arrow_back 原神 クエスト
杯の中のバラッド 第一幕
遠方から舞い込む便り
任務一覧
収穫期が訪れ、モンドの冒険者協会は住民から大量の依頼を受けた。あなたとパイモンもキャサリンに頼まれてモンドに戻った…
キャサリン:
それでは確認させていただきますね…はい、リストにある任務はすべて完了しています。旅人さん、パイモンさん、お疲れさまでした。
キャサリン:
連絡を受けてすぐに駆けつけていただき、ありがとうございます。あなたたちが来てくれていなければ、これほど大量の依頼、処理できていなかったでしょう。
パイモン:
へへっ、お安い御用だぜ。でもこの二日間、確かに忙しかったけど、ほとんど荷物の配達やキャラバンの護衛ばっかりだったな。
パイモン:
人手が足りないって聞いたから、てっきり重要な任務だと勘違いしちゃったぞ。
キャサリン:
お二人ともベテランの冒険者ですから、確かにこういう依頼をお願いするのはもったいないですよね。ただ、モンドは毎年この時期になると、似たような状況になるんです。
パイモン:
えっ、どうしてだ?
旅人:
「収穫の季節」だからね。
キャサリン:
はい、そうです。今は穀物や果物の収穫時期であり、お酒で有名なモンドにとっては、一年でもっとも重要な「醸造の期間」となります。
キャサリン:
農家は新鮮な農産物の販売を急ぎ、大手酒造業者は質の高い醸造の原料を買い付けます。
パイモン:
なるほど、最近お酒に関する話題をよく耳にするのはそのせいだったのか。
フィン:
えっ、なんだと?本当か?
ベルンハルト:
ああ、代理団長がみんなを本部のホールにお呼びなんだ!早く行かないと間に合わないぞ!
フィン:
おい、待ってくれ!
パイモン:
あの西風騎士の二人…だいぶ慌ててるみたいだな。
ガイア:
よぉ、旅人にパイモンじゃないか。元気にしてたか?
パイモン:
あっ、ガイア!ちょうどよかった、なんでみんな騎士団のほうに走って行ってるんだ?
旅人:
何か手伝えることはある?
ガイア:
ははっ、心配するな。お前らの手を必要とするようなことじゃあない。
ガイア:
実はさっき、大団長から騎士団に手紙が届いてな。代理団長が本部にみんなを招集して、その手紙を開封することになったんだ。
パイモン:
なるほど、それなら安心…ってちょっと待った。今なんて言った?
パイモン:
西風騎士団の大団長って…うわさに聞く、あの遠征の指揮を執ってるファルカ団長のことか!?
パイモン:
ガイア、その手紙にはなにが書いてあるんだ?遠征隊の状況は?いつ戻ってくるんだ?
ガイア:
おっと、まさか俺よりパイモンのほうが大団長のことを気にしているとは…意外とおせっかいなんだな?
パイモン:
よく耳にするけど会ったことがない人だし、気になるのも当たり前だろ。ジン団長も騎士団の「生きた伝説だ」っていつも言ってるから、オイラすっごく気になってたんだ。
パイモン:
それに、遠征隊がここを離れてかなり長いよな。それなのに具体的な動きを耳にしないし。
ガイア:
はははっ、代理団長の評価もずいぶんと控えめだな。
ガイア:
あの人は伝説と呼ばれるようになるまでの間、周りにかなり迷惑をかけてきたんだぜ。詳しくは時間がある時にでも話してやるよ。
ガイア:
お前ら、ずいぶんと興味があるようだし、せっかくの機会だ、一緒に騎士団に行ってその内容を聞いてみないか?
ガイア:
栄誉騎士もだいぶ顔を出してないだろ。みんな寂しがってるぞ。
パイモン:
おう、じゃあ行ってみようぜ。キャサリン、またな。
キャサリン:
はい、気をつけていってらっしゃい。
ガイア:
さて、どうやら人も揃ったみたいだな。
リサ:
あら、可愛い子ちゃんにパイモンちゃん、あなたたちも来てたのね。手紙のことを聞いたのかしら?
