arrow_back 原神 クエスト
第五章 第三幕

鏡と謎煙の彼方


すべては崇高な名の下に
ナタの冒険はまだまだ続く。しばらく経った頃だった…
キャサリンと会話する
キャサリン:
そうでしたか…ありがとうございます。ちょうど冒険者協会も手が回らない状態でして…
ピルシン:
お気になさらず。冒険者の皆さんはいつも重要な戦力になってくださっています。今の状況では、一致団結しなければ。
ピルシン:
無事、協力関係を結べたので…今まで集めてきたアビスの情報を後ほどお届けします。その時にまた、人員の配置を確認しましょう。
キャサリン:
はい、よろしくお願いします。
パイモン:
よう、キャサリン。また新しい依頼があったみたいだな。
キャサリン:
こんにちは、ちょうどお知らせしたいことがあったんです。炎神様は人員を集め、ナタの各地に配置し終わりました。
キャサリン:
最近は頻繁にアビスが侵入してきていますから、今まで通り情報が入ってから行動するとなると、どうしても後手後手になってしまいます。
キャサリン:
そこで炎神様は「懸木の民」と冒険者協会の情報網を利用しようと考えられました。ナタの各地の動向が分かり次第…
キャサリン:
私たちが最新の情報を近くの駐屯地に送れば、そこにいる戦士たちが即座に動けるというわけです。
旅人:
対応が素早くなったね。
キャサリン:
はい。これで私たちもあちこち奔走せずに済んで、情報収集に集中できるようになります。
キャサリン:
お二人も最近は大変だったでしょうから、あまり気を張らず、ゆっくり休んでくださいね。
パイモン:
なるほどな。よかった、やっと一息つけるぜ。
パイモン:
分かってるって。別に今すぐグースカ寝るなんて言ってないだろ?
キャサリン:
ふふっ。…アビスの動きは予測しにくいもので、過去には急に活発になり始めた時期もありました。人々にとって、あれは突発的な「天災」みたいなものです。
キャサリン:
しかし、災いが過ぎ去れば、きっといつもの日常を取り戻せるでしょう。そんな日が早く来るといいですね。
パイモン:
そうか。世間の人たちはまだ夜神の国がヤバイって知らないのか…
旅人:
早くカタが付くといいね。
カチーナ:
あれ、旅人さんにパイモンちゃん。こんにちは!
パイモン:
カチーナ!体調はもういいのか?
カチーナ:
うん。へへっ、それに今は家でゆっくりしてる場合じゃないでしょ。わたしも何かしなくちゃって思って。
カチーナ:
ちょうど炎神さまが野外に駐在する戦士を募集してるって聞いたから、応募して来たの!
カチーナ:
へへっ、最近あなたのことをよく聞くんだ。みんな頑張ってるんだから、わたしも頑張らないとって思ったの。
カチーナ:
あっ、そういえば、シロネンお姉さんがね…
カチーナ:
「古名」にとりかかる準備ができたから、いつでも来ていいって。
パイモン:
ついに伝説の「古名」の職人とご対面か…それにしても、「古名」が作れるっていうのはほんとに不思議だよな。
カチーナ:
へへっ、シロネンお姉さんはすごい職人なんだ。「古名」以外にも、いっぱい面白いものが作れるんだよ。
カチーナ:
依頼人が多すぎて、毎回すごく待つことになるんだけどね…でも今回は集中するために、特別に時間を空けてくれたんだって。
旅人:
会ったらお礼を言わないと。
カチーナ:
応募はできたし、もうお知らせを待つだけだから…よかったら一緒に行かない?
カチーナ:
落ちるってことは、ないと思うし。多分…
パイモン:
おまえは「夜巡者の戦争」で勝った立派な戦士なんだから、もっと自信持てよな!
カチーナ:
そ、そそそんな——!
カチーナ:
うぅ、は、恥ずかしいよ…
シロネンと会話する
カチーナ:
シロネンお姉さん、「古名」が必要な人を連れてきたよ。
カチーナ:
すっごい人なんだよ!わたし、いっぱい学ばせてもらってるの。この人ならきっと英雄の名にふさわしいよ!
シロネン:
そのことは聞いてるよ。すごい勢いで有名になったって——
シロネン:
…異邦人なの?
パイモン:
おう。オイラたちはナタに来た旅人だ。
シロネン:
いや…「古名」が必要なのが異邦人だなんて、聞いてなかったんだけど?
カチーナ:
えっ、炎神さまから聞いてないの?
シロネン:
うん。新しい協力者が現れたけど、その人の身の安全を守るためには、新しく「古名」を作らなきゃいけないとしか…
シロネン:
「古名」を作るのはかなり難しいって言ってたから、ウチの腕を信用してないのかと思ったんだけど…
シロネン:
ははっ、難しいってそーゆーことね。
カチーナ:
お、怒ってる?
シロネン:
別に…もう慣れっこだしね。ただ、ちょっと頭を冷やしたいだけ。
シロネン:
いつも難題ばっか吹っ掛けてくるから、毎回ケンカばっかなんだ。面と向かってやり取りしないのは、かえって効率的かもね。
シロネン:
あいつがいないってことは、ケンカになる可能性は根本的に排除されてる。だってあんたたち相手に怒るわけないでしょ?
シロネン:
でも頭は分かってるけど、やっぱムカつくわ。異邦人に「古名」を作ることなんて出来ないって分かってるクセしてさー。
パイモン:
えっ、そうだったのか?
シロネン:
知っての通り、「古名」は英雄の輝かしい精神を象徴してる。受け継がれる度に、その重さも増してくもんなんだ。
シロネン:
「古名」を作るっていうのは、誰かの英雄的な功績を記録すること。その人は「古名」の最初の英雄になるってわけ。
旅人:
なら俺の功績で十分だね。
カチーナ:
そ、そうだよ。旅人の冒険者手帳を見せてもらったけど、何でもできるって書いてあったよ!
シロネン:
それはナタ以外での経験でしょ?
パイモン:
それはそうだけど…
シロネン:
そういうのは夜神の国に記録されない。そもそも、たとえナタでの経験であっても、異邦人のものは記録されないの。
シロネン:
大霊に認められない記憶や経験は、「古名」の素材にはなり得ない。
シロネン:
どんなにすごい職人でも無から有は生み出せない。そーゆーこと。
パイモン:
大霊って結構厳しいな…
シロネン:
——マーヴィカは誰よりもそれを知ってるはずなのに、それでも「古名」を作れって言ってきた。
パイモン:
出来っこないことを任されたってことか。はぁ…怒るのも無理ないぜ。
カチーナ:
こういうこと、昔もあったような…何があったかは知らないけど、シロネンお姉さんは近くの山を何十周も走ってたよね…
シロネン:
そんな話はいーよ。今はどうやって不可能を可能にするか考えないと。
パイモン:
もう納得しちゃうのかよ!
シロネン:
じゃあ、どうすればいいって言うの?もう決まっちゃったことだし、マーヴィカは炎神様だよ。命令に背くわけにはいかないでしょ?
シロネン:
そういう要望を出してきたってことは、あいつの計画では「古名」が必要不可欠だってこと。で、ウチの腕なら何とかできるって思ったわけだ…
シロネン:
ウチを信頼してる証ともいえる。
パイモン:
じ、自分を説得しにかかってるぞ…!
旅人:
シロネンと炎神の絆ってことなのかも?
カチーナ:
そ、そうだね。何か方法がないか考えよう。もしできなかったら、えっと…炎神さまに正直に言ってみるとか?
シロネン:
重要なのは、どうやって大霊に旅人のことを認めさせて、その功績を記録させるかってとこだよ。
パイモン:
前に夜神の国に行った時、大霊の声が聞こえたよな?ってことは、大霊とは交流できるってことか?
パイモン:
もし大霊に連絡がついたら、説得したりできないのか?
シロネン:
部族にはそれぞれ信仰する大霊がいる。連絡するってなると、どの大霊に連絡すればいいんだろうね。
シロネン:
こんなの前代未聞だし、一体の承認だけじゃ足りないかも…
旅人:
六部族を全部回らないといけないってこと?
シロネン:
はぁ、そこについてはウチもよく知らないし、わかんないよ。
シロネン:
大霊と夜神の国に詳しい人に聞いてみないとね。そっちの方向で思いつくのは、謎煙の主の「黒曜石の老婆グラスバーバ」——シトラリかな。
パイモン:
あっ、名前は聞いたことあるぞ。そいつの「スピリットストーン」のおかげで、カチーナの「古名」を見つけられたんだ!
パイモン:
あんなものが作れるくらいだから、きっとすごいやつなんだよな。力になってくれそうだぞ!
シロネン:
でもシトラリは結構年がいってるし、変わった性格なんだよね。いつも家に閉じこもってて、邪魔されたくないっぽいし…会うのはなかなか難しいと思う。
シロネン:
それに、彼女のご機嫌を取れなければ、助けてもらえないかもしれないって聞いたし。
パイモン:
えっと、それは…
旅人:
彼女のご機嫌を取るのは難しいかも…
シロネン:
ん、どーゆーこと?一回助けてくれたんじゃないの?おかげでカチーナは助かったんじゃ…
パイモン:
その代償として、「スピリットストーン」は一つから…二つになったんだ。
カチーナ:
ええ!?
シロネン:
……
シロネン:
やってくれるよ、マーヴィカ。こんなたくさんの難題をいっぺんに押し付けてくるなんて。
シロネン:
それなら、マーヴィカからの重要な命令って体でいって、シトラリが炎神様の顔を立ててくれることを願うしかないね。
シロネン:
手紙はウチが書くよ。手紙の内容もそうだけど、届けてくれる人も取り持ってくれるような人だったらもっといいんだけど…
カチーナ:
じゃあ、キィニチお兄さんに頼もう!キィニチお兄さんは状況を一番よくわかってくれてるし、シトラリおばあさまとも仲がよさそうだから…
パイモン:
キィニチ、アハウをちゃんと閉じ込めておいてくれるといいんだけどな。
シロネン:
うん、いい案だね。キィニチは交渉に長けてるし、いい感じに空気を読んでくれるでしょ。
カチーナ:
よし!じゃあ、今すぐ呼んでくるね!
シロネン:
手紙を書いてくるから、ちょっと待ってて。あとで七天神像の近くで落ち合おう。
パイモン:
おう。じゃ、適当にぶらぶらしとくぜ!
約束の場所でキィニチと合流する
しばらく待つと、キィニチが駆けつけてきた。
キィニチ:
また会ったな。カチーナから状況は聞いた。シトラリに手紙を届けて、説得してみる。
キィニチ:
ちょうど「スピリットストーン」の件は、説明して謝らないとって思ってたしな。
シロネン:
厄介ごとを任せちゃってごめんね。シトラリとの付き合い方を分かってるのはあんただけだからさ。
キィニチ:
気にしないでいい、みんな炎神様の計画のために頑張ってるんだからな。それに、ナタの状況がどれほどひどいかってことは、ここにいる全員が知ってる。
シロネン:
ふーん。ってことは、カチーナと旅人も知ってるの?
カチーナ:
うん。過去の英雄が目の前に出てくるのを見た時、ムアラニちゃんは沢山の記憶と知識が頭の中に入ってきたって言ってた。
カチーナ:
こっちに戻ってきた後、炎神さまはみんなに夜神の国の状況とか、どうして英雄が急に現れたのかについて全部説明してくれたの。
パイモン:
そうだったよな。で、炎神が六人の英雄の話をしたとき、既に認められた四人の中に、シロネンの名前があったんだ。
シロネン:
ふふっ、そういうことなら腹を割って話せるね。たとえ現状が悲惨でも、一緒に進んでくれる仲間がいるっていうのは心強いかも。
キィニチ:
もう一つ情報がある。あの時、競技場で「隊長」を助けた人物についてだが、ほぼ目星がついた。
キィニチ:
「謎煙の主」の出身で、オロルンってやつだ。普段は集落を離れ、村はずれで独りで暮らしている。
キィニチ:
だから今回の失踪についても、部族の者たちはずっと気づいていなかった。シトラリが気づいた頃には、すでにかなりの期間誰とも連絡を取っていなかったらしい。
パイモン:
シトラリもそいつを知ってるのか?
キィニチ:
ああ。オロルンは孤児で、「謎煙の主」の族長と親切な人たちによって育てられた。だが、小さい頃から変わったやつだったそうだ。
カチーナ:
変わったやつって…
シロネン:
「謎煙の主」の人ってみんな夢とか啓示の話に夢中らしいから、傍から見ればそれだけでも十分変なやつらだけど…
シロネン:
そんな部族の中で「変わったやつ」って呼ばれるぐらいなら、直接会ったことはないけどよっぽど普通じゃないんだろうね。
キィニチ:
ああ。そういう点では、オロルンとシトラリはちょっと似てるかもな。だから、二人は気が合うと思う。
パイモン:
なるほど。シトラリは引きこもりなのに、なんでオロルンが失踪したって最初に気付けたんだろうって思ってたけど…
キィニチ:
オロルンが自らの意志でファデュイに入ったのか、それとも脅迫されたのか…そこについてはまだ分からない。
キィニチ:
でもシトラリは一刻も早くオロルンが裏切ったわけじゃないと証明したいはずだ。そこを切り口にする。
シロネン:
つまり、オロルンと「隊長」の行方を探そうって提案するの?
キィニチ:
ああ。もしみんなが協力してくれるなら、それは単純なお願いから、両者が利益を得られる「協力関係」になる。
キィニチ:
炎神様からの命令を断ることはないと思うが…「協力関係」を提示すれば、シトラリもオロルンのことを気に病まず、より集中できると思う。
パイモン:
おう。「スピリットストーン」を出してくれたお礼もしたいしな。
シロネン:
さすが「マリポ廻焔」のキィニチ、筋が通ってる。
シロネン:
じゃあ、手紙は頼んだよ。二日後、競技場で待ってるから。
キィニチ:
ああ。すぐに届けてくる。
カチーナ:
キィニチお兄さん、いってらっしゃい!
カチーナ:
じゃあわたしも帰るね。まだ片付けが終わってないんだ。
シロネン:
うん、じゃあこんなとこで。また二日後ね。
シロネンと会話する
パイモン:
シロネン——!状況はどうだ?
シロネン:
あっ、旅人、パイモン。
シロネン:
残念ながら、シトラリからの返事はまだないよ。ま、こんな予感はしてたけど。
パイモン:
えっ?返信がないって…キィニチを無視したってことか?シトラリって、結構尊大なやつなんだな!
シロネン:
シトラリは一筋縄ではいかない、変わった性格をしてるんだ。謎煙の主の人も付き合いにくいって言ってる。返信がないのは他の理由かもね。
シロネン:
聖火競技場に行って待ってみよう。会えれば、話せるかもしれないし。
パイモン:
それもそうか。じゃ行こうぜ!
約束の場所でシトラリを待つ
聖火競技場にやってきたが、やはり誰もいなかった。
パイモン:
誰もいないぞ…シトラリのやつ…まさか本当にオイラたちを相手にしない気か?
シロネン:
はぁ、よく考えられた提案だと思ったけど、確かにシトラリには応える義務もないしね。
パイモン:
だって、これは炎神の命令なんだぞ!そいつだって炎神の民なんだろ?
