arrow_back 原神 クエスト
幽客の章 第一幕

先の布石


七星選抜
璃月を何気なく歩いていると、偶然、見知った顔と再会した…
璃月港を散策する
慧心:
旅人、パイモン、久しぶり。
パイモン:
あっ、慧心!久しぶりだな!
パイモン:
こんなところで会うなんて奇遇だな。仕事は順調か?
慧心:
君たちや甘雨先輩のおかげで、だんだん慣れてきたわ。
慧心:
でも最近、仕事中に気が散ってしまいがちで、落ち着かないの…
旅人:
何かあったの?
慧心:
えっと…話すと長くなるんだけど…父上が…身体のことを理由に、「天枢」を辞任することになって。
パイモン:
えっ——天おじになにかあったのか?
慧心:
正確には、父上曰く、体の不調はないらしいんだけど、気力が落ちてきてるって言うの。
慧心:
「誰しもいつか老いる日が来る」って、よくそう言ってたけど…実際に顔のしわがどんどん深くなっていくのを見ていると、やっぱりなんとも言えない気持ちになるわ。
慧心:
そうだ、父上はいま岩上茶室の二階にいるから、よかったら会って行ってあげて。
慧心:
父上は君たちのことをすごく気に入ってるみたいだから、もし話をしに行ってくれたらきっと喜ぶと思うわ。
パイモン:
そうだな!じゃあ、はやく行こうぜ!
天おじと会話する
パイモン:
天おじ!遊びに来たぜ!
天おじ:
おっ?これはまた珍しい客だ、歓迎するよ。慧心や、下にいる店長に、新しく届いた茶を淹れてくるよう頼んでくれ。
天おじ:
聞いたところによると、お前さんたちは色んな場所に行ってるらしいな。わしもお前さんたちの冒険譚を、ぜひ聞いてみたいよ。
天おじ:
もう慧心から聞いているようだな…だが心配するな、体は大したことないんだ。歳月人を待たずと言ってな、ただの老いさ。
天おじ:
年を重ねるにつれ、色んな事が思うようにこなせなくなってな。ここ最近は、気力もめっきり減ってしまった。
天おじ:
みなはわしを高く評価してくれているが、ボケないうちに、天枢の座を次に譲ろうと考えてる。
パイモン:
天枢の座を譲るのって…面倒なんじゃないのか?
天おじ:
璃月七星の中でも、天枢は比較的特殊な存在なんだ。
天おじ:
歴代の天枢はほとんど公には出ず、その多くは背後で策を考える裏方だった。公開選考に向く役職じゃない。
天おじ:
それに、候補者ができるだけ各方面や勢力からの影響を受けないようにしたい。だから、審査や任命は比較的内密に行われるんだ。
天おじ:
そんな訳で、一般的に天枢の後任と言うのは、前任天枢の意見と残りの七星による承認によって決まるんだ。
パイモン:
つまり…天おじが候補者を推薦して、刻晴や凝光たち七星が任命するってことか?
天おじ:
そうだ。だが今のわしの体調を考えると、候補者を一人一人選別する余裕はないだろう。
天おじ:
まあ、心配する必要はない。このために、能力の秀でた視察官を特別に連れてきた。そういえば、お前さんたちも既に彼女に会ったそうだな?
パイモン:
ん?誰のことだ?
夜蘭:
あら、ひどいわね…この間会ったばかりなのに、もう私のことを忘れちゃったのかしら?
パイモン:
夜蘭!
夜蘭:
そうよ。天おじに頼まれて、私が三名の候補者を調査することになったの。
夜蘭:
旅人、君も一緒に来ない?次の天枢と事前に知り合える、またとない機会よ。
パイモン:
うーんと…おまえはどう思う?
パイモン:
だよな、オイラもそう思うぜ!七星と良い関係を築くのって、悪くないことだよな。
夜蘭:
じゃあ、それで決まりね。
夜蘭:
そういえば天おじ、あなたは普段、光の当たらない裏で策を企てるのが好きみたいだけど、私も闇の中での行動には慣れてるわ。私も天枢になれる素質があると思わない?
パイモン:
えっ!夜蘭も天枢になりたいのか?
天おじ:
わしは構わんが、お前さんは凝光とも長い付き合いだろう。彼女がお前さんを簡単に手放すとは思えんな。
天おじ:
ふむ、ではこうしよう…もし視察の結果、資格のある者が誰もいなければ、お前さんを推薦しよう。
夜蘭:
いいわ。ま、このことは別に急ぐ必要はないものね。それと、視察についてはすでに手配してあるわ。
夜蘭:
あとで、一階で会いましょう。それまで…君たちは話の続きでもしてて。
夜蘭:
それから代金はいらないわ。岩上茶室の「新たな主」として、質の良いお茶ぐらいはご馳走させて。
天おじと最近の冒険について話したあと、茶室の入り口に戻った…
夜蘭:
話は済んだかしら?
パイモン:
天おじ、元気なさそうで…ずっとうとうとしてたぞ…
夜蘭:
ええ。こんなことを言うのは気の毒かもしれないけれど、今の天おじの精神状態じゃ、これほど複雑な仕事をこなすのは無理ね。
夜蘭:
天おじの推薦した候補者は全部で三名。乾瑋、明博、知易よ。
夜蘭:
乾瑋は豪商の生まれよ。明博は璃月総務司に勤めていて、最後の知易は学を求めて旅をしているわ。
夜蘭:
なんとなく覚えておいて…まあ、忘れてしまっても大丈夫なんだけどね。あとで、月海亭で直接彼らを視察するから。
パイモン:
乾瑋、明博、それから知易…どうにか覚えたけど、「視察」ってなんなんだ?
夜蘭:
その話は、月海亭に着いてからにしましょう。
夜蘭:
気合を入れておいて。これは七星交代という一大事…どんなに些細なことも見逃すことはできないわ。
パイモン:
わかった!ちゃんと目をかっぴらいて行くぜ!
月海亭で視察を行う
???:
立ちっぱなしで足がしびれてきた…まったくあの視察官は何を考えてるんだ。こんなに大事な場に、椅子すら用意してないなんて。
???:
色んなやつと接してきたが、立ったまま待たされるなんてこれが初めてだ。
???:
ふむ、俺は…別になんとも思わない…
???:
それは、あんたがそういう扱いに慣れてしまったからだ。いつもそんな風に現状を受け入れてると、この先何も変えられなくなるぜ。
???:
お前というやつは、どうしてそう…理不尽なことを言うんだ…
???:
まあまあ二人とも、こんな些細なことで争うなんて、割に合いませんよ。
???:
乾瑋さん、確かに言い過ぎですよ。明博さんもあまり気にしないで…こんなに長く立ちっぱなしで待たされたら、誰だって少しは苛立ちを覚えるものです。
???:
別に立って待たなければならないという決まりはないんだし、いっそのこと、近くの商会から椅子を借りてくるのはどうでしょう?
乾瑋:
それもいいかもな。あそこの椅子の材質はあんまり良くないが、使えるだけマシだ。
夜蘭と一緒に視察現場に着いた…
夜蘭:
どうやら、候補者たちはすでに三人とも揃っているようね。
旅人:
つまり今の三人が…
夜蘭:
ええ、すぐに彼らと正式に会うことになる。でもその前に、まずは今回の視察の流れを君に説明するわ。
夜蘭:
視察は大きく二つに分けられる。「時事方略」と「現場問答」よ。
夜蘭:
前者では、彼らに璃月の発展計画を提出してもらう。後者は、私たちが直接面と向かって彼らに質問をするってことよ。
夜蘭:
璃月の発展計画を書くのには時間がかかるだろうから、あらかじめ彼らに言っておいたわ。これが彼らの提出して来た報告書よ。
パイモン:
うわぁ、一冊だけぶ厚いのがあるぞ…
夜蘭:
ついでに言っておくと、彼らには一つ要求をしてあるわ。誰が天枢になろうと、自分が立てた計画内容はきちんと実行すること。
夜蘭:
よほどのことがない限り、計画書の内容を変更することは許されない。だから、今ここにある三つの書類は、彼ら三人の「立場」を表しているのよ。
夜蘭:
まだちょっと時間があるから、目を通しておいて。彼らに対する第一印象を持っておくといいわ。
夜蘭:
私はここで待ってるから、読み終わったら言ってちょうだい。
候補者の計画書を読む
乾瑋の計画書:
(乾瑋の計画書。商業に関する問題が数多く挙げられており、一貫して筋の通った理論で問題の急所をついている。)
乾瑋の計画書:
(「規則と利益はどちらも欠けてはならない」、それが乾瑋の見解のようだ。)
候補者の計画書を読む
明博の計画書:
(明博の計画書。内政や民の生活について書かれている。)
明博の計画書:
(「大道の行われる世では、天下は公とされる」、これが明博の理念のようだ。)
候補者の計画書を読む
知易の計画書:
(知易の計画書。内政、外交、監査など様々な方面が考慮されており、とても詳しく書かれている。)
知易の計画書:
(「問題の解決」が中心となっており、それぞれの問題に明確な解決策が出されている。)
知易の計画書:
(ぶ厚すぎて、流し読みするしかない…)
夜蘭と共に候補者を視察する
夜蘭:
もう読み終わったの?何か感想は?
パイモン:
なんか、みんな真面目だったな…
夜蘭:
当然よ。天枢の選考に関わることだから、みんな全力を出し切っているの。
夜蘭:
何より、ひとたび着任すれば、その計画に従って業務を執り行うことになるから悔いは残したくないはず。
旅人:
夜蘭はどう思う?
夜蘭:
ふふっ、まだ秘密。「現場問答」が終わってから、じっくり話し合いましょう。
夜蘭:
もう候補者を連れてきていいわよ。一人ずつ、まずは乾瑋からね。
礼安:
かしこまりました。
礼安が乾瑋を連れてきた…
乾瑋:
ほう?あんたら二人が今回の視察官か?
乾瑋:
これほど重要なことは凝光様が直々に視察するだろうとは思っていたが、まさか俺の知らない顔が来るとはな。
乾瑋:
俺の計画書はもう読んだんだろ?何か理解できないところがあったら、俺に聞くといい。
パイモン:
な、なんて上から目線なんだ!
乾瑋:
悪いな、別に意図があってのことじゃない。ただ事実を述べているだけだ。
乾瑋:
留雲借風…その仙人を知ってるのか?ふむ…そうか思い出したぞ。あんたが、みんながうわさにしてたあの旅人なのか。
乾瑋:
名のあるやつなら、それなりに才能もあるんだろう。もしかしたら俺の構想を理解できるかもな…ふんっ、まあ、あまり期待はしていないが。
夜蘭が乾瑋に一通り質問したあと、明博を呼んだ。
明博:
あっ…俺の番か?
