の本質かもしれぬな。ともかく、あれは我ら三人にとって最後の冒険であった。
浮錦:
霊淵は眷属を連れて人々を襲って、我らの用意した避難所へと誘導した。薬君は主に牙を剥き、そして我は霊濛山に登り、水かさが増していく川に祀{RUBY#[D]スーロン}瓏を落とした。
浮錦:
もちろん、それは正式な投瓏儀式ではない。長い年月をかけて溜まった仙力が玉佩から解き放たれ、大地は口を開き、川の流れを呑み込んだ。そして玉玦は巨大化し、川の流れを安定させた。
パイモン:
それから?
浮錦:
ふふっ、結末はマオが話してくれたであろう?
マオくん:
うん…
パイモン:
ん…あれ?言ってたっけ?いつ言ったんだ?
浮錦:
さあ、昔話はここまでじゃ。戻って投瓏儀式を行うぞ。
パイモン:
あれ…でも金色の鯉は?ここへは金色の鯉を探しに来たんだよな?
浮錦:
この前の鯉と同じく、おぬしらはすでに見つけておる。我がおぬしらのそばに現れることができたのも、そのお陰じゃ。
浮錦:
おぬしらと長々とお喋りしておったのは、ここの景色が懐かしかったからじゃ。おぬしらの時間が我と違うのは知っておるからの。目的を達すれば、おぬしらはいなくなるであろう?
浮錦:
だからどうか、この我のわがままを許してほしい。
浮錦:
昔とは比べものにならぬが、おぬしらが手を貸してくれたお陰で、だいぶ力を取り戻すことができた。礼を言おう。さぁ、次は投瓏儀式じゃ。
旅人:
儀式にはどんな効果があるの?
浮錦:
何しろ数千年ぶりじゃ、山野、川、霊脈…いずれも大きく変わってしまった。無事上手くいけば、祀瓏がすべて答えてくれるじゃろう。
浮錦:
では、始めるぞ。
パイモン:
霧が…消えたぞ…
パイモン:
うわ!なんだ?一体なにが起きたんだ?
マオくん:
あ…あの壁画にあったやつだ!パイモンお姉さん、覚えてる?金色の人が二人いて、その間に何だか分からないものがあったでしょ?
パイモン:
マオくん、すごいな。オイラ、まったく覚えてなかったぞ!
浮錦:
仙山、現れたり。
浮錦:
我の時代では、「仙山」に登るなど恐れ多いことじゃった。だが、それを知る民はいなくなり、言葉を交わす方法もない今、我らの行動を批判する者はいるじゃろうか?
浮錦:
あそこは沈玉の谷の霊脈の集まる場所じゃ。そこを通じることで、我は仙力を一瞬で沈玉の谷全体に行き渡らせ、水と土を調和することができる…
浮錦:
目的を成すまであと一歩じゃ。旅人、準備はよいか?
旅人:
行こう。
浮錦:
うむ。
浮錦:
黙っておったことを許してほしい…
浮錦:
途中で気づいておったんじゃ…だが信じたくなかった。今回の沈玉の谷の事変は、かつての仲間——霊淵の仕業であることを。
パイモン:
えっ?いつの間に気づいたんだ?なんでわかったんだよ?
浮錦:
かつて我や薬君と共に沈玉の谷を守った霊淵が、まさかこのような悪行を働くとは…霊脈を乱して濛気を起こし、最初の投瓏儀式を妨害したのも霊淵じゃろう。
マオくん:
けど浮錦お姉さん…藍は…霊淵は悪い生き物じゃないよ…
浮錦:
…うむ。マオよ、霊淵は確かにおぬしの友達じゃ。だが、今やこの沈玉の谷にとっては最大の脅威となった。「仙山」が霊淵の手に落ちれば、あやつは一瞬で沈玉の谷の水と土を変えてしまうじゃろう。
浮錦:
霊淵はおそらく、我らより先に「赤望台」に入って、霊脈の道や流れを変えようとするはずじゃ…我らに残された時間はそう多くはないじゃろう。
浮錦:
旅人、おぬしは沈玉の谷の「仙力」を扱うことに長けておる。霊淵とその眷属など敵ではない。
浮錦:
沈玉の谷の人々のためにも、もう少し力を貸してくれぬか?「赤望台」への道を開く儀式を行うゆえ、近くで…我を守ってほしい。
霊淵:
なぜ話を聞こうとしない。しばし待て。
霊淵:
今や弱りきった汝が、この妾に敵うはずなかろう。だが案ずることはない…その力はもうじき復活する。
浮錦:
霊淵…もう何も言うな。旅人と我は、おぬしを——沈玉の谷を破壊するその行為を阻止する。
浮錦:
今じゃ!儀式は終わった——赤望台の入口はすでに開いておる!
浮錦:
霊淵…
霊淵:
人間よ、どうすべきか教えてやる。妾の心臓に矢を放つのだ。もし剣を持って近づいたら、妾は死力を尽くして戦おう。
霊淵:
戦えるのは汝だけ。妾がその首を噛みちぎれば妾の勝ちだ。
マオくん:
やめて!
旅人:
君を殺すつもりはない。
霊淵:
…なぜだ?理解できない。
霊淵:
…そうか。さぁ、次は汝が質問を一つしてよいぞ。
パイモン:
負けたのに、まだそんなこと言うのかよ…
旅人:
お互い、順番に質問しよう。
旅人:
マオくん、聞きたいことはある?
マオくん:
うん…藍…どうして戦わないといけないの?僕たち、もう友達でいられないなんてことないよね?
霊淵:
この二本足め…それに浮錦、汝もだ。力がないから足を二本しか作れないのだろう?だというのに、人の姿でこいつらと行動を共にし、妾に向かって口を利くとは…人と獣が友になれると思ったか?
マオくん:
でも藍、嘘をついてる。どうしてあの時、獣に食べられそうだった僕を助けたの?人と獣が友達になれないなら…それに藍が獣の味方なら、僕を助ける理由なんてなかったじゃないか!
霊淵:
…自分の行動が理解できないこともある。汝は運が良かっただけだ。
マオくん:
だったら、いっそ大山だって食べればよかったのに!あの人、麓の霧の中で迷子になって、君とぶつかりそうになったんでしょ!
霊淵:
……
霊淵:
汝ら人間は多くの知恵を持ち、自然さえもその意志の前で屈服させられる。なら教えてくれ…なぜ妾はあの人間を食べなかったのだろうか?
パイモン:
えっ?なんだよ、その質問…
旅人:
来歆山は浮錦仙人にとって大切な場所。
霊淵:
…ああ、それは認めよう。何しろ浮錦は、投瓏儀式のことをよく話していた。その記憶が、妾の行動に影響を与えたのかもしれない。
浮錦:
かつておぬしに話したことを、覚えておるか…
霊淵:
…毎年、儀式の前になると、汝はその期待と緊張を妾や白蛇に語っていたな。儀式が終わると、今度は廟会の愉しさや賑わいを語っていた。汝がひっきりなしに話すものだから、覚えたくなくとも記憶に染みついている。
霊淵:
忘れるのは人間くらいだ。妾は…全部覚えているとも。
霊淵:
さて、こちらの質問に答えたから、今度は汝らが聞くといい。
旅人:
浮錦仙人、何か質問はある?
浮錦:
ありがとう、旅人。…霊淵、この者たちには少し前に我らの経緯を話してある…おぬしはなぜ、我らが必死で守った沈玉の谷を破壊しようとしておるのだ?
霊淵:
…汝は茶樹を植え、いつか共に味わおうと約束した。それを妾は忘れたことがない…だがな、その茶はもうないのだ。
霊淵:
妾はこの地に手を加え、数千年前の…あの自然な姿に戻そうと思っている。汝は人と共に過ごしすぎたせいで、汝も妾も蛇も、自然の中から生まれたことを忘れてしまったのだろう。
霊淵:
妾は、汝が完全に死んだわけではないと知っていた。蛇と違い、ここを離れることもなかった。だから妾は、この土地を元に戻そうと思ったのだ——汝が生まれた頃と同じ、自然な姿にな。そして何年も費やし、徐々に霊脈を調整していった。
マオくん:
そっか。じゃあ、濛気の原因はそれなんだ…
霊淵:
そうだ。あれは副作用のようなもの。最後には、土壌も水脈も森林もあるべき姿に戻る。
浮錦:
土壌も水脈も森林も…あるべき姿に?
霊淵:
本当に過去を忘れたのだな。川は雨水によって増減し、川の流れる先も自由だった。茶樹と花は剪定も世話も必要とせず、人間のために生きる必要もなかった…
霊淵:
あのような環境なら、汝も元の姿を取り戻し、再び大河を泳ぎ回ることができるだろう。あの時代は霊気に満ち、草木も生い茂っていた。だが今や山林は黙り、泉からは心地好い音が聞こえなくなった。
霊淵:
それでも、汝は妾を止めようとしている。何も分かっていないというのに…
浮錦:
…霊淵、我は愉しい一生を過ごした。それに、この魂は故郷に帰ってこれたのだ。大半の者よりずっと幸運に恵まれておるじゃろう。何も分かっていないのは、むしろおぬしのほうじゃ。
霊淵:
ああ、確かに理解できない。汝は妾を倒し、妾から領土を手に入れることだってできた。だというのに、汝は妾の山に茶樹を植え、土地を人間にやってしまった。まったく何を考えていたのだ?
霊淵:
沈玉の谷にはかつて名がなかった。その時の妾たちも名もなき虫や獣、魚に過ぎない存在だった。妾はかつて荒山の主だったが、今やあそこは妾のものでも、汝のものでもない。
霊淵:
汝は人の姿となり、人間の中を歩いている。投瓏儀式を執り行い、人間のために水と土を調和した。妾には理解できぬが、汝が愉しそうなのは分かる。
霊淵:
蛇は人の姿になり、自然の知識を活かし薬を作って命を救った。人の姿になれば器用な手を持てるため、あやつにとっては便利だっただのだろう。だが、妾にはそれも理解できない。
霊淵:
そして、さらに不可解なことが起こった。汝らは「人」と、また彼らの言う「神」と戦って死んでいった。人と人がまるで獣のように、領地と生き残りを賭けて殺し合うのは…まだ理解できるが。
霊淵:
大河と山林に属する汝たちは、人の側につかず妾と共に生きる道も選べた。人のものは人のもの、自然のものは自然のもの。領地が減っても、自由に生きていける。
霊淵:
だがいま汝は妾を止め、人に飼い慣らされた土地を守ろうとしている。なぜだ?理由を教えてくれ。
浮錦:
霊淵、我が友よ…おぬしが言ったように、我は彼らを守りたいのじゃ。
霊淵:
…そのようなことを聞いてはいない!妾が聞きたいのは、その理由だ。
パイモン:
(霊淵って獣だけど、ちゃんと理屈を大切にするんだな…)
マオくん:
(うん!だから僕も藍からいろいろ学べたんだ、パイモンお姉さん。)
旅人:
(…山の中でいつもこうした議論を?)
マオくん:
(いつもってわけじゃないよ。けど藍は、浮錦お姉さんのことをよく話してた。だから、再会したら感動すると思ったんだけど…)
浮錦:
我も最初はおぬしと同じように、人を理解できなかった。ましてや嫌ってさえもいた…強欲で、何でも自分たちの物にしたがる。いつも必要以上に欲しがり、持てぬ者の声を聞こうとせん…
浮錦:
「売買」や「富」といった概念は、おぬしと同じく我も理解できなかった。なぜ人間がそのようなもので喜んだり悲しんだりするのか、分からなかったのだ。
浮錦:
だが長い歳月の中で、多くのことを見聞きしてきた。
浮錦:
今の我は、子供の泣き声や老人の記憶が砕け散る音にも心を痛めておる…ああ、まるでこの山水の縮図のようじゃ。
浮錦:
子供らは渓流の中でバシャバシャと小さな足を洗い、漁師は虹の中で歓声を上げ、恋人たちは銀色の月光に染まりながら逢瀬を重ねる…おぬしはそこに目を留め、愉しんだことはあるか…
浮錦:
人間は、我らと同じくこの大地を生きる者じゃ。その無邪気さは、我らともさほど変わらぬ。
霊淵:
…つまり、汝は自然の掟や理性ではなく、感情に流されて人間の肩を持つことにしたというわけか…誰に命令されたわけでもなく。
浮錦:
薬君も同じだろう。ふふっ、性格が異なるゆえ、このような言い方はせんじゃろうがな!
霊淵:
納得のできない答えだな、浮錦。妾には理解できない。
浮錦:
どうしてじゃ?霊淵、おぬしもとうに分かっているであろう。かつて主が…あの魔神が洪水を起こしたとき、おぬしは眷属を連れて人間を襲うことで、我らの用意した避難所まで誘導したではないか。
霊淵:
妾はただ…!