シロネン:
民?うーん…ウチからすれば、みんなは仲間同士みたいな感じだって思うけどね。
シロネン:
マーヴィカは確かにリーダーだけど、そこに越えられない身分の壁があるってわけじゃない。
シロネン:
…ただ要望を出す時はいつも…すんごい期待をかけてくるけど。
旅人:
それは身に沁みて分かった。
パイモン:
はぁ、炎神は強いのに、あんまり尊大なイメージもないし、優しい奴だけど…
パイモン:
でもその「黒曜石の老婆」ってやつは、偉いからって人を無視するなんて、さすがにひどすぎるぞ!
パイモン:
みんなすごいすごいって言うけど、結局返信もしてくれなかったんだぞ?来ないなら来ないって言ってくれよ!
パイモン:
オイラはそんな年寄りには絶対なりたくないぞ。
???:
へえ、そんな風に思ってるのね。
パイモン:
うわっ!誰だ!急に耳元で喋るなよ!
???:
「年寄り」のおばあちゃんなんだから、耳元で囁くのが精いっぱいでもしょうがないでしょ?か弱い老人が他にどうすりゃいいっていうの?
シロネン:
えっ?シトラリ?
旅人:
えっ?
パイモン:
おまえがシトラリか?おまえって…「黒曜石の老婆」じゃないのか?
シトラリ:
「黒曜石の老婆」って、重要なのは「黒曜石」であって、「老婆」じゃないの。
シトラリ:
小説でもよくあるでしょ?見た目は若いお爺さんとか、見た目は少女なのに百戦錬磨の英雄だとか、子供のカラダをした魔法使いとか…
シトラリ:
フフッ、何その顔?こんなおばあちゃんは見たことない?別に若作りじゃないのよ。ホラ、厚化粧もしてないでしょ…
シロネン:
あー…言い忘れてたかも?シトラリは若いけど…えっと、ばあちゃんなんだ。
旅人:
うっかりなところは炎神にそっくりだね。
シロネン:
わ、忘れてただけだし!みんなとっくに受け入れてるからさ…
パイモン:
えっと…失礼だけどさ…いくつなんだ?
シトラリ:
まっ!レディに歳を聞くなんて、ホントに失礼ね!
パイモン:
うぅ、悪かったぞ。あまりにも変わってるからさ…
パイモン:
謝りたかったのに、話せば話すほど混乱して…オ、オイラ、おまえがもう来てくれないと思って…つい頭にきちゃったんだ…
シトラリ:
……
シロネン:
シトラリ、呼んだのはウチだから、責めるならこの子たちじゃなく、ウチを責めなよ。
シトラリ:
…もういいって、そんなマジメな空気にされたら、逆にいたたまれなくなっちゃう。さっきのコトバは気にしないで。
シトラリ:
キィニチが届けてくれたテガミを読んだ時点で、来るって決めてたの。でもそう決めたなら、わざわざ「わかった」って返信する必要もないでしょ?直接来ればいいわけで。
シトラリ:
でも…
シトラリ:
出かける前にちょっとしたトラブルに遭っちゃって…よくあるコトでしょ?あはは…で、ようやく着いてみたら、みんなワタシより早く来てるし、気まずくて出るに出られなくなっちゃったの…
シトラリ:
さりげなく登場しようと思ったけど、みんなはもう話し始めてるし、どのタイミングで謝ればいいか分からなくて。しかもよくよく聞けばワタシのワルグチを言ってるじゃない!どうしようかと思っちゃった…
シトラリ:
…フン、とにかく、そういうコト。黒曜石の老婆のカットウなんて、知らなくていいけど。
パイモン:
(ばあちゃん…なんでそんな顔するんだ…?)
パイモン:
(さっきのが、気まずかった反応かよ!?)
旅人:
(これって…フォローを待ってるの…?笑いどころが多すぎるけど、笑ってもいいのか分からない…笑ったら失礼になっちゃうかな?いや、むしろ笑わないほうが失礼…?)
シロネン:
(謎煙の主の人が言ってた「付き合いにくい」ってこーゆーこと?何か、人付き合いが下手っぽいっていうか…挙動不審すぎでしょ!)
シトラリ:
ふん、とにかく、本題に戻りましょ。シロネン、古名を作るのにワタシの手助けが必要なんですって?
シロネン:
うん、今回はかなり特殊な状況なんだ。実は…
シロネンはシトラリに炎神の要望や遭遇した困難などについて説明した…
シトラリ:
なるほど…マーヴィカさまはソトの人の古名を作ってほしいって言ってきたわけ…前代未聞ね。
シトラリ:
そういえばキミたち、オロルンのことはもう聞いているのよね?幼い頃からおとなしいコだったから、ファデュイに入ったなんてあり得ない。きっと脅かされたのよ。
旅人:
オロルンを見つければ分かるかも。
パイモン:
おう!オイラたちはまさにそのために来たんだぞ。オロルンを見つけてやるから、古名の問題を解決してくれないか?
シトラリ:
キミ、旅人でいいかしら。こっちに来てちょうだい。カオをちゃんと見せて。
シトラリ:
……
シトラリ:
「人々は富のために争いをやめないけれど、キミは黄金を越えた。人々は雷霆と怒涛を恐れたけれど、キミは海を渡った。」
シトラリ:
「自由を求める疲れた魂よ…最も鮮やかな色彩を持つ緑の葉っぱも、キミの安らぎを願っている。」
旅人:
どういう意味?
シトラリ:
キミから見たものよ。キミはみんなが思っている以上に沢山のコトを経験してきたのね。そして誠実な英雄の心をもって、炎と共に暗い夜に入る勇気がある人…
シトラリ:
ん?動かないで。ナニかいるわ。
パイモン:
えっ?な…なんだよ?オイラを脅かさないでくれ。大丈夫か?
シトラリは手を振った後、あなたの肩に触れた…
シトラリ:
…散りなさい!
シトラリ:
はい。夜神の国から帰ってきたキミの体には、魂の残留物がついてたわ。もう祓ってあげたけど。
パイモン:
えええっ…幽霊をちょっと連れて帰ってきちゃってたってことか…!?
シトラリ:
そこまでヒドいわけじゃないけど。放っておくと精神が不安定になったり、キブンが悪くなったりするだけ。
シロネン:
ふうん、祓ってもらえてよかったね。
旅人:
ありがとう。
シトラリ:
お安い御用よ。
シトラリ:
シロネン、キミたちの計画に乗るわ。オロルンを見つけてくれたら、夜神に会わせてあげる。
パイモン:
夜神?えっ、大霊にじゃないのか?
シトラリ:
これほど重要なコト、部族の大霊には決められないもの。異邦人に「古名」を作れるかどうか、決められるのは夜神だけ。
シトラリ:
夜神は夜神の国を管理する古の生命体で、常に聖火の力を借りてアビスの侵食と戦ってるの。
パイモン:
なるほど。簡単に言うと、大霊よりもすごいってことだよな?まあ、そりゃそうか…「夜神の国」って言うぐらいだもんな。
シトラリ:
それはちょっと違う…誰がよりスゴいとかって話じゃないのよ。まあ、詳しく説明するには複雑すぎるから、ハショらせてもらうけど。
シトラリ:
話を戻すけど、「夜神」が深い眠りについたイマ、夜神の意識と繋がる方法は「脱魂」しかない。カンタンに言うと、夢を見ることね。
シトラリ:
「脱魂」のような儀式を行うには、いくつか用意しないといけないモノがあるの。リストにまとめるから、準備してくれる?
シロネン:
じゃあ、ウチが行くよ。色々要りそうだし、地元の人間のほうが土地勘があっていいっしょ。
パイモン:
よし、じゃあ、オイラたちはシトラリと一緒にオロルンを探しに行こうぜ。
シロネン:
相手はファデュイなんだし、くれぐれも気を付けてね。助けが必要になったらいつでもウチを呼んで。
パイモン:
うん、無理はしないぞ。
シトラリ:
こっちはあのワルガキを探さないとね。ふぅ…
シトラリ:
今日は遅刻しちゃってゴメンね。実は来る前にオロルンの拠点に行って、手がかりを探してたの。
シトラリ:
あのコは一人で暮らしてるんだけど、拠点にあるツボが壊れてたの。あのコが飼ってる燃素ミツムシの調子もおかしくて。たぶんずっと誰も世話してなかったんでしょうね。
シトラリ:
部屋のナカには刃物を使った跡もあったけど、ナタの武器じゃなかった…あれはスネージナヤ人のモノじゃないかしら。
パイモン:
誰かが部屋に入ってオロルンを誘拐したってことか?
シトラリ:
でも…野外でミツムシを飼ってるだけのコを、誰がわざわざユーカイしたって言うの?二十代そこそこのあのコをさらってどうするのよ。
シトラリ:
コホンッ!別にオロルンに非がないって言ってるわけじゃないのよ。でも、ナタにはヒトが大勢いるのに、どうしてあのコがさらわれたのかしら?
シトラリ:
まあとにかく、早くあのコを連れ戻して聞いてみないことにはね。
シトラリ:
不躾なお願いをしてホントにゴメンね…でもオロルンを探すには、キミたちの手助けが必要なの。
パイモン:
オイラたちに任せてくれ!
シトラリ:
ええ。まずはオロルンが最後に目撃されたトコロに行ってみましょう。

迷煙の向かう場所へ
シトラリは約束通り来てくれたが、とある条件を出した——失踪した孫のオロルンを探してほしいというものである。依頼を受け、シトラリと共に人探しの旅に出た。
手がかりを調べる
シトラリ:
ここよ。
シトラリ:
目撃者のハナシによると、オロルンはココでファデュイの兵士と話してたんですって。
シトラリ:
どこまで信じてくれるか分からないけど…オロルンはいいコなのよ。ファデュイと関わるようなこと、するハズないの。
シトラリ:
きっとファデュイに脅されてたか、情報を聞き出されてたトコロを目撃されちゃったのよ…
シトラリ:
…でも、争った形跡もないし、きっと信じてもらえないでしょうね…はぁ…
パイモン:
(こいつ、ナタでは人望があるってキィニチが言ってたよな?こんな風に思い悩む一面もあるんだな…)
旅人:
オロルンはどんな人なの?
シトラリ:
オロルン?あのコは…道端に捨てられてたのよ。部族のヒトたちがあのコを拾ってきて、みんなで一緒に育てたの。
シトラリ:
謎煙の主で色んなことを勉強して、大きくなってからは一人で離れて暮らすようになったわ。野菜を栽培したり、燃素ミツムシを飼育したりして、自給自足で生きてるの。
シトラリ:
はぁ。友達づてにいつも野菜を送り届けてくれるんだから。ホントにいいコなのよ。
旅人:
(確かに悪い人じゃなさそう…)
シトラリ:
まあいいわ。とにかくサガしましょう。人を見つければ手がかりも手に入るハズよ。
シトラリ:
オロルンはミツムシを飼ってるけど、あのコたちはシゲキを受けると特殊な燃素を分泌するの。その痕跡を追えばオロルンを見つけられるかもしれない。
シトラリ:
痕跡を辿ってみましょう。
パイモン:
えっ、痕跡ってどこにあるんだ?オイラには見えないぞ。
シトラリ:
ああ、そっか。キミたちの目はそういうモノに敏感じゃないのね。
シトラリ:
さあ、手を出して。
シトラリ:
……
シトラリ:
どう?
パイモン:
どうだ?
旅人:
急に痕跡が見えてきた。
パイモン:
おう、オイラもだ!
シトラリ:
ええ。巫術でワタシの感覚を一時的に分け与えたの。しばらくの間、キミたちにも燃素が「見える」ようになるわ。
パイモン:
そんなのって誰かに与えられるものなのか?初めて聞いたぞ。
シトラリ:
珍しい巫術でフツーの人には使えないけど、ワタシはよく使ってるから心配しないで。おチビちゃんの感知力は弱めだけど、旅人はちょっと強いのね。
シトラリ:
さっきキミの手を握ってみたけど、キミは燃素との相性がよさそうよ。才能があるって言えばいいのかしら。
シトラリ:
とにかく、次はオロルンの行方を探してみましょう。二人とも、頑張ってちょうだい。
シトラリについて行く
???:
(はぁ、ワケの分からないことって何よ?分かりやすいように説明してるつもりだけど。歳はイってても、頑張ってナウいコトバを使ってるのよ!)
???:
(えっ、もしかして流行りの言葉じゃなかったの?うぅ…今時の若者が好むような話し方をココロがけてたのに…でもさっきのこのコたちの表情から見ると…)
???:
(ま…ま…まさか!ワタシってゼンゼン時代についていけてないの?)
パイモン:
(えっ?)
旅人:
(何か急に声が聞こえた…いや、頭の中に響いたような?)
パイモン:
(この声は…シトラリか?)
旅人:
(……)
旅人:
(パイモンにも聞こえたみたい?分かったみたいな顔してる…あ…もしかして、魔法の副作用?)
???:
(そういえば、今回は手伝ってもらえてよかった。みんなと一緒に動いたほうがいい時だってあるものね。)
旅人:
(テレパシーで会話する能力ってこと?すごい…さすがシトラリ!)
???:
(ナニ?その目…自信満々ね。何だかうまくいきそうな気がするわ。)
旅人:
(うん、任せて。)
前方の拠点を調べる
パイモン:
うーん…オイラのガイドとしての経験から見た感じじゃ、やっぱり誰かここに留まってたみたいだな。
シトラリ:
ちょっと待って…ここの燃素、ちょっとおかしい。
シトラリ:
見てみましょう…
シトラリ:
……!
パイモン:
なにかのマークみたいだな。すごく小さいけど…
シトラリ:
これは謎煙の主の人が使う助けを求めるサインなの。分かるのはワタシたち部族の者だけ。あのコ、やっぱり脅されてたのよ。
シトラリ:
早く見つけないと。
シトラリ:
(こんなに小さいマーク…気付かれないようにしたのね…やっぱり、ファデュイに監禁されてるに違いないわ。)
シトラリ:
(正面からぶつかることになるなら、ゼンリョクで戦う。で…でも、もしオロルンもそこにいたらどうしましょう?)
シトラリ:
(あのコは可愛い孫みたいなものなんだもの…巻き込めない…ああ——!ダメね、落ち着かなきゃ…!)
引き続き進み、調査する
パイモン:
こっちにも誰かがいた痕跡があるぞ!
シトラリ:
待って、燃素の痕跡が複雑になってきてるわ…
シトラリ:
…匂いが入り交じってる。炎、雷…それから他の元素も。
パイモン:
キィニチはおまえのこと、すごいやつだって言ってたぞ。なにかわかったのか?
シトラリ:
……
シトラリ:
(ふふっ、キィニチったら、やっと素直に褒めてくれたのね。)
シトラリ:
争った形跡よ。
シトラリ:
現場の痕跡から見ると、恐らくここで戦いがあったんでしょうね。でもその後、燃素も元素の匂いも、別々の方向へと消えていった…
旅人:
オロルンが反撃したみたいだね。
パイモン:
オロルンは助けを求めるサインを残してたんだよな?もしかしたら、ここでもサインを残そうとして、ファデュイにバレちゃったんじゃないか…?
