arrow_back 原神 クエスト
空月の歌 第七幕

冬の夜、ある旅人が


無月の夜
仲間とナド・クライの未来を賭けた戦いは、すでに幕を開けた…
秘聞の館に行く
パイモン:
みんな揃ってるみたいだな!
ファルカ:
ああ、こっちは準備万端だ。旅人、パイモン、お前たちはどうだ?
パイモン:
バッチリだぞ!
ファルカ:
よし。さっそく本題に入るとしよう。
ファルカ:
そんじゃ、まずは…
ヤフォダ:
待った!
ネフェル:
誰かいるみたいだね。
ネフェル:
足音が隠せてないよ。ただ…
フリンズ:
敵意は感じられませんね。しばらくそこにいらっしゃるようですが、もしや旅人さんについて来たんでしょうか?
ネフェル:
入ったらどうだい?
ゲディミナス:
やはり簡単にバレてしまいましたか。
ゲディミナス:
「召使」様の命により、伝言をお届けに参りました。
「召使」:
ドットーレはスネージナヤに戻ると思われたが、そうではなかった。そしてクーヴァキ実験設計局にも、ナシャタウンにも姿を見せていない。
「傀儡」:
ということは、おそらく北にある研究所にいるはずよ。ふんっ、どうして個人で使える場所を申請したのかと思えば…最初から何もかも計画していたってことね!
「召使」:
彼らにこう伝えてくれ——私とサンドローネが先行する。もし君たちも気になるようなら、ナド・クライの最北にある研究所で会おう、と。
ファルカ:
コロンビーナと仲のいい二人だが、行動を起こす前にわざわざ俺たちに情報共有をしてくれたってことか…ファデュイの協力に礼を言わないとだな。
ゲディミナス:
「少女」様はすでに組織を離れましたが…上層部があの方を気にかけていることに嘘偽りはありません。それに、今の「博士」様の行動は不可解極まりない。我々も目が離せません。
ゲディミナス:
立場上、人々と衝突することも多々ありますが、我々とて義理も情も理解しているつもりです。
ゲディミナス:
あなたたちは「少女」様のご友人ですので、もちろん知る権利があります。
ネフェル:
さすがアルレッキーノ、状況判断が早いね。おかげでだいぶ手間が省けた。
ゲディミナス:
地図はここに置いておきます。北の研究所へ向かうのであれば、くれぐれもお気をつけください。
ゲディミナス:
どうか忘れないように——少なくともナド・クライでは、「召使」様の部下はあなたたちの味方です。
フリンズ:
お気遣い感謝します。
ゲディミナス:
当然の務めです。では私はこれで。何かございましたら、クーヴァキ実験設計局へお越しください。
パイモン:
「博士」は実験設計局じゃなくて、一番北の研究所に行ったんだな…
ファルカ:
「傀儡」の推測が正しければ、ナド・クライに来る前から計画してたってことか?
ラウマ:
女皇のためというのはおそらく建前で、別の思惑があるのだろう。
ネフェル:
「博士」は行動が早く、そのやり方も残忍で悪質なものだ。手を焼かされるだろう。万全の準備をしないとね。
フリンズ:
現状、「博士」の行動は予測しがたいものです。二手に分かれ、一部をナシャタウンの守衛に充てるのが得策かと。
アイノ:
えっと…アイノもお手伝いしたいけど、研究所への潜入にはあんまり向いてないかな…
アイノ:
そうだ、「落ち着いた方がいいカモ」を持って行って。戦闘で役に立つはずだから。
フリンズ:
では、イネファさんもアイノさんを守るために残るということでよろしいでしょうか?
イネファ:
行動ロジックを検知——アイノの保護の優先度は極めて高くなっております。
ラウマ:
万が一に備え、ファルカさんも残ったほうがよいだろう。研究所は私たちに任せてほしい。
ファルカ:
北風騎士としては留守番なんて性に合わんが…まあ仕方ない。
ファルカ:
ナシャタウンは俺に任せておけ。お前たちも気をつけろよ。手に負えなくなったら、すぐ撤退しろ。
ネフェル:
ヤフォダにも手伝わせよう。あたしがいない間の情報収集はこの子に任せるといい。
ヤフォダ:
了解、ボス。みんな、無事に帰ってきてくれよ!
ラウマ:
ああ。
フリンズ:
では、さっそく発つとしましょう。
パイモン:
研究所への潜入か…わかった。おまえたちが本気でやり合うつもりなら、オイラは他のやつらの手伝いをしてるぜ。
ネフェル:
全力で事に当たる必要がありそうだ。行く前に何かやり残したことはあるかい?
ネフェル:
じゃあ、あんたの準備ができたら出発しよう。
前に進むルートを探す
ジョタウタス:
貴様ら…なぜここに!?
ラウマ:
「博士」はいま研究所内にいるはずだが、なぜそなたは逃げようとしておるのだ?
ジョタウタス:
ふん、「博士」様に用があるのか…だが上手くいくとは到底思えないな。
フリンズ:
あなたがこの先どれだけ生きていられるかは、その発言の価値に左右されるでしょう。
ジョタウタス:
執行官がもう二人、研究所内に入ったが、それがどうしたってんだ?あの「博士」様があんだけ大掛かりなことをしてるんだ、何の準備もしてないわけがない…
ネフェル:
でも、おまえはその部下であることに不満があるようだ。
ネフェル:
それに、この辺りは魔物の痕跡と気配に満ちてる…まさか、そんなやつらと一緒にいるのが好きなのかい?
ジョタウタス:
……
旅人:
「博士」が何を企んでるのか、知りたいんだ。知ってることがあれば教えてくれないか。
旅人:
自分たちのためだけに動いてるわけじゃない。「博士」の行動はナド・クライ全体…いや、君たちのスネージナヤにも影響を与えるかもしれないんだ。
ジョタウタス:
…くっ…
ジョタウタス:
あの方は…とんでもないものを作っている。その計画のために、長い年月を費やしてきたようだ。
ジョタウタス:
少し前、「博士」様はスネージナヤに戻ると言ったが、思いのほか早く帰ってこられてな。その手には、宝石のように輝くものが二つあった。
ラウマ:
…月髄。「博士」はコロンビーナさんから、それを奪ったのだ。
ジョタウタス:
「少女」様から?あの方はもう組織を離れたんだろ?いなくなる前に、女皇陛下の命は果たしたから、自分のすべきことをすると言っていたらしいが。
ジョタウタス:
組織を離れることが、必ずしもいいことだとは限らない。俺の尊敬する「隊長」様だって…
旅人:
……
ジョタウタス:
計画を遂行するため、上は「博士」様、「傀儡」様、「少女」様の部隊をこの地に派遣した。
ジョタウタス:
俺は当時「少女」様の隊に所属していたんだ。
ジョタウタス:
あの方は、俺たちとほとんど会話せず、周りにも無関心だった。かといって、心ここにあらずってわけでもなくて…ただ、この世界がどうなろうと気にしていないようだった。
ジョタウタス:
まるで生きる意味を見つけられず、遠くを眺めるしかないように…いつも空を見上げていた。
ジョタウタス:
「博士」様は、いつも少し離れたところから彼女を見守っていた。以前は協力関係にあったようだが、やがて「少女」様が彼を警戒するようになり疎遠になったらしい。
ジョタウタス:
「少女」様が組織を去った後、俺は「博士」様の隊に異動した。だがあの方もまた…同じように周りのことに無関心で、ただ月だけを見据えていた。
ジョタウタス:
今の「博士」様は、三つの月を何よりも欲している。月が足りないのなら、自分で作ればいいと。
ネフェル:
月髄を作る?もしかして「ヒュペルボレイア」の虚影から得た知識かい?
フリンズ:
詳しくお話しいただきありがとうございます。
ラウマ:
そなた、本当はコロンビーナさんの部下のままでいたかったのではないか?
ジョタウタス:
…いや、あの方はもう執行官じゃない。それに俺たちファデュイが忠誠を誓うべきは、女皇陛下ただお一人だ。
ジョタウタス:
これを貴様らに教えたのは「博士」様を完全に信じきれなかったからにすぎない。あの方の行動は、俺たちがナド・クライに来た本来の目的と食い違ってる。
旅人:
分かった。彼のことは必ず止めてみせる。
旅人:
「召使」の部下がクーヴァキ実験設計局にいるから、合流するといいよ。
ネフェル:
月髄を作るね…おまけに完成も近そうだ…ドットーレの技術がそこまで進んでるなんて。
フリンズ:
ここからは苦戦を強いられるでしょう。皆さん、心の準備を。
「博士」を探す
「博士」:
ようこそ、待っていたよ。この小さな研究所を気に入っていただけただろうか。
ネフェル:
気に入るだって?魔物だらけだったじゃないか。
ラウマ:
よくそのように悠長に構えられたものだ。
「博士」:
ふっ、何も焦ることなどなかろう?すべては順調。お前たちが来たのも予想通りだ。
「博士」:
まずサンドローネとアルレッキーノ、そして次はお前たち。今日は客人が多い。
ネフェル:
……
「博士」:
その二人をお捜しかな?なら、アルレッキーノは研究所に入ってすぐ姿を消してしまったよ。
「博士」:
サンドローネのほうは、さっきまでここで大声で私に詰め寄っていた。
「博士」:
彼女はいつもそうだ。礼儀知らずで困ったものだよ。だが、他人を気にかけるようになるとは意外だ。
「博士」:
お前たちと交友のある者は、皆そうなってしまうのか?しかし、それは研究者からしたらいただけない。客観性を失ってしまうからな。
旅人:
サンドローネはどこにいる?
「博士」:
ああ、彼女なら…
「傀儡」:
ずいぶんと大きな夢を見ているようね、ドットーレ。月髄を手に入れれば、この世界の神を名乗れるとでも思った?
「博士」:
名乗る?その言い方は好ましくないな。
「博士」:
自称ではなく事実だ。研究者であるお前なら、その差を理解できないはずないだろう?
「傀儡」:
はぁ?アナタごときが?
「傀儡」:
あら失礼、淑女も時には失言してしまうの、気にしないで。同僚なんだし、アナタのやり口くらい分かっているつもりよ。
「博士」:
ああ、同僚だから、お前ならそう言うと思っていたよ。
「博士」:
言葉を尽くすより、事実を見せたほうが早いことをお互いよく知っているだろう。今の私の次元を理解してもらうために、ちょっとしたプレゼントを用意した。
「傀儡」:
プレゼント?
「傀儡」:
……
「傀儡」:
アナタの部下たちはどこに行ったの?
「博士」:
はて?もしかすると未知なる神の足跡を追って、新世界へ旅立ったのかもしれないな。
「博士」:
サンドローネよ——お前は教養に欠け、傲慢な態度を取ってくるが、だからといって私はその部下に八つ当たりなどしない。彼らにも新世界へ向かう権利はあるのだからな。
「傀儡」:
まさか…クーヴァキ実験設計局に人を向かわせたの?あそこは女皇陛下の実験場なのよ!
「博士」:
ああ、陛下のご命令はもちろん心に刻んでいるとも。だがお前も知っての通り、それは私の今の目標と矛盾しない。
「博士」:
私はただ、自分の望む実験をしているだけ、何か問題があるだろうか?
「博士」:
私が嘘をつき、お前の気を逸らそうとしているだけなのか、それともお前の部下が本当に危険な目に遭っているのか、よく考えてみるといいだろう。
「傀儡」:
ファデュイの兵にまで手を出すなんて、狂ってる!
「博士」:
私は自分に新たなルールを定めた——すべての人に一度だけチャンスを与えるとね。もちろん、お前にもだ。
「博士」:
ここを離れたいのなら止めはしない。何しろ、我々は仲の良い同僚同士なのだから。
「傀儡」:
このッ——!
「博士」:
まさかサンドローネまで、この世界の人を案じるようになるとはな。実に残念だよ。自己中心的なところが、彼女の唯一の長所だったというのに。
「博士」:
たかが実験設計局を守るために躍起になる…そんなことでいったい何を成し遂げられる?
フリンズ:
人質を取るなど、褒められた行為ではありませんね。それとも今のあなたにとって、体面など重要ではないのでしょうか?
「博士」:
体面?
「博士」:
この手にはすでに月髄が二つ…失われた一つもまもなく完成する。新世界の神となるこの私に、体面を語るとは——あまりに滑稽ではないかね?
ラウマ:
そなたに聖物を扱う資格などない!
「博士」:
私から見れば、生きる資格のない人間はごまんといる。だが私は慈悲深くその存在を許してやっているのだよ。
旅人:
自分のしたことを、必ず後悔することになるぞ。
「博士」:
フン、それはお前たちに私を後悔させるだけの力があればの話だ。
「博士」の研究所から撤退する
フリンズ:
退きましょう!
「博士」:
確かに、降伏よりも撤退のほうが賢明だろう。
旅人:
これは…
「召使」:
まずい!
旅人:
俺のことはいいから、みんな逃げて——
ネフェル:
旅人!?
「召使」:
ちっ…

交差する時空
見知らぬ世界、触れられない仲間たち…みんなの元に戻るにはどうすれば…?
みんなと会話する
旅人:
さっきはいったい…
旅人:
ナシャタウン?どうしてここに?
旅人:
(おかしい…戦いでドットーレに捕まったはずなのに…どうしてナシャタウンに。)
旅人:
(どういうことか、まずは近くを調べてみよう。)
カーチャ:
おや?旅人じゃないか。こんな時間にどうしたの?
旅人:
えっ?
カーチャ:
今日はなんにする?ホットドッグ?それとも違うやつ?最近キャンペーン中でね、どうだい?
旅人:
ごめん、今はお腹が空いてないんだ。
カーチャ:
そう。じゃあ、とりあえず座って。食べたいものが決まったら呼んでちょうだい。
旅人:
(みんないつもと変わらない…どうなってるんだ?)
ボジスワフ:
誰かと思えば、常連さんじゃないか!何かサービスでもしないとな?
旅人:
(…あの人…なんでここに?)
カーチャ:
それは注文を取ってからにしようと思ってね。もう仕事は終わったの?
ボジスワフ:
ああ、遠くまで行ってきたから疲れたよ。でも幸い、しばらく出張はないから、お前たちとゆっくり過ごせそうだ。
旅人:
(あの二人って夫婦だっけ?ってことは、隣の子供たちは二人の子?)
メイジー:
お兄ちゃん、しばらく来てなかったけど、何してたの?もっと遊びに来てほしいな?
旅人:
俺のこと、知ってるの?
メイジー:
えっ、忘れちゃったの?この前、パパがうちに連れてきて、一緒にお菓子を食べたでしょ。
旅人:
(…いったい何の話だ?)
メイジー:
ちょうどその頃、よくお客さんが来てたから毎日大忙しだったんだよね。そうそう、ママがこう言ってたよ、「お店のお客さんの中には、友達でもある人がいる」って。
メイジー:
あっ!またお客さん。ちょっと行ってくるね!
旅人:
(いや、ここの店主に家族がいるなんて聞いたことない。そもそもこの店は家族経営じゃなかったはず…それにあの子の話にも覚えがない。)
旅人:
(これは…偽物の記憶?)
???:
ほう、こうも早く気づくとは、よかったな。
「博士」:
ここの看板メニューを食べないのか?
旅人:
(いつの間に?)
旅人:
(やっぱり。ここにあるものはすべて幻なんだ!)
「博士」:
ここはお気に召さないようだ。では場所を移そう。
周辺を探索する
コロンビーナ:
……
コロンビーナ:
…私、まだ生きてる?
コロンビーナ:
(ここは…どこ?たしか…力をすべて使って「月の扉」を開いたあと、飛び込んだはずだけど…)
コロンビーナ:
(この謎の空間が「月の影」の中なのかな?)
コロンビーナ:
……
コロンビーナ:
(…ダメ、何も感じられない。)
コロンビーナ:
(もう一度「月の扉」を開いてみようかな?)
コロンビーナ:
……!はっ…はぁ…
コロンビーナ:
(まったく反応がない。内側からは開けられないってこと?)
コロンビーナ:
(もしここが月の狩人とその恋人を死に至らしめた空間なら…どうして私は大丈夫なんだろう?)