夜蘭:
ええ、簡単に自己紹介してちょうだい。
明博:
俺は明博、総務司に所属している。
明博:
総務司で仕事をした時間は、九年と…五か月…三日になる。これまで…二千三百四十七件の案件を取り扱ってきた。
明博:
まだ十二件が処理途中で…およそ…十六日後にすべて解決する予定だ。
明博:
現在は、都市計画に関わる仕事をしながら、勘定明細の受け取りと検査をしている。勘定は三つの部分に分けられていて、それぞれ…
パイモン:
なんか、たまに言葉がつっかえてるのは、オイラの気のせいか…?
夜蘭:
自己紹介はそこまででいいわ。直接質問するわね。
明博:
あ、ああ…すまない…
夜蘭はなんとか一通りの質問を終えると、知易を呼んだ。
知易:
こんにちは。ふぅ…正直、本当に緊張しています。
知易:
お二方はどんなことがお聞きになりたいのでしょうか?視察と言うことですから、出来る範囲ですべてお答えいたします。
夜蘭:
君の計画書は様々な分野に言及しているけれど、君自身はそれほど多くの事業をやったことがないみたいね。自分の計画をきちんと達成できると保証できるのかしら?
旅人:
容赦ない質問…
知易:
そのような疑問を抱かれるのも、ごもっともだと思います。
知易:
ですが計画に関しては、自信があります。私はかつて、数多くの場所を視察してきました。現地の専門的な方とも交流を行い、結論を導き出したのです。
知易:
もちろん、異なる問題が複雑に入り交じれば、それぞれの結論も衝突する。ですので私が求めたのは「均衡」、つまりすべての問題の中から「最適解」を見つけることです。
夜蘭:
じゃあ、その導き出した答えが本当に「最適解」かどうかは、どうやって判断するつもり?
知易:
計画を実行する前は、同僚や月海亭の秘書たちが評価をしてくれるでしょう。計画を実行した後は、最終的にどうなったかがそのまま結果となります。
知易:
私の判断が間違っていた場合は、相応の責任を取るつもりです。
夜蘭:
悪くない答えね。では、次の質問にいきましょう…
夜蘭が一通り質問をすると、知易は去っていった。
パイモン:
なんか付き合いやすそうなやつだったな!話もよくまとまってたし、すごく聴きやすかったぞ!
夜蘭:
これで、簡単なまとめができそうね。
夜蘭:
君も見た通り、乾瑋は見識が広く、計画書に書かれた案も的を射ているものが多い。
夜蘭:
でも、とても傲慢で頑固な性格。周りの人の気持ちは考えそうにないわね。
夜蘭:
明博の計画はより包括的で、安定していたわ。非常に繊細で、細かいところにまで目を配る性格。
夜蘭:
でも彼は乾瑋とはまったくの真逆ね。口下手で、人との交流においては弱々しい印象があるわ。
パイモン:
おお、たしかにその通りだったな。さすが夜蘭!
夜蘭:
最後は知易。彼の計画は非常に詳細で、確実な方策もある。これほど幅広い分野に心を配れる人はなかなかいないわ。
夜蘭:
これは表面的に取り繕われたようなものじゃない。よほど力を注がないとできないことよ。それに謙虚で穏やかだから、人付き合いの方も問題はなさそうね。
夜蘭:
でも私が特に興味深いと思ったのは、彼の意見の多くが天おじと同じだったことよ。もし知易が着任すれば天おじも安心できそうね。
パイモン:
やったぁ!
夜蘭:
さあ、行きましょう。戻って天おじにこれを伝えるわよ。
天おじに視察結果を報告する
天おじに視察の詳細を話した…
天おじ:
ゴホッゴホッ…ふむ、大体わしの予想した通りだったか。
夜蘭:
単刀直入に聞くわ。知易の計画における考えが、天おじととても似ていたことには何か理由があるのかしら?
天おじ:
お前さんたちに候補者の名簿を渡したとき、実は言ってなかったことがある。お前さんたちの判断に影響を与えてしまうかもしれないと思ってな。だが、今ならそれも話していいだろう。
天おじ:
あの三人はかつて、わしのもとで学んだことがある者たちなんだ。わしに似ているところがあっても、おかしくはない。
天おじ:
だが乾瑋は商業で忙しくしておったし、明博も総務司でやるべき仕事があった。あの二人と比べると、知易はもっとも長い間わしのそばにいたんだ。
パイモン:
へぇ、そうだったのか。天おじは、どんなきっかけであの三人と知り合ったんだ?
天おじ:
乾瑋はある旧友からの推薦で、明博には仕事をしておったときに目をつけた。知易は…ははっ、意外な巡り会いだったな。
天おじ:
最初は釣り友として偶然知り合ったんだが、それがだんだん親しくなって、色んな話題を話すようになった。
天おじ:
知易は貧しい家の出身でな、両親も早くに亡くしている。だがあいつは才能に秀でていて、何事も学ぶのが早かった。
天おじ:
あいつを見て、若い頃の自分を思い出したんだ。釣りについても、ちょっとした助言をしただけで、すぐ理解していたな。
天おじ:
ああ。気づかないうちに、こんな高みまで成長してくれた。今思うと、本当に感慨深いよ。
天おじ:
若者が成長していく中、わしは老いてしまった。時間は過ぎるのが早すぎる…やはり生老病死は、誰にとっても避けられないものなんだな。
夜蘭:
あら、天おじはまだまだ元気だし、あと何年か仕事できると思うけれど。
天おじ:
お前さんはまったく…慰めてくれんでもいい。気力が足りなくなったのも、そう悪いことじゃない。肩の荷を下ろせれば、ただの爺さんのように、自由に釣りに行けるんだからな。
パイモン:
天おじは釣りが好きなんだな!
天おじ:
暇つぶしがしたい時は、釣りが一番さ。釣ったばかりの魚はすごく新鮮で、水辺でさっと処理するだけで、美味しい魚スープになる。
パイモン:
新鮮な魚スープ!わぁ、聞いただけで美味そうだぞ!
天おじ:
そうだろう?それにちょっと前、知易もベテランの漁夫から特別なレシピを購入したらしくてな。
天おじ:
近頃は釣りに行くと、いつも知易が下処理を済ませた副材料を持ってきてくれるんだ。それを加えると、より美味くなる。
天おじ:
何度も味わいたい美味しさだが…この老いぼれじゃ、あと何回飲めることやら。
旅人:
きっとまだまだ何回も飲めるよ。
パイモン:
次はオイラも連れてってくれよ!オイラも飲みたい!
夜蘭:
話を戻すけど、天おじ。報告を聞いて、結論は出たのかしら?
天おじ:
お前さんに視察を任せたからには、お前さんの判断を信じよう。
天おじ:
もし、知易とわしの考え方の類似についてお前さんたちが聞いてこなければ、わしも三人との関係について言及するつもりはなかったんだ。
天おじ:
選考は公平を期すべきもの。このような外的要素はすべて無視し、候補者の才能や能力を徹底的に調査したうえで、結論を出してほしい。
天おじ:
くれぐれも…「徹底的な調査」を忘れずにな。
夜蘭:
分かったわ。
夜蘭:
行きましょう、場所を変えて話したいことがあるの。
パイモン:
それじゃあ天おじ、オイラたちは先に行くな。体に気をつけろよ!
夜蘭と共に茶室の外に出た…
パイモン:
うーん…やっぱり知易で決まりでいいよな?
パイモン:
だってほら、計画書もよくできてるし、話上手だし…
夜蘭:
急がなくてもいいわ。視察に時間制限はないもの。
パイモン:
えっ、もしかしてまだなにかテストがあるのか?
夜蘭:
それはないわ、彼ら本人に対する視察は終了した。でも、一つ君たちに教えておいてあげるわ——目に見えるものが真実とは限らない。
夜蘭:
情報に関する仕事で最も禁忌なのが、当事者からしか情報を得ないことよ。真実の外側には、常に霧がかかっている。だから、様々な道で情報を集めないといけないの。
夜蘭:
文淵、商華。
文淵:
はっ。
商華:
何でもお申し付けください、夜蘭様。
パイモン:
急に知らない人が現れた!
夜蘭:
驚かせちゃったかしら?この二人は私の部下、文淵と商華よ。
夜蘭:
腕利きの助手として、普段は近くに目を配らせてるの。こうして必要に応じて、各種任務に就いてもらってるわ。
夜蘭:
商華は商業に精通していて、交渉で情報を得ている。文淵は、よく演説から情報を得ているわ。この場にはいないけど、二人以外にもう一人、武沛って部下もいるわよ。
文淵:
あのデカブツ、海上で長いこと任務をやってるみたいだが、大丈夫なのか?あいつは泳げなかったと思うが。
商華:
けっ、あいつは運がいいから、あれしきの波どうってことないさ。
夜蘭:
商華、各商会に赴いて、乾瑋の背景事情を調べてくれるかしら。文淵、君は璃月総務司へ行って、明博の仕事記録を調査してきて。
文淵と商華:
はっ!
パイモン:
えっ?知易はいいのか?
夜蘭:
知易?もちろん彼は最も有力な候補者として、私たちが直々に調査するわ。
夜蘭:
まずは埠頭に行きましょう。あそこは人も多いし、色んな情報が行き交う場所よ。
パイモン:
情報っていえば、「万有商舗」の博来に聞いてみるのはどうだ?
パイモン:
あいつはいつも北埠頭で商売をしてるから、なにか情報を聞いたことがあるかもしれないぞ…
夜蘭:
なるほど、悪くないわね。彼に聞いてみましょう。

人は見かけによる
夜蘭は知易のことが不安なようだ。そのため、北埠頭にいる博来を探し、彼に関する評判を聞くことにした。
北埠頭で博来を探す
パイモン:
あれ、どうして博来がこんなところに?
博来と会話する
博来:
おいおい、その値段じゃあまりにも高すぎるだろう。こんなに高い仕入れ値で、どうやって売れって言うんだ?
杞平:
そう言わないでくださいよ、旦那。この夕暮れの実は、最も上質なものなんですから。
杞平:
以前、間違えて一つ井戸に落としてしまったんですが、その井戸の水が全部甘くなったぐらいなんですよ!
博来:
だとしてもだな…
杞平:
まあまあ旦那、実はもう一つ秘密があるんですよ…「栄発商店」の店主も、うちの品を仕入れようとしたんです。でも、彼には売りませんでした。
杞平:
あぁー、でももし旦那がいらないって言うんでしたら仕方ありません。向こうと商売するしかないですね…
博来:
…わかった、そういうことならその値段で仕入れよう。あるだけ全部だ。「栄発商店」には一つも残すなよ!