旅人:
(シトラリがすごく心配してるみたい…)
旅人:
(助けを求めるサインを残したということは、やっぱりオロルンは何らかの理由で脅されてたみたい…多勢に無勢じゃ、危ないかも。)
シトラリ:
別々の方向に向かったのなら、ワタシたちも二手に分かれましょう。
シトラリ:
ワタシはこっちに進むから、そっちをお願い。また後で合流しましょう。
シトラリ:
(オロルン…一体何してるの!ワタシだけじゃなくて、みんなに心配をかけるなんて!ホントいけないコね!)
パイモン:
あいつ、行っちゃったぞ。
パイモン:
旅人、おまえも聞こえてたよな?
旅人:
うん。
パイモン:
シトラリがいなくなったら、声も消えた…心の中であいつの名前を呼んでみたけど、なんの反応もなかったぞ。
旅人:
テレパシーってわけじゃなかったんだ。
パイモン:
な?オイラもてっきり会話できるのかと思ったんだけど…こっちにはあいつの心の声が聞こえて、向こうもオイラたちの心の声が聞こえる…ってな。
旅人:
シトラリは気づいてなかったみたい…
パイモン:
この巫術はよく使ってるって言ってたし、過去に失敗したこともなさそうだけどな…もしかしたら、オイラたちが特殊だから、副作用みたいなのが出てきちゃったのか?
パイモン:
ぷふふっ、あいつの心の声、賑やかだよな…思ってたのと全然違うぞ。
ほかの痕跡を確認する
旅人:
(燃素の痕跡がある。でも…)
パイモン:
手がかりが見つかったのか?
パイモン:
えっ?オロルンがどっちに向かったのか、もうわからないってことか?
パイモン:
急になにもなくなった…足跡とかも全然ないぞ。おかしいな…
パイモン:
生身の人間が急に消えるわけないし、ファデュイもいたはずなのに。まさか空を飛んでいったわけじゃないよな…
旅人:
(パイモンの言う通り、おかしい。それに…)
???:
(…どうやら君には、地下からの風の音が聞こえるようだな。)
旅人:
(!?今のは誰…)
声の主を探していると、瞬く間に夜神の国に来ていた…
旅人:
(夜神の国!?どうしてここに?)
???:
悪いが…動かないでくれ。傷つけたくないんだ。
旅人:
(……!)
???:
危険を察知した瞬間、体が固まった…まるで野生動物のようだな。はぁ、初対面がこんな形になって本当にすまない…
???:
君は戦いが得意だから、他の場所であれば僕は為す術もなかっただろう…しかし君は今、謎煙の主の者たちがよく知っている領域——夜神の国にいる。
???:
こんにちは、旅人。僕が君の探しているオロルンだ。
旅人:
…どういうこと?もう脱出できたの?
オロルン:
ああ…脱出…やはりそう思っていたか。ばあちゃんもきっと「ファデュイに脅されている」と言ったんだろう…煙に包まれた偽りのサインを見た君は、嘘を追ってここに来た。
オロルン:
あの痕跡は君をここまで誘導するためのものだ。だが、騙したのは本意じゃない。これは…君ともう一人の友人を会わせるための、一番手っ取り早い方法だったんだ。
旅人:
「隊長」!?
「隊長」:
来たな、異郷の旅人。
オロルン:
丁重に対応してくれ——旅人の魂はこちらの制御下にあるが、かなり脆くなっている…慎重に扱わないと。
「隊長」:
お前を誘い出すためにオロルンには罠を仕掛けてもらった。そして…謎煙の主の儀式で、お前の魂を夜神の国に連れてきたのだ。
「隊長」:
同僚が、世話になったそうだな——お前のことは色々と耳にしている。こんな状況だが…俺はこの先、お前と正式に話をしたいと思っている。
「隊長」:
その時になれば、こんなことをした理由と、マーヴィカを疑う理由を説明しよう。とにかく、当たり前のようにやつの計画に乗るべきではない。
「隊長」:
詳しく知りたければ競技場の東を探すがいい。これ以上トラブルを起こすのは本意ではない。誰にも知られずに来てくれ。
オロルン:
現実世界でもいずれ会うことになるだろう。その時はどうか、話を合わせてくれ…ばあちゃんを巻き込まないために。
現実に戻ると、目の前には心配そうな表情をしたパイモンとシトラリがいた…
旅人:
……!!
パイモン:
おい、どうしちゃったんだよ?急に倒れて、いくら呼んでも反応がなかったんだぞ。
旅人:
あっ…大丈夫。
旅人:
(今のは幽体離脱だったの…?だからパイモンの声も聞こえなかったのか。)
シトラリ:
ねえ、な、なんで座り込んでるの?本当に大丈夫?
パイモン:
シトラリ!こいつ、ボーっとしてると思ったら、急に倒れちゃったんだ…
シトラリ:
まさか、夜神の国から持ってきちゃった残留物とカンケーしてる…?どこか具合の悪いところはない?
旅人:
平気だよ。ちょっとクラクラしてるだけ。
シトラリ:
ゆっくり休んでなさい…慌てなくていいから。グアイが悪いって知ってたら、無理してお願いしなかったのに。
旅人:
(もしオロルンと「隊長」の言ってたことが事実なら、筋は通ってる…でも、信じていいのかな?)
旅人:
(すべてを打ち明けてもいいけど、そしたら手がかりが消えてしまう…しばらくは謎煙の主の人々やファデュイと関わることもあまりないだろうし…とりあえず秘密にして、引き続き情報を集めよう。)
パイモン:
具合が悪いなら言ってくれよ。なにかに憑りつかれてるのかもしれないし…シトラリがいるから、また診てもらえるぞ!
シトラリ:
いつも旅をしてるなら、ムリは禁物って分かるハズよね?何か頼みがあれば、エンリョなく言って。
旅人:
大丈夫、ありがとう。
シトラリ:
とにかく、もう少し休んだほうがいいわ。
事は急を要するが、パイモンとシトラリと一緒にその場でしばらく休んだ。
オロルンの声が頭の中に響き続ける。その間、シトラリはじっくりと観察し、もう一度診てくれた。
シトラリ:
はぁ…ホント、不用心なコなんだから。
パイモン:
楽になったか?
シトラリ:
じゃあ、次の準備をしましょう。
シトラリ:
さっき、燃素の痕跡を辿ってある拠点に辿り着いたんだけど、周りに兵士がいたの。オロルンが中にいる可能性が高いわ。
パイモン:
それってこの近くか?さっそく行こうぜ!
旅人:
時間を無駄にしちゃってごめん…
シトラリ:
キミはワタシの助っ人で、ワタシたちは風と雲みたいなカンケーよ。キミの調子が悪いと、ワタシもうまく動けないの。
シトラリ:
お詫びなんていいから、しっかり働いてちょうだい。
シトラリが見つけた拠点に行く
シトラリ:
あっちよ。
パイモン:
誰かいるみたいだぞ?
シトラリ:
オロルンよ…!やっぱりファデュイに捕まってたのね。
旅人:
(本当にオロルンだ…幽体離脱した時に見たのと同じ。)
パイモン:
よし!オイラたちが助けてやろうぜ!
オロルン:
……
コステリツキー:
おい!何ボーっとしてんだ?仕事は終わったのか?
オロルン:
…太陽がない。
コステリツキー:
なんだと?
オロルン:
太陽がない時は、真実が見えない。君が日差しを遮ってるんだ…ちょっとどいてくれ。
コステリツキー:
あん?何意味不明なこと言ってやがんだ?
シトラリ:
むむぅ…ゼッタイにこらしめてあげるから。
パイモン:
(シトラリのやつ、必死で怒ってないフリをしてるみたいだ…)
シトラリ:
フン…準備はいい?目にもの見せてやるわよ。
シトラリ:
三、二…一!
オロルンの状況を確認する
シトラリ:
オロルン!
オロルン:
ばあちゃん!
パイモン:
えっと…シトラリが「黒曜石の老婆」だってことは知ってるけど、実際に「ばあちゃん」って呼ばれるのって、やっぱり違和感があるよな…
オロルン:
こ…こんにちは。じいちゃん。
旅人:
じいちゃん!?
パイモン:
なんだって!?
オロルン:
じいちゃんだ。違うのか?君はばあちゃんの友人で、同世代みたいだから…じいちゃんだろ。
シトラリ:
そんな理屈じゃないって何度も言ってるでしょ?ばあちゃんと同じセダイの人は沢山いるけど、見かけるたびにばあちゃんやじいちゃんなんて呼んじゃダメよ。
パイモン:
待てよ…こいつ、まさか子供なのか?こんな顔してるけど実はまだ十歳もいってなかったりして?
オロルン:
その言葉は刺のあるツル草のように、深く刺さるな…ピンセットを使わないと取り出せないぐらいに…
パイモン:
傷ついてないでオイラの質問に答えろよ!
オロルン:
僕は大人だ。でも感謝の心を忘れないようにと、ばあちゃんに言われているんだ。謎煙の主のみんなには育ててもらった恩がある。みんな僕の家族だ。
旅人:
(この前とだいぶキャラが違うけど…今のも演技には見えない。とにかくシトラリのために、話を合わせるよう言われたし…)
オロルン:
ああ。
パイモン:
へへっ、じゃあこいつは誰よりも年下で、若造の…下っ端ってことだな!
シトラリ:
オロルン。そんな話をすれば叱られないとでも思ったの?
オロルン:
……
シトラリ:
三つのものには気を付けるようにって、小さい頃からずっと言ってるでしょう?
オロルン:
ああ。獣、詐欺師、どこの馬の骨とも知れない人。
シトラリ:
ちゃんと覚えてるのにどうして守れないの?一人暮らしの時点でトラブルに遭う確率はタダでさえ高いのよ。なのに…よりによってこんな大きなトラブルに巻き込まれるなんて。
シトラリ:
捕まっちゃったらもう、誰かに助けてもらうしかないのよ!ワタシたちが駆け付けてこなかったら、死んでたかもしれないのに。
オロルン:
ごめん、ばあちゃん…次から気を付けるよ。
シトラリ:
次ですって!こんなアブないこと、次なんてあってたまるもんですか!
オロルン:
……
シトラリ:
フン…怪我させられたり、してない?
オロルン:
いや…ナタの地形について色々と聞かれて、地脈の分布図を描くよう言われただけだ。
シトラリ:
正直に答えてちょうだい。炎神さまの前から「隊長」を逃がした謎の人物は…オロルンなのね?
オロルン:
ああ。
シトラリ:
どうしてそんなコトしたのよ?
オロルン:
それは…
オロルン:
僕の協力が必要だと言われた。もし断ったら、ばあちゃんを探し出して、何らかの方法で痛めつけてやる…とも。
シトラリ:
フン!ばあちゃんはタダ者じゃないの。そんなコトできるわけないでしょう?このコはホントにもう…そんなデタラメを信じるなんて、その頭に詰まってるのはただの飾り?
シトラリ:
幸い、炎神さまは「謎煙の主の謎の人物」を探せとしか言ってなくて、キミのナマエは出てない。でも、だからって炎神さまがなんにも知らないだなんて思わないで。
シトラリ:
「たとえ予想していた真実が訪れようとも、慌てる必要はない。」教えたコトバ、忘れちゃったの?
オロルン:
ごめん。
シトラリ:
…もういいわ。
シトラリ:
倒したファデュイと拠点の状況が証拠になるから、これでキミの無実は証明できるでしょう。
シトラリ:
さ、片付けて帰りましょ。オロルン、今回のことを教訓にして、ちゃんと反省するのよ!それから、街に戻ったらワタシと一緒に談議室行きよ——コトの経緯を説明するの。
オロルン:
分かった。野菜を持っていこうか?
パイモン:
野菜?
オロルン:
ああ、野菜をたくさん育ててるんだ——新鮮だぞ。炎神様、お嫌いなものがないといいんだが…
シトラリ:
イマはそんなこと言ってるバアイじゃないでしょう。炎神さまに会ったら、まずはこう言うの——
オロルン:
三つのものには気を付ける。
シトラリ:
違うでしょ!まずはファデュイと結託なんかしてないって弁明するの!
パイモン:
謎煙の主の教育は一体どうなってるんだよ…
オロルン:
分かった…
談議室に行く
戻った後、シトラリはあなたたちとオロルンを談議室に連れていき、オロルンの状況を説明した。
コヨパ:
…なるほど。オロルンが「隊長」を逃がしたのは、ファデュイがシトラリさんに害をなさないようにするためだったと。
オロルン:
ああ、すまなかった。
シトラリ:
一族の者を守るためだったってコトに免じて、許してくださるよう、炎神さまを説得してくれないかしら?
コヨパ:
情報を整理して炎神様に報告する。結果が出たらすぐに知らせよう。
オロルン:
ここで待たなければならないのか?
コヨパ:
本当はそうなんだが、シトラリさんが保証人になってくれるのなら、自由に行動していい。
シトラリ:
いいわ。別の用事もあるし、ここで時間を無駄にするわけにはいかないの。
コヨパ:
協力に感謝する。オロルンさん、知らせが届き次第、なるべく早く談議室に来てくれ。
オロルン:
分かった、ありがとう。ばあちゃんも、ありがとう。
パイモン:
ふぅ、これで逃げ隠れする必要はなくなったな。
シトラリ:
旅人、パイモン、今回はホントありがとう。恩に着る。
シトラリ:
オロルンのことが落ち着いたらシロネンのトコロに行きましょ。一緒に「古名」を作らないと。
パイモン:
おう!ありがとな!
旅人:
面倒かけてごめんね、シトラリ。
シトラリ:
面倒だなんて、助け合うのは当たり前のコトでしょ。じゃあ、またね。朗報を待っててちょうだい。
シトラリ:
オロルン、ついてきて。泊まる場所を探さないと。
オロルン:
さようなら、じいちゃん。
旅人:
ふふ、大きな孫だね…さようなら。
オロルン:
……
旅人:
(…約束を忘れるなって言ってるみたい。)
旅人:
(オロルンが嘘をついてるようには見えなかったし…この目で見てなかったら、シトラリに内緒でこんなに色んなことをしたなんてとても信じられなかった…いったい何を企んでるんだろう?)
パイモン:
ふぅ——!やっと片付いたぞ。さて、なにを食べるか考えようぜ…
旅人:
パイモン、聞いてほしいことがある。
パイモン:
えっ?なに?
パイモンを離れた場所に連れていき、幽体離脱のことを詳しく伝えた。
パイモン:
えええ——!?「隊長」が!?
旅人:
シーッ!
パイモン:
あっ!び…びっくりしたぞ。夜神の国であいつに会ったのか?しかもなにもされなかったって?
パイモン:
オロルンは一体何がしたいんだ…!誠実そうだったから、オイラてっきり…!
パイモン:
ばあちゃんが心配だからしょうがなくファデュイと協力した…なんて真っ赤な嘘で、ほんとはファデュイと進んで手を組んでたのか!
パイモン:
うん…そうだな。
パイモン:
教えてくれてありがとな。オイラはおまえの判断を信じるから、おまえが行きたいっていうなら、一緒にいくぜ。
パイモン:
約束の時間まであと1日か。時間になったら、約束の場所であいつらを探そう。
約束の場所に行く
パイモン:
あれ、誰もいないぞ…まさか騙されたんじゃないよな?