コロンビーナ:
(ううん…大丈夫じゃない…ここは空気さえも重く固まっていて、残された力を回復できそうにない…)
コロンビーナ:
(…力を温存しながら、慎重に進もう。)
コロンビーナ:
(ドットーレの陰謀はまだ終わってない。もしまだ希望があるのなら…)
コロンビーナ:
…必ずみんなのもとに戻ってみせる。
鏡の中の世界に入る
リンプ:
おかえりなさい、月神様。
コロンビーナ:
……!
コロンビーナ:
(ここって…ナシャタウン?祈月の夜はもう終わったはずだよね?)
鏡の中の世界を探索する
ラウマ:
それではコロンビーナさん。この夜を存分に楽しんでくれ。
コロンビーナ:
うん、そうする。
コロンビーナ:
(ラウマ、みんな…それに、私?)
コロンビーナ:
(これ、もしかして…私の記憶?)
コロンビーナ:
……
コロンビーナ:
(触れない…まるで見えない壁のような力で阻まれてる…)
カアリナ:
へへっ、こっちこっち!
コロンビーナ:
(でも、記憶の中の人は私をすり抜けていく。私が「消えていた」あの時みたいに…)
コロンビーナ:
(もし祈月の夜に、これから起こることを知ってたら…)
コロンビーナ:
(…とにかく、まずは周りを調べてみよう。ここに戻ってこれただけで、前へ進む力が湧いてきた気がする。)
魔女たちの屋台を見に行く
バーベロス:
おかえりなさい、月神様。
バーベロス:
おや?本物の月神様だね?アリスの言った通り、今回の祈月の夜はなかなか面白いことになっておるようだ。
コロンビーナ:
(あそこは…確か魔女会のバーベロスさんがやってる占い屋…)
バーベロス:
まず一枚目の月諭のアルカナを引いとくれ。それを「運命」の箇所に置いて、今回の占いの土台とする。
コロンビーナ:
……
コロンビーナ:
(私の「運命」は…「月」だった。)
コロンビーナ:
(そういえば、バーベロスさんの占いって、よく当たってる…)
コロンビーナ:
(あっ、次は最後の「未来」を示すカード…)
コロンビーナ:
(この時、カードが勝手に飛び出てきたんだよね。たしかこの辺りだったかな…)
コロンビーナ:
これって…クーヴァキの波の影響?
コロンビーナ:
…えっ?
バーベロス:
ふむ、実に興味深い。占い師のわしでも初めて見る…
コロンビーナ:
(どういうこと?今のカード…私の影響で山札から飛び出た?)
コロンビーナ:
(触れようとしただけなのに…)
コロンビーナ:
(もしかして、この記憶空間は触れられないわけじゃなくて、影響を受けやすい場所とそうじゃない場所があるのかも…)
コロンビーナ:
(ううん…この空間って…本当に私の「記憶」なのかな?)
バーベロス:
「死神」だね…
コロンビーナ:
(…もっと手がかりが必要そう。)
コロンビーナ:
(他の物にも触れてみよう…あれ?)
コロンビーナ:
(風?…違う!これは——引力!引っ張られてる!)
コロンビーナ:
だ、だめ!…旅人!
旅人:
……
仲間たちと状況を整理する
ラウマ:
…すまない、パイモン。
ラウマ:
そなたの気持ちは痛いほど分かる。旅人の件は、私たちの責任だ。
パイモン:
そんなこと言わないでくれ。オイラだって子供じゃないんだ。あいつを見捨てたわけじゃなくて、どうしようもなかったんだろ…
パイモン:
でも…ぐすっ…
パイモン:
あいつは今、一人ぼっちだ。もしなにかあったら、どうしよう?
パイモン:
一緒にいられない時間がこんなに続くなんて…あいつ、死んだりしないよな?
「召使」:
旅人を救出しよう。共に行動したことで窮地に陥ったのだから、私も皆も決して見捨てはしない。
「召使」:
ここへ戻る道中、こちらの方々と情報交換をして、いくつか確認が取れた。
「召使」:
ドットーレの研究所は、ここ数日で建てられたものではない。内部にあった大量の魔物のサンプルは、おそらく彼が様々な技術を開発するために用意したものだろう。
「召使」:
黄金の国ヒュペルボレイアの虚影との接触を通じて、ドットーレは月に関する知識とその地の技術を一部手にした。
「召使」:
それをもとに、彼は天外の霜月に代わる人造月髄を作り始めたようだ。
「召使」:
コロンビーナと異なり、ドットーレはテイワットから拒絶されていない。おまけに、二つの月髄を手にしただけで、私たち全員を上回る力を得た。
「召使」:
三つ目の月髄が完成すれば、ドットーレは三月の力を完全に掌握する。つまり、テイワットの原初の力を手に入れることになるだろう。
パイモン:
そ、そんなことになったら…
「召使」:
ああ。彼の学習能力と野心は、ファデュイの中でも群を抜いている…ドットーレがどんな凶行に及ぶかは誰にも予測できない。
ファルカ:
…参ったな。このままじゃ世界は破滅だ。
ラウマ:
三月の力は、時間と空間にも影響を及ぼすことができる…そのようなものがあの悪魔の手に渡れば…考えただけで身の毛がよだつ。
ネフェル:
しかも、すでに影響は出始めてる。ここに戻る途中、ナド・クライの一部地域が正体不明のエネルギーに包まれててね。内部の様子も確認できない状態になってた。
ネフェル:
証拠はないけど、ドットーレの仕業だろう。ただ、その意図は謎だけど。
フリンズ:
悪い出来事に直面するよりも、必ず起こると知っていながら、それがいつ訪れるか分からないことのほうが、よほど心を疲弊させるものです。
ファルカ:
ファデュイ執行官の「博士」はモンドでも幾度となく犯罪を繰り返してきた。俺たち騎士団のメンバー…いや元メンバーの親父さんも、「博士」のせいで亡くなってる。
ファルカ:
ドットーレ…やつの思想と行動は、一般人はもちろん、どの国にとっても危険だ。仲間にすら容赦なく手を下す男だからな。
ネフェル:
あの男の世界には「仲間」なんて存在しないのさ。信じてるのは自分だけ。
「召使」:
そして利益にしか興味がない。ドットーレの人間関係は、すべてが利得の上で成り立っている。
「召使」:
執行官たちは各々の利益を追求してきた。女皇陛下の慈悲により、それらを保有することも許されている。しかし、その慈悲も無尽蔵というわけではない。
「召使」:
ドットーレの此度の行動は、ファデュイの枠をはるかに超えたものだ。力を奪い神になろうとするなど、女皇陛下の臣下として、これほどの不忠と僭越があるだろうか。
「召使」:
三月の力を有したまま女皇陛下に忠誠を誓うわけもない。執行官の中でも、ドットーレは最も利己的な人物だからな。
パイモン:
よりによってそんなやつに捕まるなんて…ダメだ、早く助けないと!お願いだ、オイラと一緒にあいつを助けに行ってくれ!
ラウマ:
パイモン、必ず共にゆく。だから、今は冷静になってほしい。
ファルカ:
気持ちは分かるが、相手はあのドットーレだ。軽はずみな行動は命取りになる。もっと情報が必要だ。
ネフェル:
それに「博士」が研究所にまだいるとも限らない。助けに行くにしても、まずは旅人の居場所を突き止めないと。
ネフェル:
…あたしが何とかしよう。
パイモン:
オ、オイラも冷静にならなきゃってことはわかってるけど…怖いんだ。もしあいつになにかあったら…
パイモン:
旅人は強い、でも人間だ。怪我すれば血が出るし、痛みだって感じる…
物音と同時に、「秘聞の館」の扉が開かれた…
「傀儡」:
まずは作戦を立ててから動きましょう。じゃないと、死にに行くようなものよ!
「召使」:
サンドローネ。
ファルカ:
サンドローネの嬢ちゃん、大丈夫だったのか?
「傀儡」:
荷物はそこに置いて、気をつけてよ。
「傀儡」:
フンッ、見ての通り、大事なものだけ回収して撤退してきたところよ。実験設計局がドットーレのエネルギー領域に飲み込まれてしまったの。あと少し遅れてたら、閉じ込められてたかもしれない。
「傀儡」:
あのマッドサイエンティスト、本当に狂っているわ。いつも新しいものに目がくらんで猟奇的な行動を取って、しかもそれを認めようとしないんだから。
パイモン:
ひっく…ううっ…
「傀儡」:
…ふんっ。
「傀儡」:
泣きたいなら、好きなだけ泣きなさい。
パイモン:
ごめん、うるさいってわかってるけど、我慢できなくて…ひぐっ…
ラウマ:
パイモン…
ネフェル:
思いきり泣くといいさ。恥ずかしがることなんてない。怖くてどうしようもないときは、そうやって発散するのも大事だ。スッキリするからね。
「傀儡」:
この子が涙を流している間に、大人のワタシたちはやるべきことをやりましょう。ちょっと手を見せてもらえる?
「召使」:
何か分かったのか?
「傀儡」:
プロンニア、スキャンして。
プロンニア:
ウィーン——
「傀儡」:
……
「傀儡」:
アナタも、手を。
フリンズ:
こんな状況であなたと握手することになるとは思いませんでした、お嬢さん。
プロンニア:
ウィーン——
「傀儡」:
…チッ!
「傀儡」:
アナタとアナタも。
「博士」と戦った人の状態を確認し終えると、サンドローネは険しい表情になった。
「傀儡」:
ドットーレのやつ…ワタシたちに細工したみたい!研究所へ行った人全員に、呪いのようなものが植え付けられているわ。
フリンズ:
今のところ異常はありませんが…まだ効力を発揮していないということでしょうか?その目的と発動条件を解明する方法は?
「傀儡」:
おそらくドットーレが月神の力で作ったものね。ちょっと待って、いま解析中だから…
「傀儡」:
くっ、ドットーレ!
「召使」:
また悪質なものを作り出したようだ。
「傀儡」:
エネルギー構造を解析した途端、暗号文が頭の中に浮かび上がってきたわ…
「傀儡」:
ファデュイの暗号規則に基づいて解読すると、こんなメッセージが出てきた——「好きなだけ逃げるといい。あるいはナド・クライで死にたまえ」。
ファルカ:
俺たちを嘲笑ってるようだな。
「傀儡」:
ええ、アイツはそういうやつなのよ。しかも、嘲笑うだけでは終わらないでしょうね。
「傀儡」:
この暗号文にも呪いにも、殺意や悪意は感じられなかった…つまり何の感情も持たずに、平然とこんなことをやっているのよ。
「召使」:
ドットーレには、人は誰しも死を恐れているように見えるのだろう。だからこそ、このような脅しに効果があると思っているのかもしれない。
ネフェル:
虫唾が走るね…しかも、そんなやつに旅人が捕まってるなんて。
「召使」:
考えてみれば…ドットーレは昔から猟奇的で、興味を持ったものにはとことん執着していた。
「傀儡」:
ナド・クライに来たばかりの頃、アイツはこう言っていたわ——「この世界はあまりに退屈だ。ただ幸い、そそられるものもある——例えば神や旅人がそうだ」ってね。
「傀儡」:
アイツにとって、そういった存在は未知の開拓そのものであり、観察すべき対象なの。
「召使」:
ああ。旅人はテイワットの第四降臨者——その情報は執行官の間ですでに共有されている。
「召使」:
ドットーレが手間をかけて捕えた以上、すぐには手にかけないだろう。
パイモン:
それでも早く助けないと!
「傀儡」:
そうね。それに、ドットーレの暗号文には何か意図が隠されているはず。逃げるよう促しているってことは、むしろ絶対にナド・クライを離れちゃいけないってことよ。
「傀儡」:
アイツの呪いは、ナド・クライを離れた途端に発動するのかもしれない。
ドゥリン:
みんな、エネルギー領域をいくつか見つけたよ。アルベドが今、その結界の構造を解析してる。ボクは先に戻って報告するようにって。
ドゥリン:
「博士」が作り出した領域は、ゆっくりと広がってる。しかも、そのスピードは最初より増してるみたい…もしかすると、ナド・クライ全土を飲み込もうとしてるのかも。
ファルカ:
まったく、とんでもない野心だな。このままじゃナド・クライどころか、テイワット全体に影響が及ぶ。
ラウマ:
よりによってこんな大事な時にコロンビーナさんまで…あの方は、本当に消えてしまったのだろうか?
ネフェル:
彼女は自分で「月の扉」を開いて、レリルとソリンディスが足を踏み入れたあの謎の空間へと落ちた。残念だけど…最悪の事態も覚悟しておいたほうがいいだろうね。
「傀儡」:
冗談じゃないわ!コロンビーナみたいな面倒な子が、そう簡単に死ぬわけないでしょ!フン、そんなの信じないわよ!
フリンズ:
いずれにせよ、大きな戦いを前にして、こちらは要を二人も失ってしまいました。
ラウマ:
旅人の手がかりを探さなければ。それに、やらなければならないこともある。
ファルカ:
ああ。ドットーレの行動がどんな事態を招こうと、住民の避難は必須だ。旅人の救助と避難誘導、同時に進めていこう。
ラウマ:
隣国の指導者たちに取り次いでくれる者がいれば助かるのだが…ナド・クライの人々には一時的な避難所が必要だ。
「召使」:
スネージナヤのほうは、私が最善を尽くそう。
パイモン:
旅人がいれば、もっと簡単に解決できたかもしれないけど…いや——
パイモン:
オイラも行くぜ!あいつと一緒にたくさんの人と知り合ってきたんだ。みんなの役に立てるかもしれない。
パイモン:
だって、もしあいつがここにいたら、きっとそうしてるはずだからな。
引き続きここを探索する
コロンビーナ:
……
コロンビーナ:
(またここに戻ってきた…)
コロンビーナ:
(私を引き戻したあの力は…この空間のものなのかな?)
コロンビーナ:
(あの「記憶」の中——祈月の夜で、私は現実に干渉したみたいだった。あれは偶然?それとも…)
コロンビーナ:
(もしあの夜、みんなに忠告できていたら…ドットーレの計画を未然に防げたかもしれない…)
コロンビーナ:
(身体が…重い…あの空間に入るだけで、こんなに力を消耗するなんて…)
コロンビーナ:
(それでも…前に進まないと…)
コロンビーナ:
……
コロンビーナ:
(ここ、また荒れ果てた状態に戻っちゃった…もう一度「記憶」の入口を探してみよう…)
鏡の中の世界に入る
キャサリン:
星と深淵を目指せ!ようこそ、冒険者協会へ。
コロンビーナ:
あれ…?ここ、祈月の夜じゃない?
アリーダ:
号外、号外!最新の「ナシャ速報」だよ!
コロンビーナ:
(この空間、私の記憶にある場所と違う気がする…私の記憶じゃないのかな…)
コロンビーナ:
(飾り付けもない…祈月の夜が終わった後のナシャタウン?)
コロンビーナ:
(あの計画は町に何の影響も与えなかった?それとも、三月の力が使われたせいで誰も気づいてないとか?)
コロンビーナ:
(他の人に触れるか、試してみよう…)
鏡の中の世界を探索する
パイモン:
じゃあ、次はなにをすればいいんだ?
コロンビーナ:
……!この声は…!パイモン?
ラウマ:
…まずは何より、魔女を見つけねば…
コロンビーナ:
それに…ラウマと旅人、ファルカも!
ファルカ:
…やっぱここは、ファデュイのとこに行くべきか…
コロンビーナ:
…旅人!
再び「思い出」へと入ったコロンビーナは、ナシャタウンの街頭であなたの姿を見かけた。近寄って、そっと肩を叩き、あなたの気を引こうとした。
旅人:
……
旅人:
コロンビーナ?
コロンビーナ:
(…触れた!)
コロンビーナ:
ここにいるよ!
旅人:
……
ラウマ:
旅人?
パイモン:
行こうぜ。ぼーっとしてる場合じゃないぞ!
旅人:
……
コロンビーナ:
(あれ?待って…この光景…見覚えがある…)
コロンビーナ:
……!
コロンビーナ:
(これって…私が「消えていた」時に起きたことだよね。)
コロンビーナ:
(あの時、私はあそこに立ってて…もう誰も見つけてくれないと思ってた。)
コロンビーナ:
(旅人が呼んでくれたから、みんなについていこうと思ったけど…)
コロンビーナ:
(もしかして彼が振り返ったのは…今の私が触ったから?)
