arrow_back 原神 クエスト
第七章 第一幕
神に愛されぬ雪国
ついにパイモンと共に、旅の次の目的地——スネージナヤへ旅立つ準備を整えた…
パイモンと会話する
パイモン:
あっという間にスネージナヤに着いちゃったな。ついさっきナド・クライを出たばっかりみたいな気がするぞ。
パイモン:
ナシャタウンでは、みんな総出で見送ってくれたな…
パイモン:
ついに、スネージナヤの女皇に会いに行くんだな。女皇が一体なにをしようとしてるのか、どうして神の心を集めてるのか…やっとわかるぞ。
パイモン:
おまえの妹さんが言ってた「旅の終点」でもあるはずだ。妹さんは、おまえに一体なにを見せようとしてるんだろうな…
パイモン:
はぁ…スネージナヤに着いてないうちは、まだまだ道のりは長い!って気持ちで、飲んだり食べたり遊んだりする時も、心から楽しめたんだけどな…
パイモン:
ゴールが目前だと思うと、こういうことで頭がいっぱいになって、気が休まらなくなってきたぜ。
パイモン:
おう。でも、オイラ気にしないことにしたぞ。こんな気持ちで最後の旅路を始めるのは間違ってるからな!
パイモン:
オイラたちは魔龍や海獣と戦って、神の創造物に打ち勝って、予言やアビスの危機も一緒にくぐり抜けてきたんだ。月にまで行ったんだからな。
パイモン:
もうなにが来たって大丈夫だ!そうだろ?
旅人:
そうだね…ありがとう、パイモン。
パイモン:
へへっ、どういたしまして!それじゃあ、超優秀なガイド・パイモンと一緒に、終点へしゅっぱーつ!
???:
私のこと、無視して行っちゃうの?
パイモン:
わっ!コロンビーナ!?相変わらず神出鬼没だな…
パイモン:
オ、オイラを見るなよ!今回はこっそり教えたりなんかしてないぞ!
ルオンノタル:
——!
パイモン:
ああ、おまえだったのか。たしかにこれじゃ隠しきれないな。
「少女」:
みんな、キミを見送るために「フラッグシップ」に集まってるよ。
「少女」:
サンドローネも誘ったけど…用事があるみたいで、先にスネージナヤに帰っちゃった。
「少女」:
帰る前に、キミたちに対する文句も言ってたよ。聞きたい?
パイモン:
うっ…あいつも相変わらずだな。ちょっと気になるぞ…
「少女」:
「アイツらがスネージナヤに行くのって、女皇陛下に迷惑をかけるためなんでしょう?あんな奴らと仲良くしてるだなんて思われたくないわ。」
「少女」:
「悪いけど、アイツらに伝えておいて。スネージナヤでも当たり前のように、ファトゥスに助けてもらえるだなんて思わないでちょうだいって。」
「少女」:
「しばらくの間協力できて…よかったわ。でも、ワタシたちは立場が違うの。何があっても、お互いが困るようなことは極力しないでおきましょう。」
パイモン:
なんていうか…態度も理屈も言ってる内容も、いかにもあいつらしいな。わかった、なるべくあいつとは距離を置くようにするぜ。
「少女」:
ううん。会いに来てほしいって意味だと思うよ。
旅人:
な、なんでそうなるの?
「少女」:
「お互い困るようなことをしなければ、会いに来ていい」っていう意味じゃない?
パイモン:
そういう捉え方もできる、か…?
「少女」:
さあ、早く「フラッグシップ」に行こう。もうみんなついてる頃だよ。ラウマに、キミが用意してくれた「ご馳走」の事を伝えたの。
「少女」:
今日のこの機会に、キミにお返ししたい…ううん、違う…キミに「贈りたい」。
パイモン:
へへっ、そうそう。こんな時に「貸し借り」にこだわるなんて、水臭いぜ。
「少女」:
うん。ナド・クライの月も、いつでもキミを歓迎するよ。
友人たちと宴を楽しみ、冒険の思い出を語らっているうちに、時間はあっという間に過ぎ去って行った。
笑顔と温もりを荷物に詰め込んで、旅はまた新たなページへ——
スネージナヤに到着する
パイモン:
わぁ、綺麗だな…一面真っ白だ!旅人、早く早く。
廃棄された列車を調べる
パイモン:
スネージナヤにはたくさんの線路や列車があるって聞いてたけど、きっとそれだよな?でも、なんで捨てられてるんだ?
パイモン:
うぅ…や、やっぱり寒いぞ。
旅人:
さっき雪に埋もれたせいかな?
パイモン:
そうかな…そうかも…それに、雪も強くなってないか?
パイモン:
……
パイモン:
うん…だから、気温のせいじゃないと思うんだけどさ…
パイモン:
うぅ…なんていうか、すごくヘンな感じなんだ…今までこんなことなかったぞ。
パイモン:
体が…重くなってきて、頭もなんだかクラクラしてきた…
旅人:
一旦引き返そうか?
パイモン:
いやいや、ちょっと、ほんのちょっとだけだ。ただ少し力が出ない気がするだけだから、旅の予定を変える必要はないぞ。
パイモン:
おう!スネージナヤに来たぞー!
目の前の橋を渡る
パイモンと共に吹雪の中を進んでいたあなたは、橋を渡る途中、突然の猛吹雪に吹き飛ばされて橋の下へと落ち、パイモンとはぐれてしまった…
探索を続ける
???:
——接近者を検知。権限…承認。原初の…起動中…
???:
こんにちは、「明日」へと近づく超越…降臨者さま。僕、「グライアイの眼」がお力になります…
「グライアイの眼」:
前回の起動からすでに…時間計測は…——の影響により利用できませんが、とにかく、非常に長い時間が経っているはずです。
旅人:
君は…?
「グライアイの眼」:
僕は…僕は使命のために生まれました。「明日」へたどり着くために…
「グライアイの眼」:
そのために…何かをしなければ…なぜ…僕の体は…
「グライアイの眼」:
あれ…僕は、なぜこんな姿に…
「グライアイの眼」:
申し訳ありません。長期間起動していなかったため、多くのデータが欠落してしまっているようです。
「グライアイの眼」:
ともかく、僕は人類を「明日」へと導くべく製造されました…現在は具体的な内容をロードできませんが…
「グライアイの眼」:
それでも、僕の最も重要な目的は変わらず、「人類」のために働くことです。あなたの体表面温度の低下を検知しました。その状態のまま長く行動することはできません…
「グライアイの眼」:
再起動時、僕は自身を呼び覚ました方に次のように尋ねるよう設定されています——
「グライアイの眼」:
僕を受け入れていただけますか、超越者さま。僕はあなたが使命を達成できるようお手伝いし、お守りします。「明日」にたどり着くその日まで——
「グライアイの眼」:
お考えは理解できますが、現在のあなたの身体状態を考慮すると、それは良いお考えだとは思えません。
「グライアイの眼」:
起動する前に、どなたかのお名前を呼んでいましたね——お仲間とはぐれたのでしょう…
「グライアイの眼」:
受け入れていただければ、ここから抜け出せるようにお手伝いできます。さらに、お相手の位置をスキャンしてマークすることも可能です。
旅人:
…本当にできるの?
「グライアイの眼」:
答えは、「はい」です。
旅人:
…じゃあ、受け入れる。
「グライアイの眼」:
賢明な選択をなさいましたね。
「グライアイの眼」:
これで、契約が成立しました。今日から、あなたが僕の新たな使用者です。お名前は——
旅人:
旅人。
「グライアイの眼」:
かしこまりました、旅人さま。使命を果たすまで、お名前を覚えておきます。
旅人:
使命?
「グライアイの眼」:
はい…僕は…僕は自らの体を取り戻し、「明日」を切り開く力を取り戻し、苦しむ人々を舟のただよう「向こう岸」へと送り届ける必要があるのです…
「グライアイの眼」:
この氷に覆われた大地に、僕の力が散らばっているのが分かります。それぞれの方角はおぼろげながら検知できますが…ひとまず、そのことは後回しです。
「グライアイの眼」:
目下の最優先事項はあなたです——あなたが生き残り、仲間と再会することです。
外に繋がる道を探す
「グライアイの眼」:
周囲の環境を確認…出口は氷で閉ざされています…
旅人:
火を使えば…
「グライアイの眼」:
それは効率的とはいえません。少々お待ちください…付近に利用可能な「創造設計図」を検知しました…
「グライアイの眼」:
そちらを利用すれば、氷をより早く取り除くことができますよ。
外に繋がる道を探す
「グライアイの眼」:
「クルースニク晶鉱」を検出。採取を推奨します…
「グライアイの眼」:
先ほどの創造物は、「クルースニク晶鉱」の性質を利用して、暖房効果をもたらすものです。
「グライアイの眼」:
「真氷創造物」は持続時間が短すぎたために、開拓期において十分な安定性を保つことができませんでした。だからこそ、「クルースニク晶鉱」が広く使用されるようになったとも言えます。
「グライアイの眼」:
…しかし、「暖かい」というのがどういう感覚なのか、僕はもう忘れてしまいました。
旅人:
体を取り戻せさえすれば…
「グライアイの眼」:
はい…その時は、あなたと一緒に暖炉のそばで暖まれるかもしれませんね。
「グライアイの眼」:
……
「グライアイの眼」:
とにかく、クルースニク晶鉱を収集すれば、僕はそこからエネルギーを抽出して、あなたの体温を維持することができます。今は、これだけ覚えておいてくだされば大丈夫です。
パイモンがいるかもしれない建物に向かう
「グライアイの眼」:
目的地に接近中。二体の…生体反応を検知?
旅人:
パイモン以外にも誰かいるの?
「グライアイの眼」:
その通りです。しかし、疑問点はそこではありません——データベースの記録によれば、ここは列車駅で、生体反応がこれほど少ないはずがないのです。
「グライアイの眼」:
リアルタイムで観測した環境情報からすると、この場所はすでに放棄されている可能性があります。何にせよ、気を付けてください。
旅人:
まずは建物の中を見てみよう。
旅人:
……
旅人:
パイモン!
旅人:
…誰?
???:
案ずるな、眠っているだけだ。
???:
どうやら、噂の旅人のようだな。吹雪の中を彷徨いながら、ずっとそなたの名を呼んでいたぞ。
???:
この地を訪れたばかりの者がこの寒さに適応するのは至難の業だ。そのうえ、近頃は強力な魔物が猛吹雪を呼び起こしたがゆえに、現地の者でさえ辛うじて日々を凌ぐ有様だ。
???:
大切な仲間なのであろう——手を離すでない。
旅人:
その瞳…カーンルイア人なの?
???:
この世には、災いを逃れたカーンルイア人がいくらか残っている。それは知っておろう。
???:
今は我輩個人の身分よりも、心配すべきことがあるはずだ。
???:
じきに、再会することになるだろう。
「グライアイの眼」:
ターゲットの離脱を検知。非凡な人物のようですが、関連データは見つかりませんでした。データベースを再スキャンします…
「グライアイの眼」:
幸い、お仲間はご無事です。先ほどの方が、毛布を置いていってくださったようです。
旅人:
お白湯を持ってくるね。
パイモン:
うぅ…うーん…
パイモン:
た、旅人!無事でよかったぜ!オイラ、探しまわったんだぞ…ゴホッ、ゴホッゴホッ!
旅人:
慌てないで…大丈夫?
パイモン:
スネージナヤに着いたばかりの頃みたいな感じだな…風邪かもな。頭が痛くて、ちょっと寝てたんだ…
パイモン:
あれ?「道化」はどこに行っちゃったんだ?
旅人:
「道化」?さっきの人が「道化」なの?
パイモン:
おう、ファデュイの統括官、「道化」のピエロだぞ!おまえもあいつに会えたか?
旅人:
(「道化」は、女皇の計画についても全部知ってるはず…でも、そう簡単に教えてくれるわけがないし、最後は衝突することになるだろうな…)
旅人:
(…でも彼の言う通り、今は、パイモンの看病が最優先だ。)
「グライアイの眼」:
彼は自身の素性には深く触れず、すぐに立ち去りました。
パイモン:
うわぁっ!だ、誰が喋ってるんだ?
旅人:
「グライアイの眼」。氷の洞窟で見つけて…
パイモン:
メガネ…みたいだな。不思議だぜ…こんなものに意識があって、しかも喋れるなんて。
「グライアイの眼」:
スネージナヤはかつてフェイの国でしたので、想像もつかないような古の創造物が数多く残されています。しかし…あなたのような生物も、僕のデータベースには登録されていません…
パイモン:
そうだったのか…本当にありがとな。オイラの一番好きなキャンディを…って、キャンディは食べられないか…
「グライアイの眼」:
好意を検出しました。最善の代替案を提案します——動作効率を維持するために、定期的なクリーニングをお願いできますか。
パイモン:
へへっ、たしかに、おまえは「メガネ」だもんな。約束だ!
パイモン:
そうだ。「道化」についてなんだけどさ、気になることがあって…
パイモン:
雪の中であいつに出会った時、あいつ…オイラの名前を知ってたんだ。それだけじゃない、まるでオイラもあいつの事を知ってるような口ぶりだった…
パイモン:
でもオイラのほうは、瞳からしてカーンルイア人だろうなってことが分かるくらいで…凄そうな雰囲気は感じたけど、「道化」だとは分からなかった。
パイモン:
雪の中から助け出してもらった後、自己紹介してくれて…それで初めて、あいつが「道化」だって知ったんだ。
パイモン:
たぶんそれはないと思うぞ。オイラの声を辿って来たみたいだったし、すごく焦ってて、事前に知ってたって感じじゃなかったな…
パイモン:
それに、オイラを助け出して、ここに連れて来てくれた後は、ずっと雪が降るのを眺めてるだけだったんだ。なにもしてこなかったし、話してもくれなかったし…質問にも答えてくれなかったぜ。
パイモン:
危険や悪意は感じなかったけど、少しでも相手をしてくれてたら、オイラも寝ちゃったりしなかったかもな…
「グライアイの眼」:
お話の途中に申し訳ありません。「ファデュイ」、「統括官」とは何か、お伺いしてもよろしいですか?どちらもデータベースになく…
パイモン:
おまえ、ファデュイを知らないのか?ファデュイっていうのは、えっと…スネージナヤの女皇に仕えるやつらのことで…中にはすごいやつも結構いるんだ。で、統括官ってのはそいつらのボスだ。
「グライアイの眼」:
なるほど——高い地位にあり、常に神の傍にいるが故の立ち振る舞いだったのですね。僕もパイモンさまと同意見で、悪意は検知しませんでした。
パイモン:
ゴホッゴホッ…
旅人:
ごめん、無理させちゃったね。
旅人:
パイモン、一旦スネージナヤから離れよう。天候が良くなって、パイモンが元気になってから出直すんだ。
旅人:
「道化」が、この吹雪は魔物のせいだって言ってた。今無理にスネージナヤ・グラードに向かっても、探索は厳しいと思う。
パイモン:
オイラのためを思ってくれてるのは分かってるけど…ゴホッ、足手まといにはなりたくないんだ…
パイモン:
オイラたち、ここで色んな答えを見つけられるかもって、すっごく期待してたのに…ここでもたもたしてたら、またいつになるかわからないだろ。
「グライアイの眼」:
魔物について、さらなる情報が必要なのは確かです。しかし——
「グライアイの眼」:
すでに吹雪の中をかなりの距離を進んできています…今から撤退するとなると、その道のりは先に進むのと同じくらい困難なものになるでしょう。それに、移動手段は徒歩に限られます。
「グライアイの眼」:
ですが、先へ進むなら、別の移動手段を使用できます。
「グライアイの眼」:
ここが列車駅だと申し上げたのを、覚えておいでですか。放棄された原因は不明ですが、線路は残っています。
「グライアイの眼」:
列車なら、吹雪を突破して前に進むことができます。スネージナヤ人にとってはお馴染みの手段です。
「グライアイの眼」:
また、前方に小さな町があります。パイモンさまが休むのに最適でしょう。
パイモン:
グライアイの言う通りだと思うぞ。そうしようぜ。
旅人:
本当に辛いなら無理しないでね。
パイモン:
安心してくれって。考えてもみろよ、ここまで旅してきて、オイラが病気になったことなんてほぼないだろ?オイラ、すっごく丈夫なんだ。元気がないのは今だけだぜ。
「グライアイの眼」:
承知いたしました。今後の冒険でも、必要な時はいつでも僕——「グライアイの眼」をお呼びください。
「グライアイの眼」:
平時は不要なトラブルを避けるため、沈黙しています。それでは、線路のそばまでお越しください。
列車に乗って吹雪から抜け出す
「グライアイの眼」の助けを借りて、あなたたちは列車に乗り込んだ…
「グライアイの眼」:
ここから北に向かえばすぐです——
「グライアイの眼」:
少々お待ちください、エラーです…「通行可能な線路を検知できません」…?
パイモン:
ん?検知できない…?
「グライアイの眼」:
皆さん、衝撃に備えてください!緊急飛行モードに入ります——
列車はあなたたちを乗せたまま、落ちていった…
パイモンと「グライアイの眼」と会話する
「グライアイの眼」:
本当におかしいですね。駅の状況が記録と大きく変わっているだけでなく、鉄道や地形までもが変わってしまっているなんて…
旅人:
パイモン、大丈夫?
パイモン:
おう、おまえのおかげで…
「グライアイの眼」:
危険に巻き込んでしまい申し訳ありません。僕もさっぱり現状がわからず…
「グライアイの眼」:
仰る通り、鉄道のデータ情報が古かったせいですね…予想以上に変化が大きく…
「グライアイの眼」:
しかし不幸中の幸いでしょうか。データによると、僕たちの墜落地点は町のすぐ近くのようです。
パイモン:
その「データ」って…
「グライアイの眼」:
今度は絶対に信頼できます!ご覧ください——あれがクルースニクの炉です!
「グライアイの眼」:
結果的に、一番の近道でした。怪我の功名ですね。
旅人:
危険な近道だったね。
「グライアイの眼」:
ご安心ください。次こそはお二人の好みを考慮いたします。次こそは——!
紆余曲折を経て、少し変わった方法でスレトモロスク近くに到着した…
パイモンのために雪をしのげる場所を探す
旅人:
こんにちは。この町にまだ営業してる宿屋はあるかな?
アリョーシャ:
たぶん、どこも休業中だ。どの家もクルースニク晶鉱が足りずに、暖が取れないんだ——商売どころじゃない。
パイモン:
はあ…そんなことになってるなんて…
アリョーシャ:
さっきから見てたが…あんたたち、冒険者か?今どき、スネージナヤの内陸に向かうヤツはほぼいないぞ。
パイモン:
どうしてだ?吹雪のせいか?
アリョーシャ:
それだけじゃない、「厳冬計画」のせいだ。女皇陛下のご意向とあらば、オレたちに拒否権はない。
旅人:
「厳冬計画」って何?
アリョーシャ:
…悪い、まさか知らないヤツがいるとは思わなくて。簡単に言うと、女皇陛下には大きな計画があって、それには膨大なエネルギーがいるんだ。
アリョーシャ:
スネージナヤにあるクルースニク晶鉱を全部つぎ込んでも、到底まかなえない。
アリョーシャ:
だから評議会は、工場と民衆の生活用エネルギーの削減を決議した——これが「厳冬計画」だ。
パイモン:
それって…みんなで文字通り肩を寄せ合って、なんとか冬を越せってことか?
アリョーシャ:
ま、そんなところだ。人はいざとなれば、踏ん張れる。金がなければ節約すればいいし、寒いなら身を寄せ合えばいい…なんとでもなる。
アリョーシャ:
ただ、我慢した後に元の暮らしに戻れるかは…はぁ、ついてこい、自分の目で見たほうが早い。
ブルツェフ:
また晶鉱の値上がりか!三分の一も上がってるじゃねえか。そのうえ、購入上限まで減らされちゃあ…
ブルツェフ:
月に二回しか来ないくせに、こんな数じゃ一週間ももたないぞ!