旅人:
……!
パイモン:
わぁっ!
オロルン:
こんばんは。会えて嬉しいよ。
パイモン:
幽霊みたいに後ろから急に現れるなよ!
オロルン:
すまない、いつもの癖で…本当に悪かった。
パイモン:
おまえって、謝ってばっかだな。大人しそうに見えるのに…なんで変なことばっかするんだよ!
オロルン:
君の言う通りだ。ばあちゃんにもよく言われている…君、ばあちゃんに言い方がそっくりだな。
パイモン:
なんだよ?オイラのこともばあちゃんって呼ぶか?
オロルン:
まあ…そういえなくもないが。
オロルン:
……
オロルン:
誰もついて来ていないみたいだ。出てきていいぞ。
「隊長」:
約束通り来たか。やはり俺の目に狂いはなかった。
「隊長」:
しかし——お前たちは探究欲が強く、危険に立ち向かう勇気があると「公子」が評価していた。そういった人物とは協力関係を結ぶべきであって、敵にはなりたくない。
「隊長」:
しかしこのまま何もしなければ、俺たちはいずれ戦うことになるだろう。そうならないように何とかしたい。
旅人:
というと?
「隊長」:
兼ねてよりお前の各国での実績は耳にしている。同僚たちと何度も戦ったそうだが、お前は決して理屈が通じないような者ではない。
「隊長」:
もし炎神のマーヴィカが絶対に教えない情報を知れば、お前も俺の提案を前向きに考えたくなるかもしれない。
オロルン:
炎神様の計画はもう知っているんだろう。アビスを倒してナタを救うには、あと二人の英雄を待たないといけない。
パイモン:
なんでおまえがそんなこと知ってるんだよ?…って、そこはいいか。もう知っちゃってるわけだし…
「隊長」:
計画の進捗には常に注目している。率直に言おう——彼女の方法はリスクが高い。英雄は本当に現れるのか、そして本当にアビスを倒せるのか…
「隊長」:
もしもの事があれば…ナタだけではない。テイワット全土が道連れになる。
「隊長」:
本当に他に方法がないのか、それとも別の応急策があるのに言わなかっただけなのか…お前はどう思う?
パイモン:
応急策って…
「隊長」:
たとえ今の計画が失敗しても、ナタを存続させるための方法だ。しかし、その方法には悲惨な代償が伴う。だからこそ彼女はそれを予備案にしたのだろう。
「隊長」:
躊躇い、恐怖、あるいは考えの甘さ…何がそう決断させたのかは分からないが、今のナタには彼女が悟るまで待つ余裕がない。
「隊長」:
最も心配なのは、多大なる責任が降りかかる中で彼女が悲惨な事実に向き合えず、予備案を実行する機をも逃し、ナタを全滅させることだ。
「隊長」:
——だから彼女の代わりに実行する必要がある。今すぐにだ。
旅人:
それは君の推測でしかない。
パイモン:
そうだぞ。証拠でもあるのか?そんな一方的な話をオイラたちが信じるなんて思うなよ!
パイモン:
あの時、神の心を奪おうとしたのは、氷の女皇の計画のためだったんだろ?
旅人:
(待って。「神の心を奪い」、「彼女の代わりに実行する」…まさか…)
旅人:
予備案は神の心と関係してるの?
「隊長」:
フッ、やはり鋭いな。あの件は女皇陛下とは無関係だ。
「隊長」:
戦いで負けた以上、神の心は諦めるべきだが、ナタを救うという目的は変わっていない。
「隊長」:
俺は新しい方法を見つけた。もしお前が賛同してくれるならば、今すぐにでも…
「隊長」:
…チッ。
オロルン:
誰か来る!
パイモン:
えっ…「隊長」が消えた?
オロルン:
何かの気配が近づいてくる…まずい!
シトラリ:
ナニかの気配ですって?キミのばあちゃんだけど!
オロルン:
ぐっ…!
パイモン:
シトラリ!?い…いつの間に来てたんだよ…
シトラリ:
二手に分かれようって決めた時には気付いてたのよ。隠れた儀式用の道具、幽体離脱しちゃった旅人。キミってコは…一体何をするつもり?
シトラリ:
よくも…ワタシに黙ってファデュイと手を結んだわね?
オロルン:
……
シトラリ:
またそうやって、オコられたらすぐ黙り込む。それで見逃してもらえるとでも思ってるの?
オロルン:
そういうわけでは…
シトラリ:
まだ強がる気?そうじゃなければ何だって言うの?
オロルン:
う…後ろめたい気持ちはあったんだ。ばあちゃん、ごめん。
シトラリ:
この…!ムチか何か、持ってくればよかった…
パイモン:
お、落ち着けよ、シトラリ。今回は…えっと…収穫がなかったってわけじゃないだろ?少なくとも「隊長」がもう神の心を奪う気はないってことはわかったわけだからな!
パイモン:
戻ってからにしようぜ、な?
旅人:
おしおきは帰ってからで。
シトラリ:
…いい?旅人とパイモンが頼んでくれたから無事でいられるのよ。おしおきナシってわけじゃないからね。
シトラリ:
ふぅ…二人の言う通りね。街に戻ってからにするわ——行きましょう。二人とも、どうかオロルンのことを見張っててちょうだい。
旅人:
(「隊長」との会話は一番重要なところで途切れてしまった。でも、オロルンはここにいる。タイミングを見て聞いてみよう…)
競技場に戻る
シトラリ:
もう——!こんなコ見たことないわ!実行することのメリットとデメリットすら考えられないの?そこまでバカじゃないでしょうに!
シトラリ:
なんで「隊長」を助けたのか、ちゃんと説明してちょうだい!
オロルン:
……
シトラリ:
あら、答えない気ね?なら質問を変えるけど、「隊長」は何をしようとしてるの?それはナタとどんなカンケーがあるの?
オロルン:
……
シトラリ:
聞こえないフリ?ばあちゃんを無視する気なの?
オロルン:
……
旅人:
(オロルンは弁明するつもりがまったくないみたい…)
シトラリ:
よく考えてみなさい。「隊長」を助けるメリットなんてある?キミと謎煙の主全体に、終わりのないトラブルをもたらすだけでしょう。
シトラリ:
普段は聞き分けのいいコなのに、どうしてこんな無謀なことをしたのよ?心配事があったなら、こんなコトせずにワタシに言ってくれればよかったじゃない。
オロルン:
……
パイモン:
わっ!なんでこっちを見るんだよ?
オロルン:
…こんなところを見せてしまって、申し訳ない。
オロルン:
君は優しい。普通の人なら、とっくに逃げてるかも…ばあちゃんの文句を喜んで聞く人なんていないから。
シトラリ:
後ろでコソコソ内緒話するなんて…キミたちねぇ!
パイモン:
わっ、ごめんよ、ばあちゃん!
シトラリ:
フン、フフフ…ハハハ、まあいいわ!ワタシのような威厳のないばあちゃんはナニを言っても無駄なのね。キミたちはもう立派な大人で、ばあちゃんの言うことなんて聞いちゃいないのよ。
シトラリ:
尊敬するなんて口だけなのよね…だって実際はどう?もうイファづてにジャガイモやキャベツを届けてくれなくていいから。こんな悪いコからの贈り物なんていらないもの。
パイモン:
イファって誰だ…?配達員か?
シトラリ:
そんなのどうだっていいでしょ!こんなコとつるんでるんだから、きっとロクなコじゃないわ。はぁ、子供って大人になるとちっとも言うことを聞いてくれないのね。どうせナニ言ったってムダなんでしょうけど——
シトラリ:
…オロルン、まだ使命とやらについて考えてるのなら大間違いよ。地脈がこんな風になっちゃったのは、決してキミのせいじゃない。あの件はもうとっくに終わってるんだからね。
パイモン:
なんだか内輪の話題に入っちゃったな…全然わからないぞ…
オロルン:
それは違う、ばあちゃん。
旅人:
(ん?声がちょっと変…)
オロルン:
いつも「何を言ってもしょうがない」と投げやりになるけど、それが本気じゃないのは知っている。でも、今回は本当に傷つけてしまったことも、分かっている…すまない。
シトラリ:
この声は…オロルン!?どこにいるの!?
パイモン:
なんだか声がすごく遠いぞ…目の前にいるのになんでだ?
オロルン:
本当に申し訳ない。ナタを救う責任は誰にでもある。もう行かなくては。
シトラリ:
オロルン、戻ってきてちょうだい!オロルンったら…もう!植物の胞子でできたコナ…?これで騙してたのね!
パイモン:
なんで急に遠くに行っちゃったんだ?一体どういうことだよ?
シトラリ:
ただの小細工よ!胞子をコナにしてうまくばら撒けば、マボロシを作り出せるの…
シトラリ:
全然分からなかったわ。もしかしてあのコ、毎日こうやって畑で野生動物を捕まえてるの?だからこんなにうまいのね…って、上達して何のイミがあるのよ!
シトラリ:
ああもう、ムカつく…今度会ったら足をへし折ってやるんだから!
パイモン:
うぅ、落ち着いてくれよ…でも、オロルンはどうしていつも逃げるんだろうな?ナタを守るために、なんでオイラたちから離れる必要があるんだ?
旅人:
事情を説明してくれるつもりもないみたい。
シトラリ:
……
シトラリ:
さっきはあの二人とナニか話をしてたのよね。割り込んじゃってごめんなさい。でも二人のデタラメを最後まで聞いたところで、何の役にも立たないと思う。
シトラリ:
問い詰められれば、いつかは口を割ってしまう…それが怖くて逃げたんでしょうね。ホントにもう…
旅人:
(「隊長」の言葉はでたらめなんかじゃない…でなければ、オロルンが頑なについていくはずない。)
旅人:
(手がかりが途切れちゃった…「隊長」が言ってたことについては、直接炎神に聞いたほうが早いかも。それに…)
旅人:
(オロルンのわがままな行動にシトラリは傷ついてる。慰めてあげないと…)
旅人:
さっき言ってた、オロルンの使命って?
シトラリ:
……
シトラリ:
街までもうしばらくかかるから、ゆっくり歩いていきましょう。どこから話せばいいか、考えさせてちょうだい。
競技場に戻る
シトラリ:
この後時間はある?おナカ空いたし、ナニか食べない?
パイモン:
確かにずっとなにも食べてないよな…気が緩むと一気にお腹が空いてきた気がするぞ…
シトラリ:
じゃあ酒場でちょっと休みましょう。ワタシの奢りよ。
パイモン:
え?いいのか?おごってもらえるんだぞ?
旅人:
……
パイモン:
(あっ…でも、さっきからこいつ全然喋ってないよな。なんか機嫌が悪そうだぞ…)
パイモン:
ま、まあオイラたちは立派な冒険者だからな。ちゃんと自分で払えるぜ!
シトラリ:
キミたちまで奢らせてくれないのね…はぁ、ただゴハンを奢りたかっただけなのに。
パイモン:
えっ?オイラたち、おまえがモラを使わなくていいようにって…
シトラリ:
はぁ、モラのことなんてどうだっていい。長い道を一緒に歩んできたから、キミたちをいたわりたいだけなの…このつまらないおばあちゃんに奢るチャンスをちょうだい。
パイモン:
わかったから…シトラリ、元気を出してくれ。
シトラリ:
ステーキを食べれば元気になるから、心配しないで。
酒場に行く
三人で酒場に入り、静かな場所に座った。
パイモンと一緒に食べ物やジュースを注文すると、シトラリはお酒をいくらか注文し、ゴクゴクと飲み始めた。
シトラリ:
……
パイモン:
なに見てるんだ?
シトラリ:
入口に立ってる二人、カオがそっくりね。双子かしら?
パイモン:
えっ、一人しかいないけど…
シトラリ:
あら?どうして…見間違えたのかしら。マスター、おかわり!
パイモン:
まさか酔ってるんじゃ…
旅人:
かなり飲んでるからね…
チアンカ:
はい、ご注文の品よ。あら、黒曜石の老婆がお友達を連れてくるなんて珍しいわね。しかも最近話題の旅人じゃない。
パイモン:
えっ?オイラたちを知ってるのか?えへへ…
チアンカ:
もちろん。カチーナを救ってくれたんでしょ?シトラリおばあちゃんとお友達になれたのも納得ね。普通の人じゃ相手にしてもらえないもの。おばあちゃんに新しいお友達ができたのなんていつぶりかしら。
パイモン:
みんな本当におばあちゃんって呼んでるんだな…
チアンカ:
おばあちゃんって呼ぶのも失礼かもしれないわ。本当ならおばあさまって呼ばないといけないくらいなんだから…おばあちゃんは謎煙の主の有名人だから、みんな勇気がなくて話しかけられないの。
シトラリ:
あらあらチアンカ、ワタシの前でワルグチ?
チアンカ:
悪口だなんて、まさか!おばあちゃんに新しいお友達ができたのが嬉しいの。お得意さんのお友達はきっと、お得意さんになってくれるでしょ?
シトラリ:
はぁ、もういいわ。お仕事に戻ってちょうだい。見ててくれなくたって、テーブルに吐いたりしないから。
チアンカ:
ふふっ、じゃあその言葉を信じるわ。
チアンカが去った後も、シトラリはまた何杯か呑んだ。その後は、椅子に座ったまま、ぼーっとしていた。
酔ったというよりは、何かを考え始めたようだった。
シトラリ:
……
パイモン:
シトラリ?シトラリ!
シトラリ:
うぅ…誰?フン…呼び捨てだなんてシツレイね…ひっく!…この黒曜石のシトラリと勝負したいの?
パイモン:
おい、起きてるか?誰もいないところに向かって喋ってるみたいだけど…
シトラリ:
フン!勝負してどうなるの?負ければ怖くなって、ワタシから逃げるんでしょ?どいつもこいつも、ワタシをシャーマンの妖怪だなんて言って…
シトラリ:
ワタシのどこが妖怪よ?どこが妖怪に見えるの?
パイモン:
シトラリばあちゃんは妖怪じゃないぞ!
シトラリ:
そう!ヒマそうに見えるでしょうけど、やらなきゃいけないことが山ほどあるの。族長の悩みを解決したり、大霊と話したり、瞑想したり…
シトラリ:
…ひっく!それにベンキョーしに来たガキどもの面倒だって…新入り!そう、キミのことよ!
シトラリ:
とぼけないで!燃素を見るとき、指南してあげたでしょ。分かりにくかった?
シトラリ:
ふん、やっとマナーの分かるコが来たみたいね。そう、おばあちゃんはすごいのよ。すっごく頑張ってるんだから…ホント…
シトラリ:
…すぅ…すぅ…
パイモン:
まさか…目を開けたまま寝たのか?
シトラリ:
漆黒の帳の中で、憎悪の幕が開かれる。煙、煙の中には…
チアンカ:
あっ、おばあちゃんは瞑想してるの。飲みすぎるとこうなるだけで、寝てるわけじゃないよ!頭の回転、めちゃくちゃ速いんだから。
パイモン:
これも謎煙の主の得意技か?