コロンビーナ:
(この空間は…本当に過去を変えられるってこと?)
コロンビーナ:
(今、追いかければ…あれ?)
コロンビーナ:
(また引き戻される…!)
コロンビーナ:
ん…ぁっ…!
コロンビーナ:
……
コロンビーナ:
(あの引力は…私が「現実」に干渉するたびに引き離そうとする…)
コロンビーナ:
(まるで…ここから出るのを阻むかのように…)
コロンビーナ:
…っ!はぁ…はぁ…
コロンビーナ:
(力が、どんどん弱くなってく…)
コロンビーナ:
(次は、別の方法を探さなきゃ…)
コロンビーナ:
(絶対に諦めない…必ず…みんなに未来を伝えないと…)
「博士」と会話する
旅人:
(……)
旅人:
(突然、暗闇の中に取り残された。)
旅人:
(どうなってるんだ。まるで何かに囚われてるような感じだ…ドットーレの力は、もう空間さえも支配できるようになったってことか?)
「博士」:
そうやってじっとしているお前は、見慣れないな。
「博士」:
ごきげんよう、旅人。
旅人:
(ドットーレは機嫌がいいみたいだ…あれ、後ろにあるのって…)
「博士」:
ああ、気づいたか。これは完成した「三つの月」だ。本物の月髄が二つと、人造月髄が一つ。
「博士」:
ふむ、警戒しているようだな。よろしい、ぜひその畏敬の念を持ち続けてもらいたい。
「博士」:
先ほどの戦いでは、実に素晴らしいパフォーマンスを見せてくれた。相変わらず勇敢で無謀だ。
「博士」:
「勇敢」は英雄の証であり、「無謀」は向上心のある者だけが手にする栄冠…おっと、これは決してお前を貶しているわけではないぞ。大半の生き物は臆病だからな。
旅人:
(三つの月?まさか…人造月髄が完成したってこと?)
「博士」:
どうだ?人造の月とはいえ、本物と見紛う出来だろう?
旅人:
…ドットーレ。まさか、ここで現実とは違う、幻影の世界を作ってるのか?
「博士」:
そんなことを気にするより、目の前にあるものの本質を理解してもらいたい。
「博士」:
この美しい街では、人々が平和に暮らしている。盗みを働こうとする者もいなければ、夜の戸締りをする必要もない…まさに多くの者が夢見る理想郷だ。
「博士」:
これまでに集めた情報によれば、お前の考え方や認識は一般人の範疇にある。つまり、このような光景を好ましく感じるはずだ。
旅人:
偽りの幸せなんてただの誤魔化しに過ぎないし、誰も喜びはしない。
「博士」:
モラルが高すぎるのか、それとも現実に期待を寄せすぎているのか…
「博士」:
ひとつ質問をしよう——もし生まれた瞬間から夢の中にいて、苦しみを知らずに過ごした者がいたとしたら、その人にとって夢と現実、どちらが幸せだろうか?
旅人:
そんなの詭弁だ!君のしたこととは何の関係もない!
「博士」:
ふむ、予想通りだな。お前はまだ、ここの本質を分かっていないようだ。
旅人:
そんな話をするために、俺をここに連れて来たの?
「博士」:
フッ、呑気なものだ。ただ会話をするためだけにお前を捕らえたと、そう思っているのか?
旅人:
俺を殺さないのは、何か目的があるからなんだろ?だって君はもう絶対的な力を手に入れてるんだから。
「博士」:
ほう、ちゃんと事実を理解しているようで何よりだ。
「博士」:
前回お前と対峙したのは、たしかスメールでのことだったな。懐かしい…時が経つのは早いものだ。お前も私も、ずいぶん進歩した。
「博士」:
アルレッキーノとサンドローネがお前と手を組んでいるのは、少しも意外ではない。お前はいつもそうやって、誰とでも自然に関係を築く。
「博士」:
人々はお前を英雄と称えるが、私はそれだけではないように思う。おっと、これは褒め言葉ではないぞ。
旅人:
今までもそんな風に、敵のことを評価してきたの?
「博士」:
ああ、そうだとも。私はあくまで研究者…観察対象に客観的な評価を下すのが務めだ。
「博士」:
ただ、お前は勘違いをしている。今この瞬間、私たちは敵同士ではない。
「博士」:
よく思い出してみてくれ——タルタリヤ、アルレッキーノ、カピターノ、コロンビーナ、そしてサンドローネまで…
「博士」:
彼らと協力できたのだから、私ともできるはずだ。
旅人:
よくそんなことが言えるね。
「博士」:
できないと、なぜ言い切れる?善人は善人とだけ付き合い、悪人は悪人としか交友関係を結べないとでも言うのか?私たちなら、もっと実りある関係を築けるだろう。
「博士」:
まさか交友関係を結ぶ基準を、友情や尊敬できるか否かだけとは思っていまいな?世の人々は利害関係で結ばれている。お前が認めた人は、必ずお前に何かしらの利益をもたらしているはずだ。
「博士」:
モラル、志、尊敬…関係性を美化するための言葉はいくらでもある。しかしそれらの枠を外すと、結局のところ、人と人との間にあるのは相互利益にほかならない。
「博士」:
お前とも、利益の上で関係を結びたいのだ。
旅人:
(「博士」が言ってることは本心みたいだし、俺を捕まえるためにずっと計画を練ってきたんだろう…でも、いったい何を企んでるんだ?)
旅人:
(相手はいま三月の力を持ってる…正面から戦っても勝ち目は薄い。ここは相手の話に合わせて様子を見よう。)
旅人:
相互利益って言ってるけど、そもそも「三つの月」を持ってて、神を名乗ってる君に手に入らないものなんてない気がするけど?
「博士」:
いい質問だな。だが答える前に、同じ問いをお前にしよう——
「博士」:
コロンビーナとの協力はたしかに得難いものだが、月髄はいま私が握っている。しかも私のほうが彼女よりも完璧だ。この人造月髄はテイワットに拒絶されていない。
「博士」:
その身分と血筋は旧世界の誇りではあるが、それは同時に彼女の枷であり、永遠にテイワットに溶け込めなくしている。だが私は——お前の目に強盗として映っているこの私は、それを超越したのだ。
「博士」:
三つの月の神が、お前に与えられないものなどあろうか?いや、ないだろう。欲しいものがあるのなら、私を頼ればいい。
旅人:
嘘つきの狂人なんかと、取引するわけない。
「博士」:
そこまで非難されるとは…もしや怒らせるためにわざとやっているのか?ふむ…そういえば、さっき言った進歩とは、まさにそれに関することだよ。
「博士」:
過去の私は未熟だった。些細な挫折に落ち込み、苛立ちを覚えることもあった。例えば、クラクサナリデビがお前と協力し、私に歯向かってきたときもそうだ…
「博士」:
だが今は違う。裕福な者が貧しい者と争うことがないように、私もそんなことで思い悩むことがなくなった。
「博士」:
人と人との関係は、所詮感情や利害関係から抜け出せないものだ。だが神と人であれば違う。つまり、お前と私のことだ。
「博士」:
私は極致へと至り、かつてない視点を手に入れた。そしてお前もまた、そこらの存在とは一線を画す者だ。
「博士」:
「降臨者」よ——「世界」を見せてやろう。
「博士」について行く
「博士」:
立つ、歩く、跳ぶ、座る、寝る——これは最も一般的な行為だ。
「博士」:
なぜ人はその枠に囚われ続けるのか…歩く代わりに飛んではいけないと、誰が決めた?
「博士」:
お前の能力や経験からすれば、天理の下に生、死、時、空を司る四大執政が存在することを、すでに知っているだろう。
「博士」:
刃物で傷つけられた者は失血や感染で死に至り、湖に落ちた者はもがき苦しみながら溺れ、老いゆく者は孤独となり、孤独な者は老いてゆく。そして新たな命が生まれ、同じく苦難の道を歩み始めるのだ。
「博士」:
この四つの事象が世界を形作り、人間を束縛する。だがあの者たちはその枠を超え、天より授かった権能を自在に操っている。
「博士」:
人は公平を望むが、この世に公平などあるだろうか?神が地にひれ伏し、生きとし生けるものの下僕であると認めない限り、公平など端から存在し得ない。
「博士」:
ルールを定めたのは誰か?我々を束縛する権利を持つのは、いったい誰なのか?
目の前の敵を倒す
「博士」:
肉体の限界は、否定できるものだ。
「博士」:
絶対的な強者となった気分はどうだ?
「博士」:
肉体が魂と思考を縛る力は、お前の想像を遥かに超えるものだろう。
「博士」について行く
「博士」:
無駄で原始的な目を捨てることで、新世界を覗ける。
「博士」:
過去の私たち、そしてこれまでのお前たちはなんと浅はかだったか。世界の真理が、生、死、時、空よりも古い「三つの月」にあると気づけないとは。
「博士」:
そこから私はある実験に至った。抑圧された本性、追放された力…そして支配された魂。
「博士」について行く
「博士」:
つい先日、このような話を耳にした。評論家たちが物語を読むうちに、ある事実に気づいたそうだ——絶えず努力を重ね、前へ進み続けるのは、いつだって悪役だと。
「博士」:
昔、教令院の時論にも似たようなことを書いた者がいたよ。私はその言葉が好きで、そういった役を買って出ることを恐れなかった。
「博士」:
だが、狂気に堕ちた者はその僭越な行いゆえに踏みにじられ、超越した者はその無礼さゆえに鞭打たれてしまう。そうして、大半の臆病な生物たちは恐れを抱き、私に追随することを選べなかったのだ。
「博士」:
しかし、実験の犠牲は無意味ではなかった。見ただろう?私は今、お前にかつてないものを与えられる。その理由はまさに、私が悪役だからだ。
「博士」:
相互利益こそが私たちを結ぶ永遠の絆だ。お前も心のどこかで、悪を受け入れ、幸せな人間になりたいと望んでいるのではないか?胸に手を当てて問いかけてみろ——
「博士」:
無垢で完璧なものに、何の価値があるという?脆く、退屈なまでに色褪せている。
「博士」:
欠陥だらけだった私の断片を、神の心と交換したことは賢い選択だった。磨き上げられた悪こそが、真の求道者となり得る。
「博士」:
きっと多くの者にこう言われてきただろう、お前は特別だと。
旅人:
…俺が降臨者だから?
「博士」:
その通り。
旅人:
でもそれが、君に何の関係があるんだ?
「博士」:
私は自身の悪行も、私心も、欲望も隠さない。真の研究者とは、私のようであるべきだ。でなければ、真実を理解し、語ることなどできない。
「博士」:
だが私のような求道者でさえ、テイワットを研究するうちに、次第にうんざりしてくるのだ。
「博士」:
各地を巡り、多くの者と出会ってきたお前は、冒険の中で様々な瞬間を過ごしてきた——誤解されたり、追われたり、ありふれた仕事を日々こなしたり…
「博士」:
あちこち駆け回り、私の友人パンタローネからもちっぽけな報酬を受け取っている。お前は戦い、勝っても負けても捜し続け、それは永遠に終わることがない「富者」…
「博士」:
…退屈だと思わないのか?この繰り返しの日々を。
旅人:
俺は君と違って、生きることに真剣に向き合ってるし、この旅を楽しんでる。
「博士」:
何も違わないではないか?私も生きることに真剣に向き合い、興味のあるものは何でも研究している。
「博士」:
これまでに数多くの面白いものを作り上げてきた。人造月髄もその一つだ。コロンビーナの生まれ持った特別さなど、替えの利かないものではない。
旅人:
黙れっ!君のせいでコロンビーナは消えてしまったんだ!
「博士」:
ふむ、別に怒らせようとこんな話をしたわけではないのだが…そもそも怒る必要などないはずだ。コロンビーナがお前のためにしたことを、私ならもっと上手くやれる。
「博士」:
お前の旅の最終目標は知っているぞ。血縁者が歩んだ道を辿り、旅の終点で彼女から答えを得るのだろう?
旅人:
君みたいなやつに、誰かを想う気持ちなんて理解できるわけない。
「博士」:
理解できないからといって、助けられないとは限らないではないか。例えば——今すぐお前の妹をここに連れてきて、目の前で答えを聞かせてやることもできる。
旅人:
ふざけるな。君なんかに、俺と蛍のことは永遠に分かりっこない!
「博士」:
誤解があるようだな。私は三つの月の力を持つがゆえに、それを約束できるのだよ。
「博士」:
ところで、お前はなぜこの世界を旅している?
「博士」:
心の底から旅を望んでいるのか?それとも、避けようのないものだからか?
「博士」:
これまで費やしてきた時間、乗り越えてきた苦難——それらは本当にお前が望んだことなのか?未知の答えに追い立てられているだけだと考えたことは?
「博士」:
多くの友を得てきたお前だが、心の奥底にある空白が何を望んでいるのか…それを理解してくれる者は、誰一人いないのではないか?
「博士」:
お前が求めているのは家族か友人か…彼らはそれを知りながら、何もしてこなかった。そうだろう?
「博士」:
だが私は違う。私は親切だからな。実験に協力さえすれば、その見返りとしてあらゆる無意味な抗いと旅を終わらせてやる。
旅人:
(…この誘いは悪意に満ちてるけど、「博士」の言葉は人が望むことを的確に突いてる。)
旅人:
(ああ、俺だって分かってるつもりだ。感謝の気持ちを知らない他人、処理しきれない面倒事、終わりの見えない捜索…)
旅人:
(蛍に会いたい。こんなに長い道を歩いて、これほどの経験をして、俺が蛍にどれだけ会いたいか、どれほど一緒にいたいか、俺自身が一番よく分かってる。)
旅人:
(今この瞬間、蛍もどこか遠くで俺のことを想ってくれてるのかな?)
仲間たちと会話する
ファルカ:
——さて、やるべきことはハッキリしたな。これから各組織と連絡を取り、住民に状況を説明して避難させなきゃならない。
「召使」:
ナド・クライの住民は四方に散っている。人口が最も集中しているのは、南に位置する三つの島とピラミダだ。
「召使」:
ヒーシ島とナシャタウンはラウマさんに任せていいだろうか。ファデュイの面々とピラミダは私が引き受けよう。
ラウマ:
ああ。
ラウマ:
私はナタとスネージナヤの双方に援助を要請するつもりだ。実験設計局を境に、北側の者はファデュイ部隊と共にスネージナヤへ向かってもらい——
ラウマ:
南側の者はヴォイニッチ商会に協力を求めよう。私は信者たち、それからファルカさんと共に住民をナタまで護送する。
ネフェル:
ヴォイニッチ商会は秘聞の館と親交がある。詠月使が信頼と主導権を握れるよう、手紙を書こう。
ネフェル:
ヤフォダ、あんたも手伝ってやりな。ラウマ一人じゃ手が回らないだろうからね。
ラウマ:
ふふ、願いが叶ったようだな。まさかネフェルが自分の右腕を一日貸してくれるとは。
ネフェル:
一日くらいなら構わないさ。けどそれを超えたら、レンタル料が発生するよ。
ヤフォダ:
ボス!あたいの意思は!?
ネフェル:
おっと、悪かったね。じゃあ、ヤフォダはどう思ってるんだい?
ヤフォダ:
姐さんはあたいの大切なボスで、鹿ねえはその目を治してくれた。だから、霜月の子で二、三日くらい手伝ってもいいって思ってる。
ネフェル:
二、三日ね…まったく、いつの間にラウマに懐いたんだか。それとも自分を安く見積もってるのかね?
ヤフォダ:
ところで、姐さんは一緒に来ないのか?
ネフェル:
全員で住民の対応に当たったら、他の仕事をする人がいなくなるだろ?サンドローネはコロンビーナが死ぬわけないって言ってたし、旅人も助けないとならない。困ったもんだよ。
ヤフォダ:
…姐さん…あたい、心配だよ…
ラウマ:
避難対応が済み次第、そちらに合流しよう。
ネフェル:
合流?そんな必要があるなんて言ってないけど?