ポロンスキー:
クルースニク晶鉱の供給量と価格は、現在の生産量と価格データに基づいて定められている。
ポロンスキー:
我々ファデュイは輸送と治安維持の任務のみを担っている。計算過程について詳しく答えることはできないが、この数字は公正かつ現実的なものだ。
ブルツェフ:
オレたちが生きようが死のうが関係ないってことかよ!?暖もとれないのに、こんな大雪の中で夜を越せるわけないだろ!
ポロンスキー:
何度も言わせるな…別に我々がクルースニク晶鉱を独占しているわけではない。不足分は市場で調達すればいいだろう。
ブルツェフ:
どこで買えるというんだ!あったとしても十倍近い値段だぞ!ぼったくりにもほどがある!
ポロンスキー:
つまり、皇都評議会が辺境支援の議案を可決していなければ、君たちは目の前にあるこの分の晶鉱すら買えなかったというわけだ。
ポロンスキー:
喧嘩を売りに来ただけなら、後ろの人に順番を譲れ。誰もが寒さに凍えているのだ。
ブルツェフ:
て、てめえ…
シシュキン:
まあまあ、落ち着いて。みんな、同じ民じゃないか。今は誰もが女皇陛下の偉業のために身を捧げているんだ。
シシュキン:
雪が降れば降るほど暮らしは厳しくなるものだ。みんな大変なんだから、労り合おう。
ブルツェフ:
でもシシュキン連絡官、今回の購入上限は絶対におかしいんだ!モレペソクの親戚が言ってたが、向こうはうちの二倍以上らしいぞ。
シシュキン:
はぁ…私も、通知を受け取った時は自分の目を疑った。わざわざ手紙を書いて確認までしたほどだ…とにかく、今回はこれだけしか許可されていないんだ。
シシュキン:
エネルギー供給量の計算方法はとても複雑で、人口や町の面積、産業タイプなどまでが考慮されている…どうか、分かってくれ。
シシュキン:
最も大きいクルースニクの炉を維持できる量を確保して初めて、残りの晶鉱を公平に各家庭に販売できるんだ。
シシュキン:
まして、軍人の彼らはあくまで輸送任務を担当するだけだ——すべてをありのままに記録しなければならないし、データを修正する権限もない。
ポロンスキー:
ああ、我々の責務は公正に業務を遂行することだ。
ブルツェフ:
はぁ…
シシュキン:
しかし、みんなの怒りも焦る気持ちも痛いほどわかる…だから、先ほど、町長とも相談してきたんだ。
シシュキン:
クルースニクの炉の最下層にあるボイラー室を、開放できることになった。私のところで登録の手続きをしてくれれば、使用時間帯を割り当てよう。
シシュキン:
各家庭でエネルギーを十分に使ってもらうことはできないかもしれないが…毎日お湯を沸かして食事を作る分くらいはなんとかなる。今だけ、みんなで一緒に踏ん張っていこう。
ブルツェフ:
…分かった。仕方ない…
パイモン:
なるほど、これじゃ誰も商売をしてないのも無理ないな。自分たちの生活すら危ういみたいだぞ。
アリョーシャ:
あんた、この隣にいる…フェイのために宿を探してたよな?
パイモン:
オイラはフェイじゃないぞ。パイモンって呼んでくれ。スネージナヤに着いたばっかりで…ちょっと寒さにやられたみたいなんだ…
アリョーシャ:
スレトモロスクに仮の拠点がある。普段は使わないから、設備は最低限だが。
アリョーシャ:
それでもよければ、休んでいけ。毛布とストーブくらいはある。
パイモン:
本当か!?わぁ、ありがとな…!
旅人:
本当にありがとう、助かった。
アリョーシャ:
ああ。ついて来い。
アリョーシャの住処へ向かう
パイモン:
はあ、あったかい…頭からつま先までポカポカしてきたぞ。
パイモン:
そうだ。さっきは紹介しそびれたけど、こいつはオイラの最高の仲間、旅人だぞ。
アリョーシャ:
アリョーシャだ。よろしく。
アリョーシャ:
初めてスネージナヤに来た旅人の多くは、この寒さにやられる。しっかり備えれば大した問題じゃないんだが——
アリョーシャ:
だからと言って甘く見るな。冷えを放っておくと、病に繋がるぞ。
パイモン:
オ、オイラはまだ若いんだぞ…こわがらせるなよな…
旅人:
スレトモロスクに医者はいる?
アリョーシャ:
今はいないし、当分戻ってこない。エネルギーが追いつかなくなってから、駅も閉まってる。
アリョーシャ:
オレは年中外で狩りをしてる。吹雪には慣れっこだが、この天気じゃ人間どころか、迷い込んだ獲物すらほとんど生き残れない。
アリョーシャ:
…雪が弱まるまでは、大人しく町にいるしかないな。
旅人:
駅を復旧させることはできる?
アリョーシャ:
焦る気持ちはわかるが、駅が復旧したからって列車が来るわけじゃない。長期滞在の準備をしたほうが賢明だ。
旅人:
実は…自分の列車があるんだよね。
アリョーシャ:
…なんだと?まさか…突然落ちて来て、氷の上に激突したあの列車がそうなのか?
パイモン:
へへっ…運良く山の洞窟の中で見つけたんだ。でも、操縦してる時にちょっとしたアクシデントが起きちゃってさ。
旅人:
スネージナヤ・グラードで診てもらいたくて…
アリョーシャ:
山でそんな物が拾えるなんて…列車さえあれば、案外本当にスネージナヤ・グラードへ行けるかもな。
アリョーシャ:
前にこの辺を調査してた時、一部の晶鉱が盗まれてることに気づいた。ここのエネルギーが足りてないのはそのせいだ。
アリョーシャ:
だが、すべて暴くには、証拠を押さえないと——だから、「ウサギ狩り」を始める。
パイモン:
えっ?ウサギが盗んだってことか?
アリョーシャ:
…ものの例えだ。本物のウサギにそんな真似はできない。それに…鉱石なんて、ヤツらにとってはニンジン以下だ。
旅人:
犯人の目星はついてるの?
アリョーシャ:
ああ。一見態度のよかった——さっき場を収めたシシュキンだ。
パイモン:
あいつが!?
旅人:
手伝うよ、今すぐ行こう。
アリョーシャ:
あんたも来るのか?
パイモン:
じゃ、じゃあオイラも…
パイモン:
わかった、無理しすぎるのもよくないよな。じゃあ、オイラはおまえたちが帰ってくるのを待ってるぜ…気をつけるんだぞ。
アリョーシャ:
そういや、まだ紹介してなかったな…トゥガリン、来い。
パイモン:
わぁ、ワンちゃんだぁ!
トゥガリン:
ワン!ワン!
パイモン:
うう…触らせてくれないのか…
アリョーシャ:
気位の高いヤツなんだ。普段から一緒に狩りをしてる。今回も手伝ってもらうから、よろしく頼む。
アリョーシャ:
「ニンジン」を掘り起こす作業は、こっそり進めるぞ——バレたらウサギが穴ぐらに逃げこんでしまう。
アリョーシャ:
まずは封鎖された駅に向かって、輸送データがないか調べよう。シシュキンの持ってるデータは信用できない。
アリョーシャ:
あとは、トゥガリンの鼻を頼りに晶鉱の運搬ルート——
アリョーシャ:
…なに食べてる。
パイモン:
こいつにとっての「ニンジン」は干し肉みたいだな!
トゥガリン:
ワンワンワン——
パイモン:
よしよし、おりこうさんだな。
アリョーシャ:
あんたも犬好きなんだな。
パイモン:
おう。それに、ウサギもニンジンも大好きだぞ。
アリョーシャ:
そうか…トゥガリン、腹いっぱい食ったらしっかり手伝うんだぞ。
アリョーシャと共に証拠を集める
あなたたちは駅の建物内に潜り込んだ…
アリョーシャ:
やっぱりここにあったな。本物のリストはファデュイが管理してるから、シシュキンは手出しできない。
アリョーシャ:
刷りたてのように綺麗な状態だ。下心のあるヤツ以外、誰もこんな物を見ないらしい。
旅人:
だからこそ、そこに付け入った。
アリョーシャ:
ああ、証拠としては十分だ——行こう。一旦ここを離れて、晶鉱の行方を追う。
旅人:
どうするの?
アリョーシャ:
トゥガリンはかなり頼れる猟犬だから、ウサギ狩りはこいつに任せる。
トゥガリンは晶鉱の行方に関する手がかりを見つけた…
晶鉱を隠し持つ者と対峙する
アリョーシャ:
ウサギの巣穴を見つけたな。いい子だ、トゥガリン。
アリョーシャ:
やっぱり、地下道がある。オレが見てくるから、あんたは見張っててくれ。
調査が終わり、アリョーシャとともに、ファデュイに紛失した晶鉱の一部を押収したことを知らせた。
そして、この地下道の入口にはシシュキンの住処がある——今こそ正面対決の時だ。
ベトロバ:
色々手配してくれてありがとう。はぁ…生活はどんどん苦しくなるばかりだよ。
シシュキン:
いやいや、気にしないでくれ。女皇陛下のための献身には、全て意味がある。
シシュキン:
歯を食いしばって吹雪が過ぎるのを待てば、こんな苦しい日々もいつかは終わる。
アリョーシャ:
他のヤツらは知らないが、シシュキン連絡官。あんたは苦しい日々なんか送ってないだろ。
シシュキン:
だ、誰だ?突然なんだ?
アリョーシャ:
みんながその「苦しい」生活に耐える中で、使い切れないほどのクルースニク晶鉱を溜め込んでるヤツがいるのはどういうわけだ?
アリョーシャ:
ここにある箱はぜんぶ、今回一緒に運ばれてきたやつだ。捌かれずにこっそり隠されてた。
アリョーシャ:
なあ、シシュキン。どういうことか知らないか?
シシュキン:
ええ?私は知らないぞ。どうしてこんなに大量の晶鉱があるんだ?とにかく——朗報だ。これでみんなが晶鉱を使えるな!
ポロンスキー:
これらの晶鉱はすべて、アリョーシャからの通報を受けた後、お前の住居の隣の地下室から見つかったものだ。
ポロンスキー:
多くは現在調査中で、ここにあるのはほんの一部だ。じきに正式な数が出るだろう。
ポロンスキー:
我々とスレトモロスクの町民との対立をいつも仲裁してくださるので、感謝していた。だが、その対立の元凶がお前だったとはな。
ベトロバ:
まさかあんたがこんなことをしてたなんて…
オボレンスキー:
信じてたのに…!騙してたのか?
シシュキン:
わ…私は…
旅人:
証拠は揃ってる、観念して。
シシュキン:
申し訳ない…本当に。合わせる顔もない…
シシュキン:
でも、どうか信じてくれ。こんなことをしたのは本当に初めてなんだ…
シシュキン:
知っての通り、厳冬計画によって至る所でエネルギーが不足していて、みんな苦しい生活を送っている…
シシュキン:
私は「アラティル村」という小さな村で生まれ育った。そこは線路も通っていない村で、今は一切晶鉱が運び込めなくて…みんな、凍え死にそうなんだ…!
シシュキン:
あなたたちが晶鉱を買えないのと同じように、私も買えない。父や母のことを考えると、いてもたってもいられなくなって…
シシュキン:
エネルギーがどんどん足りなくなる中、父や母が心配で心配で…それで目の前にある晶鉱を、つい…
シシュキン:
はぁ、しかし私は本当に悪さをするのに向いていないようだ。本当に申し訳なかった…集計結果が出れば分かるだろうが、晶鉱の量はリストと一致するはずだ。
シシュキン:
スネージナヤが出した実際の限度額に沿って、改めて取引をやり直そう…
シシュキン:
そのうえで、私の三ヶ月分の給料で晶鉱を取り寄せて、皆さんに無料で差し上げる…村については…なんとか…なんとか他の手段を見つけよう…
ベトロバ:
そ、そこまでしなくても…
オボレンスキー:
謝ってくれればそれでいい。金をせびり取るつもりはないよ、なんだかんだ、今まで世話になった部分もあるんだから…
アリョーシャ:
芝居はそこまでだ。
アリョーシャ:
あんたの地下室に今回分の晶鉱しかないのは、共犯がいるからだ。
フラポヴィツキー:
町長の家の捜索が完了しました。やはり大量の晶鉱が入った箱が見つかり、その半数は輸送時の状態のままでした。
アリョーシャ:
今回が初めてじゃないな——ずっとスレトモロスクの町長とグルだったんだろ。
アリョーシャ:
列車は長期運休中だ。今や駅が使われるのは、エネルギー運搬列車が入る時だけ。その時、あんたはいつも現場で在庫確認し、作業員に荷下ろしさせてただろ。
アリョーシャ:
作業員たちは町長が直々に手配したヤツらだ。夜、地下道から晶鉱を町長の家へ運びこませ、また別のルートからよそへ売りさばく…
アリョーシャ:
だが、今は列車が使えないぶん、運ぶ方法も限られてる。売りさばくスピードが落ちたせいで、こうして尻尾を掴まれたってわけだ。
ベトロバ:
まさか、町長まで…
シシュキン:
そんなこと…何か証拠でもあるのか!
アリョーシャ:
簡単だ。オレは吹雪の中、何度も車両の数を数えてた。
シシュキン:
車両?
アリョーシャ:
列車の運行で消費するエネルギーは総重量と関係がある。今はどこもエネルギーが貴重だ——当然、どの車両も極限まで積み込む。
アリョーシャ:
クルースニクの炉で消費される晶鉱の量と、あんたが提供した販売数、そして列車の理論上積載量と比較すれば…
アリョーシャ:
数が合わないってことにはすぐ気づく。一両分だったり、二両分だったり…今回は三両分近くも足りてなかった。
シシュキン:
こんな大雪の中、外で張り込める人間なんているはず——
アリョーシャ:
狩人は、狩りをしないと飢え死ぬんだ。
ポロンスキー:
証拠はそろった。シシュキンと町長をスネージナヤ・グラードへ連行しろ。
シシュキン:
クソガキがッ…!俺の稼ぎ口を潰しやがって!覚えてろ!
旅人:
ずっと前から調査してたんだね。
アリョーシャ:
ただの直感だ。オレは計算は苦手だから…親父に教わった通りやっただけ。オレにとっては、計算より銃を撃つほうが何倍も簡単だ。
ポロンスキー:
勇敢だな。協力に感謝する。
ポロンスキー:
シシュキンは実に狡猾だった…まさか我々の目の前でこんなことをしていたとは…全く気付かなかった。
アリョーシャ:
ああ。嘘が上手い…悪意に満ちた一面を絶対に見せないヤツだ。
ポロンスキー:
同情を引くような芝居をしたのは、町長を隠すためでもあったのだろう。
ポロンスキー:
君が提供してくれた確かな手がかりがなかったら、彼にごまかされていたかもしれない。
ポロンスキー:
アリョーシャと言ったな。本当にただの狩人か?
アリョーシャ:
獲物のいる場所で二発ほど撃たせてくれればわかる。
ポロンスキー:
別に疑っているわけではない。ただ、このところ名を馳せる謎の組織「ロコット」にも、君のように腕の立つ者たちが集まっているのだ。
ポロンスキー:
表向きの身分で正体を隠し、それを利用して厳冬計画に対抗する行動や、さらには女皇陛下に反抗するような行動を起こしている…
ポロンスキー:
暴力組織というわけでもないし、動機も民衆の生活のためとはいえ、ファデュイの一員としては、しっかり目を光らせておかなければならないのだ。
アリョーシャ:
そうか。オレは街のことはよく知らない。
アリョーシャ:
ただ、街に出て余計なことに首を突っ込めば、いろんなものにおびやかされることになる…ってことだけは知ってる。
アリョーシャ:
オレはシシュキンの野郎が気に食わなかっただけだ。オレもアラティル村出身だが、みんなとっくに全員引っ越してる。誰もいない場所に、晶鉱なんて必要ないだろう。
アリョーシャ:
当然、アラティル村がまだあるかなんて気にするヤツはいない。現にあんたたちも知らなかっただろう。
ポロンスキー:
なるほど、それは…悲しい話だな。とにかく、改めて協力に感謝する。一緒に調査してくれたご友人にも感謝を。
ポロンスキー:
スネージナヤ・グラードには俺から報告しておく。新たな連絡官や町長が赴任するまでは、ファデュイが一時的にエネルギーの分配を引き継ぐことになる。駅もできるだけ早く開けさせるつもりだ。
ポロンスキー:
はっ…私も君と同じで、小さい頃から算数は嫌いなのだがね。今度は私がいろいろと計算する番というわけか。
旅人:
こちらこそありがとう。
アリョーシャ:
気にするな。はぁ…輸送担当の軍人には晶鉱の総量を確認する責務があるはずなんだがな。マヌケだったのか、そいつも甘い汁を吸ってたのか…
アリョーシャ:
さてと、オレにもクルースニク晶鉱をくれ。
アリョーシャと共に移動する
アリョーシャ:
ちょっと待っててくれ。ばあさんは…ボケちゃってるんだ。
レプニナ:
おや、ああ…あたしのかわいい孫が来てくれた。今日は本当に寒いねえ…大丈夫かい、凍えてないかい?
アリョーシャ:
ばあさん、オレはアリョーシャだ。
レプニナ:
アリョーシャ?誰だったかねえ…
アリョーシャ:
…今日、暖炉の灰を掃除して、分厚い布団に替えて、背中を拭いてあげたアリョーシャだ。
レプニナ:
うーん…うーん…
レプニナ:
思い出せないねえ。
レプニナ:
坊や、せっかく帰ってきたんだからゆっくりしてっておくれ。あたしが何か作ってあげるから。
アリョーシャ:
休んでてくれ。オレは平気だ。
レプニナ:
まったくあんたったら、もっと顔を見せに帰って来なさいな。スレトモロスクはいいところなんだから…賑やかだし、何でもあるし、お役人さまもちゃんとしてるし…
レプニナ:
ほら、こっちに座りなさい。確か、まだ果物が少しあったはずだから、持ってきてあげようね。
アリョーシャ:
あんたは休んでてくれ、オレがやる…果物はどこにあるんだ?
レプニナ:
入り口の籠の下だよ。ええと…それか、ベッドの横の棚だったかねえ…
アリョーシャ:
……
レプニナ:
坊や、美味しいかい?
アリョーシャ:
すごく美味いよ、ばあさん。
レプニナ:
ならよかった…
アリョーシャ:
もうオレの分は残さなくていいからな。今じゃ新鮮な果物も貴重なんだから、早めに食ってくれ。
レプニナ:
あたしはいいんだ。美味しかったなら、また食べに来るんだよ。
アリョーシャはまたしばらく会話をしながら、おばあさんの部屋を片付けた。そして、とっくに傷んでしまったベリーの袋をそっと持って、家を後にした。
アリョーシャ:
どこかの親切な人が差し入れてくれたんだろうが…ばあさんはもったいながって、こういうのを食えないんだ。
旅人:
アリョーシャのおばあさんなの?
アリョーシャ:
いや…ばあさんはオレと同じ村出身で、市場で知り合ったんだ。あの頃はまだ元気で…明るかった。
アリョーシャ:
アラティル村を知ってるヤツは少ない。知ってるヤツがいても、きっと悪い噂だ…盗賊の一味がいる村だったから。
アリョーシャ:
そんな村も今はもうない。故郷の話ができるヤツは本当に珍しいから、ずっと手紙をやり取りしてたんだ。
アリョーシャ:
スレトモロスクのエネルギー問題にも、手紙のおかげで気づいた。その後すぐ、ばあさんの体調が悪くなったから、こうしてたまに様子を見に来るんだ。
アリョーシャ:
町は寂れる一方だが、ばあさんはもう何も分からなくなってるから、ここを当時の賑やかだったスレトモロスクだと思い込んでる。
アリョーシャ:
それでも…この極寒の地で、あんなに明るくいられる人は貴重だ。
旅人:
ごめん、立ち入ったことだったね。
アリョーシャ:
構わない。誰だっていつかは老いるものだ。
アリョーシャ:
スネージナヤにはこんな言い伝えがある——人は今際の際に、そばに懐かしい影がやってくるのを感じる。
アリョーシャ:
でも、その顔は決まってぼやけている。その顔をなんとかはっきりと見ようと苦心して、ようやく見えたその瞬間…
アリョーシャ:
「死神」に命を奪われる、って。
アリョーシャ:
ばあさんがオレを孫だと勘違いしてる間は、少なくともばあさんの世界で、オレはまだぼやけてないってことだ。
アリョーシャ:
さあ…戻って、パイモンの様子を見に行こう。
アリョーシャの住処へ戻る
旅人:
ただいま、パイモン。調子…どう?