チアンカ:
謎煙の主っていうか、シトラリおばあちゃんの才能かな。他人にできることなら、おばあちゃんはほとんどできる。でもおばあちゃんにできることは、なかなか真似できない。
シトラリ:
…警戒…警戒の赤が…昇る。あの瞳の中に…
シトラリ:
…ウッ!
パイモン:
わっ!
旅人:
目が覚めた?
シトラリ:
旅人、パイモン…ワタシ…
パイモン:
どうかしたのか?
シトラリ:
ちょっと…吐き気が…うぷ…
チアンカ:
ちょっと…大丈夫?
シトラリ:
…ふぅ…吐いてなくてよかった…
パイモン:
びっくりしたぜ。テーブルに吐くのかと思ったぞ!
シトラリ:
そんなお行儀の悪いコト、するワケないでしょう?今までも吐いたことなんてなかったし…ホントよ。
旅人:
(今までのことなんて聞いてないのに。)
パイモン:
大丈夫か?ちょっと歩いて、呼吸を整えるか?
シトラリ:
……
シトラリ:
話したいコトはいっぱいあるんだけど、どう言えばいいか分からない…
パイモン:
なんでだよ?言いたいことがあるなら言えばいいじゃないか?
シトラリ:
キミね、そういうモンダイじゃないでしょ。知り合ったばかりなのに、グチを言ったりしたら嫌われちゃうもの。
パイモン:
じゃあ、なにを言われても嫌ったりしないって言ってほしいのか?
シトラリ:
そんなんじゃないの!羞恥心よ、わからない?こんなに長く生きてきても、まだ捨てきれないものなのよね。キ…キミにだってそういうキモチは分かるでしょ?
パイモン:
えっと…じ…実は…
旅人:
このタイミングで言っちゃおうか?
シトラリ:
えっ?ナニ?
パイモン:
いい機会だし、言っちゃおうぜ!
旅人:
ねえ…シトラリ。
旅人:
落ち着いて聞いてほしいんだけど…
なるべく客観的に、公正に、感情的にならないよう、オロルンを探した時に起きたことをシトラリに伝えた。
シトラリが魔法で一部の感覚を分け与えてくれた日、副作用なのか、心の声が漏れ聞こえていたことを。
シトラリ:
……
シトラリ:
ワ…ワタシの心の声…?
パイモン:
気にしないでくれ。別に大したことじゃないし、オイラたちも文句を言って当然だと思ったぞ。
シトラリ:
あり得ない。なんでそんなコトが起こったの!
シトラリ:
コエに出したのを聞かれちゃうならまだしも、心の中でグチグチ言ってるのまで聞こえちゃうなんて…そんなのあり得ないでしょ?
シトラリ:
家のカギがかかってなくて、キャベツを届けてくれた人にパジャマ姿で寝っ転がってるトコロを見られた時みたい…
パイモン:
そんなことまでしてたのかよ…
シトラリ:
パジャマぐらい誰だって着たことあるハズよ!二百歳でも五百歳でも、千歳のヒトだって、パジャマ姿で寝っ転がることくらいあるでしょ?みんなすることをしただけなのに…
シトラリ:
……
旅人:
大丈夫?死んだ魚みたいな目してるけど…
シトラリ:
外に出ましょう。話したいコトがあるの。
パイモン:
絶望してるっぽいぞ。一生牢屋で過ごそうって観念して、洗いざらい吐こうとしてる犯人みたいだ…
旅人:
危ないことをしないよう、ついて行こう…
シトラリと一緒に別の場所を探す
シトラリ:
どう?ここの風景、ワルくないでしょ?一人の時はここに来るのがスゴく好きなの。
パイモン:
確かにすごい見晴らしだな!
旅人:
連れてきてくれてありがとう。
シトラリ:
はぁ、泣きたい…
パイモン:
えっ、泣かないでくれ!どう慰めていいかわからないぞ!
シトラリ:
泣きたいキブンって話。まったく…助けてもらってるのに、お礼を言われるなんて。…ワタシ、カッコ悪い。
シトラリ:
あんまり気を遣わないで。じゃないとしんどすぎるわ。
パイモン:
いいのか?おまえって年功序列にこだわるやつなのかと思ってたぞ。
シトラリ:
昔はそうだったかもね。
シトラリ:
それと、確かに謎煙の主の人にはそういうことは言わない。
シトラリ:
みんなの目に、ワタシは変なおばあちゃんとしか映ってない。この認識はもうずっとあるものだから…なかなか変えられないの。
パイモン:
普通の人とあんまり変わらないと思うけどな。
シトラリ:
ふふっ、謎煙の主のコたちがその言葉を聞いたら発狂するでしょうね。「黒曜石の老婆は偉い人なんだから、そんな言い方しないで!」って。
パイモン:
シトラリがすごいから、怖いんじゃないか?
シトラリ:
怖いってヒトもいれば、悔しいけど勝てないってヒトもいる…それでだんだん、ワタシとどう付き合えばいいか分からなくなっちゃったのかもね。
シトラリ:
キミたちは?ワタシが怖くないの?
パイモン:
え?全然怖くないと思うぞ…
旅人:
パイモンに同意。
シトラリ:
フン…キミたちは謎煙の主で暮らしてないから、ワタシがどれだけのヒトの才能に対するゲンソーを打ち砕いてきたか知らないもの…
シトラリ:
ワタシを見れば、たとえ一生を費やしてガンバっても、ワタシのように生きた伝説にはなれないとみんな悟ってしまう。
シトラリ:
…ちょっと、オオゲサに言ってるわけじゃないのよ!信じてくれないのなら…聞かなかったことにして。
パイモン:
えっ、信じてないわけじゃないぞ。シロネンもおまえのことを真っ先に思いついただろ。オロルンだって怖がってないし…あいつにとって、おまえは「ばあちゃん」だからか?
シトラリ:
ええ…あのコは特別なの。
シトラリ:
…キミたちはワタシとオロルンを助けてくれたし、マーヴィカさまの計画も知ってるから、ホントのことを話してもいいか…
シトラリ:
ナタでは、オロルンは実は特別な存在なの。捨てられたコだって言ったでしょ?
シトラリ:
捨てられた理由は、あのコの魂が不完全だからよ。これは謎煙の主では不吉な兆しで、厄と災難をもたらすって言われてるの。
シトラリ:
両親が誰なのかは誰も知らない。あのコは村はずれの石の上に置かれてたの…獣とかに食べられなくて、ホントに運がよかった。
シトラリ:
謎煙の主では、ヒトの魂は見えるものだと信じられてる。そしてオロルンの不完全な魂は、あの時のナタにある可能性を提供した…
シトラリ:
ある儀式を行うのよ。その中で、オロルンは媒体となる…
シトラリ:
具体的には、散らばった魂をオロルンのカラダに入れて、夜神の国に送るの——この儀式を完成させれば、地脈のチカラを強化できる。
パイモン:
ちょっと待て、なんかおかしいぞ!
シトラリ:
ええ、すぐに要点をついてくれたわね。
シトラリ:
夜神の国が破壊されて、中の魂は四散した。地脈に帰れず、彷徨うことしかできない魂がいるの。そして魂が散り散りになったせいで、夜神の国は衰退の一途をタドってる…
シトラリ:
でも、さっきの方法でなら大量の魂をイッキに送り返すことができるから、お互いにいいコトなワケ。ただ、媒体としてのオロルンは、完全にイケニエになるのよ。
シトラリ:
でも…族長がこんな方法を思いついたのもムリないの。当時、地脈の状況はかなりワルかったし、ナタがホロびるなんて誰も望んでいなかったから。丁度いい人材がいるのなら、試してみたくなるものよ。
シトラリ:
族長が意見を聞いてきたけど、ワタシは承認も反対もしなかった。彼らは試み…そして失敗した。それでオロルンは助かったってワケ。
シトラリ:
…笑えるでしょ?承認しなかったからって正義とは言えない。だって、反対しなかったってコトは、黙認したってコトなんだもの。もし儀式が成功してたら、オロルンは死んでたかも。
シトラリ:
謎煙の主では、生と死は忌避するような話題じゃない。でも生まれたばかりの赤ん坊を死なせるなんて、あんまりだわ。あのコの生きるイミはどうなるの?それは他人のために命を捧げることだったって言うの?
シトラリ:
あまりにもフコーヘイじゃない!だから計画が失敗したと分かったとき、罪悪感に駆られながらも…ワタシはひそかに安堵した。
シトラリ:
このケーカクは秘密にはされなかった。あるいは、秘密にする必要がなかったのかも。オロルンが大人になって調べてみれば、子供時代の経験の意味は分かるハズだから。
シトラリ:
オロルンは生き残れてよかったと思うだろうとみんなは思ってたし、あのコもナニも言わなかった。でもその件を忘れかけた頃になって…
シトラリ:
あのコ、急に聞いてきたの。「ばあちゃん、じいちゃん。もしあの時、儀式が成功したら、ナタは助かっていたのかな?」って。
パイモン:
…そんな…あいつのせいじゃないのに!
シトラリ:
ええ、あのコは分かってるハズだけど…それでも気に病んでしまうのよ。あのコは魂に対して敏感だから、地脈の状況がどれだけヒドいか、人一倍分かってる。
シトラリ:
今でも、ナタのためにナニかすべきだと思ってるから、ファデュイに協力したんでしょう。まったく、一体ナニを吹き込まれたのやら…
パイモン:
「隊長」はもう方法を見つけたって言ってたよな。オロルンもその方法でいけるって思ってるってことか?
パイモン:
このまま放っておくわけにはいかないぞ…あいつによく言い聞かせないと!
旅人:
そうしないといけないかもね。
パイモン:
おい、シトラリ、顔色が悪いぞ…大丈夫か?帰って寝るか?
シトラリ:
たぶん飲みすぎたのかも…大丈夫。風に当たればよくなるから…
シトラリ:
うぷっ!やっぱり飲みすぎた!はぁ、帰りましょう…
旅人:
やれるだけやるから、落ち込まないで。
シトラリ:
どう感謝すればいいのかしら…キミたちにはホントにたくさん助けてもらってる…ありがとう。
パイモン:
気にするなって、友達だろ!それにオイラたちはおまえに貸しがあるから、全然怖くなんかないぜ?
シトラリ:
それもそうね…分かった。今日のところは帰って寝るわ。また次回、一緒に考えましょ。
シトラリ:
「お友達」ね。ふふっ、覚えておくわ。
パイモン:
うーん、オロルンはきっと「隊長」と合流してるよな。
旅人:
うん。直接炎神に聞いてみよう。
パイモン:
よ…予備案ってやつについてか?「隊長」の話を信じるのか?
パイモン:
確かに…あいつに聞くのが一番早いな!
パイモン:
でも今日は遅いから、もう寝ちゃってるだろうな。明日の朝一に行くってことで、今日はもう…ふぁ~…寝ようぜ…

分かたれた灯火
アビスの侵入により、事態は急を要するものになった。一人一人に、重要な役割がある。ひとまずこちらは、先ほど入手した重要な情報についてマーヴィカと話してみることにした…
宿の外に行ってみる
シトラリ:
起きたのね。ちょうど呼びに行こうとしてたトコロよ。
パイモン:
ずいぶん早起きだな。昨日の夜はあんなに飲んでたのに、すごいって褒めるべきか…?
シトラリ:
昨日のことはもうやめて。は…恥ずかしいから。
シトラリ:
ワタシもウルサくて起こされちゃったの。見て——競技場に集められた戦士たちが、みんな動き出したわ。
シトラリ:
多くの場所がアビスに襲われていて、「謎煙の主」もターゲットの一つだそうよ。今すぐ戻らないと。
パイモン:
えっ、またアビスか?おまえ一人で大丈夫か?手伝おうか?
シトラリ:
大丈夫、各地に駐在してる戦士たちもいるしね。対応も早かったから、そこまで深刻な状況にはなってないと思う。
シトラリ:
競技場が人手不足みたいだから、行ってあげて。
旅人:
じゃあ、オロルンの件は?
シトラリ:
今さらもう言い訳を考えてあげたりしない。あのコもいいトシなんだから、ジブンの行動にはきちんと責任を持ってもらわないと。
シトラリ:
ワタシはあのコの保証人だから、「談議室」に行って真実を報告するわ。どんな処分が待っていようと、受け入れるつもりよ。
シトラリ:
でも、先に「謎煙の主」に戻って危機に対応するくらいは許してもらえると思う。
シトラリ:
それと「古名」の件については…問題が解決したら、すぐにシロネンのところに行くわ。お友達との約束は忘れないから、安心して。
シトラリ:
うん、ありがとう。それじゃ。
パイモン:
すごい速さで行っちゃったぞ…かなり深刻な状況みたいだな。
パイモン:
みんな競技場に向かってるみたいだけど…今の状況を聞いてみようぜ。
競技場に行く
ムアラニ:
あっ、こっちこっち!我らが「異郷の星」——旅人が来てくれたよ~!
パイモン:
みんな来てたのか。「異郷の星」ってなんだよ…
ムアラニ:
まあまあ、とにかくすごいって意味。君たちが腕を披露するのにぴったりな緊急事態だよ。
パイモン:
待ってくれよ、まだ状況がイマイチわかってないんだ…
イアンサ:
アタシが説明する。アビスが突然、豊穣の邦、謎煙の主、こだまの子、そしていくつかの野外の拠点と監視塔を襲撃してきたんだ。
旅人:
そんなに大規模に?
チャスカ:
ああ。しかもどんどんエスカレートしてる。
クイク:
各部族の戦力はそこそこ充実してるから、今のところ大きな脅威はないわ。でも、野外でアビスに遭遇した冒険者や商人は、大変な目に遭うでしょうね。
クイク:
あたし、お姉ちゃんと野外で生存者を探して治療してたの…帰ってきたばかりなのに、また行かなきゃいけないことになるなんて。
イアンサ:
念のため、アタシも「豊穣の邦」に戻って確認する。
パイモン:
ムアラニはどこに行くんだ?
ムアラニ:
だったら、あたしは「こだまの子」を手伝おうかな。一番近いから、すぐ着くと思う。
ムアラニ:
君たちも一緒に来ない?
ムアラニ:
なるほど…かなり重要そうだね。大丈夫、「こだまの子」のことはあたしたちに任せて!
ムアラニ:
へへっ、君たちと炎神様との話が終わった頃には、アビスの脅威なんてきれいさっぱり片づけられてるかもね♪
イアンサ:
そうだといいな。「豊穣の邦」も何とかなるといいんだが。
ムアラニ:
あいつらの筋肉は飾りじゃないから安心しなって!
チャスカ:
ではここで別れよう。みんな、何をするにしても、くれぐれも気を付けてくれ。
クイク:
変なものに憑りつかれたりしないでね。もう心配したくないの。
チャスカ:
そのことは一旦置いておこう。
パイモン:
あはは…まあまあ、みんな心配して言ってるわけだしな。
パイモン:
じゃ、オイラたちは炎神に会いに行こう。さっさと話を終わらせて、みんなを手伝いに行こうぜ!
