arrow_back 原神 クエスト
ハーモニック・ワルツ・第一幕

一夜で完成した楽園


「棘薔薇の会」に学ぶ運営法
準備が整った後、ナヴィアから「シュヴァルマラン映影ランド」の運営についての指導を受けた…
ナヴィア:
旅人、いらっしゃい!
ナヴィア:
「シュヴァルマラン映影ランド」ファミリーに加わる準備はできた?
旅人:
他に用事がある。
ナヴィア:
うんうん、いつでも来て!
旅人:
ばっちり。
ナヴィア:
さて、相棒、パイモン。いよいよ「シュヴァルマラン映影ランド」始動よ!
ナヴィア:
前にも言ったように、この映影ランドは愛好家たちが作り上げたもので、棘薔薇の会がその統括と設営、運営を任されてるの。
ナヴィア:
でも、みんなも何でもできるプロってわけじゃないし、普段はイベントブースのデザインだけを担当してる。
ナヴィア:
あたしたちの役割は長期的な運営計画を立てて、基本的な攻略法を作ることよ。
パイモン:
長期、経営、計画…なんだか難しそうだぞ!
パイモン:
オイラたちはいつも冒険してるし、お店を出したこともほとんどないのに…ちゃんとできるのかな?
ナヴィア:
うんうん、その意気よ!さすがあたしの相棒、テイワットのビジネス業界に嵐を巻き起こしてきたのね!
ナヴィア:
とにかく、まずは映影ランドの基本情報を確認してみましょ…
パイモン:
大体わかった気がするぜ。おまえはどうだ?
旅人:
こんなの朝飯前だよ!
パイモン:
おう!一緒に頑張ろうぜ!
パイモン:
基本的な攻略法とか言ってたけど…基本以外のやり方もあるのか?
ナヴィア:
もちろん。映影やアトラクションに対する理解は人それぞれだもの。映影ランドにはスリリングなアトラクションもたくさんあるしね。
ナヴィア:
もしかしたら、来場者が道に迷って映影ランドのエリアから出ちゃったり…
ナヴィア:
備品の使い方を間違えて、危ない目に遭ったりしちゃうかもでしょ。
ナヴィア:
だから、お客さんが困らないように、イベントごとの基本的な攻略法を考えてあげるの!
旅人:
つまり俺が先に遊ぶんだね。
パイモン:
言われてみれば、アクシデントは色々ありそうだよな…
パイモン:
それに、難しいステージは、オイラたちくらい実力があるやつじゃないと楽にクリアできないもんな!
ナヴィア:
そう言うこと。もちろん、相棒を危険な目に遭わせるわけにはいかないから、すでにアトラクションは一通りチェックしてあるし、安全面の問題はないはずよ。
ナヴィア:
あんたたちには一番最初に遊んでほしいって気持ちもあったの。感想やアドバイスもぜひ聞かせて!
パイモン:
へへっ、さすがナヴィアだぜ!安心して遊べそうだな!
ナヴィア:
あんたたちの意見、楽しみにしてるよ!
ナヴィア:
さあ、まずは「カラフル・アドベンチャー」を存分に楽しんで、最初の攻略法を作りましょ!
ナヴィア:
さ、カラフル・アドベンチャーで遊んでみて。攻略法は任せたからね!
ナヴィア:
遊ぶ前よりも嬉しそう…お試しプレイでも楽しめたみたいね。
パイモン:
映影ってあんまり見たことないけど、遊んでみたらなんだか…興味が湧いてきたような?元ネタが気になってきたぞ!
ナヴィア:
ふふ、愛好家たちの第一目標達成ね!
ナヴィア:
アトラクションの原作である映影に興味を持ってもらうことこそ、愛好家たちにとって一番の喜びなんだから!
ナヴィア:
予算次第では、自腹で資金を出してくれる人もいるくらいなのよ!
パイモン:
じ…自腹で!?
ナヴィア:
そう。ブースの建材とか借地料は棘薔薇の会が負担してるんだけど、自腹で宣伝素材やグッズを作ってる人も結構いるのよ!
ナヴィア:
出店費用はそれほどかからないからって言って、映影のキャラクターをモチーフにしたグッズをデザインする人とかね。
ナヴィア:
例えば、今回のイメージキャラクターのシュヴァルマラン婦人は、「丸くてポヨポヨ、最高に可愛い!」ってことで人気投票のパンテュール映影部門で準優勝したから——
ナヴィア:
抱き枕を作りたいって考えた人がいっぱいいてね。最高級の生地を使って、一番器用な職人に依頼して、大量生産したの…
ナヴィア:
次回の展示会では、その抱き枕が正式に発売される予定だそうよ。ほかにも似たような商品がどっさり!
旅人:
ちょっとワクワクしてきた…
ナヴィア:
ね、悪くないでしょ?それに、売り上げの六割は肖像権代理人兼シュヴァルマラン婦人の保護者であるフリーナに渡るのよ!
ナヴィア:
とにかく、これはみんな自発的にやったことなの。お金儲けのためじゃなくて、シュヴァルマラン婦人の可愛さをもっと多くの人に知ってもらうのが目的。
ナヴィア:
フリーナに渡るモラが多ければ多いほど、シュヴァルマラン婦人の暮らしも良くなる。みんなハッピーでしょ。
パイモン:
みんなが同じ趣味のために、利益を気にせずに頑張る——へへっ、オイラ、そういうの大好きだぜ!
ナヴィア:
モラのことを全然気にしないっていうのも、ちょっと行き過ぎなんだけどね。愛好家たちの作品もビジネスとして、基本的な収支バランスを考えないと。
ナヴィア:
今回の「シュヴァルマラン映影ランド」だってそう。
ナヴィア:
基本の攻略法さえ決まれば、アトラクションは正式にオープンできる。ただ、あたしたちは自分でチケットを売るわけにはいかないのよね。
ナヴィア:
こっちはブースの雑務を片付けたり映影ランドの建設を進めたりしないといけないから、アトラクションごとにスタッフを配置して、管理することになる予定よ。
ナヴィア:
映影ランドの掲示板には求人のコーナーがあるんだけど、すでに履歴書がたくさん届いているから、それぞれの長所や求める人材像を鑑みて、一番優秀な人を雇いましょ!