ラウマ:
私には必要なのだ。それに、そなたのやり方を見てきた限り、共にいたほうがよいだろう。つまり、そなたを一人にするのは得策ではない。
ネフェル:
そんなの気にすることないってのに。今は自分たちの行動が上手くいくかを心配しとくれ。
アイノ:
どんなトラブルが起こるかは分からないけど…アイノたちにもできることがあると思うの!アイノとイネファはナシャタウンの住民を手伝って、物資の整理や荷造りをするつもりだよ。
イネファ:
スケジュール確認——ナド・クライの重要な研究成果と技術サンプルを保管し、住民をナタまで護送する。
イネファ:
はい、了解しました。全力で任務を遂行します。
ファルカ:
ああ、頼んだぞ、嬢ちゃんたち。
フリンズ:
ライトキーパーには連絡済みですので、後ほど同僚が手を貸してくれます。いわゆる人海戦術というもので辺境地域をつぶさに調べ、避難するよう説得しましょう。
ドリー:
私はこの機会にスメールに戻らせていただきますわ。
ドリー:
ナド・クライの現状を草神様にお知らせする必要がありますからね。
ファルカ:
ああ。それとモンドへの連絡はドゥリンに任せよう。なんたって「走るより飛ぶほうが速い」からな。
ファルカ:
もし十分な速さをアピールできれば、飛行免許の試験を免除できるかもしれない。任せたぞ、ドゥリン!
ドゥリン:
本当?じゃあ、頑張らないと!
アルベド:
ボクはしばらくここに残って、サンドローネさんの研究を手伝うことにするよ。さっき錬金術について話を聞きたいって言われたんだ。
「召使」:
サンドローネが君を誘ったということは、その知識を認めた証拠だ。二人の協力が上手くいくよう祈っている。
アルベド:
ありがとう。実を言うと、サンドローネさんが機械以外のことに興味を持つなんて意外だったんだ。
「召使」:
彼女は最近、フォンテーヌの技術を研究しているようで、実験設計局を離れるときもわざわざその資料を運び出したそうだ。今も部屋でそれを整理しているだろう。
アルベド:
そういえば、一人ここに来てないけど、彼のことだからきっと自主的に調査をしてくれてるだろうね。
ラウマ:
今日のパイモンは物静かだが…旅人と共にナタの人々と絆を結んできたことを活かし、国境まで同行してくれるという。
パイモン:
おう、オイラも全力で手伝うぞ!
ファルカ:
ああ。それと忘れちゃならないのが呪いだ。サンドローネが言ったように、一部の者はドットーレに呪いをかけられちまってる。絶対に国境を越えるな。ナド・クライから離れないようにしてくれ。
ファルカ:
あと俺自身はコロンビーナの無事を信じちゃいるが…事態は深刻だ。万が一のことも考えるべきだろう。
ファルカ:
そして旅人の救出も大事になる。この二人は俺たちにとって大切な仲間だ。ネフェル、情報収集は頼んだぞ。
???:
よかった、みんなここにいたのね。
パイモン:
この声…ニコか?
アイノ:
急に頭の中に声が…不思議。
ニコ:
ごめんなさい、こんな形でしか話せなくて…時間がないから手短に話すわね。
ニコ:
世界の境界で起きている災害は依然として収まりを見せず、アリスは連絡が取れる魔女会のメンバーを雑用として召集したの、あたし以外ね。ただ、早く戻ってみんなの手伝いをするよう言われているけど。
ニコ:
それから「おしゃべり好きなあなたに、ぴったりな活躍の場を見つけてあげたの!これをみんなに一台ずつ渡してあげて。任せたからね」って。
パイモン:
…それってドド通話機か?
イネファ:
検索中…未知のデバイス…解析中…未知のデバイス…判定、可愛い…
イネファ:
可愛くていいものです。気に入りました。
ニコ:
しかも、今までのドド通話機とは違うのよ。あたしなりに改造をしておいたの!例えば…あっ、ついまた話が逸れてしまったわ。とにかく、みんな持っていってちょうだい。
ニコ:
この装置があれば、ナド・クライのどこにいても会話ができるようになるわ。もう行ったり来たりする必要がなくなるの。
アルベド:
すごい技術だ…ニコさんの力かい?
ニコ:
ええ、そうよ。アルベドったら、ほんと褒めるのが上手ね。危うくまた自慢話をしそうになってしまったわ。けどそれは今度にしましょう…とにかく、あたしは通信を維持するためにみんなのそばにいるわ。
ニコ:
さあ、準備ができたら行動開始よ。ここでみんなを見守りながら、成功を祈っているわ。
ライトキーパーとの待ち合わせ場所へ向かう
???:
……
???:
あっ、フリンズさん、ちょうどいいタイミングでいらっしゃいましたね。僕も今しがた到着したところです。
フリンズ:
イルーガ坊ちゃま、お気遣いありがとうございます。ただ、少し前からこちらにいたようですが。
イルーガ:
…見ていたのに、なぜすぐ声をかけてくれなかったんですか?
フリンズ:
あなたがどのくらい座っていられるのか、少々気になりまして…そもそも、僕が近づいていることに気がつかなかったのですか?
イルーガ:
それはフリンズさんがいつも、音もなく出てくるからでしょう?気づかなくて悪かったですね。
イルーガ:
それに何度も言っていますけど、坊ちゃまなんて呼ばないでください。本物の坊ちゃまってわけでもないんですから。
フリンズ:
礼儀作法をわきまえている方を坊ちゃまと呼ぶことに、間違いはありませんよ。
イルーガ:
フリンズさん…いや、フリンズ様!お願いですから、そうやって人を持ち上げないでください!おべっかを言うのが好きすぎませんか?
フリンズ:
やはり、あなたは僕をよく分かっていらっしゃる。新しい友人たちは僕を褒め上手だと言っていましたが、あなたもそう思われますか?
イルーガ:
みんな、君の性格をまだ把握していないだけですよ。フリンズさんはいつも褒めて褒めて、相手を舞い上がらせて、そのまま天まで昇っていく様子を見るのが好きなんでしょう?
フリンズ:
僕は今、その人たちが良い知らせを手に戻ってきてくれることを心から願うばかりです。
イルーガ:
…状況はかなりまずいんですか?
フリンズ:
作戦会議を先ほど終えたのですが、現状はこうなっています——
フリンズはイルーガに、会議の内容と皆の行動について説明した…
イルーガ:
つまり、ピラミダの住民を全員避難させたうえで、ライトキーパーからも人を派遣し、ナド・クライの辺境地域を隈なく見てまわるということですね。
フリンズ:
ライトキーパーにそれだけの余力があればいいのですが。
イルーガ:
大丈夫です。義父さんがきっと全力で助けてくれますから。他所でパトロールしている人たちも一旦呼び戻して、こちらの支援に回してくれますよ。
フリンズ:
ありがとうございます。あなた方がいてくれれば、きっと上手くいくでしょう。それと任務が終わったら、必ず本隊と一緒にスネージナヤかナタへ避難してください。
イルーガ:
あの…フリンズさん。
フリンズ:
……
フリンズ:
坊ちゃま、何か言いたいことがあるのでしたら、僕の考えを当ててみてください。
イルーガ:
さっき他にやることがある、って言ってましたよね。
イルーガ:
それは…とても大変なことなんですか?
フリンズ:
簡単、とは言い難いですね。
イルーガ:
君はライトキーパーの一員として、危機が迫るたびに立ち上がり、人々を守るべき立場にあります…けど今から直面することは、なんだかこれまで以上に危険な気がして…
イルーガ:
ナド・クライは住民全員が避難しなければならない事態に、これまで一度も陥ったことがありません。フリンズさん、君は皆さんと一緒に避難するつもりがないんですよね?
イルーガ:
…あまり出過ぎた真似はしたくありませんが…フリンズさんが無理に戦う必要なんてないと思うんです。
フリンズ:
実は、呪いをかけられてしまいましてね。この呪いはナド・クライを出た瞬間に発動する可能性が高いと言われていますので、離れることができないんですよ。これを解決するためにも、僕は動かなければなりません。
イルーガ:
そんな!どうして呪いなんか…!
フリンズ:
自分の理想のために他人を踏みにじる者は、この世に少なくありませんからね。
イルーガ:
…僕は…
イルーガ:
僕は怒っています、フリンズさん。君は軽く言っていますが、どれほど深刻なことか分かっていますか。
フリンズ:
ええ、そうですね。それがどうかしましたか?
イルーガ:
「どうかしましたか」じゃないですよ!僕は怒っているんです!
フリンズ:
おや、弱りましたね。起きてしまったことは仕方ありませんし、そのために僕は行動しなければなりません。怒っていらっしゃるのなら、水でも飲んで落ち着いてはいかがでしょう?
イルーガ:
ちょっと、僕の怒りなんてどうでもいいってことですか?あんまりです!
フリンズ:
では、心から遺憾の意を表します。そうですね…今度、灯台にお越しください。一緒に釣りをして、肉でも焼き、カードゲームをして、それから日光浴をしましょう。
イルーガ:
……
イルーガ:
はぁ、はっきり言ったほうがよさそうですね。ええと…ちょっとこちらに。
フリンズ:
ふむ、あまり良い話ではなさそうですね。
イルーガ:
先日、フリンズさんが恐ろしい事件に巻き込まれたと聞きました。無事で何よりですが…けど一部の人が噂していますよ、フリンズさんは人間じゃないのではないかって。
フリンズ:
たしかに、ひどい目に遭いました。ところで、その「一部の人」というのは、あなた自身のことではありませんか?
イルーガ:
…この際だから言いますが、フリンズさん、君は人間じゃありませんね?
フリンズ:
おやおや、なんと恐ろしいことを。
イルーガ:
はぁ、もういいです!この話はすべて片付いてからにしましょう。
フリンズ:
いいですよ。ですが、その言い方は何だか縁起が悪いですね。
イルーガ:
…必ず生きて帰ってきてください。お願いします。
フリンズ:
ふっ、そこまで真剣に言われては、約束するしかありません。
フリンズ:
それと、代わりに同僚たちへお礼を伝えておいてください——皆さんのご協力に感謝します。行動する際は、安全を心がけるように、と。
引き続きここを探索する
コロンビーナ:
「現実」へ続く道をもう一度探そう…
「記憶」の入口を探す
コロンビーナ:
(これでよし…)
コロンビーナ:
(「現実」に干渉したせいで、クーヴァキをかなり消耗しちゃった…)
コロンビーナ:
(今度は慎重に、より少ない力で手がかりを残してみよう…)
コロンビーナ:
私が祈月の夜に言ったことを、みんな覚えててくれますように…
鏡の中の世界に入る
ネフェル:
……
ネフェル:
ここにもない…
ネフェル:
ん?フリンズ?
フリンズ:
おや、ネフェルさん。
ネフェル:
ここで何してるんだい?まさか…
フリンズ:
上に人員を増やすよう伝えて欲しいと、イルーガ坊ちゃまに話してきたところでして。用事も済んだので、この辺りを見てまわっていたんです。
フリンズ:
そういうあなたも…ふっ、どうやら同じような考えを持っていて、しかも物事の裏を考えずにはいられない性格のようですね。
ネフェル:
ああ。旅人の情報を集めながら、いくつか推測を確かめたいと思ってね。
ネフェル:
それに、ドットーレに対抗するには相当な力がいる。旅人を救出するためにも、希望の持てる答えが欲しいのさ。
ネフェル:
あんたも、コロンビーナがそう簡単に死ぬはずないって思ってるんだろ?
フリンズ:
あなたと同じように、その可能性を視野に入れているだけです。ましてや彼女は神。僕たちに神の成すことを予測できるはずもありませんから。
ネフェル:
コロンビーナが祈月の夜に言ってた、月光であたしたちにメッセージを残すっていう話…覚えてるかい?
フリンズ:
もちろんです。僕たち二人がここで出会ったのも、それが理由でしょう?
ネフェル:
どの辺が調査済みだい?
フリンズ:
ナシャタウンの月光が差す屋外はほぼ確認しましたが、特に何もありませんでした。
ネフェル:
あたしも秘聞の館と、手がかりがありそうな屋内をいくつか確認したけど、同じく何もなかった。
ネフェル:
ナシャタウンで見てないところは、フラッグシップの部屋ぐらいかねぇ。
ネフェル:
でもここに来たのは、単なる消去法じゃないよ。
フリンズ:
ほう…他にも何か理由が?
ネフェル:
……
パイモン:
結局、例の「謎の助っ人」が誰かわかんなかったぞ!
物音:
ガシャン——
ネフェル:
…ん?
ネフェル:
空耳か…?
物音:
ガシャン——
ネフェル:
……!行くよ。
コロンビーナ:
……
コロンビーナ:
(…どうしよう、入ってすぐ花瓶を倒しちゃった。この空間に入ったときに発生したクーヴァキの波が原因かも。)
コロンビーナ:
(でも…私が追い出される気配は、まだないみたい…)
コロンビーナ:
(気をつけていれば、私の影響だと見なされないのかな。)
コロンビーナ:
(ここって…フラッグシップ?たしか旅人はここに泊まってるって言ってた。)
コロンビーナ:
(外の酒場のほうには行ったことあるけど、ここは初めて…この空間は一体どういう仕組みなんだろう…)
コロンビーナ:
(でも確かなのは…これは単なる「思い出」じゃないってこと。)
コロンビーナ:
(旅人の話だと、部屋はそこだったはず…)
コロンビーナ:
(ドアが閉まってる…でも今の私の状態が、この前の「消えていた」時と似てるなら、もしかすると…)
コロンビーナ:
……
コロンビーナ:
(……!入れた。)
コロンビーナ:
(旅人とパイモンは、いないみたい…)
コロンビーナ:
(旅人…ドットーレと戦ったあと、大丈夫だったかな?)
コロンビーナ:
(ううん…今はそれを考えてる場合じゃない。まずは旅人たちに手がかりを残さないと…)
コロンビーナ:
お願い、見つけて…
ネフェル:
…なんだ、猫かい。
フリンズ:
この猫以外、これといったものは見当たりませんね。
ネフェル:
たしかあんた、ここで一晩か二晩過ごしたんだっけ?
フリンズ:
はい、「月の狩人」レリルが現れる前のことです。その時に、旅人さんと初めて出会いました。
ネフェル:
ここに泊まったとき、何か異常を感じたことは?
フリンズ:
フラッグシップの夜が墓場と比べて騒々しかったということ以外は何も。
フリンズ:
そう考えると、旅人さんとパイモンさんは安らぎを与えてくれるお隣さんと言えました。
ネフェル:
二人の部屋は、こっちだね?
フリンズ:
ええ、そうです。
ネフェル:
人の部屋に無断で入るのは良くないけど、この状況じゃ仕方ない…まっ、あとで二人に謝るとしよう。
コロンビーナ:
(集中して、クーヴァキで壁に文字を書かなきゃ。あの祈月の夜に私が言ったように…)
コロンビーナ:
…月が輝く夜に窓を開ければ、月光に自然と私のメッセージが浮かび上がるの。
コロンビーナ:
(始めよう…今回は力を緻密にコントロールしないと…)
コロンビーナはクーヴァキを懸命に制しながら、壁に文字を書き記した…
コロンビーナ:
(あれ?外から物音?…旅人が帰ってきたのかな?)
ドア:
……
コロンビーナ:
(お願い、この文字に気づいて…)
ネフェル:
……
ネフェル:
どうだい?何か感知できたかい?
フリンズ:
残念ながら。
ネフェル:
はぁ…最後の場所も空振りか…
フリンズ:
「ナシャタウンの最後」にすぎませんよ。
フリンズ:
コロンビーナさんは、友人が寝泊まりしている場所にメッセージを残すと言っていました。ラウマさんの家や、僕の墓所にも何か残す可能性は大いにあります。
ネフェル:
そうだね…こうなったら、あり得そうな場所を片っ端からまわるとしよう。
ネフェル:
……
ネフェル:
待った。
旅人:
…えっ?何を待つの?
パイモン:
オイラ、食べ過ぎたみたいだ…
旅人:
……
パイモン:
そ、そんな目で見るなよ!せっかくのお祝いなんだし、たくさん食べなきゃだろ!
コロンビーナ:
(旅人、パイモン!よかった!)
コロンビーナ:
(でも…お祝い?何の話をしてるんだろ?)
パイモン:
おまえらが月の狩人と戦ってるとき、オイラすっごく心配したんだぞ!今ぐらい楽しんだっていいじゃんか。
コロンビーナ:
(月の狩人?今って…月の狩人と戦った後の、あの夜なの?)