マーヴィカと会話する
マーヴィカ:
ああ、君たちか…久しいな。見ての通り、厳しい状況が続いている。各地に負傷者が出ているんだ。
マーヴィカ:
君たちの冒険譚には興味あるが——あいにく今はタイミングが悪いから、手短に話してもらいたい。
パイモン:
大丈夫だぞ。オイラたちも急いでるからな。この話が終わったら、「こだまの子」に行くんだ。
旅人:
「隊長」に会った。
マーヴィカ:
何?
「隊長」、そしてオロルンと話した内容を簡単にマーヴィカに伝えた。
マーヴィカ:
別の方法はあるが、代償が大きすぎるから私はそれを実行したがらないのだと…そう思っているわけか。
マーヴィカ:
ファデュイの情報網はやはり侮れないな…「神の心」に関しては確かに事実だが、完全な情報ではないようだ。
マーヴィカ:
聞かれた以上は、誠実に答えよう。ただ、どうか内密にしてくれ。
マーヴィカ:
「神の心」の力を使えば、ナタは救えるが、大きな代償を支払うことになる。
マーヴィカ:
方法というのは、夜神の国の魂と記憶をすべて抽出し、地脈を包み込む大きな網を作ることだ。アビスの侵入を防ぐためにな。
パイモン:
うわっ、魂で網を編むのか!?じゃ、じゃあ…
マーヴィカ:
ああ。魂とは命のもう一つの形だ。この方法の残酷さは言うまでもないだろう。
マーヴィカ:
夜神の国には魂だけではなく、記憶や伝説も存在しており、それらはすべて網を編む材料となる。しかし網にしてしまえば、私たちの文化や歴史はすべて消えてなくなる。
マーヴィカ:
編んだ網までもが侵蝕される前に、地脈の損傷の問題を解決できなければ、犠牲は無駄に終わるだろう。
マーヴィカ:
代償が大きすぎるから、私はその方法をそもそも予備案に入れていない。単に勝利するだけではなく、それが本当の意味での勝利と言えるかどうかも考えるべきだからな。
マーヴィカ:
もちろん、今実行しようとしている計画にもリスクはある。しかしそれは私が熟考したうえで導き出した、最適な選択肢だ。
マーヴィカ:
ああ…ナタという地は長年アビスの脅威に晒されてきた。あまりにも特殊過ぎるからだろう——歴代の炎神は皆、悲観的な考えを持っていたようだ。
マーヴィカ:
最後の手段が用意されているのは、ナタ人のためだけではない。テイワットの他の地に住まう者のためでもある。
マーヴィカ:
だが、この方法は秘密として守られてきたのだ。「隊長」はどうやってそれを知ったのやら…
パイモン:
「隊長」は新しい方法を見つけたとも言ってたけど…まさかそれも似たような過激なやつじゃないよな!?
マーヴィカ:
「神の心」がない以上、他の手段はもうないはずだ。だが、はったりをかける必要もあるまいに…
マーヴィカ:
疑問を解消するには、「隊長」が何をしているのか調査するしかないようだな。
旅人:
(炎神は誠実に、大切な秘密を共有してくれた。「隊長」の言ってた「ナタを救う」新しい方法は、きっとカギになる…)
マーヴィカ:
その顔…さっきは一瞬、疑っていたな?
旅人:
ちょっとだけ。
パイモン:
おう、そんなわけ…って、なに言ってるんだよ!?
マーヴィカ:
ハハッ、君らしい答えだ。正直だな、気に入った。
マーヴィカ:
私を疑ったのは慎重さ故か、焦りからか…それとも単なる好奇心からかは分からないが、何はともあれ、ナタの人を救うという目的は変わらない。
マーヴィカ:
私の回答を聞いてもなお、懸念が残るか?
旅人:
もう大丈夫。
パイモン:
ふぅ、びっくりしたぞ。おまえってほんと、誰が相手でもひるまないよな。
マーヴィカ:
それでいい。そうだ、私のことはマーヴィカと呼んでくれ。友人たちは皆そう呼んでいる。そう呼ばれるほうが好きなんだ。
マーヴィカ:
「隊長」についてだが、ファデュイを調査する情報員がじきに帰ってくる。すぐ答えが分かるだろう。
パイモン:
おう、わかったぞ!でも、もうちょっと待たないといけないのか…
マーヴィカ:
今はまださほど深刻ではない。今回、アビスは同時に複数の場所に侵入してきたが、付近に駐在している戦士たちで十分対応できるはずだ。
マーヴィカ:
人員の手配は済んでいるし、カバーできていない数か所については、私が人を率いて解決しに行くから心配ない。
パイモン:
えっ、おまえ自ら出陣するのか?でも、おまえの力はもう聖火に捧げたんじゃ…
マーヴィカ:
その通りだ。だが——今は魔神ほどの力はないが、私が炎神になるまでは優れた戦士だったことを忘れないでくれ。
マーヴィカ:
感情からしても理屈からしても、後方に甘んじているわけにはいかない。そうだろう?
マーヴィカ:
ハハッ、一人でも多ければ、その分力も強くなると考えただけだからな…励ましになるかどうかは二の次だ。
マーヴィカ:
長い目で見れば…たとえ迅速に対応できたとしても、この方法は完璧ではない。
マーヴィカ:
ナタ人を他の国に避難させる方法も考えたが、夜神の国とナタ人は切っても切れない関係なのだ。ナタを無理に離そうとすれば、悲惨な結末を辿るだろう。
マーヴィカ:
すでに拠点の防衛を強化するよう各部族の族長に通達し、部族のメンバーには外出を控えるよう伝えた。
マーヴィカ:
次は適切なタイミングを見つけて、ナタの現状を公表する…
パイモン:
どうなっちゃうんだろうな…ちょっと心配だぞ。
旅人:
戦いの招集に応じる人は多いと思う。
マーヴィカ:
ああ…その他の反応もあるだろうがな。まあ、そういうことについては何とかするから大丈夫だ。まずは「隊長」に関する情報が手に入り次第、すぐ君たちに連絡しよう。
パイモン:
おう!さて、オイラたちもそろそろ出ないとな。ムアラニを追いかけようぜ?まだそこまで遠くには行ってないはずだ。
旅人:
行ってくる。マーヴィカも気を付けて。
マーヴィカ:
ハハッ、心配するなと言っているだろう。
「こだまの子」の集落に行く
ムアラニ:
こっちこっち!ここなら安全だから!
シロネン:
カチーナのほうはあと何人?
カチーナ:
全員避難してもらったよ!
カチーナ:
あっ、旅人さんとパイモンちゃん!
パイモン:
今、どんな状況だ?
ムアラニ:
あと一ヶ所、キャラバンが閉じ込められてる。早く助けてあげないと。
シロネン:
一緒に行くよ。
カチーナ:
わ、わたしも行く!
キャラバンの様子を確認する
トダール:
あ、ありがとう。もう終わりかと思ったよ…
トダール:
どうお礼を言えばいいのか…
ムアラニ:
気にしないで、無事で何よりだよ。どれどれ…うん、盗られたものもないみたいだね。へへっ、アビスってモラにはまったく興味がないみたい。
シロネン:
これで、こだまの子周辺の「アビスの境門」は全部解決かな。
カチーナ:
ふぅ…よかった、さっきは本当に焦ったよ…
シロネン:
そうだ、シトラリは?一緒に来なかったの?
パイモン:
謎煙の主も襲われてるから、いったん集落に帰ったんだ。「古名」の件はまたあとで話すことになってるぞ。
シロネン:
そっか。ま、それもそうだね。まずはこの状況をなんとかしないと。
シロネン:
ここで長話ってのもなんだし、とりま集落に戻ろ。
「こだまの子」の集落に戻る
ムアラニ:
やっぱり怪我人が出ちゃった…はぁ、もっと早く着いてれば助けられたのに。
シロネン:
アビスは初っ端から猛攻撃を仕掛けてきたからね。警報を聞いてすぐ駆けつけたけど、すでに魔物の数は手に負えないほど増えてた。
シロネン:
幸い、すぐにカチーナが戦士たちを率いて駆けつけてきてくれたの。そんで、みんなで力を合わせて一気に「アビスの境門」をいくつも壊した。
カチーナ:
いやいや!みんなと一緒に来ただけだよ…
カチーナ:
それより、野外に駐屯するって方針のおかげだと思う。そうじゃなきゃ、到着するまでもっと時間がかかってた。
カチーナ:
湿った芝生の上に寝るのはあんまり快適じゃなかったけど、全部報われたね。
シロネン:
夜神の国のことでしょ?同感。ウチらが黙ってても、うすうす気づいてる人は増えてんじゃないかな。
シロネン:
状況は悪化するばっかなのに、待つこと以外何もできないなんて、イライラしちゃうよね。
カチーナ:
炎神さまの計画にある、「残り二人の英雄」がいつ現れるかも未知数だし…
ムアラニ:
今あたしたちがやるべきことは、炎神様のために時間を稼ぐことだよ!みんな元気出して。どんな戦いにだって必ず意味はあるんだから!
パイモン:
相変わらず前向きだな。おまえがいると、元気が出るぜ!
ムアラニ:
サンキュ!まっ、あたしの一番の取柄だからね♪
旅人:
新しい情報がいくつかある。
「隊長」の主張をはじめとする、得た情報をみんなに伝えた。
シロネン:
…ウチらに全部話すわけにはいかなかったんだろうけど…「神の心」の力を使えば、この状況を緩和できる——ただ大きな代償が伴う、ってマーヴィカは言ってたんだね。
ムアラニ:
どんな手段でかは分からないけど、「隊長」もそのことを知って、炎神様に戦いを挑んだ。それで、解決策があるのになんで行動しないのか問い詰めたのか…
ムアラニ:
もし「隊長」が炎神様と同じぐらいの情報を把握してるとすれば、疑問を抱くのも分かる気がするなあ…
カチーナ:
リスクが高いのは事実だからね。六人の古名の継承者が全員揃うかどうか…わたしたちですら分からないもの。
パイモン:
競技場を出る前にマーヴィカと話したんだ。あいつ曰く「隊長」の言う手段は代償が大きすぎるらしい…
パイモン:
それもそうだよな。安全な方法があるなら、とっくに試してるだろうし。
ムアラニ:
うん、あたしも炎神様を信じるよ。カチーナちゃんが夜神の国に閉じ込められたとき、炎神様は誤魔化したり逃げたりしないで、全力でサポートしてくださった——
ムアラニ:
カチーナちゃんを助けるために、貴重な記念品を全部燃やすことも厭わなかった。命の重みをよく知ってるからこそできる行動だと思う。
ムアラニ:
だからナタを救う方法について、何か隠してるなんて到底思えないよ。
シロネン:
そうだね。そもそも「隊長」とウチらとじゃ、代償に対する考え方が違うのかもね。
シロネン:
命はもちろん大事だけど…ウチらにとって同じくらい大事なことは沢山ある。歴史とか、記憶とかね。
旅人:
マーヴィカを信じる。
パイモン:
神だから、言えることと言えないことがあるだろうけど…少なくとも今回の件については、隠し事はしてないと思うぞ。
ムアラニ:
となると、「隊長」が見つけたっていう新しい方法が何なのか、ってことが要点になるね…炎神様でさえ知らないんでしょ?
カチーナ:
うん。それに「隊長」って人はスネージナヤの出身なんだよね?ファデュイがナタを助けるなんて、不思議だなって思っちゃう…
パイモン:
うぅ、頭がパンクしそうだぞ…
シロネン:
うーん…
シロネン:
やっぱ情報が足りなすぎ。ファデュイが何を企んでるのか知らない限り、どうにもならないな。
パイモン:
なら、一緒にマーヴィカのところに行かないか?ファデュイの行方を調べてるって言ってたから、そろそろ結果が分かるはずだ。
パイモン:
ファデュイのやつら、結構な人数だったし…すぐ尻尾を掴めるんじゃないか?
シロネン:
だね、そうしよ。こっちも、いくつか推測してることがあるからさ。もうちょっと情報が揃えば、真相が見えてくるかも。
カチーナ:
ムアラニちゃん、駐屯チームに興味はない?
ムアラニ:
あるある!ちょうど言おうと思ってたところ。ぜひ入らせて!
ムアラニ:
もしここにもっと早く着いてたら、怪我人はもっと少なくて済んだはず。そしたらその分、こっちの戦力も維持できたでしょ?この循環って大事だと思うんだ。
カチーナ:
じゃあ、申し込みに行く?人手が足りてないから、すぐ返事がもらえると思うよ。
ムアラニ:
申し込み?そんなのいらないよ。カチーナちゃんについて行けばいいでしょ?
カチーナ:
そ、それはそうだけど…で、でも、ちゃんと指示に従ってね…
ムアラニ:
へへ、大丈夫だって!申し込みなんて面倒だもんね。手間が省けてよかったよ。
ムアラニ:
じゃあ、このあたりで解散しよっか。今度また祝勝会をやりましょ!
パイモン:
おう、絶対だぞ!
談議室に戻る
パイモン:
マーヴィカ!…あれ、チャスカとクイクもいるのか。クイク、大丈夫か!?
クイク:
うん、大丈夫だから心配しないで…
マーヴィカ:
野外で偶然ファデュイを見つけて、そのまま後をつけたそうだ。
パイモン:
ファ、ファデュイ!?
旅人:
ファデュイにやられたの?
チャスカ:
順を追って説明するから落ち着いてくれ。実は…
少し前、外では…
チャスカ:
気をつけろ!ファデュイだ。
クイク:
ファデュイもアビスに襲われたの?いや、違うみたい。行商人たちを保護してる…?ほら、あそこ。
チャスカ:
確かにそうらしいな。何か取引でもしてるのか?
チャスカ:
もう少し観察してみよう。
バラノフ:
怪我がなくて何よりだ。最近各地でアビスの魔物が湧いている。旅行の計画は取りやめて、しばらくは競技場か部族の拠点に避難しておいたほうがいいだろう。
ナフシ:
あ、ありがとうございます…でも、お礼にできるようなものが何もなくて…
バラノフ:
礼などいらない。任務を執行中に、君たちが危険な目に遭っているところを見かけたから助けたまでだ。
バラノフ:
本当にお礼がしたいなら、俺たちに会ったことを口外しないでくれると助かる。そうだな…ナタの戦士が助けてくれたことにすればいい。
ナフシ:
えっ、ええ、分かりました。
テティシェリ:
でも…
バラノフ:
余計なことは考えるな。何か企んでいるわけではない。ただ、「隊長」様が煩わしいことは嫌うのでな。
バラノフ:
無論、これはあくまでこちらの「望み」であって、決定権は君たちにある。ファデュイが口を封じるときは、強硬手段を取るが。
テティシェリ:
わ、分かりました。行きましょう。
クイク:
聞いた?「隊長」って言ってたわね。炎神様が行方を追ってる人じゃない?
チャスカ:
ああ、大物の予感だな。
チャスカ:
だが…取引ではなく、通りすがりに人助けをしただけのようだった。何か企みがあるようには見えなかったな…
チャスカ:
「隊長」のナタを救いたいという言葉は信用ならないと思っていたんだが、やつの言葉が真実であることを裏付けるような光景だった。
クイク:
あたしたち、ファデュイに対する先入観にとらわれすぎなのかしら…?
