夢へと誘うペールクラウン
「グライアイの眼」の導きによれば、彼の力の欠片の一つはスネージナヤパレスの裏、あの巨大な「皇帝白樺」が生えている場所にあるらしい…
フセヴォロド:
…製剤は完璧だ。アルヴィス公がお戻りになれば、この数日、寝食を忘れて取り組んだ俺の成果を褒めてくださるだろう。
フセヴォロド:
この辺りで、少し休もう…
パイモン:
外はすっごく寒いぞ…やっぱり列車の中のほうが快適だな…
「グライアイの眼」:
だからこそ、「列車」があるのです。あまりに寒い環境の中を長い距離歩き続けるのは、身体によくありませんからね。
「グライアイの眼」:
おそらくこれも僕を創った方が最初に目指していた理念なのでしょう…この雪国は、人が暮らすのに適した場所ではありませんから。
パイモン:
おまえを創った人…あ、もしかして前に会った変なやつのことか?
旅人:
「無礼な、変なやつとはなんだ!」
パイモン:
おまえのことじゃないって!
パイモン:
…ほら、あの、焔の鳥がいるオフクロ村と、雪の精だらけのお城に出てきたやつだ。名前はたしかアク…
「グライアイの眼」:
アクシーニャさまですね。取り戻した記憶によると、彼女はかつてツァーリ・ベールイ配下の研究機関「静源所フヴェルゲルミル」の一員でした…
「グライアイの眼」:
彼女が僕を造ったのは…ある強大な力を導くことで、すべての人が苦しみから解放される「明日」の世界を創るため…
「グライアイの眼」:
それは嫉妬も憎しみも私心も捨て去った国…すべての者の手のひらで支えられ、持ち上げられた「憂いなき庭園」…そうして…
「グライアイの眼」:
「そうして光の世界が降臨し、人と人、さらには人と神の間にすら、もはや差はなくなる。」
パイモン:
人と神の間に差がない世界か…うーん、どうやったらそんな世界が作れるのか想像もつかないぞ。
「グライアイの眼」:
「それは神が神力を用いる必要がなく、人が神に頼る必要もない、純粋な人の世界です。」
「グライアイの眼」:
…そう、記憶しています。
「グライアイの眼」:
ただ、具体的にどうやってそれを成し遂げるのかは…申し訳ありませんが、僕には最終的な計画の全貌がわからないのです。計画全体から見れば、僕もその中の「道具」に過ぎませんから…
パイモン:
つまり、「グライアイ」は合成台みたいなものってことだな。合成台ってすごい物をいっぱい作れるけど、自分から走り回って素材を食べたりしないだろ。
「グライアイの眼」:
的確なたとえです。しかし僭越ながら申し上げますと、パイモンさま、今のスネージナヤでは錬金術は公式に支持されている学問分野ではありませんので…
パイモン:
そ、そうだった…でもまあ、列車の中だし…
「グライアイの眼」:
…僕は果たして、最後の力を求めるべきなのでしょうか?
「グライアイの眼」:
もし、最後の力を手に入れた後、僕が思い出すものが…望んでいた記憶ばかりではなかったら——僕はどうすればいいのでしょう。
「グライアイの眼」:
もし、もしそれが僕が造られた唯一の理由だったら…?
パイモン:
そうだよな、何も分からない時に決めるのは絶対よくないぞ。なんにせよ、全部思い出すべきだ!
パイモン:
とにかく…たとえ最初はそのために造られたわけじゃなくても、「グライアイ」がオイラたちをいっぱい助けてくれたのは、紛れもない事実だぞ!
旅人:
その時はまた戻ってきてくれればいい。
「グライアイの眼」:
…そう、ですね。
パイモン:
体を取り戻したら一緒にやろうって言ってたこと、いっぱいあるだろ!焚き火して、雪合戦して、氷原を走り回って…ぜんぶ、約束だからな!
「グライアイの眼」:
はい、僕も楽しみにしています…体を取り戻した後、お二人と一緒に冒険することを。
「グライアイの眼」:
旅の途中で何度も思いました…あの場所から僕を連れ出してくれたのがあなたでよかった。お二人に出会えて、本当によかった…
「グライアイの眼」:
最後の力…すべての答えは、あそこにあります。あれは先代の氷のツァーリ、ツァーリ・ベールイと呼ばれたお方の、埋骨の地です…
「グライアイの眼」:
マップ上にマークしました。
猫:
にゃあ…にゃーん…
旅人:
(すごくお腹が空いてるみたい…でも、さっきのパヴリナの話だと、エサ皿に入れないと食べないらしいし…)
旅人:
(うーん、周りにはエサ皿がないみたい…)
友よ!我々が創られたのは、ある瞬間のため… 消えゆく夢を呼び戻すため…それは…
それは…?
旅人:
(ん…ここは…どこ?)
旅人:
(おかしい、さっきまで確か…列車の中にいたはずなのに?)
アザゼル:
イズマイール…イズマイール。はぁ、また上の空か。俺たちは常に卵の中のあれの状態を観察していなきゃならないんだぞ、分かってんのか?
イズマイール:
上の空なんかじゃないさ…「原初の雛人」の状態はとても安定している。闇域のような暗い環境の中でも、真珠のように光輝いている。
アザゼル:
上の空じゃなく、心配してたってわけか。
イズマイール:
そうだよ、アザゼル。考えるべきことが多すぎるんだ。
アザゼル:
心配することないさ。お前の先生、アクシーニャさんは、ツァーリ陛下崩御の知らせを聞いても落ち着いてるじゃないか?それとも、他に何か心配なことでもあるのか?
イズマイール:
新たに即位した女皇…私が懸念しているのは、彼女の態度さ…
アザゼル:
モラの上にふんぞり返って遊び呆けている妖精大公に対する態度か?まあ、いいとは言えないな。
イズマイール:
いいや。「静源所」に対する態度だ。
イズマイール:
私たちの研究は、禁忌に触れている。これまで続けてこられたのは、ツァーリ陛下の黙認と庇護があったからだ。新しい女皇陛下は…
イズマイール:
なんというか…ある噂を耳にしたんだ。
アザゼル:
どんな噂だ?