パイモン:
うん、もう寒気は引いたぞ。でも、まだちょっとフラフラするから、飛ぶ時にふらついちゃうかもだな。
パイモン:
へへっ、心配するな。スネージナヤに入ってすぐの時に、雪が頭にぶつかったせいかもな。
アリョーシャ:
顔色もだいぶ良くなったみたいだな。引き続き安静にしてろ。
旅人:
やっぱり診てもらったほうがいいと思う…
パイモン:
それより、そっちはどうだったんだ?順調だったか?厄介ごとに巻き込まれてないか?
アリョーシャ:
ちょっと長くなるが、オレから話そう。
パイモン:
まさかそんなにいろんなことが…連絡官と町長がグルになってたなんて!悪党め!捕まえられてよかったぜ。
パイモン:
みんなに晶鉱が行き渡ったわけだし、駅もすぐに復旧するよな?
アリョーシャ:
ああ。だが「厳冬計画」が続く限り、切り詰めた生活を送るのは変わらない。
アリョーシャ:
さあ…「厳冬計画」の目的は女皇陛下のためにエネルギーを集めることだが、そのエネルギーの行方は、機密保持を理由に一度も公開されたことがない。
アリョーシャ:
そもそも、「厳冬計画」は半年で終わるはずだったんだ。それが延期、また延期の延期続きだ…
パイモン:
延期?じゃあ、女皇の計画はあんまりうまくいってないのか?
アリョーシャ:
恐らくそうなんだろうな…本来、延期するにも議案提出と、皇都評議会での半数以上の賛成票が必要なんだが。
アリョーシャ:
反対するヤツは増えてるが、結局、政治的影響力の大きい「雄鶏」プルチネッラに押さえつけられてる。
アリョーシャ:
プルチネッラは皇都評議会の長で、決議における重要メンバーだ。そのうえバックには権力者が大勢ついてる。
旅人:
またファデュイか…
パイモン:
なんで本拠地のスネージナヤでも、ファデュイは一般人と対立してるんだ…?
アリョーシャ:
そうとも言い切れない。ファデュイは常に女皇陛下のために動く——
アリョーシャ:
だが、連中が一般人の生死を気にしてないわけじゃない。今もなおスレトモロスクに晶鉱が届いてるのは、「雄鶏」が提案した支援のおかげだ。
アリョーシャ:
それに、ファデュイの兵士はスネージナヤ中に派遣されてる。昔から保守的で冷たい北国銀行ですら、災害支援用のモラを出した。
アリョーシャ:
ただ、お偉方が豪華な宮殿から見てる「世界」は、結局オレたちとは違う。摩擦が起きるのは当然だ。
アリョーシャ:
ああ。オレたちは女皇陛下を信じてるが、目の前の苦境をどう乗り切るかについては、かなり意見が割れてる。
アリョーシャ:
一般人がスネージナヤ・グラードで声をあげるのは難しい。かといって、上の連中も色々と複雑な事情を抱えてるから、声を上げる気は…いや、度胸はない。
アリョーシャ:
ロコットはそういうヤツらに偽の身分を与え、不満のガス抜きをさせてるんだ。
アリョーシャ:
当然、グレーゾーンの組織だ。議員たちにやり過ぎだとみなされれば、いつでも取り締まられる可能性がある…
アリョーシャ:
ただ、現状だけ見れば、一般人を助けてるだけだ。
旅人:
アリョーシャのやってることと似てるね。
アリョーシャ:
あんたもそうだろ。しかも、こういうことに慣れてるな。
パイモン:
オイラたちは冒険者だからな。冒険者の仕事は人の依頼をこなして、事件の真相を探ることだ!
アリョーシャ:
オレたち、気が合いそうだな。
アリョーシャ:
そいつを医者に診せる以外に、スネージナヤ・グラードには何をしに行くんだ?
旅人:
女皇に会いに行くんだ。ちょっと複雑な事情があって…これまでの旅でも、いろんな執行官と関わってきた。女皇が一体何をするつもりなのか、どうしても知りたいんだ。
旅人:
女皇の目的や、神の心の意味…どんな手を使ってでも、真相を聞き出さないと。
アリョーシャ:
まさか、あんた…噂の…
パイモン:
へへっ、オイラたちの噂を聞いたことがあるみたいだな。どんどん有名人になっちゃうぜ。
アリョーシャ:
まさかあんたらが、そんな大物だったなんてな。
アリョーシャ:
正直、女皇陛下が一体何をしようとしてるのか、オレたちが何のためにこの極寒で凍えてるのかは、皆が疑問に思ってる。
アリョーシャ:
だが、会うのは難しいと思うぞ。一般人に資格がないっていうのは置いといたとしても…本人がスネージナヤ・グラードにいないはずだ。魔物討伐で東へ向かってるから。
旅人:
猛吹雪を呼ぶっていう、あの魔物?
アリョーシャ:
ああ、知ってたか。吹雪を呼ぶ能力を持ってて、動きも狂暴で予測不能な魔物なんだ。
アリョーシャ:
周りの物をすべて体内に吸い込むこともできる。常に成長し続けてて、今じゃ女皇陛下にとって最大の脅威だ。
アリョーシャ:
幸い、体の膨張に伴って動きはどんどん鈍くなってる。しばらくはここやスネージナヤ・グラードも大丈夫だと思う。
アリョーシャ:
女皇陛下と直属の「冬契軍」なら、魔物の討伐は心配ない。ただ…どれくらいかかるかはわからない。
アリョーシャ:
会いたいなら、帰りを待つしかないな…
アリョーシャ:
そうか。しばらくはファデュイがここの駅を管理する…明日には準備が整うはずだ。
アリョーシャ:
駅が復旧したら、ヤツらと交渉してあんたらの列車を駅まで引いて行ってもらおう。
パイモン:
で…でも、それってかなりの人数が必要なんじゃないのか?
アリョーシャ:
今回の件は、ファデュイ内部の怠慢が引き起こしたものでもある。手を貸した恩もあるし、交渉はそこまで難しくないと思う。
旅人:
列車を走らせるにはどんな手続きがいるの?
アリョーシャ:
必要な書類は列車の製造完了と同時に済ませるものだと聞くが…確認するヤツなんて見たことないし、心配しなくてもいいだろう。
アリョーシャ:
列車があれば、すぐにスネージナヤ・グラードに着ける。オレもちょうど、獲物を売りに行こうとしてたから、一緒に行こう。
アリョーシャ:
街に頼れる医者を知ってるから、着いたら紹介する。
パイモン:
なにからなにまで、ありがとな。それじゃあ今日はゆっくり休んで、明日出発しようぜ。
スレトモロスク駅へ向かう
ファデュイに事情を説明したところ、快く手を貸してくれた。そうして無事に、落ちた列車を線路の上へと引き上げることができた。
ポロンスキー:
もうあんな場所に列車を乗り入れないように気を付けるのだぞ。
ポロンスキー:
ところで、これはどこかの新しい規格か?今まで一度も見たことがない気がするのだが。
旅人:
そんなところ…かな。
ポロンスキー:
ハハッ、雑談は苦手なようだな。よかったらこれも受け取ってくれ。現在のスネージナヤ列車の路線図だ。
ポロンスキー:
走行中は、レールが自動で分岐制御をするから、事故が起きる心配はない。
ポロンスキー:
車両は自分たちでよく点検することだ。スレトモロスクに、この新規格の列車を修理できるエンジニアはいないだろうからな。故障していないといいのだが。
アリョーシャ:
ああ、ちゃんとやっとく。ありがとう。
ポロンスキー:
では、道中の無事を祈る。しっかり準備してから出発するのだぞ。
アリョーシャと会話する
パイモン:
これで目的地の設定は完了したはずだよな。出発の前にもう一度確認しておこうぜ。ほら、グライアイ。出番だぞ!
旅人:
任せたよ。
「グライアイの眼」:
かしこまりました。車両状態の点検を実行中です。
アリョーシャ:
なんだ、それは?
旅人:
列車の操縦システムだとでも思って。
「グライアイの眼」:
エンジン正常、車輪正常、車体構造…若干の損傷あり。ただし走行には支障なし。
「グライアイの眼」:
確認完了、正常に稼働可能です。
パイモン:
すっごく便利だぜ!こんなにすごいのを洞窟で拾えちゃうなんてな。
旅人:
本当に偶然だね。
アリョーシャ:
スネージナヤに長く住んでるが、こんな風に喋れて列車の運転までできるシロモノなんて、聞いたことないな。
「グライアイの眼」:
厳密には、列車の運転だけのために設計されたわけではありません…しかし、可読性がほぼゼロの操作ガイドにはご興味がないと存じますので、詳細は省きます。
「グライアイの眼」:
さて、これで設定もすべて完了しました。ご用の際には、またお呼びください。
旅人:
ありがとう。
パイモン:
出発だ——!
パイモン:
…うぅ…やっぱりちょっと暖かいところでじっとしてるぞ…
パイモン:
えっ、どうしたんだ?
アリョーシャ:
まずい!
あなたたちは突然「闇域」に巻き込まれた…
アリョーシャと会話する
パイモン:
うぅ…こ、ここはどこだ?旅人、大丈夫か?
旅人:
うん、まあ…パイモンは?
パイモン:
うぅ…浮いてるけど、すっごくネバネバした水の中を泳いでるみたいで…なんだか気持ち悪いぞ…
アリョーシャ:
ツイてない。なんでこんな場所に…
パイモン:
アリョーシャ、おまえはスネージナヤ人だろ?ここがどこだか知ってるか?
アリョーシャ:
ここは「闇域」という特殊な空間だ。風も元素も、光も時間もない、すべてが静止したような世界…
アリョーシャ:
オレもほとんど見たことはない。中に入るのも初めてだ。「闇域」は危険で、呑み込まれた後に戻ってきたヤツは少ない…
アリョーシャ:
運よく戻ってこれても…みんな正気を失ってる。
パイモン:
えっ?じゃ、じゃあ、どうすればいいんだ?
パイモン:
そうだ、グライアイなら何か知ってるんじゃないか?グライアイ!
旅人:
…いないみたい?
パイモン:
そんな…
アリョーシャ:
落ち着け。確か…昔聞いた話によると、出口さえ見つければ影の世界から脱出できるはずだ。
アリョーシャ:
まずは先へ進もう。
「グライアイの眼」と合流する
パイモン:
グライアイ——!
「グライアイの眼」:
皆さまご無事で何よりです。
アリョーシャ:
あまりいい状況とは言えないがな。
「グライアイの眼」:
ええ、このエリアは「闇域」——本来は至高の視線すら向けられることのない、殻の中の最も暗い空間です。
「グライアイの眼」:
この空間は、水面に浮かび上がる泡のように、時折光の世界と重なり合うのみ。ここでは時間も空間も意味を持ちません。
「グライアイの眼」:
この空間が再び水底に沈む前に、ここから離れないといけません。
アリョーシャ:
何かアテはあるのか?
「グライアイの眼」:
…はい。きっと、僕が造られた理由も、本来は…闇域から…
「グライアイの眼」:
関連データにアクセスできないようですね…しかし、そこに固執している場合ではありません。
「グライアイの眼」:
この闇域の出口をマークしました。そして、闇域を通り抜けるための装備もご用意しました…
「グライアイの眼」:
おそらく、元々僕に備わっていた重要機能の一つです…スキャン完了。これより構築を開始します…
「グライアイの眼」:
起動コード——「我ら、かつて影の廃墟より過去を垣間見た。これぞ黄金の都ヒュペルボレイアの残滓なり」
「グライアイの眼」の助けを借りて、「闇域」を渡り歩くための装備を身につけた…
パイモン:
わぁっ!
「グライアイの眼」:
「行け、霊的な衣装と武器を身に纏い、あらゆる障壁を打ち破り、すべての悪しき者の炎の矢を消し去るのだ。」
アリョーシャ:
これは…銃か?
「グライアイの眼」:
かつてある者が数多くの試行と研究を重ね…「人」が元素力を自在に引き出せない闇域においては、これが最も有効な攻撃手段という結論を出しました。
「グライアイの眼」:
行きましょう。あまり時間がありません。
引き続き進む
「闇域」の中をひたすら進んだ…
闇域のコアの前まで行く
パイモン:
な…なんだか、すっごく揺れてないか?
アリョーシャ:
ここの闇域が…水の底に沈もうとしてるみたいだな。
「グライアイの眼」:
出口はこちらです…
パイモン:
出口って、この変なシャボン玉がそうなのか?…え、えっと、オイラたち、どうすれば…
アリョーシャ:
迷ってる暇はない、こういう時は直接——
アリョーシャ:
…勘が当たったみたいだな。
ついに「闇域」から抜け出した…
ザーリャ駅で少し休む
アリョーシャ:
闇域が線路に現れるなんてな。かなり珍しいケースだ…
アリョーシャ:
あんたとあの不思議な銃のおかげで助かったよ。
旅人:
ヒュペルボレイアって言ってたよね…
「グライアイの眼」:
「黄金の都」の名をご存じなのですね。
パイモン:
ナド・クライでもけっこう聞いたぞ。その国のやつらが、おまえみたいなすごいメガネを残したんだな。
旅人:
君のおかげで助かったよ。
「グライアイの眼」:
全員の協力あってこそです。初めての武器の使用であれほど上手く立ち回れるとは、驚きました。
「グライアイの眼」:
アリョーシャさまの言う通り、闇域は通常このような場所には出現しないのですが…同様の事態に警戒したほうがいいと思います。
パイモン:
うへえ…また列車でなにかあったら、オイラ、トラウマになっちゃうぞ…
「グライアイの眼」:
必ずしも列車で…とは限りません。闇域はどこにでも現れる可能性がありますから、警戒しておいて損はないでしょう。
「グライアイの眼」:
銃器の調整や改造をご希望でしたら、あちらで行うことができます。ただし、適切なパーツが必要です。
「グライアイの眼」:
皆さまは少し休憩なさってください。僕は列車のフレームの修繕作業を行います。そうすれば、パイモンさまも少しは暖まれるはずです。
パイモン:
グライアイ、ありがとな。おまえがいれば全部安心…コホン、ちょっとおっちょこちょいなところもあるけど、とにかく助かってるぞ。
旅人:
銃を改造できるの?
「グライアイの眼」:
もちろんです。これからの冒険において、僕のように安心して背中を預けられる…コホン、全力で助けてくれる仲間になるはずです。
アリョーシャ:
「グライアイの眼」が列車を直してくれてる間に、外に出て息抜きでもしよう。
旅人:
パイモンはそれで大丈夫?
パイモン:
おう、平気だぞ。オイラも風に当たりたいしな…闇域の中は変な感じだったから、早く忘れちゃいたいぜ。
パイモン:
駅の傍なのに、誰も住んでないんだな…廃屋だらけだぞ…
パイモン:
ええっ!?しゅ、修繕どころか、まるごと別の車両に変わってないか!?
「グライアイの眼」:
「記録にある状態に戻す」というのが目標でしたから——性能を最適化しただけでなく、記録通りに「流行り度」を大幅に向上させてみました。
パイモン:
「流行り」って数値化できるのか…?
「グライアイの眼」:
僕「グライアイの眼」が「流行り」という概念を理解するのに、最も効率のいいやり方が数値化でしたので。
アリョーシャ:
(「ヒュペルボレイア」か…物語では聞いたことあるが…とにかく、不思議なシロモノだ…)
闇域を脱出した後、ザーリャ駅で少し休み、列車でスネージナヤ・グラードへ向かうことにした。
列車に乗ってスネージナヤ・グラードへ向かう
パイモン:
レールが谷を跨いで引かれてるなんて…
パイモン:
いや…ただ、これ以上なにも起きないように祈ってるだけだ。
アリョーシャ:
高いのが苦手なら、下は見ないほうがいいぞ。
パイモン:
すっごく立派な雪山だな、ドラゴンスパインを思い出すぞ。
アリョーシャ:
ああ…この雪山は、ある雪の精の王の領地だったらしい。今でも多くの雪の{RUBY#[S]スニェガヴィーク}精がひっそりと暮らしてて、いろんな言い伝えが残ってる…
アリョーシャ:
雪山の傍で生き、真氷採取で生計を立てるスヴェトロレドフカの住民でさえ、自分から山頂に向かうことは基本的にない。
アリョーシャ:
見ろ、もうすぐスネージナヤ・グラードだぞ。
アリョーシャと会話する
アリョーシャ:
着いた。ここがスネージナヤ・グラード——スネージナヤにおける交通の心臓部だ。
パイモン:
立派な駅だな!左から右まで飛ぶだけでも息切れしそうだぞ…
アリョーシャ:
フッ。このほうが効率がいいんだろうが、確かに乗り換えの時はちょっと骨が折れる。
アリョーシャ:
あんたたちも、これからはこの駅を使ってスネージナヤ各地へ行ける。今はとりあえず、先にパイモンを休ませよう。
アリョーシャ:
こっちだ。アルクティカ区直通の昇降機がある。
「昇降機」へと向かう
パイモン:
見ろ!あんなの、初めて見たぞ!
パイモン:
オイラと同じくらいの背丈だけど、飛べないみたいだ…
アリョーシャ:
「異怪の獣」と「小さき者」だな。他にも羽の生えた「風の精」、雪から生まれる「雪の精」なんかがいる。
パイモン:
スネージナヤが昔はフェイの国だったっていうのも納得だな。やっと実感できたぞ…
アリョーシャ:
左はゾルヌィ区の市場だ。品ぞろえが豊富で、掘り出し物がよく見つかるぞ。
アリョーシャ:
右の遠くに見えるのが「コロレフスキー劇場」だ。
パイモン:
す…すっごく立派だな!
アルクティカ区へ向かう
パイモン:
さすがスネージナヤ・グラードだな…こんなに壮観な街を見れると、ここまでの苦労が報われた気がするぜ。
アリョーシャ:
オレも初めて来た時は街並みのすごさに圧倒されたが…ここは物価もすごいんだ。
アリョーシャ:
オレはいつも獲物を売りに来るだけだから、大半はゾルヌィ区にいる。
アリョーシャ:
こっちには「セラーガーデン・レストラン」がある。宿泊サービスも提供してるから、ここに泊まるといい。医者にも伝えておく。
パイモン:
それって…すごく高いんじゃないか…?
アリョーシャ:
ああ。ゾルヌィ区にも宿はあるが、おそらくあんたたちには厳しいだろうな。
アリョーシャ:
炉の中に晶鉱があるとは限らないし、窓からは隙間風が吹き込んでくるし、夜には「四つ足のゲスト」がやって来て、梁や床で牙を研ぎ始めるぞ。
パイモン:
そそそ、そういうのはオイラ、ちょっと…なぁ旅人、まだへそくりがあるし、宿泊費の半分はオイラが出すぜ。
旅人:
そういうのはいいから。
パイモン:
じゃ…じゃあ大人しく奢られるぞ。代わりに…
パイモン:
後でケーキを買ってやるから、一緒に食べようぜ!
