arrow_back 原神 クエスト
第四章 第五幕
罪人の円舞曲
「召使」から貰った情報をもとに、一行はとある遺跡に辿り着いた…
遺跡を探索する
パイモン:
ここまで胎海の水の汚染が…
ナヴィア:
うん、それに濃度が濃い。フォンテーヌ人だったら、落ちた瞬間に溶けてしまうでしょうね。
旅人:
ナヴィア、外に戻って。
パイモン:
そうだぞ。ここには胎海の水があるから、おまえは下に行っちゃだめだ。無理に留まっても特になにかできるわけじゃないし、危ない目に遭うかも…
パイモン:
あっ!ナヴィアが役立たずって言いたいわけじゃないぞ、だから、その…
ナヴィア:
大丈夫、あんたの言う通り。この状況では、あたしは確かに力になれないね。じゃあここは任せた。
パイモン:
おう、安心しろ!ナヴィアも気をつけろよ!
ナヴィア:
困ったな…先に進むしかないかも?
パイモン:
じゃあ…ナヴィア、ここでオイラたちを待つか?
ナヴィア:
遺跡の水位は不安定よ、上昇する可能性もある。ここに留まっていても、安全じゃないでしょ。
ナヴィア:
一緒に先に進んだほうがいいと思う、出口がすぐそこにあるかもしれないし。
旅人:
確かに、他に手はない。
パイモン:
じゃあしばらくはオイラたちと一緒に進むしかないな…くれぐれも気をつけろよ!
引き続き進む
橋の上に着いたとき、床が崩れ始める。向こう側へ全速力で走るが、崩落の速度に叶わず、ナヴィアは足を踏み外して橋の下に落ちた。あなたは空中でナヴィアを捕まえようと飛び込んだ。だが彼女を掴めず、水に落ちていくのをただ見ていた…
みんなと会話する
目が覚めたナヴィアは、お馴染みの面々を見た。
ナヴィア:
……
???:
…お嬢様、お嬢様。
ナヴィア:
ん…?
マルシラック:
お嬢様、どうしてこんなところでぼうっとしているんです?私が迎えに来なければ、日が暮れるまで立っているつもりだったのですか?
シルヴァ:
お嬢様は自分の時間が欲しいだけなのかもしれない。
ナヴィア:
え?あれ、あ、あたし寝てたの?
マルシラック:
そのように見えました。
ナヴィア:
うーん、もしかしてあたし、疲れてるのかな?
シルヴァ:
そうかもしれませんね。でも、外に出たいと言い出したのは、お嬢様ですよ。
ナヴィア:
はあ…思い出せないなんて。
ナヴィア:
うーん、寝ぼけてるのかな、あたし今日はお昼寝してないよね?
ナヴィア:
(…すごくよく知っている感覚…でも、少しおかしい)
シルヴァ:
お嬢様、どうされましたか?
ナヴィア:
いや、なんでもない。
ナヴィア:
単に、どうして外に出ようとしたんだろうって。
マルシラック:
覚えていらっしゃるかわかりませんが、国外の商人との債務問題で、ジヴェルニーさんが私たちに援助を求めてきたことがあります。少し前に解決しましたが。
シルヴァ:
外出するついでに、ジヴェルニーさんの様子を確認してみようということです。
ナヴィア:
ああ、そうだったかも。そんなことがあった気もする。
ジヴェルニー:
おや?ナヴィアさん!それに、マルシラックさんとシルヴァさん!あはは、また会えて嬉しいよ。
ナヴィア:
最近はどう?
ジヴェルニー:
おかげさまで最高だ!あの面倒な奴らはようやく、俺がその目当ての人じゃないって分かってくれたみたいだ。俺は保証人ですらないんだぜ!
ジヴェルニー:
朝から晩まで俺の家に来やがって、隣人のオーベルノーもうざがってたんだ!
マルシラック:
力で人を黙らせて、話を聞いてもらうというのも、時には必要なようですね。
ジヴェルニー:
はは、間違いない。あ、そうだ、ベネッティ!この前、ナヴィアさんに何をあげるって言ってた?
ベネッティ:
ああ、少しお待ちを!
ベネッティ:
ナヴィアさん、私が育てた花の種です。どうか受け取ってくれませんか。すごく良い品種なんですよ、とても大きくて綺麗な花が咲くんです。
ベネッティ:
我が家の問題は、ナヴィアさんがいなければ解決することはできませんでした。些細な気持ちですが、どうか受け取ってください。
ナヴィア:
あんたが育てたの?あんがと、もらっておくよ。マルシラック、家に空きの鉢はまだあるよね?
マルシラック:
お嬢様のお望みでしたら、空きの鉢はいくらでも。
ナヴィア:
じゃあ決まり!育ったら、観葉植物を全部ベネッティさんがくれた花に変えましょ!
マルシラック:
かしこまりました。
ナヴィア:
(…待って、何かがおかしい…)
ナヴィア:
奥さん、あたしの聞き間違いじゃなければ、お名前はベネッティよね?
ベネッティ:
はい、そうです。それがなにか?
ナヴィア:
ううん、初対面なのに、あんたの名前は聞き覚えがあるような感じがするわ。あはは、もしかしたら、前回旦那さんと話をしたときに聞いたのかもね。
ナヴィア:
(あたしは絶対にその名前をどこかで聞いた…そう、つい最近。間違いない。)
ナヴィア:
(そうだ、どうしてここはこんなに人が少ないの?みんなどこに行ったの?)
シルヴァ:
お嬢様、お時間にご注意を。私たちは本日、他にも重要な用事がございますので。
ナヴィア:
え?何があるの?
マルシラック:
おや?まさかお忘れですか?
メリッサ:
ナヴィアさん!ここにいたのね、ずっと探してたんだから。早く歌劇場に向かって!ナヴィアさんの審判がもうすぐ始まるわ。
ナヴィア:
…あたしの審判?あ、あたし、歌劇場に行かなきゃいけないの?
シルヴァ:
そうです、お嬢様。まもなくお時間ですので、出発しましょう。
ナヴィア:
え?わかった…
歌劇場に行く
エソンヌ:
見ろ、ナヴィアだ!彼女が来たぞ!
ジョリエンヌ:
それにあの二人の従者も、やっと来たわね!
ナヴィア:
(審判を見に来てる人が多い。それにみんな、妙に興奮した表情をしてる…中には知ってる顔もいるみたいね。)
ナヴィア:
(コリナ、デジレ、ジョインビレ、ジョリエンヌ、エソンヌ…こんなにたくさん来てるなんて…この事件、どうしてあたしは全く覚えがないの?)
ナヴィア:
(審判官は…あれ?ヌヴィレットさんがいない?)
マルシラック:
お嬢様、被告席へどうぞ。ご安心ください、私とシルヴァが付き添いますので。
ナヴィア:
分かった。でも、あたしの後ろに立ってていいの?
マルシラック:
いつもなら許されないでしょう。ですが、今日は些か特別ですから。
全員:
あの人たち、ここを何だと思ってるの…はぁ、本当に理解してるのか?まったく…
ナヴィア:
ちょっと、こそこそ話さないでくれる?審判官のヌヴィレットさんがどこにいるのか教えて。あたしはどうしてここに立たなきゃいけないわけ?
ジョインビレ:
親愛なるナヴィアさん、まだ自分の犯した罪に気づいていないと?であれば、私が説明してあげよう。
ジョインビレ:
皆もご存知のように、ナヴィアさんはカーレスの旦那の後継者であり、棘薔薇の会の現会長——そして我々が住むポワソン町でも指折りの実力者だ。
ジョインビレ:
棘薔薇の会を引き継いでから、君はかつてのカーレスの旦那と同じように私たちと接してくれた。助けが必要な人が棘薔薇の会に願えば、君は必ずや応じてくれる。
ジョインビレ:
そして、それは君だけでない。君の執事や部下たち…棘薔薇の会のほぼすべてのメンバーが、ポワソン町の幸せのために尽力してくれていた。
ナヴィア:
なら、どっからどう見ても、あたしは善人ってことよね?
ジョインビレ:
ああ、その通りだとも!だからこそ、君はなおのこと訴えられるべきなのだ!君は多くの者を助け、困難を解決に導いた。君と私たちは共に歩んでいるのさ。つまり、切っても切れない関係にある。
ジョインビレ:
ポワソン町全体がひとつの大きな家族であり、私たち全員が固く結ばれている。そして君は、とりわけ重要な存在…私たちは決して、君を失ってはならない。
ジョインビレ:
——ゆえに、平等を掲げる法廷は君に有罪判決を下すのだ。私たちと共に、君を永遠にここに留まらせるために。
ナヴィア:
…あんた、何を言っているの…
ナヴィア:
…こほん、確かにあたしは故郷のポワソン町のためにいろんなことをしてきた。みんなと一緒にいたいとも思ってる。けど、それってわざわざここで議論しなきゃならないこと?
ジョインビレ:
ほう…君がそう思ってくれているのなら、私もこれ以上言うことはないよ。
ジョリエンヌ:
良かったわね、ナヴィアさん。
エソンヌ:
……
デジレ:
……
ナヴィア:
(みんな…この見知った人たちは、どうして全員笑ってるの?)
シルヴァ:
ああ、思い出した…そうか、分かったぞ、この審判は…
マルシラック:
いえ、違います…待ってください、そうではありません!
ナヴィア:
マルシラック?
ジョインビレ:
マルシラックさん、何を言い出すんだ?私たちの考えは寸分たがわない。さあ法廷よ、彼女に判決を下すのだ!有罪判決を!
全員:
ここに残って、ナヴィア!あなたは私たちの一員なんだから!
シルヴァ:
お嬢様、罪を認めてはいけません。これはお嬢様を永遠にここに閉じ込めるための審判です。
マルシラック:
弁護権を行使します。ジョインビレさん、あなたはお嬢様の優しい一面のみを見ています。彼女は優しさを持つと同時に、完全に独立した考えを持った人間です。それをあなたはご存じないのでしょう。
シルヴァ:
お嬢様は生まれながらにして自由で独立心が強く、何ものにも縛られてこなかった。たとえカーレス様の死を前にしても、お嬢様はその歩みを止めていない。
マルシラック:
お嬢様がされてきたことは、何かしらのグループの一員であることを自認する証明にはなりません。彼女は単に個人として、他の方々に優しい手を差し伸べているだけなのです。
マルシラック:
その違いを、どうかご理解ください。
ジョインビレ:
なるほど。個人として、か…だが忘れるな、私たちはフォンテーヌ人、ここは正義の国で、水の国であることを。
ジョインビレ:
ナヴィアさんが個人の意志でそう決めたとしても、その素晴らしい魂が最終的に皆のところに還ることには影響しない。水はすべてを受け入れ、すべてを融合させる。当然、彼女のその善意も例外じゃない。
ジョインビレ:
水の国では、すべてのものが測られ、やがて皆一つとなる。見解が一致したとき、その見解こそが「正義」そのものを表す。
ジョインビレ:
今の私は、すべての者を代表した存在だ。「私たち」の見解は、いずれも完全に一致している——ナヴィアさんはここに残るべきであり、ナヴィアさんと「私たち」は一つであると!
マルシラック:
それがあなたたちの言う正義ですか?滑稽にもほどがあります。あなたたちはただ、お嬢様にまだ個体として存在する望みが残っていることを妬んでいるだけに過ぎません!
マルシラック:
忘れないでいただきたい…あなたたちもかつて、独立した自由な個体になりたいと、どれほど願っていたかを。
全員:
君たちは、「私たち」に属する「正義」に背くのか?
シルヴァ:
その正義が端から間違っているなら、それを認める必要もない。
マルシラック:
そちらの理屈であれば、私たちも自分の正義を掲げることができます。私とシルヴァは、お嬢様を守りましょう。
マルシラック:
これが私たちの、正義を貫く手段なのです。
ナヴィア:
(どういうこと、頭が痛い…)
シルヴァ:
お嬢様?
ナヴィア:
シルヴァ、なんだか頭がクラクラする…気分が悪いの…目の前に星が飛んでるみたい…
ナヴィア:
(そっか、ずっと奇妙に感じてた理由が、いま分かった…)
ナヴィア:
(コリナ、デジレ、ジョインビレ、ジョリエンヌ、エソンヌ…あとさっき会ったジヴェルニーとベネッティ。)
ナヴィア:
(それからマルシラックとシルヴァも…認めたくないけど…けど、みんなもう死んでるんだ!)
シルヴァ:
恐れることはありません。そして、この罪を認めないでください。私たちは最後まで、お嬢様を守りますから。
デジレ:
バカバカしい!なんでそんな頑なに審判を受けさせたくないの?私たちが多数派なのよ。審判の国では多数派こそが絶対の正義!すべての意志を体現してるのは、この私たちなの!
ジョリエンヌ:
逃がしちゃダメよ!何があっても、ナヴィアさんを引き留めないと!
ジョインビレ:
マルシラックさん、シルヴァさん、まだ分かってくれないのか?
ジョインビレ:
たった二人で、どうやって集団に逆らうというのだ。抵抗は諦めろ——これは崇高な審判であり、ナヴィアさんは「私たち」に属すべきなんだ。
ジョインビレ:
——あんなことがあったのだし、孤独なポワソン町に一人残すべきではない。
皆は突然、純水精霊の姿に変わった。
ナヴィア:
あんたたち、いったい!?
デジレ:
もう言い訳は聞きたくない!
エソンヌ:
俺たちが…妬んでいるだって?はっ、彼女が独立した個体なわけないだろ?
ナヴィア:
みんな、様子が…
全員:
誰が彼女を妬むというの?最初から俺たちに属してるじゃないか!そうだろ、ナヴィア…さん…
???:
静粛に!
ジョリエンヌ:
っ!この声は…
ナヴィア:
ヌヴィレットさん!
ヌヴィレット:
法廷で騒ぐことは禁じられている。先ほど君たちが述べたことはただの茶番に過ぎず、審判を成立させるものではない。
ヌヴィレット:
本日の審判はここまでとする。なお、法廷の許可を得ていない者が異議を申し立てることは認められていない。
マルシラック:
感謝いたします、ヌヴィレット様。
ヌヴィレット:
さあ、ナヴィアさん、まだ時間が残されているうちに、共にここを離れよう。
ナヴィア:
でも…
マルシラック:
早く行ってください、お嬢様。ここから出る唯一のチャンスは今しかありません。おや…もしや、私たち二人と離れるのを惜しんでいるのでしょうか?
シルヴァ:
マルシラック!
マルシラック:
ははっ、失礼いたしました。これが最後の会話だと思うと、つい冗談を言いたくなってしまいまして…
ナヴィア:
マルシラック…シルヴァ…
一瞬、彼らは純水精霊に変わったようだが、またすぐに元の姿に戻った。
ヌヴィレット:
…急げ!
マルシラック:
さようなら、お嬢様。
シルヴァ:
お気をつけて。
引き続き遺跡を探索する
ナヴィアはハッと目が覚める。
ナヴィア:
いや、待って!待ってよ…!
パイモン:
あっ!ナヴィア!
ヌヴィレット:
目が覚めたか。身体も無事なようで、何よりだ。
ナヴィア:
……
ナヴィア:
あたし、夢を見てたみたい…マルシラックとシルヴァがまだ生きてて、狂った審判からあたしを守ってくれたの…
ヌヴィレット:
…大丈夫か?
パイモン:
悲しすぎて、悪い夢でも見たのか?オイラが…ぎゅっと抱きしめてやってもいいぞ…?
ヌヴィレット:
先ほど私がここに着いたとき、君たちのいた場所が崩れ、ナヴィアさんが水面へ落ちていく瞬間を見た。
ヌヴィレット:
本来であれば、一瞬でも水に触れれば溶けてしまうのだが…ふむ…
ナヴィア:
…何があったの?
ヌヴィレット:
…薄らとだが、二匹の純水精霊が君を受け止めて保護している姿を目にした。一秒にも満たないほんの僅かな時間だったが、そのおかげで救助する猶予ができたのだ。
ヌヴィレット:
もし彼らがいなければ、救い出す前に君の意識は消えていただろう。
パイモン:
ちょっと待った、純水精霊だって?そ、それって…ヴァシェの時と同じなんじゃ…?
旅人:
溶けた人が、純水精霊になった?
ヌヴィレット:
…もしかすると、その二人こそ君の夢に現れた人なのかもしれない。
ナヴィア:
……
ナヴィア:
護衛はいらないってずっと二人に言ってきたのに…まさか死んでもなお、あたしを守ってくれるなんて…
ヌヴィレット:
……
ヌヴィレット:
こっちに来てくれ。
パイモン:
ヌヴィレット、どうしたんだ?
ヌヴィレット:
いや、大したことではない。何か…話をしないか?
パイモン:
ん?なんだよ、急に難しい顔して、どうしたんだ…
パイモン:
あっ!わかったぞ、おまえ無理やり話題を探そうとすると、気まずくなるタイプだろ?
ヌヴィレット:
…私はただ、ナヴィアさんに一人になる時間を与えるべきだと思っただけだ。
パイモン:
だったら、最初からそう言えよ。オイラたちを呼んでおいて、話題も見つからずダンマリのほうがよっぽど気まずいだろ?
ヌヴィレット:
それもそうだな…
旅人:
そうだ、シグウィンがよろしくって。
ヌヴィレット:
シグウィンか…何事もなく過ごせているといいが。メロピデ要塞の仕事が、重くのしかかってはいないだろうか。
パイモン:
安心しろ、あいつは水の下でうまくやってるから!超凄腕の看護師長だしな!
ヌヴィレット:
そうか、であればいい。私と同じように、シグウィンも人間の世界を理解するのに時間がかかるのではないかと気がかりだったのでな。
パイモン:
あ、そうだ、公爵もおまえによろしくって言ってたぞ…まあ、シグウィンにせっつかれてだけどな。「押し寄せてくる厄介事に、最高審判官がぶっ倒れないことを祈っておく」だってさ。
ヌヴィレット:
ああ、その気遣いにも感謝しなければな。近頃は確かに忙しない。メロピデ要塞も万事順調であればいいが。
パイモン:
こいつ…本当に話題を探すのが下手だな…他の話も振ってやろうぜ…
旅人:
パイモンはその道のプロだし、任せた。
パイモン:
ヌヴィレット、おまえって…その、泳ぐのが得意だろ?
ヌヴィレット:
…ふむ?当然、その通りだが。
パイモン:
うっ、い、今のはなし!…別の話題にするな!おまえ、どうやってこの遺跡を見つけたんだ?「召使」に教えてもらったのか?
ヌヴィレット:
ああ。君たちとポワソン町で会う約束をしていただろう?だが到着すると、ファデュイたちがポワソン町の住民の避難誘導をしていてな。その上、そこに大量の物資を運んでいた。
ヌヴィレット:
唖然としていたところ、たまたまその場に居合わせた「召使」を見かけ、この古代遺跡の調査を君たちに依頼したと聞いたのだ。
パイモン:
確かに、最初は合流する予定だったもんな。遺跡を探索するくらいならあまり時間がかかんないし、おまえもまだ公文書を読んでて離れられないと思ってたんだけど…まさか、こんなに早く片づけて駆けつけるなんてな。
旅人:
(ナヴィア、元気になるといいけど。)
ナヴィア:
みんな、お待たせ。ごめんね、だいぶ落ち着いたよ。
ナヴィア:
ふぅ…さっ、探索を再開しましょ。ところで、ヌヴィレットさんも一緒に行くの?
ヌヴィレット:
ああ、同行させてもらおう。
パイモン:
また一人増えたな。よーし、それじゃあ出発だ!
前方を調査する
パイモン:
行き止まりみたいだな…
ヌヴィレット:
ここで終わりのようだ。近くに隠し部屋らしきものもない。
ナヴィア:
思ったよりグルグルさせられたけど、そこまで広くはないみたいね。
旅人:
壁に何かある。
パイモン:
石板?ここに奉納されてるみたいだけど…取ってみるか?
ナヴィア:
待って、あまり不用意に触るのはやめときましょ。
パイモン:
う~ん、台座が四つに対して、石板は三つしかないな。一つ目の台座にハマってたはずの石板がないぞ。
ヌヴィレット:
近くの壁も崩れている。
パイモン:
下に文字が書いてあるな、どれどれ——「これは滅ぶべき国である。過去から、その未来の歴史を記そう」…えっと、どういう意味だ?
ナヴィア:
誰かが意図してこの石板と言葉を残したみたいね。けどそうなると、この「滅ぶべき」っていうのはフォンテーヌのこと?
ヌヴィレット:
これは予言を示した内容だろう。石板に描かれた絵は予言の描写と確かに一致している。例えば、この二枚目だが…
パイモン:
ひざまずいてる信心深そうな人がいるな…その後ろにまた同じポーズをした人がいるぞ。彼女が見てる方向は…なんだこれ?空に浮かぶ島?
ナヴィア:
三枚目の絵の真ん中にいる人は…フリーナ様?水神様が水に落ちたってこと?
パイモン:
それに周りを人が囲んでるな?う~ん、ちょっと理解できなくなってきたぞ…こいつらは水中にいるのか?
ナヴィア:
で、こっちの四枚目だけど…これはあたしも知ってる。フォンテーヌで噂になってる予言と完全に一致してるみたいね…
ヌヴィレット:
人々はみな海の中に溶け、水神は自らの神座で涙を流す。
旅人:
確かに予言と同じ…
ヌヴィレットが石板に触れる…
ヌヴィレット:
……
ヌヴィレット:
この一連の石板には、他にも多くの情報が隠されているのだろう。だが、私にはその意味をすべて読み解くことができそうにない、一枚目の石板が欠けているゆえにな…申し訳ない。
ナヴィア:
そんなこと言わないで。別にこういった予想外のものを解読するのが、ヌヴィレットさんの役割ってわけじゃないんだから。
パイモン:
うぅ…石板を見てたら、寒気がしてきたぞ…
パイモン:
だって、怖くないか!?これってつまり、「未来の歴史」ってことだろ!この予言って、絶対に当たるんだよな…
ナヴィア:
…こんな未来に立ち向かうのは、さすがに遠慮したいところね。
パイモン:
でも、この絵を繋げて見てみると、どっかおかしい気がしないか?う~ん…
ナヴィア:
…そうね…
ヌヴィレット:
……
ナヴィア:
確かに!もしこの四枚の絵が時系列順に並んでるとしたら、四枚目のフォンテーヌが水没する絵が先で、次に三枚目の水神様が水に落ちる絵になるはずだよね?
ヌヴィレット:
だが、この石板では順序が逆になっている。
ナヴィア:
これが時系列どおりなら…三枚目にフリーナ様がいるし、この二枚目に描かれてる方は先代の水神様なのかも?
ヌヴィレット:
エゲリアか…彼女を実際に見たことはないが、絵に描かれた彼女の姿は確かに記録と一致している。
ヌヴィレット:
先代水神が空に浮かぶ島に向かって跪き、その姿はまるで罪を認めているかのようだ…
ナヴィア:
まさか、水神様が罪を犯したってこと?そうじゃなきゃ、こんなことをする理由が…
ナヴィア:
どうして、こんな古い石板が存在するのか気になってたけど、内容を見た感じ…まさか、これが予言の元になってるとか?そうなると、過去にもこの石板を見た人がいるんじゃない?
パイモン:
だったら、石板を作ってこの言葉を残した人は誰なんだ?
ヌヴィレット:
……
ヌヴィレット:
どうやら、その手がかりはフリーナから得るしかないようだ。
ナヴィア:
そうね、もう近くに手がかりはなさそうだし、ここで時間を無駄にするのはやめて戻りましょっか。
パイモン:
そうだな、まずは安全な場所まで戻ろう。
旅人:
……
旅人:
(実際、これを作った人が誰なのかは、もう重要じゃない。重要なのは、予言の内容が現実になるかどうかのほうだ…)
遺跡を離れる
ナヴィア:
ここで別れましょ。一応、まだ棘薔薇の会のほうを見ておきたいからね。ほら、助けてもらっているにせよ、自分の目で見といたほうがいいことって多いし、そのほうが安心でしょ?
パイモン:
あちこち走り回ったのに、まだそんな体力があんのかよ?元気だな…オイラはくたくたでもう倒れそうだぞ…
ナヴィア:
今夜はサーンドル河に戻って、休んでちょうだい。長いこと付き合ってくれてあんがとね。
ヌヴィレット:
私もこれで失礼しよう。皆、大変な一日だったな、ゆっくり休むといい。
ヌヴィレット:
旅人、私は明日の午前中、フリーナに石板のことを聞くつもりだ。
ヌヴィレット:
君もきっと気になっていることだろう。時間があれば、明日の午前中に私の執務室へ来るといい。聞いたことを共有しよう。
旅人:
分かった、また明日。
パイモン:
本当にフリーナに直接聞くのか?大丈夫かな…どんどん真相に近づいてるはずなのに、逆に恐怖が増していってるぞ…
ヌヴィレット:
彼女はずっと秘密を隠している…そう易々と譲歩することはないだろう。だが、そうであればあるほど、私は自分の役割を果たし、彼女に現状を理解させなければならない。
パイモン:
おう、しっかり頼んだぞ!なにしろ、フリーナと話せるような立場の人って、おまえしかいないし。
ヌヴィレット:
今夜、どう話を切り出すか慎重に検討しておこう。
ナヴィア:
旅人、パイモン、サーンドル河にある棘薔薇の会の拠点は、変わらずあんたたちを歓迎してるからね。安心して泊まってちょうだい。
ナヴィア:
それじゃ、またね!
サーンドル河の棘薔薇の会の拠点で休んでいたあなたたちは、そこで予想外の友人と出会った…
棘薔薇の会の拠点に行く
ナヴィアとヌヴィレットがいなくなった後、あなたとパイモンはサーンドル河にある棘薔薇の会の拠点に戻った…
パイモン:
ふぅ、やっと戻ってきたぜ。
テトロー:
おっ、戻ってきたか。今夜はあんたら客人のために、スペシャルメニューを用意してあるぜ。
パイモン:
おおっ、美味しいものまで用意してあるなんて。ナヴィア…いや、ボス最高だぜ!
旅人:
パイモンもお疲れ。
パイモン:
メインディッシュだけじゃなくて、デザートもあるぞ!いいか、これは全部オイラのだからな!
パイモン:
ふぅ~、昼にあったことを一瞬で忘れられたぜ…
???:
おや?この声は…まさか!?
パイモン:
ん?
モナ:
あなたたち?どうしてフォンテーヌにいるんです!?
パイモン:
モナ!?
旅人:
メギストス卿!
旅人:
俺たちがここにいるのを占ってなかったの?
モナ:
あのですね、道中で誰に会うかなんて、水占の盤でいちいち占ったりしませんから。
パイモン:
モナがフォンテーヌにいるってことは…おまえ、やっぱりフォンテーヌ人だったのか?