パイモン:
ああ、さっき冒険者協会の近くでガイアに会って聞いたんだ。
パイモン:
うわぁ…ホールにこんなに人が集まってるところを見るのは初めてだな。
パイモン:
なんだかオイラまで緊張してきたぞ…
ガイア:
ははっ、そう固くなるな。俺が知る限り、大団長が手紙なんかを書く暇があるってことは、真面目な話じゃない可能性が高い。それに、悪い知らせじゃないのも確かだ。
リサ:
ガイアは少し誇張しているけど、わたくしも同意見だわ。
リサ:
何しろ、ミカは感情を顔に出しちゃう子だからね。
旅人:
ミカって誰のこと?
リサ:
ほら、階段の手前、ジンの横に立っている子よ。
リサ:
彼は以前エウルアの隊で測量士をやっていたの。測量の才能に恵まれた、実直な性格の子よ。遠征隊が出発する際、大団長に隊の斥候の要として任命されたの。
リサ:
今回の手紙も、彼が持ち帰ったものね。
ジン:
全員揃ったようだな。皆、静かにしてくれ。これより大団長からの手紙を読む。
ジン:
ミカ、任せたぞ。
ミカ:
は…はい!ジン団長!
ミカ:
コホン…皆さんこんにちは。僕は遊撃小隊の測量士ミカ、これまで遠征隊と共に任務を遂行していました。では、ファルカ大団長からの手紙を読ませていただきます。
ミカ:
「西風騎士団の諸君——元気にしてるか、ファルカだ。」
ミカ:
「まず最初に伝えたいのは、今のところ遠征隊は全員無事だということだ。安心してくれ。」
ベルンハルト:
よかったぁ!
フィン:
はぁ、手汗でびしょびしょになってたよ…
ジン:
……
ミカ:
あの…続けていいでしょうか?
ジン:
ああ、続けてくれ、ミカ。
ミカ:
「ということだから、こっからの内容はリラックスして聞いてくれたまえ。この手紙を焚き火の横で書いている今、俺と遠征隊はテイワットの北境に駐屯している。」
ミカ:
「遠征の目的は、過去に残された危険な秘密だと俺は言ったが、今もそれ以上のことは言えない。だが任務の進捗について、心配無用だということだけは保証する。」
ミカ:
「この二ヶ月の間、俺たちは思いがけない人物と出会った——ファデュイの執行官『隊長』だ。」
パイモン:
えっ、「隊長」?
旅人:
……
ミカ:
「ファデュイがモンドで好き放題暴れたことは知っている。だが、結果から言えば、今回『隊長』は俺たちに牙を向けていない。」
ミカ:
「(おそらく、今回スネージナヤと俺たちは運命共同体にあるからだろう)。」
ミカ:
「経歴や出身を見抜かれないよう、やつは仮面ですべてを覆い隠していた。だが、やつは紛れもなく鋼鉄のような人物と言えよう。生身の人間でありながら、神々へ挑むことを恐れていなかった。」
ミカ:
「やつならばクレーのクレヨンを使って、遺跡守衛のあの目ん玉みたいなコアを突き刺すことができるだろうな(お前らは試すなよ)。」
ミカ:
「偵察兵によると、『隊長』は三日前、命令を受けてナタへ向かったらしい。ようやくやつを警戒する必要がなくなって、俺らもぐっすり眠れそうだ。」
ミカ:
「やつの行動が俺たちに少しばかり役立ったことは認める。だがそれを加味しても、やつはまだ俺たちに借りがあるのは確かだ。」
ミカ:
「今頃、モンドは『ブリーズブリュー祭』を迎えているだろう。残念だが、今年もお前たちと祭りを楽しむことができそうにない。」
ミカ:
「遠征隊のやつらは、モンドの酒とお前たちと共に過ごした日々をいつも恋しく思ってる。」
ミカ:
「モンドの民と一緒に祭りを思う存分楽しめ。ついでに俺たちの分も飲んでおいてくれ。アカツキワイナリーが毎年出す、ブリュー祭限定ワインをな。」
ミカ:
「モンドにバルバトス様のご加護があらんことを。俺たちの想いも、風に乗ってお前らの元へ帰れるように——ファルカ。」
ミカ:
「追伸:『隊長』と俺、どっちがすごいかというと、この俺に決まってる!隊長なんざ、騎士団には十人もいるんだからな、ハーッハッハッ!」
ミカ:
手紙の内容は以上です。ありがとうございました。
ジン:
ミカ、ご苦労だった。
ミカ:
ジン団長、その…手紙の最後のページの裏にも、何か書いてあるようです…
ミカ:
「追追伸:紙が足りないからここに書いておくぜ。リサ、お前へのメッセージだ」…あっ、大団長からリサさんへのメッセージのようです。
リサ:
あら、わたくしに?