ナヴィア:
いい人材が来れば、アトラクションもうまく回るし、「シュヴァルマラン映影ランド」の収益もどんどん上がってくはずよ!
パイモン:
えっ?いきなり試遊客からボスに転職するのか?そんなの、やったことないぞ…
旅人:
はちゃめちゃに厳しく見るから!
パイモン:
絶対に自分を基準にするなよ。普通のやつはおまえほどスゴくないんだからな。
パイモン:
よし、じゃあ選考に移ろうぜ!優秀なやつがいるといいな!
ナヴィア:
履歴書を見る時は、相手の得意分野をチェックしてね!
パイモン:
よし、ここのスタッフはスタンバイできたみたいだな。
ナヴィア:
ふふっ、あんたたちもなかなかやるね。あたしよりもボスのオーラ、出てるんじゃない?
ナヴィア:
さあ、「シュヴァルマラン映影ランド」、いよいよ正式オープンよ!
ナヴィア:
映影ランドの運営は長期的な戦いだから、焦ってもしょうがないよ。
ナヴィア:
今回の仕事はそろそろ一段落ってところかしら。ちょっと休んで、今期の運営レポートが出来上がるのを待ちましょ。
ナヴィア:
いいスタートを切れたね。さ、そろそろ次の運営サイクルよ!
ナヴィア:
へえ、目を見張るような…ってほどじゃないけど、オープンしたばかりにしては上々ね!
ナヴィア:
この調子で、次も頑張って戦略を練りましょ。
ナヴィア:
映影ランドの人気上昇のために、フォンテーヌの有名シェフ——友達のエスコフィエを呼んだのよ!
ナヴィア:
映影ランドの厨房が彼女の舞台よ。よかったら話しかけてみて。
パイモン:
レストランも戦略の一環ってことか?奥が深いな…
エスコフィエ:
ふーん…
エスコフィエ:
なかなかの環境ね。水辺で食事をするって雰囲気は格別だわ。映影テーマのセッティングで、お客さんたちもテンションが上がって、より食事を楽しめる…
エスコフィエ:
食材も揃っているわね。調理器具さえあれば、すぐ始められそうだわ。
パイモン:
こんにちは、エスコフィエ!
エスコフィエ:
あら?雇い主たちのお出ましね。
エスコフィエ:
棘薔薇の会のボス、そして有名な旅人とパイモン…そうそうたる運営陣ね——贅沢すぎるわ。
ナヴィア:
それを言うなら、ホテル・ドゥボールの元シェフこそ贅沢でしょ。どこにいても、高級料理の匂いを漂わせちゃうんだから。
エスコフィエ:
ゴホンッ…本題に移りましょう。
エスコフィエ:
旅人に、各段階の「テーマメニュー」を決めてもらうって言ってたわよね?
旅人:
「テーマメニュー」?
ナヴィア:
これこそがこの前言った経営戦略よ!一流シェフの料理で、「シュヴァルマラン映影ランド」にお客さんをもっと呼び込むの!
ナヴィア:
エスコフィエの料理なら、きっと来たお客さんもあっと驚くはずよ!
ナヴィア:
だってパイモン、考えてみて。チケット一枚で、思う存分遊べるだけじゃなくて、噂のグルメも食べられる——ワクワクしない?
パイモン:
おおっ!そんなの毎日来ちゃうぜ!
エスコフィエ:
でも、メニューを全部公開したら、客寄せの効果は半減してしまうわ。
エスコフィエ:
とあるグルメブランドの顧問の調査によると、多くのレストランはシェフおまかせメニューを採用しているの。
エスコフィエ:
ということで、貴方には定期的にどんな「テーマメニュー」を出すのか、アイデアを出してほしいわ。
エスコフィエ:
手を出して。
旅人:
えっ…手?
エスコフィエ:
温かい。活力に満ちた手ね。
エスコフィエ:
剣の柄に触れてきた場所にはまめができるものだけど、貴方の手はとても繊細だわ。きっと琴の弦に触るように剣を握ってたんでしょう…
エスコフィエ:
「剣」…そうね。今回のテーマは「力」にしましょう。
エスコフィエ:
貴方がもたらしてくれた「力」というアイデアがどんな料理を生み出すか…楽しみにしていて頂戴——
エスコフィエ:
貴方がもたらしてくれた「力」というアイデアがどんな料理を生み出すか…楽しみにしていて頂戴——
ナヴィア:
へえ、これがエスコフィエの「即興!隠し味入りシークレットメニュー」ね…
エスコフィエ:
このスペアリブのローストはソースの味付けを改良したの。オリジナルのよりも味が濃厚で、脂っこくないわ。
エスコフィエ:
ミントエキスの後味が爽やかですっきりするから、思いっきり遊んだ後におすすめよ。
エスコフィエ:
でもお客さんより、スタッフ向きのメニューね。
パイモン:
スタッフ?
エスコフィエ:
映影ランドはまだ建設が終わっていないでしょう?このスペアリブのローストを食べれば、きっと体力がすぐに回復して疲れがとれるはずよ。
エスコフィエ:
貴方たちは責任者なんだし、スタッフの食事問題を解決する必要があるでしょ?いっそ、ここに呼び集めたらどう?
エスコフィエ:
美味しいものを食べれば士気も上がって、効率が良くなるかもしれないわよ。
ナヴィア:
なるほど…サーンドル河の運搬作業人にも特製フィッシュアンドチップスを振る舞ったことがあったけど…
ナヴィア:
作業員たちの効率がだいぶ上がって、八時間分の仕事を五時間で終わらせてくれてた。次の日もすごく元気だったよね。
エスコフィエ:
それじゃあ早速、冷めないうちにスタッフを呼んできてちょうだい。副菜やデザートも用意しておくわ。
パイモン:
おお!さすがエスコフィエだな!