アリョーシャ:
元気になったみたいで、安心した。
アリョーシャ:
もし、このあと街を回るつもりなら——
アリョーシャ:
こっちの道は女皇陛下の謁見室…つまりスネージナヤパレスに続いてる。彼女はそこに住んでる。
アリョーシャ:
そこのすぐそば、建物が集まって小さな街みたいになってるのが…ファデュイの総本部「グルポフ」だ。
アリョーシャ:
中には「オルジェイナヤ・パラタ」って兵器工場もあって、ファデュイのいろんな装備を生産してる。重要な実験場でもある。
アリョーシャ:
それから、あっちはスネージナヤ皇都評議会の会場だ。お偉いさんたちが定期的に会議を開いて、国の重要事項を決めてる。
アリョーシャ:
——この辺は遠目に見るだけにしろ。理由は言わなくてもわかるだろ。
パイモン:
おう。警備もすごく厳しいだろうし、オイラたちも面倒は起こしたくないからな。
アリョーシャ:
アルクティカ区の中心部は商業地だ。レストラン、本屋、雑貨屋が集まってる。
アリョーシャ:
他にも、北国銀行が割と有名だな。あっちの方向だ。
アリョーシャ:
それから、冒険者なら、冒険者協会の場所も確認しといたほうがいいだろう。
パイモン:
あっ、冒険といえば…オイラたち錬金術もよく使うんだけど…合成台ってどこにあるんだ?
アリョーシャ:
ああ…スネージナヤ・グラードに錬金術をやってる店はないぞ。歴史的な事情があるらしい。
パイモン:
じゃあ、列車の中にあるやつを使うしかないのか…ちょっと不便だな。ん?でもなんで列車の中にはあるんだ?どっちもスネージナヤの物じゃないのか…?
アリョーシャ:
その辺はオレも知らない。だが、誰も錬金術を使わなくても、別に生活に不便してない。
アリョーシャ:
最後に、あっちがゾルヌィ区だ。大半は住宅や工場だが、店も一応ちらほらある。興味があれば行ってみろ。
アリョーシャ:
それじゃあ、オレは医者の友人に伝えに行くから、チェックインを済ませるといい。
パイモン:
おう、いろいろ本当にありがとな。…冷たい風に少し当たってたら、またちょっと頭が痛くなってきちゃったぞ。
旅人:
じゃあ、早く行こう。
アリョーシャ:
ああ、こっちだ。
「セラーガーデン・レストラン」へ向かう
宿のチェックインを済ませ、部屋に移動した…
パイモン:
高いだけのことはあるな。この部屋、気に入ったぜ!
旅人:
体調、少しは良くなった?
パイモン:
うん、もう寒気は引いたぞ。いろいろ迷惑かけてごめんな…
パイモン:
いままでなら、今頃とっくに調査や冒険に向かってたはずなのに…ここでお医者さんを待つハメになるなんて。
パイモン:
おまえの言う通り、無理は禁物だな。
パイモン:
スネージナヤに入ってからいろいろあったし、まずは情報を整理しようぜ。ついでに、これからなにをするかも考えよう。
パイモン:
一番気になるのは、やっぱり女皇がなにをしようとしてるかってことだよな…すべての疑問は、そこから生まれてるわけだし。
旅人:
元々ここまで来たのはそのためだもんね。
パイモン:
その通りだ!今わかってるのは、女皇の計画には七つの神の心だけじゃなく、大量のエネルギーがいるってことだ。
パイモン:
でも、アリョーシャ曰く、女皇は突然出てきた魔物を討伐しに東へ行っちゃったから、しばらくは会えないんだよな…
パイモン:
スネージナヤ全土の吹雪をここまで酷くするなんて、きっと相当強い魔物だぜ。
旅人:
そっちのことも解決しないとね。
パイモン:
こうやって考えると、情報がぜんぜん足りないな…それも一般には知られてない、お偉いさんたちしか知らないような情報だ。
パイモン:
助けてくれそうなやつは、いろいろ思い浮かぶけど…
旅人:
みんなファデュイだよね…
パイモン:
おう。ナド・クライを離れる時、スネージナヤに来た後はお互いの立場を考えろって、サンドローネに釘を刺されたし…
パイモン:
女皇の目的に関わる機密なんて、教えてくれるわけないよな…
パイモン:
それもそうだな!せっかくグルポフの目の前に来たんだから、行かなきゃ損だぞ!
パイモン:
一番オイラたちと話をしてくれそうなのは、たぶん…アルレッキーノ、サンドローネ…うーん、もしかしたらタルタリヤも話してくれるかもな。
パイモン:
でも、オイラたちの思惑をアルレッキーノに隠し通せるとは思えないし、サンドローネは言うまでもないぞ。「立場を考えろ」って言ってたしな…
旅人:
タルタリヤとはずいぶん会ってないね。
パイモン:
たしかに…たぶん、フォンテーヌでのあの一件で会ったのが最後だよな。あいつもナド・クライへ手伝いに来てくれてたらしいけど、会えなくて残念だったぞ。
アリョーシャ:
…旅人、パイモン?いるか?
パイモン:
アリョーシャか!入っていいぞ!
ルネワ:
お二人とも、こんにちは。医者のルネワよ。こっちに来てから具合が悪くなった人がいるってアリョーシャから聞いたんだけど。
旅人:
お医者さん…!
ルネワ:
そうよ、こちらが患者さんね。えっと…フェイかしら?
パイモン:
わからない…オイラも自分がなんなのかはうまく言えないけど、たぶん…駅で見たあのフェイたちとは違うと思うぞ。なにか問題でもあるのか?
ルネワ:
うーん…普段は人間の患者しか診ないのよね。フェイはたいてい、一番健康で長生きな人間よりもずっと丈夫だから。
ルネワ:
でも安心して。私はフェイも診察したことがあるし、犬や猫もたくさん診てきたわ。なんでもござれ、って感じ?あはは。
パイモン:
オイラは人間と変わらないと思うし、たぶん大丈夫だぞ!
パイモン:
な!オイラとおまえは、なにも違わないよな!
パイモン:
ふんっ、オイラのほうが味覚が繊細ってことだろ。
ルネワ:
ふふっ。じゃあ、こっちに座ってちょうだい。
ルネワ:
うん、検査結果はほとんど正常だから、特に問題はなさそうよ。たぶん、ちょっと体が冷えちゃったのね。
ルネワ:
お薬を処方しておくわ。一日か二日ゆっくり休めば良くなるはずだけど、この二日間は、こまめに体温を測ってね。
ルネワ:
もし微熱が長引いたり、体調がよくならないようだったら、また連絡してちょうだい。
アリョーシャ:
心配なさそうだな。
旅人:
うん、しばらく様子を見よう。
パイモン:
先生、ありがとな。
ルネワ:
どういたしまして。さてと、次の患者さんのところへ行かなきゃいけないから、私はこれで失礼するわね。
アリョーシャ:
気を付けて。
アリョーシャ:
医者の言うことを聞いて、ここ二日間は安静にしてろ。
パイモン:
おう、そうするしかなさそうだな。いい休暇だと思って、ゆっくり休ませてもらうぜ!
アリョーシャ:
オレも戻る。また医者に連絡したくなったとか、用があればゾルヌィ区の交易所まで来い。店長を通じて連絡が取れるから。
旅人:
いろいろ助けてくれてありがとう。
アリョーシャ:
あんたは闇域でオレの命を救ってくれただろ。こんなの大したことない——じゃあ、また。
「グルポフ」へ向かい、タルタリヤに会う
ユジャニン:
恐れ入りますが、招待状または通行証をご提示ください。
ユジャニン:
グルポフでは予約のない面会要請を受け付けておりません。公示されている予約手順に従って申請していただき、招待状の発行をお待ちください。
ユジャニン:
…どなたをお訪ねでしょうか?
旅人:
執行官「公子」、タルタリヤ。
ユジャニン:
(どうしていつもいつも、手順も知らないくせに、大きなことばっかり言うやつらが押しかけてくるんだか。執行官様にそう簡単に会えるわけないだろうに…)
ユジャニン:
(はぁ、一応規則通りに対応しておくか。聞くだけ無駄だろうけどな。)
ユジャニン:
伝えますので、少々お待ちください。もし「公子」様のご都合がつかない場合は、正規の予約手続きをお願いいたします。
グルポフの門前でこのファデュイと少々気まずい待ち時間を過ごしたが、一向にタルタリヤの姿は見えなかった。
ユジャニン:
「公子」様はご多忙につき、おそらく今はグルポフの中にいらっしゃらないのでしょう。これ以上お待ちいただいても、徒労に終わるかと…
旅人:
タイミングが悪かったみたいだね。
ユジャニン:
「ご友人」といえど、ファデュイ執行官は公務で忙しく、ずっとグルポフの中に留まっているわけではありませんので…ご理解ください。
ユジャニン:
この地の規則を守ることは、お互いのためにも…ん?
ユジャニン:
お疲れ様です!「傀儡」様。
旅人:
サンドローネ?
「傀儡」:
こちらのお客さんの相手はワタシがするわ。彼はスネージナヤに来るのは初めてだから、規則を知らないの。
「傀儡」:
無礼な口を叩いたり、揉め事を起こしたりしていないでしょうね?
ユジャニン:
はい、「傀儡」様。そのような事態は発生しておりません。
ユジャニン:
(あ、危なっ…不機嫌そうに対応しなくてよかった…)
「傀儡」:
そう、それならいいわ。あら…パイモンは?
「傀儡」:
アイツが?いつでもどこでも元気なんだとばかり思っていたわ…
「傀儡」:
でも確かに、ここはナド・クライよりもちょっと寒いから、慣れるまでに時間がかかる人も多いのよね。医者には診せたの?手配してあげてもいいわよ。
「傀儡」:
それならいいわ。もし後で何かあったら、連絡しなさい。
旅人:
もしかして、わざわざ会いに来てくれたの?
「傀儡」:
それ以外に何があるっていうの。ちょうどお茶をしていたら、タルタリヤの友達を名乗る人が、面会予約もなしにアイツに会いたいと言っているって耳にしたのよ。
「傀儡」:
ずっと待っているのに、会えないなんて可哀想でしょう?仕方なく、熱いお茶を置いて、どんなそそっかしいお客さんが来たのか見に来てあげたの。
旅人:
俺だって分かってたでしょ?
「傀儡」:
ふん…ナド・クライではしばらく協力もしてたわけだし、アナタをずっと外で冷たい風に当たらせているわけにもいかないでしょう。
「傀儡」:
残念だけど、アナタを中へ招待することはできないわ。模範を示すべき執行官として、グルポフの規則を破るわけにはいかないのよ。
「傀儡」:
でも、スネージナヤ・グラードはあの貧乏くさいナシャタウンとは違うわ。「灯のビブリオチェーカ」のお茶菓子がとても美味しいの。あそこで雑談でもしましょう。
「傀儡」:
もちろん、アナタのおごりね。
旅人:
どうして?
「傀儡」:
どうしてですって?熱いお茶を犠牲に迎えに来てあげたんだから、当然でしょ。
傀儡と共に、「灯のビブリオチェーカ」に行く
「傀儡」:
注文したわ。ぜんぶワタシのおすすめだけど、問題ないわよね?ワタシのセンスを信じてくれるでしょう?
「傀儡」:
話を戻すわ。ワタシの推測が間違っていなければ、アナタがタルタリヤを探しているのは別に急用があるわけじゃないわよね。情報を引き出したかったってところかしら?
「傀儡」:
当ててみて?
旅人:
また誰かと喧嘩の約束でもした?
「傀儡」:
ふふっ、そう言うと思っていたわ——「タルタリヤ議員」を甘く見ているわね。
旅人:
議員?
「傀儡」:
皇都評議会——聞いたことくらいはあるでしょう。今、アイツは次の議会に向けて必要な材料を準備しているところよ。
「傀儡」:
次の議会では、「厳冬計画」を延期すべきかどうかについて議論することになっているわ。このところずっと、それが中心的な議題なの。
「傀儡」:
ええ。何も深く考えていない、ただの戦闘狂に見えるでしょう?
「傀儡」:
——事の発端は、「隊長」カピターノがナタへ向かう前に、「道化」ピエロにとある手紙を残していったことだったわ。
「傀儡」:
そこには彼の部下の今後の配置が、全員分記されていた…中でも中枢の人材はすべて、タルタリヤの配下として割り当てられていたの。
「傀儡」:
きっと、あの時アイツはすでに、二度と帰ることはないと覚悟を決めていたんでしょうね。ただ、ナタの一件が終わるまで、ピエロは手紙を公開しなかったわ。
旅人:
どうしてタルタリヤなの?
「傀儡」:
ふふっ、あの時のタルタリヤとまったく同じ顔をしているわね。「なんで俺なんだ?」って。
「傀儡」:
カピターノは無口で心の内を明かさないから…タルタリヤは、自分のことなんか眼中にないって思ってたんでしょうね…
「傀儡」:
でも、カピターノは…ワタシのお茶会に参加する日、時々タルタリヤを連れてきていたわ。若いアイツを買っているのは、一目瞭然だった。
「傀儡」:
お茶会の常連のアルレッキーノやロザリンも分かっていたわ…コロンビーナは多分こういうことは分からなかったでしょうから、除外ね。
「傀儡」:
だから、璃月の一件では、カピターノは珍しく激怒していたのよ…ワタシからは話しづらいから、このことは直接タルタリヤに聞いてちょうだい。
「傀儡」:
とにかく、ピエロがこの残された手紙を取り出すまで、タルタリヤはずっとカピターノを誤解していたのかもしれないわね。
「傀儡」:
カピターノは、タルタリヤはまだ未熟だけど、高いポテンシャルを秘めていて、さらにファデュイには極めて稀な特質——純粋さを持っていると考えていたのよ。
旅人:
それは確かに…
「傀儡」:
その点だけで言えば、あの二人は確かに似ていたかもね。でも、カピターノが彼に諸々を託したのには、他にも理由があったと思う。
「傀儡」:
アイツは、自分が離れれば、配下の精鋭部隊が他の執行官から狙われることに気づいていた。
「傀儡」:
一番直接的に恩恵を受けるのは、「雄鶏」プルチネッラと「富者」パンタローネね。
「傀儡」:
人員を山分けすれば、アイツらの勢力はさらに拡大して——もはや敵なしになる。
「傀儡」:
なぜカピターノがピエロに手紙を渡すことにしたのか、もう分かるでしょう?
旅人:
「道化」が勢力の均衡を保てるように?
「傀儡」:
そう。勢力の均衡を保つために、ピエロはいずれかの執行官の力を引き上げる必要があった。タルタリヤは最適な人選だったってわけ。
「傀儡」:
これまで長い間、タルタリヤのバックにはずっと北国銀行がついていたけれど、アイツとパンタローネは根っこから違う価値観の持ち主なの。
「傀儡」:
ふん、さすがはカピターノ。タルタリヤを選んだのは正解だったわ。普通の人がこんな局面に立たされたら、火あぶりにされているとしか考えなかったでしょうね。
「傀儡」:
カピターノとの関係を否定して、パンタローネとの「友情」を維持しながら、プルチネッラの支持を得る——普通に考えれば、それが最善策のはずなのだから。
旅人:
そんな内部情報を話して大丈夫なの?
「傀儡」:
ふっ…こういう「お茶菓子」があってこそ、美味しくお茶を飲めるというものでしょう?
「傀儡」:
それに、こんなものは内部情報でもなんでもないわ。ゴシップ記者でも捕まえてくれば、ワタシが話すよりよっぽど面白おかしく語ってくれるでしょうね。
「傀儡」:
皇都評議会で議会を一度見てみれば、勢力間の表立った争いや裏側が、アナタにも分かるわ。
「傀儡」:
評議会で発言権を持つ者だけが、政策を自分に有利な方向へと導けるの。あそこに立っている一人一人が、集団の縮図というわけ。
「傀儡」:
知っている人で例えましょうか。パンタローネは金融業界を代表しているし、タルタリヤはファデュイの兵士たちを代表している…
「傀儡」:
ワタシは議会の紛争なんかに興味はないけれど、下にはエンジニアや研究員がそれなりにいるから、アイツらの声は届けてあげないといけないわ。
「傀儡」:
そして、評議会の中央に立つプルチネッラが代表するのは、「政治」そのものよ。
「傀儡」:
アイツはすべてに関わっている——何事もアイツを避けては通れないし、本人もあらゆる問題について、調和の案を持っている。それこそが、女皇陛下が最も評価しているアイツの能力ね。
旅人:
なるほど…
旅人:
(みんな現状に満足してないにもかかわらず、どうすることもできないのは、そのせいか…)
旅人:
(各方面の利益が複雑に絡み合ってる上に、一番上には女皇がいる——完璧な案を導き出すのは難しいんだろうな。)
「傀儡」:
さて、これだけ話してあげたんだから、次はアナタがワタシの質問に答える番よ。
「傀儡」:
価値ある情報を聞きたいなら、ワタシでもよかったはずよ。なのにどうして一番に会いに行くのが、タルタリヤだったわけ?
「傀儡」:
ただ理解できないだけよ。好奇心で聞いちゃ悪い?
「傀儡」:
ちょっと待ちなさい、なんだか分かってきた気がするわ…ナド・クライを出る時、コロンビーナにワタシからの伝言を聞いたはず。
「傀儡」:
立場に気を付けて、みたいな言葉よ。まさかアナタ、それを気にしてワタシを訪ねて来なかったの?
「傀儡」:
あのねえ…!はぁ、まあいいわ。最近、政治家ばかりと話しているせいで、回りくどい言い方がうつってしまったかもしれないわ。
「傀儡」:
とにかく…これくらいのちょっとした手助けはできるわ。これからはそんなに遠慮しないでちょうだい。
ズヴェレフ:
「傀儡」様。
「傀儡」:
なあに、今は休憩時間よ!書類の提出なら机に置いておきなさい、後で見ておくから…
ズヴェレフ:
休憩中のところ、お邪魔してしまい申し訳ございません。しかし、本当に緊急事態でして…
「傀儡」:
はぁ、緊急緊急、また緊急?言ったでしょ、レールの修理と氷の運搬は緊急とは言わないのよ。
ズヴェレフ:
スヴェトロレドフカの設備に至急メンテナンスが必要なのです。大量の積雪によって、長期にわたり耐荷重をオーバーしていたのが原因だと思われるのですが——
ズヴェレフ:
一台の支柱が折れて落下し、眠っていた魔獣を目覚めさせてしまいました。多くの採氷作業員が、その魔獣によって近くの氷の洞窟に閉じ込められています。
ズヴェレフ:
ちょうど現場付近にいたオデットの小隊がすでに救助活動を始めていますが、救助要員もエンジニアも圧倒的に足りていません。
「傀儡」:
……
「傀儡」:
…仕方ないわ、お茶会はお開きね。ワタシ一人でどうにかできると思うから、任せてちょうだい。
「傀儡」:
あら。それ、本気で言ってるの?
「傀儡」:
ふっ…礼には礼をってことね。パイモンの方は、部下を向かわせるわ。アナタが出かけることも伝えさせる。緊急事態だもの、理解してくれるはずよ。
「傀儡」:
アナタは経験豊富で、実力も申し分ない。アナタ以上に頼りになる助っ人なんて、他に思いつかないわ。
旅人:
ありがとう。じゃあ、そうしよう。
「傀儡」:
じゃあ、行きましょう。アナタは今聞いた通りよ——人を連れてセラーガーデン・レストランへ行って、彼の部屋をワタシたちが戻るまで見張りなさい。
「傀儡」:
もしパイモンに何かあったら、ただじゃおかないわよ。
ズヴェレフ:
承知しました、「傀儡」様!
スヴェトロレドフカへ向かう
「傀儡」:
確かに危険な状況ね。幸い、まだ壊れているのは一台だけ…
「傀儡」:
報告によれば、今閉じ込められている人たちは、あっちに固まっているみたいよ。
旅人:
助けに行ってくる。
「傀儡」:
ええ、ワタシは他の設備の状況を確認してくるわ。ついでに周囲の人間を避難させておく。
「傀儡」:
後でまた合流しましょう。
事故現場へ向かい、閉じ込められた人を救出する
旅人:
(たぶん…ここのはず。)
オデット:
これ以上、奥へ進んではいけません。
オデット:
現在、危険な魔物が活動しています。大変危険ですので、早くここから離れてください。
オデット:
スネージナヤ・グラードからの支援でしたのね。私はオデット——よろしくお願いいたします。
旅人:
(彼女がオデット…例の、先に救助を始めてたファデュイ…)
オデット:
洞窟内に閉じ込められているのは全部で五人——魔物のタイプも、位置も不明です。
オデット:
行きましょう。時間は貴重ですわ。
オデットと会話する
ぺフツォバ:
助けてくださり、ありがとうございます。あなたたちがいなければ、きっと今頃、あいつの胃の中でした…
リャブシンスキー:
本当にありがとうございます…
オデット:
お気になさらず。あれももう戻ってはこないはずですわ。さあ、早くこちらから避難を。私と彼が殿を務めます。
ゴルノヴァ:
ありがとう。行きましょ、こっちよ。
オデット:
付近を確認しましたが…魔物は撤退したようです。
旅人:
ここって元々あいつの巣なの?