イズマイール:
錬金術に関するすべてが禁止されることになるって。「静源所」には生物錬金に関わる課題が大量にあるから、当然廃止されるだろうね。そうなると…
イズマイール:
ツァーリ陛下の…最後の大願は果たせなくなる。
アザゼル:
それはむしろいいことじゃないのか。忘れたのか、「前回の実験」で起きたことを?それに、ツァーリ陛下も最後には…いや…やめておこう…
イズマイール:
…君の言う通りだ、アザゼル。でも…考えずにはいられない。
アザゼル:
考えるのはよせ。何にしたって、俺たちが決められることじゃない。それに…今日はお偉方の会議の日だ。
アザゼル:
結論は、じきに下されるだろう。
旅人:
(おかしい、ここは…闇域?パイモンも「グライアイの眼」もいない…)
旅人:
(…誰かいる。とりあえず話しかけてみよう。)
イズマイール:
ん…?
アザゼル:
どうした、我が良き同僚のイズマイールくん?そう頻繁に上の空にならないでくれると、なおいいんだがな。
イズマイール:
はぁ…誰かがこっちを見ているような気がするんだが…振り返ってみても、何も見えないんだ。
アザゼル:
ハハハ、イズマイール、ちゃんと見るべき物を見ておけよ。
アザゼル:
よっぽど慌ててたのか、コシチェイさんはドアを閉め忘れたみたいだな。まあいい、データの記録が終わったら、代わりに閉めにいくか。
旅人:
(二人には俺が見えてない…おかしい…何だかとても奇妙なズレを感じる。)
旅人:
(でも、気分が悪いわけじゃないし…とりあえずあちこち調べてみよう…)
フセヴォロド:
…製剤は完璧だ。アルヴィス公がお戻りになれば、この数日、寝食を忘れて取り組んだ俺の成果を褒めてくださるだろう。
フセヴォロド:
この辺りで、少し休もう…
旅人:
(扉が閉まっている…何か方法があれば…)
猫:
にゃあ…
旅人:
(…エサ皿、こんなところにあったんだ。)
旅人:
(はいはい、今ごはんをあげるからね…可哀そうに…)
パイモン:
あれが…
「グライアイの眼」:
はい、あそこが僕たちの目的地…スネージナヤ・グラードの外にある、ツァーリ・ベールイの私的な宮殿です。
「グライアイの眼」:
「ペールクラウンパレス」。
「グライアイの眼」:
かつて、優雅な佇まいの雪の娘が王の間でグースリを奏で、水の末裔たるフェイたちも幻想的な旋律に合わせて、雪原を統べる王の御名を歌っていました。スネグーラチカ
「グライアイの眼」:
勇壮なる異怪の獣たちは御前にてツァーリの寵愛を得んと闘い、小さ{RUBY#[D]ドモヴォーイ}き者たちは珍しい品々や財宝をかき集め、宮中の宝物庫を満たすことに心血を注ぎました。ヴァルコドラク
パイモン:
わぁ…ほ、宝物庫?
「グライアイの眼」:
はい。しかし今はもう何も残っていないと思います。
「グライアイの眼」:
聞いた話ですが…そこは偉大なる王が慈悲を授けた地であり、王はそこで人類を受け入れ、謁見を許したのだそうです…
「グライアイの眼」:
あの時代、弱く哀れな人類が氷雪の中で自らの領域を切り拓けるよう、クルースニクの炎がその宮殿で初めて灯され…やがてその炎は四方へと広まりました。
「グライアイの眼」:
こうして、「蒼星の王廷」の時代は終わり——この永久凍土の大地はもはやフェイだけのものではなくなりました。人間とフェイが共に歩む国になったのです。
「グライアイの眼」:
彼はこの地を「スネージナヤ」と改名しました。
パイモン:
へぇ…スネージナヤってそうやってできたのか。オイラ、てっきり「スネージナヤ」を建国したのは女皇なんだと思ってたぜ。
パイモン:
でも、「グライアイ」はなんでそんなに詳しいんだ?
「グライアイの眼」:
僕はまさに、ここで造られましたから。この宮殿の秘密の場所で…
「グライアイの眼」:
つまり、以前お話しした「静源所」のことです…とはいえ、あそこもこの宮殿の影の一角に過ぎません。
パイモン:
おお…そんなにすごい宮殿だったのに、なんで今はこんなにひっそりしてるんだ?
「グライアイの眼」:
五百年前、ツァーリ・ベールイがアビスと魔獣の群れに立ち向かって命を落としたからです。死後、そのご遺体はここに運ばれてきたのですが…
「グライアイの眼」:
埋葬された後…その身体の一部は「皇帝白樺」へと変わりました。それ以来、スネージナヤパレスにスネージナヤを掌握する女皇陛下が君臨されるようになりました。そして…ここには誰も来なくなったのです…
パイモン:
じゃあ、オイラたちがこれから行く場所って、ツァーリ・ベールイの…お墓なのか?
「グライアイの眼」:
はい、その通りです。しかしそこは、僕が生まれた場所でもあるのです。
「グライアイの眼」:
…公式には、許可なく立ち入ることは推奨されていません。しかし少なくとも表向きは、完全に禁止されているわけではないようです。
パイモン:
それなら、こっそり入ってもいいってことだな!
「グライアイの眼」:
でも、もしかしたら…指名手配されるのも面白い体験かもしれませんね。
パイモン:
そ、そんなの嫌だぞ…わかった、もしスネージナヤの衛兵に捕まったら…
パイモン:
案内が間違ってたせいで、迷子になっちゃったって言おうぜ!迷子になるのは犯罪じゃないもんな!うん、そうしよう。
パイモン:
…でも、列車のレールが途切れてるけど、どうすればいいんだ?
「グライアイの眼」:
大丈夫です。あの道はただの「目くらまし」で、ペールクラウンパレスへ入る本当のルートではありません。
「グライアイの眼」:
普通の巡礼や懐かしさから訪れた人に、ここで「行き止まり」だということを示しているんです。
「グライアイの眼」:
先へ進むには、「隠し線路」を起動する仕掛けを見つけなければなりません…
「グライアイの眼」:
「隠し線路」を呼び出す仕掛けは、あの塔の上にあるようです。
「グライアイの眼」:
「皇帝白樺」に囲まれているようなので、迂回して入る方法を考えないといけませんね…
パイモン:
わぁ、まさかあの巨大な木の下がこんなふうになってるなんて…
パイモン:
あれは…宮殿?
「グライアイの眼」:
おかしいですね…どうして急に…
パイモン:
グライアイ、どうしたんだ?