コロンビーナ:
(こんな前の時間まで戻っちゃったんだ…)
コロンビーナ:
「時間」…
コロンビーナ:
(この空間に入るたびに…前回よりもさらに前の「現実」に戻ってる…)
コロンビーナ:
(しかも、どれも私が「月の影」に落ちるあの時よりも前…)
コロンビーナ:
(私が「現実」に及ぼした影響は、「過去」で確かに起きてた…)
コロンビーナ:
(まさか…「月の影」の中の時間は、私が入った瞬間から、過去へ向かって流れてる?)
パイモン:
もうすぐ祈月の夜だな!きっと今夜より、もっと賑やかになるぞ!
パイモン:
でも…コロンビーナが帰っちゃうのは寂しいよな…あいつ、本当はすっごくいいやつだし。
コロンビーナ:
パイモン…
コロンビーナ:
(ううん、ダメ。前みたいに「触れた」としても、きっと何が起きたのか、理解してもらえない…)
コロンビーナ:
(それに、また無理やり引き戻されちゃう…)
コロンビーナ:
(やっぱり、月光にメッセージを残して、それを見てもらえるよう工夫しないと…)
コロンビーナ:
……
コロンビーナ:
(いや…祈月の夜になるまで、私だって月光で何かを残そうなんて考えなかった…今のみんなが思いつくはずない…)
コロンビーナ:
本当に…他に方法はないのかな…
旅人:
…落ち込まないで。きっと何か方法があるはずだよ。
コロンビーナ:
…えっ?
パイモン:
そうは言っても…「霜月」は偽りの空の向こうにあるんだぞ。
パイモン:
それを越えてコロンビーナに会いに行くなんて、そんなことできるのか?
旅人:
今は無理でも、いつか方法が見つかるって。
パイモン:
そっか。へへっ、おまえって、いつもポジティブだよな。
コロンビーナ:
「今」…「いつか」…
コロンビーナ:
(うん、そうだね…今の私には…まだできることがある…)
フリンズ:
何をするおつもりですか?
ネフェル:
……
ネフェル:
フリンズ…あんた隣に泊まってたとき、窓を開けたことはあるかい?
フリンズ:
いいえ。この暗くて、じめじめした部屋の窓は埃まみれなうえに、古く、建付けも悪かったので。月光さえ通しませんでしたから、わざわざ開けようとは思いませんでした。
ネフェル:
月光…
フリンズ:
ああ、あなたが何をしたいのか、分かった気がします。
フリンズ:
少々お待ちください。店主がまだいるか見てきますので…
ネフェル:
いや、そんなことしなくていいよ。
ネフェル:
今は一刻を争うからね。
コロンビーナ:
(時間…)
コロンビーナ:
(今のみんなは、私の書いた文字に気づかないかもしれない。でも祈月の夜の後なら、私の言葉を思い出してくれる人がいるかも…)
コロンビーナ:
(私の知ってる情報をできる限り書き残さなきゃ…そうすれば、いつかきっと…)
ネフェル:
……!
事態を把握したネフェルは傍らの杯を手に取り、月光を遮る古びた窓に向けて力いっぱい投げつけた…
コロンビーナ:
……?
パイモン:
うわっ!おいおい、コップを落とすなんて眠いのか?
旅人:
うん、ちょっと…
パイモン:
じゃあ、そろそろ寝ようぜ。おまえもここ最近は大変だったもんな…
コロンビーナ:
……
コロンビーナ:
…本当にお疲れさま。
コロンビーナ:
月の狩人に勝って、私の名前を取り戻してくれて…みんなと一緒に祈月の夜まで準備してくれた…
コロンビーナ:
今もキミは、きっとどこかで運命の不条理と戦ってるんだろうね…
コロンビーナ:
(私が残せる情報は、これくらいかな…)
コロンビーナ:
……
コロンビーナ:
ずっとここにいられたらいいのに。
コロンビーナ:
でも…そろそろ行かなきゃ。
コロンビーナ:
次の「時間」でも、またキミと会えるといいな。
コロンビーナ:
もし叶うのなら、私、きっと…
古びた窓が砕けた。開け放たれた窓穴から月光が流れ込み、壁に照り返す。その光の中、コロンビーナが残した「手がかり」が、次第に浮かび上がってきた…
ネフェル:
「…みんなのところに戻るよ。」
フリンズ:
……
ネフェル:
コロンビーナは…まだ生きてるんだ…
フリンズ:
それだけじゃありません。壁一面に、我々のために手がかりを残してくれています…
フリンズ:
彼女は祈月の夜に起こることまで書き記していたようです。残念ながら、僕たちはその時が来る前に、この文字に気づくことができませんでしたが。
ネフェル:
「私はここにいる…」
ネフェル:
「この空間は時間が逆行してる…」
ネフェル:
「私は進み続けてる…」
フリンズ:
彼女はクーヴァキを使って、過去に干渉する方法を見つけたようですね。
フリンズ:
しかし、彼女にとっての未来は…我々の過去…
ネフェル:
この文字は、月の狩人を倒した時からここに存在していた…それなのに、誰の目にも留まらなかった…
ネフェル:
ふん…ニワトリが先か、卵が先か。あんたはこういう問題を考えたりするかい?
フリンズ:
存在と起源についての哲学的な問いでしょうか?そういったことは、心に余裕がある時間にしか考えません。
ネフェル:
あたしは考えない。
ネフェル:
起きたことはすべて「既定」であり、経験したことはすべて「事実」である。
ネフェル:
商人…正確に言えば情報屋は、その二つから伸びる手がかりを頼りに「未来」の行方を掴むんだ。
フリンズ:
参考に値する考え方ですね。
ネフェル:
「考え方」というよりは、「生き方」だね。
ネフェル:
行くよ。みんなと共有すべき情報が壁一面にある。

過去の足跡を辿って
月光の見守る中、皆がそれぞれの終点に向かって進んでいる…
仲間たちと会話する
「傀儡」:
んもう!!
アルベド:
今のところ、「博士」のエネルギーの本質はクーヴァキに近い体系に属しているものの、異なる性質を持っているようだ。
アルベド:
ナド・クライのクーヴァキ装置による影響はほぼ受けないと言ってもいい。キミが錬金術に希望を託したくなる気持ちも理解できるよ。
アルベド:
しかし、これらの本は実に難解だ…
「傀儡」:
どれも部下たちがフォンテーヌから持ち帰ったばかりのものよ。水仙十字結社のものもあれば、ペトリコール町の事件記録もあるわ。加えて、このゴミのようなマシナリーの実験報告書もね、フン。
「傀儡」:
あとワタシの術式が今、いくつか頭にくるものを検出したわ。
アルベド:
頭にくるもの?
「傀儡」:
テイワットの空には複数の月が浮かんでいるでしょ?ずっと前に術式で確認したときは、言い伝え通り、三つの月が世界に存在していたわ。
「傀儡」:
でも今スキャンしたら、四つになっていたのよ。
アルベド:
一つ…増えた?
「傀儡」:
ええ。最初は、月がまだ三つあれば、コロンビーナも生きていることになるんじゃないかと思ったんだけど——
「傀儡」:
でもその瞬間、ある違和感が芽生えたの。三つの月のうち、無事なのは霜月だけ…他はどれも残骸よ。
「傀儡」:
砕けた月が「生きている」ものとして認識されるはずがないわ。
「傀儡」:
だっておかしいでしょ?死んだ月が、生きている月と同じように扱われるなんて。これじゃあ、月神の生死の判別には使えないわ。
「傀儡」:
もしかすると、それぞれの「月髄」を三つの「月」と同一視すべきなのかもしれない。そう考えると、死後に残された三つの月髄が、今なお月として認識されてもおかしくないわ。
アルベド:
なるほど。その推測が正しいなら、キミが検出した「四番目の月」は、ドットーレが作り出した人造月髄なのかもしれない。
「傀儡」:
まったく、そんな物を作るなんて…厄介極まりないわ。
アルベド:
やるべきことが多すぎると、どうしても焦ってしまうものだよ。サンドローネさん、少しリラックスしよう。苛々しているのなら、気晴らしに散歩や深呼吸をして落ち着くといい。
「傀儡」:
こんな時にどうリラックスしろっていうのよ。ワタシには時間と結果が必要なの。
ドド通話機:
ドド——ドド——ドドコ——
アルベド:
ん?フリンズさんからだ。
「傀儡」:
こいつの音、ほんっとイラっとくるわね…ああもう!それもこれも全部水仙十字の四象限と月髄のせいよ!
フリンズ:
おや、タイミングが悪かったようですね?淑女がそのように声を荒らげるとは、いったい何があったのでしょう?
「傀儡」:
何よ、今忙しいんだけど。
フリンズ:
皆さん、まだ秘聞の館にいますか?
「傀儡」:
ええ。けど外に出ている人たちはまだ戻っていないし、何か要件があっても急ぐことはないんじゃない?ワタシ今とっても忙しいの。ちょっと一人にさせてちょうだい。
ネフェル:
すごく重要な情報が手に入ったんだけど、聞かなくていいのかい?
「傀儡」:
…フンっ、そう。なら話してみなさい。
アルベド:
ドド通話機で共有するのかい?
ネフェル:
普通の情報だったらそうしてたけど…今回のはちょっと複雑でね。直接会って話すよ。秘聞の館で待っといてくれ。
「傀儡」:
それで?その情報って?
フリンズ:
外に出ている方々や、避難民の護衛をしている方々はまだ戻られていませんが、先に重要な情報だけお二人にお伝えします。
ネフェル:
サンドローネ、あんたの考えは正しかったよ。コロンビーナはたぶんまだ生きてる。
「傀儡」:
——!!
アルベド:
間違いなく、ここ最近で一番の朗報だね。
フリンズとネフェルは、調査で得た情報と推測について話した…
「傀儡」:
時間を逆行しているうえに…現れる場所も不規則?あの子…ふん、月神って思ったより随分しぶといのね!死んでないだけでも十分あり得ないのに、そんな状況になっているなんて。
「傀儡」:
やっぱり、月髄であの子の状態を判断できると考えて良さそうね。
アルベド:
サンドローネさん、嬉しいときは素直にそう言えばいい。
「傀儡」:
べ、別に嬉しくなんかないわよ。それに、まだ何も解決していないわ。ここからが問題よ。
「傀儡」:
コロンビーナが時間をコントロールできない限り、あの子のいる空間の時間はどんどん過去へ流れていく。時間の流れが異なるということは、ワタシたちが交わることもない。このままじゃ出口を見つけられないわよ。
アルベド:
生命が一滴の水から始まったのだとしたら…時はどこから始まったと言えるだろう?星が生まれた瞬間からだろうか?
アルベド:
いや、違う。コロンビーナさんが行き着く先は、彼女のいる空間が作られた瞬間のはずだ。
ネフェル:
でもその空間は外部から干渉できないように思える。どうやってコロンビーナを助ければいいんだい?
ネフェル:
しかも、コロンビーナがまだ生きてるなら、レリルとソリンディスも生きてる可能性が出てくる。それなのに、二人があの空間から出た痕跡はない…となると、出口がないのかもしれないね。
フリンズ:
その点に関しては、僕もネフェルさんと同意見です。
「傀儡」:
チッ…
「傀儡」:
たしかにアナタたちの言い分ももっともね。とりあえず、さっきの情報はすべて記録しておいたわ。
アルベド:
キミの研究の役には立ちそうかい?
「傀儡」:
ドットーレのエネルギー領域を突破する役には立たないけど、何がどうなるかは誰にも分からないわ。記憶よりも記録のほうが確かなのは事実だし、このぐらいの労力は払うわよ。
「傀儡」:
じゃ、失礼させていただくわね。アルベドから貴重なアドバイスをもらったことだし、これから静かな場所で研究に専念するわ。
ネフェル:
ああ。あたしはここに残るよ、他にやりたいこともあるしね。
ネフェル:
パイモン、いるかい?
ネフェル:
ああそうだった、あの子はファルカたちとナタに行ったんだったね。でも幸い、旅人とパイモンの荷物はここに運んである。
ネフェル:
……
ネフェル:
旅人はいったい、どこにいるんだろうね。
ネフェル:
ん?これはメッセージ?…パイモンが残したものみたいだ。
メモ:
オイラ、ちょっと出かけてくるぞ。この荷物の中に必要なものがあったら、遠慮なく使っていいからな!
メモ:
旅人へ もし先に戻ってたら、休んでてくれ。早く会いたいけど、おまえが疲れて倒れるほうがもっとヤだからな。 ——パイモンより
ネフェル:
ふっ、仲がいいね。
ネフェル:
パイモンの許可もあるし、遠慮なく荷物を見させてもらおう。
ネフェル:
(うん、二人がよく使うものは、ほとんどここにあるみたいだ。)
ネフェル:
(へえ、丁寧に整理されてるじゃないか。誰がやってるんだろうね?)
ネフェル:
これは…
荷物を観察する:
(たくさんの日用品の中から一枚の写真を見つけた。)
ネフェル:
(写真機が切り取ってるのは、まさにきらめく一瞬ってやつだね。しかも、いちばん仲のいい人だけが見られるものだ…)
ネフェル:
(写真は撮影者の想いで溢れてる。これが上のほうにあったのは、パイモンが手に取って眺めてたから…?)
ネフェル:
……
荷物を観察する:
(荷物の中には、分厚い冒険者手帳もある。旅人がテイワットを巡った功績と思い出が記されているようだ。)
ネフェル:
うん、間違いなく旅人の物だね…これで決まりだ。
ネフェル:
(頑張っとくれ。あたしたちが必ず見つけてやるから。)
次の指示を待つ
「傀儡」:
プロンニア。「世界式」で検索して、関連性の高そうな本を持ってきてちょうだい。
資料を「傀儡」に渡す
「傀儡」:
どれどれ、タイトルは…『モン・オトンヌキに関する記録-世界の滅亡について』。
「傀儡」:
「僕の見解によれば、この現象は『フォルトゥナ』と呼ぶべきである。これは古代王国レムリアの技術であり、至高の叡智だ。」
「傀儡」:
「…まさかレムリアの理念が、僕の名付けた『世界式』とこれほど類似していようとは。これこそ有力な証拠と言える…」
「傀儡」:
「人類の文明は、絶え間ない探求と進化の中で可能性を失っていくものなのだろう。…人類の衰退は、まさに今この瞬間にも進んでいるのかもしれない…」
「傀儡」:
「文明の灯火は消えかけている。外から『変数』を取り入れることを検討しない限り…」
「傀儡」:
「変数」?変数って何のことよ?
「傀儡」:
まさか…「降臨者」?
「傀儡」:
ドットーレがアイツをさらったのは「降臨者」が理由だからでしょうけど…三月の力は世界そのものに由来しているわけだし、ヤツはこれ以上なにも必要としていないはず…
「傀儡」:
…変数って、何に対する変数なのかしら?世界式は世界全体を計算している…そこに変数を導入すれば…
「傀儡」:
……
次の指示を待つ
「傀儡」:
プロンニア。キーワード「ルート」で関連する本を持ってきてちょうだい。
資料を「傀儡」に渡す
「傀儡」:
『モン・オトンヌキに関する記録-密合の解釈』…関連する書名はどれも難解ね。
「傀儡」:
「図示した『ルート』を観測し、計算する。その用途を解析し、転換することで、新たな創造の可能性が拓けるだろう…」
「傀儡」:
これ、ルネの講義の原稿じゃない!ルートを解析するだなんて…ずいぶんとぶっ飛んだ考えね。
「傀儡」:
……
「傀儡」:
何よ、やけに回りくどいわね!自分の知識を見せびらかすのがほんっと好きなんだから!
次の指示を待つ
「傀儡」:
プロンニア。「樹状」で検索して、関連性の高そうな本を探してきて。
資料を「傀儡」に渡す
「傀儡」:
「鈴蘭十字結社が提唱している実験機体の多くは、基本的かつシンプルな樹状のロジックで構成されており…」
「傀儡」:
鈴蘭…水仙十字結社の本当の名を隠すためかしら?