オデット:
ええ。でも、私たちがおりますから、しばらくは戻ってこないでしょう。
オデット:
体こそ小さめですが、凶悪な種です。普通の人間など、餌だとしか思っていません。
オデット:
間に合ってよかったですわ。
オデット:
取り残された方々の避難は完了しました。私たちも出ましょう。
旅人:
ちょっと待って…この領域、なんだか変みたい…
movie
氷の洞窟の中で、奇妙な剣を手に入れた。その後、あなたたちは崩壊する氷の洞窟から無事脱出した…
氷の洞窟を脱出した後、魔物はようやく追撃を諦めた。救出は無事に完了し、なんとか危機を乗り越え、スヴェトロレドフカに帰還した…
スヴェトロレドフカで傀儡と合流する
オデット:
人数に問題はなし…全員救出できましたわ。洞窟の入り口にも警告の看板を設置し、誰も近づかないようにしておきました。
オデット:
なかなかの腕前ですのね。まだお名前を伺っていませんでしたけれど。
旅人:
俺は旅人、冒険者だよ。
オデット:
覚えておきます。改めて、よろしくお願いしますわ。
オデット:
それでは…またお会いしましょう。
オデット:
——「傀儡」様、ごきげんよう。
「傀儡」:
救援は成功したそうね。アナタたちに任せて正解だったわ。
「傀儡」:
公演のために来たの?オデット。
オデット:
いいえ、ファデュイの任務です。ちょうど近くにおりましたもので、崩れる音が聞こえたのです。
旅人:
公演?
「傀儡」:
自己紹介しなかったみたいね。ふふっ…オデットはスネージナヤ・グラードで大きな注目を集めるトップバレリーナなのよ。
「傀儡」:
コロレフスキー劇団の二つの至宝といえば、彼女とプリマドンナのヴォジャニーツァのことよ。
「傀儡」:
同時に、とても将来性のあるファデュイのメンバーでもある。「淑女」の称号を引き継ぐ可能性が最も高いとされているわ。
「傀儡」:
オデットは…かつてロザリンが最も買っていた部下の一人だった——戦闘時の身のこなしも、ロザリンから教わったのよ。
オデット:
…「傀儡」様、身に余るお言葉を頂戴し、恐縮です。
旅人:
(「淑女」が彼女を買ってたのなら、俺は…いや、やめておこう。あえてこちらからあの件を持ち出す必要はないはず。)
旅人:
…どうりで腕が立つわけだね。
オデット:
「傀儡」様のほうの進捗はいかがですか?
「傀儡」:
同じく完璧よ。設備の補強はもう終わったわ。プロンニアがいない分、確かに少し時間がかかるけれど…ふん、結果は変わらないわ。
「傀儡」:
たとえ魔物が引き起こした大雪があと三ヶ月降り続いたとしても、これらの設備が押し潰されることはもうないはずよ。
「傀儡」:
さて、解決したことだし、ワタシたちも吹雪の中に留まっている必要はないわね。
旅人:
これからここはどうなるの?
「傀儡」:
スネージナヤ・グラードから人が調査に来て、補償の案を出すことになるわ…はぁ、大型設備の故障となると、今回はワタシも報告書を書くハメになりそうね。
「傀儡」:
まずはパンタローネを通して予算を確定させて、プルチネッラを通して案を固める。両者が言い争って、お互いに納得する案が出たら、やっと実行よ。
「傀儡」:
ま——早くて半月、遅ければ二ヶ月以上かかるでしょうね。
旅人:
その間、あの人たちはただ待つしかないの?
「傀儡」:
仕方ないわ。執務室には似たような報告書が山のように積まれているんだもの。
旅人:
……
旅人:
(今は小降りだけど…魔物の影響で、いつまた大雪になるかわからない…)
旅人:
(暖を取るためのエネルギーは不足していて、補償が届くのも遅い。生死にかかわるほどじゃないとしても…)
旅人:
(この現状は…あるべき形じゃない気がする。)
オデット:
……
「傀儡」:
ぼーっとしていないで、スネージナヤ・グラードに戻るわよ。
スネージナヤ・グラードに戻る
「傀儡」:
あら?評議会の注目の的、タルタリヤ議員じゃない。
「公子」:
ハハッ、たったいま「名士」たちの質問責めから抜け出してきたところなんだ。からかわないでくれよ。
「公子」:
やあ、相棒。久しぶりだね。俺を探しに来てくれたことは聞いてるよ。嬉しいサプライズだ。
「公子」:
それからオデットも、こんにちは。スヴェトロレドフカからの帰りかな。解決したかい?
オデット:
順調でした。
「傀儡」:
アナタのほうはどう?何か変わったことは?
「公子」:
相変わらずさ。「厳冬計画」の継続に反対する声が高まっている。これまでの対策じゃ、もう持ちこたえられそうにないね。
「公子」:
模擬投票の結果はまったく楽観視できない。あのプルチネッラの爺さんが、珍しくひげを震わせて怒っていたよ。
「傀儡」:
それは…相当まずいわね。めったなことじゃ、そんな姿は見せないもの。
「公子」:
そうだな…この勢いを抑え込むには、強硬手段に出るのが一番簡単なんだろうけど…
旅人:
ごめん、どうしても聞きたいことがあって。少し失礼かもしれないけど、言ってもいいかな?
「公子」:
ん?もちろんだよ。
旅人:
二人とも、まだ「厳冬計画」に反対する声にどう対応するか悩んでるみたいだけど…
旅人:
一体「厳冬計画」の目的は何なの?君たちまで、一般人たちの側に立とうとしないなんて。
三人:
……
「公子」:
(さすが俺が見込んだ相棒だ、言ってくれるね。ハハッ、面白い。)
「傀儡」:
(はぁ!?ワタシが一般人の側に立っていないって、どういうことよ!?)
オデット:
(執行官に対して、こんな口がきけるなんて…何者?)
「傀儡」:
ワタシたちを問い詰めようっての?
「公子」:
落ち着け、サンドローネ。ここは俺から説明させてくれ。俺も気持ちは分かるから。
「公子」:
できることなら、今すぐ君の側につきたいくらいだ。
「公子」:
実際、俺の立場は君にすごく近い。評議会で直接、反対票を投じてないってだけで——そんなことをしたら、陛下が俺を許さないだろうからね。
「公子」:
ファデュイ武装部隊の隊員の多くは、スネージナヤ・グラード以外の小さな町の出身だ。俺は彼らのために声を上げている以上、彼らに責任を持つ必要がある。
「公子」:
そういう場所の状況は、君も見たことがあるだろう。俺はモレペソクの出身なんだけど、そこの状況もあまり良くない。
旅人:
もっと気になってきた。
「公子」:
女皇陛下はスネージナヤの民のために、より長期的で安全な未来を計画している。君から見れば、確かに「厳冬計画」が問題を引き起こしているように見えるかもしれないね。
「公子」:
でも、女皇が望む未来のことを考えれば、この代償は受け入れられる——冷たい言い方だってことは分かってるけど…白黒はっきりしている問題ばかりじゃないって言うのはわかるだろう?
「公子」:
俺とサンドローネは「厳冬計画」には反対できないけど、議会で絶えず異議を唱え続けてきた。
「公子」:
「厳冬計画」自体は止められなくても、俺たちにはまだやれることがたくさんある。それは俺たちだけじゃなく、プルチネッラの爺さんもやっていることなんだ。
「公子」:
俺は女皇陛下を尊重しているし、彼らの決断を信じている。でも同時に、俺はこの土地を深く愛するごく普通の人間でもある。俺の家族だって、ここで暮らしているんだ。
「公子」:
俺が彼らを見捨てるなんてこと、絶対にありえない。
「傀儡」:
つまるところ、評議会で対立を引き起こしているのは私欲や悪意なんかじゃないわ。誰もがこの時期を平穏かつ無事に乗り越えたいと思っている。
「傀儡」:
ただ、現状を見る限り両立させるのは難しい。だから多くの場合、ワタシたちはよりマシな選択を取っているの…どうしても、体裁は悪くなってしまうけれど。
「傀儡」:
でも、それは決してワタシたちが女皇陛下に愚直な忠誠を捧げ、スネージナヤの現状に耳を貸していないという意味ではないわ——ワタシたちも、すでに最大限の努力をしているのよ。
旅人:
(スヴェトロレドフカで事故が起きたと聞いて、サンドローネの心はとても焦ってた…早く助けないとって。)
旅人:
(昔は死闘を追い求めることしか考えてないように見えたタルタリヤも、今は議員の責務を担って、街のあちこちを忙しく動き回ってる…)
「公子」:
それについては…俺たちを困らせないでくれ。陛下の動機に納得できなければ、支持するのが難しいのは分かっている。
「公子」:
君ももう知っているかもしれないけど、女皇陛下は今、軍を率いて東方へ遠征しているんだ。吹雪を急激に強めたあの魔物を討伐するためにね。
「公子」:
陛下が魔物を倒してくだされば、エネルギー危機もだいぶ和らぐはずだ。
「公子」:
長年の願いを叶えることに一直線なように見えるけど、陛下は今もこうして自ら、この強力な魔物を討伐しようとしている。
「公子」:
もし彼女の未来の計画の中で、スネージナヤやこの地の人々が取るに足らない存在だとしたら、こんなことをする必要はないだろう?
「公子」:
ハハッ、全部本心だよ。決して綺麗事なんかじゃない。そういうのは、今日の評議会でとっくに使い果たしてしまったからね。
オデット:
けれど私は、冒険者さんの考えも十分理解できますわ。
オデット:
お二人のお考えと行動はとても明確ですが、評議会の中には、立場に縛られて本心に背く選択をしてしまった方が多くいらっしゃいます…
オデット:
たとえ身分高き方々の反感を買おうとも、心にある是非をはっきりと口にしようとなさるのは、とても尊い行いだと思います。
旅人:
親しいからっていうのが大きいかも…
「傀儡」:
ふっ、そうね。素性をよく知っている相手じゃなければ、ワタシたちもここまで説明してあげないわ。
オデット:
失礼ですが…冒険者さんは、何か別の身分をお持ちなのですか?お二人と親しげに談笑されるなんて…
「傀儡」:
それは…
「公子」:
ん、言ってなかったのか?
「傀儡」:
どう紹介しろっていうのよ!…あえて他人の傷口をえぐるような趣味、ないもの。
オデット:
お名前は耳にしたことがありますが、活躍については存じ上げず…その、いけないことを聞いてしまいましたか?
旅人:
(う…やっぱり「淑女」の話題は避けられないかも…)
「公子」:
いや…はぁ、まあいいか、どうせ隠し通せないだろうしね。
「公子」:
こちらは諸国に名を馳せる旅人だ。モンドでは龍による災害を解決し、璃月では俺の引き起こしたトラブルを片付けてくれた。それから稲妻では…
「公子」:
御前試合で、ロザリンに勝ったんだ。
オデット:
あっ…
「傀儡」:
悪いわね、どうせそんなに関わらないと思っていたから、言う必要はないと思って…
オデット:
構いません、もうずいぶん前のことですし…ええ、大丈夫です。
オデット:
そういえば、この後は劇団の稽古があるのでしたわ。申し訳ありませんが、お先に失礼いたします。
「傀儡」:
はぁ…
「傀儡」:
前にアナタに言ったでしょう?彼女はロザリンが一番買っていた部下だって。でも、あの二人の関係は決して良くなかったのよ。
「傀儡」:
ロザリンは友達が少ないヤツだったから…でも、人の死というのは、大抵のわだかまりを解消してしまうものなのよね。
「公子」:
気を悪くする必要はないよ。彼女の言う通り、もう過去のことだ。
「公子」:
オデットとロザリンは性格が全然違うから…少し時間をあげよう。自分で立ち直ると思うよ。
旅人:
うん…
「公子」:
あれ、そういえば、おチビちゃんは?姿が見えないけど。
「傀儡」:
体調不良よ——セラーガーデン・レストランで休んでいるの。発つ時に、ちゃんと看病を二人手配してあるわ。
「公子」:
そうだったのか…大変だね。トーニャの小さい頃を思い出すよ。あいつも冷たい風がダメで、いつも病気にかかっていたな…
「公子」:
ベッドに横になって咳をしている姿を見ると、俺まで辛くなったよ。でもトーニャは本当にいい子で、誰かが見舞いに来たら絶対に笑顔を見せて、泣き言一つ言わないんだ。
「公子」:
おチビちゃんもきっといい子にしてるんだろうね、ハハッ。
「公子」:
君のほうは人手が足りないんだろ?俺が頼りになる部下を呼んで交代させるよ。おチビちゃんがゆっくり休めるようにするから。
「傀儡」:
ええ、それは何よりだわ。アナタの部下の方が、こういうのには慣れているものね。
旅人:
ありがとう。
「公子」:
遠慮はいらない——君にはやりたいことがあるんだろう?安心してやるといい。
「公子」:
俺が君の側に立ってないだなんて、もう言わないでくれよ、ハハッ。
「傀儡」:
あら、彼に会ったのね?
「公子」:
そうだな…「統括官」は最近、俺たちにも行動を隠しているんだ。力になれそうにないな…
「公子」:
俺もてっきり彼はここ最近ずっとグルポフにいて、南の方には行っていないと思っていたよ。
旅人:
なるほど…分かった。
「公子」:
それじゃあ、俺はおチビちゃんの世話をするボディガードを手配しに行ってくるよ。ちょうどグルポフに戻って片付けなきゃいけない別の用事もあるしね。
「傀儡」:
ワタシも、すぐに報告書を書かないと…ここで別れましょう。
旅人:
うん、また。
旅人:
(みんな大変だな——でもタルタリヤの言う通り、俺にもやりたいこと…やるべきことがある。)
旅人:
(そうだ、アリョーシャにスヴェトロレドフカを助ける方法がないか聞いてみよう。)
ゾルヌィ区へ向かう
旅人:
(おかしい…この剣、ひとりでに震えてるみたいだ…)
旅人:
(七天神像に近づくほど、振動が強くなってる。見ただけじゃ分からない程度だけど…)
旅人:
(もしかして、この剣…七天神像と何か関係があるのかな?でも、触ってみてもただ震えてるだけ…)
旅人:
(あの時、俺は特殊な領域でこの剣を手に入れた…氷元素の力を使ってみようか?)
七天神像に触れる
旅人:
(何が起きたのかは分からないけど…とにかく、剣の力が少し強くなったみたいだな。)
旅人:
(他の氷の七天神像を見つけたら、また試してみよう。今はアリョーシャを探しに行かないと。)
ゾルヌィ区に行き、アリョーシャに会う
タチシチェフ:
やあ、何か用かい?
旅人:
アリョーシャに会いに来た。
タチシチェフ:
はいはい、ちょっと待っててくれ。すぐに連絡しよう。
アリョーシャに会い、スヴェトロレドフカで起きた出来事と、後始末をする者がいない窮状について彼に伝えた。
アリョーシャ:
はぁ、オレも経験がある。スネージナヤ・グラードからの支援が意図的に遅れて来たり減らされたりすることはないが、待ってる数日間は本当にきつい。
アリョーシャ:
——すぐ届かない緊急救援物資なんて…どこが緊急なんだ、って感じだろ。
アリョーシャ:
いや、そうとも限らないな。スレトモロスクからクルースニク晶鉱が市場に流れ込む可能性が大きいと思う。
旅人:
スレトモロスク?どうして?
アリョーシャ:
オレたちがスレトモロスクのエネルギー問題を解決したのは、これまでずっと閉ざされてた水門を開けたようなもんだ。
アリョーシャ:
町の人に渡ったのは、今まで堰き止められてた分。使いたくても、暫くは使いきれない。
アリョーシャ:
晶鉱は溜め込んで少しずつ使っても問題ないし、エネルギー価格はまだ上がるだろうが…急に金が必要になるってこともあるだろ。
旅人:
だから市場に流通するのか…
アリョーシャ:
ああ。今の晶鉱の相場なら、一般人でも十分一儲けできる。
アリョーシャ:
旦那、オレの分の売上はどれぐらいだ?
タチシチェフ:
確認するから待ってくれ。その様子だと、自腹を切って晶鉱を買うつもりかい?
アリョーシャ:
ああ、売上だけじゃ足りないかもしれないから、ちょっと足して、買える分だけ買う。
アリョーシャ:
いや、いい。あんた、スネージナヤに来たばかりで、生活費もかかるだろ。輸送には、あんたの列車を借りるつもりだし。
旅人:
大丈夫、望んでやってることだから。
タチシチェフ:
ほら、モラは全部ここだ。さっさと市場を見てきな。晶鉱が売り切れるぞ。
アリョーシャ:
確かに、まずは見に行くか。
アリョーシャ:
どれどれ…ん?
旅人:
オデットがどうしてここに?
オデット:
アリョーシャ。それから…
旅人:
こ、こんにちは…
オデット:
こんにちは。
アリョーシャ:
あんたら、知り合いだったんだな。
アリョーシャ:
狩りだけじゃなくて、街で劇場の清掃や道具運びとかのアルバイトもやってるから…大スターのオデットとも面識はある。
アリョーシャ:
なにせ、この寒さだ。獲物を探し回るより、柔軟にやりくりしたほうがいい。
オデット:
ええ、私たちも時々、人手が足りなくなることがありますから。
旅人:
……
オデット:
……
アリョーシャ:
(スヴェトロレドフカの方は順調だったんじゃなかったのか?この気まずい雰囲気はなんなんだ…)
アリョーシャ:
オデットは小道具でも調達しに来たのか?
オデット:
いいえ。劇場に戻ってからも、スヴェトロレドフカのことが頭に浮かんできて、心が落ち着かず…踊りに集中できませんでした。
オデット:
だから、私にできることがないか、来て確かめようと思ったのです。
旅人:
君も諦めきれない?
オデット:
…ええ。あなたもそうですのね。
オデット:
執行官様の前で、自分の態度を表に出すのは賢明ではありませんわ…けれど、私のような一介のファデュイには、「厳冬計画」が何のためのものか知る由もありません…
オデット:
知ることができなければ納得もできません。納得もしていないのに、このまま成行きに任せるわけにはいきませんわ。
アリョーシャ:
ああ、今はそういう考えを持つ人も多い。手助けしようにも、いろんな懸念がある。それでロコットみたいな組織ができたんだ。
オデット:
ええ、一つの方法ではありますわね。けれど、そのような組織にはリスクも伴いますから、ファデュイは推奨しておりません。
アリョーシャ:
暴走しやすいし、暴走してからじゃ手が付けられなくなる、だろ…そんな事例もたしかに耳にしてる。
旅人:
(サンドローネは、オデットが「淑女」の称号を継ぐ最有力候補だって言ってた。もし継承できれば、「厳冬計画」の裏事情だって知れるだろうに…)
旅人:
(でも…今はまだ聞くのはやめておこう。何か事情があるのかもしれない。)
オデット:
考え事ですか?
旅人:
ううん…ちょっとボーッとしてただけ。
オデット:
きっとあなたも、立場は行動を制限する理由にならないと、考えていますわよね。私もそうですわ。だから…やろうとさえ思えば、何かしら方法はあると思うのです。
旅人:
うん。
オデット:
ロザリン様が他の国でしたことについては、存じておりますわ。あなたの判断は正しかった——どうかお気になさらないでください。
オデット:
あなたたちはこれからどうするおつもりですか?