モナ:
フォンテーヌには用事があって、市内にホテルを取ってあるんです。今日は辺りを散策していたのですが、まさかあなたたちに会うとは…
モナ:
でも、パイモンはどうして私がフォンテーヌ人だと思ったんです?「メギストス」がモンドの姓に聞こえないからでしょうか?
パイモン:
ああ、そうだぞ。
モナ:
まあ、私も昔は自分の姓を持っていましたよ。いや、これは話さなくてもいいことですね…とにかく、おばばに弟子入りした後、偉大なる占星術師になるための第一歩は、その姓に変えることだと言われまして。
モナ:
まあ、そこに関しては仕方ありません。おばばは優れた占星術師ですからね、言われた通り今の姓に変えたんです。でもその時は、メギストスがいにしえの一族を代表したものじゃないとは知りませんでしたが…
パイモン:
あれ?違うのか?
モナ:
はい、メギストスは私やおばばが姓の代わりに使っていますが、一般的には「偉大なる」という意味で解釈されています。
パイモン:
自分を称えるような言葉を名前に入れるなんて…まさか、その部分も家系図に載せるつもりじゃないだろうな…
モナ:
ええ、そうなるでしょう。いずれにせよ、将来弟子を持つようになったら、私もそう名付けるつもりです。
旅人:
ちなみに、モナの師匠の名前は?
モナ:
アストロマンサー·バーベロス·トリスメギストスです。
パイモン:
うっ、どんだけ長いんだよ…それも偉大なるって意味なのか?
モナ:
私の名前の意味は「偉大なる占星術師モナ」ですが、おばばの名前はそうですね…直訳すると、「三倍偉大なる星学者」といったところでしょうか。まあ、占星術師特有の称号だと思ってください。
パイモン:
三倍!な、なんだか付け方が子供っぽいな。
モナ:
そうでしょう?おばばはそういう人なんです!最初はメギストスを使っていたのに、私を弟子にした後、わざわざトリスメギストスに名前を変えましたから…
パイモン:
二倍どころか、それ以上にするなんて…
モナ:
メギストスは私たちの専門分野で使われる名刺のようなもので、通常であればその役割は姓と同じです。分からなくても大丈夫ですよ。占星術を深く勉強する必要があるときに知っていただければ問題ありません。
パイモン:
おいおい、語呂が壊滅的だぞ!
パイモン:
でもそうなると、モナはフォンテーヌ人じゃなくて、モンド人ってことでいいのか?
モナ:
ええ、私はモンド生まれですよ。両親はドーンマンポートに移住しています。私はある時期からおばばに連れられ、各地を遊学して帰ってきた後、モンド城で暮らすようになったんです。
パイモン:
そっか!なら良かったぜ。少なくとも、フォンテーヌの水に溶けることはないな。
モナ:
そういえば、最近フォンテーヌでいろんなことが起きているのを知っていますよね?たとえこの国の人じゃなくとも、あの異様な水には近づかないほうがいいですよ。
モナ:
何だか嫌な予感がしますから…あの水はかなり厄介そうです。
旅人:
モナは予言のことでフォンテーヌに来たの?
モナ:
ええ、例の予言に起因していると言えますね。先日『スチームバード新聞』が、コラム作家である私をフォンテーヌのシンポジウムに招待したんです。そこで最近流行っている予言について、占星術師としての見解を述べることになりまして。
モナ:
招待状はかなり前に届いたものでしたから、当時はフォンテーヌがこんな大変な状況になるとは誰も予想していませんでした。
パイモン:
あの予言のこと、モナはどう思ってるんだ?占星術師の意見を…せめて、それが現実になるかどうかだけでも聞かせてくれないか。じゃないと、オイラ不安で仕方なくって…
モナ:
確かに私は占星術師ではありますが、あの予言はフォンテーヌ、ひいてはテイワット全体の運命に関することです。それを確認することは、世界全体を占うことを意味します。
モナ:
そのようなレベルとなると、誰にでもできるようなことではありません。もし私にそれができるのなら、占星術師ではなく予言者と呼ばれるべきでしょう。
モナ:
ただ逆に考えると、あの予言には比類ない力があります。きっと強大な予言者によるものなのでしょう。その内容は世界の運命に関わるものであり、根拠がないからと蔑ろにするのは絶対に間違っています。
パイモン:
予言者…聞くからに凄そうだな。本当にこの世界にそんなやつが存在するのか?
モナ:
いますよ。そのレベルの占いでしたら、おばばができます。おばばの姉妹たち、つまり魔女会にも似たようなことができる人がいるかもしれません。
モナ:
え?あ、あなた、本気ですか?
モナ:
…分かりました。こんなに真剣なあなたを見るのは珍しいですし、私も協力しましょう。おばばに連絡できたら、すぐに知らせます。
パイモン:
ありがとな!モナって本当に頼りになるぜ!
モナ:
ふふん、私にしかできないことですからね。さあ、全力で私を褒め称えてください!
パイモン:
よっ、最も偉大な占星術師モナ様!オイラたちの知り合いの中じゃ、おまえより星に詳しいやつはいないぜ!
モナ:
そうそう、その通りです!
テトロー:
すまない、入り口のほうから何やら騒がしい声が聞こえたんだが…もし何か手が必要なら、気兼ねなく棘薔薇の会に声をかけてくれ。
モナ:
うっ…まずい、テンションが高まりすぎて注意されてしまいました…そ、それでは、私は用事を済ませてくるので、情報があったらまた連絡します!
パイモン:
…モナのやつ、そそくさと逃げてったな…棘薔薇の会の人がオイラたちのことを疑いの目で見てるぞ…
パイモン:
とにかく、モナに手伝ってもらえることになったし、フォンテーヌの友達もいつかオイラたちに感謝してくれるはずだ。
パイモンと話した後、たっぷり寝て体力を回復した…
パイモン:
ふわぁ~…起きれたけど…まだ少し眠いぞ。
パイモン:
起きたんだな。約束通り、今日はヌヴィレットのところに行くんだろ?早く準備して出かけようぜ。
ヌヴィレットの執務室に行く
セドナ:
お二人とも、やっと来ていただけましたか!
パイモン:
ん?なにかあったのか?
セドナ:
ヌヴィレット様とフリーナ様が揉めているようなのです…その、様子を見てきてくれませんか?
執務室の入り口に着くと、二人の間の空気が張り詰めている…
フリーナ:
だから、僕はもうハッキリと言ったはずだ!
ヌヴィレット:
問題が根本から解決されていない以上、君と私の間ではいかなる言い訳も通用しない。
ヌヴィレット:
失礼を承知で言わせてもらうが、自分の立場を理解していただきたい。君は水の魔神、フォカロルスだということを。
ヌヴィレット:
これを見るといい。ポワソン町の事故の犠牲者リストだ。
フリーナ:
……
フリーナ:
こ、この人たちは…皆…
ヌヴィレット:
今回は止められなかった。だが、同じことを繰り返すのはこの私が許さない。
フリーナ:
……
ヌヴィレット:
もう一度言う——知っていることを洗いざらい私に教えてもらおう。
ヌヴィレット:
昨日、ポワソン町の近くにある古代遺跡で、三枚の石板を見つけた。これについて、心当たりは?
フリーナ:
…何だい、急に尋問するような口調で聞いて…僕は何も知らないぞ。
フリーナ:
でも今、古い遺跡で見つけたと言った?
ヌヴィレット:
ああ。それが君に尋ねた理由だ。石板は四枚あったはずだが、一枚目の所在は分からず、残り三枚にはそれぞれ異なる絵が刻まれていた。すべて予言と関わっていると思われる。
フリーナ:
予言…
ヌヴィレット:
そのうち二枚目の石板には、先代水神エゲリアが空に浮かぶ島に向かって跪き、罪を告白するような姿が描かれている。これについても、何も知らないと?
フリーナ:
知らないね。そんな石板、見たこともないから。
ヌヴィレット:
…もう一度問う、君は先代水神と関わる情報を本当に一切持ち合わせていないのか?
ヌヴィレット:
石板から読み解いた情報によると、水神エゲリアはあることについて謝罪、もしくは罪を自認していた。これに関して一番知っているのは、君のはずだ。
フリーナ:
どの神だって、秘密くらい持っているんじゃないかな?先代は先代で、僕は僕さ。知らないのも別に変なことじゃないと思うけど?
フリーナ:
キミが焦っているのは分かるよ…でも悪いけど、本当に言えることは何もないんだ。
ヌヴィレット:
……
ヌヴィレット:
フリーナ殿、こうなったら単刀直入に言わせてもらう。君が各方面の力を使い、裏で何か調査していることは把握済みだ。
ヌヴィレット:
様々な証拠が示している——君がずっと密かに予言について調べていることを。
ヌヴィレット:
水神として予言を調べるのは別におかしなことではない。だが、エゲリアの秘密を知らないと言い、調査後に何の動きも見せないのは非常に妙だ。
ヌヴィレット:
君は、君が見せているほど「浅はか」ではない…そして、真の愚者でもない。しかし、君の行動は極めて矛盾している…
フリーナ:
ハハッ…ハハハハッ!ヌヴィレット、キミはそんなに僕のことを気にかけてくれていたのかい?そんなふうには見えなかったよ。
ヌヴィレット:
君は…
フリーナ:
僕が裏で調べていることを知っている以上、僕に対してまた別の視点を持つようになったんじゃないかな?
フリーナ:
僕を尋問したり、疑ったりしたところで、まるで意味はないよ。キミは最高審判官である以上、僕の部下であり、僕に従うべきだ。
フリーナ:
キミはただ、僕という神を信じればいい。心の奥底で納得できるかどうかは別として、ただひたすら従えばいいのさ!いずれにせよ…きっとうまくいくのだから。
フリーナ:
…僕が言いたいのはこれだけだ。この件で話すことはこれ以上ないよ。
フリーナ:
ああ、いけない、もうじき歌劇場の開演時間だ。それじゃ、また。
フリーナが言い終えると、そそくさと執務室から出ていく。
ヌヴィレット:
……
パイモン:
…フリーナのやつ…オイラたちが入り口に立ってたことに気付いてなかったみたいだな?どうしたんだろう。顔は笑ってたけど、内心はオイラたちの盗み聞きに気づく余裕もなかったとか…?
ヌヴィレット:
ドアの外でだいぶ待っていたのだろう?
パイモン:
あれ、バレてたんだな?フリーナは気づいてなかったみたいだけど。
ヌヴィレット:
彼女はひどく狼狽えていた。理由は私にもよく分からない。討論は幾度も暗礁に乗り上げてしまったよ…事態をこれ以上放置するわけにはいかないというのに。
ヌヴィレット:
…しかし、どうしても解せない。対話はコミュニケーションの基本だというのに、なぜ彼女はああも対話を拒む?
旅人:
質問だけしても意味がないかも…
旅人:
フリーナに事態の深刻さを理解させないと。
ヌヴィレット:
事情を知る者であれば、誰もがフリーナには秘密があると分かる。問題は態度だ。やむを得ない時が訪れるまで、何も明かす気はないのだろう。
ヌヴィレット:
もしかすると、口を割らざるを得ない状況を作る必要があるかもしれない。
パイモン:
それって、どんな状況だよ?
ヌヴィレット:
…一般的に、人は裁きを前にして初めて真相を語るものだ。水の魔神に、そのような場所に立たせればあるいは…
パイモン:
でも、フリーナはこれまでたくさん審判を見てきて、質問を回避するのが得意だろ。ちょっとでも動きを見せればすぐどっか行っちゃうし、どうやって逃げられないようにするんだ?
ヌヴィレット:
周到な準備と様々な勢力の手を借り、あらゆる措置を講じる必要があるだろう。
ヌヴィレット:
……
ヌヴィレット:
できれば、いかなる形であろうとこういったことには加担したくなかったが…すべては予言を現実のものにしないために必要なこと。
ヌヴィレット:
彼女にとって少々酷ではあるが、フォンテーヌ全体が危機に瀕している今、「神が持つ情報」はあまりにも重要だ。そこに価値があるのならば、一縷の望みに賭けるしかない。
旅人:
それなら、助っ人が必要。
ヌヴィレット:
力を貸してくれる人物に心当たりがあると?
旅人:
応じてくれる人は何人かいるはず。
ポワソン町に行く
数日後、静まり返ったポワソン町のとある船内——
パイモン:
よし!これでみんな揃ったぞ!
パイモン:
——にしても、こんなところに隠れるなんて、よく思いついたな…
リネット:
ポワソン町は災厄に遭ったばかりで、今は人が少ない。だから、話し合いにはちょうどいいと思う。
パイモン:
このマジシャン…オイラたちの隣に座って、さも当たり前かのような表情でお茶を飲み始めたぞ。
リネット:
家族は一緒に座って、ひと時の安らぎを楽しむべき。
リネ:
ははっ、ここでお茶をいただくのも悪くないね。どうかな、一杯?
ナヴィア:
コホンッ!みんな話を聞いてちょうだい。それとも、適当に誰かを選んでこの場を任せることにする?あんたはどう?
フレミネ:
えっ!?む、無理だよ…
ナヴィア:
じゃあ、ヌヴィレットさんは?
ヌヴィレット:
私がその役を担えば、この船を法廷のような雰囲気に変えてしまうだろう…
ナヴィア:
ほらね、進行役はやっぱり地元の大ボス、つまりあたしがやらないと!これで、あたしに注目してくれるね?
クロリンデ:
前置きが長すぎる。
ナヴィア:
うぐっ…確かにそうだけど…とにかく!あたしたちの共通の友人である旅人が、みんなを集めて今後のことについて相談したいんだってさ。
ナヴィア:
具体的にはそうね…みんなで力を合わせて「トラップ」を一式仕掛けるの。
リネ:
へえ?なんだか面白そうだね。
ナヴィア:
でしょ?まあ「トラップ」っていう表現は、ついさっきクロリンデから聞いたのをそのまま使っただけなんだけど…あはは、急にみんなの前で話すことになったからさ。具体的な内容は彼女に説明してもらいましょ。さあ、拍手~!
クロリンデ:
はぁ…自分に任せろと言っていたはずだが?
ナヴィア:
まあまあ、あんたの仕事ってあんまりしゃべる機会がないんでしょ?これを機に鍛えておけば、職場でも気の利いた言葉を自然と使えるようになって、上司からも贔屓してもらえるんじゃない?
クロリンデ:
そうか…では、「上司」はどう思いますか?
ヌヴィレット:
ゴホンッ…上司と認めてくれるとは光栄だ。精進するといい。
クロリンデ:
では…皆、狩りをしたことはあるか?
リネット:
ないと思う。
リネ:
小さい頃、フレミネと一緒に木の棒とカゴで野ウサギを捕まえたことがあるよ。リネットは…そうそう、その日は体調が悪くて参加できなかったんだよね。
フレミネ:
魚ならダイビングしてるときに何匹か捕まえたことあるけど、それもカウントする?
クロリンデ:
ふむ…であれば、どれも本当の狩りとは言えない。皆、聞いたことないかもしれないが、フォンテーヌには昔、「ファントムハンター」というチームがいた。
クロリンデ:
ただ、彼らはハンターと呼ばれていても、狩りの対象は動物ではなく、古代のレムス王朝が残した多種多様な魔物だった。
クロリンデ:
今のフォンテーヌは魔物の数が減り、ファントムハンターも人混みに隠れ、他の武装勢力に所属するようになった。そんな彼らは、フォンテーヌ人のために独特な狩猟方法を残している。
クロリンデ:
トラップを構成するものは次の三つだ——囮、トリガー、拘束装置。獲物を処理する必要があれば、それに処刑器具も追加される。
クロリンデ:
今、ここにいる皆がトラップを作るとしたら、どんな構造のものを選ぶ?
リネ:
僕はやっぱり、ハトとかウサギが餌に誘われる感じで、自然と入っちゃうようなカゴ構造のトラップが好きかな。
リネ:
僕たちが仕事するときみたいに、ほんの少し細工する必要があるけど…まっ、これでも僕たち三人とも、業界内じゃ実力者で通ってるから、それくらいの腕は持ってるよ。
ナヴィア:
じゃあ、ポワソン町の住民の避難を手伝ってたときも、同じ方法を使ったの?部下たちから、泣いてる子供にマジックを披露してたって聞いたけど。
リネ:
うん、そうだね。おまけに並行して、その一帯の情報も整理してたんだ。
フレミネ:
ぼくはそんなにすごくない…コツコツとした方法が好きだから。水中に囮用の餌を仕掛けると、魚が手の届くところまで泳いでくる…そういった感じのがいい。
パイモン:
むしろ、そういうやつのほうが魚をいっぱい捕れたりするんだよな!心を落ち着かせるのって、なによりも大切だし。
リネット:
私は二人のアシスタントをやる。
クロリンデ:
能ある鷹は爪を隠す、というものか。
ナヴィア:
う~ん…あたしだったら、動物型のマシナリーを使うかな?パパが昔、クロックワークのリスやネズミとかを買って、森にいる仲間を誘い出してたのを見たことあるんだ。
ナヴィア:
あんたもそういうのが好きだったよね。当時、一緒にいたでしょ?
クロリンデ:
確かに、それはいい方法だ。完璧な偽装を施してあれば、同類は自ずとついてきてトラップにかかる。
ナヴィア:
ヌヴィレットさんはどうですか?
ヌヴィレット:
私はあいにく、そのような経験を持ち合わせていない。
クロリンデ:
それもそうでしたね。あなたは腕や細工に頼ることなく、直に問題を解決することがほとんどでしたから。
クロリンデ:
…でしたら、もう一つ質問させていただきます。
クロリンデ:
もし今、私たちが大がかりなトラップを作るとしたら、それはどんな形であってほしいですか?
ヌヴィレット:
…効果的でありながらも、獲物をひどく傷つけるものではなく、また優しいものであってほしいと願う。
クロリンデ:
…慈悲深いお方だ。ただ、それは拘束装置と処刑器具の設計に関わってきます。
クロリンデ:
一撃で仕留める必要のある獲物の場合、私は最も強力な処刑器具を選ぶ。そして、注意深く見張らなければならない獲物に対しても、同じ選択を取る。
ナヴィア:
どうして?
クロリンデ:
獲物を最も巧みに無力化できるハンターこそ、命を傷つけることなく獲物を掌握できるからだ。生と死は往々にして、僅かな一念の差でしかない。
フレミネ:
…つまり、ぼくたちは今から、狩りにいくってこと?
パイモン:
うーん、この例え方はオイラたちも予想してなかったな…納得できそうで、なんか違うような気も…
ヌヴィレット:
…もし捕獲と処分が獲物に対する審判であれば、私たちのやることは似たようなものだ。
ヌヴィレット:
——高みに座す神を裁くのなら、狩猟の百倍は胆力が必要となる。
旅人:
その通り。
リネ:
なるほど…ふーん、なんだか面白そうだ。
クロリンデの比喩はあくまでも比喩。
あなたたちはその行為を狩りと呼ぶことはない——それは今することではないからだ。そしてフリーナとの関係も、決して険悪なものではない。
必要なのは、彼女が隠している秘密だけ。
神の秘密を詮索するのはあまりに不遜なことだが…予言が現実のものとなり、フォンテーヌが沈んでしまわないよう——あなたたちは危険を冒すことを選んだ。
ハンターや獲物は存在しない。だが、「トラップ」は存在する。
あなたたちには「トラップ」が必要だ。
棘薔薇の会の拠点に行く
パイモン:
…ここ数日、ほんと忙しかったな。数えきれないほどいろんなことをしてきたぞ…ふぅ…
旅人:
話し合いが長引いてお腹が空いた…
パイモン:
あんなに長時間話し合うなんて…あいつら、意気込みがハンパないな。
パイモン:
せめて少しくらいはたじろぐかと思ったけど…あ、素直なフレミネは怯えてたか。でも、他のやつらはせいぜい驚いた程度だったぞ。
旅人:
今回のこと、パイモンは自信ある?
パイモン:
えっ?オイラか?う~ん…
パイモン:
こういうことって、あんまり経験がないからわかんないな。でもおまえと一緒なら、きっとうまくいくと思うぜ。
パイモン:
だって、他のやつらがどんなに頼もしくても、オイラからするとおまえほど信頼できるやつはいないからな!へへっ…って、あれ?
旅人:
どうしたの?
パイモン:
おまえ、いつの間にお茶なんか淹れたんだ?オイラ、気づかなかったけど。
旅人:
淹れてないけど。
パイモン:
じゃ、じゃあ…なんだこれ?
パイモン:
見たことないコップだよな…?
???:
そう緊張しないで、ただお茶を飲んでいるだけだから。さっきは喋ってなかっただけよ。
パイモン:
うわぁ!誰もいないのに、声が聞こえるぞ!?
???:
なんておかしな言い方。でも、とても面白いわ…あなたたち、本当に興味深い組み合わせね。
???:
こんなに面白い子たちが、迷いを感じてるなんて…あたしはあたしの習慣に逆らえない。だから、こうして来てお茶を飲み、あなたたちとおしゃべりするしかないの。
旅人:
君は誰?俺たちに何の用?
???:
ただの通りすがりの、気まぐれな客に過ぎないわ。友人の弟子の頼みを自ら引き受けようとしてるだけ。
魔女N:
予言は…当たるわ、必ず起こる。あれは「未来の歴史」と思ってもいいことよ。
パイモン:
そんな…だ、だったら、まだ止められる可能性は残ってるのか?
魔女N:
人々はそれを「運命」と呼ぶ。運命は星空の中に刻まれていて、そう易々と変えられないわ。
魔女N:
へえ、気が付いたのね。
魔女N:
一般的に、「予言」は神の視点から見た未来だと言われている。でも、神の視線の死角で…何かが起こっている可能性について、考えたことはある?
魔女N:
あなたがこれから見る様々な出来事は、果たして神が目にする運命と違いがあるのかしら?
旅人:
……
パイモン:
こ、こいつ、なに言ってるんだ…なんかすごそうで、スケールのでっかい、恐ろしい話をしてるみたいに聞こえるぞ…
旅人:
(カップのお茶は、底に達したようだ…)
魔女N:
あなたなら、きっと分かるでしょう?無視していいものと、手を差し伸べないといけないものを。
魔女N:
テイワットの未来がどうであれ、最終的にあなたを導くのは「運命」だけ。やるべきことをやればいいわ。
魔女N:
さてと、いいお茶だったわ、ありがとう。今日のお茶会はここまでにしましょう。
パイモン:
声が…聞こえなくなったぞ…
旅人:
(魔女N…これが君の残すヒント?)
???:
あたしの声、もう忘れたのかしら?
パイモン:
ん?待てよ…この声、確かにどっかで聞いたことあるような…あっ!?おまえって、スメールにいたとき訳もなく空から聞こえてきた声だろ!
???:
「訳もなく空から聞こえてきた」…その言い方、間違ってるようで正しいわね。
???:
前回と同じように、あなたが迷い込み、そしてあたしがその迷いを感じてここに来たの。人を導くのは、あたしにとって手放すことのできない甘美なものだから。
旅人:
君は誰?俺たちに何の用?
???:
ただの通りすがりの、気まぐれな客に過ぎないわ。友人の弟子の頼みを自ら引き受けようとしてるだけ。
魔女N:
予言は…当たるわ、必ず起こる。あれは「未来の歴史」と思ってもいいことよ。
パイモン:
そんな…だ、だったら、まだ止められる可能性は残ってるのか?
魔女N:
すでに失敗した例を見たことがあるはずよ。テイワットのすべてが、そう簡単に変えられると思う?
???:
なんておかしな言い方。でも、とても面白いわ…あなたたち、本当に興味深い組み合わせね。
???:
こんなに面白い子たちが、迷いを感じてるなんて…あたしはあたしの習慣に逆らえない。だから、こうして来てお茶を飲み、あなたたちとおしゃべりするしかないの。
旅人:
君は誰?俺たちに何の用?
???:
ただの通りすがりの、気まぐれな客に過ぎないわ。友人の弟子の頼みを自ら引き受けようとしてるだけ。
旅人:
(友人の弟子…まさかモナの師匠の友達?)
魔女N:
いかにも。あたしはN。友人はあたしにこう自己紹介したらいいと言っていたわ——世界を彷徨う魔女、ってね。
魔女N:
予言は…当たるわ、必ず起こる。あれは「未来の歴史」と思ってもいいことよ。
パイモン:
そんな…だ、だったら、まだ止められる可能性は残ってるのか?
魔女N:
人々はそれを「運命」と呼ぶ。運命は星空の中に刻まれていて、そう易々と変えられないわ。
???:
あたしの声、もう忘れたのかしら?
パイモン:
ん?待てよ…この声、確かにどっかで聞いたことあるような…あっ!?おまえって、スメールにいたとき訳もなく空から聞こえてきた声だろ!
???:
「訳もなく空から聞こえてきた」…その言い方、間違ってるようで正しいわね。
???:
前回と同じように、あなたが迷い込み、そしてあたしがその迷いを感じてここに来たの。人を導くのは、あたしにとって手放すことのできない甘美なものだから。
旅人:
君は誰?俺たちに何の用?
???:
ただの通りすがりの、気まぐれな客に過ぎないわ。友人の弟子の頼みを自ら引き受けようとしてるだけ。
旅人:
(友人の弟子…まさかモナの師匠の友達?あの魔女会のメンバーで、謎に包まれたN?)
魔女N:
予言は…当たるわ、必ず起こる。あれは「未来の歴史」と思ってもいいことよ。
パイモン:
そんな…だ、だったら、まだ止められる可能性は残ってるのか?
魔女N:
すでに失敗した例を見たことがあるはずよ。テイワットのすべてが、そう簡単に変えられると思う?
起きて扉を開ける
予期せぬ情報に複雑な感情を抱きながら、ベッドで横になり長いこと考え込んだ後、ゆっくりと眠りに落ちた。
目が覚めると、外に誰かがいることに気づいた…
パイモン:
ん?なんか声が聞こえるな…
パイモン:
ふわぁ~…しようがない、オイラが見てきてやるぜ…
旅人:
パイモン、働き者になったね。
パイモン:
なに言ってんだよ。起きたばっかで、どうせおまえはなにもしたくないだろ。だから、オイラが代わりに動いてやるだけだ。
モナ:
帰ってきたとたん、あなたたちの掛け合いを聞けるなんて、二人はいつも賑やかですね。
パイモン:
モナ!
旅人:
モナ、ここ数日どうだった?
モナ:
まあまあです。『スチームバード新聞』に行って、以前話したシンポジウムに参加してきました。思ったより楽しかったですよ。
モナ:
フォンテーヌ人は、悲観的な方ばかりではないようです。シンポジウムに出席したある記者は、ただ黙って待つのではなく、自分たちで危機を回避する手段を準備しないと…と提案していました。私もその通りだと思い、彼女と少し話してみたんです。
パイモン:
もしかして、それって髪がピンク色の記者じゃないか?