パイモン:
「テーマメニュー」もきっとすごい効果を発揮できると思うぞ。しばらく定期的にこっちも見に来ないとな!
ナヴィアと一緒にスタッフを呼び集め、特製の料理を振舞った…
ナヴィア:
すべてが順調ね。それじゃ、施設の改良に取り掛かりましょ!
ナヴィア:
よし…準備万端!「シュヴァルマラン映影ランド」運営のコツ、掴めたみたいね!
パイモン:
えっ?そうなのかな?
パイモン:
でも確かに、いつの間にか、いろいろ身についた気がするぞ。
ナヴィア:
別に大したことは教えてないよ。あんたたちの理解力が高かっただけ。
ナヴィア:
長期的な戦いって聞いて、びっくりしたでしょ?
ナヴィア:
でも、複雑なことも細かく分けて、一つずつこなしていけば、たとえ天賦の才がなくたって出来るはずなのよ。
パイモン:
おおっ!成長したことを実感できれば、モチベーションも上がってくるもんな!ナヴィアの励ましの言葉、ノートにメモっておくぜ!
パイモン:
それじゃ、ナヴィアと一緒に、「シュヴァルマラン映影ランド」をもっと盛り上げていこう!

一夜で完成した楽園
フォンテーヌ廷で散策でもすることにした。
パイモン:
雑誌売り場だぞ。『スチームバード新聞』でも買って読むか?
パイモン:
フォンテーヌ人ってゴシップ好きだし、面白い記事が載ってそうだぜ!
パイモン:
ん?あれってシャルロットじゃないか?隣にいるのは…キィニチ!?
キィニチ:
これなんかどうだ?「失われた秘宝を発見!レムリアのティーカップの美しさを再び」。
シャルロット:
…ちょっと待って。もっとすごいの見つけちゃった!「違法な『竜肉』を提供するレストランが大人気!?」ですって。
キィニチ:
さすがだな。ただ、今一つパンチが足りないような…あ、これなら——
キィニチ:
「最高審判官、襲撃により重傷。多国密輸事件の裁判に出席ならず」。
シャルロット:
うっ…そんな…
シャルロット:
悔しいけど、私の負けね。
パイモン:
…えっ?えぇぇっ!?
パイモン:
オ、オイラの聞き間違いじゃないよな?ヌ、ヌヴィレットが襲撃に遭って…重傷!?
パイモン:
いやいやいや、きっとなにかの間違いだ…そうだよな?
シャルロット:
あら?聞き覚えのある声がすると思ったら、旅人とパイモンじゃない。
シャルロット:
まさに「噂をすれば」ね!さっき、ちょうどキィニチさんと君たちのことを話してたのよ。
シャルロット:
でも、キィニチさんは友達のことは勝手に語らない主義みたいで、あまり詳しい話はしてくれなかったの。
シャルロット:
もしよかったら、偉大なる英雄がナタの地でどんな冒険を経て見事凱旋を果たしたのか、聞かせてくれない?
旅人:
コホン…みんなが助けてくれたお陰だよ。
シャルロット:
君って相変わらず謙虚ね。
シャルロット:
あっ——挨拶もまだなのに、再会早々ごめんね。
シャルロット:
改めて…二人とも本当に久しぶりね!フォンテーヌには遊びに来たの?
キィニチ:
二人とも、ここで会えるとはな。
旅人:
嬉しいサプライズだったね。
パイモン:
おう、ついでにドッキリもな。
パイモン:
さっき、チラッと聞こえちゃったんだけど…「竜肉を出すレストラン」とか、「最高審判官が重傷」とか…ま、まさかホントじゃないよな?
シャルロット:
ああ、ゴシップ記事のタイトルのこと?
パイモン:
ゴシップ記事?
キィニチ:
ああ。どっちのほうがより無茶苦茶な記事を見つけられるか、勝負してたんだ。
キィニチ:
運よく…いや、そもそもネタが豊富だったからかもしれないが、勝たせてもらった。
シャルロット:
キィニチさんにフォンテーヌの不名誉な一面を見せるのは、ちょっと情けないけどね。
シャルロット:
フォンテーヌには、「衝撃の真相!」みたいなタイトルで人々の目を惹いて、販売数を伸ばそうと目論む三流の新聞社があるの…
シャルロット:
良心を捨てきってはいないのか、本文の中でタイトルに語弊があることについて一応説明はするんだけど。まあ、購入させるための卑劣な手段って事実は変わらないわよね。
シャルロット:
一方で、完全にでっち上げて書いちゃうところもあるの。さっき私たちが読んでたのがそう。
キィニチ:
1%ぐらいは事実も含まれてるだろう。
シャルロット:
あらあら、キィニチさんったら寛容なコメントね。
アハウ:
はぁ!?こいつが寛容だって?冗談じゃ…うっ!
キィニチ:
誤解しないでくれ——真実だと言ってるわけじゃない。ただ、いくら想像力が豊かでも、元ネタくらいはあるものだ。
パイモン:
じゃあさっきのゴシップも、ある程度は事実を基にしてるのか?