霊淵:
…友を助け、その願いを叶えようとしただけだ。
浮錦:
自然に反し、ずっと守ってきた道理に背くものだったというのに、なぜそうしたんじゃ?
霊淵:
たとえそれが「自然に反し、ずっと守ってきた道理に背くものだった」としても、そうしたかったからだ。
浮錦:
ふふっ、ならばおぬしは我とさほど変わらぬ。それも、自分の本心に従ったがゆえのことじゃろう?
霊淵:
……
霊淵:
その「答え」を認めよう、浮錦。さあ、次は汝らが聞く番だ。
浮錦:
うむ。我が質問してもよいか?旅人、パイモン。
旅人:
うん、任せた。
パイモン:
えっと…オイラも聞きたいことは思いつかないし、浮錦仙人が質問したいなら任せるぜ!
浮錦:
先ほどおぬしは我の答えと——そして、我とおぬしが自分の気持ちに従ってしたことを認めた。では我から質問じゃ…
霊淵:
…いや…聞くな。
浮錦:
我が何を聞くのか分かっておるんじゃな?
霊淵:
…「我がおぬしの助けを必要としていたら、同じ選択をするか」と聞くのだろう?
浮錦:
ああ。では、おぬしの答えは?
霊淵:
あぁ…
霊淵:
するだろう。千年経っても、千回聞かれても、妾の答えは同じだ。
浮錦:
では霊淵。我はおぬしの助けを必要としておる。沈玉の谷の人々を守りたいのじゃ。水と土の調和を妨害しないでほしい。良いじゃろうか?
霊淵:
…約束しよう。浮錦、やはり人と長く過ごしすぎたようだな。その狡猾さは人間そっくりだ。愚鈍な獣である妾は、どんなに立派な体と恐ろしい牙や爪を持っていようとも、汝に勝つことはできそうにない。
浮錦:
ありがとう、霊淵。
浮錦:
旅人、パイモン、それにマオにも礼を言おう——長いこと付き合ってくれたこと、そして力を貸してくれたことに感謝する。おぬしらがいなければ、成し遂げられなかったじゃろう。
マオくん:
えへへ…浮錦お姉さんの役に立ててよかった——それに藍がみんなに出会えたことも。みんなが戦いはじめたときは心配したけど…
霊淵:
妾も旅人とマオに感謝しよう。浮錦を連れて来てくれたのは汝らだ——思っていた再会とは違ったがな。
パイモン:
オイラはオイラは?
霊淵:
…?
浮錦:
よし、では始めるぞ。
羅おじ:
おっ、戻ったか!ちょうど縁起のいい雨かもしれないって話してたところなんだ——ほら、こうして客人が二人とも帰ってきただろ!
陸じい:
で、どうだった?詳しく聞かせてくれるか?
羅おじ:
伝説の錦鯉仙人に会えたのか!?ほう、さすがは飛雲商会の旅人坊ちゃん、仙人との縁まであるんだな!
旅人:
ふふん、この坊ちゃんからしたら楽勝!
パイモン:
えーっと…と、とにかく、水と土の問題はこれで解決できるはずだぞ!
陸じい:
ははっ、だから言ったろ?土壌がおかしくなったって。なのに、一向に信じてくれなかったよな?この二人がいなかったら、来年の海灯祭では新茶を出せなかったかもしれないぞ!
羅おじ:
コホン…なんだ…まぁともかく、二人の客人には感謝しないとな!
羅おじ:
君たち二人と錦鯉仙人の加護のおかげで、翹英荘の茶葉は——来年もきっと豊作だろう!
羅おじ:
さぁ、これを受け取ってくれ!みんなからのほんの気持ちだ。本当に助かったよ!
パイモン:
あっ…そうだ!すっかり忘れるところだったぜ…冒険の途中でこの子を見つけたんだけど、翹英荘の子だよな?
マオくん:
へへ、羅おじ、ただいま!
羅おじ:
おお、マオくんか!やっと帰ってくる気になったんだな?
パイモン:
ん?羅おじ、ちっとも心配してなかったみたいだな…
羅おじ:
ハッ、心配なぞするか。この子はしょっちゅう山を駆け回って、疲れたら帰ってくるような子だからな。きっと仙人に守られてるんだろう!ああ、ひょっとしたらあの錦鯉仙人かもしれないな…
マオくん:
仙人じゃないって。藍だってば——
陸じい:
これこれ、マオくん、羅のことは放っておきなさい。知ったかぶりをしてるだけだからな。あとでわしの家においで、茶碗蒸しを作ってやろう!
マオくん:
やった!茶碗蒸し!
羅おじ:
ふん、隙あらばいい人ぶる…いや、誰が知ったかぶりだって!?
羅おじ:
…とにかく、二人の客人にはどうお礼したらいいか。
羅おじ:
今後、翹英荘はいつでも君たちに力を貸そう!
パイモン:
仙像を祀ってきたぞ!
浮錦:
うむ。おぬしらのお陰で、祀瓏は再び祭司の手に戻り、そして仙像もあるべき場所に戻った。投瓏儀式の準備はこれにて終いじゃ。
マオくん:
…でも浮錦お姉さん、投瓏で沈玉の谷はちゃんとよくなるの?
浮錦:
ああ、我らにとってはな。自然も美玉も、あるいは人も、みな定められた運命を持っておる。沈玉の谷に起きた水と土の変化も、霊脈の中の濛気も、その本質はどれも大地を元に戻そうとするものじゃ。
パイモン:
そっか、濛気も水と土の調和が崩れたからだったんだな…
浮錦:
ふふ、そうじゃ。「濛気」は沈玉の谷が…ふむ、自然に戻そうとするとでも言ったらいいじゃろうか、その表れでな。我らが水と土を整えるのは、その病巣を取り除くためなんじゃ。
旅人:
「自然に戻そうとする」?
浮錦:
人が洞窟や山林を離れ、世界の長になり、自然よりも自分たちの規則を優先するようになる前——そして沈玉の谷が沈玉の谷と呼ばれ、碧水川が碧水川と呼ばれるようになる前…大地も山河も、それぞれが己の秩序を保っておったんじゃ。
浮錦:
ふふっ、我も自由に流れる涼やかな渓流や、「四時」に合わせて満ちたり引いたりする大河がたまに恋しくなる。何せ、昔は我も一尾の遊魚じゃったからな…
浮錦:
だが、その秩序を取り戻すことを「自然」に許せば、沈玉の谷の人々は今まで積み上げてきたものを捨て、苦しい思いをすることになるじゃろう。どうか理解してほしい。
マオくん:
そっか、分かった…
浮錦:
では…
浮錦:
……
パイモン:
ん?これって成功したってことか?
浮錦:
今の我では、力が足りなかったようじゃ。
パイモン:
え?祀瓏を手に入れて、仙像も祀ったのに、まだダメなのか?
浮錦:
すまぬ、おぬしらのせいではない。これをどうにかするには、我にもっと力が必要なようじゃ。祀瓏の仙力が霊脈に沿って散ったように、長い年月を経たことで我も力を失ってしまってな。
マオくん:
えっ?じゃあ、浮錦お姉さんも祀瓏みたいに巨大化するの?
浮錦:
いや、おそらくそれはないじゃろう…
パイモン:
へへっ、「スーパー三倍大きい浮錦仙人」だな!それで、力を取り戻すにはどうしたらいいんだ?
旅人:
金色の鯉でしょ?
浮錦:
ふむ、旅人はやはり聡いな。おぬしらが金鯉を数匹見つけるまで、我はここに姿を現す力すらなかった。儀式に必要なものが揃えば、力が足らずとも何とかなると思っておったんじゃが…
浮錦:
…我の力は今、いやあるいは昔もそうだったかもしれぬが、南方の諸仙には到底及ばぬ。今まで黙っておったのは——力が弱いあまり、おぬしらに助けてもらえぬと思ったからじゃ…
パイモン:
なんだ、そんなことかよ?もっと大事なことを言うのかと思ったぞ!
浮錦:
え…?
パイモン:
そんな理由でおまえを助けなかったり、友達にならなかったりするわけないだろ!
旅人:
仙人じゃなくても、坊ちゃんは友達になった。
パイモン:
「坊ちゃん」の部分以外は、オイラも旅人と同意見だぞ!
マオくん:
浮錦お姉さんのことは、二人からよく聞いてた。たしかに会って間もないけど、もう僕の友達でしょ!そんなことで落ち込まないで!
浮錦:
ああ、そうか…ありがとう。
パイモン:
へへ、気にすんなって!次は金色の鯉を探せばいいんだろ?どこに行けばいいんだ?
浮錦:
薬蝶の谷へ行ってくれるか。そこに仙人の住む洞府があって、その中に金鯉が隠れているはずじゃ。
マオくん:
浮錦お姉さん、お待たせ!…あれ?もしかして、ずっとここで僕たちを待ってたの?
浮錦:
はは、そうではない。錦落の庭を離れると、自分の力が残っている場所にしか姿を現すことができないのじゃ。それも旅人の仙力を借りた上でな。
パイモン:
そういえば…ここの壁画って真ん中が欠けてるよな?もしかして、あの金色の鯉が描いてあった壁画と元は一つだったんじゃないか?
浮錦:
…我にも分からぬ。この壁画を見るのは、我も初めてでな。
パイモン:
え?
浮錦:
過去に起きた戦争のことは、おぬしらも聞いたことがあるじゃろう?
浮錦:
ふむ?
浮錦:
すまぬ、我は沈玉の谷のしがない弱小仙人でな…その「カーンルイア」に関する戦争のことはほとんど知らぬ。
パイモン:
それって魔神戦争のことか?
浮錦:
うむ、そうじゃ。この洞穴は、当時我らが沈玉の谷の人々のために作った避難所の一つじゃ——天にも届く水に襲われ、大地が割れたとき、戦に巻き込まれた罪なき者たちが身を守れるようにな。
浮錦:
だが、そういった者らがここに壁画を残しておったとは。描かれているのは我と…コホン、マオの言う「ヌメりを帯びた大鯉」と、もう一人はその仲間じゃろう。
マオくん:
へぇ…じゃあ、なんで一番大事な部分が外に持っていかれたんだろう?
浮錦:
ふむ…そうじゃな…
浮錦:
…もしかすると、悔しかったのかもしれぬ。我ら三人は無二の仲間じゃったが、二人は仙人になれたというのに、一人はずっと山主のままじゃったからな。
浮錦:
その後、我と薬君は反乱を起こした。彼女は死んだか…あるいは最後まで屈することなく戦い、すべてが終わった後にようやく我々のことを知ったのかもしれない。
浮錦:
そして彼女は我らを裏切り者だと考え、人々の描いた我と薬君の姿に怒りをぶつけた…まぁ、可能性の話じゃがな。
マオくん:
えっ…そうかな?外のあの絵を見た感じ…
浮錦:
さぁな、真相は誰にも分からぬ。昔のことじゃ。
浮錦:
だから、沈玉の谷の水と土を調和するために、おぬしらの協力が必要なんじゃ。かつて我がいた場所に、もう一匹の金鯉がいるはずじゃ…たしか懸練山の近くじゃったな。
旅人:
他のところにも金鯉がいるの?
浮錦:
ああ。それを加えれば、投瓏儀式を行う力も足りよう。
浮錦:
だがそれについて、また一つ許してほしいことがある。見ての通り、今の我はおぬしのそばにいても、金鯉を上手く操ることができぬ。ゆえにやつらが泳ぎだしたら、おぬしにいろいろと面倒をかけるかもしれない。
旅人:
確かに少しだけ面倒かも。
パイモン:
それで結局、ここの金色の鯉は一体どこにいるんだ?
浮錦:
ふふっ、絵の中じゃよ。ほれ、旅人——仙力で覚醒させてみるんじゃ。
浮錦:
霊淵…おぬしじゃと我でも分かったぞ。どれほど会いたかったことか…今この場でなければな…
マオくん:
えっ?藍の名前って霊淵っていうの…?
霊淵:
……
浮錦:
なぜ黙っておる。我とは話してくれんのか。
霊淵:
汝と話す機会はまだあるだろう。今ではない。分かっているはずだ。
浮錦:
分かっておるが、受け入れることはできぬ。
霊淵:
もう少し待っていてくれ、じきに終わる。
霊淵:
上のものは気に食わぬが大丈夫だ。安心して任せるがよい、浮錦よ。
霊淵:
汝らは来るでない。
マオくん:
浮錦お姉さん!浮錦お姉さん…
パイモン:
浮錦仙人はどこに行ったんだ?