モナ:
そうそう、シャルロットという方です!知っていますよね?考えたことをそのまま実行し、何でも書けてしまう有能な記者です。
モナ:
彼女の主張はもっともだと思います。予言はとても重要なものですが、ほんの僅かな言葉で人生を左右されてはいけません。
パイモン:
おう、オイラもそう思うぞ!それを聞けてなんだか心強いぜ。
モナ:
あっ、それとこの間の話ですが、すみません…試してはみたものの、ここ最近おばばと連絡がつかないんです。今夜もまた試してみますが、上手くいかない可能性も考慮しておいてください…
旅人:
実は…もうある人が来た…
モナ:
えっ、本当ですか?
先日の謎の来客についてモナに話した…
モナ:
嘘…そんなことがあるなんて!
旅人:
彼女はメッセージを伝えに来たみたい。
パイモン:
神の視線にも死角があるって言ってたよな。肝が据わってるやつだぜ。普通、神は万能だって思うはずだろ?
モナ:
魔女会のメンバーであれば、おそらく只者ではありません。Nと呼ばれる魔女…おばばから何度か彼女のことを聞いたことがあります。方向感覚に優れていて、道に迷っている人を導くのが好きだとか…
モナ:
でも、私は一度も彼女に会ったことがないんです。もし生きているのなら、決して若くはないでしょう…おばばでさえ何百歳なんですから、きっとおばばより長生きしていますよ!
パイモン:
うげぇ…魔女会の人って恐ろしいな…みんな元気いっぱいなのかな…
モナ:
能力だって、それはもう恐ろしいものですよ。彼女がわざわざ見に来たということは、あなたの問題は、彼女が興味を持つほど重要だということです。
パイモン:
うぅ…でもオイラ、あいつの言ってたことをまだ理解できてないんだけど。
モナ:
彼女のヒントはあいまいですが…恐らく、まだ転機があると伝えたいのでしょう。しかし、その転機がいつ訪れ、どういったものかについては言及していません。まさか…
モナ:
今のあなたが知ってはいけないことなのでしょうか?
旅人:
(確かに、何の役にも立たないヒントじゃないはず。でも、そのヒントの価値と意味はいつになったら分かるんだろう…?)
旅人:
(それとも、あれこそが俺の疑問に対する一番の答え?)
モナ:
旅人、パイモン、大丈夫ですか…?
パイモン:
大丈夫だぞ!けどオイラ、ちょっと息が詰まりそうで…なんだか、世界の滅亡が本当に訪れるような気がするんだ。
モナ:
…ええ。その胸騒ぎは、私にも感じられます。
モナ:
私はいつも、「運命」を目撃する側の人間に数えられます。私の目に映る範囲では、「運命」が決して揺らぐことはありません。
モナ:
しかし、それでも私は「奇跡」を期待し、信じています。占星術は不変で合理的なものですが、運命はそうではありません。残酷で…時に、美しいものでもあるんです。
モナ:
恐らく、Nはそのことを伝えたかったのかもしれません。信念を失ってはいけない、目の前にあるものが、必然的な結末とは限らないことを信じるべきなのでしょう。
モナ:
傍観者でいることも考えましたが、やはり私にはそんなことできません。たとえ無駄であっても、もう一度だけみんなの戦いのため貢献したいと思います。最後の瞬間まで足掻かなければ、どう胸を張って結末を迎えられると言うのでしょう?
パイモン:
おお、確かにその通りだな…
モナ:
…あ、私としたことが、また占星術の話をペラペラと喋り始めていました。本当にすみません、専門分野の話になるとつい…そろそろ帰ります!
旅人:
そんなことないよ。ありがとう、モナ。
モナ:
あなたを少しでも勇気づけることができたのなら、無駄口ではなかったようです。私は、あなたが私と同じように足掻く人を助ける方だと、ずっと信じていますよ。
モナ:
きっとそのせいなのかもしれませんね。私たちがいつも偶然出会っているのは…
パイモン:
なんだか今の言葉を聞いてたら、胸の奥がきゅーってしてきたぞ…感動と悲しみがごちゃ混ぜになってる感じだ。
パイモン:
…旅人、オイラ、急に外を歩きたくなってきた。ちょっと散歩しにいかないか。
モナ:
そうです、あのシャルロットです!あなたも覚えていますよね?考えたことをそのまま実行し、何でも書けてしまう有能な記者です。
モナ:
彼女の主張はもっともだと思います。予言はとても重要なものですが、ほんの僅かな言葉で人生を左右されてはいけません。
ニューススタンドに行く
パイモン:
あれ、新聞にオイラたちの名前が載ってるぞ?
旅人:
有名になったのかな?
パイモン:
どれどれ…
パイモン:
「水の下のメロピデ要塞は、その気高くも自由で独立した運営体制を貫き続ける。だが、誰もそれに関われないかといえば、そうではない。」
パイモン:
「先日、記者はメロピデ要塞に潜入しようとするも叶わず…」んん?あいつ、まだメロピデ要塞に入ることを諦めてなかったのか…
パイモン:
「ある異邦の友人が今回の記事の中心となる。金髪の冒険者と白い妖精は、行く先々で話題が絶えない。その謎めいた彼は、水中要塞に入ったことがあるという。」
パイモン:
「探ることのできないメロピデ要塞の内部。しかし、異邦の旅人の物語は、魅力と驚きで満ち溢れたものであることをお忘れなく!」
パイモン:
「記者シャルロットの生涯の傑作——『旅する姿:世を渡り歩いて』。」
パイモン:
おおっ?シャルロットのやつ、オイラたちのカッコいい写真を裏でこんなに撮ってくれてたのか!オイラ、全然気付かなかったぞ!
パイモン:
でも結局、メロピデ要塞の情報を手に入れられなかったんだろうな。それで会いやすいオイラたちの写真を撮って、記事にしたんじゃないか?
旅人:
たぶん、そうかも。
パイモン:
あいつ…まあ、写真もうまく撮れてて、見出しもインパクトがあるから、許してやろうぜ。
引き続き前へ進む
パイモン:
着いた着いた~!オイラ、お腹空いたぞ。入ってご飯を食べようぜ!
ホテル·ドゥボールに行く
パイモン:
おい、見ろ!あれって…あの…
パイモン:
一日限定十六個しか販売してないケーキだぞ!
旅人:
まだ売り切れてないなんて!
パイモン:
前に食べたときは、あんなにピリピリした空気の中でも美味しかったんだよな。今日食べたら、きっともっと美味しいはずだぞ!
旅人:
先を越されてはいけない!
???:
すみません、ケーキをひとついただけますか?
パイモン:
ああっ!他の人が…!
パイモン:
あれ?おまえってパレ·メルモニアのホールにいた…
セドナ:
あら、君たちもケーキを買いに来たんですか?ヌヴィレット様の言葉を借りれば、舌が肥えているようですね。
パイモン:
えっ、ヌヴィレットがそんなこと言ったのか…?
セドナ:
ええ、ヌヴィレット様にも好き嫌いはあるんですよ。私の場合、ここのコーヒーとケーキが特にお気に入りなんです。
パイモン:
へえ、おまえってよくここに来るのか?
セドナ:
基本、毎日必ず一回は来ていますね。
パイモン:
毎日…
セドナ:
毎日すべきことは、仕事以外に、ケーキを食べてコーヒーを飲むことくらいですから。
パイモン:
……
パイモン:
…じゃあ、もしある日、もうすぐ閉店するから、二度とここのケーキは食べられないって言われたら、おまえはどう思う?
セドナ:
なんで閉店するんですか?
パイモン:
オ、オイラにもわからないけど。たぶん…えっと、明日になったら水が上がってくるから?例えば予言にあったみたいに…
セドナ:
予言…私はあんまり気にしたことないんですよね。でも、もし明日食べられなくなるとしても、今日も必ずケーキを食べますよ。
セドナ:
人間がご飯を食べるのと同じです。明日たとえ食べられなくても、今日食べられるのなら食べ続ける。人間はこれを「生活」と呼んでいます。
パイモン:
…そっか。
セドナ:
そう悲しまないでください。あの、ケーキを二つ、テイクアウトでお願いします。
セドナ:
さ、どうぞ、この二つは君たちへのプレゼントです。人間のそういう顔は「悲しい顔」だって、シグウィン先輩から前に聞きましたから。
パイモン:
シグウィンと知り合いなのか?
セドナ:
ええ。先輩は私より早く生まれました。たまに地上に来ては、人間に関する知識を教えてくださっています。
セドナ:
先輩が言うには、人間は傷付きやすい生き物で、笑顔になるには美味しいものを食べないといけないそうです。ですから、ここのケーキを食べてみてください。
セドナ:
では、私は他に用事があるので、お先に失礼します。二人とも、ケーキを食べて元気を出してくださいね。さようなら。
パイモン:
行っちゃったな…
パイモン:
…このケーキ…食べようぜ。きっと美味しいはずだぞ。
パイモンと目を合わせてから、二つのケーキを綺麗に食べた。
パイモン:
へへっ、やっぱり前回より美味しかったな。ケーキを食べた後のお茶の香りも、余韻がすごい良かったぜ!明日もまた来たいな…
パイモン:
…これからも、ここの美味しいものを食べられるといいけど。
スチームバード新聞社に行く
シャルロット:
あれ、旅人にパイモン!もしかして、私が書いた記事を見てくれたの?
パイモン:
よく言うぜ。オイラたちをネタに原稿料を稼いだんだろ?
旅人:
俺にも原稿料を分けて?
シャルロット:
それなら心配いらないわ。君たちがこの前、ポワソン町にいるって聞いて記事の件で手紙を送ったの。けど、その様子だとまだ受け取ってないみたいね。
シャルロット:
安心して。君たちの取り分はちゃんと取ってあるから。それにご馳走も用意してあるの。
パイモン:
本当か?やったぜ!シャルロットっていいやつだな!
シャルロット:
パイモンって、ワイロに弱すぎじゃない?私が意地悪な記者だったら、損してるわよ。
パイモン:
へへっ、そんなことしないだろ。
シャルロット:
でも、今日はまた急にどうしたの?何か用事かしら?
パイモン:
さっき友達からおまえの話を聞いて、おまえの仕事ぶりを見たくなったんだ。ちなみにモナっていうやつなんだけど。
シャルロット:
あれ、君たちもモナ先生と知り合いなの?彼女はうちの新聞社の特別ライターで、とてもすごいのよ!あの若さでもう占星術のエキスパートなんだって。
シャルロット:
それで、私のことを話してたんだ?なんて言ってた?
パイモン:
考えたことをそのまま実行する有能な記者だってさ!
シャルロット:
あはは、それはよかったわ。で、その有能な記者は、名高い旅人とパイモンに独占インタビューする機会をもらえるのかしら?
パイモン:
あれ?今日の新聞に載ってたやつがそうじゃないのか?
シャルロット:
ううん、あれは写真だけで、インタビューは載ってないから。二人には旅での経験や生活の心得とかを詳しく聞かせてほしいの。
旅人:
本当に俺でいい?
パイモン:
そうだぞ、その…オイラたちなんかでいいのか?
シャルロット:
もちろん。私がいいって言ってるんだから、十分ってことよ!でも今じゃなくて、あと数日準備をさせてちょうだい。
パイモン:
おう、じゃあ…時間ができたら話そうぜ?
シャルロット:
それってオッケーってことね?やった!さっそく編集長に報告しなきゃ。あとは照明や場所、セットも押さえないと…
シャルロット:
この辺で失礼するわ。じゃあね!また連絡するから!
パイモン:
あっ!シャルロット、オイラからも一ついいか?
シャルロット:
何?
パイモン:
もし…もしもの話なんだけど!万が一!明日フォンテーヌが沈むとしたら、おまえは今日なにをする?
シャルロット:
うーん、予言で出てくるあれね…よくその話を聞くけど、それがもし明日だったらなんて考えたことなかったわ。
シャルロット:
もし本気で聞いてるのなら、何かしら方法を考えてフォンテーヌを離れるかも。でもそれ以前に、私は記者であり、前線に立つ義務がある。それに故郷のことを…そう簡単に見捨てられるわけがない。
シャルロット:
私の見立てだと、ほとんどの人は実際に危険が訪れるその瞬間まで、自分がどう行動するかなんて予測できないと思うの。そういうことを考えるくらいなら、きっと成り行きに任せたほうがいいんでしょうね。
シャルロット:
だから、私はたぶん新聞社で君のインタビューをまとめてるかな。かわいそうだなんて言わないでよ。自分が好きなことをするのが一番なんだから。
シャルロット:
ほら、考えてもみて!この国は明日滅亡する。それでも私は、この世に一つしかない記事を書いてる。私が書いたものは唯一無二の物語になる、そうでしょ?
シャルロット:
で、次に何をすべきだと思う?——もちろん、一刻も早く記事を書き上げて、印刷してもらって、そして伝書鳩でコピーを世界中に届けてもらうの。
シャルロット:
私は夢想家でも、仕事人間でもない。ただ自分の仕事が好きで、そういう記事を残せることを誇りに思ってるだけ。私って、生まれながらにして記者になる運命だったのかもしれないわね?
シャルロット:
うん、これがシャルロットの答えよ。それじゃ、仕事に戻るね!
パイモン:
…いいな。急に羨ましくなってきたぞ。
パイモン:
もうちょっと近くで、海を見てみようぜ。
パイモン:
モナからおまえの話を聞いて、その仕事ぶりを見たくなってここに来たんだ。
シャルロット:
ふふっ、君たち、もうフォンテーヌで会ったのね。
海辺で散歩する
パイモン:
潮風に当たりながら、海の景色を眺めるのって、結構気持ちいいな。
パイモン:
……
パイモン:
もし…
旅人:
ん?
パイモン:
もしフォンテーヌだけじゃなくて、明日滅ぶのがテイワット全体だったら、オイラたちはその時、どこでなにをしてるんだろうな?
パイモン:
いや、もしなにをするか選択できるなら、おまえはなにがしたい?
旅人:
(俺のしたいこと?)
旅人:
(…確かにシャルロットの言う通り、こういうのっていきなり考えると、逆に答えが出てこないかも。)
パイモン:
ずっと前を向いて進んできたから、全然こういうのって考えたことなかったよな。あてもなく、ずっと歩いて、ずっと旅をしてる。
旅人:
その時もたぶん、旅をしてると思う。
パイモン:
まだ、旅をしてるのか?
パイモン:
なんだ…それって、ずっとやってきたことじゃないか?
パイモンとゆっくりおしゃべりをしていると、知らず知らずのうちに時間が流れていた。
夜、あなたたちは宿に戻り、忙しい一日を終えた。
それから、数日間は同じように穏やかな日々を過ごした。
その間にシャルロットの独占インタビューも受けた——場所は、サーンドル河の棘薔薇の会の拠点。
そして、ポワソン町の事務処理を終えたナヴィアが拠点に戻ってきて、あなたたちと一緒に写真を撮った。
すべては順調に進んでいる。
棘薔薇の会の拠点に行く
パイモン:
ふぁ~…ずっとこんなとこにいたら、カビが生えちゃうぞ…
パイモン:
でもメロピデ要塞よりかはまだマシか。あそこは湿っぽいだけじゃなくて、ちょっとしょっぱい感じもしたもんな…
イサドラ:
お二人とも、まだここにいらっしゃったのですね。よかったです。
パイモン:
え?おまえは確か、パレ·メルモニアの…
イサドラ:
ええ、イサドラです。この間もヌヴィレット様に頼まれてお二人をお訪ねしましたね。お二人はメロピデ要塞に行っておられたと伺いました…
旅人:
それで…俺たちを指名手配犯だと思ってる?
イサドラ:
ふふ、とんでもありません。ヌヴィレット様のご友人だということは分かっていますよ。今回もヌヴィレット様からの伝言をお伝えしに来たのです…
イサドラ:
今朝、歌劇場で事件が起こったのです。マレショーセ·ファントムはこれを小規模の暴動であると定めました。
パイモン:
暴動?
イサドラ:
私はそこまでのことではないと思っているのですが…
イサドラ:
フリーナ様が歌劇場で公演を観ていらっしゃったところ、幕間の休憩時間に、観客たちが突然、フリーナ様を責め始めたのです。
イサドラ:
「予言の危機」に対して何の行動も取らなかったと、大声で…
イサドラ:
するとフリーナ様がまだ答えもしないうちに、他の観客も感情に任せて彼女を責め始めました…
イサドラ:
応じる人はどんどん増え、歌劇場で水神様に対する弾劾がなされました。
パイモン:
フリーナに矛先が向けられ始めたのか。長い間、予言のせいで募ってた不安のはけ口をやっと見つけたってところか?
イサドラ:
ええ。人々は当たり前のように神を頼ります。そして、安心感を失った瞬間、彼らが初めに責めるのもまた神なのです。
パイモン:
ええっ。あいつ、大丈夫だったのか?
イサドラ:
フリーナ様は手に負えなくなりそうな場の空気から、弁解したところで意味はないと思われたのか、「興ざめした」とだけ言い残して、慌てて歌劇場を去って行かれました。
イサドラ:
マレショーセ·ファントムの者たちは秩序維持に忙しく、フリーナ様がどちらに行かれたかには注意を払っていませんでした。ようやく落ち着いた頃には、フリーナ様のお姿はすでになかったのです。
パイモン:
それじゃ、フリーナは消えちゃったってことかよ?
イサドラ:
はい。マレショーセ·ファントムが人手を割いて、お捜ししているのですが…まだ手がかりの報告はありません。
イサドラ:
でも、私は心配ないと思っています。あの方は神様なんですから。たとえ暴徒の手に落ちても、人間の力ではどうすることもできないでしょう?
旅人:
状況は理解した。
イサドラ:
はい。ヌヴィレット様からは状況をお伝えするようにとだけ申し付けられておりまして、他は特に何も…
パイモン:
いや、情報ありがとな。これで十分だ。
イサドラ:
そうですか?分かりました。それでは先にパレ·メルモニアに戻らせていただきますね。お二人とも、お元気で。
パイモン:
よし、オイラたちは、さっそくポワソン町に行こう。
旅人:
居場所がよくわかったね。
パイモン:
こういうとき、フリーナは解決に向けて動くでもなく、どっかに隠れるに違いないぜ。
パイモン:
でもオイラたち、フリーナは大げさで大雑把だけど、冷たいやつじゃないってことも知ってるだろ。
パイモン:
前回ヌヴィレットがあいつをパレ·メルモニアまで呼んだときだってそうだ。ポワソン町の災害の状況を聞いたフリーナは、悲しみと自責の気持ちを隠しきれてなかった。
パイモン:
まして今日は民衆の前で責められたんだから、気にしてないはずないと思うぞ。
パイモン:
あいつは今、きっとこっそりポワソン町に行って、自責の念を紛らわそうとしてる…その可能性が一番高いぜ。
パイモン:
どうだ?オイラ、答えをひらめいただけじゃなくって、自分の力でここまで分析できたぞ。すごいだろ?
パイモン:
へへっ。じゃあ、こんなところでぐずぐず時間を無駄にしてないで、ポワソン町に向かおうぜ。
必ず起こるであろう予言と、それに伴う計画。残るは…神を裁くことのみ。
ポワソン町でフリーナを探す
フリーナ:
……
パイモン:
あっ、フリーナだぞ!やっぱり一人であんなとこに…
パイモン:
うん…
フリーナはあなたに背を向け、災いの残した爪痕を見つめながら呆然としている。
フリーナ:
…諦めよう…もう無意味だ…
フリーナ:
見るがいい。事は起こってしまったし、みんな死んだ。
フリーナ:
ごめん…本当にすまない…
フリーナ:
諦めよう、フリーナ。もうやめていい…
フリーナ:
……
フリーナ:
すまない…
フリーナ:
…でもそれ以外、僕に何ができるっていうんだ…?
旅人:
フリーナ…
フリーナ:
えっ…!だ、誰だ?
パイモン:
落ち着け、フリーナ。オイラたちだぞ…
フリーナ:
コホンッ…フフッ、異郷より訪れた金髪の旅人か。あの弁えない乱暴者たちが跪いて謝りに来たのかと思ったよ。
パイモン:
フリーナ…おまえ泣いてたんだろ。涙の跡が残ってるぞ…
フリーナ:
えっ…泣いてたって?ああ、確かにね。今朝、歌劇場でやっていた公演は実に感動的だったんだ。ついさっきまでそれを噛みしめていたのさ。
フリーナ:
フン、結局あの礼儀知らずのやつらに邪魔されてしまったが。
フリーナ:
神を非難しようだなんて…だから僕は消えてやることにしたんだ。神がいないと気づけば、きっとまるでフライパンの上に乗せられた蟻のようにオロオロするはずだ…
フリーナ:
ヌヴィレットもマレショーセ·ファントムのやつらも、死ぬほど焦っていることだろう。ハハハッ…
フリーナ:
そんなこと…僕は…
誰かの叫び声:
おい!あそこだ、水神があそこにいるぞ!
誰かの叫び声:
ついてこい!早く!
パイモン:
えっ…!あいつら、おまえを探しに来たみたいだぞ、フリーナ…!
フリーナ:
…そ、そうだろうね。きっと僕に会いたくてもアポが取れない熱狂的なファンかな!
フリーナ:
こんなのはルール違反だよ。許すわけにはいかない…!
パイモン:
あっ、逃げちゃうのかよ。フリーナ!
パイモン:
早くあいつを追いかけよう!
パイモン:
…たぶんここだよな。おい!フリーナ!
パイモン:
ここに隠れるのにうってつけの部屋があるぞ。あいつらに追いつかれる前に、早く入れ!
フリーナ:
えっ…何?ここって…
パイモン:
早く!もう来ちゃうぞ!
フリーナ:
わかってるって。悪くないアイデアだ——キミたちの知恵を讃えよう!すぐに行く!
フリーナと会話する
パイモン:
はぁ…はぁ…ふぅ——疲れた…
フリーナ:
はぁ…はぁ…本当に疲れたよ。捕まるかと思っ…
フリーナ:
あっ、いや…あいつらの情熱に負けるところだった。ハハ…
フリーナ:
えっ…ああ。
パイモン:
よしよし、いい子だな。
突然部屋が揺れ始める…
パイモン:
わわわっ————!?
フリーナ:
どうしたんだ?今の振動…地震か?
旅人:
また何かの災害かも。
パイモン:
うんうん。ポワソン町の災害の時も、似たような地震があったもんな。
フリーナ:
まさか…また…
パイモン:
えっと、そう心配するなよ。ヌヴィレットが緊急対応策を講じたから、今回は大丈夫なはずだぞ。
フリーナ:
うん…そうだといいけど…
フリーナ:
でも、ポワソン町のみんなは…もう…
旅人:
(フリーナの強がりもそろそろ限界…?何だか表情がだいぶ隠せなくなってきたような…)
フリーナが落ち着くと、また三人で話し始めた…
フリーナ:
…そう、この数百年…僕は予言についてずっと調査し続けてきた。
フリーナ:
僕の情報網はすでに全テイワット大陸に行き渡っている。
フリーナ:
色んな方法を試し、フォンテーヌの海面が上昇しないよう、守ろうとしていた…
フリーナ:
しかし、どれも役には立たなかった。何年も前に、身を持ってこの事実を知ったんだ。
フリーナ:
「天理」を敵に回してはならない。「予言」にある情景は…いつか必ず起きる。
フリーナ:
諦める?あぁ…なんと素晴らしい響きだろう。それはようやく運命を受け入れられることを意味し…解放を意味する。
旅人:
でも、希望が潰えるって意味でもある。
フリーナ:
ああ、僕は何度も諦めようとした。特にフォンテーヌがポワソン町を失いかけてしまった後はね…
フリーナ:
運命は本当に理不尽で、規則になど従ってくれない。まだ予言は始まったばかりだと言うのに、もうあれだけの命を奪ってしまったなんて。
フリーナ:
でもついさっき、分かった。人々の代わりに運命を受け入れる資格なんて、僕にはないんだ。
フリーナ:
最後の瞬間が来るまでは…まだ遅くない…
フリーナ:
安心してくれ。僕は…僕はみんなのために、希望を最後まで残しておくよ。
フリーナ:
……
フリーナ:
おやおや…その、僕はただ、たまには悲劇的なキャラクターを演じてみたいと思っただけだよ。やっぱり高貴な僕には似合わなかったかな?フフフッ…
フリーナ:
今言ったことはあまり気にしないでくれたまえ。僕にかかれば、フォンテーヌが予言如きに左右されることなどないだろうからね。
パイモン:
さっきのがおまえの本心だったくせに…
旅人:
(そろそろ時間が…このままじゃ、また振り出しに戻ってしまう。もっと情報を聞き出さないと…)
フリーナ:
分かち合うだなんて…
フリーナ:
そんなの無理だよ。最初から、僕は一人でこの責務を背負う運命にあるんだ…
旅人:
俺は「見届ける者」だ。俺に相談すればいい…!
フリーナ:
「見届ける者」…そうか。キミはこの星海の外からテイワットに来たんだったね?つまりキミは、最初からここに属する者じゃない…
フリーナ:
もしテイワットのすべてが舞台上の劇だとすれば、キミは歌劇場にいるただの「観客」…そうだろう?
フリーナ:
或いは、キミになら…
旅人:
(時間がない…早く言って、フリーナ!)
フリーナは何度もためらい、言おうとしてはやめる。ようやく、何かを言おうと決心したように見え、あなたも神経を研ぎ澄まし、言葉を待つ。次の瞬間、部屋を囲む四つの壁が突然崩れる。フリーナは、自分が歌劇場の舞台にいることに気がつく。
歌劇場を訪れる
リネ:
さあ皆さん、ウォーミングアップはこれでお終い。
リネ:
ここからは…神への審判のお時間です。
フリーナは状況を把握し、気を取り直す…
フリーナ:
なるほど。そういうことか…ふむ、「ドラマ」のための努力を褒めてあげよう。
フリーナ:
でも、僕は「正義の神」フォカロルス——即ち、正義の化身なんだよ。「正義そのもの」を審判こうだなんて、荒唐無稽に過ぎるとは思わないかい?
ヌヴィレット:
その言葉…審判への拒絶、と理解して構わないかね?
ヌヴィレット:
ならば、君には決闘によって名誉を守るチャンスが、一度だけ与えられる。
舞台袖からクロリンデが剣を持って黙々と上がってくる。緊張と驚愕の色を浮かべたフリーナだが、すぐに平静を装って、相手を脅そうと試みる…
フリーナ:
神と…決闘をするつもりか?
クロリンデは言葉の代わりに、ただ構えを取る。
フリーナ:
…どうやら、キミの決意は固いらしい。
張り詰めた空気の中、クロリンデは剣を構えたまま微動だにしない。フリーナは静かに片手を上げる。何か力を発動するのではと、周りの人々は息を殺して見ている。しかし結局、彼女はもう片方の手も上げたのだった。
パイモン:
フリーナが…と、投降した?