キィニチ:
ああ。確かに先日、密輸事件があった。
キィニチ:
レストランで竜肉が提供されてるって話やティーカップが出土したって話は、密輸品をめぐる噂から生まれたんだろう。
キィニチ:
だが実際に密輸されていたのは、ナタの古代遺跡で見つかったいくつかの遺物だ。
キィニチ:
いずれにせよ、被害に遭った竜はいないってことだ。
シャルロット:
あの事件の裁判でヌヴィレット様が審判席に座らなかったのは、単に最初から他の審判官に任せてたからよ。
シャルロット:
パレ・メルモニアの審判官はヌヴィレット様一人だけじゃないし、すべての事件を処理されるわけじゃないわ。
シャルロット:
そういえば、あの裁判がつつがなく終わったのは、キィニチさんが証人として出廷してくれたおかげだったわよね。
パイモン:
なるほどな、ほっとしたぜ。へへ、びっくりしすぎて、キィニチがなんでフォンテーヌにいるのかも聞きそびれちゃったぜ。
旅人:
全部デタラメな記事だったんだね。
シャルロット:
はぁ…キィニチさん。『スチームバード新聞』の独占取材を受けてくださらないかしら。
キィニチ:
さほど複雑な事件じゃないだろ?法廷で述べたことだけで分かったはずだ。
キィニチ:
それより、シャルロットさんは俺からナタのニュースを引っ張り出したいんじゃないか?
シャルロット:
あっ、鋭い。さすがナタきっての竜狩り人ね。
キィニチ:
依頼はありがたいが、さっきも言ったように、俺はしゃべるのが得意じゃない…
アハウ:
ハハハッ!キィニチの口下手、話下手!
パイモン:
ん?
キィニチ:
…俺よりも旅人のほうが適任かもな。
旅人:
こっちにパスされちゃった。
シャルロット:
たしかに!いいアイデアね!
シャルロット:
それなら、いろいろ準備しないと。少し時間をちょうだい。質問を全部リストにまとめてくるから!
旅人:
断る選択肢すらないの?
シャルロット:
へへっ、それについてはまた後で。もちろん、君の意思を尊重するつもりよ。
シャルロット:
そろそろ仕事に戻らないと。ゴシップ誌のデタラメ記事がどんどんエスカレートしてるってことは、ちゃんと共律官に報告しておくわ!
シャルロット:
それじゃ、私はこれで。またね!
パイモン:
うわぁ、嵐のようなやつだな…
パイモン:
そうだ、さっきから気になってたんだけど…
パイモン:
その…さっきアハウ…に似たなにかがチラッと見えたような…?
キィニチ:
ああ。
キィニチ:
アハウだ。
パイモン:
えっ!?
パイモン:
口が悪いのは相変わらずだけど、いつもより大人しいよな。ってか、なんで隠れてるんだ?
旅人:
ホームシックだったりして。
キィニチ:
かもな。
パイモン:
へへっ、「偉大なる聖龍」も大したことないな。
キィニチ:
言い返したくてうずうずしてるだろうが、今は出てこられないんだ。
パイモン:
えっ?なんでだ?
キィニチ:
実のところ、体は問題ないんだが…こっちに着いてから、ある変わった法律があると知ってな。
キィニチ:
月始めの三日間、フォンテーヌ廷では飛行物を連れて外出してはいけないらしい。
旅人:
あ、それ知ってる。
パイモン:
おう!オイラ、よ~く知ってるぞ!
パイモン:
つまり、キィニチがアハウのしっぽを掴んでる限り、「空飛ぶ竜」じゃなくて「風船竜」になるから、問題なしってわけだ。
キィニチ:
ああ、俺もそう思ったんだが、「プンプン怒る小さな風船」になるのに抵抗があるみたいで。
キィニチ:
そのくせ、しょっちゅう出てきて周りを驚かすから、困ってるんだ。
キィニチ:
ところで、今朝パレ・メルモニアの告知板で見たんだが、街の外で「映影」にちなんだイベントがあるらしい。
キィニチ:
フォンテーヌにはあと数日滞在する予定だから、観に行こうと思ってる。
キィニチ:
このうるさい風船にとっても、世間を知るいい機会になるだろうしな。
キィニチ:
もし時間があるなら、一緒にどうだ?
旅人:
いいよ、激おこアハウを見てたいし。
キィニチ:
方角は分かってる。案内しよう。
キィニチ:
ここらしいな。
パイモン:
わぁ——ちょっと前まではなにもない砂浜だったなんて、信じられないぞ!
キィニチ:
たしかに。数日前、証人として出廷するために歌劇場へ向かった時も通ったが、まだ何もなかった。
キィニチ:
フォンテーヌにも仕事人がいるみたいだな。
レピーヌ・ポーリーン:
数日どころか、一晩あれば十分ですよ!パパパーっと、あっという間に完成です!
レピーヌ・ポーリーン:
これぐらいで感心していただけるとは…いやいや、勝手に舞い上がって変に自信がついても痛い目に遭うだけ…
レピーヌ・ポーリーン:
ああっ、私のことを覚えてくださっていたのですね!そうです、あの不運のレピーヌ・ポーリーンです!
レピーヌ・ポーリーン:
ええ、お陰様で。一晩で映影ランドを完成させられたのも、地に足をつけて頑張った結果です!
パイモン:
映影ランド?
レピーヌ・ポーリーン:
ええ、仮の名ですが——映影ファンの思い描いたものを具現化した、ファンタジー溢れる楽園を目指しています!
レピーヌ・ポーリーン:
大袈裟に聞こえるかもしれませんが…本当にそう願って作ったのです。
レピーヌ・ポーリーン:
ご覧の通り、フォンテーヌの映影をテーマにしたパークで、映影ファンとともに作っていくというのがコンセプトです!
パイモン:
ともに作る?なら、少なくとも前回みたいに全財産をつぎ込むようなことはしてないよな?
レピーヌ・ポーリーン:
いえ!皆さんとともに作りあげるとはいえ、私の全財産もかかっています。
パイモン:
えっ!?またかよ!
アハウ:
ハッ!後先考えねぇで、一切合切つぎ込んじまうなんて、人間ってバカだな。
アハウ:
偉大なる聖龍の同情を乞おうなんて思わないことだ!嘲笑のみをくれてやる!
キィニチ:
すまない。このうるさいちびのことは気にしないでくれ。
アハウ:
ち、ちびだと!?…ちびニチに言われる筋合いはねえぞ!
レピーヌ・ポーリーン:
わぁ~、なんてクレバーなマシナリーなの!