霊淵:
まだ分からないのか。水と土を調和するために、浮錦はここしばらくで貯めた力をすべて使い果たしたのだ。
パイモン:
えっ?そんな…じゃあ…
霊淵:
…そう、汝の考えた通りだ。
パイモン:
だって…やっとここまで…
浮錦:
水と土の調和は終わったが、大地の至るところに残った濛気はそうすぐ消えないじゃろう。山野を歩くときは気をつけるがよい。
パイモン:
えっ?
浮錦:
このような姿ですまぬ。霊淵の言う通り、我は蓄えた力を使い果たしてしまってな、あの姿ではいられなくなったのじゃ——気に入っていたんじゃが…
パイモン:
うぅ…オイラ…てっきり…
マオくん:
パイモンお姉さん、どうしたの?
パイモン:
ぐすっ…!なんでもないぞ!浮錦仙人、無事でよかった!まったく、霊淵のせいだぞ…
霊淵:
妾がどうしたか?
浮錦:
かような姿になってしまったが、我は昔よりもずっと自由になっておる。錦落の庭に閉じ込められ、奉茶儀式の雰囲気でしか外のことを知れなかった頃に比べればの。
浮錦:
旅人やパイモンのような霊脈との適合性が特に秀でた者と巡り会っていなければ、今も自分の影と話をしておったじゃろう。錦落の庭を離れることなど、とても無理なことじゃった。
浮錦:
おぬしらの良心に感謝する…さて、我は先に戻って休むとしよう。
浮錦:
それから霊淵…
霊淵:
言うがよい。妾がすべきことはあるか。それとも、やめてほしいことでも?
浮錦:
大したことではない、ずっと言う機会がなかったのでな…
浮錦:
…また会えて嬉しかったぞ。
霊淵:
ああ、分かっている。
霊淵:
……
霊淵:
礼を言おう。
パイモン:
えっ?急に礼なんか言ってどうしたんだよ…
霊淵:
浮錦を妾のもとに連れて来てくれたからな、感謝を述べただけだ。浮錦がこうして無事に帰ってきた——あのヌメりを帯びた体とヒレを揺らす姿は、妾の記憶のままだ。
パイモン:
えっと…なんかユニークな覚え方だな。人相じゃなくて…魚相ってやつか?
霊淵:
汝らがどうやって浮錦の仙力を手に入れたのかは知らないが…この数千年、妾はあやつの声を聞くことすらなかった。
パイモン:
旅人の体質が…うーん、特殊だからかな?
霊淵:
ふむ、そうであったか。それに引き換え、妾はただの愚鈍な獣——浮錦に再び会いたくとも、あれ以上の方法は思いつかなかった。
霊淵:
数千年という時間をかけ、不器用ながらに浮錦のやり方を模倣して、この土地の霊脈をいじるしかなかったのだ。
霊淵:
流れる大河の水を一滴ずつすくうように、広大な砂漠の砂を一粒ずつ拾い上げるように。聡明な頭を持ち合わせていないゆえ、そうするより他に方法はなかった。
霊淵:
分かっていたのだ。この山林を過去の姿に戻しても、浮錦に笑顔は戻らないと。
霊淵:
浮錦、妾、それに蛇が…かつてのように山林や泉で歓声と共に駆け回る。そんな日々はもう二度と戻らない。
霊淵:
浮錦は人間を自分以上に愛しすぎた。妾が成功していたところで、あやつに恨まれるだけであっただろう。
霊淵:
いや、恨まれるのは構わない。あいつが元の姿を取り戻し、再び自由に泳ぎ回れるのならな。
パイモン:
あれ?自然ある大地にもっとこだわってるのかと思ったぞ…
霊淵:
もちろん大事だ。人に飼いならされていない土地、獣たちの棲む土地。だが浮錦のこととなると話は別だ。
霊淵:
浮錦が人に飼いならされた土地のほうを愛し、そこに育つ妙な茶葉のほうが昔より美味しいと思うのならば、妾もその気持ちに従おう。
霊淵:
ゆえに、汝らには感謝している。
旅人:
えっと、どういたしまして?
パイモン:
うーん、そう言われると急に興味が湧いてきたな。昔の茶葉ってどんな味だったんだ?
霊淵:
水と土に変化が生じていたときの茶葉は、味が昔のものに近かった。人間の影響で少しばかり異なってはいたがな。
パイモン:
あれ?まさかオイラたちがこの前、翹英荘で食べたあの微妙な味がする茶葉のお菓子って…
旅人:
やっぱり今の茶葉のほうが美味しい…
霊淵:
人間の育てた茶葉のほうが人間の好みに合うのは当然だろう。妾が理解できないのは浮錦の好みだ。
霊淵:
蛇がここにいたら意見を聞けたのだがな…二人とも人間と長く過ごしすぎて、好みまでおかしくなってしまったのかもしれない。
霊淵:
旅人、別れる前にもう一つ聞いておきたいことがある。
霊淵:
たとえ自然から生まれた存在でも、様々な理由から「自然」や「守ってきた道理」に背くことがある。
霊淵:
人も様々な理由で——「人」に背き、「守ってきた道理」に背くことがあるのか?
旅人:
うん、そうだね。
霊淵:
礼を言う。妾が望んでいた通りの答えだ。
霊淵:
ではマオ、旅人、それにパイモン。縁があればまた会おう。
マオくん:
うん。またね、藍!
マオくん:
そうだ、浮錦お姉さんの面倒をよく見てあげて!弱ってるみたいだから、優しくしてあげるんだよ!
霊淵:
ああ、ではまた。
旅人:
ちょっと待って、霊淵。
旅人:
こっちからも聞きたいことがある。
霊淵:
ああ、言うがよい。汝には質問をする機会がまだ一つ残されている。
旅人:
人間の活動も自然の掟の一部なら…
旅人:
君は人間をどう思う?
霊淵:
ふむ、おかしな質問だ。遥か昔、人間も自然の一部だった。だが今はそうではない。なぜなら…
霊淵:
……
霊淵:
…いや、考える必要がある。答えは再び会ったときに言おう。
マオくん:
けど、お姉さんはずっと僕に手紙をくれないんだ。きっと遠いところで冒険をしてるんだろうね!「古城のイェース」みたいなところで…
パイモン:
おう、そうだと思うぜ!面白いお姉ちゃんみたいだな!
マオくん:
うん、そうなんだ!まだ浮錦お姉さんのお手伝いがあるし、行こっか!
浮錦:
ここにおったのか!心配したぞ…
パイモン:
うわっ!金色の鯉!?
浮錦:
…コホン。濛気に包まれた山野には、危険な野獣がたくさんおる。途中で何かあったのではないかと心配したぞ。無事ならよい。
浮錦:
幸運にも旅人の仙力のおかげで、ここに隠れていた金鯉と繋がることができ、こうして直接話ができるようになったのじゃ。
浮錦:
旅人、パイモン、マオよ、ついてくるがよい。
マオくん:
あの人、今はどこを冒険してるんだろ!次の手紙が楽しみだなぁ!
パイモン:
へぇ!面白いお姉ちゃんみたいだな!
マオくん:
うん、そうなんだ!まだ浮錦お姉さんのお手伝いがあるし、行こっか!
浮錦:
ここにおったのか!心配したぞ…
パイモン:
うわっ!金色の鯉!?
浮錦:
…コホン。濛気に包まれた山野には、危険な野獣がたくさんおる。途中で何かあったのではないかと心配したぞ。無事ならよい。
浮錦:
幸運にも旅人の仙力のおかげで、ここに隠れていた金鯉と繋がることができ、こうして直接話ができるようになったのじゃ。
浮錦:
旅人、パイモン、マオよ、ついてくるがよい。
羅おじ:
おっ、戻ったか!ちょうど縁起のいい雨かもしれないって話してたところなんだ——ほら、こうして客人が二人とも帰ってきただろ!
陸じい:
で、どうだった?詳しく聞かせてくれるか?
羅おじと陸じいに、何があったのか大まかに説明した…
羅おじ:
伝説の錦鯉仙人に会えたのか!?ほう、さすがは飛雲商会の旅人坊ちゃん、仙人との縁まであるんだな!
旅人:
ふふん、この坊ちゃんからしたら楽勝!
パイモン:
えーっと…と、とにかく、水と土の問題はこれで解決できるはずだぞ!
陸じい:
ははっ、だから言ったろ?土壌がおかしくなったって。なのに、一向に信じてくれなかったよな?この二人がいなかったら、茶葉はずっとあのままだったかもしれないぞ!
羅おじ:
コホン…なんだ…まぁともかく、二人の客人には感謝しないとな!
羅おじ:
君たち二人と錦鯉仙人の加護のおかげで、翹英荘の茶葉は——来年もきっと豊作だろう!
羅おじ:
さぁ、これを受け取ってくれ!みんなからのほんの気持ちだ。本当に助かったよ!
パイモン:
あっ…そうだ!すっかり忘れるところだったぜ…冒険の途中でこの子を見つけたんだけど、翹英荘の子だよな?
マオくん:
へへ、羅おじ、ただいま!
羅おじ:
おお、マオくんか!やっと帰ってくる気になったんだな?
パイモン:
ん?羅おじ、ちっとも心配してなかったみたいだな…
羅おじ:
ハッ、心配なぞするか。この子はしょっちゅう山を駆け回って、疲れたら帰ってくるような子だからな。きっと仙人に守られてるんだろう!ああ、ひょっとしたらあの錦鯉仙人かもしれないな…
マオくん:
仙人じゃないって。藍だってば——
陸じい:
これこれ、マオくん、羅のことは放っておきなさい。知ったかぶりをしてるだけだからな。あとでわしの家においで、茶碗蒸しを作ってやろう!
マオくん:
やった!茶碗蒸し!
羅おじ:
ふん、隙あらばいい人ぶる…いや、誰が知ったかぶりだって!?
羅おじ:
…とにかく、二人の客人にはどうお礼したらいいか。
羅おじ:
今後、翹英荘はいつでも君たちに力を貸そう!
浮錦:
仙像…ふふ、かつて廟会の人々はどんな姿で彫ればいいか分からず、目も当てられない像を作っていたものじゃ。我の友もあれを見て、つい笑っておった…
浮錦:
おっと…旅人…すまぬな、ついまた過去の思い出に浸ってしまった…
沈玉の谷へ行くと、浮錦仙人から依頼を受けた。その地の水土が均衡を失ってしまった原因を調べてほしいようだ…
浮錦:
ようこそ、我が名は浮錦——この地の仙人じゃ。ここは我が仮住まいとする小壺である。
パイモン:
あれっ?オイラたち山の中にいたはずだよな。なんで急に…
浮錦:
おっと、二人を招待する前に先に説明しておくべきじゃったな。我の落ち度じゃ、許してほしい。
パイモン:
こういうのって招待とは言わないと思うけどな…もしかして浮錦仙人は、沈玉の谷に来た全員を「サッ」とさらってくのか?
浮錦:
ふふっ、そんなことはないぞ。今の時代、沈玉の谷を往来する者たちは多いが、その中でも特におぬしらはこの地の霊脈との適合性が秀でていた。ゆえに我は旅人とパイモンを招待できたのじゃ。
旅人:
俺たちを知ってるの?
浮錦:
おぬしらの名は、川を遡上する魚たちから聞いておった。ゆえに二人がこの地に訪れるのを楽しみにしておったのじゃ。
浮錦:
本来なら、茶の席を設けておぬしらに振る舞うところじゃが、あいにく都合が悪くての——それに申し訳ないが、一つ頼みたいことがあるのじゃ。
浮錦:
うむ、恩に着るぞ。沈玉の谷には翹英荘という茶荘があっての。二人も耳にしたことくらいあるじゃろう?その地は古来より香り高い茶と冷たい泉水が有名で、民風は穏やか、そして川から採れる丸石も実に麗しく…
旅人:
「ただ…」って続きそう…
浮錦:
ああ…ただ最近、沈玉の谷の水と土に変化が起きたのじゃ。茶の香りすらも変化してしまっての…もしこの状態が長く続けば、翹英荘は衰退するじゃろう。
浮錦:
おぬしらには、我の代わりに調和の崩れてしまった水と土をどうにかしてほしいのじゃ。今この時代、山間に水脈は広がっておるが、我は力不足で思うように動けない。おぬしらの優しさと助けに頼るしかないのじゃ。
パイモン:
うーん…いきなり水と土のことを話されても、そういうのはオイラたちだってあんまり経験がないぞ。なぁ…旅人がガツンと一発やるだけで解決できるような問題はないのか?
浮錦:
ふふっ、やはり噂に聞いていたとおり、明朗な性格をしておるな。だが案ずるな。おぬしらはもとより聡明な者。問題に遭遇したら自ずと気づくはずじゃろう。
旅人:
えっと、どういうこと…?