クロリンデ:
……
驚く観衆:
そんな…!水神が人間との決闘で投降するなんて…?
不満を漏らす観衆:
何だか…ちょっと情けなくない?
困惑する観衆:
フリーナ様…どういうことですか。
フリーナ:
しーっ…
フリーナ:
些か誤解があるようだね?両手を挙げるサインは、必ずしも投降を意味するわけじゃない…
パイモン:
どうせまた言い訳じゃないのか?
フリーナ:
今回僕が手を挙げたのは、決闘などもう必要ない、「審判に向き合う」と決めたからさ。
フリーナ:
今までずっと、何かを避けてきたことは認めよう。
フリーナ:
ポワソン町の人々を守ってあげられなくて、申し訳ない…僕は審判を受けてしかるべきだ。
フリーナ:
失望したのはキミたちだけじゃない。僕も、自分自身に失望している。
フリーナ:
ふぅ…——でも、今こそ水神として、勇気と決意を見せる時だ!
フリーナ:
この僕フリーナが、審判で本当の意味の「正義」をキミたちに見せてあげよう!
フリーナ:
(僕が必ず…キミたちを守ってあげるから。)
フリーナ:
さあ…喜び!歓声を上げたまえ!この歌劇場で、想像もつかない幻想的な展開があるだろう!
フリーナ:
フォンテーヌの舞台を色濃く彩る、心打つ一幕——神フォカロルスへの審判が、まもなく幕を開ける!
興奮する観衆:
おおおぉ————!
高揚する観衆:
歴史が動く瞬間を見られそうだわ!
ヌヴィレット:
はぁ…
パイモン:
またあいつに主導権が戻ったみたいだな。フリーナのやつ、やむを得ず審判を受けさせられるのに…
パイモン:
表現はちょっと大げさだったけど、今回のフリーナはきっと本気なんだよな?
フリーナ:
それで…僕の相手は?
ヌヴィレット:
告発人よ、前に出たまえ…
旅人:
はい。
フリーナ:
ほう、なるほど…いいだろう。キミは告発人であり、見届ける者であり、そして僕の運命の相手でもあるということか。
旅人:
(後ちょっとのところでフリーナは秘密を口にしていただろうに、結局はこうなっちゃった…)
旅人:
(でも大丈夫。法廷でフリーナを負かせば、まだすべてをはっきりさせるチャンスはあるはず。)
フリーナ:
審判が始まる前に、一つ聞かせてくれ…
フリーナ:
僕をここに送り込むために、キミたちは一体どれほどの準備をしたんだい?
パイモン:
それは…あの日会議をしてから…確かにずっと色んな準備をしてきたな…
ナヴィア:
あたしたち棘薔薇の会の任務が一番簡単で、さほど大した準備もしなかった…先に言わせて。
フリーナ:
棘薔薇の会のナヴィア…
ナヴィア:
今朝、歌劇場で騒ぎを起こしたのは、ほとんど棘薔薇の会のメンバーだったのよ。
ナヴィア:
彼らは変装して、観客として会場に潜り込んだ。そして機を見計らって…あんたを非難するよう、民衆を扇動したの。
ナヴィア:
「予言の危機」を前に、民衆の神への不満は溜まりに溜まってた。導火線さえあれば、爆発させるには十分だったよ。
ナヴィア:
あたしたちが知る限り、ああいう状況に直面したあんたは、きっと一人で逃げて、こっそりポワソン町に行くはず。
ナヴィア:
だから、そこにも別の者を待機させた…
フリーナ:
あの時の追手も棘薔薇の会の者だったというわけか…
リネ:
あっちにいた棘薔薇の会のメンバーたちの目的は…あなたを「巨大なマジックボックス」に入れること。つまりフォンテーヌ史上最高のマジックショーにお招きすることでした。
リネット:
そう…あれは部屋じゃなくて、「マジックボックス」。
リネ:
このマジックは、僕が初めて歌劇場で披露したあの移動マジックの「超エクストリーム版」です。
リネ:
マジックボックスの体積はなんと数十倍。移動距離はポワソン町からエリニュス島にまで伸び、そして移動させるターゲットも…
リネ:
——人から、神へ!
リネ:
フリーナ様、ありがとう。あなたのご参加がなければ、この不思議なマジックを歴史に残すことはできなかったでしょう。
フリーナ:
えっと…どういたしまして?
リネ:
もちろん、この「ショー」を準備するために、僕たちは「お父様」の援助を得ました。壁炉の家は多くの人員と財力を費やしたのです…
リネ:
場所を選び、「巨大なマジックボックス」を作り、トンネルを掘り、水路を繋げ…結構忙しくしてたんですよ?
フリーナ:
ということは、「巨大なマジックボックス」の中で感じたあの地震も…実は部屋が地下を移動していたことに起因するものだったというわけかい?
パイモン:
そうだぞ。災害の影響とかじゃなかったんだ。
フリーナ:
フン。なら…ヌヴィレットとクロリンデの任務は、説明してもらうまでもない。
フリーナ:
ヌヴィレットは観客を集め、「舞台」を用意し、決闘代理人のクロリンデは決闘の準備をする…
フリーナ:
舞台に登場した僕を、すぐ「拒否権なき審判」にかけられるように。そうだろう?
ヌヴィレット:
ああ。
フリーナ:
ふむ、その勇気を称えよう、クロリンデ。神との決闘を前に、一歩も引かないとは。さすが、僕の自慢の決闘代理人だ。
クロリンデ:
ありがとうございます。
フリーナ:
そして旅人…キミの任務は、僕を見つけ、計画に気づかれないよう、ずっと僕に話しかけて、気を逸らすことだったんだろ。
フリーナ:
最後に、告発人として僕と対峙するまで…
フリーナ:
え?
フリーナ:
フフッ、そうかい。どうやら僕は最後のチャンスを逃してしまったようだね…
フリーナ:
……
フリーナ:
まあいい。今さら言っても詮無いことだ…
フリーナ:
「拒否権なき審判」の幕が上がってしまった以上、場をしらけさせる理由はない——最後までやらない理由もない!
旅人:
(そう。次にできることは、水神を審判することだけ。)
旅人:
(でも…やっぱりちょっと気になる。法廷にたどり着く前…フリーナは一体何を言おうとしてたんだろう?)
エズモンド:
原告、ここにこんなものがあります…
エズモンド:
シャルロットという女性から預かったもので、法廷で原告に渡す許可を得ました。審判を進めるのに役立つとのことです。
パイモン:
えっ?シャルロットがオイラたちに…?ってことは、あいつも来てるんだ。あ、シャルロット!
パイモン:
どれどれ…これってこの前、あいつが書いてくれた「独占インタビュー」の記事じゃないか?こんなに早く仕上がったのか?
パイモン:
待てよ、この記事ってオイラたちがフォンテーヌに着いてからの色んな出来事をまとめたんだよな。もしかしてシャルロットは…
パイモン:
この記事は、今まで見たり聞いたりしてきたこととか事件とかを手がかりとして法廷に出す、「手がかりノート」みたいなものだって言いたいんじゃないか?
パイモン:
まずは中を確認してみようぜ!自分の思い出を整理するつもりでさ。
フリーナを論破する
ヌヴィレット:
双方、席に着いたな。それでは、審判を始めよう…
フリーナ:
煩雑な前置きは省くとしよう、ヌヴィレット。
フリーナ:
さっさと罪状を羅列するところまで進めてくれ。僕は裁判にかけられる側——つまり今日の主役でもあるというのに、未だにどんな名目で裁かれるのか分かっていないんだ。
フリーナ:
先に言っておくが、凡人が神のやり方を理解できないのは仕方のないことだ。だが、それは神に罪を言い渡す理由にはならない…
旅人:
そう。今日の議題は、神である君が何をしたか、何をしなかったかってことじゃない…
旅人:
審判する理由は——君が神なんかじゃないから。そうでしょ、フリーナ。
驚愕する観衆:
待てよ…今何つった?フリーナ様が神じゃないだって?
訝しむ観衆:
ええっ…?水神の職務怠慢を訴えるわけじゃなかったの?にしても、今の告発…本気?
ヌヴィレット:
告発を承認する。
ヌヴィレット:
フリーナ被告、原告の告発内容を認めるか?
フリーナ:
……
ヌヴィレット:
フリーナ被告?
フリーナ:
…認めない。もちろん認めないさ。
フリーナ:
僕フォカロルス…フリーナ·ドゥ·フォンテーヌは、俗世の七執政の一人。「あらゆる水、あらゆる土地、あらゆる民と法律の女王」…疑いようもない、正真正銘の神だ。
肩入れする観衆:
そうですよね…確かにフリーナ様は変わった性格ですけど、神じゃないだなんていうのは、流石に…
疑問を抱く観衆:
疑ったこともなかったわ。ただ、やるべき仕事をしてないって文句を言いたかっただけなのに…あの人、どうしてあんな告発を?
フリーナ:
この場にいる皆の目に狂いはないみたいだよ?多くの人々は生まれた瞬間から、僕が神であることを常識だと思っているようだ。きっと、僕の味方をしてくれるだろう。
フリーナ:
見るといい。諭示機も当たり前のように、僕のほうへと傾いてくれている。勝算のない勝負に本気で挑むと言うのかい?
フリーナ:
今告発を撤回するなら、僕は正義の神の名において約束しよう。キミを誣告の罪には問わず、今日ここで起きたすべては、皆を喜ばせる茶番だったことにする——とね。どうだい?
ナヴィア:
あたしたちが圧倒的に不利な状況から始まっちゃったわけね。フリーナを負かすだけじゃなく、フォンテーヌの民衆の「常識」まで覆さなくちゃいけないなんて…
フリーナ:
そうか、勧告は余計だったね。ならば今度は、僕が質問する番だ。もし僕が神ではなかったら、僕は何者なのだろう?
フリーナ:
少なくとも五百年もの間、神座に座っていたこの僕の命を支えてきたものは何だったと言うんだい?
旅人:
(よく考えよう…今までに分かった、フリーナの特別なところって…)
パイモン:
まず、おまえは「長命種」で、寿命が元々長い種だって可能性がある。そうじゃなくたって、他にも寿命を延ばす方法はあるはずだ…
旅人:
例えば…「呪い」?
フリーナ:
チッ…いったい誰にそんなことを吹き込まれたんだい?「召使」か?僕に汚名を着せるために、ファトゥスの言葉まで借りたと言うのかい?
ヌヴィレット:
呪い…神の気配は呪いに似ていると常々思っていたが…
ヌヴィレット:
今思い返せば、神とは関係のない、単なる「呪い」の気配だったのか?
パイモン:
やっぱりヌヴィレットも気づいてたのか?
驚く観衆:
フリーナ様が…ただの人間?
考え込む観衆:
人と神…確かに見た目だけでは分かりませんからね。そういう可能性もあるでしょう…
フリーナ:
まだ喜ぶには早いよ。たとえ僕が呪われた身だとしても、だからといって必ずしも「人間」だということにはならないだろう?
フリーナ:
それに人と神の最大の差は、「権能」にある。神は人間にはできないことができる…だから神と呼ばれているのさ。
フリーナ:
このフォンテーヌの地には数百年の間に僕が成し遂げた「神の業」が数多く存在している…
フリーナ:
例えば、今キミたちが目にしているこの「諭示裁定カーディナル」や…皆の日常生活に欠かせない「律償混合エネルギー」だ。
旅人:
(待って…フリーナが諭示機の主じゃないことを証明できる証拠ならある…)
パイモン:
でも、タルタリヤが理由もなく有罪って判決を出されちゃったことについては、おまえだって詳しく理解してないんだろ?本当に諭示機の主なんだったら、今になってもまともな理由を出せないなんておかしいだろ!
フリーナ:
そのことについては、既に明確な答えを出したはずだ。神の決断というのは元々、凡人が理解できるようなものなどではなく、まして説明する必要もない…
ヌヴィレット:
待ちたまえ、フリーナ被告。君が置かれているこの状況を、今一度理解していただきたい。
ヌヴィレット:
法廷では、審判そのものがすべてのものよりも優先されなければならない…神である前に、君は本日の「被告人」なのだ。
ヌヴィレット:
審判の規則に従い、己の把握する情報を正しく述べることができないのであれば、状況は君にとって非常に不利なものとなる可能性が高い。
フリーナ:
くっ…そんな口実を使うなんて…
ヌヴィレット:
口実などではない、フリーナ被告。これはあらゆる者が尊重すべき、法廷の規則だ。
フリーナ:
……
パイモン:
つまり、タルタリヤが有罪判決を受けた理由も、さらに「諭示裁定カーディナル」の構造と原理すら、実際おまえは分かってないってことだな…
パイモン:
おまえが言ってた「神の業」だって、実は「本当の水神」が成し遂げたことなんじゃないのか?
フリーナ:
「本当の水神」?そんな者、いるわけがないだろう…
フリーナ:
僕は確かに「公子」の件の理由を詳しくは把握していない。
フリーナ:
「公子」の有罪判決は、諭示機が一方的に下したものさ。あれは生み出されて以来、ずっと独立して機能し続けてきたんだから…
フリーナ:
神の造物に欠陥があったからといって、神までもを紛い物だと言うなんて…不合理にもほどがある…
パイモン:
まだ詭弁を言うのかよ…「諭示機」はフリーナのものじゃないって証拠を、オイラたちが出せないって確信してるみたいだな…
フリーナ:
神の力だって?観客席に一般民衆がこれほどいる中で、神の力なんてものをむやみに使えるわけ…
ヌヴィレット:
必要ならば、私が観客席に結界を張ろう。
フリーナ:
そ…そこまでする必要が…
フリーナ:
僕は…その…
パイモン:
水神のくせに、神の力どころか、水元素力すら操れないのかよ?
フリーナ:
…律償混合エネルギーだ。そう、律償混合エネルギーのせいだ。神の力は信仰に由来するが、フォンテーヌの民たちの正義に対する信仰はすべて、僕が律償混合エネルギーに転換しているんだ。
フリーナ:
皆の暮らしにエネルギーを提供するため、僕は神の力をすべて放擲したんだ。さあ、僕よりも無私なる神など一体どこにいるというんだい?
疑問を抱く観衆:
それはさすがに…強引すぎない?
反論する観衆:
そうだよ。どれほど民思いだとしても、力が全部なくなるわけがないだろう?力をまったく持たない神なんて、果たして本当に神と呼べるのか?
パイモン:
フリーナの説明じゃ、民衆たちは認めてくれないみたいだぜ?
フリーナ:
そんな…みんな、そんな疑いの目で僕を見ないでくれ…っ。
フリーナ:
僕のことが好きだっただろ?僕は変わらずあのフリーナのままだよ。キミたちは僕の味方になってくれるはずだよね?
フリーナ:
僕の味方に…
眉をひそめる観衆:
この告発が本当だとしたら、確かに重大な事件だ…
考える観衆:
あたしたちだけじゃないよ。あたしの親や死んだおじいちゃん…それよりもっともっと昔の人たちまでが全員、フリーナ様に騙されてきたってことでしょ?
フリーナ:
やめてくれ…もううんざりだ…
フリーナ:
ならば言ってみるがいい。僕が神でないとすれば、「本物の水神」はどこにいる?
フリーナ:
「本物の水神」が存在する証拠もなく、僕以外に水神だと名乗り出る者もいない以上…僕じゃなければ、誰が水神だというんだい?
パイモン:
こんな理屈があるなんて…うぅ、どう反論すればいいんだ?フリーナのやつ、本当に諦めが悪いな。
旅人:
(神でないことは証明できなくても、少なくとも人間だということは証明できる…もしフリーナが人間なら…)
パイモン:
フォンテーヌ人は原始胎海の水に溶けちゃうっていうのは、もうみんなの常識だよな。あっ、まさか…
ナヴィア:
あくまで自分は人じゃなくて神だって言い張るんなら、少なくともあんたがフォンテーヌ人じゃないって証明できる方法が一つあるよ。
ヌヴィレット:
以降、法廷での発言は申請をしてからにしたまえ。たとえ旅人の「相棒」でも、臨時代理人としての資格が不可欠だ。
ナヴィア:
悪いね審判官さま。あんたの規則を破るのも、これで最後だって約束するからさ。
ナヴィア:
実は、ポワソン町から海水を少し持ってきたんだ。ポワソン町で起きたあの災害のことは、みんなも知ってると思う。沢山の人がこの海水に溶けていってしまった…
ナヴィア:
…あたしの一番の親友たちもね。
ナヴィア:
さて、フリーナ様。ポワソン町のこの海水に触れる勇気はあるかしら?
ナヴィア:
理屈から言えば、神であるあんたは、こんな海水に触れたところで何の影響も受けないはず…それどころか、身分を証明できる何よりの証拠を手に入れられるってわけ。
ナヴィア:
逆に試す勇気もないなら、あんたの嘘は破綻する。でしょ?
ナヴィア:
ただ、一つだけ忠告するよ。これ以上人が海水に溶けるのなんか、もう誰も見たくない…
ナヴィア:
だから、無謀な動きだけはやめなさい。自分の罪を認めたほうが、ずっと楽だと思うよ。
頷く観衆:
棘薔薇の会のナヴィア…棘薔薇の会はポワソン町をずっと管理してきたんだから、彼女なら確かにその資格はあるかも…
熟考する観衆:
もしもフリーナ様が人間なら、フォンテーヌ人の可能性が極めて高い…このまま罪を認めるのか…?
フリーナは口を噤んだまま、水面を見つめる。
フリーナ:
……
旅人:
フリーナ?
ヌヴィレット:
フリーナ被告、これはあくまで原告側の一方的な主張であり、通常の審判におけるプロセスには含まれない——断る権利は君にある。
フリーナ:
……
真面目な観衆:
審判官さまがそう仰ったところで…この実験を断れば、自分は神じゃないって認めたも同然だろう。
心配する観衆:
海水をじっと見つめるばかりで、一言も発せられないとは。本当に怖がっていらっしゃるのだろうな。ならば、やはりこの方は…
ナヴィア:
(どういうこと?フリーナってもしかして本当に…こんな展開になるなんて想像してなかった…)
フリーナ:
すぅ——…
ヌヴィレット:
この試行の危険性を踏まえれば、フリーナ被告、従う必要など…
フリーナは意を決して水の中に手を入れる。
フリーナ:
——ッ!
パイモン:
うわあ——!
ナヴィア:
ちょっと!
旅人:
まさか…
フリーナ:
はぁ…はぁ…ッ——あっ…
フリーナ:
ぼ…僕は大丈夫だ。ほら…見てくれ!僕の手は無事だ。僕は溶けなかったぞっ!
フリーナ:
これで信じてもらえただろう?僕は正真正銘神なんだ。海水に溶ける普通の人間なんかじゃない。本当だ…
ヌヴィレット:
シグウィン殿は?至急、シグウィン殿を呼んでくれ。
フリーナ:
シグウィン…?
シグウィン:
ほら、緊張しないで、すぐ終わるから…どれどれ、見せてちょうだいね…
シグウィン:
うんうん、もう大丈夫だよ。
ヌヴィレット:
シグウィン殿、検査結果を聞かせてもらおう。
シグウィン:
ご覧の通り、フリーナさんの皮膚の状態と、息切れの症状から判断すると…
シグウィン:
彼女は原始胎海の水による影響を受けてると思うのよ。同濃度の胎海の水に接触した普通の人間と一緒くらいね。
ヌヴィレット:
感謝する、シグウィン殿。さて、フリーナ被告も元の位置に戻ってくれたまえ。
フリーナ:
どういうことだ?今、なんて言った?僕は胎海の水に溶けなかったぞ。これでも証明にならないと?
ナヴィア:
最初は確かに、ポワソン町近くの海水をそのまま使おうとした。なぜなら、あんたはきっと今までのように、逃げる選択をするってみんな予測してたからね。
ナヴィア:
でも、みんなで話し合った結果、やっぱり低濃度の、人間を直接溶かすことはできない水に置き換えることにしたの。だって万が一…万が一予想外の状況があったらって考えたら…
ナヴィア:
人が胎海の水に溶ける光景なんて、もう誰も見たくないもの。
パイモン:
だから低濃度の海水を使って、看護師長にも検査してもらえるようにしたんだな…
パイモン:
その方向で決めておいてくれてよかったぜ。じゃないとフリーナのやつ、今頃きっと…
フリーナ:
そんな…まさか…
旅人:
(でも、一体どういうこと?フリーナがこの行動の危険性を知らなかったはずはない…)
旅人:
(ぜんぜん普段のフリーナらしくない。彼女にとって、神を装い続けることは…自身の命より大事なことなの?)
旅人:
(今頃はとっくに諦めてるはずだったのに…どうして?)
フリーナ:
聞いて、ねえ、聞いてよ。これ以上そんな冷たい目で僕を見ないで。い、今のはナシだ!
フリーナ:
神であれば原始胎海の水の影響を受けないなんて、キミたちにだって証明できないことだろ?
フリーナ:
それに、それにだ…!もし僕が本当にただの人間だとしたら、あの海水に手を差し込む勇気なんかあるわけないじゃないか…
フリーナ:
…僕の話を聞いてくれ。頼むから、聞いてくれよ…僕は本当に神なんだ…
残念そうな観衆:
はぁ…
残念そうな観衆:
…これ以上でたらめを言ったって、誰も耳は傾けないでしょうね。もうこれだけの証拠が出揃っちゃったんだもの。
パイモン:
この状況じゃ、フリーナがなにを言っても無駄だよな。
ヌヴィレット:
どうやら、結論は出たようだ。異議がなければ、判決に入る。
フリーナ:
……
ヌヴィレット:
最高審判官の名において判決を下す。フリーナは人でありながら神を装い、民衆を欺いた…
ヌヴィレット:
…有罪だ。
ヌヴィレット:
では、「諭示裁定カーディナル」に最終判決を下してもらう。
ヌヴィレット:
「諭示裁定カーディナル」の審判結果によると、判決は…
ヌヴィレット:
…ん?
パイモン:
ど、どうしたんだ?判決は?
ヌヴィレット:
…いや、諭示機による判決も、同じく有罪だ。
パイモン:
だったらいいじゃないか。
ヌヴィレット:
ただ、その内容はこうだ——「水神」、有罪…
ヌヴィレット:
…死刑。
驚愕する観衆:
ししし、死刑だって!?
訝しむ観衆:
死刑なんて本当に存在してたの?ただの噂だとばかり!
感慨深い観衆:
史上唯一の死刑判決が、私たちがずっと神だと思ってきた者に下されるなんて、これ以上ドラマチックなことがあるか…?
フリーナ:
……
パイモン:
諭示機がフリーナに死刑判決を出すなんて…審判でちょっとビックリさせてから、真相を聞き出そうとしただけだったのに…なんでいきなり死刑判決なんて出るんだよ?
ヌヴィレット:
この判決は確かに妙だ…今までのフォンテーヌの正義に対する定義や審判の基準から考えれば…
ヌヴィレット:
彼女の罪は果たして死刑レベルに達するものだろうか…
パイモン:
そうだぞ。連続少女失踪事件の黒幕だったヴァシェにさえ、死刑の判決は出なかったんだ。
ヌヴィレット:
いかにも。彼女の罪がそこまで深刻とは思えないということもあるが、そもそも今回の審判のテーマは、フリーナ殿が水神ではないことを証明することだった…
ヌヴィレット:
諭示機は、あえて「水神」という呼び名で判決を下していたが…これは一体何を意味しているのだろうか?
最後の予言の石板を見る
フレミネ:
えっと…その…ごめん、邪魔して悪いけど…
フレミネ:
審判の進捗は、どうかな?
リネ:
フレミネ!やっと来てくれたか。任務を見事クリアしたみたいだね。
フレミネ:
うん、「お父様」の任務は、最優先事項だから。
ファデュイたちの助けのもと、フレミネはある石板を舞台へと運んだ…
パイモン:
これって…「予言の石板」か?まさかこれが、失われた一つ目の予言の石板なのか?
パイモン:
「召使」が裏でフレミネに石板を探させてたんだな。
フレミネ:
あちこちずっと探して、ようやく海底で見つけたんだ。危険な水域を避けるのにもだいぶ時間がかかって…
フレミネ:
あれ?ちょっと待って。あなたたちのほうの審判は、もう終わっちゃったの?じゃあぼくは…遅かったってこと?いけない、「お父様」を失望させちゃう…
ヌヴィレット:
ご苦労だった、フレミネ殿。石板を見せてもらえるかな。
ヌヴィレット:
……
ヌヴィレット:
旅人、君もほかの石板を目にしたことがあるだろう。一緒に確認してみてくれ。
パイモン:
んん?これって…なにが描かれてるんだ?
旅人:
これは…
ヌヴィレット:
なるほど…これで私も「水神の罪」について把握できたと思う。フォンテーヌの失われた歴史に関わってくることだ。
パイモン:
あれ?水神の罪って、民衆を騙して…いや、違う…それはフリーナの罪だもんな。あいつが水神じゃないってことは既にオイラたちが証明したし…
パイモン:
つまりおまえの言う「水神」って、まさかフォンテーヌの本当の水神のことか?
ヌヴィレット:
実際、この四つの石板に描かれている内容は、君たちがフォンテーヌに来てから経験したことと、多かれ少なかれ関係があるはずだ。
ヌヴィレット:
今の君に、どこまで理解できるかは分からないが。
旅人:
石板の内容と、実際の事件との関係…
パイモン:
そうだな、ほかの石板にはなにが描いてあったんだっけ…オイラも一緒に思い出すぜ!
ヌヴィレットと会話する
パイモン:
なるほどな、おまえの言いたいことは分かったぜ。そういう風に解釈するんだな…
パイモン:
もしそれが正しいなら…オイラたちはとんでもない結論を出してしまいそうだぜ。
ヌヴィレット:
言ってみるといい。
リネット:
お兄ちゃん、あっちはなんだかとんでもない話になってるみたい。
リネ:
僕たちが…本当の人間じゃない?
パイモン:
すべてのフォンテーヌ人は、かつての水神が純水精霊を基に作ったものなんだ。
パイモン:
その証拠に…フォンテーヌ人だけが、原始胎海に溶けちゃうだろ。それに失踪した少女たちも、純水精霊の姿になってた…
パイモン:
そうだ、それにナヴィアも言ってたぜ。溶けちゃいそうなときに、夢…つまりあいつの意識の中で行われてた審判では、みんなが純水精霊になってたって。
ヌヴィレット:
ああ。
パイモン:
そうだな。一つ目の石板の延長線ってことから考えると、きっとまさに勝手に人間を創ったってことが、天空の島の怒りに触れたんだ。
パイモン:
ってことは…諭示機の水神に対する有罪判決も、水神がフォンテーヌ人を創造した罪を指してるのかもな。
ナヴィア:
水神の本当の罪は…あたしたちを作ったこと?
