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魔女の課題・仙境花の題

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限界の法則
新しい錬金薬を調合中のスクロース。なかなか期待していた効果を得られないでいるようだ…
スクロース:
うん…前の結果をもとに、実験計画をちょっと調整しようかな。それから、器材と実験用の素材も確認しないと…
スクロース:
あ、そうだ、今日作る錬金薬は…えっ、旅人さんにパイモン?どうしてここに?
パイモン:
へへっ、オイラたち、「課題」を手伝いに来たんだ!なにかオイラたちにできることがないか、確かめておこうと思って…
スクロース:
「課題」って…あ、アルベド先生が前に言ってた、魔女会に関係する「課題」のことかな?
スクロース:
ちょうど今日は、定期実験の予定が入ってるよ。
パイモン:
定期?じゃあ、スクロースはずっとその実験をやってるってことか?
スクロース:
うん。でも私の研究分野と方向性がある程度一致してるから、この「課題」を続けるのはそんなに負担じゃないの。
スクロース:
だけど…
パイモン:
どうしたんだ?実験でなにか困ったことでもあったのか?
スクロース:
うん、実験はずっと「成功してない」の。
パイモン:
えっ、ってことはもう何回も失敗してるってことか?
スクロース:
単純に「失敗」したわけじゃないの。この「課題」の背後にある原理は、想像してるよりもちょっと複雑で…
旅人:
それで、どんな課題なの…?
パイモン:
そういえば聞いてなかったな。具体的にはどんな実験なんだ?
スクロース:
スイートフラワーを「十六倍大きいスイートフラワー」にする薬剤配合の実験…
スクロース:
つまり、錬金薬「四式植物倍化剤七型」の調合実験だよ。ちなみに「七型」なのは、今日がこの実験の七回目だから。
パイモン:
じゅ、十六倍!?とにかく、わかったぞ!オイラたちは「大きくなる薬」七号を作るってことだな!
スクロース:
「大きくなる薬」七号…う、うん!
スクロース:
ただ、七号といっても、配合はあまり大きく変えてないの。原理も実験過程の産物も、問題ないことが証明されてるから。
パイモン:
それなのに、ずっと「成功しない」のか?
スクロース:
うん、それで考えてたの…何か他の要素を取り入れる必要があるのかもって。
パイモン:
ふふん…なるほど、他の要素だな…
パイモン:
おう!そもそもオイラたちは、なにか手伝えることがないか見に来たんだしな!
スクロース:
パイモンを加えたら、元の材料の配合を調整する必要があるから、今までの安定した配合より効果が劣るかも…
パイモン:
オイラは材料になんかならないぞ!はやく普通のレシピを出してくれ!
スクロース:
ここにあるよ。
スクロース:
でも、あと二つ材料が足りないの。
パイモン:
へへっ、オイラたちに任せろ!なにが必要なんだ?
スクロース:
ベースになるのは、清泉町の泉水。それと、ちょっと面倒なのが、狂風のコアの破片。
パイモン:
おう!じゃあ、さっそく行こうぜ!
旅人:
うん、今すぐ始めよう…
旅人:
配合をもう一度確認させて…
スクロース:
材料は全部そろったし、錬成用の錬金釜もあっちにあるから…いつでも始められるけど、えっと…でも…
パイモン:
まだなにか困ってることがあるのか?
スクロース:
ううん、違うの。ただ、正確に記録するためにも、あなたたちが錬成するところを見てもいいかな?
スクロース:
実は、実験を見られたくない人って多くて…私も、その…
旅人:
もちろんいいよ。
スクロース:
ありがとう。じゃあ、準備ができたら始めよう。ちゃんと記録しておくからね。どんな細かいことも見逃さないよ。
スクロース:
どうする?今から錬成を始める?
スクロース:
…ん?薬剤の錬成、そろそろ始める?安心して、私が全部記録するから。
スクロース:
できた…錬成の過程は完璧だった。
パイモン:
ホントか?
スクロース:
うん、薬剤の変化過程を見る限り、全くミスはない…ちょっと成分を取り出して実験してみるね。少し待って…
スクロースは錬成が完了した薬剤を少量取って、そばにある実験用器具で丁寧に成分の検証を行った…
スクロース:
うん、錬成の過程が完璧なら、得られる結果も完璧。理にかなった、直感通りの過程だった。
パイモン:
ってことは、オイラたちが作った「大きくなる薬」七号は…
スクロース:
前の六回分の「四式植物倍化剤」と全く同じだよ。
パイモン:
うーん…ってことは、結果も同じになっちゃうじゃないか?
スクロース:
ううん、実験っていうのは全部が同じように見えても、少しだけ違いが出る。完成するまで誰も結果が分からないからこそ、実験には意味があるの。
スクロース:
実験場に行こう。そこに移植したスイートフラワーがある。
スクロース:
あとは「四式植物倍化剤七型」をスイートフラワーに注ぐだけ。
パイモン:
「大きくなる薬」、もう注いだぞ…これで大丈夫なのか?