浮錦:
「世を放浪するのに、すべてが分かってしまっていては面白みがない」——こう言いたいところじゃが、この件に関しては…「一方的な言葉で、おぬしを誤った方向に導きたくない」のじゃ。すまぬな。
浮錦:
では、我が俗世を歩む際の仙力を旅人に分け与えよう。これで山水と霧を越えられるはずじゃ。
浮錦:
ああ、そうだ。おぬしらに会えて我は…
パイモン:
ん?
浮錦:
オホン!なんだ、そのつまり…おぬしらを歓迎すると言おうと思ったんじゃ。こうして沈玉の谷に来てくれたことをな!
旅人:
ありがとう。
パイモン:
なにが歓迎だよ?さらってきたくせに…
浮錦:
ふふっ、すまぬのう。おぬしらと顔を合わせて話すのを本当に楽しみにしておったのじゃ。どうか許してほしい。さて…我が仙力を宿した今、旅人の旅はより楽になるはずじゃろう。
浮錦:
さあ、さっそく仙力の素晴らしさをとくと味わってみるといい。
浮錦:
ようこそ、我が名は浮錦——この地の仙人じゃ。ここは我が仮住まいとする小壺である。
パイモン:
うわっ!オ、オイラたちさっきまで配達の途中だったよな?なんで急に…
浮錦:
なるほど、その紙は凧を作るための材料じゃな?ふふ…感じるぞ、二人の身には佳節の幸福が漂っておる。此度の突然の招待が、二人の気を悪くさせていないといいのじゃが。
パイモン:
えっ?あっ、「海灯祭を祝して」!でもこういうのって招待とは言えないと思うけどな…あれ、ここに来てるのってオイラたちだけか?
浮錦:
うむ…すまぬな。この地の霊脈との適合性に秀でていたのは旅人とパイモンだけじゃった。ゆえに、ここに呼んだのは二人だけじゃ。おぬしらの友には心配をかけてしまっているだろう、申し訳ない。
旅人:
俺たちを知ってるの?
浮錦:
ああ。おぬしらの名は、川を遡上する魚たちから聞いておった。ゆえに二人がこの地に訪れるのを楽しみにしておったのじゃ。
浮錦:
本来なら、茶の席を設けておぬしらに振る舞うところじゃが、あいにく都合が悪くての——それに申し訳ないが、一つ頼みたいことがあるのじゃ。
浮錦:
うむ、恩に着るぞ。沈玉の谷には翹英荘という茶荘があっての。二人も耳にしたことくらいあるじゃろう?その地は古来より香り高い茶と冷たい泉水が有名で、民風は穏やか、そして川から採れる丸石も実に麗しく…
旅人:
「ただ…」って続きそう…
浮錦:
ああ…ただ最近、沈玉の谷の水と土に変化が起きたのじゃ。茶の香りすらも変化してしまっての…もしこの状態が長く続けば、翹英荘は衰退するじゃろう。
浮錦:
おぬしらには、我の代わりに調和の崩れてしまった水と土をどうにかしてほしいのじゃ。今この時代、山間に水脈は広がっておるが、我は力不足で思うように動けない。おぬしらの優しさと助けに頼るしかないのじゃ。
旅人:
急にそんなことを言われても…
パイモン:
そうだぞ。そういうのはオイラたちだってあんまり経験がないし。なぁ…旅人がガツンと一発やるだけで解決できるような問題はないのか?
浮錦:
ふふっ、やはり噂に聞いていたとおり、明朗な性格をしておるな。だが案ずるな。おぬしらはもとより聡明な者。問題に遭遇したら自ずと気づくはずじゃろう。今は先に友の配達の手伝いを優先してくれても構わぬ。
旅人:
えっと、どういうこと…?
浮錦:
「世を放浪するのに、すべてが分かってしまっていては面白みがない」——こう言いたいところじゃが、この件に関しては…「一方的な言葉で、おぬしを誤った方向に導きたくない」のじゃ。すまぬな。
浮錦:
では、我が俗世を歩む際の仙力を旅人に分け与えよう。これで山水と霧を越えられるはずじゃ。
浮錦:
ああ、そうだ。おぬしらに会えて我は…
パイモン:
ん?
浮錦:
オホン!なんだ、そのつまり…おぬしらを歓迎すると言おうと思ったのじゃ。こうして沈玉の谷に来てくれたことをな!さぁ…愉しい佳節を過ごせるよう祈っておるぞ!
旅人:
うん、海灯祭を祝して!
パイモン:
なにが歓迎だよ?さらってきたくせに…
浮錦:
ふふっ、すまぬのう。おぬしらと顔を合わせて話すのを本当に楽しみにしておったのじゃ。どうか許してほしい。さて…我が仙力を宿した今、旅人の旅はより楽になるはずじゃろう。
浮錦:
さあ、さっそく仙力の素晴らしさをとくと味わってみるといい。
陸じい:
おおっ!やっと来てくれたか!
旅人:
な、何か用?
陸じい:
ああ…お前さんが飛雲商会の坊ちゃんか?
陸じい:
なんだ、商会の坊ちゃんではなかったのか…!
陸じい:
いやぁ、すまんかったな。お前さんらの身なりが大層ハイカラだったもんで…それにそっちの小さいのは飛んでおるし、振る舞いがわしらの村のモンとまったく違ったから、てっきり璃月港からわしらの相談を聞きに来たもんだと…
陸じい:
わしの名は陸。村のモンからは「陸じい」と呼ばれとる。お茶を出してやりたいところだが、今年は不作でな…申し訳ない。はぁ…今回の奉茶儀式には仙人も満足していないだろう…
パイモン:
ん?でもそこに置いてあるのって…茶葉じゃないのか?
陸じい:
ああ、これは質がひどいからお客さんに出せるようなものじゃないんだ。実はわしらが飛雲商会の人を待っていたのも、茶葉のことを相談したかったからでな。あそこはわしらの主要顧客でもあるんだ。
陸じい:
要するに今年の新茶は、味も収穫量も満足のいくものではなかったということだ。これは茶商の間でも周知の事実でな。羅も…村長も品質の問題がどうにかなるまで、収穫した茶を売らないことにしとる。
陸じい:
商会の坊ちゃんは、聡明で手腕の優れた方だと聞く。その彼が今年の茶葉は質も収穫量も良くないと聞いたら、視察に来るかもしれん。いや、少なくとも誰かを寄越すだろうと考えてな。だから、ここで待っておったんだ。
陸じい:
まぁ、茶葉がこのようになったのは…おそらく土壌が原因だと思うが…
パイモン:
土壌が原因?
陸じい:
ああ。わしはずっとここで暮らし、小さな頃から茶樹と対話してきた。だから、他人が気づかない問題でもすぐ気づくんだ。はぁ…今年は水と土の調和が乱れてるのだろう!浮錦様、どうかご加護を…!
パイモン:
あれ、浮錦様って…
陸じい:
ん?小さいの、仙人浮錦様の物語を聞いたことあるのか?こりゃ珍しい。この地の人間でも覚えてる者はそう多くないというのに。
陸じい:
昔、翹英荘は荒山だった。当時、山の上には恐ろしい妖魔が住み着いていてな。だが浮錦様はその妖魔を退治し、茶樹を植えてわしらの先祖をここに定住させたんだ。
陸じい:
しかし、本当に水と土の問題だとしたら…一体どうしたら…わしらには解決策がまったく分からん…
旅人:
実は依頼を受けて水と土の調査に来た。
陸じい:
おお!ということは、お前さんもわしの話を信じてくれるのか?
旅人:
うん、信じる。
陸じい:
そうか!なら話は早い!よし、今回穫れた茶葉を持って羅のところに行こう。詳しく話そうじゃないか!
陸じい:
いや、待った…
パイモン:
陸じいちゃん、どうしたんだ?
陸じい:
お二人さん、できれば…羅の前で飛雲商会の人のフリをしてくれんか?
陸じい:
あいつは良いやつだが、機械や栽培法、肥料といったものをもっと信じとる。以前わしが水と土の問題を提起したときも、結局揉めただけで終わってしまった。だが、もし飛雲商会の坊ちゃんが現れたら…
旅人:
できるかどうか分からないけど…
パイモン:
なんだか無理があるような…
陸じい:
ははっ、心配するな。もし見抜かれても、この陸じいが考えたことだ。お前さんらが責められることはない!さぁ行くぞ!
金:
羅おじ、今回のはやっぱりだめだ。煎っても香りが弱いし、パサパサしてて上手く揉捻機で加工できない…仮に第二工程が大丈夫でも、これじゃあ満足いく品にはならないだろう…
羅おじ:
…機械の問題でないことは確かなのか?操作を誤ったわけでもなく?
金:
…おいおい、ずっと近くで見てただろ?操作中は一時も気を抜かなかったさ…
羅おじ:
…はぁ、一体どういうことなんだ…
羅おじ:
ああ、陸じい来たのか!金、君は戻って仕事を続けなさい…ええと、そちらの方は…?
パイモン:
(おいっ…!自分のことを坊ちゃんって呼ぶやつがいるかよ!)
旅人:
こっちは使用人。「パイ」と呼んで。
パイモン:
えっ?は、はは…そうそう!オイラはパイだ!
羅おじ:
おお!これは珍しい客人だな。ようこそ!ここ何年かずっと、商会には世話になりっぱなしだ。だが、今年の状況は…坊ちゃんも耳にしてると思うが…
陸じい:
そんな浮かない顔してどうしたんだ?ああ、金のやつがまた仕事でやらかしたのか?
羅おじ:
くっ!またそうやってからかって…はぁ…客人よ、誠に申し訳ない。本来なら遠路はるばる訪問してくれた賓客を新茶でもてなすところなんだが、今年の茶は…まぁ、ご存知のとおりでな。
旅人:
お茶がない?坊ちゃんが来たのに…?
パイモン:
お、おほんっ!茶葉の問題についてはうちの坊ちゃんもかなり気にかけてるんだ。えっと…今回ここに来たのは、なにか力になれることはないか確かめに来たからで、羅村長もそうかしこまらなくていいぞ。
羅おじ:
はは…そうだったのか。実を言うと、煎った茶葉の出来がまた良くなくてな。茶葉を摘んだときから既にもうダメだったのか、うちの煎茶工房にある機械の調子が悪いのか分からないんだ。
陸じい:
ふん、そんなの簡単だろ?過去に収穫した在庫と、今回煎ったものを比べてみればいい話じゃないか?同じ方法で煎って問題がなければ、機械の問題ではないということだ。
羅おじ:
まったく、前にも言っただろう…まぁいい、今日は客人も来てることだし、君の言う方法を試そう。金、以前の茶葉はまだ残ってるか?
金:
まだ倉庫に残ってるけど…それをどうするんだ?
羅おじ:
どうするって…話の流れから分かるだろう!?ずっとここで話してたのに、何も聞いてなかったのか?
羅おじ:
はぁ…今すぐ取りに行って、陸じいのとこのと同じ工程で機械に入れてくれ。手抜かりなくやるんだぞ。ちゃんと見てるからな。
しばらくして、金が煎った二つの茶葉を持ってきた。
陸じい:
ふむ…ではこうしよう。二人の客人はまだ若いし、茶よりも甘味のほうが好きだろう。この二つの茶葉を使ってそれぞれ菓子を作ろうではないか。食べてみれば良し悪しがすぐ分かる。羅よ、これでどうだ?
羅おじ:
ああ、それでいいと思うぞ。金!聞いてたな。この二つの茶葉を使ってそれぞれ菓子を作ってくれ。絶対に二つを混ぜるんじゃないぞ!
金:
分かったよ、羅おじ。…えーっと、一つにすればいいんだな?
羅おじ:
ああ!まったくもう…
陸じい:
二人とも、待たせたな。さっ、この二つの菓子をそれぞれ味わってみてくれ。
羅おじ:
さて、味はどうだ?
パイモン:
うーん、最初に食べたほうは変な味だなって思ったけど…二つ目に食べたやつは美味しかったぞ!
旅人:
ふん!坊ちゃんによくこんなものを…
パイモン:
(おい!旅人、それはもういいって!)
旅人:
この坊ちゃんの感想もパイと同じ。
羅おじ:
…在庫の茶葉で作った菓子の味は…何の問題もないということか。
羅おじ:
はぁ、そうか。ならば君の言うとおり、問題は製茶の機械ではなく、茶葉そのものにあるということだな。今回摘んだ茶葉の質は、過去のものと比べて雲泥の差があるというわけだ!