チャスカ:
結論を出すのはまだ早い。後をつけるぞ——やつらの目的地と行動を把握しておく必要がある。
採掘現場に行く
クイク:
目的地はここだったみたいね。びっしり見張りで囲ってある…厄介だわ。
チャスカ:
お前はここで待ってろ。中を覗いてくる。
クイク:
ちょ、ちょっと!待ってってば!こんな状況でどうやって乗り込むの?
チャスカ:
見ろ、地形を利用すればいい。やつらは「花翼の集」の移動手段に詳しくないかもしれないしな。
クイク:
そうかもしれないけど、ここからじゃ奥のほうは見えないのよ。バレずに隠れていられる場所が必ずあるとは限らないでしょ?一人だと、どうしても視界に死角が生まれるものよ。
チャスカ:
警備が厳重な場所ほど、調査する価値がある。たとえ「隊長」がここにいなくても、ファデュイが何を企んでいるかぐらいは探れるはずだ。
チャスカ:
リスクを冒してでも情報を手に入れる価値がある。
クイク:
はぁ、聞く耳持たずね。はいはい、分かったわ…ただし、あたしも一緒に行く。
チャスカ:
何だそれは?私の案のほうがマシだ。ずっと患者の治療のためにあちこち駆け回っていたのに、無茶したら身体がもたないぞ。
チャスカ:
私は自分の身を守れるが、今のお前は…
クイク:
あたしだって守れるわ。
チャスカ:
…それ、お前自身も信じてないだろ。
クイク:
信じるかどうかはお姉ちゃんの問題よ。「お姉ちゃんが一人で突入して五体満足で出てくる」なんて想定、実現できると思う?
クイク:
あたしが言うことを聞かなくてお姉ちゃんに迷惑をかけたことなんて一度もないでしょ?むしろ、お姉ちゃんのほうが——
チャスカ:
分かった分かった。ここで言い争っても仕方ない。絶好のチャンスを逃すわけにはいかないんだ。
クイク:
ふふ、やっと折れてくれたわね。心配しないで、あたしだってれっきとした「花翼の集」の誇り高き若者なんだから。これぐらい、お手の物よ。
チャスカ:
なら、昔みたいに手分けして行動しよう。手で合図を送り合いながら、互いの死角をカバーしつつ、必要なときはサポートする。
チャスカ:
ロープは持ったな?
クイク:
バッチリよ。行きましょ。
チャスカ:
(ファデュイがみっちり見張ってるな。ここはクイクの合図を待とう。)
チャスカ:
(今だ!)
チャスカ:
(よし、バレてない、順調だ。次は…あそこの高台か。やっぱりファデュイが見張ってる。)
チャスカ:
(クイクのほうがよく見えてるみたいだ。あいつの合図を待とう。)
チャスカ:
(合図だ。よし!)
チャスカ:
素早く高台の下に近づく。
クイク:
(ここからじゃ、これ以上合図を送れそうにないわ…先に進むしかない。)
クイク:
(お姉ちゃんもそう思ったみたい。ファデュイの動きを注視して合図を送ってくれようとしてる。ここは待ちましょ。)
クイク:
(今だわ!)
クイク:
前に進む。
クイク:
(ふぅ…バレるところだった。)
クイク:
(一気に向こうまで行くのは無理そうね。チャンスを伺いましょ。)
クイク:
(よし!)
クイク:
(ふふっ、着いた。あたしだってお姉ちゃんに負けないんだから。)
クイク:
(うーん、大事そうなところはすべてファデュイが見張ってるわね。遠回りするのもアリだけど…あ、イイこと思いついた。)
クイク:
謎の球体を投げる。
ゴリコフ:
ん?何の音だ、爆発か!?うがっ…!くさい…!
ディレイ:
げえっ、なんだ、この匂いは!おい、何してやがる!?
ゴリコフ:
そりゃあこっちのセリフだ!
クイク:
(効果てきめん♪…あの人たち、ファデュイが目の上のたんこぶだったみたいね。いい口実とばかりに、嚙みついてくれたわ。)
クイク:
(あっちの山の人も加勢しに行った。よし!)
クイク:
(お姉ちゃん、こっちこっち。迎えに来て!)
チャスカ:
(クイクのやつ…ハハッ、頭が回るじゃないか。すぐ行く!)
チャスカ:
手を掴め、早く。
クイク:
うん!
クイク:
こっちよ。誰もいないことは確認済みだから、一番奥まで近づけるはず。
引き続きファデュイを調べる
クイク:
どう?あたしみたいな優秀なアシスタントは引く手あまたなのよ。お姉ちゃんだけが認めてくれないんだから。
チャスカ:
ああ、私の問題だ。クイク、よくやってくれた。
クイク:
わざと嫌味な言い方をしたのに、あっさり認められたら、あたしのほうが悪役みたい。
チャスカ:
とにかく、目の前の状況に集中しよう。ここは敵の真っただ中だ…滞在する時間が長くなればなるほど、リスクも大きくなる。
クイク:
お姉ちゃんが気にしてないならいいわ。
クイク:
それにしても、ファデュイがあんな大掛かりに発掘作業を進めてるとはね…まさか、文化や歴史に興味があるのかしら?
チャスカ:
おそらく、龍が残した「秘源装置」を探してるのだろう。
チャスカ:
僅かな記録しか残っていない古代の代物だ。地元の人ですら使い方はよく分かっていないのに、なぜファデュイが…?
ヤノフスキー:
問題なく機能しているようだ。「隊長」様がお探しになっているのはこれで間違いないだろう。
ヤノフスキー:
苦労の末、やっと見つかったな。持ち帰って報告しよう。
クイク:
持ち帰るってどこに?ついてく?
チャスカ:
お前、まだついてくるつもりか?
クイク:
当たり前でしょ。最強コンビなんだから、最後まで一緒に行動しないと。
ヤノフスキー:
ん?何の音だ?
チャスカ:
ちっ、気付かれた。逃げるぞ。
クイク:
石が落ちてくるわよ!「お宝」を見ておいたほうがいいんじゃない?
ヤノフスキー:
えっ!?
ヤノフスキー:
フン、騙しやがったな?奴らを捕まえろ!
マーヴィカと会話する
チャスカ:
なんとかファデュイを振り切ったあと、再び後を追ったんだが…やつらは同じようなものをいくつも集めていた。
チャスカ:
でも、その後も行動をとる様子はなかったから、一旦撤退することにした。
シロネン:
で、クイクはそいつらに追われたときに怪我したわけ?
クイク:
…へへっ。
チャスカ:
いや、自分のキャパを把握できていなかっただけだ。競技場に戻る途中、力尽きて倒れた。
クイク:
少なくとも、作戦中は足を引っ張らなかったでしょ。あたしの連勝記録は途切れてないんだから。
マーヴィカ:
結果からすると、二人とも素晴らしい活躍だった——家族でない私に言えるのはこれぐらいだが。
クイク:
はい。反省しています…
シロネン:
これまでの情報からすると、ファデュイの狙いは古代の「秘源装置」だろーね。
シロネン:
ウチらからしたって謎だらけのものを、「隊長」がなんで…?
マーヴィカ:
私にも分からないが…「神の心」と似たような効果を発揮する可能性がある——この線で調べるとしよう。
マーヴィカ:
シロネン、ナタにいる秘源学者を全員集めてくれ。
シロネン:
おっけ。
マーヴィカ:
二人ともご苦労だった。クイクはゆっくり休んでくれ。君に診てもらった患者たちからの土産が談議室に数多く届いている…君に渡してほしいとな。
マーヴィカ:
私からもちょっとしたプレゼントを用意した。一緒に家まで届けよう。ささやかなお礼だと考えてくれ。
クイク:
みんなが…へへ、あたしの大活躍の証ですね。
チャスカ:
ですが、炎神様から贈り物をいただくわけにはいきません。私たちはナタのためにやるべきことをやったまでです。クイクのことはご心配なさらず——家に連れ帰って休養させますので。
マーヴィカ:
ふふ、クイクの大好物のちび竜ビスケットが入っているのだがな。
クイク:
えっ、ほしい…!炎神様、遠慮なくいただきますっ!
チャスカ:
こら、クイク…!まったく…
マーヴィカ:
実は、私も好きなんだ。君たちの分もあるから、あとで食べてみてくれ。
マーヴィカ:
今から「秘源装置」の資料を調べる。進展があれば、すぐ知らせよう。
パイモン:
へへっ、遠慮なくいただくぜ!
チャスカとクイクに別れを告げる
パイモン:
これからどうするんだ?
チャスカ:
クイクを家まで送って、ちゃんと休むよう見張っててくれって父さんと母さんに頼んでくる。
クイク:
まるで囚人ね。花翼の集に帰らなくたって、一日か二日休めば大丈夫だってば。
チャスカ:
お前はいつも大したことないと言うが、まさにそういう大したことないことが大きな問題に発展するんだ。
チャスカ:
お前を宿で休ませたとしよう——アビスの襲撃を知らせる警報が鳴ったら、すぐ現場に駆けつけるだろう?
クイク:
絶対に宿から出ないって約束するわ。
チャスカ:
ほう?
クイク:
…わかった、お姉ちゃんの言う通りだわ。自分でもムリって思ったもの…
クイク:
医者として、どんな状況でも患者さんを放っておくわけにはいかないの。この命がある限りね。
クイク:
情けないけど、その通りね…
パイモン:
へへ、初めて会ったとき、おまえ必死になってチャスカを止めてたもんな。
クイク:
あたしは医者よ。危険を顧みずに無茶する人がいたら、それが誰だろうと止めるわ。怪我してほしくないんだもの。
チャスカ:
なら、私の心配もわかってくれ。医者と患者よりも近しい関係じゃないか?
パイモン:
おまえたち、やっぱり似てるな。
チャスカ:
どこがだ?私は常にリスクと代償を把握している。
クイク:
冗談じゃないわよ。お姉ちゃんったら、あるのは根拠のない自信だけで、しくじったら言い訳ばっかり並べるんだもの。
チャスカ:
おい、でたらめを言うな。
クイク:
あらそう?じゃあ実例を述べてあげようかしら?
パイモン:
ストップストーップ!オイラ、さっきの発言は撤回するぞ!
チャスカ:
気にするな、パイモン。喧嘩もコミュニケーションのうちだ。私たちもお互い気に留めていない。
クイク:
そうそう。これまでお姉ちゃんからはいくつも学ばせてもらったわ。たとえば、感情に任せて行動する、とかね。
クイク:
ま、家族だからしょうがないけど。
チャスカ:
引っかかる言い方だな…
パイモン:
えっと…これって仲直りしたのか?
旅人:
昔からこんな感じだったのかも。
チャスカ:
どちらかが妥協しない限り、いつまでも私たちは平行線だ。でも、だからといって敵対してるわけじゃない。
クイク:
そういうこと。お姉ちゃんが白旗をあげるまで、気長に待ってるから。
チャスカ:
好きにしろ。さあ、そろそろ帰ろう。
チャスカ:
じゃあ、またな。問題がなければすぐ戻ってくる。
パイモン:
そこまで急がなくても…家族とゆっくり食事ぐらいしてきたらどうだ。
旅人:
またあとでね。
クイク:
またね、旅人、パイモン。身体に気をつけて!
シトラリと会話する
パイモン:
へへ、あいつら、すぐに仲直りするんだろうな。
パイモン:
色々情報も集まってきたし、ここらで一旦整理してみるか?
一番気になるのは、「隊長」が何をしようとしているのか——結論まで、あと一歩な気がする。
旅人:
(ん?足音?)
旅人:
シトラリ?
シトラリ:
コホンッ!ごめんごめん、またヘンなタイミングで邪魔しちゃった、あはは…
パイモン:
ん?気まずそうな顔して、どうしたんだよ?オイラたちに何か用事か?
シトラリ:
えっと、じゃあ…休憩を邪魔しちゃったお詫びに、今度炭焼きステーキをおごるから。
パイモン:
わぁ~!なんなりとご指示を!
シトラリ:
指示だなんて大げさよ。ワタシたち、友達なんでしょ?今回はある情報を伝えに来たの。この前。別れる前にしたハナシ、覚えてる?
パイモン:
おう、オロルンの魂が不完全だって話をしてたよな。あと、ナタを救うためにオロルンは役立ちたいと思ってる、って話も。
パイモン:
おまえと別れた後さ、オロルンは「隊長」のところに戻ったんじゃないかって旅人と話してたんだ。おまえはどう思う?
シトラリ:
ええ…その推測は正しい。ついさっき、ショーコも手に入れた。
シトラリ:
——オロルンが帰ってきたの。しかも、あのコったら、「謎煙の主」の拠点防衛戦にも参加したのよ。
パイモン:
えっ?帰ってきたのか!?
旅人:
何か言ってた?
シトラリ:
ケーカクから手を引いてって言ったけど、聞く耳を持ってくれなかった。成功まであと一歩だから、諦めるわけにはいかないって…
シトラリ:
今回帰ってきたのは、謎煙の主のためなんですって。集落を離れたのはナタのため…とも言ってた。
パイモン:
捕まえなかったのか?
シトラリ:
激しい防衛戦の真っ最中だったし、敵から部族を守ることでセーイッパイで、あのコのことにまで気を配る余裕がなかったの。
シトラリ:
それに…あのコもワタシを警戒して、距離をとってた。捕まえに行こうと思ってスキを狙ってはいたけど、とてもそんな状況じゃなかったわ。
シトラリ:
はぁ…ばあちゃんって呼ばれてるくせに…結局なーんの役にも立てなかったわ。
パイモン:
元気出せよ!あいつにとって、おまえと謎煙の主のみんなは家族なんだろ?苦労して育ててきてやったんだろ。
シトラリ:
……
シトラリ:
そうね。今回あのコの姿を見て、ふと思い出した…小さい頃も、あんな風に集落中を走り回って、ヒトさまのお宅に上がり込んでは我が家のように遊んだりしてたなあって…
シトラリ:
あのコは謎煙の主の子供で、ナタの子供なんだもの。子供が家族のために何かしてあげたいって思うのは、当たり前かもね。
シトラリ:
それに、ワタシの弟子だもの。あのコのトリックなんて、ワタシにはヨユーのよっちゃんよ。
パイモン:
ってことは…
シトラリ:
ほら。
シトラリ:
オロルンの魂は不完全でしょ?だから、あのコの魂が安定するようにお守りを持たせてあげてるの。
シトラリ:
効果を発揮するのはお守りにはめ込んである宝石なのよね。
シトラリ:
そろそろ取り替えなきゃいけない頃なんだけど、あのコに近づく術がないでしょ?だから、物資補給袋に入れて、謎煙の主を支援しに来てたイファに渡して、オロルンに届けてもらうよう頼んだの。
シトラリ:
あ、イファって分かる?えっ、知らない?地元で超有名な獣医で、オロルンの友達なの。しょっちゅうワタシに色々届けてくれるのよ。
シトラリ:
事情を知らないイファはスナオに預かってくれたわ。オロルンは袋から宝石を取り出して、お守りにつけ替えるハズ。あのコにとって、とても大事なものだから。
シトラリ:
きっと宝石に細工されてるって疑うでしょうね…でも、セーカイは袋のほう。袋に触れた瞬間、オロルンの記憶は取り外された古い宝石にコピーされる。
パイモン:
へえ、そんなこともできるのか?すごいな!