博来と交渉していた商人が去っていった…
博来:
ん?君たち、どうしてここへ?
博来:
言っておくが、この夕暮れの実には私が先に目を付けたんだ。横入りはさせないぞ!
パイモン:
実はオイラたち、知易のことについて聞きに来たんだ。あいつのこと、知ってるか?
博来:
知易?かなり評判のいい人物だぞ。
博来:
彼に関する話を聞いたことがある。貧しい家の出身なんだが、両親を早くに亡くして、周りの人から冷たい目で見られていたそうだ。
博来:
昔は隣人からよく悪口を言われていたそうだが、知易は報復するどころか、その後破産した隣人の面倒を見てやっていたらしい。
博来:
以直報怨、品行方正。どうして今まで、こういう人物に出会えなかったのかと思わせるような逸材だ。いや、今からでも遅くはない、彼を我々「万有商舗」の広報大使に招けば…
パイモン:
なんだかいいやつみたいだな!これでオイラたちも安心だぜ。
博来:
こんなことを聞いてどうするんだ?まさか、君たちも彼を何かの大使に?
博来:
そうか、ならば…高い値を払った者勝ちということで…ん?そこに知易がいるじゃないか、いっそ直接聞きにいこう。
パイモン:
えっ、どこだ?
夜蘭:
確かに知易ね。見た感じ琳琅と話をしているようだけど…話を聞いてみましょう。
夜蘭:
いい?彼に気づかれないように注意して。こういう情報こそ、もっとも偽りのないものよ。
博来:
私は先に雇用契約書を取りに戻る...って、おい!抜け駆けはなしだぞ!おいっ——
知易と琳琅の会話の内容を聞く
琳琅:
分かったわ…歩きながら話しましょう。
琳琅:
知易さんは、酒器を一式買いたいのね?
琳琅:
お互い商売人同士だもの、知易さんもうちの店をよく知っているはずよね。
知易:
実は、私には普段からお酒を飲むのが好きな旧友がいるんです…
知易:
彼は風流を好むのですが、見栄を張って贅沢はしたくない。ですので良質な模造品の酒器を買って、彼を招待したいのです。
琳琅:
知易さんは優しいのね。わかったわ、私に任せてちょうだい。時間があるときに、希古居まで品を受け取りに来て。
知易:
ありがとうございます、琳琅さん。
琳琅:
いいえ。これだけ評判がよくて、友達思いだなんて、得難い人ね。
琳琅:
私も店に帰ってからきちんと選ぶから、安心して。
夜蘭と会話する
パイモン:
うーん…なんか、知易って誰とでも打ち解けられるみたいだな。
パイモン:
これで夜蘭も安心しただろ?他の人の目にも、知易はいいやつに映ってるんだ。
夜蘭:
結論を急ぐ必要はないわ。彼が普段釣りをしている埠頭に行ってみましょう。
パイモン:
うぅ、まだやるのか…
パイモン:
まさか、自分も天枢になりたいからって、知易に問題があることをどうしても証明したいとかじゃないよな…?
夜蘭:
さあね。でも、もし私が天枢になったら、君たちを特別扱いしてもいいわよ。
夜蘭:
タダで色んな美食を食べさせてあげる。どうかしら?
パイモン:
ほ、ほんとか!?じゃ、じゃあ、このまま南埠頭に行ってみようぜ!
南埠頭で調査する
夜蘭:
埠頭はあいかわらず賑やかね。
夜蘭:
ここで釣りをしている人は、釣った魚を近くの魚屋に売ることもあるそうよ。孫さんに聞いてみましょう。
孫と会話する
孫:
いらっしゃいませ、今日はどんなものをお探しで?
夜蘭:
すみません、私たちは「璃月釣友会」の一員です。ある人についてお聞きしてもいいですか?
夜蘭:
知易さんという方が、とても釣りがお上手だとお聞きしたのですが、彼について何か知っていることはないですか?
パイモン:
わぁ…夜蘭って身分を偽るときも、こんなに平然としてるんだな…
孫:
ああ、知易ね。この辺りでもすごく有名ですぜ。各地を旅している友人から聞いた話では、よその町にまで名が知れてるとかなんとか。
孫:
聞けば、子供の頃は非常に苦労したようで、いくつも仕事を掛け持ちしてたそうですぜ。
孫:
まあ「苦中の苦を受けざれば、人の上の人たること難し」と言いやすからね。彼はきっと、「超すごい」人になりやすぜ。
パイモン:
おう、オイラたちと同じ考えだな!
孫:
けど「釣友会」への勧誘でしたら、無駄足だったかもしれやせん。
夜蘭:
それはどうして?
孫:
あいつはなんでもできやすが、釣りだけはいまいちなんでさぁ。たまに埠頭で釣った魚をうちに売りに来るんですが…
孫:
収穫量も実に普通で、良くも悪くもないと言ったところですか。もし会員を募集してるんなら、他に何人か釣りの達人を知っていやすが…
夜蘭:
素敵ですね。でも今はまだ他の用事があるので、今度お酒でも飲みながら話しませんか?
孫:
わかりやした、またお越しくだせえ!
夜蘭:
「よその町にまで知られている」、ね…。さあ、他の場所でも聞いてみましょうか。
埠頭で続けて手がかりを探す
高:
魚はいるかい?一匹三百モラ、三匹千モラだよ。
高:
どれも貴重なもの、もう残り少ないよ!
夜蘭:
こんにちは、私たちは「魚価調査会」の者なのですが、一つ伺ってもよろしいでしょうか。
パイモン:
わぁ…また身分を変えたぞ…
高:
魚価…調査会?俺は何も悪いことはやってねぇぞ!商売の邪魔はしないでくれ!
夜蘭:
ご安心を。我々はただ簡単な調査をしたいだけですので。
夜蘭:
近ごろ知易という方が、この近くで鮮魚を低価格で売っているとお聞きしました。それについて何かご存知でしょうか?
高:
ふぅ…俺のことじゃないのか、それを早く言ってくれ。知易のことなら知ってるぜ。
高:
「低価で鮮魚を売る」件については、俺も聞いたことがない。だがまあ、あいつならやりかねんがな。
パイモン:
えっ、どうしてだ?
高:
あいつは貧乏なんだ。両親を早くに亡くしたんだが、酒狂いの父親が生前に多額の借金をしてたらしくてな。だから誰も知易とは関わり合いを持とうとしなかった。
高:
あいつが埠頭に来たのは、まだ幼い頃だったな。ボロボロの服を着て、頭にはガーゼを巻いていた。
高:
天おじに拾われて、やっと生き延びることができたんだ。だが、今も貯金はあまりないみたいだな。
高:
腹を空かせるとまではいかないが、たった数モラのために値引き交渉をしてるのをよく見るよ。だからあいつが魚を売るのも、俺はおかしなこととは思わない。
高:
まあ、どうせ大した数の魚じゃないし、こっちの商売の邪魔にはなるまい。おっと、これはあいつには言うなよ。
夜蘭:
知られたくないのですか?
高:
ああ…何度か少し話をしたことがあるんだが、あいつは他人からどう見られてるのか凄く気にするやつなんだ。
高:
劣等感すら抱いてるようだった…だが俺には何か言ってやる資格もないからな。あいつはすでに、ほとんどの人間より優秀な存在さ。
高:
完璧な人間なんてこの世にはいない。あいつがそのせいで不幸にならないことを祈るよ。
夜蘭:
なるほど、情報を提供いただきありがとうございました。
高:
いいってことよ。それと、もっかい言っておくが、俺が売ってる魚には、値段の問題なんてないからな!
パイモン:
何回も言うと、逆に嘘くさくなるぞ…
夜蘭:
「あまりお金を持っていない」ね…他の人にも情報を聞いてみましょうか。
埠頭で続けて手がかりを探す
ドッコサク:
お前たちか。えっと、なんて言うんだっけ…そうだ、「また会えて光栄だ」!
ドッコサク:
俺様に何か用か?
夜蘭:
実を言うと、私たちはこの業界に入ったばかりなんだけどね…ドッコさまが情報通って聞いて、尋ねに来たの。
ドッコサク:
ホ、ホントか?その…俺様を「情報通」とほめる者がいるのか?
夜蘭:
もちろん。ドッコさまは心優しい方で、なんでも答えてくださるとも聞いてるわ。
ドッコサク:
やった…ゴ、ゴホンッ、何が聞きたいんだ?この街のことなら、俺様はなんでも知ってるぜ!
パイモン:
わぁ…子供まで騙すのかよ!
夜蘭:
ではお聞きしますが、ドッコさまは知易という方をご存知ですか?
ドッコサク:
もちろんさ!最近、大人たちがいつも話してる知易兄のことだろ?
ドッコサク:
知易兄のことなら、たくさん聞いたことがあるぜ。例えば…えっと…あんま覚えてないや…
ドッコサク:
まあ、ほとんど大した内容じゃない。やっぱり俺様は、剣の光と影が交わる侠客の話のほうが好きだぜ!
夜蘭:
その点については私も同感です。ではドッコさまは…いつ頃から大人たちが知易さんについて話をするようになったのか、覚えてるかな?
ドッコサク:
あっ、それなら覚えてるぜ!だいたい二、三か月ぐらい前だな!
ドッコサク:
前は、みんな知易兄について話すとき、俺様が不愉快に思うような口調だったんだ…だけど二、三か月前から、知易兄に好感を持つ人がたくさん現れ始めた。
ドッコサク:
知易兄は俺様に飴をくれたこともあるし、みんなが知易兄を良く言うのは、俺様も嬉しいぜ!
夜蘭:
やっぱりね…
ドッコサク:
ん?やっぱりなんだ?
夜蘭:
やっぱりドッコさまは噂通り、心優しい方だと言ったのです。
ドッコサク:
そ、それほどでもねぇって…
ドッコサク:
そういえば、知らない顔もたくさんいたぜ。よく街中で知易兄のことについて話してた。きっといい奴らだよな?
夜蘭:
ええ。
ドッコサク:
よかった!今度会ったら、あいさつでもしてくるか!溜まった飴も…あいつらに一つずつ分けてやろう。
夜蘭:
そうですね…もしよろしければ、彼らの居場所を岩上茶室にいる私の友人まで伝えてくれる?そうすれば、私の友人が彼らを「おもてなし」するよ。
ドッコサク:
そうか、ありがとう、お姉さん!
夜蘭:
ううん。じゃ、また会おうね。
ドッコサク:
ああ、またな!
夜蘭:
今の話の問題点、分かったかしら?
パイモン:
問題点?いったいなにが問題なんだ?
パイモン:
知易の名声が高いって話だろ?孫と高も良い風に言ってたし、ドッコサクも知易が好きみたいだった…
夜蘭:
そうね、でも問題は…この突然の名声が、ちょっと「高すぎる」ところよ。
パイモン:
突然?高すぎる?どういうことだ?