「グライアイの眼」:
申し上げた通り…僕の力が三つに分割されたのを感じるのですが…そのうちの一つが、感知できないほど深い闇の奥に隠されているようでした。
「グライアイの眼」:
でも…近づいたからなのかはわかりませんが…その力を今、感知できています…
パイモン:
ここから感じるのか?
「グライアイの眼」:
はい、この「ペールクラウンパレス」の中に…
パイモン:
「ペールクラウンパレス」?
「グライアイの眼」:
はい、スネージナヤ・グラードの外にある、ツァーリ・ベールイ専用の宮殿です。
「グライアイの眼」:
かつて、優雅な佇まいの雪の娘が王の間でグースリを奏で、水の末裔たるフェイたちも幻想的な旋律に合わせて、雪原を統べる王の御名を歌っていました。スネグーラチカ
「グライアイの眼」:
勇壮なる異怪の獣たちは御前にてツァーリの寵愛を得んと闘い、小さ{RUBY#[D]ドモヴォーイ}き者たちは珍しい品々や財宝をかき集め、宮中の宝物庫を満たすことに心血を注ぎました。ヴァルコドラク
パイモン:
わぁ…ほ、宝物庫?
「グライアイの眼」:
はい。しかし今はもう何も残っていないと思います。
「グライアイの眼」:
聞いた話ですが…そこは偉大なる王が慈悲を授けた地であり、王はそこで人類を受け入れ、謁見を許したのだそうです…
「グライアイの眼」:
あの時代、弱く哀れな人類が氷雪の中で自らの領域を切り拓けるよう、クルースニクの炎がその宮殿で初めて灯され…やがてその炎は四方へと広まりました。
「グライアイの眼」:
こうして、「蒼星の王廷」の時代は終わり——この永久凍土の大地はもはやフェイだけのものではなくなりました。人間とフェイが共に歩む国になったのです。
「グライアイの眼」:
彼はこの地を「スネージナヤ」と改名しました。
パイモン:
へぇ…スネージナヤってそうやってできたのか。オイラ、てっきり「スネージナヤ」を建国したのは女皇なんだと思ってたぜ。
パイモン:
でも、「グライアイ」はなんでそんなに詳しいんだ?
「グライアイの眼」:
僕はまさに、ここで造られましたから。この宮殿の秘密の場所で…
「グライアイの眼」:
つまり、以前お話しした「静源所」のことです…とはいえ、あそこもこの宮殿の影の一角に過ぎません。
パイモン:
おお…そんなにすごい宮殿だったのに、なんで今はこんなにひっそりしてるんだ?
「グライアイの眼」:
五百年前、ツァーリ・ベールイがアビスと魔獣の群れに立ち向かって命を落としたからです。死後、そのご遺体はここに運ばれてきたのですが…
「グライアイの眼」:
埋葬された後…その身体の一部は「皇帝白樺」へと変わりました。それ以来、スネージナヤパレスにスネージナヤを掌握する女皇陛下が君臨されるようになりました。そして…ここには誰も来なくなったのです…
パイモン:
じゃあ、オイラたちがこれから行く場所って、ツァーリ・ベールイの…お墓なのか?
「グライアイの眼」:
はい、その通りです。しかしそこは、僕が生まれた場所でもあるのです。
「グライアイの眼」:
…公式には、許可なく立ち入ることは推奨されていません。しかし少なくとも表向きは、完全に禁止されているわけではないようです。
パイモン:
それなら、こっそり入ってもいいってことだな!
「グライアイの眼」:
でも、もしかしたら…指名手配されるのも面白い体験かもしれませんね。
パイモン:
そ、そんなの嫌だぞ…わかった、もしスネージナヤの衛兵に捕まったら…
パイモン:
案内が間違ってたせいで、迷子になっちゃったって言おうぜ!迷子になるのは犯罪じゃないもんな!うん、そうしよう。
パイモン:
…でも、列車のレールが途切れてるけど、どうすればいいんだ?
「グライアイの眼」:
大丈夫です。あの道はただの「目くらまし」で、ペールクラウンパレスへ入る本当のルートではありません。
「グライアイの眼」:
普通の巡礼や懐かしさから訪れた人に、ここで「行き止まり」だということを示しているんです。
「グライアイの眼」:
先へ進むには、「隠し線路」を起動する仕掛けを見つけなければなりません…
「グライアイの眼」:
「隠し線路」を呼び出す仕掛けは、あの塔の上にあるようです。
「グライアイの眼」:
「皇帝白樺」に囲まれているようなので、迂回して入る方法を考えないといけませんね…
パイモン:
「グライアイ」ってすごいな、どんな列車でも運転できるなんてさ。
「グライアイの眼」:
…そういうわけではありません。現在スネージナヤで運行している列車は、なぜか「動力」だけが残されていて、「遠隔操作」機能がないんです。
「グライアイの眼」:
しかし、これら初期のプロトタイプにこそ、操作用のインターフェースが残されている——それだけの話です。
パイモン:
そ…う…か…
「グライアイの眼」:
確かに…そう…ですね…でも…
パイモン:
で——も——な——ん——だ——?
パイモン:
ま————さ————か——
旅人:
(おかしい…パイモンの話し方が、なんだかすごく遅く…)
旅人:
(いや、違う…おかしいのは——俺?)
旅人:
(あ、瓶が…!)
フセヴォロド:
…なんと。
フセヴォロド:
製剤が、製剤が——
旅人:
(ごめんね…でも、このおかげか扉が開いたみたいだ。中に入ってみよう…)
旅人:
(巨大な卵…闇域の真ん中に…)
旅人:
(あの中に何かいるのかな?さっきあの人たちが言ってた「原初の雛人」?)