レピーヌ・ポーリーン:
素晴らしい発明品ですねぇ。シャルロットさんにも見てもらわないと。もしかしたら量産を模索する価値が…
アハウ:
量産だと!?…ぶ、無礼な!
アハウ:
オレは天上天下唯我独尊、偉大なる聖龍だぞ!
アハウ:
あと、「クレバー」ってなんだ?
アハウ:
とにかく覚えておけ!我輩の名はクフル・アハウ——「知恵」の祖であり、お前たちの大先輩だ!
レピーヌ・ポーリーン:
そ、そうだったのですか…「知恵」の大先輩とも知らず…大変失礼しました!
パイモン:
バカとバカの邂逅だぜ。
ナヴィア:
ふふっ、盛り上がってるけど、新しい友達でもできたの?
レピーヌ・ポーリーン:
ナヴィアさん!
レピーヌ・ポーリーン:
ご紹介します。イベント会場の設営に身を砕いてくださった——フォンテーヌ「棘薔薇の会」会長のナヴィアさんです!
ナヴィア:
こんにちは、相棒!パイモンも元気だった?
キィニチ:
キィニチだ。よろしく頼む。
アハウ:
…おいおい、オレのこともちゃんと紹介しろ!気の利かないやつだな…
キィニチ:
道のド真ん中で声を張り上げて名乗っているやつの紹介なんているか?
ナヴィア:
あはは。さっきの自己紹介、ちゃんと聞こえてたから。
ナヴィア:
こちらが偉大なる聖龍アハウさんね。お会いできて光栄よ。
アハウ:
ふふん、礼儀正しいやつだな!お前らも少しは見習え!
アハウ:
コホン、ナヴィアと言ったな?教養のある汝には、偉大なる聖龍の名を呼ぶことを許可しよう!
パイモン:
ナヴィア、「偉大なる聖龍」って変なあだ名だと思わないか…プッ…
ナヴィア:
小動物って自分を大きく見せるものでしょ?きっと、大袈裟な名前を付けるのが好きなのよ。
旅人:
アハウ…小動物扱いされてる…
レピーヌ・ポーリーン:
一晩で設営が完了したのは、ひとえにナヴィアさんをはじめとする棘薔薇の会の皆さんのおかげです。本当にありがとうございました!
レピーヌ・ポーリーン:
はぁ、イベントの開催許可と会場の使用許可が下りるのを待ちに待った末…
レピーヌ・ポーリーン:
やっと許可通知書が届いたんです。その瞬間にナヴィアさんに連絡し、力を貸していただけないか相談しまして。
レピーヌ・ポーリーン:
私のわがままを聞いてくださるのなんて、優しい棘薔薇の会の方々くらいですから…うぅ…
ナヴィア:
あ…この人、感情が高ぶるとこうなっちゃうの。分かってあげて。
ナヴィア:
イベントの詳細はまだ話してないだろうから、代わりに説明させてもらうね。
ナヴィア:
簡単に言えば、「シュヴァルマラン映影ランド」は、レピーヌ・ポーリーンの発想と技術サポートのもとで開かれる、同好会みたいなイベントよ。テイワットの映影ファンなら誰でも大歓迎。
パイモン:
え、シュヴァルマラン?
レピーヌ・ポーリーン:
ええ、あのシュヴァルマラン婦人のことですよ!
レピーヌ・ポーリーン:
長きにわたる努力とお願いの甲斐あって、やっとフリーナ様…のご友人であるシュヴァルマラン婦人の肖像使用許可をいただいたのです!
レピーヌ・ポーリーン:
シュヴァルマラン婦人の愛らしいイメージで、より多くの人々のハートを射止め、同時に婦人の人気アップにも貢献する、まさに「ウィンウィン」の企画!
パイモン:
なるほど…いろいろ勉強したみたいだな!
パイモン:
ところで、おまえは映影技術の研究に方向転換したのか?
レピーヌ・ポーリーン:
完全にとは言えませんが…実は以前作ったサンプルレンズが、たまたまある撮影家の目にとまって、最先端の映影撮影に使われ…
レピーヌ・ポーリーン:
それをきっかけに、映影設備や道具の製作にもかかわるようになったのです。
ナヴィア:
我らがエンジニアを甘く見ないで。今回のイベントのトップ技術者なんだから。
ナヴィア:
棘薔薇の会は、主にイベントの運営や管理を担ってるの。
ナヴィア:
審査が通れば、誰でもブースを出してアイデアを形にできるのよ。レピーヌ・ポーリーンと私がそれぞれ技術面と運営面でサポートするから。
ナヴィア:
旅人、ここまで聞いてどう思う?
ナヴィア:
収益も見込めるし、あんたの協力があれば、きっとさらに大盛り上がりよ。
旅人:
面白そう。
パイモン:
グルメ系映影に出てくるみたいな、超豪華なご飯もほしいぜ!
レピーヌ・ポーリーン:
その点はご心配なく!
レピーヌ・ポーリーン:
出展側も参加者も、食事は欠かせませんからね。
レピーヌ・ポーリーン:
ナヴィアさんのご紹介で、テーマレストランのシェフには、かの有名なエスコフィエさんをお招きしております!
レピーヌ・ポーリーン:
あちらの方です…
エスコフィエ:
次に食材の量を間違えたら、まな板の上に乗るのは貴方よ!
レピーヌ・ポーリーン:
…あはは、お忙しいようで…
キィニチ:
アハウにピッタリの職場だな。
アハウ:
おい、何企んでやがる!
棘薔薇の会メンバー:
お嬢様、お話中失礼します。ちょっと見ていただきたいものが。
ナヴィア:
じゃあごめん、あたしはこれで。自由に見て回って。
ナヴィア:
イベントに参加してくれるなら、あとであたしのところに来て。
旅人:
うん、分かった。
エスコフィエ:
厳しすぎると思わないで頂戴。
エスコフィエ:
もしこんなひどい料理を出したら、次に来るのは…
エスコフィエ:
——置き忘れた銃を取りに戻ってくるお客さんよ!きっと、今度は弾を持って仕返しに来るわよ!