夜蘭:
「以直報怨」、「艱苦奮闘」…確かに町で評判になるほどのことだわ。だけど、孫が言うには、よその町の友人も耳にしていた。それはいくらなんでも大げさ過ぎるわ。
夜蘭:
そして、それらについてドッコサクが言っていたことを覚えてる?感心はするけれど、大して興味はない——これこそが、普通の人の反応よ。
夜蘭:
何より、こう言った彼の評判は、この二、三か月で一気に現れたもの。
夜蘭:
彼の幼い頃の話や、学問を求めた話、それに隣人との話…どれも最近のことじゃないのに、どうして今になってやっと人々の耳に入ったのかしら?
パイモン:
そう言われると、たしかにちょっとおかしいな…
夜蘭:
もちろんそれだけなら、私も別に手を出す気はないわ。
夜蘭:
貧しい家に生まれた知易が、お金を払って自分の活躍を宣伝するのは、私からすれば「ゲームの規則」の範囲内だと思うわ。
夜蘭:
でも問題がある…さっき、高が言ってた彼の話を聞いたでしょう?彼はずっと生活に困っていて、収入はすべて学費や旅、借金を返すことに使っていた。そんな彼が、大金を出せるとは思えない。
夜蘭:
そう。それなら事情も変わってくるわ…もしかしたら、隠れた勢力がこの機を狙って璃月七星に手を出そうとしているのかも。
夜蘭:
これは最悪の推測だけど…推測は酷ければ酷いほど、真実に近いってことがよくあるのよ。
パイモン:
七星に手を出すって…聞いただけでやばそうだぞ…じゃあ、オイラたちはどうすればいいんだよ?
パイモン:
いま知易に聞いたって、絶対に認めないよな。
夜蘭:
まずは、彼を手伝っているのが誰なのかを突き止める…大丈夫、私に策があるわ。
夜蘭:
視察過程にあった「時事方略」は覚えてる?あれに書かれた計画は着任後に実現させるべきもので、彼らの「立場」を示している、と言ったでしょ。
夜蘭:
知易を裏で手伝っている者は、彼の着任によって利益を得ようとしている。だったら知易の計画の中に、何らかの手がかりがあるはずよ。
夜蘭:
岩上茶室へ行きましょう!
岩上茶室に戻り計画書を調査する
夜蘭:
知易の計画書は項目がとても多いわ。短時間でその中の綻びを見つけることは困難ね。
夜蘭:
半分に分けるから、手分けして読みましょう。読み終えたら、情報交換よ。
夜蘭:
名目上の視察はもう終わっているから、規則通り、もうじき結果を発表しなければならない。急いで真実を突き止めないと。
パイモン:
緊急事態だな!
夜蘭:
天おじがどのように知易のことを考えていようと、知易が天おじの自慢の門弟なのは事実よ。
夜蘭:
そんな彼が、目立つ証拠を残すはずがない。だから私たちも、じっくり考えましょう。
計画書を詳しく調査する
パイモン:
うぅ…夜蘭が半分持ってったのに、まだまだ多いな…
パイモン:
とにかく読んでみようぜ。
旅人:
「海」編を読む。
知易の計画書:
近年、様々な要因の影響を受けて、海が荒れやすくなっている。
知易の計画書:
特殊な斥候部隊を結成し、海の怪物に対応するべきである。船隊の詳しい配置は…
知易の計画書:
(海防についての各種事項が分かりやすく述べられている…)
旅人:
「岩」編を読む。
知易の計画書:
民間では、「帝君が富を璃月の山野に置いた」とよく言われる。
知易の計画書:
しかし層岩巨淵の採掘が妨げられたために、数多くの工務計画が中止されてきた。
知易の計画書:
黒岩場の作業員は黄金屋の近くに長く待機している。適切な工務があれば彼らを優先的に動かせるだろう…
知易の計画書:
(採掘、隧道の整備、遺跡の探索などの各種事項が分かりやすく述べられている…)
旅人:
「道」編を読む。
知易の計画書:
華光の林、慶雲頂などの地は、山道が険しく交通が不便である。
知易の計画書:
峰と峰を結ぶのは吊り橋のみで、人が歩くには危険であり、物資の輸送はさらに困難な状況だ。
知易の計画書:
この地は薬草や鉱石が豊富な地域であるため、山の周囲に道路ができれば、誰もが喜ぶだろう…
知易の計画書:
(橋の修理と道路の建設計画について、分かりやすく述べられている…)
旅人:
読むのをやめる。
パイモン:
こんなに読むと、頭が痛くなってきたぞ…
パイモン:
ちょっと休憩しようぜ。
商華と会話する
商華:
お?どうやら俺が一番早く戻ったようだな。
パイモン:
あっ、おまえは夜蘭の下っ端の…商華!
パイモン:
戻ってきたってことは…乾瑋の調査が終わったのか?
商華:
ああ。各商会を訪ね、全面的に詳しく調べてきた。何度も門前払いをくらったが、俺の巧妙な手腕にかかれば…
夜蘭:
余計なことはいいから、早く言いなさい。
商華:
はっ、夜蘭様。
商華:
結論からご報告します…乾瑋と接触したほとんどの者は、彼の傲慢な性格に文句をつけながらも、とても高い評価を下す傾向がありました。
商華:
飛雲商会の坊ちゃんも「乾瑋は傲慢ではあるが、物事の対処に関しては極めて几帳面」だと言っていました。
商華:
それに、契約を交わしさえすれば、相手が貧民であろうと富豪であろうと、みな平等に扱うそうです。
パイモン:
全然そうは見えなかったぞ!
夜蘭:
その名声に偽造の可能性は?彼の名義にある産業帳簿は調べられるかしら?
商華:
本来なら難しいところではありますが、その…一通り聞いて回ったところ、乾瑋はほとんどすべての帳簿を公開していたんです。
商華:
どこから仕入れて、どこに売るのか。これらは本来機密事項なのですが、彼はまったく気にしていないようでした。
商華:
乾瑋は、他人には見つけられない商機を見つけるのが得意なのですが、大儲けをした後はまるで飽きたかのようにすべての商業機密を公開してしまうのです。
商華:
「知ったからなんだ、どうせ俺には敵わない」という態度で…しかしそう言う人間に限ってお金を稼げているので、本当に腹立たしい話です。
パイモン:
おかしなやつだな…あいつにとって商売はお金稼ぎじゃなくて、なんて言うかこう…うーん…
夜蘭:
「結論を検証するため」と言ったところかしら。彼の計画が非常に洞察に富んでいたのは、彼がすでに数多くの実験をやっていたからだったのね。
文淵:
ただいま戻りました…ってあれ?何故お前がここに?
商華:
言うまでもなく、俺の能力が高く、常に人よりも一歩進んでいるからだ…いや、お前より効率がいいからと言ったほうが正しいか。
文淵:
お前…まあいい、争うつもりはない。ついでに他の用事を済ませていたんだ。それがなかったら、とっくに戻ってきてたさ。
文淵:
夜蘭様、明博の調査が終わりました。
夜蘭:
報告して。
文淵:
総務司によれば、明博は焦りを感じると、話が途切れ途切れになってしまうそうです。特に見知らぬ人と会話する時は、いつもそうなるんだとか。
文淵:
しかし知り合ってから何日か経てば、普通に交流できるようになるそうです。他人が見過ごしてしまうような問題にも常に配慮している人物らしく、総務司における彼の評判はとても高いものでした。
夜蘭:
君から見て、総務司が彼に対して過大評価をしていると思うところはあった?
文淵:
ないと思います。明博の名声は少しずつ積み上げてきたものですから。
文淵:
シャオユウによりますと、総務司の業務はほとんど、実行する前に明博に見てもらうそうです。彼が同意すると、みなも安心できるようで。
文淵:
それから、かつて総務司で上司の目を欺き、下の者を騙していた人物がいて、明博にこっぴどく叱られたそうです。怒った彼はとても怖いらしいのですが、私は見られませんでした。
パイモン:
うわ…オイラもまったく想像できないぞ…
夜蘭:
前にも言ったでしょう——目に見えるものが真実とは限らない。
パイモン:
おう、今わかった気がするぞ…
夜蘭:
お疲れさま、もう休んでいいわよ。
夜蘭:
それで、計画書はもう見終わったかしら?
パイモン:
もうちょっと見てくるぜ…
夜蘭と一緒に計画書を読み終えた。
夜蘭:
うん…この中の項目を単独で読んだ限りでは、何も問題はなさそうね。
夜蘭:
でも一点、私が引っかかったのが、この「青墟浦再開発計画」。
旅人:
何それ?
夜蘭:
もとより青墟浦は、数々の秘密がある場所よ。過去には若陀龍王があそこで一騒ぎ起こしているし、地下にはさらに多くの秘密が埋もれている。
夜蘭:
例の一件の後、どこからともなくある噂が流れたの——青墟浦の下には巨大な宝が埋まっているってね。
夜蘭:
その噂を聞いた探検隊が七星の許可を得て、初めての試験的採掘を行ったことがあったわ。
パイモン:
それで、宝は見つかったのか?
夜蘭:
いいえ。遺跡の奥底はとても堅固で、特殊な爆薬か何かで固い岩盤を破壊しなければ、その先には進めなかった。
夜蘭:
でも当時は技術も未熟だったから採掘工務は中止になって、「宝」も伝説となったの。
夜蘭:
知易の計画はすべて、「問題の解決」に重きを置いているわ。けれど宝の採掘はとてもリスクが高いし、知易のやりそうな計画には見えない。
夜蘭:
でも、単にそれだけよ…まだ何も分からないわね。宝を求めてる人は多いわ…宝盗団にファデュイ、璃月本土の数々の勢力…
夜蘭:
そっちは?何か手がかりはあった?
パイモン:
「採掘」、「工務」、「宝」…オイラたち、計画書で見たよな?
パイモン:
そうだ!もし適した工務があったら、黒岩場を優先的に動かすって書いてあったぞ!
夜蘭:
なるほど、この二つのことが合わされば、すでに明白ね…知易は黒岩場に青墟浦の宝を採掘させるつもりよ。
パイモン:
まさか、知易を手伝ってるのって…黒岩場なのか?
夜蘭:
いえ、それはないわ。黒岩場は、むかし私も調査したことがある。今の彼らは、各勢力とほとんど関わりがない。
夜蘭:
黒岩場には確かに特殊な爆薬が保存されているけど、危険な工務を行うためだけにそれを手に入れるのは、割に合わないわ。
夜蘭:
でも手がかりは確かに黒岩場を指してる。だったら見に行くしかないわね。何か新しい収穫を得られるかもしれないわ。
パイモン:
まさか乾瑋と明博が、オイラたちの印象とまったく違うやつだったなんてな…
パイモン:
知易にも…違う一面があるのか…?