ジン:
特別なメッセージのようだ…リサ、また後でゆっくり話そう。
ジン:
皆、大団長が言ったように、数日後に「ブリュー祭」が開催される。このタイミングで遠征隊から無事を知らせる便りが届いたのは幸運なことだろう。
ジン:
彼らはモンドに戻り、共に祭りを楽しむことはできない。だが、ブリュー祭は皆が楽しみにしている行事だ。
ジン:
離れた地で頑張る遠征隊のためにも、そして勤勉なモンドの人々のためにも、各自持ち場を守り、職務に励んでほしい。
ジン:
もちろん、休みの間は適度にリラックスしてくれ。久方ぶりの祭りを楽しんでほしい。
ジン:
今日の会合は以上だ、解散。
パイモン:
ファデュイの「隊長」の話が出てくるなんて…オイラの聞き間違いじゃないよな。なんだか…重大な事件の匂いがするぞ…
パイモン:
でも、ファデュイのことなんかいったん忘れようぜ。それよりもブリュー祭って、タダで飲み食いできるお祭りっぽくないか?もっと情報はないのか!?
リサ:
可愛い子ちゃんたち、一緒にジンとお話ししない?さっきは人が多すぎて、挨拶もできなかったでしょ?
パイモン:
おう、そうだな。さっそくジン団長のところに行こうぜ。
ジン:
来たか、リサ。大団長の手紙はそこのテーブルの上にある。
ジン:
旅人にパイモン、久しぶりだな。さっきは仕事でバタバタしていて、挨拶もできずにすまない。
ジン:
もし時間があったら、少しモンドで過ごしていったらどうだろうか?もうすぐモンドでは「ブリュー祭」が始まるんだ。
リサ:
ジンは数日前からあなたたちのことを話していたのよ。
ジン:
リサ…
リサ:
ふふっ…ゆっくりおしゃべりしててちょうだい。わたくしは手紙を読んでくるわ。
パイモン:
おう!モンドはオイラたちにとって、旅の原点とも言える街だからな。大切な思い出もたくさんあるし!
パイモン:
そうだ、ジン団長、「ブリュー祭」についてオイラたちあんまり詳しくないんだ。どんなお祭りなのか教えてくれないか?