ヌヴィレット:
そして本日の歌劇場では、フォンテーヌ人が水神を審判しようとしている…歴史こそ、最もドラマチックなものなのかもしれないな。
パイモン:
うんうん。この絵はナヴィアが海に落ちた時の状況と結構似てるしな。
パイモン:
たぶんだけど、四つ目の石板にある予言が起こった後に、水神も海に沈んでいったって様子を描いてるんじゃないか?
パイモン:
人々はみな海の中に溶け、水神は自らの神座で涙を流す…そうして初めて…フォンテーヌ人の罪は洗い流される。
パイモン:
オイラ、ちゃんと暗記できてるよな?
ヌヴィレット:
なかなかの推理力だ。現時点で把握できている情報から、それほどまでの推測を立てられるとは…実に見事だ。
ヌヴィレット:
しかしこれらの石板には、肉眼で見える情報以外にも、とあるエネルギーによって「刻まれている」隠し情報がある。
ヌヴィレット:
遺跡でも、その情報を読み取れるかどうか試してみたのだが、一つ目の石板が欠けていたせいで、完全な情報を解読することはできなかった。
ヌヴィレット:
すべての石板が揃った今、もう一度読み取ってみることとしよう…上手くゆけば、じきに「真相」は明らかになるだろう。
ヌヴィレット:
……
パイモン:
ど、どうだった?
ヌヴィレット:
この「真相」は、フォンテーヌの民にも知る権利があるだろう…私から説明させてもらう。
ヌヴィレット:
フォンテーヌ人の起源と水神の罪について——君の推理は全く正しい。
ヌヴィレット:
すべてはフォンテーヌのかつての水神が、眷属たち…つまり純水精霊たちの「陸上で暮らしたい」という渇望を感じ取ったことから始まる。
ヌヴィレット:
純水精霊は人間に憧れ、その美しさとロマンに魅了されていた。人間になることが、純水精霊たちの願望だったのだ。
ヌヴィレット:
しかし、水は生命と深く関係しているとはいえ、俗世の七執政としての水神は、人を創造できるほどの権能などは持っていなかった。
ヌヴィレット:
そこで、彼女はある方法を思いついた——この星の原始胎海の力を盗むことで、純水精霊たちを人の形にし…
ヌヴィレット:
さらにそれらの血管を使って原始胎海の水を体内に包み込み、疑似的人類を作り出したのだ…
ヌヴィレット:
そんなフォンテーヌ人が再び原始胎海の海水に接触すれば、体内の力は束縛を解かれて胎海に帰還する。つまり…形体は溶解して、純水精霊の姿に戻る。
ヌヴィレット:
無論、水神の「人を創造する」という行為は、天理からの許可を得たものではなく…
ヌヴィレット:
故に水神やフォンテーヌの人々は昔からずっと、「原始胎海の力を盗んだ」という罪を背負ってきた。
ヌヴィレット:
…これこそ、フォンテーヌ人の起源だ。
迷う観衆:
あなたも…私も…私たちは全員、純水精霊からできた人間ってこと?
混乱する観衆:
じょ、情報量が多すぎる…審判官様の話は一旦忘れよう…
気が付く観衆:
そういうことなら…水神に死刑判決が下されちゃいかんだろ。あの方は俺たちの創造主なんだぞ…
パイモン:
たしかにフォンテーヌ人にとっては、衝撃的過ぎる話だよな…でも、色んな疑問に対する答えも出たな。
ヌヴィレット:
三つ目の石板への推測に関しては、正しくなかった。順番間違いなどではなかったからな。
ヌヴィレット:
肝心なのは…石板に描かれた水中の人々は人間の姿であり、純水精霊ではないというところだ。
ヌヴィレット:
人々は溶解していない——つまり、絵にある水は原始胎海の水ではない。
ヌヴィレット:
正義と審判の国であるこのフォンテーヌは、同時に水の国でもある。絵の中の水は、実は「正義と審判」を意味しているのだ。
ヌヴィレット:
ナヴィア殿の経験も含めて考えよう。海に落ちたとき、意識の中でナヴィア殿は人々に囲まれ、とある審判にかけられていた。
ヌヴィレット:
つまり三つ目の石板に描かれていたものは…
ヌヴィレット:
…人々が法廷で、水神の罪を審判する場面だ。
ヌヴィレット:
そう、まさに今この瞬間に起きていることだな。
ナヴィア:
あんたたちの言いたいことは分かった。予言通りのことが起きるのを避けるために、この審判を計画したはずなのに…
ナヴィア:
あたしたちは実際、一歩ずつ予言通りに進み続けて…自らそれを実現しようとしてるってことね?
パイモン:
ど…どうしよう?
クロリンデ:
予言は必ず現実となる…これが運命から逃げられない感覚か?
パイモン:
そういうことなら、四つ目の石板にあることも、もうすぐ実現しちゃうんじゃないのか?
ヌヴィレット:
旅人、君の推理には、実はもう一つ小さな誤りがあった。
ヌヴィレット:
四つ目の石板に関して、君は「メロピデ要塞の原始胎海噴出災害」がその証明になると言ったな?
ヌヴィレット:
だが私は、あの噴出は証明などではなく、ほんの兆しに過ぎないと考えている。
ヌヴィレット:
災いを導く本当の根源を、君はもう目にしたことがあるはずだ。
呑星の鯨、出現
movie
突然大きな地震が起こり、観客が慌てて出口に駆け込む。
歌劇場の真ん中に巨大な穴を開けて、大きな鯨が飛び出した。
ヌヴィレットは鯨を制圧しようとするが届かず、鯨は向きを変え、出口まで逃げようとする観客たちに攻撃を仕掛けようとした。間一髪のところで、魔王武装を身に纏った「公子」が穴から現れ、鯨に猛攻をしかける。
この隙に、ヌヴィレットも「公子」に加勢し、二人で鯨を撃退する。
その後「公子」は意識を失い、穴の中へ落ちていった。
呑星の鯨の対処法を話し合う
パイモン:
危なかったな!なんでいきなり歌劇場から飛び出てきたんだ?もしかして、あれが前におまえが夢で見た巨大な鯨か?
ヌヴィレット:
やっとやつと顔を合わせることができたな…やつがここに現れた理由なら、十分承知している。
ヌヴィレット:
あの「鯨」はテイワットに属さない。涙を流しながら、星々を往来する化け物だ。
ヌヴィレット:
やつはこの星の胎海エネルギーを貪り、吞み込んで、どんどん大きくなっている。これが海面上昇の主な原因だ。
ヌヴィレット:
だが、胎海のエネルギーも、やがては尽きる日が訪れる。その次の目標こそ…
クロリンデ:
水神がフォンテーヌ人を創造したとき、その血管に原始胎海の水を封じたと…
ヌヴィレット:
うむ。フォンテーヌ人の「血液」はあの鯨にとって、大きな魅力を放つものなわけだ。
ヌヴィレット:
だからやつが胎海を離れた後は、大勢の民衆が集まる歌劇場が自ずと最優先の目標になった。
ナヴィア:
さっきのって、あいつをひとまず追い払っただけでしょ?回復したらまた陸地に上がって、フォンテーヌ人を狙ってくるんじゃないの?
ヌヴィレット:
ああ、むしろやつはとっくに陸地に上がろうとしていたはずだ。今になってようやくその姿を現したのも、あのファデュイの執行官のおかげだろう。
ヌヴィレット:
疲れ具合から見るに、鯨とどれほど戦ってきたのかは想像に難くない。
パイモン:
戦闘狂のタルタリヤがあの鯨と腐れ縁があったことが、まさかこんなときに役に立つなんてな。
パイモン:
そういや…鯨こそが予言にある災いの根源だってわかったわけだろ。なんとかしてあいつを倒せたら、予言の実現を止められるんじゃないのか?
ヌヴィレット:
もう間に合わない…
旅人:
どういう意味?
ヌヴィレット:
私の知らない間に、やつはこの星の胎海の力をあまりに多く吸収してしまった。もはや、星の胎海そのものと一体化してしまいそうなところまで来ている。
ヌヴィレット:
恐らくテイワット全土を滅ぼしてもなお、あの鯨は生き続け、他の世界を泳ぐことだろう。
ナヴィア:
あたしは…あたしは認めないよ。
ナヴィア:
やれることは全部やった。元凶まで目の前に現れたのに…
ナヴィア:
そんなときに、「この相手にはそもそも勝てっこない」だなんて、ずる過ぎるでしょ。
リネ:
盛大な開演に、こういうフィナーレは相応しくないと思うな。
クロリンデ:
何があっても、最後まで戦う覚悟だ。
パイモン:
予言の内容は、やっぱり起こっちゃうのか…?
旅人:
……
魔女N:
予言は…当たるわ、必ず起こる。あれは「未来の歴史」と思ってもいいことよ。
旅人:
(結局何も変わらない…「運命」には逆らえない。)
旅人:
(待って、「運命」…)
魔女N:
一般的に、「予言」は神の視点から見た未来だと言われている。でも、神の視線の死角で…何かが起こっている可能性について、考えたことはある?
魔女N:
テイワットの未来がどうであれ、最終的にあなたを導くのは「運命」だけ。やるべきことをやればいいわ。
旅人:
(まさか、仮に予言が本当に実現したとしても…みんなが「救われる」方法がある?)
旅人:
(何か…見落としてることがあるのかな…)
旅人:
(…フリーナだ!あの「巨大マジックボックス」の中で、フリーナは最後に何を教えてくれようとしたんだろう?)
旅人:
(フリーナは一体、どんな秘密を抱えてるの…?)
movie
「諭示裁定カーディナル」のエネルギーが突如暴走し、「死刑」の執行が始まる。
切羽詰まったあなたは、フリーナのほうへ走って行く。
フリーナに手を伸ばすと、一滴の涙がフリーナの頬を滑り落ち、あなたの手に落ちた。そして、ある空間に呑み込まれる。
一方でヌヴィレットも、諭示機の光に吞み込まれ、もう一つの空間に入っていく。彼の目の前にはフォカロルスがおり、その頭上には、巨大な剣の形をしたエネルギー体が回転していた。
釈放の日が訪れ、予定通り出獄の手続きをすることになった。
居房エリアに戻る
メロピデ要塞の事故からしばらく経ち、ここでの生活にも終わりが見えてきた。
パイモン:
ふぅ!朝ごはんを食べてちょっと休んで…のんびりした過ごし方だな。
パイモン:
いや、今日はなにか大事なことがあった気がするぞ…
パイモン:
あ!今日はオイラたちがメロピデ要塞を離れる日だ!早く受付に行って手続きしようぜ。もう予約はしといたからな!
受付係と会話する
モングラーヌ:
ここにサインして頂戴。すぐに受理するから、正規のルートでメロピデ要塞から出られるわ。
パイモン:
随分長い間、上に戻ってないよな。早く…
パイモン:
うわっ!?
モングラーヌ:
えっ?どういうこと…
旅人:
大丈夫?
モングラーヌ:
ありがとう、私は大丈夫。今の揺れは一体…?
パイモン:
公爵に聞いてみようぜ。
リオセスリと会話する
パイモン:
公爵!
リオセスリ:
あんたらに会えて光栄だ。何か用か?
パイモン:
いまの揺れはなんなんだよ?
リオセスリ:
海底からきた揺れではない、水の上からだな。
リオセスリ:
ここ数年メロピデ要塞を管理してきたから、水の上か下かって違いについては結構敏感なんだ。それに、ヌヴィレットさんの封印はそう簡単に解けやしない。
パイモン:
メロピデ要塞は大丈夫なのか?
リオセスリ:
前回を思い出してみろ。もし影響があるなら、今頃人々はパニック状態になってるはずさ。
パイモン:
そっか…それじゃあ、詳しいことは上のやつに聞くしかなさそうだな。
パイモン:
へへん!今日がなんの日か、わかってるよな!
リオセスリ:
パイプ清浄日だが。
パイモン:
そっちじゃないぞ!
旅人:
実は、お別れを言いに来たんだ。
リオセスリ:
ああ、手続きが終わったのか?
パイモン:
おう!
シグウィン:
あら、二人とも!もう行くのかしら?
パイモン:
そうだぞ。今日はここでの最終日なんだ。まあそうは言っても、ここに閉じ込められた気はしなかったけどな…なかなかいい住み心地だったぜ…
旅人:
みんな、世話になったね。
パイモン:
へへっ。オイラ、結構メロピデ要塞が好きだったぞ。
シグウィン:
じゃあまた遊びに来てね。ウチも、キミたちにまた会いたい。
リオセスリ:
サインをしたら上に向かっていいぞ。看守があんたらを護送する。
パイモン:
おまえはオイラたちを送ってくれないのか?
リオセスリ:
そう言うと思った。なら、一緒に行こう。
パイモン:
おお…直々に来てくれるのかよ…でもいいや、忙しいんだろ?オイラ、ただ冗談で言ってみただけだぞ…
リオセスリ:
ほう?いつになく控えめだな。
シグウィン:
長い間水の下に住んでいたから、寂しいのよね?うーん、ウチが出口まで送ってあげようか?
旅人:
大丈夫、二度と来ないわけじゃないし。
パイモン:
そうだな、オイラたちまた来るから、安心しろ!へへ、オイラここの食堂が結構好きだったぞ。シェフの腕前もなかなかだしな。
リオセスリ:
可能であれば、次は名目上だけでも清廉潔白な身で来てくれ。
パイモン:
もちろんだぞ!
パイモン:
いろいろあったけど…メロピデ要塞での仕事は終わりだな。でも、ヌヴィレットの依頼なんだから、報告するまでが仕事だぞ。
パイモン:
次は完了報告をしないとだな…パレ·メルモニアに行こう!
シグウィン:
あら、ヌヴィレットさんに会いに行くの?ふふっ、ウチと公爵の代わりによろしく伝えておいてね。
リオセスリ:
よろしく言うのは看護師長の分だけでいいからな。
シグウィン:
最低限の礼儀なのよ。
リオセスリ:
まあいいさ。噂によれば、最近のパレ·メルモニアは目が回るような忙しさらしい。押し寄せてくる厄介事に、最高審判官がぶっ倒れてしまわないことを祈っておく。
ヌヴィレットと会話する
パイモン:
おお、今日のパレ·メルモニアはなんだか騒がしいな…
セドナ:
止まりなさい!ん?ああ、お二人でしたか!申し訳ありません。ヌヴィレット様は君たちをいつでも歓迎すると…
イサドラ:
お話中失礼します。こちらの報告を少々確認いただけないでしょうか?
セドナ:
はい、すぐに!ごめんなさい、急用ができてしまったので、ヌヴィレット様のところにはご自身で向かってください。
パイモン:
みんな忙しそうだな。最近なにかあったみたいだぞ…
パイモン:
ヌヴィレット!
ヌヴィレット:
ごきげんよう。再び会うことができて何よりだ。だが、少し待っていてくれないか。早急に処理しなければならない案件があるのでね。
ヌヴィレット:
好きなところに座るといい。何か飲みたければ、外のメリュジーヌに頼んでくれたまえ。
パイモン:
オイラたち、ご飯は食べてきたんだ、安心してくれ。
ヌヴィレット:
ふむ、ならいい。
パイモン:
こいつの用事が終わるまで、あそこで休んでようぜ。
ヌヴィレット:
……
ヌヴィレット:
うむ、これでいいだろう。
パイモン:
終わったのか?
ヌヴィレット:
ああ、待たせてすまなかった。
ヌヴィレット:
今日は君たちがメロピデ要塞での刑期を満了した日だな。ふむ、手続きはもう済ませたと見える。
パイモン:
おう、だからすぐにおまえのところに来たんだぞ。
あなたとパイモンはヌヴィレットに、色々な話をした。前回の「原始胎海の水」が溢れてしまった事件以降、メロピデ要塞で起きた様々な出来事や、夢の中にタルタリヤが現れたことを…
ヌヴィレット:
…巨大な鯨…
パイモン:
それがなんだかわかるか?
ヌヴィレット:
君たちの話を聞くに、それは普通の水ではない。きっと原始胎海の水に近いものだろう。
ヌヴィレット:
体積、形状から考えても、その鯨はテイワットの普通の水域から生まれる代物ではない。つまり…タルタリヤ殿はいま胎海の水に包囲されているのかもしれない。
パイモン:
胎海の水に包囲…って、原始胎海の中にいるってことじゃないのか!?入って大丈夫な場所なのか?
旅人:
彼はフォンテーヌ人じゃないから溶けない。
パイモン:
胎海の水に包囲…ま、まさか原始胎海の水の中にいるのか?
ヌヴィレット:
原始胎海の内部…ありえないことではない。しかし普通の人間には不可能だ。彼がどのようにして内部に入ったのか、私にも想像がつかない。
旅人:
もう一つ聞きたいことがある。
ヌヴィレット:
聞こう。
旅人:
さっきの揺れは何?
パイモン:
そうだぞ!オイラも感じたぞ!
パイモン:
公爵に聞いたら、揺れは水の下から発生したものじゃないって言ってたぜ。それで、水の上のことなら、おまえが状況を知ってるはずだって思ったんだ。
ヌヴィレット:
その件については、先程関連した報告を受け取り、現在対応していたところだ。
ヌヴィレット:
ポワソン町付近が振動の発生源で間違いない。振動のあと、付近の水位が急速に上昇した。
パイモン:
水位が上昇?まずいぞ、あそこの人たちが…
ヌヴィレット:
幸い、水位の上昇はあくまで一時的な現象で、現在はおおかた戻っていった。…だが、なにか良くない予感がする。
ヌヴィレット:
もしも、今回の水位変化と原始胎海の水の浸透に関係があるとすれば、ポワソン町が直面した災禍は見た目よりも遥かに恐ろしいものとなるだろう。
パイモン:
ナヴィアはポワソン町にいるはずだよな?オイラたち、あいつの状況を見に行ってみないと。
旅人:
うん、あそこには棘薔薇の会がある。
ヌヴィレット:
私も現場に向かいたいところだが、すぐにはここを離れられない。状況が悪化しないよう、周辺海岸地区の防災案を作成しなければ。
ヌヴィレット:
手間をかけるが、先に行っておいてもらえないだろうか。私もこれが済んだら、すぐに現場に向かい君たちと合流する。
旅人:
そうしよう。
パイモン:
じゃあ、急いで出発だ!
ヌヴィレット:
くれぐれも気をつけてほしい。
ポワソン町に行く
パイモン:
そんな…な、なんでこんなことに…
旅人:
(辺りの家がみんな…ひどい有様になってる…)
旅人:
(町に人がいない。まさかみんな…いや、そんなことを考えちゃダメだ。)
パイモン:
ナヴィアがいるはずだよな?あいつに状況を確認しにいかないと…いや、あいつの状況を確認しないと!
ポワソン町でナヴィアを探す
パイモン:
ここまで歩いても、まだ誰もいない…オイラ、怖くなってきたぞ…
災害に遭った男性市民:
ああくそ!これでどうやって暮らせと言うんだ!!
パイモン:
あそこの屋根に人がいる…
棘薔薇の会メンバー:
じっとしてて…動かないで!今すぐ行くから、バランスを保って!
災害に遭った男性市民:
お、おう…!早くしてくれ!
デジレの父:
ああ…この歳で…独りでどうやって生きていけばいいんだ…
デジレの父:
うぅ…デジレ…
パイモン:
あの人、すっごく悲しそうだな…うぅ…
災害に遭った女性市民:
あ、足…私の…足が…
災害に遭った女性市民:
分かってたらむやみに動かなかったのに…痛い…痛い…
棘薔薇の会メンバー:
もうちょっと頑張って、すぐに救助が来るから!ほら、私の手を握って。少しはマシにならない?
引き続きナヴィアを探す
パイモン:
いた!ナヴィアはあそこだ!
パイモン:
おーい!ナヴィア——大丈夫か?
ナヴィア:
……
ナヴィア:
来てくれたのね。
パイモン:
当然だぞ。ポワソン町が大変だって聞いて、すぐ駆けつけてきたんだ。
ナヴィア:
見ての通り、水面が急上昇して、かなり大変なことになってる。
棘薔薇の会メンバー:
ボス!南東方面の建物のそばに負傷した住民がいました。すでに安全エリアに移送済みです。しかし現在、治療のための医療器具がありません…
ナヴィア:
負傷?どの程度?
棘薔薇の会メンバー:
転倒による怪我です。足の骨も一本折れているかと。その方は高所恐怖症で、水が上昇した際、屋上によじ登ったようです。水が引いた後、地面を見て恐怖で身が竦んだようですが、しかし…
ナヴィア:
…飛び降りた、ってこと?
ナヴィア:
第一小隊隊長に伝えて、負傷した人を医者のところに連れて行くように。彼ならどこに行けばいいかわかる。
棘薔薇の会メンバー:
承知しました!では第一小隊隊長の本来の救助任務は私が引き継ぎます!
ナヴィア:
任せたよ。
ナヴィア:
ごめん、どこまで話してたっけ?
パイモン:
ポワソン町の、えっと…
ナヴィア:
ああ、ポワソン町の状況ね。あたしから説明するよ。
ナヴィア:
少し前に、巨大な音が聞こえた。最初は、下水道で何かが破裂したんだってみんな思ったんだけど。でもすぐに、色んなところから水が溢れ出てきたの。
ナヴィア:
その水は微かに奇妙な…胎海の水特有の光沢を帯びていた。でも事の重大さがわからず、ただの水漏れだと思っている人もいた。
ナヴィア:
道端に立っていた人、水に触れた人…水位が上昇するにつれ、逃げ遅れた人たちは…溶けて——突如消えてしまった。
ナヴィア:
何が起きたのか察した人たちは、なんとか高所に登ろうと逃げ始めた。その間、人混みに押されて怪我をする人もいたし、高所から落ちてしまう人もいた…
ナヴィア:
棘薔薇の会ができる限りの速さで救助活動を展開したけど、町には死傷者が出た。幸い、水位の上昇はしばらく続いた後に落ち着き始めたから、パニックは長引かなかったけどね。
ナヴィア:
今回上昇した水の中には「原始胎海の水」が含まれてた。ポワソン町の低地には水が溜まってて、今も危ないの。安全のため、その辺りの人たちには速やかに避難するよう伝えたよ。
ナヴィア:
同じようなことがまた起こるのかどうかは、誰にもわからない。だから全力で住民の避難を手伝うしかない。住民の安否確認はまだ終わってないけど、もうすぐ結果が出ると思う。
パイモン:
うぅ…こういう、いつ起こるかわからないっていうのが一番怖いぞ…
ナヴィア:
…うん、怖いね。あたしも、さっき起きたことの全てが夢であってほしいと思うよ。
パイモン:
ナヴィア、オイラたちになにかできることはあるか?
ナヴィア:
こんな危機的状況で手伝ってくれてることに感謝だよ。でも、気持ちだけで十分。あたし、どうやって感謝を伝えたらいいかな…
旅人:
(待って、誰か欠けてるような…?)
パイモン:
そんなこと言うなよ。友達なんだから、当たり前だろ…
旅人:
そうだ、マルシラックとシルヴァは?
ナヴィア:
……
棘薔薇の会メンバー:
ボス!こちらでまた問題が発生しました!
ナヴィア:
わかった!
ナヴィア:
ごめん、ちょっと離れる。
パイモン:
行っちゃった…こんな状況だし、忙しいわけだ。
旅人:
……
ナヴィアは辺りを駆けずり回って、多くの人と対話し、様々な問題に対処した。すべての決定は合理的なものだったが、彼女の表情はやはり重いままだった…
ナヴィア:
…よし、基本的な確認と救助は大体終わった。さっき新しく援軍も来たし、やっと自分のことをする余裕ができたよ。
ナヴィア:
もちろん油断するわけにはいかない…これからもっと頑張らないと。棘薔薇の会のみんなには、「助っ人」に付いてもらうよ。
ナヴィア:
旅人、パイモン、あたしと一緒にパパのお墓に来てくれない?
パイモン:
え?今か?
旅人:
…わかった。
ナヴィア:
サンキュ…
ナヴィアと会話する
ナヴィア:
…人がいないね。
パイモン:
もうこんな時間だしな。それにポワソン町も今はこんな状況だし、墓参りに来る人はいないんじゃないか…
ナヴィア:
そうね。こんなことになって、生きてる人たちだって疲れ果ててる。亡くなった人に言葉をかけたくても、そんな気力は出ないでしょうね。
パイモン:
えっと、ナヴィア…
旅人:
もう無理しなくていい。
ナヴィア:
……
ナヴィア:
…うぅ…
パイモン:
ナヴィア!?いきなりどうしたんだよ…
ナヴィア:
…ごめん、あたし、どうしたら…
ナヴィア:
マルシラックとシルヴァは、もう帰ってこない…
ナヴィア:
パパ、あたしは一体どうしたら…
パイモン:
えっ!?そんな…
ナヴィア:
救助計画は…みんなと話し合って実行した案よ。でも元はと言えば、あたしが言い出したの…
ナヴィア:
救助の必要がある住民を助けるために、二人は逃げ遅れて…
ナヴィア:
…水に飲み込まれた…ううう…
パイモン:
オイラたち、どうすれば…
ナヴィア:
長い付き合いだから、彼らが覚悟の上だったってことは分かってる。でも、でも…
ナヴィア:
パパでさえ少なくとも遺体があって、お葬式もできたのに…マルシラックとシルヴァは…あたし、受け入れられないよ…
ナヴィアは思い出した。マルシラックとシルヴァに付き添われ、父親の墓参りに来た日のことを——
マルシラック:
雨上がりは何もかもが綺麗に見えますね。それは墓でさえも同じこと。ボスの墓前だというのに、ワインでも飲みたい気分ですよ。
シルヴァ:
そうだな…この景色は悪くない。
ナヴィア:
誰だってそうでしょ。パパに会いに来る時は、いつもなにか持ち込みたい気分になるもの——ちょっとだけならピクニックしてもいいかもね。パパは怒ったりしないよね?
マルシラック:
ええ、ご安心ください。ボスがお嬢様をお叱りになることなど、あり得ません。
マルシラック:
…しかし、墓は死後の住処と言えるでしょう。誰であろうと、遅かれ早かれ用意する必要があるものです。
シルヴァ:
今から墓を買おうとしてるわけじゃないよな?
マルシラック:
はははっ、その必要はありませんよ。お嬢様の許可をいただけるのであれば、私が死んだらぜひボスのおそばに埋めていただけるよう…
ナヴィア:
ちょっと!急に何!?
マルシラック:
冗談ではありませんよ。そうすれば、お嬢様がボスの墓参りに来られた際、ついでに私も一目お会いできるわけですから。
シルヴァ:
いい考えだな。では私は、マルシラックの反対側に。
マルシラック:
お嬢様を除けば、私たちは旦那様の右腕と左腕に最もふさわしいと言えるでしょう?