黒岩場に行って調査する
夜蘭:
さあ、黒岩場に着いたわ。
夜蘭:
辺りで手がかりを探してみましょう。
黒岩場で手がかりを探す
パイモン:
その…近ごろなにか、異常とかなかったか?
鉄腕:
おかしなことを聞くな…逆に聞くが、どういったことが「異常」なんだ?
パイモン:
えっと…オイラたちにもわからないんだけど…こう…なんか普段と違うようなことだ!
鉄腕:
は?
夜蘭:
そうやって聞いても何も出て来そうにないわね。近くを捜索してみましょう。
工事日誌を調査する
パイモン:
これは…記録か?
夜蘭:
背面から見て、帳簿みたいね。でも記録帳としても使われていたようだわ。
夜蘭:
誰が書いたかは知らないけど、面白いと思わない?「新人」…一体どの勢力の者なのかしら?
パイモン:
夜蘭はその新人たちを疑ってるのか?
夜蘭:
ええ。見ての通り、その「新人」の中に「班長」になった人がいるわ。
夜蘭:
そのままの勢いでいけば、「青墟浦再開発計画」が実行される時には、彼らは少なくとも中核になっているでしょう。
夜蘭:
その時が来たら、彼らは様々な細工ができる…地下にある暗号文を書き写したり、地下の宝を盗んだりね。
夜蘭:
想像してみて。もし私たちが疑いを抱いてなかったとして、知易が黒岩場による開発を実行することになった時、私たちはせいぜい黒岩場の背景を確認するだけでしょ。
夜蘭:
でも、黒岩場自体に問題はなく、変わったのは主な役職の人員のみ。後から私たちが一人一人調べ上げようとしても、もうすでにある程度の月日が経っているから、身分の偽造も終わっている。
夜蘭:
これが事前に布石を置いておくことのメリットよ…実にいい手段だわ。
パイモン:
なんか、そう言われるとその通りかも…オイラたちが気づいてなかったら、伝説のお宝は他のやつに奪われてたぞ!
パイモン:
この裏には、いったい誰がいるんだ?
夜蘭:
それはその新人たちに聞かないと分からないわね。行くわよ、そこの作業員に聞いてみましょう。
鉄腕に黒岩場の新人について問い合わせる
パイモン:
その…オイラたち、あの新人たちについて聞きたいんだ!
鉄腕:
ほう?お前さんたちも、あいつらに見習いたいのか?
鉄腕:
あの新人たちは、どいつも非常に良い身体の素養を持ってる。それに勘もいいし、技術を学ぶのもとても早い。
鉄腕:
唯一残念なのが…あいつらは夜になるとよく一緒に酒を飲みに行くんだが、他のやつらにはついて行かせないんだ。
鉄腕:
まだ完全に溶け込んでないんだろうな。もう少し時間が経てば、馴染むだろうよ。
夜蘭:
一緒に酒を?この近くに酒場はないみたいだし、とても遠くまで行くことにならない?
鉄腕:
ああ。あいつらの話では、いつも璃月港まで戻って、万民堂で酒を飲んでるらしい。
鉄腕:
実は今日、作業が終わったあと雨が降ってな。あいつらも暫くは現場に残ってたんだが…雨が止んだ途端、すぐ酒を飲みに行ったよ。
鉄腕:
まったく若いもんは元気がいいな。まあ、悪いことじゃない、はははっ。
夜蘭:
なるほど。場所を変えて話しましょうか。
夜蘭と一緒に静かな場所に行った…
夜蘭:
どうやら私たちの考えは当たっていたようね。あの新人たち、確かに問題があるわ。
夜蘭:
璃月に戻ってお酒だなんて…よくもまあそんな言い訳を考えられるものだわ。おおかた、情報交換でもしているんでしょう…
夜蘭:
今日は雨が降ったから、地面に足跡が残っているはず…彼らがそう簡単に痕跡を残すとは思えないけど、とにかく行ってみましょう。
足跡を追う
夜蘭:
足跡がここで消えてる。
夜蘭:
でも足跡の方向からして、あの古びた家屋に入ったようね。
廃れた拠点を調べる
怪しい痕跡:
(ここに争った跡があるようだけど、確かじゃない。)
怪しい痕跡:
(専門的なやり方で処理されたみたい…いったい誰が?)
固まった土:
(土に竹むしろの模様がある。誰かがここで寝ていたのかな。)
固まった土:
(でも、あったはずのむしろは既にどこかに消えている。)
落ち葉の山:
(落ち葉の山から新鮮な果核を見つけた。)
落ち葉の山:
(少し前に誰かが来ていたようだが、これ以上の手がかりはなさそうだ。)
燃え尽きた篝火:
(燃え尽きた灰。少し前に誰かが何かを燃やしたらしい。)
夜蘭と会話する
夜蘭:
どうやら、一歩遅かったようね。
夜蘭:
ここが、あの新人たちと背後の勢力が落ち合っている場所のはず。でも証拠はもう全部消されているわ。
夜蘭:
この灰、さっき燃やしたばかりの手紙だわ。
パイモン:
まだ燃え切ってないとことかないか?たとえば燃えてる途中で、いきなり風が吹いて火が消されたり?
夜蘭:
そう言うのはたまたまのことで、基本的に起こらないわ。もう見たけど、紙はすべて隅々まで燃えてて、灰しか残ってない。
パイモン:
じゃあ、黒岩場に戻ってあいつらを待つか?どうせあそこに戻るよな。
夜蘭:
そうとは限らない。ここは彼らが使っていた拠点だけど、今はもう何も残っていない。
夜蘭:
おそらく、背後の者が私たちの調査を警戒して、事前に彼らを引き上げたのね。
パイモン:
それじゃあ、手がかりがぜんぶ途絶えたってことじゃないか!
夜蘭:
一つ間違えないでほしいんだけど、私たちの目的は、なにも確実な証拠を見つけるためじゃない。知易の背後に誰がいるのか推測できればそれでいいの。
夜蘭:
さっき入ってきた瞬間、変な匂いがしたわ。
夜蘭:
新人たちは、手紙を燃やせば安全だとでも思ったんでしょうね。彼らは知らなかった——異なる地域で生産された紙と墨汁は、燃えた後の匂いも違うということを。
パイモン:
そうなのか?オイラ、匂いなんてわからなかったぜ!おまえはわかったか?
旅人:
たしかに淡い香りがしてた。
夜蘭:
気候がとても厳しく、氷原が果てしなく続くだけの土地がある。
夜蘭:
そこのお金持ちの中には、花の香を墨に入れる人たちがいるのよ。字を書くたびに、紙に春の香りを残すために。
夜蘭:
その香り付きの墨が燃えた後は、こんな風に特別な匂いが残る…
夜蘭:
ええ。この証拠は直に風に吹き消されて、犯人を捕まえる当てにはならないわ。
夜蘭:
だけど、私にとってはもうこれで十分。相手が誰だか分かった以上、次の計画を作れる。
???:
夜蘭様、やっとお会いできました!うぅ…もう会えないかと思いましたよ!
パイモン:
おまえは誰だ?
夜蘭:
大丈夫、慌てないで。文淵や商華と同じく、私の部下の武沛よ。
夜蘭:
以前から、知易が普段接触している人間を調べさせていたのよ。武沛は、知易は釣りが好きだから近くの漁夫や水手と親しいんじゃないかと思って、船に乗って海で情報を探ってたの。
夜蘭:
そして、戻ってきたら黒岩場に来るよう書き置きを岩上茶室に残しておいた。そうすれば、万が一黒幕が黒岩場で待ち伏せをしていても、私たちは単独で戦わずに済むでしょう。
夜蘭:
それで武沛、海上で何か情報は手に入ったかしら?
武沛:
それなんですが、あまり有用な情報は聞き出せませんでした。
武沛:
近くの漁夫に聞いて回ったんですが、知易と関わりがある者は誰もいなくて。それどころか、荒れ狂う風と波のせいで、私…うっかり海に落ちてしまって、やっとのことで引き揚げられたんです…
武沛:
戻ってくるや否や夜蘭様が黒岩場にいると知って、着替える間もなく助太刀に参った次第です。
夜蘭:
ん?天おじは、知易はかつて一人の漁夫からレシピを買ったと言っていたけれど。この情報については聞き出せなかったの?
武沛:
えっ?知りませんが…
武沛:
そんな、だってありえません!夜蘭様、私は本当にすべての漁夫に聞いたんです、レシピなんてありませんでしたよ?
夜蘭:
面白いことになったわね…あの「とても美味しい」魚スープは、どこから来たのかしら。
武沛:
魚スープ?なんですか魚スープって?
夜蘭:
なんでもないわ。いま最優先すべきは、突破口を見つけて確実な証拠をつかむこと。
夜蘭:
どう、何か案はある?
夜蘭:
悪くない案ね。でも武沛、君から話してちょうだい。
武沛:
実は、私も知易の尾行を試みたんです。でも彼はすごく警戒心が強くて、不審な人物とは誰一人会いませんでした。
パイモン:
張り込みは意味ないみたいだな…
夜蘭:
いえ、張り込みは必要よ。ただその前に、少し準備をしないとね。
パイモン:
準備?
夜蘭:
君も諜報を長く続けたらわかるけど、この世に警戒心を永遠に保てる者はいないわ。特に…勝利を目前にしていると思った時はね。
夜蘭:
明日の午前、私は月海亭で彼の勝利を発表するわ。その後、彼はどうすると思う?
夜蘭:
時間通りに来てね。じゃないと、面白いものを逃してしまうわよ。

最終決定
視察の結果、知易の当選により、彼を油断させることにした。それまでは待つしかない…
月海亭で視察結果を発表する
夜蘭:
みんな揃ったわね。今回の視察結果を発表させてもらうわ。
夜蘭:
天枢の重要性については、もう繰り返す必要はないわね。天おじから候補者の視察という重責を託された以上、私も彼が納得する答えを出さなければならない。
乾瑋:
ここには俺たちしかいない、包み隠さずはっきりと言ってくれ。
夜蘭:
乾瑋は画期的なアイデアを多く持っているけど、詳細の設計がまだ足りないわ。それにその気質は、他人と対立を起こしやすい。
夜蘭:
明博は穏やかで筋が通っているけれど、向上心が足りない。そしてその性格では、みなを従わせにくいわ。
夜蘭:
一方で、知易は均衡がとれている。それに璃月での評判も悪くなかった。
夜蘭:
各方面への責任を考慮して、璃月七星には知易の名を上げるものとするわ。
乾瑋:
なんだって!?