ジン:
ああ、もちろん。
ジン:
ブリュー祭は「バドルドー祭」や「風花祭」と同じく、古くからあるモンドの伝統的な祭りで、秋季の重要な行事でもある。
ジン:
毎年秋になると、モンドには西風が吹き始める。これは収穫期に漂うお酒の香りが魅力的で、お酒を愛する風神を引き寄せるからだと言われている。
ジン:
どこにいようと、あの方はそよ風となって故郷に帰ることができるんだ。
パイモン:
おお…まさに風神のイメージ通りだな…
ジン:
そのため、モンド人は西風を「ブリーズ」と呼び、「ブリュー祭」はバルバトス様を迎える祭りとして始まったという。
ジン:
かつてはこの時期になると、住民たちは新しくお酒を造り、翌年のブリュー祭の「ブリーズデイ」まで開けないようにしていた。
ジン:
人々が熟成したお酒を開けるということには、風神を招いて共に飲むという意味がある。風神がそのお酒の味を気に入れば、喜んでそよ風を呼び、尊い祝福を与えてくれるという言い伝えがあるんだ。
旅人:
「尊い祝福」?
パイモン:
あいつの性格からして…来年もみんなおいしいお酒が飲めますように、とかじゃないか?
ジン:
祝福の具体的な内容は…私もよく分からない。
ジン:
これらの言い伝えはあまりに古く、細かな内容は失われてしまっているんだ。
パイモン:
時代を超えて語り継がれてきたものって、まったく別の形になってたりするからな!例えば、モンド人は「風の花はどの花なのか」って議論したりするし…
リサ:
いわゆる民間伝承のひとつね。
ジン:
ああ。本題に戻るが、「ブリーズデイ」では風神を祀るという風習が今でも残っている。そして、この祭りもモンド人が収穫の喜びを分かち合い、美酒を味わう祝日になっているんだ。
ジン:
毎年この時期になると、異郷を旅しているモンド人が故郷に帰ってくる。モンドに帰ることができない人であれば、ブリュー祭の時期はもっとも故郷や家族が恋しくなるんだ。
パイモン:
おお!だから大団長も手紙に「俺たちの想いも、風に乗ってお前らの元へ帰れるように」って書いてたんだな。
ジン:
今年のイベントは…西風教会と冒険者協会が協力して、清泉町郊外のシードル湖で一緒に祝うことになってる。そして、期間中は伝統的な「ブリューフェア」を開催するんだ。
パイモン:
「ブリューフェア」?
ジン:
ああ、これは元々、酒造業者と農家がお酒の原料を取引するための市場だった。
ジン:
今では…出来上がったお酒だけでなく、この時期にしか口にできないジュースやお菓子がたくさん並び、さらにはリユース品や手工芸品を人々が売っている。
ジン:
この機会に、騎士団は街のお年寄りや子供たちのために、チャリティーショップを開くつもりだ。
パイモン:
おおっ、なんだか面白そうだな。
ジン:
時間があれば散策してみるといい。欲しいものに出会えるかもしれない。ところでリサ、大団長からのメッセージは何だったんだ?
リサ:
ええ、わたくしもちょうど相談しようと思っていたところよ。大団長に、レザーの「身分」に関する仕事を依頼されたの。
旅人:
レザーの身分?
パイモン:
レザーは、奔狼領の狼に育てられたって言ってたぞ。
パイモン:
両親が誰なのか知らないし、あいつの話によると、狼たちが「ルピカ」——つまり、あいつの家族なんだろ。
リサ:
わたくしが知っている情報とほとんど同じね。
リサ:
でも大団長曰く、時計の右側にある、三番目の棚の一番上に木箱が置いてあるらしいの。中には彼の両親が残したものが入っていて、「そろそろ渡す時が来た」とのことよ。
パイモン:
つまり、大団長はレザーの両親のことを知ってたんだな。
リサ:
ええ、そういうことになるわ。大団長とレザーの関係は、単に奔狼領で出会って、剣術を教えただけではなかったのね。
パイモン:
よし、じゃあさっそくレザーを探しに行こうぜ!実の親に関する情報なら、あいつにとってきっと重要なことだろ!