シルヴァ:
そう言っても過言ではない。
ナヴィア:
あはははっ、何で急にそんなことを言い出すのよ!まったく…わかった、覚えておくから。
ナヴィア:
でもさっきの言い方は良くないからね?ついでってなによ。あんたたちはいつだって、あたしが自ら会いに行くに値する人物なんだから。
ナヴィア:
あたし、約束したのに…約束を破ることになるなんて…
ナヴィア:
……
ナヴィア:
ごめん、こんな姿を見せちゃって。あたし、いつもはあんまり泣かないの。ほんとよ…
パイモン:
オイラ、なんて言えばいいかわからないけど、おまえのその気持ちわかるぞ…
ナヴィア:
あたし、やりたいことは全部叶えられるってずっと思ってた。でも今思えば、それはあたしだけで成し遂げたんじゃない…多くのことは、みんながいたからこそ叶えられたの。
ナヴィア:
マルシラックとシルヴァはあたしをたくさん助けてくれてた。それなのに、結局こんな大事なときにあたしはなにもしてあげられないなんて…
ナヴィア:
…ごめんね。
パイモン:
ずっとここにいてもいいんだぞ。オイラたちは傍にいるからな。
旅人:
うん、みんなここにいる。
ナヴィア:
ありがと…今のあたしには…これで十分よ。
ナヴィア:
そうだ…これを渡しとくよ。ポワソン町の事故で亡くなった人のリスト…
パイモン:
…オーベルノー、カーネス、ベネッティ、ジヴェルニー…フランシーン、コリナ…デジレ、ジョインビレ…ジョリエンヌ…エソンヌ…そして…マルシラックとシルヴァ。
パイモン:
うぅ…あの災害の規模を考えたら…
ナヴィア:
大丈夫、あんたの言いたいことはわかってる。マルシラックとシルヴァのおかげで、被害状況をなんとか最小限に抑えられた。でもその代償に、二人を失ってしまった。
ナヴィア:
…結果からみれば、不幸中の幸いだというべきなのかも。
旅人:
犠牲になっていい人なんかいない。
パイモン:
そうだ!そんなこと考えたらだめだぞ。人が人を助けた、それは事実だけどさ。人が消えたことと戻ってこれたことは、一緒くたに考えられることじゃないんだぞ。
パイモン:
マルシラックとシルヴァは、誰かの命の「代償」じゃない。あいつらは英雄になったんだ!
ナヴィア:
うん…あんがとね、パイモン。
ナヴィア:
はー、今の台詞は響いたよ。あとで書き留めとく。
パイモン:
ん?えっ?ほんとか?
予想外の人物がここに現れた…
???:
しばらく見ないうちに、確かに口が少し達者になったようだ。
パイモン:
召使?なんでこんなとこにいるんだ?
ナヴィア:
こんにちは。順調に進んでる?
「召使」:
ああ。部下がナヴィア嬢の要求通りに任務を遂行している。現在ポワソン町の住民はみな救助され、高所に避難する準備をしているところだ。
「召使」:
物資の件もご心配なさらず。準備はできている。
ナヴィア:
本当にありがと。
パイモン:
あれ、二人は知り合いなのか?
「召使」:
知り合って間もない。というべきかな、お嬢様?
ナヴィア:
うーん、一般的には、偶然の出会いとでも言うのかしら?今回はそれに当てはまらない気もするけど…なにせ、ファデュイ執行官の「召使」が自らあたしのもとに来るとは思わなかったからね。
ナヴィア:
「召使」のおかげで、棘薔薇の会はファデュイの強力な支援を得た。だからこそ、いまみたいなスピードで避難や救助活動を進められているの。
「召使」:
互いに助け合うことは、良い関係を築く上で必然的なルールの一つだ。私たちは共にフォンテーヌで活動していることだし、この程度気にする必要はない。
「召使」:
いやしかし、ナヴィア嬢はご自身が語るよりよほど賢明なお方だ。そうだろう?
ナヴィア:
協力前の探り合いは不本意ながら必要なことよ、許してちょうだい。あたしたち棘薔薇の会は、これまでファデュイと深く関わったことがない。仲間を理解することは、あたしたちにとって非常に重要なの。
ナヴィア:
部下から、あちこちでファデュイの兵士たちが、交代で水面を観測したり数値の記録をつけていたことと、多くの防災物資も準備してくれたって報告が入ったとき…本当に驚いた。
「召使」:
ありのままを目にしたナヴィア嬢を前に、私が誇張する必要もあるまい。事実は見ての通りだ。強力な組織は善行であれ悪行であれ、行動力に差はないもの。
「召使」:
以前、こちらの旅人にも話したが、私は予言を知っており、いずれ訪れる災いを阻止しようとする意志がある。
「召使」:
棘薔薇の会に力を貸すことは、私たちファデュイにできることを実践する第一歩にすぎない。負担に感じることなく、この誠意を受け取ってほしい。それにいつの日か、私もナヴィア嬢に助けてもらうことになるかもしれないからね。
ナヴィア:
「召使」がいなければ、リストの死傷者はもっと増えていたと思う…ありがと、この恩は忘れない。
「召使」:
マルシラック殿とシルヴァ殿については、心より哀悼の意を表する。可能であれば、このような事態を避けるためにも、私の部下たちにはもっと早く駆けつけてもらいたかったのだが。
ナヴィア:
そう言わないで…責任を感じる必要なんてない、あんたもあんたの部下も全力を尽くしてくれた。
ナヴィア:
パイモンが言ったように、マルシラックとシルヴァは誰かの身代わりになることを選んだわけじゃない。二人は代償としての犠牲なんかじゃなく…自ら英雄になることを選択したのよ。
ナヴィア:
あたし、何かを崇高なものとして持ち上げたら、あたかも痛みがマシになるような…そういう言い方はあまり好きじゃなかった。でも、実際この瞬間になってみると、この言葉以上にしっくり来るものがないなんて。
「召使」:
そうだな。ナヴィア嬢、どうかあまり気を落とされぬよう。
「召使」:
フォンテーヌ人は水によって生かされ、そして水によって災いに見舞われる。人々がよく「予言は因果を表す」と言うのも理解できる。しかし残念ながら、私はこのような考えが好きではない。
ナヴィア:
あんたは状況を変えようとしている人、そうだよね?
「召使」:
まさしく。だから、今から私はブーフ·ド·エテの館に行かねばならない。まだ用がある上、子供たちの面倒を見る必要もある。
「召使」:
ああ、旅人、パイモン。もう一つ用があるんだ。
パイモン:
予想外の展開だな。また「送ってくれ」とか言って、話を切り出すもんだと思ってたぞ。
「召使」:
それも巧妙かつ便利な会話術だ。必要なときには使うが、今回は必要ない。ナヴィア嬢、下がらなくていい。
「召使」:
旅人。いずれ共に手を組む日が来るはずだと、以前話したのを覚えているだろう。
「召使」:
私も君も、原始胎海に問題があることははっきり分かっている。前回のメロピデ要塞のゲートといい、今回のポワソン町の水面上昇といい…どれもその合図だ。
旅人:
つまり、手を組む日が来たということ?
「召使」:
ああ、壁炉の家の情報網から得た最新の情報を一つ、教えてあげよう。
「召使」:
直近の調査で、子供がポワソン町の近くに遺跡を発見した。遺跡は古く、様々な観点から見ても考察する価値のあるものだ。
「召使」:
識別した年代からして、予言や災いと関連性があるかもしれない。緊急事態ということもあり、どんな情報でも非常に貴重だろう。
「召使」:
当初、私の部下がポワソン町に来たのは遺跡探索の準備をするためだった。まさかここで災いが起きているとは知らず、今は救助活動を最優先にしている。
ナヴィア:
そうだったんだ…
「召使」:
子供たちを連れて一緒に行こうとも思っていたが、リネ、リネット、フレミネはポワソン町の住民を受け入れるために高所へ派遣させた。
「召使」:
リネによれば、壁炉の家以外で、子供らが最も信頼する人物は君だということだ。
「召使」:
だから、この任務を君に依頼したい。
「召使」:
壁炉の家ではメンバーを互いに家族と呼んでいる。しかしリネ、リネット、フレミネの三人は、旅人とパイモンを壁炉の家出身ではなくとも、家族だと。
「召使」:
この強い絆については、私があえて言うまでもないだろう。
パイモン:
…ちょっと嬉しいぞ…
「召使」:
先ほど私が提供した情報の価値は高い。しかし、君は子供たちの家族なのだから、共有するのは当然のことだ。
パイモン:
わかった、遺跡に行ってくればいいんだな?オイラたちに任せろ!
ナヴィア:
ちょっといい?あたしも一緒に行っていいかな?
「召使」:
ナヴィア嬢がご同行を?
パイモン:
だめだだめだ!ナヴィアは今最悪な気分なんだろ?ちゃんと休めって!
ナヴィア:
最悪なのは間違いない。でも、道端の椅子に座ってぼーっとしているわけにもいかないじゃない。
ナヴィア:
災いが来た今、落ち込んでも意味がない。後継者として、パパの期待を裏切らない働きをする。
ナヴィア:
それに…これは自分のためでもある。何かして気を紛らわせないと…そうすれば、マルシラックとシルヴァのことを考えずに済むから。
旅人:
(…ナヴィアは強い。でも、誰かがそばにいてあげる必要がある。探索についてきてくれるなら、一緒にいてあげられる。)
「召使」:
そのように言うのであれば、私は反対しないが。旅人の意向は?
旅人:
ナヴィアと一緒に行動したい。
「召使」:
ならば、遺跡はポワソン町の南にある。これが地図だ。
パイモン:
よし!オイラたち三人に任せろ!ちょっと支度したら、すぐに出発しようぜ。
ヌヴィレットの目の前にいる「フォカロルス」と、あなたの目の前にいる「フリーナ」——どちらも同じ劇を演じている。最後の真相は、その劇の中に…
フォカロルスの意識の中で会話を完了する
ヌヴィレット:
君は…
フリーナ?:
ぷっ…ハハハっ…
フリーナ?:
…すまない、その驚愕の表情…すごく好きだよ。思わず吹き出してしまった。
ヌヴィレット:
君は…フリーナではないな。一体何者だ?
フォカロルス:
ああ——そんなに驚いてくれるってことはつまり、僕はキミたち全員を騙し通せたんだね。見れば分かるだろう?僕こそ魔神フォカロルスだよ?
ヌヴィレット:
魔神フォカロルスが…なぜ私たちを欺いた?
フォカロルス:
ああ、無論、僕の目的はキミたちを騙すことなんかじゃない。本当に騙そうとしているのは…
フォカロルス:
…「天理」さ。
ヌヴィレット:
「天理」を欺く…
フォカロルス:
あの予言のことだよ。面倒だろう?すべての人々は溶け、フォンテーヌは水に呑み込まれてしまう…
フォカロルス:
僕の前任水神…つまりエゲリアがこの予言を僕に託したとき、僕も思ったよ…これはさすがに難しすぎないかってね。
フォカロルス:
予言のあのシーンは必ず起こるって、分かってたくせにさ?
フォカロルス:
同時に、俗世の七執政である彼女にはもう一つ分かり切っていたことがあった。「天理」を…敵に回してはならないと。
フォカロルス:
こんなの、解決策なんてまったく存在しないじゃないか。キミだってそう思うだろ?
フォカロルス:
僕は一人で海底まで潜り、長い時間をかけて考え込んだ。周りの貝がぶくぶく泡になっちゃう頃にようやく、僕はその唯一の答えを見つけ出した。
フォカロルス:
「天理」を欺くことのみが、予言が起こると同時に、みんなを救える方法だとね。
フォカロルス:
うん、僕って本当に天才!これもまさに、エゲリアが僕を後継者として選んだ理由だろう。
フォカロルス:
そういえば、彼女はこの国を救う任務も、水神としての責務も、「人を創造した」ことの原罪も…何もかも一気に僕に押し付けたんだね。
フォカロルス:
はぁ…でもまあ、しょうがないさ。なんと言ったって、僕もかつては彼女の眷属——数多の純水精霊の一人だったんだからね。
ヌヴィレット:
つまり…君もかつてエゲリアによって、人間にされた純水精霊の一人だったと?
フォカロルス:
その通り。人間になることは、ずっと僕の夢だった。今だってなんの変わりもないさ。僕からすれば人間の存在そのものが、美しい歌劇のようなもの。
フォカロルス:
神になってから、僕は作られたばかりの「人」の自分だけを残して、己の「神格」を体と精神から分離した。
フォカロルス:
今こうしてキミと対話しているのは、その「神格」さ。それに対して人間の僕を、僕は「フリーナ」と名付けたんだ。
フォカロルス:
喜怒哀楽の感情を持つ彼女は、思い上がりたい時は思い上がって、逃げたい時は逃げる…
フォカロルス:
彼女の長所は、人間しか持たない長所——その短所も、人間ならではの短所だ。
フォカロルス:
僕の目に映るフリーナは、まさに完璧な「人間」だ。なぜなら彼女は本当の人間とまったく一緒で、それこそ僕の理想の「自分」だったからね。
フォカロルス:
その後、僕は彼女を呪った。
フォカロルス:
…「天理を欺く」計画を完成させるためにね。
ヌヴィレット:
……
フォカロルス:
覚えているだろう?予言の最後の、あのシーン——水神は自らの神座において、ひとりぼっちで涙を流す。
フォカロルス:
予言が実現した風に「見える」ように、僕はフリーナという役者を招き、予言の中の水神を「演じて」もらった。
フォカロルス:
呪いによって、「神格」である僕が存在する限り、フリーナは永遠に死ぬことはない。しかし同時に、人間が持つべき幸せを享受することもできないのさ。
フォカロルス:
例の予言が実現したと見せかけるため、彼女はこの歌劇場を舞台に、正真正銘のヒロインとなり…永遠に「神」の役を演じ続けるんだ。
フォカロルス:
さあ、もう理解できただろう?キミの法廷がなぜ「エピクレシス歌劇場」という名前なのかを。
ヌヴィレット:
…だが、あのフリーナは所詮人間のはず。
ヌヴィレット:
尽きぬ命があったとしても、精神の強さは人並みにすぎない。
ヌヴィレット:
彼女にとって…これはどれほどの苦痛だろうか。
フォカロルス:
そうだよ。フリーナは人間の「僕自身」とはいえ…機会があれば、僕はちゃんと「僕」に謝らないとね。
フォカロルス:
この五百年は、彼女にとっては…
フォカロルス:
…この上なく長く、この上なく孤独で、この上ない苦痛を伴う…「歌劇」だった。
フリーナの意識に入る
旅人:
(ここは…?俺はまだ歌劇場にいるの?いや、違う…)
旅人:
(さっきはフリーナの…涙に触れた?今までの経験からすると、涙は最も強烈な感情を含むものだから…)
旅人:
(水元素の感知力が十分に強ければ、ルキナの泉で純水精霊と意識を繋げられた、あの時みたいな状況になるはず…)
旅人:
(もしかしてここは…フリーナの心の世界とか?)
旅人:
(あれは…フリーナ?舞台で何をしてるんだろう…いや、よく考えたら、あれはフリーナじゃなくて、フリーナの「心」の表れだろうな。)
旅人:
(心と直接会話ができたら、欲しい情報も簡単に聞き出せるかもしれない。)
旅人:
(元々「答え」を探すためだったんだから、この機会を見逃すわけにはいかない。話しかけてみよう。)
フリーナと会話する
フリーナ:
おや、誰が舞台に上がっていいと言った?神フォカロルスとして、僕に対する崇拝は理解しよう。だが規則を破ってはならないんだぞ?
フリーナ:
よかろう、キミを罰するつもりはない。ゆえに、名乗る必要もない。さあ、下がりたまえ。僕の演劇を邪魔してはいけない。
もう見ないで、僕を見ないでくれ…
フリーナ:
フン、とんだ冗談だな。キミには感じられないのか?
一瞬だけでもいい。舞台を暗くして。スポットライトを消してくれ…
フリーナ:
僕は神フォカロルスだぞ。フォンテーヌの無数の目が、僕を見つめているじゃないか。僕はいつだって、最も優雅で高貴な振る舞いを披露しなければいけないんだ。
それで僕は…「自分」に戻れるんだ…
旅人:
(何だかおかしい…心の中でもなお「水神」を演じ続けてる。全然交流ができない…)
旅人:
(どんな決心なら、心の中と潜在意識までに、これほどの防壁を築きあげられるものだろう?)
旅人:
(何とか方法を考えないと…)
フリーナの公演を観る
旅人:
(これでスポットライトは全部閉じた。フリーナの心の中では、今のスポットライトたちこそが人々から注がれる視線だったんだろうな。)
旅人:
(そういえば、さっき何かのヒントをもらったような…もしかして、フリーナが心から発した本当の声…?)
旅人:
(あれ…?チケットが…?いつからここに落ちてたんだろう?)
旅人:
(何かの演劇が始まろうとしてるみたい。さあ、君の本心を見せてもらうよ、フリーナ。)
劇の第一幕を観る
第1幕 鏡の前 フリーナ
???:
フリーナ…フリーナ…?
フリーナ:
えっ?誰…?僕を呼ぶのは誰だい?どこにいるんだ?
鏡の中の人:
焦らないで、怖がらないで、僕はキミの目の前にいるよ。
フリーナ:
ちょ…っ、ちょっと待って、どういうことだい?キ…キミは鏡の中の僕?
鏡の中の人:
うん、その呼び方も悪くないね。では、これから僕は「鏡の中のキミ」だ。
フリーナ:
「鏡の中の僕」…キ、キミは僕に何か用?
鏡の中の人:
「予言」のことを…聞いた?
フリーナ:
予言?…あっ、待って。僕は知ってるみたいだ。何故かは分からないけど、それは僕の頭の中に存在しているかのようで…
フリーナ:
「人々はみな海の中に溶け、水神は自らの神座で涙を流す…そうして初めて…フォンテーヌ人の罪は洗い流される。」
鏡の中の人:
そう——その通りだよ!よく分かってるじゃないか。
フリーナ:
どういうことだ?僕の記憶は何もかも曖昧なのに、唯一この予言のことだけは、はっきりと覚えている…予言の内容は本当に起きることなのか?
鏡の中の人:
そうだよ。これも僕がキミを探しに来た理由だ。フォンテーヌの災いはいずれ訪れる。すべてが予言通りになってしまう。逃げたって無駄だよ。
フリーナ:
それってすごく大変なことなんじゃないか?みんな死ぬのか?フォンテーヌ人として…僕も、溶けてしまうのか?
鏡の中の人:
フフフ…心配しないで。この世に「奇遇」なんてものが存在しているのは、まさに人々に転機をもたらすためなのさ。キミが今日僕に出会えたことだって、まさにそうだよ。
鏡の中の人:
みんなを救う方法は、僕が教えてあげる。ただその代わり…キミはいくつもの苦難を乗り越える必要があるんだ…
フリーナ:
なんだ、救える望みがまだあるのか。本当にびっくりしたよ。キミがあんなに怖そうに言うからだよ。
フリーナ:
苦痛については…えっと…僕の頭に最初に浮かんだのは確かに、なぜ僕がそんな苦痛を味わわないといけないのかってことだった…
フリーナ:
けど、どうせ予言が本当に実現してしまったら、僕も死ぬんだろう?それに「奇遇」はこうして僕を訪れたわけだ。
フリーナ:
こういう天秤があると考えよう。片方はすべてのフォンテーヌ人の命で、もう片方は僕自身の苦痛。天秤がどっちに傾くかなんて、考える必要もないだろ?
鏡の中の人:
フフ…やっぱりキミは最も完璧な人間だ。僕の「理想」だよ。
鏡の中の人:
もしかしたら、それこそがキミの「正義」なのかもね?
フリーナ:
ん…?
鏡の中の人:
いや、何でもない。いいかい?フォンテーヌは今、水神を失ったばかりだ。キミには、新しい水神を演じてもらう。
フリーナ:
神を…演じる?
鏡の中の人:
ああ。ずっと…ずっと演じ続けるんだ。誰にも疑われてはならない。
鏡の中の人:
もしキミにそれができたなら、僕には予言に抗うすべがある…けど、万が一キミの身分がバレてしまうと、最後の希望もそのまま消えてしまうだろう。
フリーナ:
でも、そんなのどうやればいいっていうんだ?人の身分で神を演じて、まったくバレずにいるなんて…
鏡の中の人:
安心して。キミのやるべきことは、自分を本当の神の姿にすることじゃない。ただ、人間が想像するような神の姿になればいいだけさ。
鏡の中の人:
キミも人間だから、それがどのような姿かについては、よく知っているはずだ。
鏡の中の人:
覚えておくんだぞ。これからキミが直面するのは「神性」をどう模索するかということじゃなく、「人性」にどう抗うかということなんだ。
フリーナ:
えっと…まだ完全に理解できてないけど…僕、頑張ってみるよ。
フリーナ:
それで、僕はいつまで水神を演じ続けないといけないんだい?
鏡の中の人:
この任務をこなすために、キミは長い年月を歩むことになるかもしれない。終わりの日が訪れるまで、キミが年を取ることはない。
鏡の中の人:
しかし僕は約束しよう。ある盛大な、歌劇のような審判によって一切に終止符が打たれ——すべての人々は救われる。
フリーナ:
審判か…それは楽しみだね。すごくワクワクするよ。
劇の第二幕を観る
第2幕 就任演説 フリーナ
フリーナ:
(ふぅ…すでに枢律庭は、僕が水神を引き継ぐことを宣言したけど…こうして民衆の前に立つのは初めてだ…)
フリーナ:
(就任演説…どうやったら神に寄せられるんだろう。正直、全然わからないけど…とりあえず自然な感じで演じてみよう…)
フリーナ:
勇気を振り絞る
フリーナ:
コホンッ…えー、紳士淑女のみんな。ようこそ、今宵のエピクレシス歌劇場へ。
フリーナ:
僕が水神を引き継ぐことは、みんなもすでに知っていると思う。そう、この僕…フリーナ·ドゥ·フォンテーヌが、キミたちの新たな水神だ。
フリーナ:
誠意を込める
フリーナ:
一国家の新たな神になる——これまでそういった経験はなかったけど、みんなを導けることを光栄に思うよ。
フリーナ:
魔神フォカロルスとして、そして正義の神として、僕は出来る限り力を尽くして、みんなに公平で公正な時代をもたらしたいと思っている。
フリーナ:
礼儀正しく終わる
フリーナ:
改めて…ここまで足を運んでくれて、ありがとう。今後、疑問やアドバイスなどがあれば、枢律庭に提出してくれ。フォンテーヌの未来を築くには、みんなの協力が必要なんだ。
フリーナ:
(これで、いいかな…?)
フリーナ:
(噛むかと思ったけど…無事、思っていた通りに話せてよかった。次は…)
疑問を抱く観衆:
これが新しい水神…?枢律庭が私たちを誤魔化してるんじゃ…人間よりも上位なんだから、神様ってもっと威圧感があるのかと思ってたわ…
風刺する観衆:
おい、聞いたか。最後、俺たちに意見まで求めてたぞ。
失望する観衆:
神様って何でも出来るんだよな?何であんなに謙虚なんだよ…あれじゃ、一般人とどう違うんだ…?
疑う観衆:
もしかして…新しい水神なんて最初からいないんじゃないの。枢律庭が手配した操り人形だったりして?
フリーナ:
(な…っ!どういうことだい。どうしてみんな僕を疑うんだ?ま、まずいぞ…もしバレたら…みんなを予言から救えなくなる…)
フリーナ:
(そうだ…「鏡の中の僕」が言ってた…人間が思う神を演じればいいって…)
フリーナ:
(冷静になるんだ、フリーナ…人々が求める神、人々が思う神が一体どんなものか、ちゃんと考えろ…)
フリーナ:
(威圧感、存在感、すべての疑念を払拭してくれるようなイメージ…僕はそれを演じなきゃならない…)
フリーナ:
……
フリーナ:
ハ、ハハハッ…悪くない、我が民よ。それでこそ、このフリーナの統治に相応しい。
フリーナ:
僕は以前、こんな疑問を抱いたことがある——ある日、弱々しい操り人形がこの舞台に立ち、あまつさえ歌劇場の主であると主張したとして…それでもフォンテーヌの民は従うのか、と。
フリーナ:
しかしどうやら…フフッ、諸君はそれほどくだらない者たちではなかったようだ。キミたちには、この歌劇場で、僕と一緒に美しき審判を見届ける資格がある!
フリーナ:
先ほどの「パフォーマンス」は皆への手土産に過ぎない…歌劇場の雰囲気にぴったりだと思ったのだが、どうだい?
フリーナ:
ここより、改めて自己紹介をしよう!
気がつく観衆:
なるほど、さっきのは演技だったのか。道理で…。ここが歌劇場だってことをうっかり忘れてたよ…
頷く観衆:
新しい神様がこんなに個性的な方だなんて…かなりびっくりしたけど、さっきの弱々しいイメージよりはいいかな…
ほっとする観衆:
魅力も迫力もある神様で本当によかったですわ。この先、少しは安心できそうですもの…
フリーナ:
(人々の考えが変わってきたみたいだ。この感じで、最初から就任演説をやり直そう…)
フリーナ:
勇気を振り絞る
フリーナ:
意志を固める
フリーナ:
さて、我が愛しの民よ。僕を認める者たち、崇める者たち…そしてそうでない者たちも皆、正義への熱意を持ち続けてくれたまえ!
フリーナ:
この国の罪はもう洗い流せないと聞いたが——ちょうどいい。罪の中に咲く正義こそ、最も芳しい香りを放つのだから!
フリーナ:
誠意を込める
フリーナ:
(だめだ…それじゃまた疑われる。フォンテーヌの民が思う神を演じないと。)
フリーナ:
もっと大仰に語る
フリーナ:
正義の神の手にある天秤は、決して堅苦しいものであってはならない。一方に公平と公正を載せ、もう一方は歓声と喝采で満たすべきなのだ。
フリーナ:
法を祈りの言葉に、審判を礼拝にして、篝火を灯そうではないか。さあ、フォンテーヌの未来のために、杯の酒を飲み干そう!
フリーナ:
礼儀正しく終わる
フリーナ:
(だめだ…それじゃまた疑われる。フォンテーヌの民が思う神を演じないと。)
フリーナ:
心に響く言葉で締める
フリーナ:
我が民よ、キミたちが心から正義を信奉する限り…この世に審判で解決できぬ問題などない。
フリーナ:
このエピクレシス歌劇場でならば、この諭示裁定カーディナルの前でならば——僕、魔神フォカロルスは…この世の神々さえも審判してみせよう!