「傀儡」:
「サン・ジェルマン公爵は去り際に、もう取り返しがつかないと言っていたが…やはり、彼は機械に関しては天才だったのだ…」
「傀儡」:
「しかし、それ以外のことに関しては凡人であった」…はぁ?何よこの言いぐさ、笑っちゃうわ。これ、結局なんの本よ?
「傀儡」:
『名探偵ハーロック・錬金術師とクロックワークの聖人』!?ただの小説じゃない!…まったく。
「傀儡」:
でも、作者は自分がルネのことをよく知っていると断言しているし…はぁ…ひとまず、ルネがこんなことを言う人だと仮定して進めましょう。
「傀儡」:
記憶、願い、魂、人格…これらは神秘学の領域に属することが多いけど、アルベドは錬金術の根幹にも含まれていることを認めていたわ。
「傀儡」:
アラン・ギヨタンの目に映る世界は機械で構成されていた。宇宙には機械が必要とされているがために、アイツの技術が生まれ、ワタシが生まれた。
「傀儡」:
ルネ…フルネームはルネ・ド・ペトリコールだったかしら?やっぱり、ペトリコール町とは深い関係があるようね。
「傀儡」:
あの町は、レムリア文明に関する資料が最も多く発見された場所…ルネの研究成果の一部は、レムリアの技術から来ていると言っていいみたいね。
「傀儡」:
魂を切り離し、器に封じ込める…一見無関係に見えるこれらの技術はルネの研究を支えてきた。四象限の区分けに錬金学の理論が一部取り入れられているとすれば…
「傀儡」:
密合のモデル?こんなの、アランが認めるわけないわ…ましてや、これに関連する理論やパラメーターを事象数式に組み込むなんて、尚更よ。
「傀儡」:
……
「傀儡」:
そういえば、アランはルネのことをどう評価していたかしら?あまり名前を口にすることはなかったけど、たまに何か言っていたわね…
「傀儡」:
ああ、思い出したわ!たしかここにルネのことに一度だけ触れた古いメモが…
「傀儡」:
「僕にそう言ったルネは、様子がおかしかった。最近甘いものを食べていないせいか、頭が鈍っているようだ。信用できない。」
「傀儡」:
いかにもアイツらしい物言いね。
「傀儡」:
ワタシの愚図な部下たちったら、意外といい仕事をしているじゃない。ちゃんと資料を持ってきてくれたのね、ご苦労さま。
「傀儡」:
アランの残した資料の一部は、これらの記録と完全に一致しているわ。ゲシュタル塔から入手したものみたいだけど…そんな昔からルネの記録を押さえていたのね。
「傀儡」:
はっ、それなのに一度も信用せず、使いもしなかった…
「傀儡」:
よく考えてみれば、ルネの世界式は定数を扱う計算ばかりね。これは、世界の運命が固定されているという「決定論」を信じていたことの表れかしら。
「傀儡」:
対するアランの理念は…
「傀儡」:
ふん、ずいぶんと昔のことだし、アイツが何を言っていたのかなんて全然覚えていないわ。
「傀儡」:
強情さに欠けて、機械技術だけを深く信奉していたアイツはなんて言っていたか…たしか世界は変えられる、そして努力には意味がある…だったかしら?少なくとも、昔のアイツはそう考えていたわね。
「傀儡」:
世界を救いたいと願って、あの術式を作り上げたけど…世界の運命はあまりにも巨大で、その終焉は計り難かった…
「傀儡」:
結局、成果を得ることなく逝き、そしてこの滅びゆく夢の中に…ワタシを残した。
「傀儡」:
アラン、アナタはルネの研究に目を通さなかったの?それとも、目を通したうえで、相容れない理念を同じモデル内に置きたくなかったの?
「傀儡」:
どれだけ嫌ってたのよ…フン、今やドットーレっていう狂気の塊みたいなヤツが現れてしまったわ。
「傀儡」:
ワタシに願いがあるかなんて聞いてもしょうがないでしょ…その問いを投げかけるべき相手はドットーレよ!アイツが憧れているものを、アナタは見たくもないでしょうけど。
「傀儡」:
…フン。
「傀儡」:
「取るに足らない変数にも、洪水のような現在を無限に作り出せる。」
「傀儡」:
始めましょう…この相容れない破片を一つに組み合わせてみせるわ。
「傀儡」:
まず、大きな輪の存在と、その解明を確立する。
「傀儡」:
完全なる虚無と、完全なる実在——その二つの間を探り…
「傀儡」:
…条件を構築する…
「傀儡」:
変数。
「傀儡」:
「文明の灯火は消えかけている。外から『変数』を取り入れることを検討しない限り…」
「傀儡」:
…変数を代入して…
「傀儡」:
世界、時空、文明を巡り、記録から必要な節目を抽出し、それが指し示す変数を明らかにする。
「傀儡」:
虚無から切り離された、原初の力…光の力。「光」。
「傀儡」:
記録…「ヒュペルボレイア」…
「傀儡」:
……
「傀儡」:
はぁ、複雑すぎるわ。まだいくつかの変数が埋まっていないし、もう少し慎重に考えないと。
「傀儡」:
どう?このモデル、狂人の落書きみたいでしょう?
プロンニア:
……
「傀儡」:
だんまりね。どうせアナタは喋れないし、とりあえず肯定的な反応として捉えとくわ。
「傀儡」:
そういえば、精神を病んだ人の妄想って、自分が世界を救うことから始まるらしいわよ。ワタシがこんなのを書いているところなんて見たら、アルレッキーノとコロンビーナはきっと病院に連れて行くかもね。
「傀儡」:
あとロザリンも…もう随分と前に亡くなってしまったけど、はは…
「傀儡」:
目を閉じて思い出すと、彼女の顔とあの大きなドレスが浮かんでくるわ。どうしてロザリンはあんな重たそうなドレスを好んで着ていたのかしらね?加えて、あの煩わしいヒールの音ときたら。
「傀儡」:
別に誰にも聞かれていないけど、はっきり言っておくわ。ワタシは世界を救おうなんて思っていない。精神は至って正常だし、非現実的な大それた願望を抱くとか、そういった症状も出ていない。
「傀儡」:
世界が答えを必要としているのであって、ワタシが世界に認められようとしているわけではないの。そして世界がワタシに懇願しているのであって、ワタシが世界に懇願しているわけでもないわ。
「傀儡」にお茶を渡す
プロンニア:
……
「傀儡」:
あら、お茶菓子?たしか…書類を持ってきてくれた部下が買ってきたんだったかしら?ホテル・ドゥボールのお土産ね。
「傀儡」:
ええと、箱には…「メロピデ要塞の楽しい食事システムに敬意を表して、ランダムフォーチュンクッキーを皆様にお届け!今日の運勢を占ってみましょう!」
「傀儡」:
どうせ大したことなんて書いてないんでしょ…どれどれ?「早寝早起きして、太陽を浴びて十分な水分を摂れば、すべて上手くいくでしょう」…
「傀儡」:
…はぁ?なによそれ?じゃあ、早寝早起きする人に、この危機迫る世界の救世主をやってもらえばいいわ。
「公子」と合流する
アイルキー:
「召使」様、「傀儡」様の配下たちが全員待機中とのことです。いつでも行動に移れます。
「召使」:
よろしい。
アイルキー:
ですが、予想よりも人数が少ないようでして…恐らく…「博士」様が放った魔物に、多くの者が…
「召使」:
…仕方あるまい。その者たちを隊に加え、常に連絡が取れる状況を保っておけ。
アイルキー:
はっ。
「公子」:
久しぶりだね、アルレッキーノ。調子がよさそうで何よりだよ。
「公子」:
そういえば、スネージナヤからナド・クライへ向かう際に必ず通る道に、ドットーレが研究所を建てたみたいだね?見つからないようにここまで来るのに、ずいぶんと時間がかかったよ。
「召使」:
ご苦労。休まず駆けつけてくれたということは、女皇陛下の御言葉を持ってきてくれたのだね?
「公子」:
そりゃあもちろん。これも俺の任務だからね。
「公子」:
ドットーレのことだが、女皇様の命によりファデュイ内務局が審判を下すことになった。あいつが裏切ったか否か、スネージナヤに対する脅威であるか否かは、内務局が公平に判断するよ。
「公子」:
そして結果が出るまでの間、女皇様は俺にナド・クライの避難民の受け入れ対応をするよう命じた。
「召使」:
避難民たちは近くにいる。後ほど私の部下が案内するから、引き取ってやってくれ。
「公子」:
ああ、分かった。
「公子」:
それと、陛下から君とサンドローネに伝言があるんだけど…ん?サンドローネはどこに?
「召使」:
外で働く者がいれば、内務に勤しむ者もいる。君との引き継ぎのために私が来ているということは、もう一人は基地にいるということだよ。
「公子」:
ふぅん。サンドローネのやつ、まるで重鎮みたいだね。じゃ、あとで女皇様のかっこいい御言葉を伝えておいてくれ。きっとサンドローネも気に入るはずだ。
「公子」:
でも、いったい何が…待った、どうなってるんだ?
「公子」:
部下たちが…魔物になった?
「召使」:
倒すぞ。
「公子」と会話する
「公子」:
なんてこった。さっきまで生身の人間だったのに、一瞬で…
「召使」:
きっとこれも、我々の素敵な同僚であるドットーレの仕業だろう。
「公子」:
ナド・クライで何が起きているんだ?
「召使」:
一言では説明できないが、簡潔に言えば、本来コロンビーナのものであった二つの月髄をドットーレが奪い、さらに自分でもう一つ作って、三月の力を手中に収めようとしている、といったところだ。
「公子」:
おいおい!そんなもの人が作れるのか?まるで道路を作るかのように神を作ったって言ってるようなもんじゃないか!信じられるわけないだろ!
「召使」:
執行官であれば、さして驚くことでもないだろう。私たちがやってきたことは「神創り」さえ霞むほど奇妙なことばかりなのだから。
「召使」:
私は、君が岩王帝君と戦い、ロザリンの作戦における重要な支援者であったと主張し続けてきたが…今の君はまるでただの冒険者のようだ。
「公子」:
ハハッ、擁護してくれてありがとう。鍾離先生とロザリンには本当にひどい目に遭わされたよ。
「公子」:
でもポジティブに考えれば、あの二人がわざわざ策を仕掛ける冒険者なんてそういない…だって「ただの」なんて言葉とは程遠い存在だろう?
「召使」:
ふむ、また痛い目に遭いたいということかな?であれば、君の評価を下げざるを得ないね。
「公子」:
違う違う!そういうわけじゃないって。続けてくれ、あはは。
「召使」:
現在、ドットーレは新しい力の実験中だ。その影響が外に害を及ぼしている。
「召使」:
この人々の変異は、彼の実験の副産物であって、本来の目的ではないはずだ。
「召使」:
先ほどの集光の異獣は、サンドローネの配下だった…実験台にされたに違いない。ドットーレは意図的に生かしておいて、利用したのだろう。
「召使」:
おまけにドットーレと戦った私たちは、全員呪いを受けてしまった。私はナド・クライから出ることができない。
「公子」:
ひどい話だな…どうりで陛下がこういう指示をされるわけだ。
「公子」:
「——執行官に非常事態時の独断権を与える。ドットーレが脅威と判断された場合、アルレッキーノとサンドローネによる粛清を許可する。」
「召使」:
陛下に感謝を。サンドローネにもこの良き知らせを伝えておこう。
「公子」:
あと、まだ研究開発プロジェクトの成果をナド・クライから回収できていないから、撤退した後も現地への攻撃を一時的に控えると言っていたよ。
「召使」:
賢明なご判断だ。
「公子」:
そうだ、相棒はどうしてる?君たちと一緒じゃないのか?
「召使」:
相棒?旅人のことか?
「召使」:
…残念ながら、彼は私たちがドットーレの研究所に突入した際、どこかに転移させられてしまった。
「公子」:
捕まったのか!?どうして?ドットーレとそこまでの確執はないはずだろ!?
「召使」:
同感だ。だから、ドットーレには何か別の思惑があるのだろう。
「公子」:
ダメだ、助けに行かないと。
「召使」:
場所も分からないんだ、できることは何もない。
「公子」:
くそっ、けど何もせず手をこまねいてるわけにはいかないだろ!
「召使」:
サンドローネのほうでも対策を講じている。今の君にできる最も意義のあることは、任務を完遂することだ。
「公子」:
……
「公子」:
…分かってるさ。じゃあ…任せた。
「召使」:
ああ。
「召使」:
最後に、必ず各国の神々と住民たちに、制御不能な災害がナド・クライから外へと拡散しつつあることを伝えるよう、「雄鶏」に言っておいてくれ。
「召使」:
その元凶はネジの外れた実験狂いだ。我々ファデュイとここにいる仲間たちは全力で収拾に当たるつもりでいる。
「召使」:
だが万が一、ナド・クライが完全に陥落すれば、事態はさらに悪化するだろう。
「召使」:
ドットーレは今もファデュイの一員だ。故に、この地を守るファデュイは最後の瞬間まで戦う。
「公子」:
そんなに悲観的になることはないさ。それに、もし本当にそうなったら、陛下も黙っていないはずだ。
「召使」:
ああ、最悪の事態にならないことを祈るばかりだ。
エネルギー領域を調べる
アルベド:
ちょうどいいところに戻ってきたね。
ドゥリン:
うん。その、ボクって飛行免許の試験、免除してもらえるかな?
ドゥリン:
えっと、モンドでは街の外に着陸して、歩いて入るよう気をつけるから…
アルベド:
ボクが申請しておくから、安心するといい。今は、目の前の新しいものを観察しよう。
ドゥリン:
「博士」のエネルギー領域って、どんな構造なんだろう?クーヴァキの引力と斥力の原理に当てはまらないみたいだけど…
アルベド:
ああ、不思議だね。でも突き詰めれば、結局は三界の力から成り立ったものだ。
アルベド:
魔女会と師匠の研究によると、テイワットの元素力は原初の光界の力から変化したものだと分かっている。そして光界の力と虚界の力は対立関係にある。
アルベド:
キミの体内には魔龍ドゥリンの力があるから、きっと感じ取れるはずだ——このエネルギー領域には、アビスのエネルギーが存在しないことを。
ドゥリン:
…うん。アビスの気配はないね。とても純粋で、けど荒々しい力だ…
アルベド:
そこである仮説を思いついた。コロンビーナさんと一緒に月の狩人と戦ったとき、ドリーさんが教令院から持ってきた増幅装置を覚えているかい?
アルベド:
あれはボクが知る中でも、極めて精巧な装置の一つだ。構造、製造技術、材料、すべて完璧だった。
アルベド:
特に目を引いたのが、動作原理だったよ。ドリーさんは詳しく語らなかったけど、ボクなりにいろいろ推測してみたんだ。
アルベド:
なぜドゥリンの炎の元素力をコロンビーナさんが扱えたんだろうか?月神の彼女は、光界の力を使うはずなのに。
アルベド:
元素力は元々、光界の力から生まれたものだ。つまり、あの装置の機能は——元素力を「復元」することなんだろう。
アルベド:
光から生まれた七つの元素を、あの装置は光に復元する。この理論は、光がプリズムで屈折することに似ている…あるいは、中に本当にプリズムが隠されているのかもしれない。
アルベド:
その構造は、プリズムの観測から着想を得たのだろうか?そこから導き出される法則は、まるで世界の真理と基盤のように揺るぎないものだ。
アルベド:
それを成し遂げられるあの装置は、スメール教令院の現段階における元素理論と装置構造の最高傑作と言える。
アルベド:
そして、その大胆とも言える偉業と確かな理論は…クラクサナリデビによるものだろう。
アルベド:
さて、目の前のエネルギー領域に話を戻そう。もしこれが純粋な光界の力であるなら、それは元素力との間に融合と分離、内包と外延の関係があることを意味する。
アルベド:
噛み砕いて言えば、元素力で光界の力を薄められるかもしれない…ということだ。
ドゥリン:
試してみる?
アルベド:
ああ。
ドゥリン:
効いた!
アルベド:
エネルギー領域の端に、明らかな乱れが生じた。元素力が領域内のエネルギーに干渉、さらには相殺している可能性がある。
アルベド:
ドゥリンもやってみてほしい。
ドゥリン:
うん。
ドゥリン:
いけた…!
アルベド:
今度はアビスの力で、もう一度。
ドゥリン:
やあっ!