シトラリ:
ワタシだからこそ出来るコトだけどね。
シトラリ:
あのコがキミの魂を夜神の国に引きずり込んだときの術だって、ワタシにかかればチョチョイのチョイなんだから。あのコがワタシの細工に気付くコトは絶対にないわ。
パイモン:
つまり、この中にはオロルンの記憶が入ってるのか…
シトラリ:
フン、ワタシと駆け引きだなんて、百年早いっつーの。
パイモン:
さすが黒曜石の老婆!早くあいつが考えてることを覗いてみようぜ!
シトラリ:
そうよ。真相を突き止めたら、こっぴどく叱ってやるんだから!
シトラリ:
……
シトラリ:
…ねえ、こんなおばあちゃん、やっぱり嫌われちゃうかしら?ショージキに言って。慰めてくれなくてもいいから。
パイモン:
うぅ…難しいな…オイラにはおばあちゃんなんていないし…
シトラリ:
…なんてタヨりない家族なんだろうって、つくづく情けなくなるわ。昔の儀式のことも、今回だって、全然あのコの役に立てなかった。
シトラリ:
でもイマを逃せば、五百歳になっても今日の光景が夢に出てきて、ムカつきながら目覚めることになっちゃいそう…
シトラリ:
確かに。はっと目が覚めて、そのあと泣くかも…って、そんなわけないでしょ!
パイモン:
おい、火に油を注ぐなよ!
シトラリ:
…だから、真相を明らかにしないと。あのコがカンカンに怒って、遠い田舎に引っ越すコトになっても——
シトラリ:
ワタシはヘーキ。だって、おばあちゃんが孫を守るのは当たり前でしょ?きっと後悔しない。
パイモン:
一人で大丈夫か?一緒に行ってやろうか?
シトラリ:
え?き…来てくれるの?
パイモン:
おう!オイラたちにも理由はあるしな。例えば…そうそう、あいつの記憶の中にファデュイに関する手がかりがないか、確かめないと!
シトラリ:
キミたち…
シトラリ:
よーし!一緒に行きましょ。途中で引き返すのはナシだからね。
パイモン:
おう、安心しろ。オイラたちはプロの冒険者だからな。
シトラリ:
うんうん。そのプロ根性が大事よ。
シトラリ:
じゃ、これからあのコの記憶にこっそり潜り込むからね。うぅ、すっごく後ろめたいキブン…
シトラリ:
こうするしかない状況だったってコト、キミたちが証言してよね!
シトラリ:
…ふぅ。準備はいい?
旅人:
ばっちり。
あなたたちはオロルンの記憶を確かめた。 この記憶の中では、オロルンは隣人と雑談をしている…
オロルン:
君たち、このところぐんぐん育ってるな。大きな大根になってくれよ。
オロルン:
それから…イファは君を「場所ばかり取っている」と言うけど、僕からしたら君は立派な木だ。そうだろう?
オカンビ:
よう、オロルン!元気か?
オロルン:
オカンビおじさん、元気だよ。おじさんは?
オカンビ:
相変わらずさ。また野菜たちに名前をつけてやってたのか?
オロルン:
いや、ただの世間話だよ。
オカンビ:
ハハハ、それは面白い。で、野菜たちはなんて?
オロルン:
もうすぐおじさんが来るって。あと、野菜と果物を持たせてあげてねとも言われた。
オカンビ:
それはそれは!またうまいもんをくれるのか。
オカンビ:
ああ、そうだ。昨日イファに会ったんだが、あいつの預かってたチャスカの竜が、お前の大根畑を荒らしちまったそうじゃないか。イファと喧嘩してないだろうな?
オロルン:
してないよ。でも、どんな手段を使ってでも、イファには謝ってもらうけど。
オロルン:
おじさんの分はもう用意してあるよ。どうぞ。
オカンビ:
本当に俺が来るって分かったのか?そりゃすごいな。
オロルン:
「迷煙を灯すと、幻影の中に道が見える」と言うから。
オカンビ:
じゃ、最近突然出てきたあいつらも見たか?
オロルン:
突然…?いや、見ていない。
オカンビ:
ファデュイが来たんだ。お偉いさんらしきやつは、見るからにすごいオーラを放ってた。手下はそう多くないが、精鋭兵ばかりらしい。人探しをしてたみたいだったが、誰も話しかける勇気がなくてな。
オカンビ:
見かけたら、気をつけろよ。
次の記憶では、野外で偶然「隊長」に遭遇していた…
「隊長」:
謎煙の主の者のようだな。何故こんなところに独りで暮らす?
オロルン:
…離れた場所で静かに暮らすのが好きだ。
オロルン:
君がファデュイのお偉いさんか?
「隊長」:
そう表現しても間違いではないな。
「隊長」:
人を探しているのだ。お前も耳にしたことがあるかもしれん——「シトラリ」という人物だ。
オロルン:
(ばあちゃんを?よそ者が一体なぜ?)
オロルン:
ああ、聞いたことはある。彼女に何か用か?
「隊長」:
……
「隊長」:
情報を隠そうとしているな。お前に聞いても仕方がなさそうだ。教えてくれる気はないのだろう?
オロルン:
(見透かされている…こうも簡単に諦めるのか?)
オロルン:
待て!シトラリを探している理由を教えてくれ。
「隊長」:
それは言えんな。自分のやり方で探させてもらう。
オロルン:
(一体なぜ…?まさか、ファデュイとばあちゃんの間に何か関わりでもあるのか?)
オロルン:
(何か企んでいるのかもしれない…ついていって確かめないと。)
オロルンはこっそり「隊長」をつけていた…
「隊長」:
……
オロルン:
(地脈の観察と探査をしながら、ばあちゃんの情報を集めているようだ…でも、ナタを侵攻する意図はなさそうだな。)
「隊長」:
何も好転の兆しが見えない。炎神は約束を守らなかったということだな。
タルコ:
「隊長」様!
「隊長」:
ん?
「隊長」:
大した脅威ではない。気にするな。
オロルン:
(僕がつけてきたのに気づきながら…眼中にもないのか。)
オロルン:
(あいつがとてつもなく強いということは分かる。でも…何か常軌を逸した部分があるような…言葉では表せないが、ある種の共感さえ覚える。)
タルコ:
うっ…
「隊長」:
どうした?
タルコ:
すみません、きゅ、急にめまいが…
「隊長」:
地脈が乱れたせいで、外にいてはいけないものが、未だうろついているらしいな。
「隊長」:
……
オロルン:
(待て、なぜ謎煙の主の巫術を!?しかも…溢れ出した魂を地脈に送り返した…?)
オロルン:
(至難とも言える技をいとも簡単に…ばあちゃんを探している理由とも何か関係があるのか?)
タルコ:
ふぅ…だいぶよくなりました。ありがとうございます。
「隊長」:
気にするな。
「隊長」:
引き続き情報を集めろ。常に警戒を怠るな——アビスはいつ襲ってくるか分からんからな。異常に気づいたら、演習の通りに戦え。
「隊長」:
が、勝敗にこだわってはならない。情報伝達が優先だ。
タルコ:
はっ!
オロルン:
(ファデュイもアビスの力と戦っている?一体なぜ…?もしかして…最初から悪巧みなんてなかったのか?)
オロルンは引き続き彼らについていき、競技場へたどり着いた…
オロルン:
(あれからずっと後をつけてるけど、あいつら…僕のことなんてまるで眼中にない。大した自信だな。)
オロルン:
(部下からは「隊長」と呼ばれているようだが…聞いたことのない名前だ。)
オロルン:
(ここは競技場の近くだが…今日はいったい何をするつもりだ?)
「隊長」:
二人は俺についてこい。残りの者は計画通り待機だ。各隊に知らせろ——もし俺が目的を果たせなかったら、すぐに撤退だ。
一同:
はっ!
オロルン:
(競技場に入るのか?でも中には炎神様が…待てよ、まさか炎神様に会いに来たのか?)
タルコ:
「隊長」様、無礼を承知でもう一度確認させてください…本当に計画を実行されるのですか?
「隊長」:
傍観は終わりだ。そろそろバトンを渡してもらわねばな。
「隊長」:
ナタに残された時間はそう長くない。
タルコ:
かしこまりました。
オロルン:
(躊躇いもなく競技場へ入っていった。一体何をするつもりだ…?)
「隊長」:
うっ…!
オロルン:
(互角だ…このままでは勝負なんてつきそうもない…まだ戦い続けるつもりか?)
オロルン:
(……!!)
オロルン:
(これは…地脈の近くでも同じ気配がした。微弱だが…魂が溢れ出している気配だ。だが、どこから…?)
オロルン:
(ばあちゃんを探していたのは、そのためか。あいつが死んだら手がかりが途絶えてしまう…止めないと!)
オロルンの援護のもと、「隊長」は山奥の洞窟へ撤退した…
オロルン:
……
「隊長」:
——まさかあのような目くらましが本当に役立つとはな。
オロルン:
どれだけ濃い霧だろうと、太陽が存在する限り、昼が夜になることはない。あの方はできないのではなく、そうする気がなかっただけだろう。
オロルン:
君に残された時間はもう長くないぞ。その上、怪我まで負った。次はどう打って出るつもりだ?
「隊長」:
お前の価値を、もう一度検討すべきかもしれないな。
「隊長」:
ここから、何かを「聞いた」のだろう?
「隊長」:
ゴホッ!
オロルン:
無理するな。炎神と張り合えたのは君が初めてだ。
「隊長」:
やれやれ…手を出すには最悪のタイミングだと思わなかったのか?
オロルン:
後をつけられていることはとっくに分かっていただろう?なぜ手を打たなかった?
「隊長」:
森の中を歩いていると、野獣に遭遇することがある。が、どんなやつにも飛び掛かってくる勇気があるわけではない。
オロルン:
だが、その野獣に君は助けられた。
「隊長」:
……
「隊長」:
何がほしい?
オロルン:
何かがほしくて助けたわけではない。
オロルン:
僕の魂は人よりも敏感だから、地脈が弱っているのはひしひしと分かる。炎神様がどんな対策を取っているのか知らないが…本当にナタを救えるのか——
オロルン:
君が炎神様に突き付けた問いは、そんな僕の心の声を代弁していたように感じた。だから、君を助けるべきだと思った。
「隊長」:
…ふむ。
「隊長」:
なるほど…隠し事が得意なだけではないらしい。だが、自分がどれほど無謀なことをしたか分かるか?
オロルン:
分かっている…もう後戻りはできない。君を助けたことで、僕は窮地に立たされている。
オロルン:
競技場で公然と炎神に挑んだ君を、得意の術で助けた。炎神様は、謎煙の主の巫術だと一目でお分かりになっただろう。
オロルン:
——僕は君と同じ船に乗ってしまったんだ。
「隊長」:
俺の意見を聞くつもりは毛頭ないようだな。
オロルン:
今さらそんなことを言ったって手遅れだ。事の発端から教えてくれ…なぜシトラリを探している?彼女と知り合いなのか?
「隊長」:
その前に、お前は誰だ?あの時の反応からして、彼女を知っているな?
オロルン:
シトラリは僕の家族で、師でもある。先ほどの巫術も彼女が教えてくれたものだ。だから、僕は彼女を守る責任がある。
「隊長」:
ほう?彼女を守りたいなら、俺が炎神の手で死んだほうが都合が良かったのではないのか?だが、お前はそうしなかった。もっと分かりやすい説明が必要か?
オロルン:
……
オロルン:
僕はナタの現状を変えたいと思っている。自分の手で何か成し遂げたいんだ。君は相当な変わり者に見えるが、僕に道を示してくれそうな気もする。
「隊長」:
変わり者か…フン。
「隊長」:
謎煙の主に、伝説の「黒曜石の老婆」がいるということは、誰もが知っている。大霊との意思疎通に最も長けた人物だとな。そして大霊は、夜神の国に関する多くの知識を持っている。
オロルン:
大霊?夜神の国?なぜ夜神の国の知識が必要なんだ?
「隊長」:
お前の知るべき範疇かどうか、判断しかねる。
オロルン:
僕に命を助けられたことを忘れるな。
「隊長」:
ファデュイが恩知らずな輩だとしたら——?
オロルン:
人は嘘をつくが、魂は違う。僕が感じ取った限り、君の魂はずっしりしていて、まっすぐだ。
「隊長」:
お前は確かに謎煙の主の者だ。性急に結論を出してしまったことを詫びよう。思っていたより、有能なようだな。
「隊長」:
では行こう。お前が計画に参加するに足る器であるかどうか、見せてみろ。
オロルンと「隊長」は、ナタの地脈を救うもう一つの方法を見つけた…
「隊長」:
そんな方法があるとは…
オロルン:
試してみる価値はある。
「隊長」:
ああ。ずたずたになった地脈を、網を編む方法で守るのではなく、もっと根源から解決する方法——
「隊長」:
地脈の再構築、か。
シトラリと会話する
旅人:
——!!
パイモン:
うわぁ!
シトラリ:
旅人、パイモン!大丈夫?
パイモン:
ちょっとクラクラするけど、大丈夫だぞ…
旅人:
俺も大丈夫。
旅人:
シトラリは?
シトラリ:
ヘーキヘーキ。
シトラリ:
でも、激おこよ…
シトラリ:
フン。あのコったら、やっぱり昔のことを負い目みたいに思ってるのね。
旅人:
でも、気持ちは分かる気がする。
シトラリ:
みんなに助けられて生きてきたからって、恩返ししなきゃとか思ってるんでしょ?それはただの独りよがりだっていうのよ!ホント意固地なんだから。
シトラリ:
そんなくだらない思い込みで、ワタシのことまで避け続けて。羽が生えそろったからって、好き勝手できるとでも思ってるのかしら?
シトラリ:
そんな風に育てた覚えなんてないわ…二度とあんなマネさせないから…
パイモン:
二人とも頑固なところは、さすが家族って感じだな。
シトラリ:
それ、褒めてるつもり?頑固さで言えば、あのコはワタシの足元にも及ばないけどね。
シトラリ:
話を戻すけど、さっき聞いちゃったアレ…とんでもない話ね…
パイモン:
ああ!「隊長」のやつ、地脈を再構築するとか言ってたぞ。本気なのか?
パイモン:
でも、再構築っていったいどういう意味だ?「運命の織機」みたいなものか?それで本当にアビスの問題を解決できるのかな…
シトラリ:
「運命の織機」?
パイモン:
えっと…説明するのはちょっと難しいけど、カーンルイアの装置なんだ。不思議な力があるらしいぞ。
パイモン:
とにかく、地脈がいじられたら、ナタのみんなが影響を受けるだろ?それって、すごく大変なことなんじゃないか…?
シトラリ:
つまり、「隊長」はサイショからサイゴまで、嘘はついてないってことね。オロルンの記憶もそれを証明してる。
パイモン:
なんで「隊長」はそこまでしてナタを救おうとしてくれてるんだ?とりあえず、マーヴィカに知らせないとだな!
シトラリ:
うん、一刻も早くね。
旅人:
今すぐ行こう!