イズマイール:
おかしい…
アザゼル:
何もないところばかり見てないでくれ。やるべきことはまだたくさんあるんだ…
メッセージ:
(一枚の書き置き。優雅な筆跡で書かれている…)
メッセージ:
「数日、私はヘスペリデスの館に戻る。猫の世話を任せるわ。自分の寝食も忘れて実験に没頭する他の連中には、安心して任せられないから。」
メッセージ:
「我が同僚、コシチェイ。お前は生命を愛する者として、『ララ』への餌やりを忘れはしないでしょう…鍵と特製の餌をお前の棚に置いておいたわ。」
メッセージ:
「…それと、『ララ』はエサ皿の中のものしか口にしないの。適当に地面にばら撒いたりしないで。床に落ちた物なんて絶対に食べないから。」
メッセージ:
「追伸。もし猫にまともに餌を与えていなかったり、猫の身体に他の動物のパーツが生えているのを発見したりしたら、相応の責任を取ってもらうから。パヴリナより」
誰かが書いたノート:
(一枚のメモ。冷たく硬い、感情の起伏を感じられない筆跡で記されている…)
誰かが書いたノート:
「…実験材料の囚人はすでにアルヴィスに引き渡して処理させた。実験結果は疑いなく『不正解』だった…」
誰かが書いたノート:
「しかしそれが人間や愛を持たないフェイが追い求めるべき『愛』なのだろうか。もしかすると、心に欠陥を抱えた雪の精たちは、確かにこの技術によってスニェガヴィーク…」
誰かが書いたノート:
「最初から欠けていた『愛』を手に入れられるのかもしれない…『彼』が語ってくれたように、あまりに壮大すぎる夢には意味がない。もしかすると…」
誰かが書いたノート:
「もしかすると『彼』の言う通りなのかもしれない。あの力…あの力は本来、埋め合わせとして我々に与えられるべきものであり、アクシーニャの異常な夢幻のために使われるべきではないのかも——」
誰かが書いたノート:
「…ここまでにしておこう。またアルヴィスのやつに『偶然』見られて、面倒なことになったら困る。」
旅人:
(天秤がある…左の皿には羽根が一枚、右の皿にはこれから置くものが…)
旅人:
(これは何かの儀式のようだ。羽毛は「まるで重さのないもの」の象徴に過ぎない。重要なのは右側…実体を持ちながら、「無」と同じ重さの物は何だろう。)
旅人:
(テーブルの上にある物は、これと、これ…)
旅人:
(不思議な光を放つ液体…)
旅人:
(いや、天秤の反対側にこれを置くべきじゃない。)
旅人:
試薬瓶
旅人:
(不思議な光を放つ液体…)
旅人:
(いや、天秤の反対側にこれを置くべきじゃない。)
旅人:
試薬瓶
旅人:
(不思議な光を放つ液体…)
旅人:
(…どうやら何を置いても、この儀式の要件を満たせないみたいだ。ということは、あのメモ書きに書かれた文字には何か深い意味があるのかな。)
旅人:
(「分かたれたものは決して根源たり得ない。すべてをすべてたらしめるには、分離したものを再び一つに統合しなければならない?」)
旅人:
(何かを融合させてみないと…)
「往日の魂を捨てよ、魂がもはや地星の隠脈に縛られぬように。」 「往日の意志を捨てよ、意志がもはや天上のまなざしを受けぬように。」 「往日の躯体を捨てよ、躯体がもはや塵世の煩労に摩耗せぬように。」
メモに従い、黄色い結晶とクルースニク晶鉱を砕いて試薬の瓶に溶かし込んだ。 すると… とある物質が誕生した。
旅人:
(不思議な試薬…手に持っても、重さをまったく感じない。それは…)
旅人:
(性質的に普通の概念を「超越」した物質ってこと?)
「成功だ…この試薬の性質は、かつてキッチェヴを壊滅させた……の性質と全く同じだ。」 甲高い声が部屋の中に響き渡る。 「この世の超越の法とは『還元逆行』の法。」 すべての『人類』は本来……に由来するもの。この力さえあれば、私もあの者たちと同じように創造し、支配することすら——」
「騙してはいなかったな、卵の中の人間…『彼』の言う通りだった。どうにかして、どうにかして『彼』を手に入れねば。たとえ、ほんの一欠片であろうとも…」 「ツァーリ陛下よ、それこそ私、アルヴィスが手にするにふさわしいものだろう! 『彼』の力は完璧だ、『彼』こそ私が長きにわたり求め続けた答えなのだ。『彼』を手に入れねば…」
「『彼』を手に入れねば!」 「『彼』を手に入れねば!」 「『彼』を手に入れねば!」 「『彼』を手に入れねば!」 「『彼』を手に入れねば!」 「『彼』を手に入れねば!」 「『彼』を手に入れねば!」 「『彼』を手に入れねば!」
旅人:
(えっ、おかしい、さっき聞こえた声…まさかこの部屋の主?)
旅人:
(…針が、落ちてきた。)
アクシーニャ:
きっとみんな驚くでしょうね。古代ヒュペルボレイアの技術を使って、あなたの意識を余すことなくここにアップロードできるなんて。
アクシーニャ:
本当に素晴らしい技術だわ。この携帯装置は「グライアイの眼灰色がかった」と名付けましょう。
「グライアイの眼」:
…これの名前ですか?青いですけど…とにかく、とても奇妙な感覚です。手足の感覚がまったくありません。
「グライアイの眼」:
この小さな装置の中にいると、自分の体をかすかにしか感じられません…
旅人:
(これは過去のアクシーニャ…彼女と話してるのは、グライアイの眼?)
アクシーニャ:
当然だわ。たとえ意識がこの装置にアップロードされたとしても、力と存在を維持するには元の肉体が必要なの。
アクシーニャ:
その肉体こそが、新たな世界を切り拓く真の鍵よ——
アクシーニャ:
あなたはすでに「鍵」として、完璧な創造物なの。このまま続けることさえできたなら…
「グライアイの眼」:
残念ですが、ツァーリ陛下は…
「グライアイの眼」:
僕の肉体の一部はかつてツァーリ陛下のものでした。意識の断片の中で、陛下がかつて目にしたものを時折垣間見ることがあります。だから僕には分かるのです…
「グライアイの眼」:
すべてが順調に進めば、あなたは陛下の遺志を達成し、その大願を成し遂げられます…陛下はきっとお喜びになるでしょう。
アクシーニャ:
「余を心から笑わせてくれるのは、そなただけだ、アクシーニャ。」——そう言ってくださいますよ。あの「教授」と話す時のように表面を取り繕うのではなく、心からの言葉で。
アクシーニャ:
主君に悦びをもたらすためにすべてを捧げること、それが「宮廷道化師」の責務よ。
「グライアイの眼」:
「宮廷道化師」とは、ツァーリ陛下があなたが宮廷を出入りするために授けた称号にすぎません。人間が寵愛を受けることでいわれのない恨みや嫉妬を招かないようにするためのものですから、お気に——
アクシーニャ:
この虚名が悪いとは思いません。滑稽だとも思わないわ。今でもいくらか便宜を図ってもらえるもの。
アクシーニャ:
もしかすると、この肩書きを利用すればスネージナヤパレスに入り、新たに即位された女皇陛下とお話しできるかも…私が宮廷に足を踏み入れた時には、もうとうにお発ちになっていたけれど…
アクシーニャ:
もしかすると彼女なら、ツァーリ陛下のご意志を理解してくださるかもしれないわ…
「グライアイの眼」:
そうですね、アクシーニャ。
アクシーニャ:
あなたをこの姿のまま、同僚たちに見せないと。そうすれば、彼らもすべての研究にはそれぞれの価値があると認めてくれるでしょう。少なくともアルヴィスは私を支持してくれるはずよ。
アクシーニャ:
もしかすると、彼らがこの偉業を引き継いでくれるかも…
アクシーニャ:
考えが相容れないことは分かっているけれど、すべての相違はやがて同じ道へと収束し、最終的な理解は必ず訪れるわ。
アクシーニャ:
彼らはきっと、私を助けてくれるわよね?