アリョーシャ:
ここで晶鉱を仕入れようと思う。市場に出回ってるって聞いてな。
オデット:
奇遇ですわね、私もそのために来たのです。それなら、私が払います。任務の経費という名目で上に申請できますから。
オデット:
本質的に、これは救援が間に合わなかったために起きた問題です。自腹を切るより、上にお金を出させる方が合理的でしょう。
アリョーシャ:
確かに、かなり痛い出費だ。
旅人:
ありがとう。
オデット:
ええ…すべてくださいな。お手数ですが、領収書もお願いします。
オデット:
ええ、申請の種類は任務経費で。それから、説明欄には緊急の救援であったことを明記してください。そうでないと、通常の経費精算枠しか適用されません。
オデット:
それでは、この列車をお願いします。「厳冬計画」の期間中にクルースニク晶鉱を輸送する場合、発車の一時間前であれば車両を追加できる規定のはずですわ。
オデット:
これで問題ありません。列車はファデュイが守り、しっかり目的地へと送り届けますわ。
アリョーシャ:
オデットがファデュイとして仕事をしてるのは初めて見たが、舞台並みに手慣れてるな。
オデット:
それほどでもありません。ただ、幼いころからずっと、踊るのと同じくらい長くファデュイの業務に時間を費やしてきましたから。
旅人:
これで一安心だね。
アリョーシャ:
あんた、一日中外を走り回ってたんだろ?パイモンの様子を見に戻らなくていいのか?
旅人:
忙しすぎた…今から戻って見に行くよ。
オデット:
…パイモンとは、どなたのことですの?
アリョーシャ:
こいつの旅の仲間だ。スネージナヤに来たばっかりで…風邪をひいてしまったらしい。
オデット:
あなたにとって、大切な方なのですよね…そんな中で、スネージナヤ人の問題のために駆け回ってくださったなんて…
アリョーシャ:
どうせこの後用はないから、オレも様子を見に行こう。少しは良くなってるといいが…
オデット:
私もご一緒してよろしいかしら?ちょうどこの前、スヴェトロレドフカで飴をいくつかいただきましたの。風邪の症状を和らげる方法についても、少し心得がありますわ。
アリョーシャ:
よし、じゃあ行こう。
アリョーシャ:
(よく分からないが、わだかまりは消えたみたいだな…まあ、いいことだ。)
「セラーガーデン・レストラン」に戻る
シティン:
こんにちは。部屋の中で病人が休んでいるのですが、何かご用でしょうか?
アリョーシャ:
どういう状況だ?
シティン:
もしや、あなたが旅人さんですか?念のため、冒険手帳を見せていただけますか。それで身元を確認できると伺っております。
旅人:
はい。
シティン:
ありがとうございます。失礼いたしました、厳重に守るよう命じられていたもので。
シティン:
しかし、レストランの営業の邪魔もできません。かえってこの部屋が怪しまれ、余計な注目を集めてしまってもいけませんから。
シティン:
そういうわけで、私以外にも数名の同僚がレストランの内外に散らばって待機しています。全員私服ですのでご安心ください。
オデット:
すごい待遇ですのね…
シティン:
「公子」様から直接命じられた特殊任務ですから!責務はしっかりと果たして参ります。
シティン:
お引き留めしてしまいましたね…どうぞお入りください。
パイモン:
旅人、アリョーシャ!帰ってきたんだな!そっちは新しい仲間か?
オデット:
はい、オデットと申します。今日はしばらく、ご一緒しておりました。
旅人:
とても頼りになるファデュイの人だよ。
パイモン:
そうだったのか。おまえってつくづく、ファデュイに縁があるんだな。
旅人:
体の具合はどう?
パイモン:
良くなってきてる気がするぞ。あと数日も休めば、オイラも一緒に行けそうだ。あのお医者さんの診断は正しかったな!
パイモン:
でも、へへ…手足はまだちょっと冷えてる感じがするぜ。
オデット:
いいものがありますの。
パイモン:
わぁ、これはなんだ?氷の塊に包まれてる…炎?えっ、でも本物の氷か?全然溶けないし、火もずっと燃え続けてるぞ…
オデット:
よく観察されていますね、その通りですわ。「燃珀」というものです。
オデット:
以前、私も体を冷やしてしまったことがありましたが、これを枕元に置いておくとすぐに良くなりましたの。あなたにお貸ししますわ。
パイモン:
ありがとな!わぁ、なんだかぽかぽかするぜ。へへっ、本当に不思議だな…
パイモン:
えっと、オデット…だったよな。おまえたち、どうやって知り合ったんだ?
アリョーシャ:
だいぶ元気そうだな。安心した。
アリョーシャ:
調べてた件に、進展はあったのか?
アリョーシャ:
ああ。でも想定内だろ?あいつらは大きな情報は漏らさない。
アリョーシャ:
ロコット…
アリョーシャ:
…そうだな。
アリョーシャ:
ロコットのメンバーはみんな正体を隠してる。だが…もしかしたら一人、紹介できるかもしれない。
アリョーシャ:
ちょっと準備してくるから、明日コロレフスキー劇団に来てくれ。結果はその時だ。
オデット:
…何かお飲みになりますか?私、カウンターへ行ってまいりますわ。
パイモン:
いいのか?じゃあ、ホットミルクを頼むぜ。やっぱり温かいのを飲んだほうがいいと思うからな。
パイモン:
それから二人とも、こそこそ話してないで、オイラに今日あったことを聞かせてくれよな!
旅人:
分かった分かった。
パイモン:
へへっ、ちょっとテーブルトークシアターみたいだな。話を聞くのも、立派な冒険だぜ。
スヴェトロレドフカでの事件を無事解決した後、スネージナヤの現状と「厳冬計画」に対してますます疑問を抱くようになった。さらなる情報を集めるため、謎めいた「ロコット」との接触を試みた…
「コロレフスキー劇場」へ向かう
アリョーシャ:
来たか——チケットは手配しておいた。ロコットの件も準備できてる。
アリョーシャ:
公演が終わるまで待ってもらう必要があるが…構わないだろ?まだ、コロレフスキー劇団の公演は観てないはずだ。
アリョーシャ:
気にするな。入場はこっちだ。
クリシュ:
劇場の規則に従い、保安検査にご協力ください。
バレリー:
……
旅人:
(この人…ファデュイかな?誰かを待ってるみたい…?)
クリシュ:
——完了しました。ご協力ありがとうございます。こちらからご入場ください。
アリョーシャ:
どうしたんだ?
旅人:
警備がこれほど厳しいとは思わなかった。
アリョーシャ:
スネージナヤの大商人や要人も多く出入りしてる。検査が厳しいのも当然だ。
アリョーシャ:
だが今回はファデュイのオルジェイナヤ・パラタ直衛部隊まで来てる…一番後ろ——仏頂面で黙ってるヤツがいただろ。バレリーって男だ。
アリョーシャ:
彼も直衛の「特殊任務隊」所属だが…ここで見かける度にやってることは一つだけ。ミティヤってヤツを探してるんだ。
旅人:
誰?
アリョーシャ:
研究員らしいが、オフィスでじっとしてることがないらしい。劇場はヤツの一番お気に入りのサボり場所のひとつだ。
アリョーシャ:
まあ、オレたちには関係ない。行くぞ、そろそろ始まる。
劇場の公演を観る
アリョーシャ:
なかなか立派な劇場だろ?
旅人:
エピクレシス歌劇場を思い出すよ。
アリョーシャ:
ああ、フォンテーヌのか。有名だな。オレはまだ見たことない。
アリョーシャ:
ここだ…もう始まるぞ——悪い、ちょっと失礼。
旅人:
ごめんね。
チュグノフ:
ふん、開始間際にデカい声を出すな。
旅人:
(なんだか嫌な感じ…まあいい、気にしないでおこう。)
アリョーシャ:
ほら、来たぞ。彼女が今日あんたに紹介したい相手…劇団の首席歌手、ヴォジャニーツァだ。
あなたたちはヴォジャニーツァの公演を観覧した…
アリョーシャ:
ここから楽屋に行ける——すでに連絡してあるから、行こう。ヴォジャニーツァが待ってる。
アリョーシャと共に楽屋へ向かう
アリョーシャ:
——入っていいか。
ヴォジャニーツァ:
もう、まったく、イライラする…入っていいわよ!
オデット:
あら、あなたたちでしたのね。
旅人:
まさかここでも会うなんて。
ヴォジャニーツァ:
ん?あなたたち、知り合い?あ、もしかしてあなたの言ってた、昨日すごく印象に残ったって人?
オデット:
そのようなことは申しておりませんわ。
ヴォジャニーツァ:
なによ、急に知らんぷりしちゃって!あたしが例の陰気な工場主について愚痴る前、言っていたでしょう——
オデット:
今日は、どのようなご用件でいらっしゃったのですか?
アリョーシャ:
ああ、元々劇場の公演に誘ってたんだ。ヴォジャニーツァのパフォーマンスがすっかり気に入ったらしい。
アリョーシャ:
少し話す機会をもらえないかと思って。ついでにサインも…
オデット:
劇場で働く以上、規則違反であることは分かっているでしょう?楽屋は、そのようなことをするための場所ではありません。
ヴォジャニーツァ:
ふん、別にいいじゃない。サインね、すぐ書いてあげる。写真も撮っていいわよ。
オデット:
…あなたがいいなら、結構ですけれど。
オデット:
今日の演目はすべて終わりました。どうぞごゆっくり。
ヴォジャニーツァ:
サインも写真も本当のことよ!オデットは恥ずかしがり屋なだけ。
ヴォジャニーツァ:
オデットと同じように、あたしもあなたを高く評価しているわ。スヴェトロレドフカでのあなたの行動は正しかった。
アリョーシャ:
大丈夫だ——オデットはもう遠くに行った。ドアの鍵、閉めるぞ。
旅人:
どうして?
アリョーシャ:
ロコットの件は絶対秘密だからな。
ヴォジャニーツァ:
わあっ!ア…アリョーシャ、なんてこと言うの!よそ者もいるんですからね!
アリョーシャ:
慌てるな。もちろん、準備はしてる。これを見てくれ。
ヴォジャニーツァ:
リーダーからの返信ね、日付は…今朝。えっ、参加を承認!?
旅人:
俺の?
アリョーシャ:
昨晩、あんたはロコットから情報を得たいと言ったな。残念だが、ロコットの情報は内部のヤツにしか渡さない。
アリョーシャ:
ただ、あんたがスネージナヤに来てから、オレたちはずっと一緒に行動してた。あんたのやり方、人柄、動機…全部見てきた。
アリョーシャ:
どれもオレたちロコットのやりたいことと合致してる。だから、いっそもっと直接的な方法で…と思ったんだ。
アリョーシャ:
手紙を書いて、あんたの状況を手短にリーダーに説明したら、すぐいい返事が来た。
アリョーシャ:
当然、実際に参加するかどうかはあんたの意思を尊重する。
ヴォジャニーツァ:
オデットの言ってた通りなら…そして、あの子の見る目が確かなら、あなたはきっとあたしたちの身分をばらさないでしょうね…
ヴォジャニーツァ:
本当にびっくりしたわ。あたしを探していたのはそういうことだったのね。
ヴォジャニーツァ:
じゃあ…さっきの言葉はオデットがいたから、適当に言っただけ?本当はあたしの歌はそんなに…
旅人:
いやいや、本当にすごくよかった!
ヴォジャニーツァ:
ふふん、そうでしょうそうでしょう。
アリョーシャ:
一応、簡単に説明しとく。前にも言ったが、ロコットは誰もが正体を隠して秘密裏に行動している組織だ。
アリョーシャ:
組織のメンバー同士は基本的に会わないし、互いの正体も知らない。高い独立性と秘密性を保ってる。
アリョーシャ:
だからこそ、結果が組織の原則に反しない限り、メンバーは手段を自由に決めることができ…そこに一切の縛りを受けない。
ヴォジャニーツァ:
なにせ、表向きはみんな何の繋がりもないんだもの。何が起きたって、他の者を巻き込むことはないはずよ。
アリョーシャ:
どう動くかは自由——もちろん、やるもやらないも自由だ。ロコットのメンバーにだって、まだ何の行動も起こしてない人がかなりいる。
アリョーシャ:
だから、この組織に参加したとしても、スネージナヤでのあんたの行動を制限することは一切ない。
アリョーシャ:
興味があるなら、組織の原則を見てくれたっていい。身分を隠したままでいられるのをいいことに、悪さをするつもりがないならな。
ヴォジャニーツァ:
五、六回試したけど…一度も最後まで読めたことないわ。三流作家の書いた台本よりもくだらない。
アリョーシャ:
わかった。じゃあ正式な申請用紙を準備する。ちょっと待っててくれ。
ヴォジャニーツァ:
アリョーシャがトゥガリンという犬を飼っているのは知っているかしら?ある日、アリョーシャがトゥガリンを劇場の舞台裏に連れてきたのだわ。
ヴォジャニーツァ:
すごく懐いてくるものだから、あたし、一緒に遊んであげて、お肉も少し食べさせてあげたの。
ヴォジャニーツァ:
そしたら、ある日…ロコットの活動中、変装していたにもかかわらず、トゥガリンにバレてしまったのよ。
アリョーシャ:
偶然ってやつだな。だが、上には報告してない。面倒事はごめんだからな。
アリョーシャ:
たとえば…はあ、食っていくためにも、オレにはこの劇場の仕事が必要なんだ。
アリョーシャ:
そういや、さっき愚痴ってたみたいだが——チュグノフとの接触はうまくいったのか?
ヴォジャニーツァ:
順調だったら、あんなにイライラしないわよ!公演が始まる前に挨拶して、「イゼカ設備製造工場」の情報を聞き出そうとしたんだけど…
ヴォジャニーツァ:
全然乗ってこなかったのだわ。何を言っても、のらりくらり。
ヴォジャニーツァ:
それに文句まで多くて。普段はボックス席なのに、どうして今回は普通の席で、こんなに見にくい場所なのか、なんて言ってきて…
ヴォジャニーツァ:
当たり前でしょ?ボックス席に座りたいなら事前にチケットを買えと言うのだわ。一日前に手紙を送ってきたって、チケットはとっくに売り切れよ!
ヴォジャニーツァ:
あのチケットだって、苦労して手配してあげたのよ。ご機嫌取りにと思ったのに、結局なんの収穫もなしよ。
アリョーシャ:
まさか、チュグノフがあんな奴だったとはな…
アリョーシャ:
ああ、誰のことか分かってないか。今日、あんたの隣に座ってたおじさんだ。印象、よくなかっただろ。
ヴォジャニーツァ:
市民たちの印象では、親切で家族思いのいいオーナーなのですって。
ヴォジャニーツァ:
でも実際に接触してみると、善意と権利の区別もついていない。優遇は当然だと思っているのだもの。
ヴォジャニーツァ:
チケットのこともそうよ。前にボックス席を用意してあげたのはあたしの厚意だったっていうのに、感謝もしない。それどころか、今回は冷遇されたって思い込んでいるのよ!
ヴォジャニーツァ:
一度も!自分でモラを払っていないのによ!ふん!
旅人:
確かにそれはひどいね…
ヴォジャニーツァ:
家族思いですってぇ?それなら奥方と娘さんも連れて来いというのよ!一緒に来ているところなんて、一度も見たことないわよ!
アリョーシャ:
落ち着いてくれ、ヴォジャニーツァ。穏便に進まないなら、強硬手段に出るしかない。
アリョーシャ:
その前に、申請用紙の準備ができたから、記入してくれ。
「ロコット」の申請用紙に記入した…
ヴォジャニーツァ:
ええ!申請用紙はしかと受け取ったわ!
ヴォジャニーツァ:
いくつか不適切なところがあるから、あたしが直しておいてあげる…とにかく、申請用紙は受け取ったわ。
ヴォジャニーツァ:
これであなたもあたしも、同じロコットのメンバーね!さっそく教えてあげる——そのチュグノフが、あたしたちのターゲットなの。
ヴォジャニーツァ:
前にロコットがあいつの「イゼカ設備製造工場」を調査したのだけど——エネルギー消費量が基準を大きく超えていたわ。
ヴォジャニーツァ:
直接的な証拠さえ見つかれば、評議会に通報して、工場の操業停止を要求できる。
アリョーシャ:
ああ——そうすれば、クルースニク晶鉱を必要な場所に回せる。
ヴォジャニーツァ:
本当は日常会話からボロを引き出してやろうと思っていたのだけど、やつの口が堅すぎるのよ!今は別の方法をとるしかないわ。
ヴォジャニーツァ:
今夜、劇場のもう一人の常連客——ミティヤと会う約束をしているの。
旅人:
アリョーシャから聞いた名前…
アリョーシャ:
あっ…でもバレリーも来てたから、ミティヤを探してたんだと思う。となると、約束通りの時間に来られるかどうか、怪しいかもな。
ヴォジャニーツァ:
うふふっ、安心しなさい。バレリーごときを避けられなくちゃ、毎回の公演に時間通り来ることなどできないわ!
ヴォジャニーツァ:
ミティヤは有名なエネルギーの専門家なの。あたしたちは直接的な証拠は掴めないけど…さりげなく情報を流すことはできる。
ヴォジャニーツァ:
あの人が表立ってイゼカ設備製造工場の問題を指摘してくれれば、上もきっと重く受け止めて調査してくれるわ。
ヴォジャニーツァ:
あたしたちは現場に行けないけど、ミティヤにはその権限がある——だから、彼の協力を得たいの。
ヴォジャニーツァ:
ええ、それこそ、あたしたちのもう一つの目的よ…こちらの成功率はずっと低くなってしまうでしょうけどね。
ヴォジャニーツァ:
でも、ミティヤはあまり口が堅くないそうなの。ひょっとしたら、楽しくなればぽろっと口を滑らせてくれるかもしれない。
アリョーシャ:
どうだ?あんたにとってもいい話だろ。
旅人:
うん、一緒に行こう。
ヴォジャニーツァ:
わかったわ。それなら、あなたたちは近くの席で食事をするふりをして、重要な情報を記録してちょうだい。
ヴォジャニーツァ:
あの人は劇団のファンだから、あたしのことは警戒しないと思うわ。ただし、あなたたちは上手くやるのよ。怪しまれたら、何も話してくれなくなるかも。
アリョーシャ:
ああ、安心しろ。旅人とは息ぴったりだ。
旅人:
友達とおしゃべりするだけだもんね。
ヴォジャニーツァ:
そう、その意気よ!楽屋の片付けが終わったら、さっそく出発しましょう。
アリョーシャ:
分かった。どこを片付ければいい?
ヴォジャニーツァ:
全部よ。
「セラーガーデン・レストラン」へ向かう
アリョーシャ:
このところ、よく出入りしてたから、目立たないだろ。ここに座るぞ。
アリョーシャ:
あとはヴォジャニーツァの話術次第だな。
ヴォジャニーツァ:
あ、こっちよ!ミティヤ!