陸じい:
だから、水や土が問題だと言ったろ…
羅おじ:
…いや、茶釜に問題があるんじゃないか?長いこと補修を怠っていたせいで仙人を怒らせてしまい、茶葉もこんなに悪くなってしまったんだ…
陸じい:
いやいや!そうじゃない。土壌の問題だ…土壌を養う元素の…ええと、あれだ…
羅おじ:
ああ、それ以上はいい!まずは茶釜の補修技師を呼ばんとな!ええと、あのフォンテーヌ科学院のフォンテーヌ人…オート…オート…何だったか?ほんと覚えづらい名前だな。おい、金!来い…
羅おじ:
金!金?
羅おじ:
ったく…あいつ、またどっかでサボってるな!あの怠け者め。遺瓏埠まで呼びに行かせようと思ったのに…
旅人:
わざわざフォンテーヌ人を呼ぶの?
陸じい:
ああ。璃月もフォンテーヌも、こういう元素力で動く装置の原理はどれもほぼ同じなんだ。フォンテーヌの機械職人が修理できるなら、わしら璃月の方士の技師も同じように直せる。
陸じい:
その「ウートメンターニャ」って人は璃月旅行が好きでな。たまにわしらのところに顔を出しては手伝ってくれる。だから、茶釜の補修をその友人に任せてるんだ。
陸じい:
客人よ…その…申し訳ないが、遺瓏埠に行って技師の「ウートメンターニャ」を探してきてくれないか?彼女はいつもあそこで劇を観てるんだ。
羅おじ:
こんな雑事を客人に押し付けられるわけないだろう!?
陸じい:
待て待て、勘違いだ。客人はもともと遺瓏埠に用があって、「ウートメンターニャ」への伝言はそのついでだ。大したことじゃない。
羅おじ:
なんだ、そうだったのか?
パイモン:
えっと、そうなのか…?
旅人:
…そういうことにしておこう。
羅おじ:
そうか。ならすまないが…お二人にお任せしよう。陸じい、良かったら彼らを見送ってやってくれ。
陸じい:
いやぁ、ご苦労だったな。羅のやつを見事ごまかせた、はっはっはっ!
陸じい:
この前、お前さんたちは水と土の調査に来たと言っていただろう?それならどのみち、遺瓏埠には行かねばならん。あそこは水源の上流に近く、道中には仙人の残した旧跡もある。そこに行けば、きっと手がかりもあるだろう。
陸じい:
ついでに「ウートメンターニャ」への伝言も任せたぞ。羅を安心させないとな。でないと、あいつはずっと心配するはめになる。
旅人:
そんな雑用、パイに任せればいい。
パイモン:
おい!まだ芝居してるのかよ!もういいんだってば!しかも「パイ」ってなんだよ!
パイモン:
とにかく…オイラたちに任せとけ、陸じいちゃん!
陸じい:
ははっ、本当にいい子たちだな…そうだ、さっき食べた茶葉の菓子は美味しかっただろう?作り方をお前さんたちに教えてやろう。いい茶葉に出会えたら、自分で作ってみるといい。
陸じい:
道中、気をつけるんだぞ!山道を通るときは足元に注意するようにな!
旅人:
遺瓏埠について…
羅おじ:
遺瓏埠は西側にある大きな港だ。ははっ…まぁ璃月港に比べれば小さいがな。フォンテーヌやスメールに特産品を輸出し、向こうからも珍しい品を仕入れとる。
羅おじ:
ここの茶葉も大半はそこへ出荷してるんだ。はぁ…今回の茶葉がダメだった以上、原因を洗い出して解決するまで輸出しないがな。翹英荘の茶葉の評判を落とすようなことはしたくない。
陸じい:
客人よ…その…申し訳ないが、遺瓏埠に行って技師の「ウートメンターニャ」を探してきてくれないか?彼女はいつもあそこで劇を観てるんだ。
羅おじ:
こんな雑事を客人に押し付けられるわけないだろう!?
陸じい:
待て待て、勘違いだ。客人はもともと遺瓏埠に用があって、「ウートメンターニャ」への伝言はそのついでだ。大したことじゃない。
羅おじ:
なんだ、そうだったのか?
パイモン:
えっと、そうなのか…?
旅人:
…そういうことにしておこう。
羅おじ:
そうか。ならすまないが…お二人にお任せしよう。陸じい、良かったら彼らを見送ってやってくれ。
陸じい:
いやぁ、ご苦労だったな。羅のやつを見事ごまかせた、はっはっはっ!
陸じい:
この前、お前さんたちは水と土の調査に来たと言っていただろう?それならどのみち、遺瓏埠には行かねばならん。あそこは水源の上流に近く、道中には仙人の残した旧跡もある。そこに行けば、きっと手がかりもあるだろう。
陸じい:
ついでに「ウートメンターニャ」への伝言も任せたぞ。羅を安心させないとな。でないと、あいつはずっと心配するはめになる。
旅人:
そんな雑用、パイに任せればいい。
パイモン:
おい!まだ芝居してるのかよ!もういいんだってば!しかも「パイ」ってなんだよ!
パイモン:
とにかく…オイラたちに任せとけ、陸じいちゃん!
陸じい:
ははっ、本当にいい子たちだな…そうだ、さっき食べた茶葉の菓子は美味しかっただろう?作り方をお前さんたちに教えてやろう。いい茶葉に出会えたら、自分で作ってみるといい。
陸じい:
道中、気をつけるんだぞ!山道を通るときは足元に注意するようにな!
旅人:
俺はフォンテーヌ科学院の名誉上級研究員…
羅おじ:
なんと!飛雲商会の坊ちゃんはそんな肩書きも持っていたとは…ちょうどいい、手を貸してもらいたいのだが…
パイモン:
た、ただの栄誉称号だぞ!
羅おじ:
そうなのか…?はははっ、どちらにせよ他国の栄誉称号まで手にするとは、坊ちゃんは本当にすごいお方のようだ!
陸じい:
客人よ…その…申し訳ないが、遺瓏埠に行って技師の「ウートメンターニャ」を探してきてくれないか?彼女はいつもあそこで劇を観てるんだ。
羅おじ:
こんな雑事を客人に押し付けられるわけないだろう!?
陸じい:
待て待て、勘違いだ。客人はもともと遺瓏埠に用があって、「ウートメンターニャ」への伝言はそのついでだ。大したことじゃない。
羅おじ:
なんだ、そうだったのか?
パイモン:
えっと、そうなのか…?
旅人:
…そういうことにしておこう。
羅おじ:
そうか。ならすまないが…お二人にお任せしよう。陸じい、良かったら彼らを見送ってやってくれ。
陸じい:
いやぁ、ご苦労だったな。羅のやつを見事ごまかせた、はっはっはっ!
陸じい:
この前、お前さんたちは水と土の調査に来たと言っていただろう?それならどのみち、遺瓏埠には行かねばならん。あそこは水源の上流に近く、道中には仙人の残した旧跡もある。そこに行けば、きっと手がかりもあるだろう。
陸じい:
ついでに「ウートメンターニャ」への伝言も任せたぞ。羅を安心させないとな。でないと、あいつはずっと心配するはめになる。
旅人:
そんな雑用、パイに任せればいい。
パイモン:
おい!まだ芝居してるのかよ!もういいんだってば!しかも「パイ」ってなんだよ!
パイモン:
とにかく…オイラたちに任せとけ、陸じいちゃん!
陸じい:
ははっ、本当にいい子たちだな…そうだ、さっき食べた茶葉の菓子は美味しかっただろう?作り方をお前さんたちに教えてやろう。いい茶葉に出会えたら、自分で作ってみるといい。
陸じい:
道中、気をつけるんだぞ!山道を通るときは足元に注意するようにな!
浮錦:
ふふっ…旅人、パイモン。おぬしらは実に聡いのう。我の散った仙力に気づき、すぐに状況を理解するとは。
パイモン:
そりゃあ、オイラたちは経験豊富な冒険者だからな!でも、こういうことは先に言ってくれよな。忘れてたわけじゃないんだろ?
浮錦:
……
浮錦:
オホン!仙道を求める過程には多くの試練が待ち受けているものじゃろう?これもおぬしらの知恵を試すためじゃ!
パイモン:
ところで、前に言ってた水と土の問題だけど一体なにが起きてるんだ?茶葉の品質が落ちたのは、間違いなくそれのせいだって陸じいちゃんが言ってたぞ。
浮錦:
うむ…おぬしらも翹英荘の光景を見たであろう。茶葉の品質や生産量が悪化し続ければ、景色も次第に衰えていく。そうして長い歳月が経てば、数千年前のような荒山に戻ってしまうじゃろう。
旅人:
それは誇張し過ぎじゃ…?
浮錦:
ふふっ、まぁ確かに想像のつかないことじゃろう。岩王帝君は災厄を無視することはない。仮に空が落ちてきても、降魔大聖をはじめとする仙人たちは全力で抗うじゃろう。遺瓏埠の堤防が決壊し翹英荘が水没したとしても、璃月港の人々は村人たちを助けてくれるはずじゃ。
浮錦:
しかし、もし「茶」を失ってしまったら、この山…翹英荘は、人々にとっての存在意義を失ってしまう。
パイモン:
なるほど…そう言われると納得できるな。
浮錦:
では、水と土の崩れた調和を元に戻すため、力を貸してくれるか?
旅人:
パイはどう思う?
パイモン:
「パイ」って誰だよ!そんなやつ知らないぞ、ふん!
パイモン:
けどまあ、オイラは浮錦仙人の力になって翹英荘を救いたいって思ってるぜ。だって、いい茶葉が穫れなくなったせいで、あんなに美味しい茶葉の菓子が食べられなくなったら残念だろ?
浮錦:
そうか、良かった!…オホン、素晴らしい、おぬしらに感謝するぞ。ではさっそく本題に入るとしよう。失われた水と土の調和を回復する方法じゃが、それは我が知っておる。
浮錦:
まず、おぬしらには川を遡上し、水に投げ込む宝玉を探してきてほしい。そして我らで古代の「投瓏」儀式を再現するのじゃ。さすれば山や川に溜まった濛気を除去し、水脈と土壌を修復できる。
パイモン:
おう、任せろ!でも…その儀式ってどうやるんだ?
浮錦:
……
パイモン:
浮錦仙人、どうかしたのか?
浮錦:
何でもない。儀式のことを説明するのはまだ時期尚早じゃ。ではまたな。
パイモン:
消えちゃったぞ…
パイモン:
仙人の話だと、オイラたちは川を遡上…つまり、水の流れに逆らって進めってことだよな?それならちょうど遺瓏埠と同じ方角だ!行こうぜ!
オートモンターニュ:
…全然意味が分からなかったけど!これはこれで素晴らしかったわ!
オートモンターニュ:
…彼女がステージ上で足を止めて歌い、歩きながら歌い、座って歌い…そして手を上げた後——ゆっくりと下ろして、再び歌う…
オートモンターニュ:
…彼女がどんな魔力を持っているのか分からないけど…色々な声で時に歌い、時にセリフを言って、時に泣く…意味を理解できなくても、とにかくすごかったわ!マオくんは理解できた?
マオくん:
…あははっ、劇ってそういうもんじゃないの?最後のほうは活劇もあったよね?特にあの八十八回の宙返りをした男の人、すごくカッコよかったなぁ!
オートモンターニュ:
…ええ、そうね!まぁ意味は分からなかったけど…あの大勢が入り乱れて戦うシーンは、なんとも派手だったわ。一対一の戦い、ニ、三人での戦い、五、六人が入れ替わりながらの戦い…とにかく夢中になっちゃった。
パイモン:
こんにちは!オイラたちフォンテーヌから来た技師を探してるんだけど…えーっと、羅村長と陸じいちゃんが探してる人の名前って…なんだったっけ?
旅人:
ウートメンターニャ。
オートモンターニュ:
ははっ、その「名前」の覚え方、陸じいに言われて来たんでしょう?私のことは「オートモンターニュ」って呼んでちょうだい。フォンテーヌ科学院の研究員よ!
旅人:
ははっ、俺は飛雲商会の坊ちゃんだ。
パイモン:
おいおい!芝居はもういいって!旅人、おまえ大丈夫かよ…?
パイモン:
こちらの坊ちゃんは…って違う違う!こいつは旅人で、オイラはパイモンだ。たしかにおまえの言うとおり、オイラたちは陸じいちゃんに言われて探しに来たんだ。
マオくん:
旅人お兄さんにパイモンお姉さん、こんにちは!僕は大山の友達でマオ!
オートモンターニュ:
「オートモンターニュ」が言いにくいらしくてね。私の名前の意味が「大きい山」だから、マオくんにはそう呼ばせてるの。
パイモン:
そうなのか…なんか面白い組み合わせだな!二人はどうやって知り合ったんだ?