明博:
その…おめでとう…
知易:
ありがとうございます。正直、ここで自分の名が聞けるなんて、とても驚いています。
知易:
ですが私からすれば、我々三人のうちの誰であろうと、天枢に選ばれる可能性がありました。競争相手として、お二方の才能はこれ以上ないほど存じております。
知易:
お二方は、私の傍で仕事を手伝ってくださる気はないでしょうか?
乾瑋:
また今度にしてくれ。今はそんなことは考える気分じゃない。
明博:
俺は別に構わない…できることがあればそれでいい…
夜蘭:
では、私からは以上よ。このあと着任の知らせが来るはずだから、知易もしっかりと準備をしておいて。真面目に責務を果たして、天おじを失望させないようにね。
知易:
立場に恥じないよう、努力致します。これだけは信じていただけると幸いです。
知易:
では私はこれで…戻って支度をしてから、お祝いに外で食事をしようかと…皆さんもご一緒にどうですか?
乾瑋:
俺はいい。そんな気分にはなれん。
パイモン:
知易の緊張も解けたみたいだし、今が張り込みのチャンスかもな…
乾瑋:
おい!旅人、俺のどこがあいつより劣ってたのか、言ってもらおうじゃないか。
乾瑋:
もし答えられないなら、この結果は認めないからな!
明博:
俺も…知りたい…
パイモン:
まずい!いま絡まれたら、行けなくなっちゃうぞ…
夜蘭:
先に行って。
文淵:
はっ。
しばらくかかって、やっと乾瑋と明博をなだめることができた…
パイモン:
ふぅ…やっと終わったぜ…
文淵:
夜蘭様、知易は緋雲の丘へ向かったようです。
夜蘭:
早く行きましょう。
パイモン:
知易は…本当にファデュイに寝返ったのかな?
パイモン:
天おじでさえ褒めるようなやつなのに、どうしてファデュイのために動いたりするんだ…
夜蘭:
今はまだ分からないわ。でも次に彼と会う時、真実が明らかになるはずよ。
緋雲の丘で知易を追跡する
商華:
申し訳ございません、夜蘭様、見失ってしまいました。
商華:
あちらの対偵察能力があまりにも高く…相手に気付かれないように追跡できるかどうか分かりません。
パイモン:
そんな、夜蘭の部下ですら…
パイモン:
もしかして、知易はまだ警戒を解いてなかったのか?
商華:
いえ、武沛曰く、普段よりは警戒を解いているそうです。ただ、本能的なものなのでしょう。周囲の視線にとても敏感なのです。
パイモン:
そんな…
夜蘭:
自分を責める必要はないわ。相手は天おじから直々に教わっていた人物よ、それなりの実力があってもおかしくはない。
夜蘭:
君たちに天おじを追跡させても、方向が分からなくなるまで弄ばれるだけでしょう、それと同じよ。でも、知易が最後にどこへ行ったかは分かるかしら?
商華:
新月軒です。中にいた時間は短く、私と武沛は外から見張っていました。
商華:
暫くしてから、服装のまったく違う人物が出てきました。武沛はその者の気配がどこか知易と似ているように感じたようですが、確認のために近寄れば、きっと彼に気付かれてしまう。
商華:
もし気付かれてしまえば、本日の行動が無駄になってしまうと思いました。たとえ現行犯逮捕したとしても、我々には証拠がないのですから。
商華:
ですので私は武沛を止めて、ここで夜蘭様を待ったのです。あいつのほうは今、新月軒で聞き込み調査をしています。
夜蘭:
よくやったわ。
夜蘭:
魚が餌に食らいつかなくたっていいの。水の中にいる限り、いくらでも捕まえる方法はあるわ。肝心なのは、彼が何をしようとしているのかを把握することよ…
夜蘭:
行きましょう、新月軒へ。
新月軒で調査を行う
武沛:
おいおい、人ひとりが目と鼻の先で服を着替えて行ったのに、何も聞かなかったってのか?
鶴立:
服装や化粧はお客様の自由ですので、お聞きする理由はございませんが?
武沛:
はぁ…まあ、それは確かにそうだが、おかしいとは思わなかったのか?
鶴立:
たとえおかしいと思っても、私に阻止する権限はありませんので…
夜蘭:
言い争っても意味がないわ。
夜蘭:
単刀直入に、一つだけ答えてちょうだい。先程の者は店で何を買って行ったの?
鶴立:
買い物はされていません。ずっと前に予約されていたお酒を受け取っていかれただけです。
夜蘭:
お酒?
鶴立:
ええ。辛くてまろやかで、一般のお客様は注文しないような強いお酒なんですが。
鶴立:
あの方は、ずっと前にここで予約をして下さっていて、先ほどそれを受け取りにいらっしゃったのです。
夜蘭:
酒…酒壺…なるほどね、行きましょう。
パイモン:
どこに?
夜蘭:
希古居よ。
希古居で調査を行う
夜蘭:
邪魔するわね、琳琅さん。以前、知易がここで酒器を予約していたでしょう。
夜蘭:
私たちは知易の友人なんだけど、彼からここの品は安くて良いものがあると聞いて、見に来たの。
琳琅:
あら、お二人はどんなものを探してるのかしら?
夜蘭:
そうね…酒器についてはあまり詳しくないから、知易が選んだものと同じものでいいわ。どんなものか、見せてもらえるかしら?
琳琅:
この一式の酒器よ。少し前に知易さんが受け取っていったわ。古代酒器の良質な模造品なの。見た目がとても豪華でしょ。
琳琅:
ここだけの話、このような酒器はもうあまり置いてないのよ。知易さんも一式買っていったし、残ったこれらは…ちょっと値段が高くなってしまうかもしれないわ。
夜蘭:
値段はいくらでも融通が利くわ。琳琅さんに損はさせないから安心してちょうだい。でも、もう一つ聞きたいんだけど…知易が買って行った酒器一式には、盃も含まれていたかしら?
琳琅:
ええ。でもあの一式にある盃は単独でも買えるわよ。一つだけでもいいし、最大四つまで買える。知易さんは、二つ買っていったわ。
夜蘭:
ありがとう琳琅さん。まさか酒器がこんなに奥深いものだなんて、帰ってからもう少し考えてみるわね。
琳琅:
ええ、でもなるべくお早めにね。一日でも遅ければ、売り切れてしまうかもしれないわ。それじゃ、また来てね。
近くの静かな場所へ移動した…
文淵:
面倒なことになってきたな…
商華:
自称「実力派偵察達人」のくせして、一般人にすら張り込みがバレるどっかのデカブツのせいだろ。
武沛:
お前だってできてねぇじゃねぇか!
商華:
俺はもとから「交渉派」だからな。そんな俺と体を張る仕事を比べしたりして恥ずかしくないのか?
武沛:
な、なんも言えねぇ…
パイモン:
夜蘭、オイラたちの計画って、失敗に終わっちゃったのか?
パイモン:
知易も見つからないし、もうどうすればいいかわからないぜ…そういえば、なんで知易は新月軒で酒を買ったんだ?お祝いのためか?
夜蘭:
ただのお祝いじゃないわ。
パイモン:
どういう意味だ?
夜蘭:
まず、知易はあまり酒を飲まない。それどころか、父親が原因で、酒を嫌っているほどよ。
夜蘭:
単なる独り祝いなら、なけなしのお金で高いお酒を買ったり、ましてや盃を一組買ったりなんかしないわ。
夜蘭:
これは…彼の背後にいる者と行う祝賀会ね。
夜蘭:
その人は強いお酒が好きで、身分も高い。だから見た目が高級な酒器を手に入れる必要があった。
夜蘭:
この条件に当てはまるファデュイがどこにいるのか、君たちなら分かるんじゃない?
文淵:
ファデュイの役人ですか?それならスネージナヤ大使館か、北国銀行でしょうか。
夜蘭:
十分な人員を連れて、その二カ所を包囲しなさい。
武沛:
夜蘭様、やるんですね?やっと私の出番が来ましたか!
夜蘭:
何を考えてるの、隠密での偵察よ。知易は警戒心が高いけれど、彼とお酒を飲む人も警戒心が高いとは限らない。
夜蘭:
だったら、ターゲットを変えて張り込めばいいだけの話。
パイモン:
そうだよな!もし知易が誰かを接待するためにお酒を買ったんだったら、そいつについて行けば知易も見つかるはずだ!
文淵:
しかし夜蘭様、もし気付かれてしまえば、外交問題に発展する恐れが…
夜蘭:
分かっているわ。でも君は気づいていないの?知易は彼のすべてをこれに賭けている。彼の弱点を掴みたければ、我々も相応のリスクを冒す必要があるわ。
夜蘭:
命令を実行しなさい。それと、準備は入念にしておいて。知易が行く可能性のある場所すべてに、人員を配置して観察しておくこと。
文淵:
…はっ。
商華:
ご安心を、夜蘭様。知易は簡単にはいきませんでしたが、ファデュイの役人の動向については、隅々まで明かすつもりです。
夜蘭:
私は茶室で待ってるわ。
夜蘭:
予想が正しければ、ファデュイの役人は恐らく夜に行動を起こすはずよ。君も準備しておいて、あとで岩上茶室で落ち合いましょう。
岩上茶室で夜蘭と合流する
夜蘭:
ちょうどいいところに来たわね。先ほど文淵から情報があったわ。ファデュイ大使のユスポフが一人で大使館を出て、青墟浦の方へ向かったそうよ。
パイモン:
青墟浦?それって知易が計画書に書いてた場所だよな…
夜蘭:
どうやら、彼らはそこを待ち合わせ場所にしたようね。悪くない選択だわ。
夜蘭:
青墟浦は魔物が多いため、人があまりいない。そこで会えば、誰かに見られる心配もないってこと。
パイモン:
よし、今すぐあいつらを捕まえに行こうぜ!
夜蘭:
ええ。私の考えが正しければ、今回の行動には「意外な収穫」があるはずよ。
青墟浦へ向かう
夜蘭:
ここが青墟浦ね。遺跡が多くて魔物も蔓延ってるから、ここを通りたい人はみな迂回する。
夜蘭:
以前調査したことがあるから、開拓時にあった入り口については大体覚えているわ。行きましょう。
夜蘭が指定した場所に行く
夜蘭:
ここはかつて開拓された場所だけど、内部の構造はとても複雑で、地下が安全とは限らない。
夜蘭:
当時の施工隊が安全通路を残しているはずだから、それが見つかれば、もっと楽に移動できるわ。
夜蘭:
でも…やっぱり戦う準備をしておいて。正確かつ迅速に、あまり音を立てないようにね。
パイモン:
安心しろ、オイラたちはプロだからな!