「グライアイの眼」:
……
「グライアイの眼」:
…ええ、アクシーニャ、きっと。
アクシーニャ:
そうよね。
アクシーニャ:
これが私にとって、あの方のためにできる唯一のこと。そして、この人生における唯一の意味。
アクシーニャ:
「原初の雛人」、あなたに命じます…いいえ——「あなた」にお願いするわ。本来の計画におけるツァーリ陛下の代わりに——
アクシーニャ:
お願い、この星の主となって。
アクシーニャ:
これほどの偉業に…他者の承認や助けなど、求める必要はないわ。もしかすると、私一人で最後の実験を続けることだってできるかも…
「グライアイの眼」:
……
偉大な構想——でも、その後は…?
アクシーニャ:
だめ…どうして…見えていないのですか…?
アクシーニャ:
なんて悲しい裏切り…アルヴィス、コシチェイ、パヴリナ…
アクシーニャ:
忘れてしまったのね…私たちがなぜここにいるのか、あの壮大で光り輝く理想を…
アクシーニャ:
あの方がかつて与えてくださった恩寵を忘れ、あの方がかつて与えてくださった栄光を忘れ、あなたたちは……
アクシーニャ:
私を追放するというのなら…ええ、構いません。しかし、私は必ず帰ってきます…始まりも終わりもない影の領域で、どれほどの歳月を費やすことになろうとも。
アクシーニャ:
理解できません。なぜ…私心のために築くべき偉業を捨て去り、なぜ私心のために本来従うべき道に背くのです?
…これがすべての結末であってはならない。 「今となっては、彼らを恨んではいません。ただ、彼らのことが悲しいだけです。」 誰かがそう言うのが聞こえた。彼女はいつの間にか現れ、かつての自分が影の中へ堕ちていくのを見つめていた。 「でも、すべてはいずれ正しい道に戻ります。光が異なる媒質を通るとき、一見曲がりくねった道も、実は常に最も速く最も良い道であるように。」
…忘れたのですか、友よ、私たちが創られたのは、ある一瞬のため、 それは消え行く夢を呼び戻すため、そして、 幻影のごとき白昼の子らに導かれ「明日」へと歩むため、 そこで、私たちは笑い、回転し、星の大陸の唯一の座を囲み、構築する——
純粋なる国を築け、万人の愛によって生まれし故郷を。 今こそ築け、それは—— ただ人類のためだけの、憂いなき庭園となるだろう。
パイモン:
Traveler、Traveler、大丈夫か?
パイモン:
さっき座った瞬間から、急にぼーっとして…
「グライアイの眼」:
精神面でわずかな波動を感知しましたが、生理的なデータには何の変化もありませんでした…
旅人:
(闇域で見たことを話す…)
「グライアイの眼」:
…以前の実験報告にもありましたが、一部の闇域は人の精神にのみ影響を与え、実世界の肉体には影響を及ぼさないことがあります。
「グライアイの眼」:
ただ、ごく稀なケースではありますが…
パイモン:
Travelerって、いつも突然変なものを見るんだよな。
パイモン:
…とにかく、おまえが見たのは、五百年前のなんとかって場所なのか?
「グライアイの眼」:
静源所です。
パイモン:
へえ、五百年前の静源所か!それに昔の「グライアイ」まで見たなんてな。
パイモン:
どうだ、「グライアイ」、Travelerが見たものについてなにか思い当たることはあるか?
「グライアイの眼」:
…すみません、かつて起きたことについては、あまり覚えていなくて…
「グライアイの眼」:
はっきりとは思い出せません…闇域に入る前に、そんな争いや対話があったなんて。
パイモン:
そうか…
パイモン:
でも、グライアイはやっぱり身体を持ってたんだってことははっきりしたな!
「グライアイの眼」:
そうですね、Travelerさまが聞いた会話の内容から判断すると…少し安心しました。
パイモン:
もしかしたら「グライアイ」の体が、あの静源所の中心で待っているかもしれないぞ!
パイモン:
じゃ、じゃあきっと、最後の一つが静源所の中心に…
「グライアイの眼」:
そうだといいですね。そうすれば、僕ももっと多くのことを思い出せるはずです…元の体にも、戻れるかも…
「グライアイの眼」:
まもなくペールクラウンパレスに到着します。揺れますので、注意してください。
パイモン:
大丈夫だ、オイラはずっと浮いてるから、こんなの怖くないぞ。
旅人:
名もなき薬のレシピ
旅人:
名もなき薬のレシピ
猫:
にゃー…?
フセヴォロド:
あっ、製剤が…このいたずら猫め、はぁ…
フセヴォロド:
また一から調合し直しだ!

石獣は亡霊のごとく鎮座する
かつてツァーリ・ベールイの宮殿であり、現在は陵墓となっているこの場所で、何とかして「グライアイの眼」の力の一部を探し出そう…
「グライアイの眼」:
王の間の奥の扉は、閉まっているようです…
パイモン:
じゃあ、どうすればいいんだ?
「グライアイの眼」:
少々お待ちください。玉座の前にアクセス可能なポートを検知しました…
「グライアイの眼」:
こちらです。
パイモン:
どうだ?