パイモン:
す、すごいお客さんだな…
レピーヌ・ポーリーン:
えっ…あはは。
パイモン:
なんだよその反応。まさか、本当にそんなお客さんがいたのか?
レピーヌ・ポーリーン:
あっ、いえ。ただ、ふと思い出して…確かにこの辺りで銃の落とし物があったんです。
パイモン:
えっ?
レピーヌ・ポーリーン:
設営前、会場内を片付けていたスタッフが、変わった箱を見つけたんです。しかも暗証番号つきの鍵までかかってて…
レピーヌ・ポーリーン:
見た感じはフォンテーヌで作られたものではなさそうで、どちらかと言えばナタっぽかったのですが…
キィニチ:
ん?
パイモン:
観光客が落としたのか?
レピーヌ・ポーリーン:
最初は私もそう思っていたのですが、板や石が積まれた中に埋もれていたところからすると、誰かがわざと隠したようにも思えて。
レピーヌ・ポーリーン:
でも、あれこれ推測しても始まりませんし、専門機関に渡すべきだと判断し——
レピーヌ・ポーリーン:
わざわざパレ・メルモニアまで届けてきました。すっかり疲れちゃいましたよ。
キィニチ:
パレ・メルモニアの人は?
レピーヌ・ポーリーン:
いつも通りですよ。簡単なことを難しくしちゃって。
レピーヌ・ポーリーン:
箱の中身を確認もしないまま、落とし物の知らせを誰が書くか「議論」が始まりました。
レピーヌ・ポーリーン:
幸い、セドナ警官がすぐに「危険物が入っているかもしれないから」って、マレショーセ・ファントムを呼んできて箱の鍵を開けてくれましたけど。
レピーヌ・ポーリーン:
そしたら、なんと銃が入っていたんです!
パイモン:
本当に危険物が入ってたんだな!
キィニチ:
よかったら、どんな銃だったか教えてもらえないか?
レピーヌ・ポーリーン:
そういえば、キィニチさんはナタのご出身ですもんね。銃には詳しいんですか?
キィニチ:
仕事柄、武器には多少興味があるんだ。
アハウ:
フン、オレがやった「力おもちゃ」にもう飽きたのか?これだからお子様は困るんだよ。
キィニチ:
ああ、とっくに飽きた。
アハウ:
んだと!?オレ様が授けたものをよくも…うっ、うわぁっ!
キィニチ:
年寄りはそろそろ休む時間だ。
キィニチ:
すまない——それで、銃の見た目は覚えてるか?
レピーヌ・ポーリーン:
えっと…説明するのは難しいですが、あまり銃っぽくないというか…
レピーヌ・ポーリーン:
ちょっと待ってくださいね。描いてみます…
レピーヌ・ポーリーン:
…こんな感じでしょうか…
パイモン:
おお、分かりやすい絵だな!
旅人:
さすがエンジニアさん。
レピーヌ・ポーリーン:
えへへ、大したことはありません…
キィニチ:
……
レピーヌ・ポーリーン:
あの…何か変なところがありましたか?
レピーヌ・ポーリーン:
でも、本物もこんな感じで、銃っぽくなかったんです!
レピーヌ・ポーリーン:
マレショーセ・ファントム曰く、射撃みたいな機能が確かに搭載されているそうですよ。
キィニチ:
いや、特徴をよくとらえた絵だ。ナタのもので間違いないと思う。
キィニチ:
すまない、絵に集中してたんだ。
キィニチ:
……
レピーヌ・ポーリーン:
はい、応援ありがとうございます!
キィニチ:
俺たちは何もしてない。
レピーヌ・ポーリーン:
いえいえ、わざわざ足を運んでくださいましたから!
レピーヌ・ポーリーン:
あっ、みんな作業を頑張っているので、私もそろそろ戻らないと…
レピーヌ・ポーリーン:
最後に——旅人さん、お会いできて本当に嬉しかったです!またご協力いただけるのを楽しみにしていますね!
旅人:
(キィニチ、何か話したいことがあるみたい…静かな場所を探そう。)
レピーヌ・ポーリーンと別れた後、キィニチと話しやすい場所に移った。
キィニチ:
お前も気づいただろ?あれは普通の銃じゃない。
旅人:
かなり古いものに見えたけど…
キィニチ:
ああ、古龍の遺跡から掘り出された年代物だろう。
キィニチ:
正確には「銃」というより「ハンドキャノン」に近いんだが——まぁ、みんなが銃と呼んでるなら合わせよう。
キィニチ:
古龍の時代の謎の遺物、それに俺がフォンテーヌに来た理由を合わせて考えれば…例の密輸事件の捜査を逃れたものかもしれない。
キィニチ:
パレ・メルモニアに行って確認してくる。
旅人:
一緒に行くよ。
キィニチ:
助かる。さっそく出発してもいいが…
キィニチ:
仲間たちと挨拶したいならそのあとでも構わない。ここで待ってる。
レピーヌ・ポーリーン:
設営予算を超えてしまった場所がいくつか…まぁ、とりあえずクオリティ重視でいきましょう!
イファ:
はぁ、参ったな…
オロルン:
マジかよ、きょうだい!
イファ:
俺のマネしてる場合かよ!
オロルン:
いや…友達を見かけたから、つい。
パイモン:
オロルン!なんでおまえがここに?こいつは…?
オロルン:
紹介しよう。
オロルン:
こちらは「きょうだい」…
パイモン:
えっと…
旅人:
「きょうだい」…?