パイモン:
そうだ、夜蘭。おまえの三人の部下って、どこに行ったんだ?
夜蘭:
彼らには他の事をさせているから、またあとで合流することになるわ。時間もないし、私たちは先に行きましょう。
地下遺跡に入る
夜蘭:
予想通りだったわね。まあ、これくらいなら簡単に対処できるわ。
前方の手がかりを探す
パイモン:
おい、見えるか?あいつが知易に会いに来たファデュイの大使かな…あっ、あの扉の中に入っていったぞ!
パイモン:
あそこが夜蘭の言ってた安全通路なのか?はやく行ってみようぜ!
怪しい大使に追いつく
夜蘭:
ここは確かに施工隊が残した通路だけど…もう封鎖されているようね。
夜蘭:
強行突破するにはリスクが大きすぎるわ。近くに他の道がないか探しましょう。
怪しい大使に追いつく
パイモン:
水位が下がったな…あれを見ろ。新しい通路じゃないか?
水中の入り口を調査する
夜蘭:
水が溝に流れ込んだことで、彫像に光が灯された。なるほど…これで彫像を動かせるわね。
彫像を移動して謎を解く
パイモン:
開いたぞ!はやく入ってみようぜ!
さらに奥へ進む
夜蘭:
もうすぐ最深部ね…さあ、速戦即決で行くわよ。
知易とユスポフの会話を聞く
ユスポフ:
ふむ…香りだけで良い酒だと分かる。ご苦労だったな。
ユスポフ:
さあ、乾杯しよう。さあさあ、お前から先に飲め、ほら早く!
知易:
ゴホッゴホッ…すみません。これほど強いお酒は初めてで、まだあまり慣れなくて。
ユスポフ:
じきに慣れる。我々と友人になるなら、酒がなければ話にならんのだからな。
知易:
ゴホッ…慣れるよう精進します。
ユスポフ:
一杯だけでそんなになるなんてな、そんな様子で大丈夫か?
ユスポフ:
お前が顔色一つ変えず、自分の師に毒入りスープを作っていた当時は、随分と肝が座ったやつだと思ったのだがな。
ユスポフ:
さあ、もう一杯。飲みながら話そうじゃないか!
知易:
はい、ですがあれは仕方のないことでした。毒を盛るなんてこと、今じゃ聞いただけで震えますよ。
知易:
臆病な私は、毎回毒を盛るたびに、家に帰って何日か隠れていたんですよ。誰かにバレないかって本当に心配で。
ユスポフ:
そうだな、お前の苦労は分かっている。我が友よ、これまでご苦労だった。
ユスポフ:
だが、やはりお前は毒を盛ることにかけては天才だ。
ユスポフ:
我々がスネージナヤから持ってきた毒薬は、本来この酒と同じぐらい強烈なものだ。だがお前はそれを感づかれにくい慢性の毒に変えた上、魚スープに入れるという方法まで考えついた。
ユスポフ:
魚の生臭さが毒の特徴的な酸味を中和し、それどころか魚スープをさらに美味くする…ククッ、一体どうやって思いついたのだ?
知易:
ある日釣りをしていた時、偶然思いついたんです。この方法でなければ、天おじの目は誤魔化せなかったでしょう。
ユスポフ:
いやはや、よくやった!今後、ファデュイもお前にふさわしい支援を送り、お前の天枢の座を揺るぎないものにしよう。もちろん、お前も俺たちに従順でいる必要があるがな。
ユスポフ:
青墟浦のこと以外にも、要求はまだある。時が来れば、よろしく頼むぞ。
知易:
ご安心を。あなたからいただいた任務であれば、全力で行います。
パイモン:
おい、聞いたか?毒を盛るって…天おじが最近体を崩してたのは、知易のしわざだったのか!
パイモン:
あいつ、やっぱり悪いやつだったんだな!はやく捕まえようぜ!
夜蘭:
待って。写真機は持ってきてるかしら?
夜蘭:
持ってなかったら私のを使って。こんな面白い場面、しっかり記録しておかなきゃ。
知易とファデュイの役人がお酒を飲んでいる場面を撮った…
ユスポフ:
うむ…いい酒だ!
ユスポフ:
外交問題は長いあいだ進展がなく、多くの者が青墟浦の宝を狙うようになった。こっちとしても頭が痛いんだ。
ユスポフ:
この件が終われば、やっと順調に事を回し始めることができる。お前のおかげだ、知易。
ユスポフ:
初めてお前に会ったとき、俺たちはきっと手を組むことになると思った。お前、当時俺が話したことを覚えてるか?
知易:
もちろんですとも。私のように出自の卑しい者は、どれほど努力しても天枢になる資格などない。
知易:
唯一の方法は、現在の天枢が「最も暗い」存在になっている時に、私を「最も明るい」存在にすること…私はその言葉に深く納得したのです。
ユスポフ:
ああ。通常の流れを踏めば、他者との差はますます広がるばかりだったろう。
ユスポフ:
他の二人の競争相手を見てみろ。乾瑋には財産、明博には名望がある。だがお前はどうだ?お前には何もない。どこから来たかさえ知らない野良坊主ではないか!
ユスポフ:
…だからお前を手助けすることにしたのだ。我らファデュイには古い言葉がある。「飢え死にしそうな野良犬には、一本の骨を与えるだけで一生家を見守ってくれる」ってな。
知易:
はい、あなたには感謝しております。
ユスポフ:
ハハハッ…お前の一番の取り柄は、従順なところだ。仕事さえしっかりやってくれれば、今後は金に困ることもなかろう。
ユスポフ:
ファデュイ以外の者になら、何も気にせず大手を振るがいい。
夜蘭:
知易が劣等感を抱いていると高が言っていたけど、どうやら本当のことだったようね。
夜蘭:
先に進めば進むほど自分の優位性が薄れることを恐れた彼は、ファデュイの説得に応じて行動を起こした。
夜蘭:
写真機のフィルムはまだ残ってる?
旅人:
まだ結構ある。
夜蘭:
じゃあしっかり持ってて、ここからが今晩の目玉よ。
夜蘭:
収穫があるかどうか、全部知易にかかってるわ。
ユスポフ:
酒はまだあるか?盃いっぱいに注げ。今日は気分がいい、もっと飲もうじゃないか。もちろん、あとでお前が送ってくれよ。
知易:
もう残り少ないですが、どうぞ。お好きでしたら、今度もう少し買っておきましょう。
ユスポフ:
ングッングッ…プハァ、いい酒だ、本当にいい…
ユスポフ:
ん?ぐっ…ゲホゲホッ…カハッ…こ、これは…
ファデュイの役人は苦しそうな顔を浮かべ、ゆっくりと地面に倒れた。
ユスポフ:
知易…お前…酒に毒を…?いつの間に…
知易:
驚きましたか?ユスポフさん。
ユスポフ:
お、お前、こんなことをして、分かっているのだろうな…
知易:
何がいけないのですか?この座に就くまで、私は何年もかけて勉強し、思考を重ね、あまつさえ自分の師にまで手をかけました。
知易:
それほどの苦労をしたのに、喜んであなたの傀儡になるとでも思ったのですか?あなたたちを含め、私は誰にも頭を下げるつもりはありません。
ユスポフ:
愚かなッ…!ファデュイの後ろ盾をなくしたお前が、その位置に座り続けられるわけがない。それに俺が理由もなく姿を消せば、大使館がお前たちに説明を求めるだろう!
知易:
隅にある干し草は見えますか?あの下にはありったけの爆薬があるんですよ。それに、隣の暗い部屋には、あなたが手配した黒岩場の三人の潜伏者もいる。
知易:
あなたが意識を失った後、ここに火を放ちます。火はゆっくりと干し草をつたって爆薬まで辿り着き、崩壊した遺跡がすべてを埋めてくれます。
ユスポフ:
お、お前…
知易:
黒岩場に、あなたと潜伏者が連絡をしていた証拠を残しておきました。やがて二つの失踪事件は結びつき、「真実」がゆっくりと明かされるでしょう。
知易:
ファデュイは黒岩場に潜伏者を手配し、遺跡を爆破する特殊爆薬を盗んだ。夜更けに堅固な地盤を破り、ここに埋まる宝を持ち去ろうとした。
知易:
…しかしそこで間違いが起こり、すべての発案者が「事故死」してしまった。
知易:
確たる証拠の中、大使館は説明を求めるどころか、逆にあなたの自発的な行動だったことにするでしょうね。
知易:
彼らはそうやってあなたの単独行動を説明し、同時に自らの潔白を証明する。
知易:
もちろん、もう私とは関係のないことです。私はこれを機に青墟浦再開発計画を取り消し、弱みも汚点もない天枢になる。
ユスポフ:
ハハ…ハハハッ…
ユスポフ:
知易、それで完璧だとでも思ったのか?毒薬の件、俺たちの接触、俺の今夜の外出まで、ファデュイはすべて記録しているのだ!
ユスポフ:
俺が死したあと、必ず…調査が…
知易:
記録?ほう、それはあなたの副官ティオファンが持っている記録のことでしょうか?
ユスポフ:
な、なぜそれを?
知易:
あなたが私に接触した時、同時に私もあなたの周りの人間に接触したのです。今日あなたに盛った毒も、ティオファンから渡されたものなんですよ。
知易:
後の処理は、彼がしてくれるでしょう。あなたがここに永眠することは、彼にとっても利益あることですからね。
知易:
何せ彼は、あなたの座っている席に、垂涎していましたよ。
ユスポフ:
あの裏切り者めッ!ゲホッゲホッ…知易、貴様——
知易:
安心して逝きなさい。今晩、すべての者が自分の欲しいものを手に入れる。内情を知る者は処理されるか、私の共犯になるかのどちらかのみ。
知易:
さようなら、ユスポフさん。
知易が干し草の山に火をつけて、証拠を燃やそうとしたその時、あなたと夜蘭が現れて彼の企みを阻止した。
夜蘭の後をつく
夜蘭:
来る時に調べておいたの。君は万が一の時のために、三つの避難路を残しておいた。
夜蘭:
すでに人を手配しているから、無駄な試みはしないでちょうだい。この茶番劇も、そろそろ終わりにしましょう。
夜蘭:
それと、先程の全過程は、すべて写真機に撮ってある。チェックはいるかしら?
知易:
茶番劇…夜蘭さんが何をおっしゃっているのか分かりませんが?
知易:
私は今回、偶然にもファデュイの行動に気付きました。相手の言葉にうまく話を合わせた後、やっとのことで倒したのです。よろしければ、夜蘭さんも一緒にこの件を調査しませんか?
夜蘭:
まだ詭弁をやめないつもり?