ミティヤ:
来る途中で少し手間取って、すまない。ただでさえ時間が少ないというのに…
ミティヤ:
デザートでも飲み物でも、好きなものを頼んでくれ。計画通りなら…あと二十五分は大丈夫だ。
ヴォジャニーツァ:
何をそんなに急いでいるの?おしゃべりしたかっただけだから、もっと時間に余裕のある午後に変えてもいいのよ。
ミティヤ:
ふふっ、首席歌手と会える機会は貴重だ。逃すわけにはいかない。
ミティヤ:
これまでも誘ってもらっていたが、あいにくいつも予定が合わなくてな。もしこの機会を逃したら、次はいつになるかわからない。
ヴォジャニーツァ:
あたしのために時間を作ってくれたのね。ありがとう。
アリョーシャ:
オレもわからない。だがスネージナヤにはこの手の不思議な物が多いから、みんな見慣れてて驚かない。「グライアイの眼」とパイモンもそうだな。
旅人:
そうなんだ。ここでなら動きやすそうだね。
ヴォジャニーツァ:
今日あなたをお茶に誘ったのは、劇団のファンの声を、直接聞きたかったからなの。
ミティヤ:
僕はすごく満足しているぞ。あなたの歌を聴くたびに、まったく新しい感覚を味わえる気がするんだ。
ミティヤ:
何度も聴いているうちに、細かいところまで気づけるようになったのかもしれないし、僕が聞くたびにあなたの表現が素晴らしくなってるのかもしれない。
ヴォジャニーツァ:
嬉しい言葉だわ。もっと詳しく聞かせてちょうだい。
ミティヤ:
うん、例えば今日の「樹氷の下で」は——
ミティヤ:
どうした?素晴らしい演目には、素直に賛辞を贈るべきだろう。
ミティヤ:
最初は冷たくて寂しい曲だと思っていたが、聴いているうちに、この「冷たさ」が伝えるのは虚無ではないと思えてきた。そう、まるでどん底から、また少し希望が芽生えてきたかのような——
ヴォジャニーツァ:
さすがの耳ね。作曲家と話したうえで、そういう歌い方を試してみたのよ。
ヴォジャニーツァ:
——でも、「樹氷の下で」は今日の演目になかったわよ。
ミティヤ:
えっ、そ、そうだったか!?あれは名曲…毎回あるだろう。
ヴォジャニーツァ:
ほとんどの時はね。
ミティヤ:
ああ…ははっ、じゃ…じゃああの曲の話でもしよう。「風に舞う」、歌劇「山と雀」の中の名曲だな。
ヴォジャニーツァ:
今日はその曲もなしよ。喉の調子があまり良くなかったから、急遽変えたのだわ。
ミティヤ:
えっ…そ、そんな…
ヴォジャニーツァ:
失礼だけど…ミティヤ。今日は本当に、劇場に…
ミティヤ:
もちろんだ!開演前にみんなにも挨拶しただろう?あなたと、オデットたちにも。
ヴォジャニーツァ:
なら、オデットは今日何を演じた?
ミティヤ:
「雪羽ガンの挽歌」——だろう?
ヴォジャニーツァ:
正解ね…なるほど、なるほど。
ヴォジャニーツァ:
とどのつまり…あたしの歌がつまらなかったから、一曲も覚えていなかったってわけね。次からは何曲か減らしたほうがよさそうだわ。
ミティヤ:
誤解だ、本当に誤解なんだ!
ミティヤ:
もういい——正直に言おう。すまない、今日あなたが舞台に上がった時、ちょっと考えごとをしていたんだ。
ミティヤ:
僕が公演を見に来るのが好きな理由は、あなたたちの見事な演技に色々と想像を掻き立てられて、いつも研究のインスピレーションが湧いてくるからだ。
ミティヤ:
だから…手元の仕事が行き詰まったら、気分転換に劇場へ来るんだ。
ミティヤ:
今日のオデットが踊ったあの「雪羽ガンの挽歌」は本当に最高だった。最近、彼女の中で何か新しい気付きでもあったのかと思うほどに…
ミティヤ:
ひどく悲しみつつも、決して頭を下げない姿を見て…急にインスピレーションが湧いてきて、ノートに没頭してしまったんだ。
ミティヤ:
さほど大きな進展があったわけではないが、それでも収穫はあった。我に返った時には、演目は…すっかり終わってて…
ヴォジャニーツァ:
つまり、あたしの歌はちゃんと聞いていなかった。でしょ?
ミティヤ:
これじゃ舞台の鑑賞になってないってことは分かってる。これとあなたの歌を見逃したのと、どっちのほうが罪が重いか…
旅人:
(なんだか雰囲気が…ん?)
旅人:
真剣な顔をして…どうしたの?
アリョーシャ:
ミティヤがヴォジャニーツァの地雷を踏んだ。彼女は昔から、自分のパフォーマンスを尊重しない人が好きじゃないんだ…
アリョーシャ:
せっかくの機会なのに、話がここで終わってしまったら…
ヴォジャニーツァ:
…ふんっ。
ヴォジャニーツァ:
まあいいわ。それも…一種の肯定だもの。少なくともあたしたちの演技が…とても心に響いたということでしょう?
ヴォジャニーツァ:
気にしないで。あたしも…気にしていないから。
アリョーシャ:
よく抑え込んだな…
旅人:
だね…
ヴォジャニーツァ:
あなたの気持ちは、オデットに伝えておいてあげるわ。
ミティヤ:
そんなこと言わないでくれ——あなたの演技もすごく好きなんだ。ただ今日はインスピレーションが訪れたタイミングが悪かっただけで…普段はしっかり聴いてるんだ!
ヴォジャニーツァ:
分かっているわ、ちゃんと。だからこそ、あなたの意見を尊重しているの。
ヴォジャニーツァ:
あいにくだけど、目の前で同僚が褒められるのを歓迎できないようなちっぽけな器は持ち合わせていないわ!
ミティヤ:
分かった。だが、やっぱり一言謝らせてくれ…
ヴォジャニーツァ:
ふん、ただ風雅を気取るために来る人たちのほうが、よっぽど話が通じないわ。吐き気がする。
ミティヤ:
そうそうそう、そういう奴はたくさんいるぞ。ひどいのになると、劇場を出ないうちから、見た演目を忘れているんだ。
ミティヤ:
どうした?…すごい形相だな。
ヴォジャニーツァ:
…知っているかもしれないけど、イゼカ設備製造工場のオーナーは、出資者でもないくせに、いつも出資側のメンバーと同等の特権を要求してくるのだわ。
ヴォジャニーツァ:
無条件のボックス席のチケット、上質なドリンク…さらには曲を指定する権利まで。
アリョーシャ:
さすがだ。流れに沿って、本題に戻した…
ミティヤ:
そう言われると…僕もあの人とは関わったことがあるが、なんというか…善良な企業家の代表だと言われている割に、あの人からはまったくそういうのが感じられないんだよな。
ヴォジャニーツァ:
でしょう!舞台で何が演じられているかなんて、あの人にとってはどうでもいいのだわ。自分の社会的地位を見せびらかしたいだけなのよ。それなのに、あんな人のために演目表を用意してあげないといけないなんて。
ヴォジャニーツァ:
あの人が経営してる工場って本当にそんなにすごいの?ちょっと聞いてみただけで、悪い噂をいっぱい聞いたわよ。まるで悪徳資本家みたい。
ミティヤ:
そうだったのか?
ヴォジャニーツァ:
ええ!真っ黒よ。激安賃金、超過労働、設備は夜通しフル回転…おまけに、スタッフはどんなインタビューを受けることも禁じられているんですって。
ヴォジャニーツァ:
「厳冬計画」が何度も延期されて、人々が生活に使う晶鉱もカツカツだというのに、そこにまで手を出して、私腹を肥やそうとしているとか…
ヴォジャニーツァ:
もし本当なら、重大な規則違反よ。
ミティヤ:
そうか…あなたも聞いていたんだな。
ヴォジャニーツァ:
なあに、深刻そうに。本当にそんなことがあるの?
ミティヤ:
はは、いや、僕もちょっと噂を聞いただけだが、どうやら根も葉もない話ってわけでもなさそうだ。
ミティヤ:
最近「雄鶏」様からの圧力がすごくてな…すべての晶鉱の流通を審査しろと言われてるんだ。おかげでエネルギー部門の同僚たちはてんてこ舞いだ…
ヴォジャニーツァ:
「雄鶏」様が?
ミティヤ:
ああ——晶鉱は自由な流通を許された資源だ。しかし、金持ちが無限に買い占めるのを放っておけば、貧しい人たちは凍え死んでしまう。それは明らかに不公平だ。
ミティヤ:
どうやら、イゼカ設備製造工場は早急に調査したほうがよさそうだな。
ミティヤ:
まさかあなたが、劇場の外のことにまで関心を持ってるとは思わなかった。本当に心優しい方だ…
ミティヤ:
群れを離れたフェイのほとんどは、人間に対して無関心だというのに。
ヴォジャニーツァ:
人の街で暮らそうと思えば、自然と世間の動乱にも注目するものよ。「雄鶏」様だってフェイでしょう?
ヴォジャニーツァ:
でも、あれだけ経験豊富な政治家も、「厳冬計画」にだけは手こずっている様子ね。一体何のための計画なんだか…
旅人:
(重要な話題に入った…)
アリョーシャ:
ミティヤも探りだとは気づいているだろうが、この雰囲気なら…何か話してくれるかもな。
ミティヤ:
はぁ、僕も頭を抱えている。僕の研究がもっと早く進んでいれば、厳冬計画が今日まで長引くこともなかったのに…
ヴォジャニーツァ:
あら、あなたの仕事と関係があったのね?
ミティヤ:
ああ。オルジェイナヤ・パラタにはまったく新しいエネルギーが必要なんだ。光界の力でも、元素力でもないものが。
ミティヤ:
条件を満たせるのは、今のところ「星の楔」に秘められた力くらいだな。
ミティヤ:
抽出から数量化、そして転換を試みるまで、どの段階でも膨大なクルースニク晶鉱が必要になる。
ミティヤ:
だが…研究は難航している。研究の進行に伴って、プロジェクトに参加している者たちもどんどん体調を崩している…しょっちゅう、ボーッとしてしまうようなんだ。
ヴォジャニーツァ:
エネルギー自体に副作用があるんじゃないの?
ミティヤ:
いや、僕たちには影響がない。このエネルギーは——
ミティヤ:
あああ、分かった分かった、首を絞めるなって、ゲホッ…すまない、これは言えないんだった。
ミティヤ:
恐らく、皆疲れているだけだ。これだけ長く研究しているのになかなか進展がないとなると、気落ちするのも無理はない。
ヴォジャニーツァ:
そう…ごめんなさい。真面目に公演を観ていないからと、怒ってしまって。
ミティヤ:
ハハ、気にしないでくれ。僕も…陛下により近い立場に行くより、今の立ち位置でいたいと思っている。少なくとも、重大な責任を負わずに済むからな。
アリョーシャ:
まったく新しいエネルギーに変換する…?
旅人:
これ以上聞けなくて、残念だね。
アリョーシャ:
ああ、あのマフラーに情報漏洩を防ぐ効果があったとはな。
ミティヤ:
しまった、こんなに経ってたのか。もう行かないと。
ミティヤ:
結局芝居のことは全然話せなかったな…すまない。
ヴォジャニーツァ:
気にしないで。楽しかったわ。
ミティヤ:
ああ、また今度…仕事のプレッシャーから解放されて、公演に集中できる日が来たら、また話そう。
ミティヤ:
今日ここで話したことは、内緒だぞ。
ヴォジャニーツァ:
うん、悪くない結果ね。
アリョーシャ:
上出来だ。ただ、ミティヤはなんであんなに急いでいたんだろうな。
バレリー:
ご迷惑おかけします——定期検査に伺いました。
旅人:
あれは…バレリー?
バレリー:
……
バレリー:
行こう。
ヴォジャニーツァ:
最初から仕事のためじゃなくて、二十五分後にバレリーに見つかってしまうことを計算してたってこと?いくらなんでも正確すぎるでしょう…
アリョーシャ:
重要人物が「常に」予定通りに動くのを担保するのも、「特殊任務隊」の仕事の一つだ。
旅人:
ミティヤの「天敵」みたいだね。
ヴォジャニーツァ:
さて、あたしたちもそろそろ行きましょうか。ねえ、お会計をお願い。
アリョーシャ:
オレたちも払うか。
ネフェドフ:
ミティヤさんから、お代はいただいております。
ネフェドフ:
また——ヴォジャニーツァさんおよびお二人とお茶をご一緒できて大変光栄だった、とのことです。
アリョーシャ:
これは…
旅人:
(俺たちに気づいてたんだ…これは、一筋縄ではいかない相手だな。エネルギーの件も、もしかしてわざと俺たちに聞かせたのか?)
旅人:
(彼の仕事内容自体は大した機密じゃないのかもしれない。重要なのは、新エネルギーの用途…うん、少なくとも方向性は見えた。)
ミティヤは去っていった…
旅人:
(ヴォジャニーツァもアリョーシャも行っちゃったし…今日はひとまず帰って休もう。)
部屋に戻って情報を整理する
パイモン:
おかえり、今日は早かったな。
旅人:
体調はどう?
パイモン:
ちょうど言おうと思ってたんだ。目が覚めた時にはもう熱はすっかり下がったけど、まだあんまり力が出なくて…
パイモン:
でも、いい知らせもあるぞ。不調の原因が、なんとなくわかってきた気がするんだ。
パイモン:
なんというか、不思議な力がオイラに影響してる感じなんだ…今まで他の国じゃ、こんな感覚全然なかったのにな。
パイモン:
でもスネージナヤに着いた途端、そういう感覚が出てきたんだ…
旅人:
不思議な…力…?
ミティヤ:
ああ。オルジェイナヤ・パラタにはまったく新しいエネルギーが必要なんだ。
旅人:
(もしかして、あれが原因なの?)
パイモン:
どうしたんだ?なにか心当たりがありそうな顔だな。
旅人:
今日知ったばかりなんだけど——
パイモン:
なるほどな、スネージナヤは新しいエネルギーを研究してて…そのせいでオイラの具合が悪くなったのかもってことか。
旅人:
うん。
パイモン:
研究に参加してる人の集中力が切れたり、一時的に記憶が飛んだりすることはあるけど、ミティヤはそのエネルギーの副作用を否定してるんだよな。
パイモン:
どっちにしても、オイラの症状とは違うぞ。
パイモン:
かすかに感じ取れる程度だけど…オルジェイナヤ・パラタのほうから感じる気がするぞ。
旅人:
なら、なおさら研究目的を知る必要がある。
パイモン:
確かにそうだな、オイラも賛成だ。でも、ロコットが持ってる情報も限られてるし…
パイモン:
ああ、いつも厳冬計画のことで揉めてるって言ってたもんな。もし参加できたら、手がかりがたくさん手に入るかもしれないぞ。
旅人:
アリョーシャに手紙を書こう。
パイモン:
そうだな!あっ、そういえば…おまえが出かけてる間に、セラーガーデン・レストランで気になってたデザートを全部食べてみたんだ。
パイモン:
これは絶対おまえも気に入ると思ったから、とっておいたぞ!手紙を書き終わったら食べてくれよな。
「スネージナヤ皇都評議会」へ向かう
ミロノワ:
まさかこんな所でコロレフスキー劇団のプリマドンナ、ヴォジャニーツァさんにお会いできるとは。評議会の傍聴にいらっしゃったのですか?
ヴォジャニーツァ:
悪いけど、今日はインタビューを受ける気はないの…
ヴォジャニーツァ:
旅人、来たのね。もうすぐ始まるから、早く中に入りましょ。
ミロノワ:
お待ちください、ヴォジャニーツァさん…!そちらの新しいお友達をご紹介いただけませんか!?
観客席で傍聴する
着席して間もなく皇都評議会が正式に開始され、「厳冬計画」を継続すべきか否かの議論は最後に回された。
「雄鶏」——プルチネッラがエネルギーに関する複数のデータを発表すると、会場の重苦しい雰囲気は一変し、にわかに活気づいた。
「雄鶏」:
——以上を総括すると、前期におけるエネルギー管理に関する公約は概ね果たされ、晶鉱の生産と消費は安定傾向にある。
「雄鶏」:
専門機関の評価によれば、来期までは現状を維持できるそうじゃ。詳細なデータについては、配付した産業報告書を見てもらいたい。
「雄鶏」:
指摘せねばならんのは、遠方の魔物が引き起こした吹雪により、民のエネルギー支出が大幅に増加した点じゃ。じゃが、これは短期的なことに過ぎん。
「雄鶏」:
この件は女皇陛下が早急に対処なさるじゃろう。わしらは確固たる信頼をもってその対応を見守っておればよい。
「雄鶏」:
被災地支援に関する財務説明も、パンタローネの作成したものが今期の報告書に記載されておる。
旅人:
なんだか騒がしくなってきたね。
ヴォジャニーツァ:
はぁ、真面目に定例報告をするのは「雄鶏」様だけ。誰一人として真剣に聞いてないわね。
ヴォジャニーツァ:
みんなに足りないのは信頼と、それぞれが得られる利益なのよ。なのに、報告書では一切そのことに触れてないわ。
ミロノワ:
ええ、あんな書類さえなければ、適当にでっち上げることもできますのに。
ミロノワ:
お気になさらず!インタビューのノルマが少々あるだけですので。『クワスを一杯!』はお読みになられましたか?発行部数堂々一位の新聞ですよ。
ヴォジャニーツァ:
あたしの記憶が確かなら、あなたたちには販売許可が下りていないから、露店でしか売れないはずだけど…
ミロノワ:
たとえ露店でも、一位は一位です!名実ともに!
「雄鶏」:
静粛に。
「雄鶏」:
続いて、代表の発言へ移る。この他に有意義な議論がなければ、本議題に対する投票を開始する。
「公子」:
スネージナヤでは昔から、ファデュイの隊員とその家族は優遇措置を受けてきた。
「公子」:
だけど最新の調査結果では、辺境出身の隊員の家庭が購入できる晶鉱の量は、スネージナヤ・グラードに住む一般人より15パーセントも少ないらしい。
「公子」:
これも、これまで何度も論じられてきた問題だね——すべての晶鉱は理にかなった配分にしないと、民衆の不満は募るばかりだよ。
「富者」:
何度言っても聞く耳を持ってくださらないのですね…この世に絶対的な根拠など存在しません。公平というのは、相対的なものなのですよ。
「富者」:
分配の過程など、生産量と人口の単純な計算に過ぎないとでもお思いなのでしょう。生産設備が故障する可能性を考慮したことはありますか?
「富者」:
それに、スネージナヤが最後に人口統計を取ってから、どれほどの時間が経過したかをご存じですか?
「公子」:
専門的な問題で君と張り合うつもりはないよ。そんなことをしたら、「富者」が二人になっちゃうからね。
「公子」:
俺が注目してるのは問題そのものさ。これまで推進されてきた優遇措置自体を否定するつもりなら話は別だけどね。
「富者」:
異を唱えるだけの者というのは、総じて無責任なのです。四六時中「厳冬計画」の中止を叫んでばかりいる者たちとまったく同じだ。
「富者」:
まるで一人の「諸悪の根源」を打倒しさえすれば、あらゆる問題が解決するとでも思っているかのようです。
「富者」:
念のため言っておきますが、「厳冬計画」が継続されようがされまいが、報告書のページは一枚たりとも減らしませんよ。
「公子」:
つまり、この問題をどうにかする気はないってこと?
「富者」:
これまで問題を解決してきたのは、私だけでしょう?
ミロノワ:
——「公子」が先陣を切って兵士たちのために声を上げたところ、「富者」が優雅に反撃!激しい舌戦が幕を開けました!
ミロノワ:
さっそく現場の傍聴人にインタビューを行いたいと思います。「あなたはどちらを支持しますか?」
ミロノワ:
仰る通りです!「公子」は満場の喝采を浴び、立て続けの詰問で「富者」を窮地に追い詰めました。実に珍しい状況です。
ヴォジャニーツァ:
どうしてこの新聞に販売許可が下りないか分かったでしょ?
旅人:
うん…
旅人:
(でたらめな報道はさておき…俺の記憶だと、初めて璃月で会った時のタルタリヤは「北国銀行」の代表だった。)
旅人:
(少なくともあの頃は、二人の関係はここまで険悪じゃなかったはず…)
「傀儡」:
アナタたち、話が逸れているわ。データの話に戻るわよ。
アラポフ:
パンタローネ様、私に説明させていただけませんか?
「富者」:
ええ、お任せします。この頃少し発言の機会を減らしたいと思っていたところです。
アラポフ:
分配の更新は毎期行われておりますが、その目的は最も合理的な分配方式を見つけ出すことです。この点はタルタリヤ様のおっしゃる通りです。
アラポフ:
しかし、多くの人が一部の過激な者たちに惑わされています。明確にしておかなければならないのは、「厳冬計画」は問題の根本的な原因ではなく、あくまでも分配の枠組みの一つに過ぎないということです。
アラポフ:
最近の各報告でも示されている通り、スネージナヤは強靭な忍耐力と適応力を備えており、この枠組みも徐々に成熟しつつあります。
アラポフ:
リスクを考慮せずに大幅な調整を行えば、逆効果になりかねず、これまで模索してきた経験が再び水の泡になる恐れがあります。
ミロノワ:
続いて立ち上がったのは著名な金融学者アラポフ!財務の論理について述べました!その内容は、明らかにロコットなどの社会組織を示唆するものでした。
ミロノワ:
特に物議を醸している「レーレク」は今なお活動を続けていますが、これに対して責任を負うべきはロコットなのでしょうか?いいえ、糾弾されるべき者は他にいるはずです!