オロルン:
きょうだいを治療してくれるきょうだいだ。
キィニチ:
ああ、そちらの「きょうだい」のことならよく知ってる。よろしく。
イファ:
おい…
パイモン:
うぅ…もう「きょうだい」はやめてくれ…
オロルン:
すまない、冗談だったんだが…こんなジョークがパイモンの身体に影響するとは思わなくて…
オロルン:
イファ、パイモンを診てやってくれないか。
イファ:
あのなあ、きょ…コホン、お前の話は真面目に言ってるのか、冗談なのか、マジでわからないんだよ。
イファ:
それからキィニチも。知り合って何年経ってると思う?あんたまで俺をからかうなんてな。
キィニチ:
すまない、つい。
イファ:
とにかく自己紹介するよ。初めまして、あんたの活躍は聞いてる。俺はイファ、花翼の集の竜医だ。
旅人:
会えて嬉しいよ、きょうだい。
パイモン:
うぅ…「きょうだい」はもう聞きたくないぞ…
パイモン:
あっ、いや、イファを嫌だって意味じゃなくて…と、とにかく、よろしくな、イファ!
パイモン:
オロルン、イファ!おまえたちもフォンテーヌに来たんだな。
イファ:
ん、あんたたちも来てたのか…?
イファ:
あ、いや、キィニチが例の密輸事件のためにフォンテーヌに来てるって話は聞いてたが。
キィニチ:
情報が早いな。
イファ:
ははっ、何せ初めての国外旅行で新聞に載ったヤツだからな。
キィニチ:
からかわないでくれ。俺がメインの記事じゃないだろ。
イファ:
でも、旅人とパイモンにまで会えるとはな。
オロルン:
イファ。
イファ:
ん?
オロルン:
いろんなところを旅するから、「旅人」なんだ。
イファ:
…ごもっともだ。
イファ:
さて、本題に戻ろう。ん…何の話をしていたっけな?
パイモン:
なんでフォンテーヌに来てるかって話だろ?
イファ:
カクークのためだ! 野菜のためだ。
イファ:
?
オロルン:
僕から話そう。「シュヴァルマロン映影ランド」…だったか?
パイモン:
「シュヴァルマラン」だろ?
オロルン:
ああ、また間違えた。
オロルン:
シュヴァルマラン姉さん、ごめん。
旅人:
気にしないで…
オロルン:
とにかく、そこのレストランからナタ産の野菜を至急調達したいと依頼を受けて、僕とイファが来ることになったんだ。
パイモン:
なるほど、野菜の配達に来たんだな。
イファ:
俺は付き添いでな。
イファ:
こいつ、ナタを離れるの初めてだろ?部族のじいちゃん、ばあちゃんたちが心配して、ついてこさせたんだ。
オロルン:
君だって初めてのくせに。
イファ:
オロルンよりは心配ないって思われたんだろう。なんでだろうな?
オロルン:
ふん。
オロルン:
つい最近まで働き詰めだった君を休ませるためだ。まさか気付いていなかったのか?
イファ:
おっと、俺も孫扱いされてたのか。
イファ:
はぁ、いくつだろうが、こいつとしばらく一緒にいると、子供扱いされちまうんだ。
オロルン:
いいことじゃないか?
イファ:
もちろん、いいこともあるけどな。
イファ:
じゃ、改めて自己紹介を——俺はイファ、五歳だ。
旅人:
よろしくね、イファくん。
パイモン:
め…めちゃくちゃだぞ…
パイモン:
そういえば、カクークはどうしたんだ?
パイモン:
あいつがここにいたら、賑やかだっただろうな…
イファ:
あいつは一緒じゃないんだ…はぁ、心配だ…
オロルン:
大丈夫だ、イファ。
オロルン:
君はもう大人だ。カクークがいなくても、うまくやっていける。
イファ:
心配なのはそこじゃない!
イファ:
まあいい。とにかくカクークを助けないと…
イファ:
カクークが大変なことになっちまったんだ。
パイモン:
ええっ、あいつ、あんなにちっちゃくて、言葉もロクに話せないのに…
キィニチ:
もしかして、「飛行物」の法律か?
イファ:
おお、あんたも同じ問題に引っかかったか?
キィニチ:
…ああ、アハウがな。
イファ:
ああ、あのお喋りなやつか。
イファ:
珍しく口を挟んでこないと思ったら、出てくるのを怖がってるんだな。
キィニチ:
それもあるが…一日分の無駄話の限度を超えたから、明日までミュートしておいた。
イファ:
容赦ないな。俺もカクークを縛り付けておけばよかったんだが、なかなかできなくて…
旅人:
完全に飛行物と見なされたんだね。
パイモン:
マジかよ、きょうだい——なんて言ってる場合じゃないな。カクークは警察隊に捕まっちゃったのか?
オロルン:
居場所がわかる分、そっちのほうがマシだった。
オロルン:
警察隊に追われて、この建物に飛び込んでしまったんだ。
オロルン:
今頃、刑事ものの映影に出てくるような、スリリングな追いかけっこを繰り広げているかもしれない…
パイモン:
た、建物って…
パイモン:
これか!?
オロルン:
ああ、一番高い建物を選ぶなんて、さすがカクークだ。
オロルン:
僕も飛べることは飛べるが…窓を一つずつ確認するには時間がかかる。
オロルン:
イファは…竜の仲間がいないと高く飛べないんだ。すまない。
イファ:
俺のせいじゃないだろ。なんで謝るんだ。
パイモン:
っていうか、高く飛べるかどうかは別に関係ないだろ!
パイモン:
狩人に追い込まれた獲物が罠に飛び込んでしまった、みたいな状況だな。
パイモン:
うぅ、宙を舞う書類と飛び交う弾を掻き分けながら、カクークが必死に逃げる姿が目に浮かぶぜ…
オロルン:
カクークは素晴らしい竜だ。きっとうまく逃げおおせるに違いない。
旅人:
(ってことは…建物の中には素晴らしい竜と龍がいるわけか…)
イファ:
おいおいきょうだい、マジで言ってんのか。
オロルン:
もちろん。こんなことで嘘をついても仕方ない。
パイモン:
まあまあ…みんな素晴らしい竜、じゃなくて、素晴らしい人ってことでいいじゃないか。
パイモン:
それより、中に入ってカクークを探さないとな。
旅人:
ちょうどキィニチと向かってたところ。
キィニチ:
ああ、代わりに見てくる。
イファ:
いいのか?助かるぜ!