リサ:
ええ、そうね…
旅人:
パイモン、そう焦らない。
リサ:
すべてお見通しなのね、さすが可愛い子ちゃん。
リサ:
これまで自分とは関係のなかった本当の両親。普通の子なら、簡単に受け入れられる話ではないわ。
リサ:
ましてやレザーはずっと奔狼領で生活してきた。人間社会との関わりが少ない子よ…心の準備ができるかどうか…
ジン:
しかし、大団長もきっとその点を考慮しているはずだ。もしかしたら、レザーのことを考えた上で、このタイミングを選んだのかもしれない。
リサ:
それも一理あるわ。可愛い子ちゃんたち、お願いがあるんだけど、レザーと話してきてくれないかしら?
リサ:
レザーはわたくしのことを師匠として見ているから、悩みがあってもすべてを打ち明けてはくれないの。あなたたちはレザーの信頼できる友人でしょ。こういったことなら、わたくしよりも話しやすいかもしれないわ。
旅人:
安心して任せて。
リサ:
ええ、よろしく頼むわね。
リサ:
それから、できればたくさん元気づけてあげて。あの子くらいの年頃は、ケアとサポートがもっとも大切だから。
パイモン:
おい、見ろよ。清泉町の狩人たちが使ってそうな、狩り用の罠があるぞ…
旅人:
……
パイモン:
ん?なにか見つけたのか?
旅人:
罠の近くに雷元素の痕跡が…
パイモン:
雷元素の痕跡…まさかレザーか?おかしいぞ、以前は狩人たちが活動するエリアを避けてたのに。
パイモン:
とにかく、痕跡をたどって探してみよう。
ドゥラフ:
よし、これで最後の罠も設置完了だ。レザー、ここまでついてきてくれてご苦労だった。
レザー:
平気。走るのは、得意…ん?
ドゥラフ:
レザー、どうしたんだ?
レザー:
知ってる…匂い。遠くから帰ってきた、友達。
パイモン:
レザー——
パイモン:
あれ、ドゥラフも一緒にいる!もしかして、一緒に狩りをしてたのか?
ドゥラフ:
ああ。ちょうど収穫期に入ったからな、イノシシがよく街やワイナリーの辺りで食べ物を探し回ってるんだ。
ドゥラフ:
農作物を踏んづけたり、ブドウ棚を倒したりするならまだマシなんだが、人をケガさせちまったら大変だからな。
ドゥラフ:
安全なエリアからイノシシを追い出すために、西風騎士団の人が俺たち狩人に声をかけてくれたんだ。
レザー:
茶色の猫おじさんと、イノシシを捕まえて、みんなを守る。
パイモン:
おっ、レザーもずいぶん成長したな!以前は狩人たちを避けてたのに。
ドゥラフ:
ははっ、そう言うな、今回上手くいったのはレザーのおかげなんだ。こいつが狼に話を通してくれたことで、ここらで狩りをしている間、戦闘を避けることができたんだからな。
レザー:
みんなとルピカの役に立てて、うれしい。でも…たくさん話す必要があるから、疲れる。
パイモン:
おう!でもオイラたち、レザーに伝えなきゃいけない大事なことがあってここまで来たんだ…
ファルカの手紙の内容をレザーに伝えた…
レザー:
うぅ…
レザー:
オレ…知らない。
パイモン:
レザーは、本当の両親について知りたくないのか?
レザー:
知りたい。でも…知りたくない。
パイモン:
うーん、知りたいけど知りたくないってことか?複雑な心境だな…
ドゥラフ:
旅人、さっき仕掛けた罠の調整に手を貸してくれないか?レザーには、気持ちを整理する時間をやったほうがいいだろう。
旅人:
どうしたの?