観客:
(盛大な拍手喝采——)
劇の第三幕を観る
第3幕 歌劇場 フリーナ
誰かの声:
フリーナ様、こちら本日審議される事件の報告書と、その後の処理結果でございます。お目通しくださいませ…
フリーナ:
はぁ、僕はいつも審判の場にいるじゃないか。そういう細かいことはヌヴィレットに任せるといい。
フリーナ:
それに、どれも「僕の期待している審判」じゃない…
誰かの声:
その…ご期待の審判とは、どのようなものなのですか?
フリーナ:
盛大で、劇のような…すべてを終わらせる美しい審判さ。…はぁ、言ったところでキミには分からないだろう。
誰かの声:
はい…及ばずながら、そのようなお考えを察する力はなく…
フリーナ:
別に恐縮する必要はないさ。僕の言ったことは気にせず、職務に戻るといい。僕が期待する審判は…いつか必ずやってくるんだからね。
公演を観る
誰かの声:
フリーナ様!こ、光栄です。謁見をお認めくださるなんて、何とお礼申し上げればいいか…!
フリーナ:
礼なんて必要ないさ。どうしてもと言うなら、僕に会えるまで気長に待ったキミ自身の根性に感謝するといい。
フリーナ:
フフフッ…どうやら神としての僕が放つ魅力は、時に皆を困らせてしまうらしいね。
フリーナ:
さて、ディオデーレだったね?息子さんの病気はどうだい?
誰かの声:
あっ…お、覚えてくださっていたなんて…!それに私の家のことまで…
誰かの声:
息子は大分よくなってきています。実を言うと、うちの子は私以上に忠実なあなた様の信徒で…謁見は、息子が強く勧めてきたことなんです。フリーナ様が何をおっしゃったか後で教えてくれと、そう言ってきかなくて…
フリーナ:
ハハッ…いいね、悪くない。今後はそういうことがあれば、事前に言うといい。たまには気分転換として、特別に民の家を回るというのも悪くない…
誰かの声:
あなたは…本当にお優しく英明な神様であらせられます。息子の代わりに、改めてお礼を申し上げます…
公演を観る
誰かの声:
フリーナ様、こちらが近頃の水文解析に関するご報告です。重点的に注目するようお命じになっていたパラメータについてですが…未だに楽観視できない値です。
フリーナ:
やはりか。こうなることは神として、とっくに知っていたさ。ただ、人間の知恵でどれほどの分析ができるものか、確かめてみたかったんだ。
フリーナ:
予言にあることは、必ず起こる——あらゆる予兆がそれを示している。まあいい、今のキミたちが心配するようなことではないよ。
誰かの声:
その…フォンテーヌ科学院が水面の上昇に対抗する方法を研究しているとの情報が入っております…
フリーナ:
本当かい?何か成果は?
誰かの声:
いえ、未だに実行可能な解決策はないようです。
フリーナ:
コホンッ…そうか。神の領域に触れることだ、無理もない。とはいえ、彼らのその精神は称賛に値する。
公演を観る
フリーナ:
(やっと一日が終わったか。水神を演じるのって、ひと時も気を緩められないな…)
フリーナ:
(でも幸い、だんだん「軌道」に乗ってきてる。疑いの声はもうない。)
フリーナ:
(これでいいのかもしれない。このままいけば、みんな助かる…)
フリーナ:
(ふぅ…もう考えるな。明日もこれは続くんだ…早く休もう。)
第4幕 歌劇場 フリーナ
誰かの声:
フリーナ様、こちら新たな事件の審判と、その後の処理に関するご報告でございます…
フリーナ:
いいよ、もう見たから。その場で見たものをもう一度説明する必要はないって言ってるだろ。
誰かの声:
フリーナ様!やっとお会いできました。この機会をどれほどお待ち申し上げたか…
フリーナ:
ああ、我が忠実なる民よ。今ここにある幸福は、キミと僕に属する栄光だ!
誰かの声:
フリーナ様、ポワソン町の付近で、明らかに異常な水文現象を観測しました…
フリーナ:
うむ、引き続き観測を続けてくれたまえ。科学院のほうについても、動きがあったら知らせるんだ。
フリーナ:
(ふぅ…今日は何もボロは出さなかったはずだ。民が一番安心できる姿を見せないと…)
フリーナ:
(でも、こんな日々はいつになったら終わるんだろう…)
フリーナ:
(精神的疲労がひどい…今日もさっさと休もう。)
第5幕 歌劇場 フリーナ
第6幕 歌劇場 フリーナ
第182375幕 歌劇場 フリーナ
誰かの声:
フリーナ様!こんなに近くでお話しできるなんて、本当に夢みたい…
誰かの声:
我々の一族で初めてこのような栄光を授かった者を辿ると、二十代ほども前のディオデーレ婦人まで遡るそうです。
フリーナ:
ハハハッ…それはいい、優秀な一族じゃないか。キミのように敬虔な信徒、もとい敬虔な信徒の子孫に会えるのは、僕にとっても最高に嬉しいことさ。
誰かの声:
そんな…!恐れ入ります、フリーナ様…
誰かの声:
あれ…フリーナ様?
フリーナ:
ん?どうしたんだい、我が忠実なる民よ…
誰かの声:
な、泣いておられるのですか…?
フリーナ:
なっ…あれっ?ハハハッ…何ということだろう。気付かなかったよ…
フリーナ:
はぁ…もしかすると、僕の中の水元素が満ち溢れてしまったせいかもね。まあ、僕は水元素を司る神だから、これも仕方ない。ハハハッ…
誰かの声:
な、なるほど…神であるフリーナ様のお力の表れだったのですね。それを直に拝見できるなんて、身に余る光栄です…
劇の終幕を観る
フリーナ:
……
フリーナ:
(終わりが見えない…すごく寂しい…一体いつまで耐えればいいんだ…)
フリーナ:
(もう何百年も経ったはずだ。もしかして、まだ何百年もこの劇を演じないといけないのか…)
フリーナ:
(この過程がこんなにも苦しいものだなんて、思いもしなかった…)
フリーナ:
(もう限界に達しているのだろうか…いや、限界なんかとっくの昔に来ていたんだろう。今日なんて、涙を流している自覚さえなかった…)
フリーナ:
(誰かに打ち明けたい。たとえ、一人だけでもいい…でもそれじゃ、全部無駄になってしまう。)
フリーナ:
(何百年もの間、色んな調査をした。だけど、予言を突破できる希望は何も見つからなかった…)
フリーナ:
(もはや、信じることしかできない…水神を演じ続けることだけが、フォンテーヌを救う唯一の方法なんだと。頼む…お願いだから、絶対に成功してくれ——「鏡の中の僕」。)
第182376幕 歌劇場 フリーナ、および…
旅人:
フリーナ…独りで無理する必要はないかもしれない…
旅人:
他に何を知ってるのかは分からないけど…君の民は、喜んでその荷を分かち合ってくれるはず。
旅人:
(これは…俺の声?じゃあ、これってまさか…フリーナと「巨大マジックボックス」の中にいたときの?)
旅人:
(よかった…あの時のことがフリーナの心の世界で再現されるなんて。これでやっと、あのときフリーナが言いたかったことが分かるはず。)
フリーナ:
分かち合うだなんて…
フリーナ:
そんなの無理だよ。最初から、僕は一人でこの責務を背負う運命にあるんだ…
旅人:
分かち合う必要がないとしても、せめて誰かに相談することはできるはず。
旅人:
俺は「見届ける者」だ。俺に相談すればいい…!
フリーナ:
「見届ける者」…そうか。キミはこの星海の外からテイワットに来たんだったね?つまりキミは、最初からここに属する者じゃない…
フリーナ:
もしテイワットのすべてが舞台上の劇だとすれば、キミは歌劇場にいるただの「観客」…そうだろう?
フリーナ:
或いは、キミになら…
フリーナ:
(旅人の言う通りだ。彼になら、打ち明けてもいいんじゃないか?)
フリーナ:
(でも…もしすべてが予想通りに行かなかったら…リスクを背負うのはフォンテーヌの民全員なんだぞ…)
フリーナ:
(だめだ、フリーナ、利己的になるな…)
フリーナ:
(……)
フリーナ:
(でも、もし本当に平気だったら?)
フリーナ:
(フリーナ、キミはもうこんなに頑張ってきたんだから…ちょっとくらい自分勝手になってもいいよね?)
フリーナ:
(別にそんなに酷いことをするわけじゃない…ただ単に、相応しい人に自分の悩みと苦痛を少し伝えるだけだ…大丈夫…だよね?)
フリーナ:
(この機会を逃したら、もう二度とないかもしれないよ…?)
フリーナ:
(いや、ちゃんと…もう少しちゃんと考えよう…)
フリーナ:
……
旅人:
……
フリーナ:
別に、何も言うことはないよ。僕は神、フリーナだ。すべてはうまくいく!
フリーナ:
キミは観客として、終幕までをしかと見届けるといい。
旅人:
……
旅人:
…ああ。
フォカロルスの意識の中で会話を完了する
ヌヴィレット:
つまり、フリーナでさえ真実は知らないと?計画の全貌を彼女には言っていないのか。
フォカロルス:
ああ。天理を騙すには、まず「己」を騙さなくちゃ。
フォカロルス:
彼女は——本当に大したものだった。この五百年、彼女の意志が少しでも揺らいでいたら、フォンテーヌは最悪の結末を辿っていただろうね。
フォカロルス:
「人間を信じる」…やっぱり正しい選択だった。
ヌヴィレット:
君が如何にして「天理を欺いた」かは分かった。だがこれは、真実の半分程度に過ぎないのだろう?
ヌヴィレット:
重要なのは…この状況で、どうやって予言からフォンテーヌ人を救うかだ。
フォカロルス:
うん、さすがフォンテーヌの最高審判官だ。実に明快なロジックだね。
フォカロルス:
キミもとうに気付いているはずだろう?——「諭示裁定カーディナル」がそんなに単純なモノじゃないってことに。
ヌヴィレット:
確かに、私は諭示機に自我が存在することを疑っていた。リネ君も、あれのコアがある部屋から「人の声」を聴いたことがあるらしい…
ヌヴィレット:
今にして思えば、君が自分の意識を諭示機に隠していたのだ…そうだな?
フォカロルス:
うんうん!外から見ればそうだよ~。僕はフォンテーヌの神の心を持ったまま、諭示機と「一つになった」んだ。
フォカロルス:
でも…キミの諭示機に対する理解は、まだちょっと浅いかもね。
フォカロルス:
実を言うと、諭示機は正義を執行するための機械なんかじゃないんだよ…その本当の役目は、正義の神を殺すことさ。
ヌヴィレット:
…なんだと?
フォカロルス:
あっ、いやいや、正確には…正義の神を神座もろとも破壊する機械——と言ったほうが正しいかな。
フォカロルス:
フフッ、僕は何も、フリーナが苦しんでいるのを見て、ただのうのうと楽しんでるだけの輩じゃないんだよ?
フォカロルス:
この五百年、僕の役目は…諭示機に律償混合エネルギーを蓄積し続けることだった。
フォカロルス:
もう気付いている人もいるみたいだけど、諭示機が生み出すエネルギーの中で、フォンテーヌの都市に使われているのはほんの一部だけさ。
フォカロルス:
残りのほとんどは、すべて蓄積されてきた…今日の、死刑執行のためにね。
ヌヴィレット:
今日の審判も死刑も、やはり君の計画の一部だったか…
フォカロルス:
五百年間、フォンテーヌの民が何千年も何万年も使えるほどのエネルギーを、諭示機に溜め続けてきた…
フォカロルス:
…そんな膨大なエネルギーをもってして初めて、天空の島が定めたルールを揺るがし、俗世の七執政の構造を壊し…水神の神座を破壊するための隙が生まれるんだ。
ヌヴィレット:
故に、諭示機が出した結論において、死刑に処されるのはフリーナでも、フォカロルスでもなく、「水神」というわけか…
ヌヴィレット:
水神の神座を壊す…私の思い違いでなければ、まさか君は…
フォカロルス:
もちろん、キミには元々属するはずだったものを返すつもりだけど?
フォカロルス:
言い換えれば、すべては「水神」の権能をこの星の水元素の龍に返すためなのさ。
ヌヴィレット:
だが…
フォカロルス:
なんだい?また悲しんでいるの?
フォカロルス:
「古龍の大権」を取り戻せるって言うのに、テイワットの水の龍王がそんな顔していいのかい?フフッ…
ヌヴィレット:
五百年前から、今の今まで…それほどのことをしてきたのは、すべて…「自らを犠牲にする」、それだけのためだったのか?
フォカロルス:
そんな風に考えたことはないよ。それどころか今は…天理を騙せたことにすっごく満足してるんだ。
ヌヴィレット:
……
フォカロルス:
「水龍——水龍——泣かないで——」
フォカロルス:
できることなら、僕が天理を審判したい。だって天理は、エゲリアとほとんど変わらない罪を犯したわけでしょ?
フォカロルス:
エゲリアが奪ったのは原始胎海の力、天理が奪ったのはキミたち古龍の力だ。
フォカロルス:
僕が正義の神だというのなら…僕はキミの力をキミに返す——それこそ正義を貫く、正義の名に恥じぬやり方さ。
フォカロルス:
正義と言えば、僕はこんな風に考えている。正義とは、人類の存在そのものを遡る過程だと——
フォカロルス:
原始胎海の力を奪ったのがフォンテーヌの「原初の罪」だというなら…
フォカロルス:
あらゆる行為の正誤は別として…フォンテーヌ人が人として生まれ、この世に存在する資格こそが、フォンテーヌの「原初の正義」だ。
フォカロルス:
言い換えれば、「存在」がエゲリアの正義だ…でも、僕にとっての正義は、「存続」なのさ。
フォカロルス:
予言を打ち破り、フォンテーヌの人々を生かすこと。今はそれこそが、すべてを超える正義であるべきなんだよ。
フォカロルス:
だけど今まで…僕も、すべてのフォンテーヌ人も、気が遠くなるほど長くこの「罪」を背負ってきた…
フォカロルス:
最高審判官、ヌヴィレット。元素龍のすべての力を取り戻した後…キミはどんな判決を僕たちに下すのかな?
ヌヴィレット:
当時…私をフォンテーヌ廷に招待し、最高審判官の地位につけたのも、今となって考えれば君のアイデアだったのだろう。
ヌヴィレット:
この立場の本当の意味を理解した…今になって、やっと。
ヌヴィレット:
元より私は、人間になど興味がなかった。だがこの五百年、人間と過ごしたことで、種族を超えて理解し合い、彼らの気持ちを感じられるようになった…
ヌヴィレット:
狡いな、フォカロルス。
ヌヴィレット:
今さら私が…有罪判決など下せないことを、君は知っているのだろう?
ヌヴィレットの最終判決
movie
フォカロルスの頭上にあるエネルギー体が強烈な光を放ち、回転が速くなっていく。
フォカロルスは白い舞台の真ん中で、ヌヴィレットに別れを告げた。
彼女は歌を口ずさみ、ゆっくりと踊る——小さくジャンプし、回りながら。
もう一つの空間では、あなたは観客席に座り、フリーナが舞台で同じ踊りをしているのを見つめている。
最後にフォカロルスは、お決まりのカーテンコールのお辞儀をする。
頭上のエネルギー体が回転をやめ、振り下ろされた。
強烈な水元素エネルギーが爆発し、ヌヴィレットの体に凝縮する。
フリーナは椅子に座っており、目からは光が消えていた。そんな彼女の前に一筋の光が差し込み、フリーナの目にそれらの光が映る。それはフォカロルスが残す最後の言葉。
歌劇場の上空から今までにないほどの激しい雨が降る。
ヌヴィレットは空中から、人々を見下ろした。
最高審判官として、彼はフォンテーヌ人の罪を赦すことを宣言する。
ヌヴィレットの決断
ヌヴィレット:
……
ナヴィア:
今、何が起こったの?まさか「死刑」の執行が終わったの?
リネ:
この激しい光は、何かの目くらましかい?何だか今、とんでもないことが起こったような気がするよ。
リネット:
みんな無事で、海にも溶けてないんだから、きっといいことかも。
ヌヴィレット:
そろそろ終わりにしよう。あの鯨を誅伐する。
パイモン:
えっ?でも、あの鯨は倒せないって言ってたよな?
ヌヴィレット:
すでに鯨に対処する力を得た。ある方法でなら、私はこの星の原始胎海の力を、鯨の体内から剥離させられる。
ヌヴィレット:
今こそ、追撃の時。
ヌヴィレット:
旅人。諭示機の機能が失われた今、正義を執行するために、「処刑人」が必要だ。
旅人:
お、俺…?
ヌヴィレット:
フォンテーヌの全ての災いの元凶——予言を具現化した凶獣。その名も「呑星の鯨」…
ヌヴィレット:
…さあ、私について来てくれ。処刑の時間だ。
「呑星の鯨」を倒す
movie
あなたは呑星の鯨と死闘を繰り広げた末に、鯨の腹の中から飛び出る。ヌヴィレットは空中からあなたのそばに着陸した。そして力を溜め、鯨に最後の一撃を与えようとする。
次の瞬間、謎の力が鯨を包み込み、その力によって鯨は縮小し続ける——最後には謎の女性の手のひらに収まった。
謎の女性は小さくなった鯨を片手で持ち、もう片手で昏睡状態の「公子」を掴んでいる。そしてある空間を開き、呑星の鯨と「公子」を投げ込んだ。
何事もなかったかのように、あなたとヌヴィレットに振り返る。
スカークと会話する
???:
「後片付け」、感謝する。本来は私の仕事なのだがな。
???:
ただ籠って修行をしていただけだというのに、よもや弟子と師匠のペットが戦い始めてしまうとは。
???:
予想はしていたが…少し早かったな。まったくの誤算だ。帰ったら罰として、素振りを三百万回やらねば。
ヌヴィレット:
さっきの力…何者だ?
パイモン:
えっと…たぶん…今言ってた内容からして、タルタリヤの師匠…スカークなんじゃないか?
パイモン:
こないだ、タルタリヤは「口数が少ない人だった」って言ってたような気がするけど…
スカーク:
弱者と話すことなどないだけだ。お前たちは「世界の外の力」に頼らず、呑星の鯨に勝った…
スカーク:
故にお前たちには、私と平等に話をする資格がある。
スカーク:
その考えには賛成だ。星の胎海で呑星の鯨のようなペットを飼うなど、どう考えても妙だしな。
スカーク:
力の差が激しいし、触れ合いだってしにくい。それに食欲が旺盛過ぎて、弟子の時間を犠牲にして見張る必要さえあると来た…ただまあ、観賞性は確かに悪くない。
スカーク:
何にせよ、ペットとして合格だとはとても言えんな。
パイモン:
…えっと、スカークさん…?たぶんだけど、大事なところはそこじゃないと思うぞ。
スカーク:
大事なところ?
パイモン:
おう、大事なのは、その「ペット」が危うく国を滅ぼしかけたってところだ…
パイモン:
おまえの師匠、つまりタルタリヤの師匠の師匠って…一体誰なんだ?
スカーク:
知らなかったのか…すまない。彼を知っている前提で話をしてしまっていた。
スカーク:
師匠はスルトロッチという。
旅人:
誰?
パイモン:
ん?
ヌヴィレット:
聞いたことのない名前だ。
スカーク:
…師匠の知名度が足りなかったか。ふむ…「極悪騎」という称号を聞いたことはないか?
ヌヴィレット:
「極悪騎」…
スカーク:
それも聞いたことがないのか?なら「予言者」ヴェズルフェルニルは?「黄金」レインドットならどうだ?
パイモン:
レインドット!知ってるぞ。魔女会のメンバーで、アルベドのお母さんだよな?
スカーク:
ほう、その名は知っていたか。今挙げた称号と名は、師匠から聞いたものでな。私も実際に知っているわけじゃない。
スカーク:
だがこれで、お前たちもより理解しやすくなったはずだ。私の師匠もレインドットと同じ類の者と言える。「ある種の究極を求める」者だ。
パイモン:
ちょっと待てよ、さっき「予言者」とか言ってなかったか…?オイラの聞き間違いか…?
スカーク:
それより、一刻も早くお前たちに伝えなくてはならないことがある…
スカーク:
先ほど呑星の鯨がお前たちと戦っていたとき、すべての力を使い果たしたようでな。
スカーク:
このように荒れ狂う水元素力は、この星の深海では消化が難しいのだ。
スカーク:
理論上から言えば、フォンテーヌの陸上はすでに大混乱に陥っているはずだ。
スカーク:
つまり、お前たちがずっと恐れていた「予言」は、すでに上演真っただ中…ということだ。
パイモン:
なんだって!?
旅人:
(だってこれは当然のこと。予言が実現することは、とっくに知ってた…それに、もう受け入れた。)
旅人:
(でも…)
ヌヴィレット:
心配はいらない。フォカロルスはすでに…「天理」を騙しているのだから。
フォンテーヌの結末
movie
フリーナは一人で涙を流す。水面が彼女の足元にまで及ぶ。
フォンテーヌの街の殆どが水に浸かり、辺りは静寂に包まれた。
突然、水面に浮かんでくる人がいた。激しく呼吸をし始めた彼を、船を漕いできたナヴィアが引きあげる。
遠くではリオセスリの「ウィンガレット号」が水底から現れ、直ちに救援を開始するよう船員に命令を下す。
水中で、リネットとリネ、フレミネが人を助けている。
すると、水面が下がり始めたことに誰かが気付いた。街中から水が引いていき、人々は、自分たちが水に溶けていないことを喜び、予言は嘘だったと歓声をあげる。
フリーナは歌劇場から一歩ずつ外に向かう。災いの直後、「生」を楽しむ人々を見ながら、彼女は何が起こっているのか分からない様子だ。
そのとき、黒雲が散り、太陽の光が燦々と降り注ぐ。まるで、何事もなかったかのように…
フォンテーヌの災難がやっと一段落した。しかし、どんな事が起きても、新聞社が手を止めることはない。つまり今のフォンテーヌにおいて、スチームバード新聞の執筆速度は、人々が真実を知る速度と言えよう。
シャルロットと会話する
パイモン:
《新たな豊穣の地へ~棘薔薇の会、災難後の再建について語る~》——先日、記者はポワソン町を訪れ、『棘薔薇の会』のナヴィア氏とポワソン町の現状と未来について話した。
パイモン:
「古い土にも新しい花は咲くでしょ?」——ナヴィア氏はそう語る。「人々にとっての希望っていうのは、夜中に小腹が空いたときに見かけるクッキーと同じで、少しあればいいの。」
パイモン:
《飛行船ウィンガレット号!フォンテーヌ科学院の災いか、はたまた幸運か?》
パイモン:
——エドウィン氏にまつわる争議は数多あったが、結果としてそれらの争議はフォンテーヌ科学院を覆うバリアとなった。一方、ジュリエ氏は隠されし神秘の宝玉であった。
パイモン:
人々は一番初めの研究者を狂人と呼ぶが、二人目のことはどう呼ぶのだろうか。たとえ二人目が奇跡を成し遂げたとしても、その者自身とチームをまとめて指す言葉を見つけるのは難しい…
パイモン:
わぁ、報道されてるのって、本当にジュリエとナヴィアなのか?なんだか大物みたいに書かれてるぞ…
シャルロット:
どう?どれもけっこう目を引くでしょ?スチームバード新聞の考えは至ってシンプルよ。災いが過ぎて間もない今、無料の上に良い知らせがびっしり書かれた特集で、人々の心を癒すの。
シャルロット:
これらのビッグニュースの価値は、常に続きがあること。続報では、背後のストーリーに深く踏み込むの。
シャルロット:
エドウィンの助手ジュリエは、本物の飛行船を作った。棘薔薇の会のナヴィアは、人々を率いて故郷を再建しようとしてる…見識の広い君たちですら、目を引かれるものばかりでしょ?
旅人:
確かに続報が気になる…
パイモン:
オイラも気になるって一瞬思ったけど…よく考えたら、どれもきっかけはオイラたちの身の回りで起こったことだったんだよな?だったら、これ以上気になることなんてないぞ!
シャルロット:
だからこそ、一緒に取材に来てほしいの。分かる?君たちは最高のニュース提供者なんだから!それに君たちがいれば、あの公爵にだって絶対に会えるわ!
パイモン:
本当か?もう沢山取材を断られてるんじゃなかったのかよ?
シャルロット:
今度こそ大丈夫よ、行きましょ!まずはポワソン町。それからメロピデ要塞に行くわ。現場に着いてからじゃないと分からないことだってあるのよ。
ナヴィアと会話する
シャルロット:
ナヴィア!
ナヴィア:
あれ、あんたたち。みんな揃ってどうしたの?
パイモン:
おう!散歩がてら寄ってみたんだ!
シャルロット:
そろそろ手持ちの情報を更新しなきゃと思って、君たちの様子を見に来たってわけ。あれ?ファデュイの方もいるのね。
ナヴィア:
あ、紹介するね。こちらはグルント·スネージヴィッチ。「召使」の代理として、棘薔薇の会の業務を支援するための物資を色々と持ってきてくれたの。
ナヴィア:
地元のみんなも精一杯頑張ってくれてるし、お陰様で今のところは順調なほうかな。多くの人を失ったけど、それでもあたしたちは前に進み続けてる。それで十分だと思う。
グルント·スネージヴィッチ:
シャルロットさん、初めまして。お名前はかねがね。昨年の、フォンテーヌの野良猫に関する記事はとても興味深く拝読しましたよ。
グルント·スネージヴィッチ:
ただ、できれば大々的な報道はお控えいただけないでしょうか。これは別に善意によるものではなく、棘薔薇の会と利益が一致しているから行っているに過ぎないのです。
シャルロット:
よく分かりました。ご懸念は理解できますので、できるだけ軽く触れるに留めますね。あるいは…「優しい隣人」という呼び方はいかがでしょう?
グルント·スネージヴィッチ:
悪くないですね。お心遣い、感謝いたします。
ナヴィア:
あっ!お帰り。そっちはどうだった?
クロリンデ:
建材の準備は済んだ。工事の人たちは一時間後に到着することになっている。
パイモン:
あれ?クロリンデじゃないか。来る暇なんかあったのか?
ナヴィア:
実は最近、例のフリーナ様との決闘騒ぎで超有名になっちゃったから、ポワソン町まで逃げて来たの…なーんてね。うそうそ。お手伝いに来てくれたのよ。
クロリンデ:
ポワソン町を再建するために、やらねばならないことは山ほどある。棘薔薇の会にはもっと決断できる人材が必要だし、お父上のカーレスさんとは…少なからず関わりがあったから。
シャルロット:
しばしお時間を!せっかくですので、ちょっとお伺いできませんか?決闘前の心境や、神を前にした際の姿勢について…
クロリンデ:
それはよしてくれ、シャルロット。もっといい取材テーマが見つけられるだろう。
シャルロット:
相変わらずですね…ここはひとつ、ナヴィアの顔に免じて、いかがでしょう?