アルベド:
やっぱり…アビスの力による攻撃を受けると、領域のエネルギー消費がより顕著になる…
アルベド:
これで確信が持てた。領域は純粋な光界の力で構成されていて、元素力で薄めることができる。
ドゥリン:
でも、これほど大規模なエネルギー領域を相殺するってなると、一体どれだけの元素力が必要になるんだろう?
アルベド:
全部を相殺する必要はないよ。別の方法を試してみよう。
アルベド:
理論の説明は以上だけど…キミはそのまま見ているつもりかい?
{REALNAME[ID(1)|HOSTONLY(true)]}:
なんだ、気づいていたのか。
ドゥリン:
えっ?いつの間に!
{REALNAME[ID(1)|HOSTONLY(true)]}:
しばらく前から見ていたよ。アルベドがまるで学会の登壇者のように話すもんだから、ついね。スメールじゃ、誰かの発表を邪魔すると、その人生を壊しかねないんだ。だから、なかなか出られなくってね。
アルベド:
お気遣い嬉しいよ。ついでに、ちょっと手伝ってくれないかい?
{REALNAME[ID(1)|HOSTONLY(true)]}:
何をすればいい?
アルベド:
風元素を操って、円形の刃のような風を放ってほしい。一点に集中させるんだ。
{REALNAME[ID(1)|HOSTONLY(true)]}:
……!
ドゥリン:
効いた!しかも引き裂いた!
アルベド:
よかった、これで大きく前進した。
ドゥリン:
入るの?
アルベド:
力が拒み合うかもしれないから…ドゥリン、キミはここで入口を見張っていてくれ。ボクと笠っちさんで中を調べてくるよ。
{REALNAME[ID(1)|HOSTONLY(true)]}:
それが妥当だね。警戒は任せたよ。
ドゥリン:
うん。二人とも気をつけてね、助けが必要になったら合図を送って。すぐ駆けつけるから。
{REALNAME[ID(1)|HOSTONLY(true)]}:
いつの間に合図なんてものを?
アルベド:
先月新しく調合した錬金薬を持ってきているんだ。二本一緒に地面に投げると、まぶしい光が発生する。もし本当にそんな事態になったら、笠で目を覆ってほしい。
{REALNAME[ID(1)|HOSTONLY(true)]}:
ご忠告どうも、覚えておこう。
エネルギー領域に入る
アルベド:
やはり、少し奥まで入ると裂け目が見えなくなる…領域内の人間が逃げられないようにする仕組みだろうか?
{REALNAME[ID(1)|HOSTONLY(true)]}:
フン、ドットーレらしい。
{REALNAME[ID(1)|HOSTONLY(true)]}:
中は、呑み込まれる前とあまり変わらないようだ。
アルベド:
……
アルベドと{REALNAME[ID(1)|HOSTONLY(true)]}はエネルギー領域の中へと入った…
アルベド:
脈も呼吸もない…死んでいるようだ。でも、身体には傷一つない…
アルベド:
それに、死体のそばには必ず動物がうずくまっている。
{REALNAME[ID(1)|HOSTONLY(true)]}:
…こっちを見てる…動物の目じゃないな。
アルベド:
何かを伝えたいのかい?
{REALNAME[ID(1)|HOSTONLY(true)]}:
そうでもなさそうだ。それに動物らしさを感じない。
アルベド:
他を見てみよう。
エネルギー領域を調べる
{REALNAME[ID(1)|HOSTONLY(true)]}:
どこも同じだね。生きている人間は一人もいない。ただ無数の死体と、そのそばで見守る動物だけがいる。
アルベド:
ふむ…まずは動物たちがペットだった可能性を除外しよう。
{REALNAME[ID(1)|HOSTONLY(true)]}:
結論を直接言わないのは、僕の気持ちを考えてのことかい?
アルベド:
慎重なだけだよ。キミなら真実を受け止められると信じているさ。
エネルギー領域を調べる
???:
お願い…助けて…お願い…
アルベド:
ここで何があったんだい?
???:
…分からない…突然、みんな…倒れて…目線が…低くなって…
???:
まだ少しだけ…意識が…ここから…出たい…あ、ああ…
???:
…チュン…チュンチュン…
{REALNAME[ID(1)|HOSTONLY(true)]}:
どうやら、このエネルギー領域では巨大な実験が行われているようだ。
{REALNAME[ID(1)|HOSTONLY(true)]}:
それとも、エネルギー領域はどこも実験場になっているのか?反吐が出る…
アルベド:
人間の意識と動物の意識を入れ替えるなんてね…他のことを置いたとしても、実験のテーマが過激すぎる。
アルベド:
彼らは自我を失ってはいるものの、完全な動物にはなっていない。だから動物のように立ち去ることもなく、無意識に自分の遺体のそばに留まっているんだ。
{REALNAME[ID(1)|HOSTONLY(true)]}:
早く行こう…こんなところに長居したら何があってもおかしくない。
アルベド:
そうだね。
ドゥリンと会話する
ドゥリン:
おかえり!大丈夫だった?
{REALNAME[ID(1)|HOSTONLY(true)]}:
気持ちの悪いものを見ただけだ。それ以外は特に何も。
アルベド:
ここで得た情報は早めに共有すべきだろう。
ドド通話機:
ドド——ドド——ドドコ——
ネフェル:
ん?呼び出し?
アルベド:
ネフェルさん、アルベドだ。
アルベド:
エネルギー領域を突破する方法を見つけたよ。十分な元素力を適切に操れば領域を破れる。
アルベド:
それから、ドットーレは領域内で残虐な大規模実験を行っている。中の住民を早急に避難させないと、悲惨な結末を迎えることになるだろう。
ネフェル:
あたしたちの予想通りか。胸くそ悪いったりゃありゃしない。
アルベド:
それで…そっちは順調かい?
ネフェル:
これから始めるところさ。結果が出たらまた連絡するよ。
アルベド:
うん、気をつけて。
ネフェル:
もちろん。
ラウマ:
避難対応が済み次第、そちらに合流しよう。
ネフェル:
合流?そんな必要があるなんて言ってないけど?
ラウマ:
私には必要なのだ。それに、そなたのやり方を見てきた限り、共にいたほうがよいだろう。つまり、そなたを一人にするのは得策ではない。
ネフェル:
ふう…
ネフェル:
さて、演算状態に入るとしよう——
ネフェル:
(だだっぴろい野原だ。これが旅人の意識空間なのかい?)
ネフェル:
(…もっと豊かな心の持ち主だと思っていたけど。)
ネフェル:
(あっちに、誰かいる…?)
旅人:
何を見てるの?
蛍:
……
旅人:
いいよ、じゃあ俺も一緒に見る。
旅人:
蛍が出会ったこと、経験したこと、全部知りたいんだ。
旅人:
…俺はどこへ戻ったらいいんだろう?それともここに残って、いわゆる「英雄」を続けるべきなのかな?
旅人:
走って、戦って、任務をこなして、生活のために汗を流して、パイモンのためにも稼ぐ…でも今の生活、嫌いじゃない。
旅人:
唯一の不満は、蛍がいないことかな。
ネフェル:
(この意識層は人の本心を映す。旅人の心は、想いと優しさで満ちてるようだね。)
旅人:
(…人は生きてる間、ずっと誰かを想い続けるものなのかもしれない。大切な人を想ってるからこそ、俺たちは心臓の鼓動を強く感じられるんだ。)
ネフェル:
(……)
ネフェル:
(さらに深く潜ってみよう…)
「博士」と対峙する
「博士」:
ナシャタウンは生活する場所としては、決して便利とは言えない。だが雰囲気は悪くなく、人口も多い。
旅人:
…何が言いたいの?
「博士」:
そう構えるな、別に深い意味などない。ただ、お前の冒険の始まりに相応しい場所を考えていただけだ。
「博士」:
それとも、カーンルイアに送ってほしいか?
旅人:
カーンルイアはもう、この世界に存在しない。
「博士」:
三つの月が何を意味しているのか、まだ理解できていないようだ。過去に消えたものでも、今の私になら再現できるのだよ。
「博士」:
お前はただ、見たくないだけなのだろう。そこにどんな答えがあり、肉親がどう思っているのかを。ふむ…であるならば、私がどうこうするのは控えよう。
「博士」:
協力関係を築くには、多少なりとも温情が必要だからな。後ほど…
「博士」:
ん?
ネフェル:
(まずい!)
旅人:
何を…
旅人:
——!?
ネフェル:
(——!!)
旅人:
何をするつもりだ!
「博士」:
動くな。
「博士」:
異物がいるようだ…ほう?逃げ足が速い。
ネフェル:
はぁ…はぁ…
ネフェル:
…あんたが助けてくれたのかい?
ニコ:
早く接続を切らないと、ドットーレがあなたを捕えて、壊してしまいそうだったから。
ニコ:
そういうのは一度で十分よ。あなたは勇敢だったし、よくやったわ。
ネフェル:
ありがとね。でも、今はそんな話をしてる場合じゃなさそうだ。
ドド通話機:
ドド——ドド——ドドコ——
アルベド:
もしもし。
ネフェル:
旅人の居場所、だいたい見当がついたよ。
旅人:
(どうしてずっと真っ暗なんだ?)
旅人:
(目を開けても、何も見えない…)
旅人:
…いったい何が?
「博士」:
おっと、すまない。
旅人:
……
「博士」:
気づかなかったかもしれないが、さきほどまでお前の友人が、その脳を覗き見ていたのだよ。
旅人:
(…もしかしてネフェル?でもどうやって?俺と関係あるものを使って覗いたのかな?)
「博士」:
彼女は、今のお前の状況を知っていると思うか?
「博士」:
ふむ、だんまりか。私はただ、お前の時間を遅くすることで侵入を妨害し、盗み見するような不届き者を捕らえようとしただけなのだがな。
「博士」:
時間を操る…この能力は実に面白い。お前が目を閉じた瞬間、時間は厚みを増し、最も重い媒質よりも粘性を帯びた。
「博士」:
その目を閉じてから開くまでの間に、一ヶ月もの時が過ぎたのだよ。しかしその一ヶ月は、他人に何の影響も与えず、意味も持たない。これは神のみに許される所業だ。
旅人:
また自分の力を見せつけられて、嬉しいの?
「博士」:
いや、今回のはただの試運転に過ぎない。私は実践派でね。それに何を隠そう、まだ制御しきれていない。
「博士」:
少し眠らせるつもりが、一ヶ月も経ってしまった…時間の権能というのは、実に繊細な操作を必要とするようだ。
「博士」:
まさか、怒っているのか?たった一ヶ月だ、大したことではない。一年や十年、ましてや百年だったら…どうなっていたか。
旅人:
俺をここに閉じ込めて、何百万年だって眠らせたらいい。口では協力関係を築きたいとか言ってるけど、どうせこんな「もてなし」しかできないんだろ。
「博士」:
何百万年?それに何の意味がある?
「博士」:
お前は、人間というものをまだよく理解していないようだな。人間とは極めて現実的な生き物で、自分の感じ取れる範囲のことにしか実感を持てない。
「博士」:
私がお前を一週間ここに置いたとして、まだ人々はお前の辛さを理解できるだろう。しかし、その時間が百年、千年、一万年と延びたら…
「博士」:
そう、数字が大きくなるほど、すべて意味を失ってしまうのだよ。人々はお前の苦しみを想像できず、理解もできない。
「博士」:
残念ながら、このテイワットには確かに神がいるが、多くは凡人だ。
「博士」:
限られた寿命、脆い肉体…そんな存在に、お前が理解されると思うか?
「博士」:
お前の長い寿命、そして特別な出自は、彼らとの違いをはっきり示している。では、どうすれば異端者が排除されずに済むだろうか?
旅人:
…異端者。
「博士」:
はぁ、お前のことを思うと心が痛む。この世界はお前に数多くの使命を背負わせながら、その絶大な力で小さな望みを叶えてやろうとすらしない。
「博士」:
世界はお前に、あまりに不公平だ。
「博士」:
だから私が、お前に特権を与えよう。降臨者であるお前を本来あるべき地位へ戻すために。
鏡の中の世界に入る
コロンビーナ:
(あの空間には三回入ったけど…まだ分からないことだらけ…)
コロンビーナ:
(私が戻った「過去」は、時間をどんどん遡ってる。でも、場所はどうやって決まってるんだろう?)
コロンビーナ:
(今ある手がかりから考えると、どの「過去」も旅人の近くに現れてる…)
コロンビーナ:
(たしかに旅人の周りからはどこか知ってる気配を感じたけど…いったいどういうことだろう…)
コロンビーナ:
……
コロンビーナ:
(ひとまず考えながら、先に進もう…)
コロンビーナは再び、「過去」へと足を踏み入れた…
月の狩人:
人はいつもそうだ。本質を理解しないまま、力を欲す——制御もできないくせにな。
コロンビーナ:
(ここは…スターダストビーチ?月の狩人が自分の身体を取り戻す前かな?)
パイモン:
また大砲になんか仕掛けたんだろ。今度こそ思い通りにはさせないからな!
コロンビーナ:
(大砲…あのとき私は銀月の庭にいて、ナシャタウンから伝わってきたクーヴァキの異常な波を感じ取った。)
コロンビーナ:
(そのあと、スターダストビーチから不穏な力が届いて…)
月の狩人:
かつての俺は幾千万もの破片に分解され、混沌とした時間の中に投げ込まれた。それでも、俺の命と意志が消えることはなかった。
コロンビーナ:
(もし、ここで月の狩人の復活を阻止できたら…)
コロンビーナ:
(でもどうすれば…今の私にできることを考えなきゃ…)
パイモン:
旅人…
パイモン:
後ろ…光が——
コロンビーナ:
……!
コロンビーナ:
(間に合わない…!)
旅人:
……
コロンビーナ:
(あれって…私が前に旅人に教えたクーヴァキのシールド。まさかレーザーを防ごうとしてる?)
コロンビーナ:
(旅人の力なら耐えられるだろうけど、クーヴァキ同士がぶつかったら、たぶん他の場所にも影響が出る…)
コロンビーナ:
(……!ヒーシ島…霜月の子たちに被害が出るかも…!)
コロンビーナはふと、以前フリンズが問いかけたあの疑問を思い出した…
フリンズ:
ちなみに…コロンビーナさん、一つ伺いたいのですが。
フリンズ:
先ほどクーヴァキのレーザー砲が逸れた時、飛散したレーザーのいくつかがヒーシ島に向かいましたが、何かによって防がれていました。あれもあなたが?
コロンビーナ:
……
コロンビーナ:
まさか…あれって私が…未来の私がやったの?でも、今の力じゃこの瞬間…
フリンズ:
「血の流れる者は、皆、灯りの前にひれ伏す。」
コロンビーナ:
(そんなこと考えてる場合じゃない…!)
フリンズ:
「我は扉の前に佇み、揺れる灯りを見守ろう。」
コロンビーナ:
(ぜったい間に合わせなきゃ…!)
コロンビーナ:
霜月…大地…ナド・クライに眠る月光よ…
コロンビーナ:
この呼びかけが届くなら、感じられるのなら…もう一度だけ応えて!
コロンビーナ:
……
コロンビーナ:
成功…した…?
引き続きここを探索する
???:
ねぇ…起きなさい。
???:
ちょっと、聞こえてるの?
「傀儡」:
コ・ロ・ン・ビ・イ・ナ、起きなさいってば!
「少女」:
……
「少女」:
…ん?おはよう、サンドローネ。
「傀儡」:
今、午後の三時なんだけど…ひとの部屋で昼寝しないでくれる?
「少女」:
うーん…ここ、落ち着くんだよね。
「少女」:
キミの…コーヒー?すごく苦くてまずいけど、いい香りがするから。
「傀儡」:
ふんっ。まるで森で育ったみたいね。アナタがいたところには草を煎じたお茶以外、何もなかったの?
「少女」:
霜月の子の暮らしは質素で、ファデュイとはだいぶ違うから。
「傀儡」:
なら、これも食べたことないんじゃない?