「グライアイの眼」:
装置の権限を取得しました。
「グライアイの眼」:
…はい、王の間の扉を解錠する方法は、入り口の扉を開ける方法と同じです。
「グライアイの眼」:
「偉大なる亡骸を守りし双頭の獣を、あるべき場所へ還せ。」
パイモン:
双頭の獣って、もしかして入り口のところでも見た像のことか…
パイモン:
あっちで扉が開く音がしたみたいだぞ…
パイモン:
あっ、部屋の中にも扉のところと同じ像があるな…
パイモン:
あるべき場所へ還せ…もしかして…この二つの像を、王座の前の装置の上に乗せろってことか?
「グライアイの眼」:
そのようですね。
パイモン:
やっと扉が開いたな…うーん、そういえば、さっきすっごくヘンな見た目の獣がいっぱいいたよな…
「グライアイの眼」:
あれは当時、コシチェイが静源所で製造した…合成獣です。キメラ
パイモン:
じゃあ、さっき話してたあいつは?てっきり来ると思ってたのに、あいつ自身は出てこなかったよな。
「グライアイの眼」:
あれは…「ズヴェーリ」——あるいは「獣けだもの」…合成獣のリーダーです。コシチェイが生物錬金を利用して作り出した数々の創造物の一つでもあります。キメラ
「グライアイの眼」:
当時、コシチェイは同じ材料を利用して、多くの「プロトタイプ」を製作しました…その中で、知恵を持っていたのはあれと…あれ…思い出せなくなりました。
「グライアイの眼」:
コシチェイは、「ズヴェーリ」を未完成品だと考え、放棄しました。
「グライアイの眼」:
最終的に、未完成だった「ズヴェーリ」は他の魔獣の種を組み込まれることで、現在の形に作り上げられました。本来、「ズヴェーリ」は破棄されるはずでした…
「グライアイの眼」:
しかし、破棄される前、ツァーリ・ベールイは真の神智を持つ存在がそのように死ぬべきではないと考え、「ズヴェーリ」を自らの配下に収めたのです。
「グライアイの眼」:
…ツァーリ・ベールイの遺体は、「ズヴェーリ」が重傷を負いながらも戦場から持ち帰ったのだと言われています。
「グライアイの眼」:
だから、「ズヴェーリ」はコシチェイをとても嫌っています…
「グライアイの眼」:
とうの昔に誰にも知られない場所で、ひっそりと息絶えたものと思っていましたが…本当によかったです、まだ生きていてくれて。
「グライアイの眼」:
まさか…すでに陵墓となったツァーリ陛下の宮殿を、ずっと守っていたなんて…
パイモン:
うーん、勝手にここへ来るのが推奨されない理由がわかったぞ。もしかしたら、許可を得ずにここへ来たやつらは、みんなあの「ズヴェーリ」とかいうやつに追い払われちゃうのかもな。
「グライアイの眼」:
ペールクラウンパレスはやはり危険すぎます。「ズヴェーリ」のことも…
パイモン:
大丈夫だ、ここまで来たからには、絶対におまえの身体を見つけてやるぞ。
旅人:
また来たら、追い払えばいいだけだよ。
「グライアイの眼」:
…そうですね。Travelerさま、そしてパイモンさま…あなたたちを信じています。
「グライアイの眼」:
ですが、「ズヴェーリ」は今後も出現するはずです。警戒しながら進みましょう。
「グライアイの眼」:
この件は、僕にお任せください。
旅人:
(…ん、おかしいね…ここは…俺は今どこに…)
旅人:
(あっ、前に入った「静源所」と同じ…ここも過去の…)
アクシーニャ:
陛下…第一回目の実験が完了いたしました。
アクシーニャ:
偉大な仮説が間もなく立証されます。このまま培養を続ければ、完全な「原初の人」の雛形がまもなく誕生いたします!
???:
初期実験は完了したのか?
アクシーニャ:
はい、被験者は果てしない悦びの境地へと至りました…二度と憂うことも、思い悩むこともありません…
???:
そして二度と、そこから目覚めることもない。
アクシーニャ:
夢ではありませんから、当然「目覚める」ということもありません。ツァーリ陛下…それは蛹から羽化する蝶、あるいは殻を破って飛び立つ鳥なのです。
アクシーニャ:
すべての執着と執着により生じる憂い、往日のすべては、捨て去られる繭殻になるのです…それは不完全な夢であり、影のようにおぼろげな苦痛でしかありません。
???:
ならその新たな庭園は、そなたの夢の中にある、そなたが行きたいと願う世界なのか、アクシーニャ?
アクシーニャ:
……
アクシーニャ:
陛下のご意向は、私の意向でもあります。
???:
…そうか。最後の計画はいつ始動するのだ?
アクシーニャ:
もうしばらく時間が必要です。あなたが前線から凱旋される頃には…すべての準備が完全に整っていることでしょう。
アクシーニャ:
凱旋を、確信しております。
???:
…ああ、アクシーニャ。案ずるな、「ズヴェーリ」が共に行く。何があろうと、余から離れることはない。
アクシーニャ:
そうですね。
「ズヴェーリ」:
ふん…
アクシーニャ:
それでは、ご帰還をお待ちしております…陛下。
アクシーニャ:
ご意志を貫徹され、その願いが果たされるまで——
パイモン:
Traveler…どうしたんだ、また急に立ち止まっちゃって…
「グライアイの眼」:
また何か見えたのですか…?
旅人:
過去の光景だよ…
パイモン:
えっと、気分が悪くなるようなものは見てないか…?
旅人:
いや…何もない…
パイモン:
そっか、なら…ペールクラウンパレスの王の間の扉が開いてたし、このまま先に進もうぜ!
パイモン:
うーん…どんどん高くなってるな。ちょっと緊張してきたぞ。
旅人:
「ズヴェーリ」のせいかな…
パイモン:
そうだな。でも、あいつともちゃんと話し合えば、オイラたちへの警戒を解いてくれるかもしれないぞ…
「グライアイの眼」:
「対話すれば、理解し合える…」もしかしたら、本当にパイモンさまのおっしゃる通りなのかもしれません…
パイモン:
へへっ…
「グライアイの眼」:
…いえ、Travelerさま、高エネルギー体を検知…接近しています…気をつけてください!