ドゥラフ:
ああ、レザーの言葉を聞いて、ざっくりとだが予想がついてな。
ドゥラフ:
ここ最近、俺たちはいつも一緒に狩りをしていた。あの子は口数がホントに少ない。だが一緒にいる内に、多少なりとも性格が分かってきたんだ。
ドゥラフ:
彼はきっと本当の両親に会いたいと思ってる。ただ、未知なるものへの恐怖がすべてを上回ってるんだろう。
ドゥラフ:
俺はこう見えても父親だ。子供については多少の心得がある。
ドゥラフ:
ディオナがまだ幼かった頃、狩りで俺の帰りが遅くなると、それから数日間は見捨てられるのを恐れて、俺の行動のすべてをじっと観察するなんてことがあった。
パイモン:
つまり、レザーも本当の親に捨てられたって言われるのが怖いのか…
ドゥラフ:
そうだ、それが一番重要な問題だと思う。もしそれが真実だったら、俺たちが何を言っても焼け石に水だ。そして、他にも気になることがある…
ドゥラフ:
レザーは自分のペースで成長してる。すぐに消化できない悩みも多いとは思うが、確実に変化してる、それだけは間違いない。
ドゥラフ:
だが、実の両親に関する情報を目の前に突きつけられた時…自分がどこから来て、どこへ行くのか、そんな問題を短い期間で考えないといけなくなる。
パイモン:
ドゥラフは、なんだか考え方がリサさんと似てるな。これが大人なのか…
パイモン:
別の立場の人だと…たしかジン団長はこんなようなことを言ってたよな。人を信じて、直感を信じるって!
パイモン:
おまえはどう思う?
旅人:
遅かれ早かれ直面することだからね…
ドゥラフ:
ははっ、そうか。レザーにお前たちのような友達がいるのは心強い。
旅人:
パイモン、こうするのはどうかな…
パイモンに計画を伝えた…
パイモン:
おう、ラジャーだぜ!じゃあ、レザーを待たせないように、さっそく実行しようぜ!
パイモン:
レザー、どうだ、考えはまとまったか?
レザー:
まだ考えてる…心の中が、変…ググプラムが刺さったみたい。
旅人:
ファルカはどんな人だと思う?
レザー:
ファルカ?ううん…背が高くて、すごい人。よく笑う。
旅人:
ファルカのことは信用できる?
レザー:
ああ、信じる。
レザー:
…オレに優しい。名前を付けてくれて、戦いを教えてくれた。大事な任務で出かけたけど…オレ、会いたい。
パイモン:
知ってるか?ファルカは手紙を書き終えたのに、わざわざレザーのことを裏に書いて、おまえの両親のものを渡すようにリサさんに頼んだんだ。
パイモン:
つまり、それがおまえにとって特別な意味を持っているって考えたんだ。
パイモン:
それに…たとえなにがあっても、旅人とオイラ、リサさん、それにおまえの友達全員が、レザーの傍にいるぞ。
旅人:
大丈夫だから、安心して。
ドゥラフ:
その通り!「茶色の猫おじさん」もお前を応援してるぞ!
レザー:
…ああ、ありがとう。決めた、オレは…お前たちと、師匠のところに行く。
ドゥラフ:
ははっ、そうこないとな!
ドゥラフ:
先に行ってくれ。俺は手元の仕事をさっさと終わらせて、帰るつもりだ。ブリュー祭が始まる前に、娘との時間をたっぷり過ごさないとな。ははは…
パイモン:
おう、じゃあまた今度な。
パイモン:
リサさん、レザーを連れてきたぞ。
レザー:
師匠。オレ、物を見に来た。
リサ:
あら、狼ちゃん、元気そうでよかったわ。もう二人から説明を受けたようね。
リサ:
さあ、この木箱がそうよ。さっき取ってきたばかりで、まだ開けてないの。もし決心がついたら、自分の手で開けてみて。
レザー:
うん、もうついてる。
木箱:
パカッ——
パイモン:
ん、箱の中は…こまごまとした物ばっかだな。てっきり、手紙とかそういうのがあるもんだと思ってたけど。
パイモン:
まさか…時間が経ちすぎて、ファルカが他の木箱と勘違いしたのか!
レザー:
匂いがする。
パイモン:
匂いって、なんの匂いだ?