オートモンターニュ:
それが偶然の出会いだったのよ!去年、私が南の山へ遊びに行ったとき、霧で道を見失っちゃってね。そしたら霧の中で「エティヌ·ルイ式」くらい大きな猛獣に睨まれたの。もう終わりだ!って思ったんだけど、その時…
オートモンターニュ:
突然、子供の大きな叫び声が聞こえたの!その声を辿ったら霧から脱出できて、命拾いしてね。もしあのまま獣に食べられていたら、フォンテーヌにいる私の家族は労災補償すら受け取れなかったと思うわ!
マオくん:
へへっ、山のことなら大人たちよりも詳しいから。
パイモン:
そうなのか、マオくんすごいな!
オートモンターニュ:
ええ、分かった。すぐに行くわ!はぁ…ここの劇が面白すぎたせいで、つい足が痺れるまで観続けちゃった。まぁ言ってることは理解できなかったんだけどね。マオくん、あの劇のストーリーって、どんな内容だったの?
マオくん:
すっごい昔に、大きな鯉と山の妖怪がたくさん殺し合いをしたって物語で、最後はみんな死んじゃうんだ!
オートモンターニュ:
へ、へぇ…シンプルな要約ね!でもマオくん、殺すだの死ぬだの、そういう言葉はあまり使っちゃダメよ。そんなことばかり考えてると、将来悪い人になっちゃうからね!
オートモンターニュ:
さて、翹英荘のみんなが私を待ってるみたいだし、さっそく出発するわ!それじゃあ!
マオくん:
フォンテーヌに帰る前に、またここで一緒に劇を観よう!
パイモン:
よし、「ウート」の名前の謎は解けたし、オイラたちも元の任務に戻ろうぜ。マオくんはこれからどうするんだ?
マオくん:
お兄さんとお姉さんは何をしてるの?
パイモン:
えっ?ん~、オイラもどう説明したら理解してもらえるかわかんないんだけど…沈玉の谷の水や土がおかしくなってて、オイラたちがそれを治せば、すべて良くなるらしいんだ。
マオくん:
あっ、僕、知ってるよ!パイモンお姉さんが言ってるのってつまり、自然を回復させるってことでしょ?
パイモン:
おおっ!そうだぞ、すぐわかっちゃうなんてマオくんはほんとにすごいな。
旅人:
「自然を回復」するって誰に聞いたの?
マオくん:
いつも僕の面倒を見てくれる友達が教えてくれたんだ。自然を回復させればすべて良くなるって。だから僕も手伝いたいと思っててね。実は二人のことも、その友達から聞いてたんだ!
パイモン:
おお!マオくんも会ったことあったんだな?
マオくん:
ん?僕の友達のこと?当たり前だよ!パイモンお姉さん、会ったことない人は友達って言わないでしょ?
パイモン:
そっか!ならちょうど良かったぜ。実はオイラたち…ええと、水の中にある宝玉を探して、投瓏の儀式を再現する必要があるんだ。でも上流まで来ても、なんの手がかりも見つからなくって…
マオくん:
あっ!それなら知ってるかも。お兄さんとお姉さん、ついてきて!手がかりの場所まで案内するよ!
パイモン:
えっ?こんなあっさり!?
旅人:
マオくんの友達は自然を回復させたいんだ?
マオくん:
うん!友達からは、翹英荘が今の姿になる前のお話とか、茶樹の由来とか色々教えてもらってね。もし沈玉の谷の自然が元に戻らなかったら、もっと悪くなるんだって。
パイモン:
おお…オイラたち、目的が同じみたいだな!
パイモン:
マオくん、手がかりのある場所ってどこなんだ?
マオくん:
えっと…役に立つかは分からないけど、二人の話を聞いてたら「宝玉」とか「投瓏」のことを思い出したんだ!僕についてきて!
パイモン:
よし、旅人、行こうぜ!
旅人:
俺は義侠心を重んじる、古華派の…
パイモン:
違うだろ!おまえはいつから古華派になったんだよ?えっと…こいつは旅人で、オイラはパイモンだ。たしかにおまえの言うとおり、オイラたちは陸じいちゃんに言われておまえを探しに来たんだ。
マオくん:
旅人お兄さんにパイモンお姉さん、こんにちは!僕は大山の友達でマオ!
オートモンターニュ:
「オートモンターニュ」が言いにくいらしくてね。私の名前の意味が「大きい山」だから、マオくんにはそう呼ばせてるの。
パイモン:
そうなのか…なんか面白い組み合わせだな!二人はどうやって知り合ったんだ?
オートモンターニュ:
それが偶然の出会いだったのよ!去年、私が南の山へ遊びに行ったとき、霧で道を見失っちゃってね。そしたら霧の中で「エティヌ·ルイ式」くらい大きな猛獣に睨まれたの。もう終わりだ!って思ったんだけど、その時…
オートモンターニュ:
突然、子供の大きな叫び声が聞こえたの!その声を辿ったら霧から脱出できて、命拾いしてね。もしあのまま獣に食べられていたら、フォンテーヌにいる私の家族は労災補償すら受け取れなかったと思うわ!
マオくん:
へへっ、山のことなら大人たちよりも詳しいから。
パイモン:
そうなのか、マオくんすごいな!
オートモンターニュ:
ええ、分かった。すぐに行くわ!はぁ…ここの劇が面白すぎたせいで、つい足が痺れるまで観続けちゃった。まぁ言ってることは理解できなかったんだけどね。マオくん、あの劇のストーリーって、どんな内容だったの?
マオくん:
すっごい昔に、大きな鯉と山の妖怪がたくさん殺し合いをしたって物語で、最後はみんな死んじゃうんだ!
オートモンターニュ:
へ、へぇ…シンプルな要約ね!でもマオくん、殺すだの死ぬだの、そういう言葉はあまり使っちゃダメよ。そんなことばかり考えてると、将来悪い人になっちゃうからね!
オートモンターニュ:
さて、翹英荘のみんなが私を待ってるみたいだし、さっそく出発するわ!それじゃあ!
マオくん:
フォンテーヌに帰る前に、またここで一緒に劇を観よう!
パイモン:
よし、「ウート」の名前の謎は解けたし、オイラたちも元の任務に戻ろうぜ。マオくんはこれからどうするんだ?
マオくん:
お兄さんとお姉さんは何をしてるの?
パイモン:
えっ?ん~、オイラもどう説明したら理解してもらえるかわかんないんだけど…沈玉の谷の水や土がおかしくなってて、オイラたちがそれを治せば、すべて良くなるらしいんだ。
マオくん:
あっ、僕、知ってるよ!パイモンお姉さんが言ってるのってつまり、自然を回復させるってことでしょ?
パイモン:
おおっ!そうだぞ、すぐわかっちゃうなんてマオくんはほんとにすごいな。
旅人:
「自然を回復」するって誰に聞いたの?
マオくん:
いつも僕の面倒を見てくれる友達が教えてくれたんだ。自然を回復させればすべて良くなるって。だから僕も手伝いたいと思っててね。実は二人のことも、その友達から聞いてたんだ!
パイモン:
おお!マオくんも会ったことあったんだな?
マオくん:
ん?僕の友達のこと?当たり前だよ!パイモンお姉さん、会ったことない人は友達って言わないでしょ?
パイモン:
そっか!ならちょうど良かったぜ。実はオイラたち…ええと、水の中にある宝玉を探して、投瓏の儀式を再現する必要があるんだ。でも上流まで来ても、なんの手がかりも見つからなくって…
マオくん:
あっ!それなら知ってるかも。お兄さんとお姉さん、ついてきて!手がかりの場所まで案内するよ!
パイモン:
えっ?こんなあっさり!?
旅人:
マオくんの友達は自然を回復させたいんだ?
マオくん:
うん!友達からは、翹英荘が今の姿になる前のお話とか、茶樹の由来とか色々教えてもらってね。もし沈玉の谷の自然が元に戻らなかったら、もっと悪くなるんだって。
パイモン:
おお…オイラたち、目的が同じみたいだな!
パイモン:
マオくん、手がかりのある場所ってどこなんだ?
マオくん:
えっと…役に立つかは分からないけど、二人の話を聞いてたら「宝玉」とか「投瓏」のことを思い出したんだ!僕についてきて!
パイモン:
よし、旅人、行こうぜ!
旅人:
え?ちなみに俺は名誉上級研究員だけど。
パイモン:
おいっ!こんなところで張り合ってどうすんだよ?えっと…こいつは旅人で、オイラはパイモンだ。たしかにおまえの言うとおり、オイラたちは陸じいちゃんに言われておまえを探しに来たんだ。
オートモンターニュ:
あははっ!科学院の同僚だったの?それは良かったわ。どうやら君もあの手に負えない場所にうんざりしたみたいね!
マオくん:
旅人お兄さんにパイモンお姉さん、こんにちは!僕は大山の友達でマオ!
オートモンターニュ:
「オートモンターニュ」が言いにくいらしくてね。私の名前の意味が「大きい山」だから、マオくんにはそう呼ばせてるの。
パイモン:
そうなのか…なんか面白い組み合わせだな!二人はどうやって知り合ったんだ?
オートモンターニュ:
それが偶然の出会いだったのよ!去年、私が南の山へ遊びに行ったとき、霧で道を見失っちゃってね。そしたら霧の中で「エティヌ·ルイ式」くらい大きな猛獣に睨まれたの。もう終わりだ!って思ったんだけど、その時…
オートモンターニュ:
突然、子供の大きな叫び声が聞こえたの!その声を辿ったら霧から脱出できて、命拾いしてね。もしあのまま獣に食べられていたら、フォンテーヌにいる私の家族は労災補償すら受け取れなかったと思うわ!
マオくん:
へへっ、山のことなら大人たちよりも詳しいから。
パイモン:
そうなのか、マオくんすごいな!
オートモンターニュ:
ええ、分かった。すぐに行くわ!はぁ…ここの劇が面白すぎたせいで、つい足が痺れるまで観続けちゃった。まぁ言ってることは理解できなかったんだけどね。マオくん、あの劇のストーリーって、どんな内容だったの?
マオくん:
すっごい昔に、大きな鯉と山の妖怪がたくさん殺し合いをしたって物語で、最後はみんな死んじゃうんだ!
オートモンターニュ:
へ、へぇ…シンプルな要約ね!でもマオくん、殺すだの死ぬだの、そういう言葉はあまり使っちゃダメよ。そんなことばかり考えてると、将来悪い人になっちゃうからね!
オートモンターニュ:
さて、翹英荘のみんなが私を待ってるみたいだし、さっそく出発するわ!それじゃあ!
マオくん:
フォンテーヌに帰る前に、またここで一緒に劇を観よう!
パイモン:
よし、「ウート」の名前の謎は解けたし、オイラたちも元の任務に戻ろうぜ。マオくんはこれからどうするんだ?
マオくん:
お兄さんとお姉さんは何をしてるの?
パイモン:
えっ?ん~、オイラもどう説明したら理解してもらえるかわかんないんだけど…沈玉の谷の水や土がおかしくなってて、オイラたちがそれを治せば、すべて良くなるらしいんだ。
マオくん:
あっ、僕、知ってるよ!パイモンお姉さんが言ってるのってつまり、自然を回復させるってことでしょ?
パイモン:
おおっ!そうだぞ、すぐわかっちゃうなんてマオくんはほんとにすごいな。
旅人:
「自然を回復」するって誰に聞いたの?
マオくん:
いつも僕の面倒を見てくれる友達が教えてくれたんだ。自然を回復させればすべて良くなるって。だから僕も手伝いたいと思っててね。実は二人のことも、その友達から聞いてたんだ!
パイモン:
おお!マオくんも会ったことあったんだな?
マオくん:
ん?僕の友達のこと?当たり前だよ!パイモンお姉さん、会ったことない人は友達って言わないでしょ?
パイモン:
そっか!ならちょうど良かったぜ。実はオイラたち…ええと、水の中にある宝玉を探して、投瓏の儀式を再現する必要があるんだ。でも上流まで来ても、なんの手がかりも見つからなくって…
マオくん:
あっ!それなら知ってるかも。お兄さんとお姉さん、ついてきて!手がかりの場所まで案内するよ!
パイモン:
えっ?こんなあっさり!?
旅人:
マオくんの友達は自然を回復させたいんだ?
マオくん:
うん!友達からは、翹英荘が今の姿になる前のお話とか、茶樹の由来とか色々教えてもらってね。もし沈玉の谷の自然が元に戻らなかったら、もっと悪くなるんだって。
パイモン:
おお…オイラたち、目的が同じみたいだな!
パイモン:
マオくん、手がかりのある場所ってどこなんだ?
マオくん:
えっと…役に立つかは分からないけど、二人の話を聞いてたら「宝玉」とか「投瓏」のことを思い出したんだ!僕についてきて!