夜蘭:
いいわ。彼の体にある毒を検査すれば、天おじのと同じものかどうか分かる。それだけで十分、有罪にできるわ。
知易:
……
夜蘭:
何も言うことがないのなら、ここまでにしましょう。連れていきなさい。
知易:
一歩間違えればすべてを失う…油断していました。
知易:
あなたたちは彼をつけて来たのですね。なるほど、自分は隠せても、こいつを忘れていたとは。
知易:
少し話をしましょう、夜蘭さん。私はかつて、この立場に恥じないように行動すると言いました。これだけは保証できます。
夜蘭:
それで?
知易:
私が着任した後、あなたの利益を保証しましょう。本日ここにいる方を含め、すべての方を手厚く扱いましょう。
知易:
私は不名誉な手段を使いました、それは認めます。しかし私のような出自では、他に方法がなかった。そうは思いませんか?
夜蘭:
はぁ…まだ問題を理解していないようね。
夜蘭:
旅人、君はどう思う?
夜蘭:
そう。知易、賢い者は人生において数々の言い訳を作るわ。でもそれらの言い訳は他人を騙すことはできても、自分だけは騙せない。
夜蘭:
君は他人の尊重を勝ち取りたいと思っている…それは間違ったことじゃない。でも、天おじは最初からあなたを見下してなんかいなかった、そうじゃないの?
夜蘭:
天おじは、師として父として君と向き合っていた。なのに君は毒薬によってその恩を仇で返した…その時からすでに、君のやり方は当初の目的に背くものになっていたのよ。
知易:
…聞きたくありません、私は…
夜蘭:
もっと残酷なことに——君は「この方法でしか目的を達成できない」と思っていたようだけど、天おじなら君に必ずこの機会を与えたはずよ。君が何もしなくてもね。
夜蘭:
彼は君をこの世で一番信じていた人だった。君が持ってきてくれた魚スープを、なんの疑いもなく飲めるほどね。
知易:
もう言わないでください!
movie
知易は、かつて一緒に釣りをしていた時に天おじから教わったこと、そして天おじに毒を盛る時に感じた躊躇いを思い出し、内心動揺する。そこに夜蘭が現れた。法を犯した以上、罰を受ける必要がある。しかし、彼女の申し出を受け入れるだけで、最悪の事態を回避できるかもしれない…
夜蘭:
ごめんなさい、旅人、私はこれから忙しくなるから、明日の午前にまた岩上茶室で会いましょう。
夜蘭:
ここの爆薬は私が人を手配して取り出すわ。その後で、ある人に会いに行ってくる。
パイモン:
オイラたちの手伝いはいるか?
夜蘭:
いいえ。危険があるかもしれないから、私たちのような専門家がやったほうがいい。
旅人:
安全に気を付けて。
夜蘭:
安心して。向こうが協力してくれれば、ただの交渉に過ぎないわ。
夜蘭:
それじゃ、また明日。早く休みなさいね。
岩上茶室へ向かう
白朮:
毒はもう取り除きました。しかし毒素に侵された身体は、一朝一夕には回復しません。
慧心:
白朮先生、父は…
白朮:
ご心配なく。処方通りの薬を毎日続けて服用すれば、長くとも二、三年で全快するでしょう。
白朮:
発見が早かったのが幸いでしたね。あと数日遅れていたら、毒素が臓腑にまで行き届き、危ない状況になっていたかもしれません。
長生:
まさかこれほど希少な毒物を手に入れるとは。ファデュイのやつらめ、よほど広い伝手を持ってるようだな!
長生:
だが私たちに出くわしてしまうとは、やつらも運が悪い。
白朮:
それでは天おじ、我々はこれで失礼します。数日はあまり動かず、しっかり休息を取ってください。
天おじ:
ああ、分かってるよ。ありがとう。
天おじ:
旅人、来てくれたか。今回のことは本当にありがとう。あとで茶を淹れよう、お前さんたちにもわしの腕前を味わってもらわんとな。
旅人:
体はよくなった?
天おじ:
ああ、前は気力が衰えてきていると感じていたんだが、今はずいぶん頭がはっきりしてきたよ。
夜蘭:
そうなると「天枢後継者の選考」も、それほど急ぐ必要がなくなったわね。
パイモン:
夜蘭、来たのか!
夜蘭:
事の処理がだいぶ終わったから、暇を見つけて状況を見に来たの。
夜蘭:
依頼はこれで完了よ、天おじ。私から見て、知易はこの座には相応しくない。でも乾瑋と明博は育成を試みてもいいと思うわ。
天おじ:
ご苦労だった。
天おじ:
はぁ…人の心は変わりやすいと言うが、実際に身をもって経験すると、やはり落ち込むものだ。
パイモン:
オイラの気のせいか?なんだか天おじ…あんまり驚いてないように見えるぞ?
夜蘭:
ふふっ、天おじを見くびらないこと。もしも本当に知易を信用して疑っていなかったら、私に視察官なんて依頼しなかったわよ。
夜蘭:
普段の流れだったら、実は月海亭が視察を担当するの。そうよね、天おじ?
天おじ:
ああ。本音を言えば、心の底からあいつを信じたかったが、わしは「天枢」という立場に責任を負わなければならない。
天おじ:
実は知易と知り合ったばかりの頃、あいつがわしに近づいた目的について疑い、裏で色んな調査をしたことがある。
天おじ:
出た結論は、当時のあいつに他意などなかったということだった。わしをただ普通の釣友として扱っていたんだ。
天おじ:
いつから、あいつまで変わってしまったんだ…?
旅人:
もし今回のことがなかったら…
天おじ:
あいつを直接推薦する考えはなかったが、正々堂々の勝負をさせるつもりはあったよ。出生と名望、多くの者が重んじることだが、わしにとってはあまり重要ではない。
天おじ:
わしが天枢になったばかりの頃も、名声なんてなかった。甘雨お姉様が間に入ってくださって、やっと解決できたなんて事が多々あったんだ。わしが本当に評価していたのは、あの子の賢くて負けず嫌いなところだったのさ。
夜蘭:
確かに知易は賢くて、慎重な人だわ。
夜蘭:
情報から見ると、ファデュイ側は彼に対してあまり警戒していなかった。でも一方、知易は毒を盛るために入念な準備をしていた。
夜蘭:
彼が選んだ新月軒の強いお酒は、その強烈な辛さで毒薬の酸味を隠すことができるの。ファデュイの役人が程よく酔い、最も油断している瞬間を見計らって毒を盛った。
夜蘭:
彼は買っておいた酒壺の中に毒を隠す段取りをつけていた。壺の中の酒が減ったあと、何食わぬ顔で壺を振れば、仕切りの中の毒薬が酒に入る。
夜蘭:
その後、知易の所持品からは解毒薬も見つかったわ。もしもファデュイの役人が疑いを示したら、知易も一緒に毒酒を飲んで、機会を見計らって解毒薬を飲むつもりだったのね。
パイモン:
でも毒薬は身体を侵すんじゃないのか…
夜蘭:
ええ、もし本当に毒酒を飲んでいたら、たとえ解毒薬を服用しても大きな後遺症が残ったでしょうね。自分自身に対しても、彼は躊躇しなかった。
天おじ:
知易は今、どうなってる?
夜蘭:
牢獄にいるわ。煙緋の言葉を借りれば、この世のすべての罪には、それ相応の代価を支払うべきだから。
夜蘭:
でも彼はこちらに協力的な態度で、交渉を断らなかった。だから私も警備を増やし、彼が投獄されている間の身の安全を守っているわけ。裏で手を下そうとするファデュイから彼を守るためにね。
パイモン:
交渉?知易を逮捕したときに、夜蘭が知易に言った話か?
夜蘭:
ええ、私は知易にはあまり興味ない。もし今回の出来事が知易としか関係していなければ、途中で部下に任せてもよかったの。
夜蘭:
でもファデュイと関係しているとなれば、話は面白くなってくる…大きな魚を捕まえられる気がするでしょう。
天おじ:
捕まえられたのか?
夜蘭:
あと一歩のところで、残念ながら逃げられてしまった。
パイモン:
天おじも夜蘭も、なに言ってるんだ?オイラ、全然わからないぞ…
夜蘭:
知易はファデュイと結託して天枢の位置を狙ったでしょう。逆に言えば、「ファデュイは天枢選考に干渉した」ことになる。
夜蘭:
あのユスポフというファデュイの役人は私たちの手の中よ。知易の口述と合わせれば、外交の場で攻めを続けられるわ。
夜蘭:
それに、ユスポフの副官であるティオファンも操れるわ。彼をファデュイ内部に潜入させる駒として扱える。
夜蘭:
こういう駒は重要よ。肝心な場面ですごく役に立つんだから。
旅人:
これが夜蘭の計算だったの?
夜蘭:
利なければ早起きもせず——私が何のために忙しくしてたと思ったの?
パイモン:
じゃ、じゃあ…成功したのか?
夜蘭:
半分はね。前半は順調にいって、資料もすべて凝光様に渡した。
夜蘭:
でも私たちが接触しようとした時、ティオファンはすでに失踪していた…すべての証拠もろともね。
天おじ:
対応がこれほど早かったのは、おそらくファデュイのほうもこちらに目を配らせているからだろうな。
夜蘭:
他の伝手から得た情報では、ファトゥス「富者」が関与しているようだった。
夜蘭:
ファデュイの主力はこちらにいないから、富者もこれを遊び駒として扱ったのでしょう。
夜蘭:
ティオファンに逃げられたのは惜しかったけど、いまだ璃月に目をつけているファトゥスが誰なのか分かった。私の今後の仕事にも、方向が出来たわ。
天おじ:
そういえば、夜蘭。お前さんは天枢を引き継ぐつもりはないのか?
天おじ:
何日か前に岩上茶室で、お前さんも興味を持っていたようだったろう。わしから見て、お前さんの能力なら十分適任だ。
夜蘭:
あれね、もちろん冗談よ。
夜蘭:
私はやっぱり今の生活が好きなの。危険もスリルもあるし。
夜蘭:
そしてそれは、暗部での行動だからよ。もし天枢になったら、暗闇にも危険にも首を突っ込めなくなるじゃない。
夜蘭:
さあ、話はここまでにしましょう。私はもう行くわ。あと何日かしたら遠出するから、事前に準備しておかないと。
パイモン:
どこに行くんだ?
夜蘭:
もちろん…ふふっ、まだ秘密よ。
夜蘭:
でも、君たちのお節介な性格からすると、今後も何かのトラブルに巻き込まれることになりそうね。
夜蘭:
次の危険な場所でまた会えるかもしれないわ。それまで、決して油断しないこと。君たちを狙ってる勢力は、結構な数よ。
夜蘭:
まだ何か質問があれば、天おじに聞いてちょうだい。今回の一件で、天おじも君たちに一つ借りができたんじゃないかしら?