パイモン:
何度も警告してやったというのに、それでも自ら死に急ごうというのか…
「ズヴェーリ」:
うっ…ゴホッ…くっ、お前がそこにいるのは分かっているぞ。そのちっぽけで哀れな装置の中で、無様に生き延びていることはな…!
「ズヴェーリ」:
…は!とっくにくたばったと思っていたが。出てこい、姿を見せろ!
「グライアイの眼」:
…僕も、あなたはとうの昔に死んでしまったのだと思っていました。
「ズヴェーリ」:
ああ、お前がこんな姿に成り果てるとは、実に滑稽だ。
「ズヴェーリ」:
もう一度お前の顔が見られるものと思っていたが——お前の顔は、お前の存在などよりよほど価値があるからな。
「ズヴェーリ」:
…こいつが新しい主人か?それとも、心を込めて選んだ「もう一人の犠牲者」か?
「ズヴェーリ」:
ハハハ、金色の髪を持つ人間よ、自分が何をしているのか、本当に分かっているのか?
「ズヴェーリ」:
…はぁ、この世にまだお前のように強く純粋な人間がいるとはな…だが警告しておこう。その装置の仲間は、お前が思うほどに頼りになる存在ではないやもしれぬぞ。
パイモン:
おい、二つ頭、適当なこと言うな!オイラたちは「グライアイ」と一緒に旅をしてるんだ。
パイモン:
友達の悪口を言うのは許さないぞ!
「ズヴェーリ」:
ハハハ!ならば「グライアイ」よ。お前の新しい友に、昔の友のことを話してやったらどうだ?
「グライアイの眼」:
僕には…わかりません。
「ズヴェーリ」:
本当にわからぬのか?
「ズヴェーリ」:
ほう、なるほどな?…ふっ、ははっ、あの女は闇域に突き落とされ、お前の身体は三つに分かたれた。ゆえにお前の力は散ったのだ。
「ズヴェーリ」:
ハハハハハハ!ガハッ…フフ…力が散ったせいで、すべてを忘れてしまったか。お前がまさか…私が見てきた中で一番滑稽な出来事だ。
「ズヴェーリ」:
運命の偉大な力は、まるで糸のようだ——何人たりとも逃れることを許さない。お前はすべてを忘れ、ここに舞い戻った。
「グライアイの眼」:
ええ、あなたのボロボロになった身体の前に。
「グライアイの眼」:
「ズヴェーリ」、僕は僕のものを取り戻したいだけです。
「ズヴェーリ」:
ゲホッ、ゴホッ…ふざけるな、お前が持つすべては、最初から「お前」のものではない。お前のすべてはツァーリ陛下から与えられたものだ!
「ズヴェーリ」:
我々の血、我々の肉、脳裏の奥深くに根を下ろした意識の種、そのすべてが陛下からの賜り物だ!
「グライアイの眼」:
なるほど…僕とあなたは…同じ「プロトタイプ」の創造物だったのですね。
「ズヴェーリ」:
…私はその失敗作であり、最終的に「鍵」の器へと成長したのはお前だった。しかし、お前は残るべきではなかった。お前の「意識」は抹消されるべきだったのだ。
旅人:
「鍵」?
「ズヴェーリ」:
身体だ。身体と血肉だけが意味を持つ。あれは、ツァーリ陛下の「雛形」をもとに成長した完璧な作品だった。
「ズヴェーリ」:
そのほかに唯一価値があるとすれば、あの顔だ…油絵に描かれた幼き日のツァーリ陛下と瓜二つだった。
「ズヴェーリ」:
もし本当に私にその顔を見せれば、必ずこの牙で噛みちぎり、腹の中に呑み込んでやるがな。
「グライアイの眼」:
どうしてですか…僕とあなたは同じはずなのに…
「ズヴェーリ」:
笑わせるな——私とお前は全く違う。私はツァーリ陛下の麾下きか「ズヴェーリ」…陛下がこの名を私に下さったのだ。
「ズヴェーリ」:
陛下は私を認め、褒め称え、不滅の栄光を約束してくれた。私のこの歪な体は、本来なら捨てられるべき用なしの身であった…陛下がいたからこそ、私の一生は無駄にならずに済んだのだ!
「ズヴェーリ」:
私は陛下に従い各地の戦場を転々とし、多くの魔獣やフェイたちと共にアビスの襲来を食い止め…漆黒の戦場から陛下の神躯を連れ帰った。
「ズヴェーリ」:
私はあの時——……べきだったのかもしれない。ツァーリ陛下よ、長き眠りにつかれた陛下の御身を五百年お守りしてきたが、ついに…ついにあなたの元へ逝ける。
「ズヴェーリ」:
私はついに…誓いを守り抜いた。ああ、私の命は、最後まで陛下のために——
「ズヴェーリ」:
お前は…ふふっ、本当に哀れだな。お前が一番気の毒だ…
「私と同じ血を分けた同胞でありながら、兄弟ではない者… 『原初の雛人』、お前は自分の名すら持ったことがない…」
その言葉を言い終えると、双頭の獣はぐったりと頭を垂れた。 その体を支えていたのは力ではなく意志だったが、ついにそれが尽き果てたのだ。 その姿は瞬く間に、共に風の中の砂のように消え去った。かすかな鳴き声を残して——
旅人:
(またこの感覚…これも「過去」の思い出なの?)
旅人:
(きっとそうだ——目の前にいるのは…過去の「ズヴェーリ」…)
「ズヴェーリ」:
陛下、私をお召しになるとは…どうされましたか。
「ズヴェーリ」:
もしや先日、私が許可なくあの人間の貴族を処刑した件…でしょうか?それについては…
???:
そう固くなるな。
???:
具体的なことについては、アクシーニャとコシチェイから聞いた。夜鳴鶯家の長男は見てはならない物を見てしまったのだと…それは彼らの失態だ。
???:
そなたはコシチェイたちのために、小さからぬ厄介事を片付けてくれた。
「ズヴェーリ」:
私が?彼のためなどではありません!私は…陛下の秘密がよそ者に知られないようにと…!
???:
だが、彼はそなたを創り出した者だ、「ズヴェーリ」よ。彼こそがそなたの本当の父親ではないのか。
「ズヴェーリ」:
我が陛下、そうです。彼が私を創りました。私にこの欠落した知性と、言葉を発することができる喉と舌を与えてくれた…
「ズヴェーリ」:
だからといって、彼が私を見る目が変わるわけではありません…本来ならば破棄されるべきもの、完全ではない作品を見るかのようなあの目が——。陛下…
「ズヴェーリ」:
造られた者は創造主の前にひれ伏すべきなのでしょうか?私は何があっても、自分を創り出した者から向けられる冷たい目や嫌悪、そして果てしない怒りに耐えねばならぬのでしょうか?