パイモン:
よし、旅人、行こうぜ!
パイモン:
そういえば…ええと、こんなこと言っていいのかわかんないけど、なんだか浮錦仙人の雰囲気って、オイラたちが知ってる仙人と少し違う気がするな…
浮錦:
ふふっ、我の友も同じことを言っておった。だが雰囲気というものは、人それぞれだと思うぞ…いや、仙人それぞれというべきか?
パイモン:
浮錦仙人の友達か…へへ、きっとすごい仙人なんだろうな。削月築陽真君や理水畳山真君みたいに!
浮錦:
……
浮錦:
…ああ、その通りだ。だが…我が言った二人の友は、いま用事で忙しくしておる。ゆえに、水と土の調和は二人に任せたいのだ。
パイモン:
う~ん、なにをすればいいか、まだよくわかってないけど…とりあえず、やってみるぜ!
マオくんは沈玉の谷の水土を整える手がかりを知っているようだ…
マオくん:
到着!見てもらいたかった手がかりは、これなんだ!
パイモン:
…なんだこれ?苔まみれでなにも見えないぞ。
マオくん:
あれっ!前に来たときは苔なんて生えてなかったのに…
パイモン:
あっ、別にマオくんを責めてるわけじゃないぞ!ここはジメジメしてるし、苔が生えるのも仕方ないと思うぜ。う~ん…どうにかして苔を取り除けないかな?
マオくん:
お兄さん、お姉さん、見て!昔の人がお祭りをしてるときの様子だ。といっても、今のお祭りとはずいぶん違うけどね!
マオくん:
街や村の大人たちは、最初に沈玉の谷へ来たのは岩王帝君だったって言ってる。でも実際は、絵に描かれてる人たちのほうが岩王帝君が来る前よりもここにいたらしいんだ。
マオくん:
当時の人は呪力を持つ宝玉を川へ投げ入れて、流れるままにそれを川の底に沈めた。そうすれば天候に恵まれ、堤防が安定し、土地が豊かになったんだって。
マオくん:
前に聞いた話のとおりなら、沈玉の谷の自然を回復させるには、水の中に投げ込まれた宝玉を探せばいいってことだと思う!でしょ?
パイモン:
マオくんは本当にいろいろ知ってるんだな!その話も友達から聞いたのか?
パイモン:
ふん!マオくんは地元の人間だしな。オイラより詳しくて当たり前だぞ!
マオくん:
うん。その後は…ええと、みんな幸せに楽しく暮らしました、ってなるんだったかな…
マオくん:
えへへっ、でもそれより当時の戦の話を聞くほうが好きなんだ…その頃の戦士はみんな十尺余りの巨人だったんだって!
マオくん:
沈玉の谷の勇士たちは全身に入れ墨があって、玉石で作られた大きな斧で、相手を一瞬で真っ二つにしたらしいよ!
マオくん:
あと岩王帝君が率いた千岩軍はもっとスゴかったんだ!一人一人が千斤もある鉄の鎧を身に着けて、百斤の槍を持ってた。当時はあちこちで戦をしてて、碧水川がくすんだ赤色に染まってたんだって…
マオくん:
それ以降、南の山地には当時死んだ者の魂がそこらじゅうをうろついてるんだ。今でも山に行けば、彼らの歌声が聞こえるらしいよ…
パイモン:
うわぁ…
旅人:
こんな怖いのパイは聞かない方がいい。
パイモン:
ふん、誰が「パイ」だよ!でもマオくん、オートモンターニュが言ってたみたいに、そんなことばかり考えてたら悪い大人になっちゃうぞ!
マオくん:
へへ…確かに、大人はこんな話を聞かせたくないだろうね。僕たちのことをまだ小さい子供だと思ってるから。こんな話を聞かせたら、悪影響で素行が悪くなるって考えてるんだ。
マオくん:
でも僕は十分大きいし、昔話を聞いたくらいで不良になったりしないよ!それにこういった物語を知ってる大人は、今じゃスゴく少なくなってる。この大きな絵に描かれた物語だって、友達から聞いて知ったんだ!
パイモン:
わかったから、もうその話はやめようぜ!
マオくん:
そして…大人たちの話は本当だった。昔の人は高いところから川へ宝玉を投げ入れたんだ…でも、どこから投げたんだろ?それに宝玉はどこへ流れて行ったんだろう…?
パイモン:
そうだな…宝玉なんだから川底に沈むはずだよな?
マオくん:
ううん、そう単純な話じゃないよ…上流に近い場所に落ちた物は、たとえ水中に沈んだとしても水の流れによって下流まで運ばれていく。それにもう長い年月が経ってるし…
マオくん:
川の上流で祭祀用の古代の宝玉を拾ったって話も聞いたことがない…沈玉の谷は小さな集落だから、そういった話があればとっくに広まってるはず。
パイモン:
マオくんって物知りだよな。大きくなったら学者になれるんじゃないか!
マオくん:
えへへ、でも学者にはならないかな。稼ぎが悪いし、ちっとも面白みがないからね!
パイモン:
だったら、オイラたちみたいに冒険者になるのはどうだ?あっちこっち冒険して回るのは面白いぞ!
マオくん:
ええっと…投瓏の場所が分かったことだし、次はどうしよっか?
旅人:
高台へ行って観察しよう。
マオくん:
高台、高台…遺瓏埠の埠頭にある見張り台なら、十分高いんじゃないかな!
マオくん:
うん!行こう!
マオくん:
お兄さん、お姉さん、見て。ここから眺めた感じ、宝玉は狭くて流れの急な場所を通り過ぎた後…あの広くなったあたりで止まったんじゃないかな。きっとあそこを探せば見つかると思うよ。
パイモン:
マオくんって、なんでもわかっちゃうんだな!あ…そういえば向こうにあるおっきな物がなんなのかずっと気になってたんだけど、あれってなんなんだ?
マオくん:
あの大きいのは伝説にある「宝玦」で、宝玦の口って言うんだ。仙人が水の中に投げ込んだとされてる場所だよ!
マオくん:
うーん…でもあそこは川が曲がってるし、もっと流れが急なはず。
旅人:
けど、あそこの川幅は徐々に広がってる。
マオくん:
そうだね。曲がる急流を通って運ばれてきた物は川幅の広いところに留まる…つまり、宝玉は宝玦の口の川底にある可能性が高いと思う。もちろん、誰かが川の流れる道を人為的に変えてなければの話だけど!
マオくん:
それに…えーっと…漁をしてる大人たちからこんな噂を聞いたことあるんだ…「宝玦が沈めば、玉瓏が出ずる」って…ひとまず、あそこを探してみよう。
パイモン:
…どうしよう、マオくんにはちっとも敵わない気がするぞ…
マオくん:
へへっ、僕の友達がスゴいだけさ。山のことなら何でも知ってて、たくさん教えてくれたんだ。そのおかげで、僕も詳しくなったんだよ。
マオくん:
あっ…そんなつもりで言ったんじゃないんだ!旅人お兄さんだって、塞がってた洞窟の入口を一瞬で開けたでしょ!それに苔を「サーッ」ってあっという間に取り除いたし。何をやったのか、僕にはさっぱり分からなかったよ!
旅人:
今のは冗談だから気にしないで!
マオくん:
旅人お兄さん、パイモンお姉さん、とりあえず下へ行っていかだに乗ろう!
パイモン:
おう!よーし、宝玦の口を目指して出発だ!
マオくん:
到着!ここが宝玦の口だよ!
パイモン:
おお、すっごいデカい宝玦と宝玉だな!昔、これを残した仙人…いや、その謎の人物って…どんだけ大きかったんだ!?
マオくん:
へへっ、仙人は大きくもなれるし小さくもなれるんだ。「立ち上る雲霧のように大きく、沢に身を隠せるほどに小さく」…えっと、続きは忘れちゃったけど、とにかく仙人はみんなスゴいんだ!
パイモン:
宝玦の口に着いたけど、川底の玉をどうやって探したらいいんだ…?
マオくん:
あっ!そういうことか!「…幽深なる谷に泉が広がり、霊壇はまず北東岸に現れん…」
マオくん:
「…幽深なる山の険しき崖は南西に隠れる。乾陽と臨坤は自ずと隔たりて、長き流れの渦は止まり、美玉はそこに潜む…」
パイモン:
うん?マオくんがいま歌ったのって…?ずいぶん難しい内容だったな…
マオくん:
地元の民謡で、薬草取りのおばあちゃんに教わったんだ!えーっと、意味は…川の真ん中から両岸を見れば、北東と南西にそれぞれ一つの石祠が隠されている…二か所の石祠は、川の真ん中の大渦を押さえつけている…
パイモン:
おっ、最後の文は意味が分かったぜ!つまり宝玉は渦の下に隠されてるってことだな?
マオくん:
そういうこと!まるで宝探しみたいだね。へへ、わくわくしてきた!
パイモン:
でも、北東と南西って範囲が広すぎるぞ!広い意味で言ったら、宝玦の口の北東と南西って世界を丸ごと含んでるようなもんだろ?
マオくん:
パイモンお姉さんの考え方って、世界規模なんだね…!でも心配しなくていいよ。石祠の場所は友達から聞いたことあって、大体の目星がついてるから!さ、行こう!
旅人:
ここに渦が現れたら、マズいんじゃない?
パイモン:
たしかにそうだぞ!渦が現れたら、船が遺瓏埠を行き来できなくなるだろ?
マオくん:
あっ!その心配は大丈夫。友達の話だと、下でやるべきことをやれば、渦は消えるんだって。でなきゃ船頭のおじいちゃんたちが仕事を失っちゃうでしょ?
パイモン:
へぇ、賢くていい渦だな。気が利くじゃんか!よし、出発しようぜ!
マオくん:
わぁ~…本当に彼女の言った通りだ。お兄さんとお姉さんは只者じゃないんだね。
パイモン:
よし、これでオッケーだな!
マオくん:
わぁ!お兄さんとお姉さん、スゴい!友達は石祠をどうすることもできなかったのに!
パイモン:
へへん、これくらい朝メシ前だぜ!
マオくん:
うーん、でも歌の中の渦はまだ現れてないね…
パイモン:
次はどうしたらいいんだ?
マオくん:
そうだね…あっ、旅人お兄さん、試しに「仙力」を使ってみるのはどう?
マオくん:
「浮錦」?
浮錦:
旅人にパイモン、また会えたな…ふむ、そっちは初めて見る友人じゃな。
パイモン:
えっ、おまえたち知り合いじゃなかったのか?こいつはマオくんだ。ここに来るまでずいぶん助けてくれたんだぜ。
浮錦:
ふむ、我は知らぬぞ。だが、確かにマオはいい子なのじゃろう。
マオくん:
はじめまして!僕はマオ。お姉さんは…仙人?仙人だよね!
旅人:
こちらは浮錦仙人。
浮錦:
ふふっ、感謝するぞ、マオ。旅人とパイモンをよく助けてくれた。面倒をかけたのう。
マオくん:
本当に伝説の浮錦仙人なんだ!わぁ~、すっごく嬉しい。浮錦仙人の話はよく聞いてたんだ!まさか…本物に会えるなんて。ヌルヌルした大きな鯉じゃなくて、お姉さんだったんだね!
パイモン:
お、大きな鯉…!?いったいどんな話を聞かされてたんだよ?
浮錦:
…オホン!わ、我は仙人じゃからな、変幻自在なのじゃ。この姿を選んでおるのも、おぬしら人間により親しみを感じてもらうためであってじゃな…
浮錦:
ところで、おぬしの口ぶりと…その身にまとう独特な雰囲気からして——マオよ、山で何かに出会ったのではないか?たとえば白い肌で金色の目をした人間なんかに…
マオくん:
うん?そんなことないけど。浮錦お姉さんが言ってるのって、もしかして別の友達のこと?山にいる僕の友達は浮錦お姉さんみたいにキラキラ光ってないけど、とっても優しいんだ!たくさん助けてもらったし、いろんなことを教えてもらったんだ。
浮錦:
なるほど、彼女じゃったか…
パイモン:
じゃあ、マオくんがずっと言ってた友達は浮錦仙人のことじゃなかったんだな!
マオくん:
でも、もう浮錦お姉さんも僕の友達でしょ?
浮錦:
もちろんじゃともマオ。おぬしの友人になれて我も嬉しいぞ。
旅人:
仙人の知り合いが多い俺のほうが勝ち!
マオくん:
?
浮錦:
ふむ?そういうものなのか…?
パイモン:
ええと…こいつのことは気にしないでくれ。つまり、マオくんが前から知ってる友達も仙人なんだな?