オロルン:
もしカクークが言うことを聞かなかったら、羽毛を二本ほどむしってもいい。
イファ:
なんでお前が決める?
オロルン:
じゃ、君が決めてくれ。きょうだい。
イファ:
分かった。カクークが聞く耳を持たなかったら、羽毛を二本むしってもいい。
オロルン:
もしカクークが文句を言ってきたら、僕たちがやれと言ったと言ってくれ。
イファ:
はは、文句は言わないだろうさ。
オロルン:
外でカクークに出会った時、保護してやらないかと提案したのは僕だったんだが、ここまで甘やかすとは思わなかった。
イファ:
俺も、お前に説教されるハメになるとは、思ってなかったよ。
オロルン:
僕は予想してた。
イファ:
はぁ?
オロルン:
君は五歳だからな、しょうがない。
セドナ:
ヌヴィレット様の執務室から、なにやら不穏な音が…入って確認したほうがいいでしょうか…
コーネリア:
いつも通りだね。月初めの数日はいつも、こんな風に賑やかなんだ。
ユーノミア:
何の音かな?中で喧嘩でもしてる?
カクーク:
きょうだい、マジかよ!
ヌヴィレット:
……
リオセスリ:
ナタから来たってこいつが言ったのか?
ヌヴィレット:
いや。 違う!
ヌヴィレット:
言葉自体は分かるが、どうも意味が…
パイモン:
おいおい…
旅人:
マジかよ…
カクーク:
きょうだい!
リオセスリ:
ハハッ…その台詞、もう何回も聞かされたよ。
ヌヴィレット:
ん?知り合いか?
パイモン:
おう、知人…じゃなかった、知竜だぞ。
リオセスリ:
すぐに主が見つかってよかった。
リオセスリ:
おかげで落とし物の書類が一枚減ったな、ヌヴィレットさん。
カクーク:
なに!?
リオセスリ:
ところで旅人、ヌヴィレットさんに何か用かい?
リオセスリ:
こっちの話は済んだし、俺がいないほうがよければ、先に失礼するよ。
ヌヴィレット:
いや——リオセスリ殿の職務とも関係があるかもしれない。
ヌヴィレット:
私の記憶が正しければ、そちらの方は先日の密輸事件裁判で証人として出廷したキィニチ殿だろう。
ヌヴィレット:
あの件について何か疑問でも?
キィニチ:
さすが最高審判官、鋭いな。
パイモン:
キィニチ、ヌヴィレットと知り合いなのか?でも、裁判の時は他の審判官だったって言ってなかったか?
キィニチ:
お互い、新聞に載ってたからな。
キィニチ:
そちらは…
ヌヴィレット:
こちらはリオセスリ殿。メロピデ要塞——フォンテーヌの監獄の責任者だ。
ヌヴィレット:
事件に関する内容なら、聞かれても問題ない。
リオセスリ:
よろしく。
カクーク:
よろしく!
リオセスリ:
ほう、なかなかうまいじゃないか。
リオセスリ:
けど、カクークはこの場にいて大丈夫かい?
カクーク:
マジかよ!
ヌヴィレット:
ふむ…
ヌヴィレット:
決して口外はしないと言っているようだ。
ヌヴィレット:
ただし後ほど、秘密保持契約を結んでもらう。
カクーク:
わかった、きょうだい!
旅人:
(なんだか不思議な光景だけど、カクークとヌヴィレット、気が合うみたい。)
ヌヴィレット:
では、話を聞こう。
ヌヴィレット:
キィニチ殿、事件について気になることがあれば遠慮なく言ってくれ。
キィニチ:
分かった…
レピーヌ・ポーリーンが「銃」を拾ったことについて説明した。
パイモン:
オロルン、イファ!カクークを見つけたぞ!
イファ:
あいつ、無事か?ひどい目に遭ってなかったか?
旅人:
いい知らせと悪い知らせがある。
イファ:
マジかよ…
イファ:
カクークを連れて戻らなかった時点で…覚悟はしてる。
オロルン:
そう落ち込まないでくれ、イファ。カクークは立派な建物の中での暮らしが気に入っただけかもしれない。
オロルン:
子供は成長するものだし、子供にも選ぶ権利がある。
イファ:
おいおいきょうだい、マジで言ってんのか。
パイモン:
ちょっと待てよ、早とちりするなって。
パイモン:
カクークは怪我ひとつないし、むしろ元気いっぱいだぞ。
キィニチ:
逮捕されたわけじゃないから、牢に入れられることもない。
旅人:
偉い人たちと話に花を咲かせてたよ。
オロルン:
ほらな。
イファ:
いや、余計不安になってきたが…
パイモン:
で、悪い知らせは…ま、悪いってほどでもないけど…
パイモン:
カクークは機密情報に触れたから、秘密保持の書類にサインしないといけないらしいんだ。それでしばらく、パレ・メルモニアに残ることになった。
パイモン:
でも、心配いらないぞ。カクークと一緒にいるやつらはすごく優しいからな。
旅人:
だから、もう少し待ってて。
イファ:
ふぅ…確かに悪い知らせとは言えないな!安心したぜ。
キィニチ:
カクークが戻ってくる頃には、飛行物の禁止期間も終わってるはずだ。
オロルン:
あいつには悪いが、先に観光するしかないな。
パイモン:
ぜんぜん悪いと思ってなさそうな顔だぞ。
イファ:
とにかく、世話になったな。俺たちはホテル・ドゥボールに泊まってるから、何かあれば来てくれ。
旅人:
わかった、きょうだい。
パイモン:
これでカクークの件も一段落だな。二人とも、またな!