「ズヴェーリ」:
造られた者は…必ず創造主が示す道を歩み、創造主の決定に従わなければならぬのでしょうか?
???:
……
「ズヴェーリ」:
あ…陛下のことを言っているわけでは——
???:
それらとは関係ない。「ズヴェーリ」よ、それらとは関係ないのだ。時にはただ選択することだけが重要なのだ。
???:
選択を下したなら、もう後悔しない…それが肝心だ。
「ズヴェーリ」:
陛下、失言をお詫び申し上げます…
???:
構わぬ。今の余もそなたと同じように、すでに決断を下した。ゆえに、もう迷うことはない…
???:
「ズヴェーリ」よ、余はそなたを赦そう…そのような赦しなどそなたには必要ないかもしれないが、創造主の命に従わぬことを赦す。
「ズヴェーリ」:
陛下のお赦し、ありがたくお受けします。お赦しくださるのが陛下ならば。
「ズヴェーリ」:
私がこの赦しを受け入れるのは、陛下の期待を背負うことを選んだからです。私の命は陛下のものです。いつの日かこの命、陛下に捧げます…
「ズヴェーリ」:
誰かにそうするよう求められたわけではありません。どうか覚えていてください——これは私自身の選択なのです。
???:
ああ、「ズヴェーリ」、いとおしき友よ…そなたの言葉を、永遠に忘れまい。
「グライアイの眼」:
以前と同様の精神波動を検知しました…
旅人:
うっ…
パイモン:
また変な物が見えたのか?
「グライアイの眼」:
上層に近づくほど、Travelerさまの受ける影響が大きくなっています…
「グライアイの眼」:
Travelerさまの感知能力は…明らかに常人を超えていますので。
「グライアイの眼」:
しかし幸い、副作用のようなものはないようです。
パイモン:
そうなのか?
パイモン:
Traveler、なにを見たんだ…?
旅人:
(見たことについて話した…)
パイモン:
うーん、誰かが「ズヴェーリ」と話してた、か…
「グライアイの眼」:
……
パイモン:
どうした、「グライアイ」。なにか思い出したか?
「グライアイの眼」:
おそらく、「ズヴェーリ」と話していた方はツァーリ・ベールイ陛下でしょう…もしかすると、五百年が経った今も…彼の意志は未だにここに何かを残しているのかもしれません…
「グライアイの眼」:
ですが、彼が一体何をしようとしていたのかは…すべての力を回収しないと思い出せそうにありません。
パイモン:
うん…
パイモン:
…そういえば、「グライアイ」の名前って「グライアイの眼」じゃなかったのか?
「グライアイの眼」:
…そのようですね…これはただ「この装置」の名前なのに、それを僕は勘違いして…
「グライアイの眼」:
僕は…
パイモン:
気にするな!おまえに名前がないってのは、あの「ズヴェーリ」が適当に言っただけかもしれないしな。全部の力を取り戻せば、本当の名前がわかるかもしれないぞ。
「グライアイの眼」:
…そうだといいですね。
旅人:
でも、今はなんて呼べばいいんだろう…
「グライアイの眼」:
「グライアイの眼」でも「グライアイ」でも構いません…意識がこの装置に宿っている以上、間違ってはいませんから。
パイモン:
よし、「グライアイ」。おまえの体の欠片を探しに行こうぜ。もう目の前にあるはずだよな?
パイモン:
うーん…これが「グライアイ」の一部だな。メモが残されてるぞ。
パイモン:
「アルヴィスは聖体を汚した代償を支払い、強欲な小さき者に占拠された血肉は、ノヴォキッチェヴより取り戻したドモヴォーイ…」
パイモン:
ん…?じゃあ「グライアイ」の体のこの部分は、最初からここにあったわけじゃないのか?
「グライアイの眼」:
識別完了——これはアクシーニャさまの筆跡です。
「グライアイの眼」:
なぜ最初、僕が体のこの部分を感知できなかったのか…おそらくこれで説明がつくでしょう。相対的に見て、ノヴォキッチェヴはずっと遠い場所に位置していますから。
パイモン:
あいつがこの部分を…えっと、ノヴォキッチェヴから持って帰ってきたってことだな。それってたしか、スネージナヤ・グラードの南東にあるところだったよな…
パイモン:
そういえば、ニェドチカが昔ノヴォキッチェヴに住んでたって言ってなかったか?
パイモン:
この「アルヴィス」は誰だろう…
パイモン:
ああ、おまえがペールクラウンパレスに入る前に見た、昔の「静源所」か…
パイモン:
アルヴィスもその中に出てきたのか?
旅人:
直接は見てないけど…
「グライアイの眼」:
アルヴィス…小さき者たちの大公ドモヴォーイ…確かにかつて「静源所」の一員でした。残念ながら、思い出せるのは名前くらいですが…
パイモン:
誰かはわかんないけど…メモの内容からして、ろくな目に遭わなかったみたいだな。
パイモン:
あれ、裏にまだ何か書いてあるぞ。「王の血肉を還せ、『鍵』で新たな時代を切り拓け——これこそ最終の使命。」
「グライアイの眼」:
……
パイモン:
どういうことだ…?
「グライアイの眼」:
砕け散った体は、力を回収したとしても、自ら再構築することはできません。あるところへ…置かなければならないのです。
パイモン:
なるほど、拾えばいいってわけじゃないのか…
旅人:
勝手に合成されるのかと思ってた!
パイモン:
合成台みたいなものかもな。よく考えてみたら、これも三つで一つに合成するってことだしさ。
パイモン:
でも、「グライアイ」の体を直すには…いったいどこに置けばいいんだ?
「グライアイの眼」:
「血肉はすでに砕け散り、聖なる躯体を再構築し、鍵を鍛え直し、彼方の扉を叩き、帰還するのです。王の血肉は帰還すべきです…帰還すべき場所は…」
「グライアイの眼」:
「憂いなき庭園。」
パイモン:
憂いなき庭園?どこだ、それ?
「グライアイの眼」:
……
「グライアイの眼」:
…あそこです。