浮錦:
マオの友人が仙人か否か…それは我にも答えにくい質問じゃ。何しろ「仙人」というのはただの肩書きにすぎん。そもそも「人」かどうかさえ簡単には答えられぬ。
浮錦:
「仙人」という二文字は、「英雄」「悪党」「阿呆」と同じようなもの。生まれつきの仙人などおらん。同様に、永遠の仙人というのもまたおらんのじゃ。
パイモン:
そうなんだな…で、浮錦仙人もマオくんの友達と知り合いなんだな?
浮錦:
そうじゃ。しかし、もう長いこと会っとらん。それゆえ今の我は…マオほど彼女のことを理解してはおらぬ。自分でも友人と呼べるかどうか怪しいものじゃ。
旅人:
マオくんの話によれば…
旅人:
その「友達」は自然を回復させたいみたい。
浮錦:
…そうか、やはりな。
浮錦:
それはそうと、おぬしらに取ってくるよう頼んだ「祀瓏」じゃが、こうも姿を変えて大きくなっておるとはな…はぁ、昔のほうが好きだったんじゃが…
パイモン:
浮錦仙人がいま言った「四龍」って、誰かの名前か?
浮錦:
ふふっ、そうではない。天地に異変が起きた後、我らは…沈玉の谷の先人たちは天と意思を通わせる能力を失い、月光のように美しい使者の導きも失った。
浮錦:
ゆえに、月光のように温かく艶やかな宝玉を川へと投げ入れ、お告げを聞いたり、水と土の回復や豊潤な気候、堤防の安定を願ったりするようになった。こういった儀式は、次第に強い力を持つようになり、それは…
浮錦:
後に…
浮錦:
……
マオくん:
浮錦お姉さん、その続きは?
浮錦:
…後に、俗世の神の座をめぐって長い争いが始まった。そして、この伝統は意義を失ったのじゃ。忘れ去られたとはいえ、その名前だけはずっと残っておる。
浮錦:
とにかく、ここにあるのは…当時、最後に投げ込まれた宝玉の祀瓏じゃ。
浮錦:
地上にある部分が、仙術により巨大化して洪水を食い止めたように、その核もまた抑えがたい仙力によって膨れ上がった。その力の大部分は霊脈に沿って、周囲に散らばっておる。
浮錦:
そして、散った仙力はこの辺りの自然や生き物に影響を与えた。しまいには、その仙力が怪物を引き寄せたり、怪物そのものになったりもしておる。用心するんじゃぞ。
パイモン:
えっ…?
浮錦:
我の考えでは、付近に散ってしまった仙力を取り戻せば、眠っている祀瓏を呼び覚ますことができる。さすれば自然を回復させるという我らの目標に一歩近づけるじゃろう。
浮錦:
コホン…その、どう言葉にしたらいいか分からぬが…旅人にパイモン…おぬしらには感謝しておる。こうして我を助けてくれているのは、実に立派な選択じゃ。それにマオよ、我を…このお姉さんを助けてくれぬか?
マオくん:
うん、もちろん。僕も自然を元に戻したいからね!
浮錦:
…そうか。それは良かった。マオは実に聡明な子じゃな。…この先、おぬしにもすべてが分かる時が来るじゃろう。
浮錦:
さて、ではしばしの別れじゃ。
浮錦:
三人が仙力に満ちた祀瓏を取り戻したとき、雲と霧に包まれた南の深潭で再び会おう。
パイモン:
南だな…よし、覚えたぞ!あれ?また消えた!
マオくん:
じゃあ、浮錦お姉さんが言ってたとおり、まずは「四龍」の仙力を取り戻そっか!
マオくん:
そういえば、僕の二番目の叔父さんも四龍って名前だったな…
パイモン:
ほら!マオくんだって、オイラとそう大差ないぞ!へへっ!
旅人:
祭祀の「祀」に、玲瓏の「瓏」だよ。
マオくん:
えっと…
マオくん:
む、難しいね…!
パイモン:
けど、マオくんの二番目の叔父さんってなんで「四龍」って名前なんだ?普通は「二龍」ってなりそうだけど…
マオくん:
そうだね、どうしてだろう…?
パイモン:
おお…祀瓏が動きはじめたぞ…
マオくん:
本当だ。昔話のとおりなら、川底には他にもたくさんの祀瓏があるはずだよ。浮錦お姉さんが、どうしてこれを欲しがってるのかは分からないけど。
パイモン:
見ろよ、光を放ってるぜ。旅人の仙力と共鳴してるみたいだ…
パイモン:
よし、不思議な「仙力」を使ってみようぜ!
マオくん:
これで大丈夫なはず。わっ、スゴい!一気に縮んだ…
パイモン:
だな!あんなにデカかったのが、片手で持てるほど小さくなったぞ!さすが数千年も前のお宝だぜ…マオくんが言ってたみたいに「立ち上る雲霧のように大きく、沢に身を隠せるほどに小さい」な!
マオくん:
うん!これで祀瓏は手に入った。旅人お兄さんって、やっぱり頼もしいや!
パイモン:
ふん!オイラだって頑張ってるぞ!
マオくん:
パイモンお姉さんだって、と~~~ってもスゴいよ!だって、「雲と霧に包まれた南の深潭」まで僕らを連れてってくれるのは、パイモンお姉さんでしょ?
マオくん:
雲と霧…う~ん…沈玉の谷には確かにそういう場所はありそうだけど…
パイモン:
それってどこにあるんだ?教えてくれ、「小さなガイド」!でないと、おまえたちをそこに連れてってやれないぞ!
マオくん:
大山が言ってた、僕たちが出会った場所を覚えてる?あそこは霧に包まれててね!そこへ通じる秘密の洞窟も知ってるよ——沈玉の谷の地元民でも知らない道だ。
マオくん:
僕の友達がね、連れてってくれたことがあるんだ。もうパイモンお姉さんも友達だし、今度は僕がお姉さんにあの道を教えるよ。
マオくん:
へへっ、まあね!あっ、でも旅人お兄さんとパイモンお姉さんだってスゴいからね!
パイモン:
マオくんの友達なら、オイラたちの友達でもあるな!旅の途中で会えるといいけど!
パイモン:
よし、そろそろ行くか?パイモンお姉さんがおまえたちを…マオくんの言う場所まで連れてってやるぜ!
旅人:
頼んだよ、パイモンお姉さん。
パイモン:
よぉーーし!出発だ!
パイモン:
うわぁ…まるで別世界だな…
パイモン:
あれっ!?ヒルチャールだ!マオくん、後ろに隠れててくれ!
マオくん:
へへっ…こういう危険に遭遇することってたまにあるよね。けど前も友達が全部追い払ってくれたから…ちっとも怖くないよ!
パイモン:
おまえの友達ってすごいんだな…ん?まさか仙人とかじゃないよな…?
マオくん:
うーん…そういうのじゃないと思う。えっと…人に言いふらさないようにって彼女に口止めされてるから…詳しくは話せないんだ、ごめん…
パイモン:
ああ、いや…別に謝ることなんてないぞ!
泊溯:
乗ってくか…ん?なんだ、マオくんじゃないか?ほれ、乗ってくといい!
マオくん:
ここだよ。滝の後ろに洞窟があるんだ。濡れて風邪を引かないようにね!
マオくん:
あれ?洞窟が塞がれてる…
パイモン:
う~ん…あっ、そうだ!試しに「仙力」を使ってみようぜ、旅人。
マオくん:
前より水かさが増してる…次に来たときは泳いで入ることになるかも。
マオくん:
あそこのいかだに乗れば行けるよ!
マオくん:
船頭のおじいちゃん、宝玦の口まで連れてって!
泊溯:
はいよ、宝玦の口だな!そっちの二人は…観光客か?ハハッ、観光をするなら、地元の人があんまり行かない場所ってわけか。
マオくん:
へへっ、まあね!船頭のおじいちゃん、宝玦の口に関する物語で、僕がまだ聞いたことない話ってある?
泊溯:
ボウズは物知りだし、聞いたことない物語なんてないだろ?
マオくん:
でも何かあるでしょ、教えてよ!
泊溯:
しょうがないな…宝玦の口は、かつて岩王帝君が沈玉の谷の民を救うために、この地を制圧した時に残したもんなんだ。伝説によると、ここの仙人は下流から押し寄せてくる水軍を止めるために…
マオくん:
おじいちゃん、またデタラメ言ってる!璃月の船隊がこの川から来るわけないでしょ?宝玦の口ができたのは、大きな鯉が玉玦をそこに投げ捨てたからだって聞いたよ!
マオくん:
その当時、悪い魔神が川の流れを変えて、沈玉の谷の両岸にいる千岩軍を水没させようとしたんだ。けど、彼女の手下である大きな白蛇と大きな鯉は命令に背いた——白蛇は悪い魔神を足止めして、鯉は…
マオくん:
身に付けていた玉玦をここに投げたんだって。そうして、この川は玉玦の力で落ち着いた。それ以来、洪水も起きることなく、みんな川の両岸で平和に暮らしてるんだ。
泊溯:
ハハッ、ボウズは色々と知ってるが、実際にその目で見たことはあんまりないんだろ?よ~く見ろ。この川沿いに作物なんてないぞ!
泊溯:
川の流れが玉玦で固定されてから、洪水がなくなったのは確かだが…ここの川はもう作物を潤すことはできない。かつて広くて緩やかだった川は、今や狭い急流となってる。
泊溯:
こんな川じゃ、両岸の土地に養分をあまり残せないんだ。ハハッ、だからここで安らかに暮らしてる人なんかもいない。
パイモン:
そうなのか…ところで、さっきのマオくんの話を聞く限り、仙人が岩王帝君の邪魔をしたのか?
マオくん:
うん、昔はそうだったんだ…璃月の最初の主は岩王帝君だって信じてる人もいるけど、僕たち沈玉の谷の人は違う。あの方よりも先に、別の魔神や仙人が僕たちの先祖を守ってくれてたんだ。
マオくん:
陸じいちゃんから聞いた話だと、奉茶儀式も実は、最初の茶樹を植えた鯉の仙人を祀るための儀式だったんだってさ!
パイモン:
なるほど…でも、その仙人たちって悪いやつらだったんだろ…?ほら、だって悪い魔神に仕えてたわけだし。
マオくん:
一部の物語では悪者だけど、別の物語では善人なんだよ。でも、もうずっと昔のことだから、大人でも覚えてないことが多い。いつも僕をはぐらかすんだ。
泊溯:
ハハッ…また友達の話か?はぁ、仙人や鬼神を単なる善悪で判断できるわけがないだろう?まぁ俺たちからすると、かつてこの土地を守った存在は、みんな祀られるべき存在だと思うがな。
マオくん:
あっ!船頭のおじいちゃん、またはぐらかした!
泊溯:
ハハハッ!さて、そろそろ下りる準備をしろ。着いたぞ!
マオくん:
船頭のおじいちゃん、ありがとう!
マオくん:
えっ?船に乗って行かないの?じゃあ、このまま川岸に沿って歩こうか。
パイモン:
この辺の地形は険しいけど、マオくんは怖くないのか?
マオくん:
もちろん怖いさ!でも…怖いからこそあえて山に登るんだ。何も恐れずに、どんな道を進んでるのかも気にせず進んじゃったら、それこそ危ないからね…
パイモン:
うっ、オイラそんな心配したことないし、こんな山道を進むのも怖いぞ…
マオくん:
あははは!でもパイモンお姉さんは落っこちる心配なんてないでしょ?
パイモン:
オ…オイラは旅人のことが心配なんだ!
マオくん:
そういえば、宝玦の口は「浮錦」っていう仙人が残した玉玦でできてるらしいよ…
マオくん:
当時、この土地の魔神が——もちろん悪いやつだけど——川をいじって碧水川の水を溢れさせて、沈玉の谷の両岸を水没させようとしたんだ…でも彼女の手下の仙人「浮錦」が命令に背いて、身に付けていた玉玦をここに投げ入れた。
マオくん:
そうして、この川は玉玦のおかげで落ち着いたんだ。それ以来、洪水が起きることもなく、みんな川の両岸で平和に暮らしてるんだよ。
パイモン:
えっ?浮錦…?そいつなら会ったことあるぞ…
マオくん:
えっ?二人が会った仙人って、もしかして浮錦仙人なの?
パイモン:
おう、間違いないぞ!オイラたち、あいつに頼みごとされて、あちこち駆け回ってるんだ…翹英荘のために問題を解決してくれとか…問題が積み重なるとよくないとかって言ってたな!
マオくん:
へぇ…そうなんだ…
マオくん:
旅人お兄さん、出発する?
マオくん:
うん!行こう!
マオくん:
旅人お兄さん!「仙力」を使ったら、渦を呼び起こせるかもしれないよ!
マオくん:
おかえり!出発する?
パイモン:
洞窟冒険に出発だぜっ!