スクロース:
うん、大丈夫だよ。スイートフラワーが錬金薬の成分を吸収した後、内部で消化、反応させる必要があって、それにちょっと時間がかかるの。
パイモン:
それで、その後は?
スクロース:
スイートフラワーは元の形を保ったまま、膨張するように成長するの。ただ、十二倍から十四倍の大きさまで成長すると「耐えられなくなってしまう」…
スクロース:
まるで、触れてはいけない境界に触れたみたいに、不自然な形で枯れ落ち、液状になって地面に広がってしまうの。
パイモン:
どうしてそうなるんだ?「大きくなる薬」に問題があるのか?
スクロース:
ううん、「大きくなる薬」の多岐にわたる調整と精密なコントロールのおかげで、小型の低木が巨大化する際に生じる様々な問題は解決済みなの…
スクロース:
例えば、葉っぱの過剰な成長の抑制、根の直径と耐荷重能力の強化、表面積の増大による日光と養分の供給問題も計算済み…
パイモン:
じゃあ、なんで失敗しちゃったんだ?
スクロース:
それは、限界を超えられないから…「上の如く、下も然り」、つまり錬金術が追い求める「万能物質」も、この世界では限界があるの。
スクロース:
「サイズ」っていうのは、万物に刻まれた法則。繰り返し実験をするのは、この「サイズ」の限界が安定してるか、確認するためなの。
旅人:
だから「実験失敗」も一つの結果だと…
スクロース:
そう、限界が「常に存在する」ことを証明できる。
パイモン:
うーん、よくわからないぞ。とにかく「実験失敗」だったら、境界が安定してるって証明になるってことか?
パイモン:
変な実験だぜ…あれ、スイートフラワーが反応したぞ?
パイモン:
…いや違う!この動き、うぅ、スイートフラワーじゃないぞ!
スクロース:
気をつけて、これは…トリックフラワーだ。これまでは、誤ってトリックフラワーが吸収しても、こんなサイズにはならなかったのに…一体どうして…
パイモン:
前にも同じようなことがあったのか…あっ、こんな話してる場合じゃないぞ。まず、このデカいやつを倒さないと!
パイモン:
や、やっと片付けたぞ。大きくなったのが、トリックフラワーで助かったぜ。
スクロース:
…うん。
パイモン:
さっきのトリックフラワー…
スクロース:
戦いながらの大まかな目測だけど…もう「十六倍」のサイズ…ううん、それ以上になってたと思う。
スクロース:
実験は…成功。
パイモン:
実験が成功したのは、いいことじゃないのか?
スクロース:
この実験の成功がどんな影響を及ぼすかは、まだ断言できないけど…もし、今後もずっと同じ結果を再現できるなら…
スクロース:
それは「何かが変わった」ってこと。もしかしたら、法則の「限界」が、なんらかの理由で揺らいでるのかもしれない…
スクロース:
それが良いことなのか、悪いことなのかは分からないけど…でも、錬金術研究の観点から言えば、広がった境界はもっと多くの新たな可能性を生み出してくれる。
スクロース:
これで、限界に関する「課題」も一段落かな。
パイモン:
そうだな…
スクロース:
うーん…もしかして、薬剤を作った人が影響を与えてるのかな…もしくは、このトリックフラワーが特別な個体だったのかも…
スクロース:
「課題」の後の「課題」…まだ確認しないといけない可能性がたくさんある…
パイモン:
そうなのか。じゃあ、必要な時はオイラと旅人も手伝うぞ!
旅人:
「大きくなる薬」はパイモンにも使える?
パイモン:
オイラが飲んだら、十六倍大きい「巨大パイモン」になれるかもな!お宝を奪いに来た宝盗団なんて、一撃でぶっ飛ばせるぞ!
スクロース:
たぶん無理だよ…トリックフラワーが成功したのは、体の構造がスイートフラワーと似てるからで…
スクロース:
パイモンが大きくなったとしても、重すぎて動けないんじゃないかな。
パイモン:
ええ!オイラ、そんなのゴメンだぞ…
パイモン:
そういえば…スクロースはなんでずっと、スイートフラワーと夕暮れの実の研究をしてるんだ?
スクロース:
えっと…それはもちろん、夕暮れの実も…スイートフラワーから抽出した糖分も、どっちも甘いからだよ。
スクロース:
その点で言うと、今回の「十六倍大きいトリックフラワー」の実験は、追加の収穫があったね。トリックフラワーの蜜は…
パイモン:
スイートフラワーとほぼ変わらない味だな!
スクロース:
うん。花の蜜から糖を抽出したら、あなたたちにも分けてあげるね。
パイモン:
へへっ、約束だぞ!