ナヴィア:
なんなら、あたしの写真をたっぷり撮ってけば?彼女を説得する手間も省けるし。それか、旅人の写真でもいいんじゃない?
シャルロット:
もちろん彼だって逃しやしないわよ。では、写真撮影に参加してくださる方は近寄ってください。はい、チーズ!
パイモン:
どうだ?いい感じに撮れたか?オイラちゃんと可愛いか?
シャルロット:
悪くないわよ。構図的に、君はまるで魚たちの頭のそばにふわふわ浮かぶ雲みたいね…うん、ちょっと待ってて、もう何枚か撮らせてもらうわ。
シャッター音がひとしきりに鳴り響き、シャルロットは瞬く間にポワソン町の撮影をした。そして、素早く住民へのインタビューを終えた。
シャルロット:
よし、こんなもんで十分かな。また来られるし、今日はこの辺にしとこう。
クロリンデ:
行動が素早いな。
シャルロット:
スピードこそニュースの命だもの。フレッシュさが肝心よ。
シャルロット:
それに、人の懐に入ってコネクションをつくるのも私の得意分野だから、そのうちクロリンデさんをインタビューにお招きできるかも。
ナヴィア:
あんたって本当に打たれ強いね。頭が下がるよ。
クロリンデ:
恐らく、メロピデ要塞が彼女の取材を受け入れたのも、そういった方法で説得されたからだろう。
旅人:
彼女がどこに行くか、知ってたの?
シャルロット:
わお!お耳が早いわね!私がシグウィンさんに尋ねた後、シグウィンさんからヌヴィレット様に伝わって、さらにヌヴィレット様がクロリンデさんに伝えた。そうでしょ?
グルント·スネージヴィッチ:
綺麗に情報が連鎖していますね。
クロリンデ:
ヌヴィレット様はただ私に、メロピデ要塞はいつからメディアに対してそんなに友好的になったのかとお聞きになっただけだ。
クロリンデ:
ヌヴィレット様の質問に対し、私は、公爵が自ら出向くとは限らないから、友好的になったとは言えない、そう申し上げたんだ。
シャルロット:
その通り。彼らにインタビューできる時間は一分たりとも無駄にできないわ。善は急げって言うし、私たちはお先に失礼させてもらうわね。
ナヴィア:
じゃ、気を付けて。何か面白いニュースでもあったら、また帰ってきて聞かせてよね。お礼に美味しいアフタヌーンティーでもてなすから。
リオセスリと会話する
パイモン:
わあ…また来られたな。なんだか懐かしい感じがするぜ!
リオセスリ:
あんたらにとっても、ここは忘れられない場所らしいな。
パイモン:
公爵!入口まで出てきてるなんて…へへっ、オイラたちを迎えに来てくれたのか?
リオセスリ:
ああ。あんたら二人と、看護師長が紹介してくれたシャルロットさんをお迎えに来たんだ。
シャルロット:
フォンテーヌの噂に聞くばかりの、あの公爵様にやっとお目に掛かれるなんて。メロピデ要塞を訪問してのインタビューを受け入れてくださって、本当にありがとうございます。
リオセスリ:
どういたしまして。ただし、インタビューの主な対象は俺じゃない。交わした約束を覚えているかい?
シャルロット:
あっ、それはもちろんです!
リオセスリ:
さあ、こちらへ。
ジュリエ:
……
ルールヴィ:
……
シャルロット:
えーっと、写真撮影は終わりましたから、そんなに緊張しなくていいですよ。
ルールヴィ:
シャルロットさん、今の写真が…本当にスチームバード新聞の一面に載るのですか?
リオセスリ:
あるいは…ルールヴィさんはジュリエくんと並んで新聞に載せられるのが嫌なのかも。
ジュリエ:
そんなわけがないでしょう!
リオセスリ:
ほう?そうやってきっぱり否定する様子から見ると、今回のインタビューにはかなり期待してるのかい?
ジュリエ:
違います!ぼ、僕はただ…インタビューなんて初めてですから…わざわざ僕にインタビューしに来てくれたスチームバード新聞にありがたい気持ちで…
シャルロット:
ふふっ、そうは見えないかもしれませんが、私はエドウィンさんにも一度お会いしたことがあるんですよ。でもここだけの話、あなたとお喋りするほうが私は好きです。あなたは彼よりもさらに素晴らしい天賦の才をお持ちでいらっしゃると思います。
シャルロット:
奇跡を運ぶ船舶、世の人を救う方舟——!あなたはまさに伝説に出てくる使者のように、神話を再現なさったんですから!
シャルロット:
ですが、その空飛ぶ船は…今どこにあるんでしょうか?
パイモン:
へへっ、シャルロットのやつ、またスクープを狙ってるな…
リオセスリ:
大変申し訳ないが、あの船は今、工場の奥にあるんだ。撮影のご案内はちょっと難しそうだな。
シャルロット:
そうなのですか?では、その穴埋めと言ってはなんですが、あなたにインタビューしても?
旅人:
(隙あらば攻める…これが記者の凄技…)
リオセスリ:
答えはあんたもよくご存じだろう?俺なんかより、看護師長をインタビューするか、或いはこちらの天才研究員コンビの写真をもっと撮ったほうがいい。
ルールヴィ:
どうしてコンビの写真って強調なさるんですか!?
シャルロット:
ではでは、一人ずつ二回撮らせていただくということで。
ジュリエ:
僕の髪がおかしくないか、ちょっと見てくれないか…
パイモン:
メロピデ要塞にもこんなに賑やかな日があるなんてな…って、待てよ。よく考えてみたら、前にも賑やかな時があったよな。
シグウィン:
あらら、みんな揃って。ねえ、ウチが作った新しい飲み物を飲んでみない?
リオセスリ:
おっ、看護師長…
ルールヴィ:
え、えっと——あの、シャルロットさん!どうぞメロピデ要塞の看護師長の素敵な写真も撮って差しあげてください!
シャルロット:
え?ああっ、もちろん!シグウィンさん、私についてきていただけますか。人が少なくて明るい場所がいいので…
シグウィン:
うん?わ、分かった。写真を撮る時は笑ったほうがいいの?
パイモン:
それで、ここ最近メロピデ要塞はどうだったんだよ?
リオセスリ:
見ての通り、相変わらずさ。フォンテーヌで起きた変動は、ここにまでは大した影響を与えなかった。
ジュリエ:
あの空飛ぶ船以外は、ですけどね。あれは目立ちすぎるので…みんなが気になってるみたいで…
リオセスリ:
インタビューを受け入れたのも、そのためさ。舞台裏の英雄にこそ、世論のスポットライトは当てられるべきだ。そう思わないかい、ジュリエくん、ルールヴィさん?
ルールヴィ:
身に余るお言葉です。公爵も適度に表に出られたほうがいいと思いますが、あなたはそれを嫌がりますから。
リオセスリ:
スポットライトはやっぱりあんたらと、この二人の功労者に譲るよ。
しばらく、リオセスリと共に歩きながら、地上の情報を共有した…
リオセスリ:
なるほど。あの日、それだけの事が起きていたのか。あの執行官についてだが…あんたらも覚えてるだろう?彼の三人の子分が未だにやつの帰りを待っている。
パイモン:
ホ、ホントに一途だな…
リオセスリ:
彼らにはいい知らせと悪い知らせがあると伝えよう。いい知らせは、彼らの「兄貴」がさほど多くの危険には遭遇していなかったこと。そして悪い知らせは、脱獄の手助けをしたってことなら、刑期が伸びるってことだな。
パイモン:
それで、おまえの方はどうだ?変わりはないのか?
リオセスリ:
変わりようがないだろう?メロピデ要塞はこれからも同じように稼働し続けるだろうし、ここにいる俺の責任も変わりはしないさ。
リオセスリ:
フリーナ様が去ったことが何を意味するのか、果たしてフォンテーヌの制度はこれから変わるのか…そういった問題は水の上の人たちに悩んでもらおう。
シャルロット:
皆さーん!こちらの撮影は終わりました!
リオセスリ:
よし、じゃあ今日のインタビューはこれでお開きにしよう。
シャルロット:
ご協力、どうもありがとうございました。旅人、帰りましょう。またお邪魔させてもらいますね!
リオセスリ:
また?
シャルロット:
ええ、もしかしたら水中工場の記事を書くことになるかもしれませんので。その時はまた、よろしくお願いします!
ロマリタイムハーバーの港口に行く
シャルロット:
よし、最後の目的地は、埠頭よっ!
リネたちと会話する
パイモン:
あっ!あいつら…ホントにあそこにいるぞ!おまえ、なんでわかったんだ?
シャルロット:
ナヴィアが教えてくれたの。リネさんたちとは手を組んだとき以来、連絡を取り続けてるらしいわ。で、最近あの子たちは埠頭のあたりで不思議な「ポケット」を配ってるって。
リネ:
旅人、パイモン…それにシャルロットさん。
リネット:
マジックポケットはいかが?
シャルロット:
それって何かすごいものなの?
リネット:
物を運ぶ時に使える便利な「ポケット」。海水の水位は戻ったけど、まだ至るところの水たまりに物が浮かんでる。このポケットを使えば運ぶことができるし、お友達に運んでもらうこともできるから。
シャルロット:
友達に運んでもらうって、一体…
リネット:
フレミネみたいな友達がいれば、力を貸してもらえる。そうでしょ、フレミネ?
フレミネ:
友達を作るのを手伝ってくれるって、こういうことだったのか…
シャルロット:
なかなかいいアイデアね。もしよかったら、連絡先を教えてもらえる?
フレミネ:
あ…分かった。ぼくの…住所を教える…
パイモン:
リネット、フレミネに人と交流してもらうために頑張ってるんだな…
リネット:
フレミネのほうから、もっと友達を作って人と交流したいって言い出したのよ。それに、マジックショーのアシスタントもやってみたいって。
旅人:
似合いそう。
リネ:
ああ、まずはショーのアシスタントとしてペールスにも出てもらって、その後フレミネにも加わってもらおうと思ってるんだ。今後、水中脱出は大方フレミネに任せられそうかな。
リネット:
潜水士の水中脱出を見たいと思う人はいるかしら。
リネ:
ま、きっとうまくいくさ。何事もまずは初めの一歩から。そのうち、フレミネも僕たちのマジックショーの一員になるだろう。
フレミネ:
リネット、ちょっといい?シャルロットさんがぼくたちの写真を撮ってくれるって…
リネット:
今行く。
リネ:
シャルロットさんは本当によく気が付く人だね。僕が話したいことがあるのを読んで、場を用意してくれるなんて、ははっ。それで…旅人、最近どうだい?
旅人:
そこそこ元気にしてるよ。
リネ:
「お父様」から聞いたけど、ここ最近、君たちには大いに世話になったそうだね。君たちがフォンテーヌのために力を貸してくれたことに、感謝してたよ。
パイモン:
大したことじゃないぜ。フォンテーヌにはオイラたちの知り合いもいっぱいいるしな。そういえば、「召使」は今どうしてるんだ?
リネ:
ああ、まだ知らなかったんだね?実は…
リネ:
そう…フリーナ様が去った後、「お父様」とヌヴィレットさんとの間で話し合いが行われてね。結局、フォンテーヌの神の心は「外交的贈与」として「お父様」に授けられたんだ。
パイモン:
「外交的贈与」?神の心を「召使」にあげたってことか?
リネ:
ああ。僕も最初はすごく驚いたけど、よく考えてみたら然るべき理由が色々あるってことに気づいたのさ。例えば…
リネ:
例の「公子」様の一件で、誤った判決を下したことへのお詫び、それから「公子」様が原始胎海の中で呑星の鯨を阻止してくれたことへのお礼…
リネ:
それだけじゃなくて、以前から「お父様」はフォンテーヌの機関やポワソン町のことを色々と手伝ってたからね。
パイモン:
それにしたって、いくらなんでも…だって、神の心なんだぞ?なんだか、軽く扱い過ぎじゃないか?
リネ:
それもそうかもね。ただ…ヌヴィレットさんはこの件に対して明らかな態度の変化があったって噂だよ…
パイモン:
えっ?じゃあ、あいつしか知らない理由でもあるのか…?
リネ:
さあ、それはご本人に聞いてみるしかなさそうだね。あ、前にメロピデ要塞の入り口付近で散歩中のヌヴィレットさんを見かけたよ。
パイモン:
あいつって、すごく忙しいんじゃないのか?そんな暇があるなんて意外だな。
パイモン:
でも、神の心は「召使」にやったんだろ?じゃ、タルタリヤはどうなるんだ?
リネ:
聞いた話だけど、「公子」様は既にスネージナヤに戻って療養してるそうだ。前回の災いが起こった時、彼は生死の境を彷徨ってたからね。
旅人:
今は「戦友」とも言える。
パイモン:
そうそう。今までファデュイとの間じゃ、いざこざがたくさんあったけど…まさか今回はファデュイと味方になるなんてな…
???:
立場が変わっただけのこと。それほど驚くことがあるかな?
パイモン:
うわぁ!だ、誰だ!
リネ:
「お父様」!
「召使」:
子供たちの様子を見に埠頭に来たんだが、旅人にも会えるとは。フォンテーヌでの私の成果についてはあまり気にしないでくれたまえ。それは必然の結果とも言えるのだから。
パイモン:
その…おまえは神の心をスネージナヤに持ち帰るのか?
「召使」:
これは元より我々執行官の責務だ。
「召使」:
立場にこだわる必要などない。ファデュイが目指すゴールは、ある場所や個人ではなく、この世そのもの。これほど壮大なゴールを掲げる我々としては、複数の顔を持たないことのほうが難しいだろう。
「召使」:
そしてまさにこの私も、様々な顔を見せ続けてきた。
旅人:
これからもその立場を貫くの?
「召使」:
それは未来の多種多様な可能性によって決まる。私は、誰かに長いスパンでの「約束」を言い渡されたとしても信頼しないし、自らもそんな約束はしない。一時に留まるのみの真摯さは、本当の真摯さとは言えないからね。
「召使」:
また次に手を取り合える日を楽しみにしていよう。善行は一人では成し遂げられないからね。それに、君たちは実に優秀な協力者だった。
旅人:
あ、そうだ、これを渡してもらえないかな?
「召使」:
神の目?…ふふっ、了解した。「公子」のため、大切に預かってくれていたんだね。ありがとう。
シャルロット:
こっちは終わっ…きゃっ!ま…まさか…
「召使」:
こんにちは、記者のお嬢さん。
シャルロット:
えっと…こ…こんにちは。私の記憶が間違ってなければ、あなたのお写真を撮らせていただくためには、たしか外務省に届ける必要がありますよね…
「召使」:
仰る通り、残念ながら君の取材には応じることができない。代わりと言っては何だが、この子たちの魔術師としての——そして未来の新星魔術師としての一面をたっぷり書いていただければ嬉しい限りだ。
シャルロット:
はい、お任せください!
「召使」:
実に気持ちいい海風だ。天気がいいうちに、散歩の続きでもするとしよう。では、失礼する。
リネ:
「お父様」、それではまた。
シャルロット:
…あの方、すごい威圧感だったね…シャッターを押す勇気すら出なかった…まあ、幸い取材はほぼ終わったし、これだけの材料があれば記事を書くには十分かな。本当にありがとうね。
リネ:
そう硬くならないで。そうだ、お別れの前にマジックポケットを貰ってくれるかな?旅人とパイモンも一つずつどうぞ。
パイモン:
物を運ぶためのポケットだっけか?
リネ:
そうだよ。たしか君たちに初めて会った時も、僕たちはマジックポケットを配ってたね。そして今偶然にも、同じことをやってる…色んな事が起きたけど、ポケットはあの時とまったく変わっていない——
リネ:
これこそが「人生」ってやつなのかな?人生の道で遭遇するすべての出会いは、縁に導かれた結果なんだね。
リネ:
よし、また他のエリアでもポケットを配らないとだから、お先に失礼するね。旅人、パイモン、いい一日を。
ヌヴィレットと会話する
パイモン:
ヌヴィレット、やっぱりここにいたんだな!おまえがこんな時間に暇してるなんて珍しいな。
ヌヴィレット:
やっぱり…?ああ、君たちはリネ君に会ってきたのか。そういえば前に、彼がここを通りかかって、挨拶してくれた。
ヌヴィレット:
ちょうどよかった——君たちに説明が間に合わなかった部分について、きちんと答えると約束していただろう。いいタイミングを探っていたところだ。
パイモン:
覚えてくれてたのか。事後処理で忙しいはずなのに、オイラたちにまで気を回してくれてたなんて。
パイモン:
じゃあ早速だけど、フォンテーヌが一体どうやって救われたのか、教えてくれよ。オイラにとっちゃ、未だに謎だらけだぞ。
ヌヴィレット:
……
ヌヴィレット:
…ふむ、多くの物事は語ろうとすると、却って戸惑いを感じてしまうものだな。
ヌヴィレットは軽くため息をついた後、あの日、彼の目に映った「事の真相」を語り始めた——
「フォカロルスは天理を欺き抜き、フリーナの長きにわたる演出によってフォンテーヌを救ったのだ。」
パイモン:
ふうん…それが事の真相なのか?
旅人:
俺もフリーナの部分しか知らない。
パイモン:
フォカロルスが水神の神座を壊したことで、力を返してもらったおまえが完全な状態の水元素の龍王になった…
パイモン:
でも、まだ謎が残ってるぞ。おまえは具体的にどうやって、フォンテーヌの人が溶けるのを防いだんだ?
ヌヴィレット:
私にとって「古龍の大権」とは、水元素を掌握する絶対的な力のことを意味している。
ヌヴィレット:
フォンテーヌの人類は最初、エゲリアが胎海の力を利用して作った「不完全な人類」であり…つまりは擬態にも似たような形態だった…
ヌヴィレット:
しかし、フォンテーヌ人の体内に胎海のエネルギーが存在する限り、私は古龍の権能を駆使し、この星で最初の命が育まれた時の過程を真似て、彼らに真の「血液」を与えることができる。
ヌヴィレット:
つまり、私が「判決」を下したその瞬間、フォンテーヌ人は「真の人類」となり、二度と原始胎海の水に溶けることはなくなったのだ。
パイモン:
フォカロルスはそこまで計算してたのかよ…それこそが、予言が実現したと見せかけると同時に、すべての人を救えるカギだったんだろうな。
パイモン:
だな。ある意味、フォカロルスはこの方法で、純水精霊を人類に変えてあげたいっていう初代水神の願いも叶えてやった、ってことか。
ヌヴィレット:
……
ヌヴィレット:
その表情から察するに、どうやら他にも聞きたいことがあるようだ。
ヌヴィレット:
遠慮なく聞いてくれたまえ。私の知っていることならばすべて答えよう。
ヌヴィレット:
タルタリヤ殿の一件について多方面から調べていたのだが、その結果、ある事実に行き当たった。彼は幼い頃未知なる深淵に落ちたことがあり、その際、偶然にも呑星の鯨を呼び覚ましてしまったのだ。
ヌヴィレット:
しかし、だからといって、タルタリヤ殿を災難の根源だと断定するのは理に適っていないし、情に欠けた判断だ。せいぜい、責任の一端はあるという程度だろう。
ヌヴィレット:
あの審判で諭示機が下した判決についてだが…
ヌヴィレット:
一部の責任に基づく判決だったのか、或いは彼が呑星の鯨とけん制し合えると予測したフォカロルスは、彼にフォンテーヌの身代わりとなって時間を稼いでもらう算段だったのか…知る由もない。
パイモン:
なんだかんだ言って、フォカロルスはフォンテーヌ人のことを想ってたんだな。最終的にフォンテーヌ人が本当の人類になれたのも、あいつのお陰だし…
パイモン:
あっ、ふと思ったんだけど…
パイモン:
フォンテーヌ人が本当の人類になる前って、あいつらから生まれた子供も純水精霊が変わったやつだったのか?
ヌヴィレット:
命は元より水のように絶えず循環するもの。フォンテーヌ人がよくここルキナの泉を訪れ、子宝祈願をすることは覚えているか?
パイモン:
覚えてるぜ。ここはフォンテーヌのすべての水が交わる場所だって、リネットが言ってたぞ…
ヌヴィレット:
その子宝祈願が実は単なる風習ではなく、ある種の儀式であったことは、当の夫婦たちも知らなかった。
ヌヴィレット:
祝福を受けた泉の中の純水精霊たちが、数ヶ月後、本当に新たなフォンテーヌ人として生まれてくることをね。
パイモン:
うーん…大体わかった気がするぞ。今となってはもう要らなくなったけど、あれは風習として受け継がれてきた儀式だったってことだな。
パイモン:
あっ、ちょっと待ってくれ。神の心について、もう一つ聞きたいことがあるんだ…
パイモン:
この前リネは、おまえが神の心を渡すことについて、「明らかな態度の変化があった」って言ってたんだけど…
パイモン:
おまえしか知らない理由でもあるんじゃないかって、オイラたちは推測してたんだぞ…
ヌヴィレット:
ふむ、壁炉の家がファデュイの情報機関を務めているのも頷ける。実に鋭い観察だ。
ヌヴィレット:
その質問については、ちょうど君たちに共有しておきたいことがある…
パイモン:
えっ?まだあるのか?
ヌヴィレット:
あの日、君たちを原始胎海から陸地へ送り返した後、私はスカークと名乗るあの人物と、このような会話をした…
ヌヴィレットと会話する
パイモン:
…じゃ、オイラたちは先に上がってるから、おまえも早く上がってこいよ、ヌヴィレット…
パイモン:
うわぁ…!
ヌヴィレット:
さて…
スカーク:
よし…呑星の鯨はもういない。邪魔はなくなったな。
スカーク:
お前の力に含まれた「成分」も、やっと嗅ぎ分けられるようになったぞ。
スカーク:
この星の最初の古龍の権能…そこに神の「呪い」にも似たものが加わっている…とても新鮮だ。
スカーク:
ふむ、一体何だったか。記憶にはあるはずなんだが…
ヌヴィレット:
何を言っているか、まったく理解できないのだが。
スカーク:
ああ、思い出した。何だ、答えは簡単なことやも知れん。
スカーク:
さてはお前、「第三降臨者の遺骨」を持っているな?
ヌヴィレット:
遺骨?そんなもの、聞いたこともないが。
スカーク:
ふむ…お前たちのよく使う言葉で言うなら、たしか…「神の心」と言ったか。
ヌヴィレット:
…確かに、フォカロルスの神格が消え去った後、神の心は私に預けられた。
ヌヴィレット:
しかし、君が今言ったことについては、間違いなく初耳だ。
スカーク:
私は幼い頃から師匠について武術を学び、地上に戻ったことがなくてな。触れる情報は殆どが「極悪騎」によるものだった…だからかも知れん。
スカーク:
元より人類の上位にある存在だから、彼の常識も当然人とは異なる。そのせいか、私たちと人類との交流にはいつも多くのずれが生じるんだ。
スカーク:
そのことはともかく。「不吉」なものは、災いが起こる前に消したほうがいい。
スカーク:
人が生きることは、本来であれば祝福されるべきことだ。しかし死んでしまえば、本人とこの世の間にあった無数の関わりは、やがて呪いとなり果てる。
ヌヴィレット:
何が言いたい?
スカーク:
そう身構えないでくれ、ただ個人的な感想を言ったまでだ。これは私が地上に戻りたくなかった理由でもあるがな。
ヌヴィレット:
君の言う「第三降臨者」とは、一体誰のことだ?また、それはいつ死んだのだ?
スカーク:
師匠は私に何も教えてくれなかった。恐らく私にとって、大して重要なことではなかったからだろう。
スカーク:
だが、興味があると言うなら、今度師匠に聞いてこよう。
ヌヴィレット:
今度…また会えるのか?
スカーク:
うむ…ああ、そういえば、私には弟子が一人いてな。何かあれば、あいつに伝えさせよう。
ヌヴィレットと会話する
ヌヴィレット:
…ここまでが、私が彼女から聞いた話だ。役に立つかどうかは分からぬが、まずは君たちに伝えておきたいと思ったのだ。
パイモン:
第三降臨者…の遺骨?
パイモン:
神の心が、そうなのか?チェスの駒みたいな形ってイメージだったけど、あれは遺骨だったってことか…?
ヌヴィレット:
彼女の話が誤解や変わった比喩でもない限りは。
パイモン:
で、不吉で手放したほうがいいってあいつに言われたから、おまえはファデュイにやったのかよ…
ヌヴィレット:
もしスカーク殿の話が本当ならば、それがフォンテーヌにある限り、危険の種となり得るだろう。
旅人:
(降臨者…彼女は降臨者について言及した…)
ヌヴィレット:
ふむ…降臨者という概念を認識しているだろうとは思っていたが、君自身が降臨者であるとは予想だにしなかった。
ヌヴィレット:
となると、元素に対する極めて高い適応力を持ち、ひいては元素力を増幅することさえできる「神の心」の力は、第三降臨者に由来するわけか。
ヌヴィレット:
君も似たような性質を持っているのか?
パイモン:
そうだな…神の目を持ってないのに、元素力を操れる能力とかか?これも特別な適応力、って言えるかな…
パイモン:
いやいや、とりあえずは余計なことを考えないでおこうぜ。だって、なんだかすごく変な感じだぞ…
パイモン:
死んだ第三降臨者と旅人を比べるだなんて…
旅人:
簡単に死んだりしないから心配しないで。
パイモン:
そりゃそうだけど、やっぱりすごく不吉だぞ。
パイモン:
タルタリヤが回復してきたら、あいつを問い詰めようぜ!一体どういうことなのか、あいつから師匠にちゃんと聞いてもらわないとな。
ヌヴィレット:
同感だ。情報が揃っていない状況で、根拠のない推測をするのはあまり賢明なやり方ではない。法廷と同じでね。
パイモン:
これで、予言にあったフォンテーヌの危機も、やっと一段落ってとこだな。
ヌヴィレット:
そうだな、フォカロルスの努力も、すべてはこの時のためだった。
パイモン:
だけど…神として自分を犠牲にして、人間としては五百年もつらい思いをしながら生きてきて…それってホントにあいつが望んだことだったのかな?
ヌヴィレット:
…「神」の願いというのは、そもそも不思議な謎なのかもしれない。
旅人:
神の願いを理解できる?
ヌヴィレット:
私には無理だ。ただ時々、こんな想像をしてみることがある。もし願いが空の雲だとすれば、それはいつの日か雨となって大地に降り注ぐのだろう…
ヌヴィレット:
命は水のように絶えず循環し、雨は最終的な答えを与える。水は傾くことがあるが、雨はどこまでも平等に降るのだ。
ヌヴィレット:
君や私、あの人が浴びる雨に…果たして何の違いがあろうか。