「少女」:
…いい香り。
「傀儡」:
フフン、これはフォンテーヌでしか買えないお菓子よ。今日は暇だったから、ちょっと作ってみたの。
「傀儡」:
あとでロザリンも来るけど、アナタがどうしても今すぐ食べたいってんなら、食べさせてあげないことも…
「少女」:
はむ…もぐもぐ…
「傀儡」:
ちょっと!人の話は最後まで聞きなさいよ!その霜月の子とやらは、レディとしての食事作法すら教えてくれなかったの?
「傀儡」:
それとも立派な「月神」サマだから、そんなルール関係ないとか?
「少女」:
うん、すっごくおいしい。
「傀儡」:
当たり前よ、このワタシが作ったんだから。
「少女」:
サンドローネの機械油の匂いが混じってるかと思った。
「傀儡」:
…ちょっと。
「少女」:
……
「傀儡」:
…ねえ、前から気になっていたんだけど——なんで元々暮らしていたところを離れて、ファデュイに入ったの?
「傀儡」:
まさか「食べ物がまずい」なんてつまらない理由じゃないわよね?
「少女」:
うーん…あそこは私が想像してたのと、ちょっと違ってたんだ。
「傀儡」:
神として信者に頼られていたんでしょ?
「傀儡」:
適当に願いを叶えてあげればタダ飯にありつけて、悪くなさそうだけど。
「少女」:
じゃあ「タダ飯」のために、サンドローネは他人を助けるの?
「傀儡」:
どういうこと?
「少女」:
「博士」から聞いたんだけど、サンドローネって偉大な「機械っ子」に創られたんだよね。
「傀儡」:
「奇械公」よ。チッ…アイツ、余計なことを…
「少女」:
その奇械公は、スイセン…スイセン…なんだっけ…
「傀儡」:
水仙十字結社よ。
「少女」:
そう、それ。「水仙十字結社」と関係があるんでしょ。じゃあ、サンドローネはその人たちの願いを叶えてあげるの?
「傀儡」:
はあ?冗談でしょ。お金を積まれたって絶対イヤよ。あの連中とは全然知り合いじゃないし。
「少女」:
うん、それとおんなじだよ。私も、私に願いを託した人たちと、あんまり親しくないの。
「傀儡」:
ふん、そう。その点だけは意見が合うわね。
「傀儡」:
アランのやつ、晩年になってワタシに何かやりたいことはないか、何か願いはないかって聞いてきたのよ。ふん、願いなんてないし、逆に他人の願いを叶えてやるつもりだってまったくないわ。
「少女」:
…アランって誰?
「傀儡」:
アイツよ、あの…はぁ、言ってもどうせアナタは覚えないわよね。とにかくワタシが言いたいのは、アナタもワタシも他人のために身を捧げるようなタイプじゃないってこと。
「傀儡」:
ついでに聞くけど、アナタはどんな場所ならずっと居たいと思うの?
「少女」:
うーん…私にできないことを求めたり、私を崇拝したり恐れたりせず、ただ自然に話してくれる人がいるところかな…
「少女」:
できれば、行きたい場所に自由に出入りできて、コーヒーとお菓子の香りが漂ってる場所がいい…
「傀儡」:
はっ、残念ね。そんな場所この世界にないわよ。さっさとお菓子を持って、自分の部屋に戻ってちょうだい!
再び目を覚まし、コロンビーナは自分がまだ「月の影」の中にいることに気づいた…
コロンビーナ:
……
コロンビーナ:
私…気を失ってたの?
コロンビーナ:
(やっぱり、ここに戻されちゃった…)
コロンビーナ:
(それに…昔の夢を見た…)
コロンビーナ:
サンドローネ…旅人…
コロンビーナ:
(みんなに会いたいな…)
コロンビーナ:
(さっき…ヒーシ島のクーヴァキを借りることができたみたい…でも、なんでそんなことができたんだろう…)
コロンビーナ:
(ここの時間はたしかに遡ってる。そして、どこか覚えのある力を借りて、過去の空間に入ることができる…)
コロンビーナ:
(みんなが言ってた「謎の助っ人」って…私だったんだ…)
コロンビーナ:
……
コロンビーナ:
(もう、あんまり力が残ってないみたい…)
コロンビーナ:
(この空間の終点はどこなんだろう?時間は永遠に流れ続けるの?)
コロンビーナ:
(…みんなのところへ戻る方法を、見つけられるかな…)
「記憶」の入口を探す
コロンビーナ:
はぁ…んっ…
コロンビーナ:
(力をちょっぴり使うだけでも、厳しくなってきた…)
鏡の中の世界に入る
コロンビーナ:
(夜明かしの墓…ここってフリンズが普段いる場所だよね…)
パイモン:
ええっ!?こんなにたくさんの資料を全部読むのか?
フリンズ:
仕方ありません。現状では、これが最善です。
コロンビーナ:
(みんな…資料を探してる?あっ、たしかフリンズとファルカが「ワイルドハント」の資料について何か言ってた…)
コロンビーナ:
(この時のことも「私」がやったってこと?)
フリンズ:
ナド・クライの歴史に深く入り込むことで、月の狩人たちの本当の目的を暴くのです。
コロンビーナ:
(私のしてることは「過去を変えられてる」のかな?…それとも「過去をなぞらえてる」だけ…?)
コロンビーナ:
(これは必然なのか、それとも私が決めてることなのか…)
コロンビーナ:
(もしここでみんなを助けなかったら、この後の物語はどう変わっちゃうんだろう…)
パイモン:
はぁ…頭がおかしくなりそうだぜ…
コロンビーナ:
(ふふ…それでも、やっぱり私は友達の力になりたい…)
パイモン:
わっ、お、お化けだ!
コロンビーナ:
(たしか…この本もだよね。)
パイモン:
あっ、今度は他のが動いた!
コロンビーナ:
(これでいい…かな。)
コロンビーナ:
あれ…?
コロンビーナ:
ルオンノタル?
コロンビーナ:
私の存在を…感じることができるの?
コロンビーナ:
……!待って…!
あの「引力」が再び現れ、コロンビーナを「月の影」の中へと引き戻した…
コロンビーナ:
(ルオンノタル…これまで感じてた覚えのある気配は、ルオンノタルだったんだ!)
コロンビーナ:
(ずっと旅人のそばにいたから、私が辿り着く「過去」も旅人の近くだったんだね…)
コロンビーナ:
(でも…なんでルオンノタルなの?月神の眷属で、私と繋がりがあるから?だとしたら、なんで他の月霊じゃなくてルオンノタルなんだろう?)
コロンビーナ:
あれは…
コロンビーナ:
……
コロンビーナ:
(この先からは力をまったく感じられない…果てしない虚無が広がってる…)
コロンビーナ:
(たぶん…これが「過去」へ行く最後のチャンスなのかも。)
コロンビーナ:
(次で、戻る方法を見つけないと…)
コロンビーナは再び、「過去」へと足を踏み入れた…
コロンビーナ:
…ヒーシ島?これは、どこの過去と繋がってるんだろう?
コロンビーナ:
(ルオンノタルは?今回は…気配を感じない…)
パイモン:
イネファとアイノの生活って、見ててなんだかほっこりしたな!
コロンビーナ:
……!旅人、パイモン!
コロンビーナ:
(落ち着かなきゃ…残された力でできることは限られてる。この空間に残された時間も、もう長くない。)
コロンビーナ:
(戻る方法を見つけるには、どうしたら…)
コロンビーナ:
戻る…
コロンビーナ:
(でも、どこに戻るんだろう…?祈月の夜のあの瞬間?それともその後の未来?)
コロンビーナ:
(この状態のまま…戻るの?)
コロンビーナ:
(ドットーレが祈月の夜にあれほどのことを成し遂げたのは、ずっと計画してきたから。私のを除いて、月髄の力も二つ奪われてる…)
コロンビーナ:
(たとえ戻れたとしても…今の私じゃ、三月の力を手に入れてるだろう彼には太刀打ちできない…)
コロンビーナ:
(…むしろ、ドットーレの計画を早めることになる。)
コロンビーナ:
(奪われた力に対抗する方法を見つけないと…)
コロンビーナ:
…逆行する時間…三月の力…
コロンビーナ:
……!まさか…「月の影」の行き着く先って…
コロンビーナ:
……
コロンビーナ:
…何をすべきか分かった。
パイモン:
いつの間にかもう霜月の子が暮らしてるエリアに入ったみたいだな。景色も雰囲気もガラッと変わったぞ。
コロンビーナ:
(でも、どうやってみんなに私の計画を伝えればいいの?)
コロンビーナ:
(ここに書き残す?ううん、ダメ…他の誰かに見られる…)
コロンビーナ:
(何か方法を考えないと…私と繋がりがあって、みんなに何が起きたのか伝えられる手段を…)
コロンビーナ:
……
コロンビーナ:
はは…そっか。そういうことだったんだ…
コロンビーナはすべてに気付いた。その後、ルオンノタルを創造し、あなたのもとへと送り届けた。
パイモン:
花びらが飛んできたと思ったら…どうなってるんだ?
ルオンノタル:
……?
コロンビーナ:
(私が、ルオンノタルを誕生させたんだ…自身の「魂」の一部を使って。)
コロンビーナ:
(だから、この空間に入った時から知ってる力を感じたし…)
コロンビーナ:
(「過去」を訪れるたびに、あの子の近くに現れた…)
コロンビーナ:
(だって、私とあの子は繋がってるから…)
パイモン:
こんにちは!おまえの名前は?
コロンビーナ:
(そして、月の影にもう「過去」へ繋がる扉がないのは、この時点よりも前にはルオンノタルがいないから…)
コロンビーナ:
はは…だからキミと初めて会ったとき…祝福の証を感じ取ったのに、その中に宿る魂に気づけなかったんだね。
コロンビーナ:
だって、あの時の私は「コロンビーナ・ハイポセレニア」ではなく、ただの迷子の小さな鳩だったから…
パイモン:
ほら、オイラたちは忙しいから、遊びたいなら別の人と遊んでくれ。
ルオンノタル:
……
旅人:
あーあ、パイモンが邪険に扱うから…
ルオンノタル:
……
コロンビーナ:
これからのことは、任せたからね。
ルオンノタル:
……
コロンビーナ:
おねがい、私の代わりに旅人のそばにいてあげて。彼を導いて、助けてあげて…
コロンビーナ:
それから…祈月の花が咲き誇る庭へ、旅人を連れて行ってほしいの。そこで迷子の小さな鳩が、旅人の助けを待ってるから。
ルオンノタル:
!!
コロンビーナ:
ふふ…おねがいね。
ルオンノタル:
~!
コロンビーナ:
……
コロンビーナ:
キミも…キミの物語を歩むんだよ。
コロンビーナ:
私は…別の道を歩まなきゃ…
「博士」と対峙する
「博士」:
何をしても責任を問われない快感を味わってみないか?そう、他人を蟻のように踏み潰す悦びを。五体満足のまま息の根を止めるも、肉片にするも自由だ。頭を引きちぎったって、手足をもぎ取ったっていい。
「博士」:
私を信じろ。お前は自分が望む人生まで、あと一歩のところに来ているのだよ。
旅人:
(狂ってる…人を殺める自由、それどころか…どんな罪を犯しても罰せられない自由なんて…)
旅人:
なんで俺を選んだ?
「博士」:
世界を創造することは最高位の実験と言える。私の研究はその高みへと至った。この世界で私は神であり、多くの聖なる魂の奴隷でもある。真理に耳を傾け、神聖な行いを実践できる者だ。
「博士」:
神の実験室…完璧な遊び場には、面白いプレイヤーが必要なのだよ。
「博士」:
凡人は至るところに溢れているが、降臨者はたったの数人。私は身分ある鑑賞者を最初のゲストとして迎えたい。最高のプレイヤーとなってもらうためにね。
旅人:
(新世界へ入るための条件は、罪のない人を殺すこと…これは「月の狩人」レリルが抱えてたジレンマだ。)
旅人:
(人を殺して、自分の願いを叶える…俺がそれを?それを成し遂げたレリルは、いったい何を得られたんだ?)
「博士」:
考えはまとまったか?
旅人:
……
旅人:
俺にはできない。
旅人:
どんなに俺に期待しようと、それを俺の心が否定する。わざとらしく英雄なんて呼ぶ必要もない。この旅路は自分のために歩んできたもので、すべて俺が望んだことだ。
「博士」:
ふむ、初めて会った時から大きく進歩したものの、心の中の譲れないものは変わっていないようだ。それはお前の足枷でしかないというのにな。
「博士」:
では私の誠意を示すために、いくらか譲歩しようではないか。お前に少し時間をやろう。その間に学ぶがいい——立派な人間である必要などないということを。そうすれば、お前はもっと楽に生きられる。
旅人:
…俺が、そこまで落ちぶれるとは思えないね。
「博士」:
だが、お前の抵抗の意志は確実に薄れてきている。世渡り上手な者ほど、真の利益に惹かれるものだ。
「博士」:
そうだ、もう一度私の研究所を訪ねてみないか?前回は少々慌ただしかったせいで、見せられなかったものもあるのでね。
movie
「博士」が再び誘いをかけてきた。あなたは手にする剣で答えた。その一撃は確かに彼の胸を貫いた。だが、博士は微塵も傷つかず、瞬く間にもう一度斬り込んでくる。あなたがその背後に浮かぶ月髄を奪おうと手を伸ばせば、たちまち力で押さえ込まれた…絶体絶命のその時、{REALNAME[ID(1)|HOSTONLY(true)]}が現れ、あなたをエネルギー領域から救い出した…
放浪者と会話する
{REALNAME[ID(1)|HOSTONLY(true)]}:
ごほっ…!
旅人:
笠っち?どうして…
{REALNAME[ID(1)|HOSTONLY(true)]}:
この状況で、まだ僕を笠っちなんて呼ぶのかい?
旅人:
わざわざ俺を助けに?
{REALNAME[ID(1)|HOSTONLY(true)]}:
あんなところ、君以外に助けるやつなんていないだろう。
{REALNAME[ID(1)|HOSTONLY(true)]}:
っ…
旅人:
待って、怪我してるの?
{REALNAME[ID(1)|HOSTONLY(true)]}:
大したことじゃない。
{REALNAME[ID(1)|HOSTONLY(true)]}:
なんでそんな顔で僕を見るんだ?僕が君を助けたことがそんなに意外なのかい?
旅人:
まさか「博士」を出し抜けるなんて…
{REALNAME[ID(1)|HOSTONLY(true)]}:
以前、スメールで君に借りを作ったからね。そろそろ返すべきだと思っただけさ。
{REALNAME[ID(1)|HOSTONLY(true)]}:
まあ、ドットーレの不意をつくことは、正直簡単とは言えない…
{REALNAME[ID(1)|HOSTONLY(true)]}:
あの技はもう通用しないだろう。本当はやつを倒すときのために温存しておきたかったんだけどね。
{REALNAME[ID(1)|HOSTONLY(true)]}:
ちっ、考えれば考えるほど居ても立ってもいられなくなってくる。
{REALNAME[ID(1)|HOSTONLY(true)]}:
ドットーレは僕のことを知らないけど、彼の断片たちは僕の動作原理を基に作られていた。
{REALNAME[ID(1)|HOSTONLY(true)]}:
少し時間をかければ、僕が何者なのか気づくだろう。
旅人:
(そっか…世界樹から情報を消されたから、ドットーレは今の{REALNAME[ID(1)|HOSTONLY(true)]}のことを知らないんだ。)
旅人:
(…俺を助けるために、奥の手まで使ってくれるなんて。)
{REALNAME[ID(1)|HOSTONLY(true)]}:
なんだその顔は。君を責めるつもりは毛頭ない、誤解しないでくれ。
{REALNAME[ID(1)|HOSTONLY(true)]}:
ただ単に、君を救うことはあいつを殺すのと同じくらい重要だったまでだ。
{REALNAME[ID(1)|HOSTONLY(true)]}:
君が死ねば他の人に迷惑がかかる。生きていてもらわないとね。
ドゥリン:
大丈夫?何かされなかった?
ドゥリン:
笠っちが「安全第一」って言ったから、エネルギー領域を出たらできるだけ遠くまで逃げて、安全になってから合流することにしてたんだ!
アルベド:
外傷はないようだね。ドットーレに何かされていないみたいでよかった。
旅人:
大丈夫、ありがとう。
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救出は完了したし、帰ろう。
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これからやるべきことが山ほどある。忙しくなるよ。