ヴォジャニーツァ:
今度は「富者」様の言葉を言い換えただけ——ロコットこそが、あいつの言う「無責任な」反対者なんだもの。
ヴォジャニーツァ:
そして「レーレク」は…あなたは初耳だと思うけど、今のロコットで最も名高い…いや、悪名高いメンバーよ。
ヴォジャニーツァ:
厳冬計画中止に懸けるあいつの執念は、もはや常軌を逸しているわ。それに、あたしたちほどのお行儀のよさはないし、議会で重要なのは投票だけだと思っているの。
ヴォジャニーツァ:
脅迫、扇動、賄賂…どんな手段を使ってでも、議会参加者の投票先を変えさせようとしているのよ。
旅人:
そんな人もいるんだ…
ミロノワ:
せっかくなのでお聞きしますが、あなたは「レーレク」を支持しますか?
ミロノワ:
その通り、その通りです!「レーレク」の支持者はますます増えています。私たちこそが「彼」の強固な支持基盤なのです!
「公子」:
まともに話せる人もいるみたいだね。ちょうど俺もその問題について考えてたんだ。そして君たちが必要としてるのは、もっと正確な現地のデータだろう?
「公子」:
それはファデュイに任せてくれればいい。もともと晶鉱の輸送はこちらの担当だ。データ収集の仕事も兼任できるはずだよ。
「公子」:
ほかにも必要なことはすべて、ファデュイに調べさせればいい。監督は冬契軍がうってつけだと思うよ。本当はこの件についてヴェスナに相談したかったんだけど、いないみたいでさ。
アクウィリーナ:
ひとまず私が意見を取りまとめ、ヴェスナ様がお戻りになってから判断を仰ぐのはいかがでしょうか。
アクウィリーナ:
「厳冬計画」については、あの方も常に気にかけておられます。ですが、冬契軍はただでさえ本来の任務で多忙を極めており、実質的な支援を行うことは恐らく難しいでしょう。
「雄鶏」:
確実に実行可能な案も出ておらんのに、軽率な憶測を口にするでない。
アクウィリーナ:
失言でした、「雄鶏」様。
「雄鶏」:
いかに人員を配置し、いかに時間を管理し、いかに報告制度を確立するか…まだ多くの問題が残っておるが…
「雄鶏」:
計画の起草には賛成じゃ。通常の政務プロセスで進めるとしよう。その際に、別の議題として各方面で評価すればよい。
シャロワ:
でしたら、案を提出する前に私に考えがあります。先ほど、既存の報告書は即時性に欠けるという話が出ましたが、それは公式の報告書を指しているのですよね。
シャロワ:
我々エネルギー協会でも各町および周辺の状況に基づき、定期的に統計を出しております。これを活用できないでしょうか?
「傀儡」:
悪くないわね。スヴェトロレドフカの報告書なら、ワタシも毎期確認しているわ。注目しているのは設備の稼働部分だけど、エネルギー消費量から多くのデータを逆算できるのよ。
「雄鶏」:
じゃが、地方のデータを基に晶鉱の割り当てを決めるとなると…長期的なリスクが高い。
「富者」:
北国銀行本部の報告と照らし合わせますので、私を騙すことなど不可能です。それに、これはあくまで参考に過ぎませんから。
「雄鶏」:
よろしい。この方針での処理に異論はないな?
「公子」:
ああ、賛成だ。
ミロノワ:
各議員は、ファデュイの兵士の待遇改善という議題について大筋での合意に至りました…ふぁあ…
旅人:
(メモを取っていた記者が、すべての内容を線で消し、何かを書き直してる…?)
ミロノワ:
本日、「コロレフスキー劇団」のプリマドンナが、凛々しい風采の若き青年と共に皇都評議会に出席した。二人の関係はただならぬもので…
ヴォジャニーツァ:
またそんな記事を書くつもりなら、劇団のインタビュー許可も取り消してあげましょうか?
その後の議論は、エネルギー、医療、科学技術、工業など多岐にわたり、各方面がこれを機に「厳冬計画」に対する姿勢を表明した。
ミロノワは尾ひれのついた記事を書き続けている。もはや彼女自身のことは相手にしていないが、実際に現場に赴くより彼女の記事を読むほうが面白いのではと思い始めていた。
「雄鶏」:
それでは、他に発言する代表がいなければ、最後の投票に移る。
ヴォジャニーツァ:
ほら、見て、見て!
旅人:
あれは…チュグノフ?
ヴォジャニーツァ:
なぜ、今になって反対票を…?
「雄鶏」:
集計が終了した。「厳冬計画」の継続への賛成票は61パーセントで、すでに過半数を超えておる。
「公子」:
(今回は本当に危なかった…前回よりまた数パーセント減ったし、チュグノフの反対票が大きく響いたな…)
「傀儡」:
(「レーレク」の仕業ね…プルチネッラはまだ何か手を残しているのかしら。)
「富者」:
(チュグノフが…なるほど、「レーレク」ですね。)
ミロノワ:
(さすが「レーレク」ね!「厳冬計画」を中止に追い込めれば、「レーレク」を支持し続けてきた『クワスを一杯!』は大儲けよ!あはは、勝ったも同然じゃない!)
「雄鶏」:
投票の結果に従い、「厳冬計画」は次回の評議会開催まで継続とする。皆、肝に銘じておくように——
「雄鶏」:
「我らは議論する——オーロラと凍土を永らえさせ、栄光と団結を築き上げるために。」
「雄鶏」:
これにて散会とする。
ヴォジャニーツァと会話する
ヴォジャニーツァ:
まさかチュグノフが「厳冬計画」に反対票を投じるとはね。
旅人:
そんなに意外なことなの?
ヴォジャニーツァ:
ええ。理屈から言えば、スネージナヤの大商人や政府の要人たちこそ、一番反対しそうにない連中なんだけど。
ヴォジャニーツァ:
あなたもさっき聞いたでしょう?「厳冬計画」の本質はただの分配の枠組みの一つであって、みんなで冬を乗り越えるよう求めるものなの。
ヴォジャニーツァ:
たとえこの政策が廃止されようと、女皇陛下は相変わらず同じだけのエネルギーを消費する。そうなれば、必然的に不足分は工場に補わせることになるでしょうね。
旅人:
なるほど…
ヴォジャニーツァ:
ミティヤが評議会の前に手紙をくれたのよ。やっぱりイゼカ設備製造工場には、時間外生産と過剰なエネルギー消費の問題があると書いてあったわ。
ヴォジャニーツァ:
本来なら、「雄鶏」様が報告を受け取り次第、工場に操業停止と審査を求め、処罰が下されるんだけど…
ヴォジャニーツァ:
それには少なくとも一週間はかかるから、今回の評議会には間に合わないわね。今のところ、あたしたちも相手に悟られるような真似はしていないはず。
旅人:
生産停止か減産の二者択一ってことだね…
ヴォジャニーツァ:
ええ、あいつがとっても自分勝手なのは、あなたも知ってるでしょ。
ヴォジャニーツァ:
元々あたしは、正式に処罰の通知が出た後、あいつをそそのかしてこの件は不公平だと思い込ませるつもりだった。
ヴォジャニーツァ:
自分だけ生産を止めて損をするくらいなら、「厳冬計画」そのものを中止したほうがマシだってね。そうすれば、すべての工場のエネルギー消費が制限されて、誰も儲からなくなるもの。
ヴォジャニーツァ:
けど、あいつは反対票を投じた…ということは、何者かがもっと直接的な手段で、他の人たちと同様に票を変えさせたということ。
旅人:
「レーレク」のこと?
ヴォジャニーツァ:
ええ。なぜ「レーレク」がそこまで厳冬計画に執着するのか、誰にも理解できないけど…今の状況からして、あいつは着実に目標達成に近づいているみたい。
旅人:
(それほどの行動力があるなら、それに見合う強い動機があるはず。もしかしたら、「厳冬計画」の内情を知っている人物なのかも。)
旅人:
(次は「レーレク」に的を絞って調べてみよう。)
ヴォジャニーツァ:
さて、これからどうするつもり?あたしと一緒に帰る?
「公子」:
やあ、相棒。壇上から君の姿が見えたよ。
「傀儡」:
アナタ、政治にも興味があったのね。
ヴォジャニーツァ:
執行官のお二人、ごきげんよう。今日はたまたま暇を持て余していたところ、この新しい友人が評議会に興味を持っていたから連れてきたの。
「公子」:
分かった、きっとオデットが紹介したんだろう。ハハッ、どうやら君は彼女とも仲良くやってるみたいだね。
ヴォジャニーツァ:
それじゃ、ごゆっくり。あたしは先に劇団に戻っているわ。
「傀儡」:
ええ、次の公演も成功するといいわね。
「傀儡」:
興味を持っていた、ね…ふふっ、あの一筋縄ではいかない旅人が、興味だけであちこち走り回っているわけがない。そうでしょう?
「公子」:
あいつを得体が知れないと思うヤツもいれば、歯ぎしりするほど憎んでるヤツもいる。
「公子」:
当時のロコットで無名だった人物が、これほどの波乱を巻き起こすなんて、誰にも想像できなかっただろうね。
「公子」:
ん?調査したいって?ハハッ、それならヤツの素性が暴かれるのも時間の問題だ。どう思う、サンドローネ?
「傀儡」:
構わないんじゃないかしら。もし旅人が本当に「レーレク」をあぶり出せるなら、プルチネッラの手間も省けるというものよ。
「傀儡」:
アイツを捕まえることができたら、ワタシたちが情報を引き出して、アナタに共有してあげる。
「公子」:
それがいい。じゃないと、俺たちは恩知らずになっちゃうからね。
「公子」:
君、グルポフに戻って「レーレク」に関する資料を取ってきてくれ。通行手続きを申請するより、そのほうが話が早い。
リカチョフ:
かしこまりました、「公子」様。
「傀儡」:
それじゃあ、ワタシも誰かにお茶を用意させようかしら。どうせ待っているだけだもの。
「公子」:
「レーレク」が関与した事件は多くあるけど、当事者たちは情報を語りたがらない。きっと脅されてるんだろうね。
「公子」:
ヤツは音もなく現場に潜入し、脅迫状を置いていくけど、手紙にも現場にも追跡の手がかりは一切残さないんだ。
「公子」:
だから、資料にも当事者のちょっとした証言しか記録されてなくて、得られる情報もかなり限られてる。
「傀儡」:
でも…少なくとも、追跡のかわし方を心得た手練れだってことは分かるわね。
「公子」:
ああ。それに、事件はかなりの割合でセキュリティレベルが特に高い場所で起きている。ほら、地位や権力を持つ連中ほど、安全を重視するだろ?
「公子」:
でも、そんな彼らの部屋にも「レーレク」は物音一つ立てず入り込めるんだ。目撃されたことも、侵入の痕跡を残したこともない。
「公子」:
そんなことができるなら、手を下すこともできるはず…実際に前例はないけど、そう考えさせられるだけで、連中を夜も眠れないほど怯えさせるには十分なのさ。
「公子」:
これほど完璧な潜入ができる人間がいるとは考えにくいから、フェイのほうも調査したけど…残念ながら、収穫はなかった。
旅人:
タルタリヤでもできないの?
「公子」:
おいおい、俺を見くびってるのか?ただ、俺のやり方は直接的すぎるから、「ボロを出さない」って点では難しいかもな。
「傀儡」:
ええ——だから、可能性を完全に否定しているわけじゃないわ。ただ、これほどの技量を持つ人間はテイワット中を探してもそう多くはないのよ。フェイならば異能を持つけれど、彼らにはその動機がないもの…
「公子」:
正しくは「俺よりほんの少し格下で」だ。そんな考えじゃ、到底正体を突き止められないよ。
「公子」:
痛いところを突くなあ。確かに彼は強いけど、せめてスネージナヤと関わりのある人を挙げるべきじゃないか?
「傀儡」:
旅人は大まかな人物像を推定しているだけよ。誰が強いか弱いかなんてことは、どうでもいいの。
「公子」:
それが一番重要なことなんだよ、俺にとってはね。
旅人:
分かったよ、基準を二段階下げてみる。
「傀儡」:
オデット?ええ、確かにイメージに近いかもしれないわね。技量は申し分なく、冷静でもあるわ。
「公子」:
ただ、彼女はファデュイだから立場的にあり得ないかな。けど、少なくともさっきよりはずっといい線いってるよ。
「傀儡」:
…いいえ、待って。仮に、その前提を無視してみたらどうかしら?
「公子」:
前提を無視?ってことは…
「傀儡」:
ファデュイという身分は完璧な隠れ蓑とは言えないわ。それに考えてみなさい、ロコットは都合よく身元を隠してくれるのよ。
「公子」:
つまり、痕跡を残さないほど手口が巧妙だったわけじゃなくて、ファデュイ内部の動向を把握し、最適なタイミングに行動できたから…
「公子」:
おっと、ただの仮定のつもりだったのに、だんだんそれっぽく思えてきたね。
「公子」:
でも、オデットにそこまでして「厳冬計画」を中止させたい理由があるだろうか?
「傀儡」:
残念ね。オデットを一番よく知っているのはアルレッキーノだけど…まだ戻ってきていないわ。
旅人:
アルレッキーノが?
「傀儡」:
以前、オデットとの接し方に悩んだロザリンが、アルレッキーノに相談したことがあったのよ。
「傀儡」:
アナタも知っての通り、アルレッキーノは子供の扱いが上手でしょう?
「傀儡」:
そうして助言を受けたおかげで、ロザリンはスネージナヤを発つ前にオデットと和解できたの。永遠の未練を残さずに済んだってわけね。
「傀儡」:
それから…ワタシも詳しくは把握していないけれど、オデットが「厳冬計画」を恨む理由があるのは確かよ。
「傀儡」:
——彼女の父親は、初期の「厳冬計画」の任務中に命を落としたの。
「傀儡」:
その頃はまだ準備段階で、「厳冬計画」という名前もなかったけれど、内容は明確に引き継がれているわ。
「公子」:
そんな事情があったのか…ロザリンは自分中心!って感じだったから、オデットを気にかけ始めた時は、少し不思議に思ってたんだ…
旅人:
タルタリヤも知らなかったの?
「公子」:
ハハッ、君も知ってるだろ?俺とロザリンは親しいとは言えなかった…たまたま何度か一緒にお茶したことがある程度の関係さ。
「傀儡」:
オデットの過去についてはみんな知っているわ。当時、彼女の父親はファデュイの一員で、母親は著名なバレリーナだったの。
「傀儡」:
両親から仕事を受け継いだ子供のように思えるけれど…実情は全く違うわ。
「傀儡」:
父親が亡くなった後、母親は悲しみに暮れるあまり公演中に足を骨折し、二度と踊れなくなったのよ。
「傀儡」:
元々、オデットはバレエ以外に関心はなかったわ。けれど、働き手を二人とも失った彼女の家庭は、生活を維持することすら困難になったの…
「傀儡」:
カピターノは、任務中に亡くなった隊員の遺族には、適切な保護と十分な援助を与えるべきだと主張してきた。
「傀儡」:
だから、ロザリンは本意でなくとも、オデットの生計の問題を解決しなければならなかったのよ。その最終的な手段が、彼女をファデュイに入隊させることだったんでしょうね。
「公子」:
よく分かったよ。入隊しなければ、一度きりの弔慰金しか受け取れない…そう考えると、確かにファデュイに入った方がいい。
「公子」:
でもそれってつまり、オデットは好きでファデュイの一員になったわけじゃないってことかい?
「傀儡」:
あくまで推測よ。そういう可能性もあると言っているだけ。けれど、オデットが「レーレク」になった動機としては成立するでしょう。
「傀儡」:
彼女が何を考えているのか、ロザリンとどんな確執があったのか、それはワタシにも分からないわ。
「傀儡」:
ロザリンと折り合いが悪かった人間なんて、ごまんといるもの。そんなの全部把握してられないわよ。
旅人:
「淑女」は和解したがってたんだね…
「傀儡」:
ええ。今となってはどうしようもないけれど。
「公子」:
「レーレク」の話に戻るけど、今まで調査の成果はほとんど出てないんだし、新しい方向性を探ってみても損はないだろう。
「公子」:
本当は、明日トーニャと一緒にオデットのプレビュー公演を見に行く予定だったんだ。けど残念なことに、「レーレク」の件で残業しなきゃならなくなった。
「公子」:
だから、俺の代わりに君が行ってくれないか?せっかくのチケットがもったいないし、トーニャにも会えるんだよ。
旅人:
プレビュー公演?
「傀儡」:
ええ、「精霊をたずねて」のね。オデットの母親の家系に代々受け継がれてきた古典的なバレエの演目なんだけど、長い間上演されていなかったの。
「傀儡」:
けれど、オデットが懸命に練習を重ねたことで、ついにリバイバル上演されることになったのよ。人々は強い期待を寄せていて、本公演のチケットはとっくに完売しているわね。
「公子」:
トーニャもすごく興味を持ってて、どうしても見たいって言うんだ。俺にはよく分からないけど、兄として妹の願いは叶えてやらないとね。
「傀儡」:
ワタシは何度か見たことがあるわ。ストーリーは比較的シンプルで、主人公が魂の残した痕跡を辿って、少しずつ記憶を取り戻していくの。
「傀儡」:
「愛と後悔」がテーマの演目なんて、今となっては目新しさはないけれど…
「傀儡」:
それでも、馴染み深い旋律が響き、主人公が舞うたびに、やっぱり美しい光景だと感じるわ。
「傀儡」:
あの感覚を踊りで表現するのは相当難しいはずよ。この演目で踊ることがオデットの夢だということは分かるけど、本当に準備はできているのかしら。
「公子」:
だったら…もしオデットが本当に「レーレク」だったとしても、対処するのは公演が終わってからにしよう。
「公子」:
この件は君に任せたよ、相棒。
「セラーガーデン・レストラン」に戻る
パイモン:
今日だけでそんなに情報が手に入るなんてな。へへっ、本当に順調そうだ。
パイモン:
明日は、また劇場に行ってオデットに話を聞くんだな。
パイモン:
でも、オイラにはあいつが悪いやつだとは思えないぞ。たくさん過激なことをしてたとしても、なにか理由があるんじゃないか?
パイモン:
これはただの直感みたいなものだけど…うーん、それだけのことができるなら、もっと手荒な手段のほうが効果的だろ?
パイモン:
たとえば、手紙以外にも…まあ、相手が約束を破れなくする方法なんていくらでもあるだろ?でも、そうしなかった…
パイモン:
ってことは、やっぱりあいつなりのルールがあるってことだよな。
旅人:
俺も信じたい。
パイモン:
うん、とにかく、大事なのは事実だぜ。
旅人:
体調はどう?
パイモン:
特に変わりないな。ただ、昨日話したあの感覚がもっとはっきりしてきたみたいだ。
パイモン:
はぁ、毎日おまえの話を聞いてると、心がうずうずしてきちゃうぞ。おまえと一緒に冒険して、同じことを経験したくなるんだ。
旅人:
安心して、ちゃんと解明するよ。俺だって、パイモンがいないと調子が狂うからね。
パイモン:
へへっ、仕方ないな。それまでオイラは大人しく休んでるぞ。
旅人:
(もしオデットが「レーレク」なら、厳冬計画の詳しい情報を持ってる可能性が高い…)
旅人:
(彼女の父親は「厳冬計画」初期の任務で命を落とした。そして今、彼女自身は「厳冬計画」を廃止させようとしてる…)
旅人:
(女皇の真意を知ってなければ、これほどのことはできないんじゃないかな。)
旅人:
(彼女がファデュイとして俺と話した時、どれだけのことを語り、どれだけのことを隠してたんだろう?)
旅人:
(…明日、すべての答えが分かるかもしれない。)
パイモン:
ほら、外は雪が降ってるぞ。明日は大変かもしれないから、おまえもちゃんと暖かくして休めよ。