レザー:
ずっと昔…嗅いだことがある匂い。あの人たちの…匂い。
レザー:
人間の…パパとママの匂い。
旅人:
……
リサ:
子供のころに嗅いだ匂いを覚えているなんて、そんなことあるのね。
パイモン:
さすがレザーの嗅覚、野性じみた感覚も一種の才能なんだろうな。他にも手がかりがないか見てみようぜ!
パイモン:
あれ、この毛糸のぬいぐるみ…なんだか歪んでるけど、手作りだよな?…ん?こっちは遺跡守衛のパーツっぽいぞ。
パイモン:
おい…見ろよ。このボトル、空じゃない。まだ半分以上お酒が残ってる!
パイモン:
それに紙が貼ってあるぞ、「サウザンド」…「サウザンドウィンドブリュー」。
リサ:
あら?そのボトルの中身、「サウザンドウィンドブリュー」なの?
レザー:
師匠、知ってるのか?
リサ:
ええ。噂によると、「サウザンドウィンドブリュー」はモンド人が初めて習得した醸造法で造られたお酒よ。
リサ:
この名前の由来は、材料をたくさん入れるからという説と、家庭ごとに醸造した味が違うからという説があるの。
リサ:
様々な方法で醸造され、味をコントロールするのがとても難しいことを、本で読んだ覚えがあるわ。
リサ:
でも、この特性は酒造業の立場からしたら扱いにくいものよ。それに、彼らは配合が安定しているお酒を商品として選ぶ傾向にあるわ。
リサ:
だから、市場や酒場で「サウザンドウィンドブリュー」を見かけることはほとんどないの。
リサ:
狼ちゃん、これはあなたの両親が手作りしたお酒よ。
パイモン:
つまり、きっと重要なものなんだよな…あ、そうだ!レザー、せっかく鼻がいいんだから、開けて匂いを嗅いでみたらどうだ?もしかしたら、なにかわかるかもしれないぞ!
レザー:
分かった。
レザー:
……
パイモン:
あれ、すごく真剣に嗅いでるぞ…しかも笑った?
リサ:
どう?
レザー:
甘くて、ヒンヤリしてて、ちょっと苦い…好き。いろんなものが…入ってる。
レザー:
でも、本来の匂いとは…少し違う。
パイモン:
レザーですら違いが分からないのか?
レザー:
もう少し、嗅いでみる。
レザー:
……
レザー:
あ、うぅ…
リサ:
いいのよ、レザー。自分を追い込む必要はないわ。上手く行かない時はどうすればよかったかしら?
レザー:
違う方法を…試す。
リサ:
その通り。偉いわ、師匠の言葉をよく覚えてたわね。
リサ:
そろそろブリュー祭の時期よ。お酒に詳しい人がモンドに集まってくるから、きっと「サウザンドウィンドブリュー」の詳細を知っている人も現れるわ。
パイモン:
そうか、その手があったな!
旅人:
(ウェンティも来るよね?)
リサ:
開幕式はとても盛り上がるから、可愛い子ちゃんたちも見逃さないでね。レザーも一緒に会場に行って、聞き込みをするといいわ。
レザー:
うん。たくさん…聞いてみる。
パイモン:
傍にいてやるから安心しろ。オイラたちは…えーと…おまえがドゥラフと狼たちの間を取り持ってくれたように、架け橋になるぜ!
レザー:
分かった。じゃあ、オレ先に帰る。人間のパパとママのこと、ルピカに教える。
パイモン:
開幕式でまた会おうな!
ジン:
皆、待たせたな。今年の「ブリュー祭」も無事に開幕できた。
ジン:
祭りの期間は、モンドの住民の方々をはじめ、世界中から訪れた人々が美酒を分かち合い、収穫の喜びを満喫できることを願う。
ジン:
「ブリーズデイ」当日は、風神バルバトスの帰還を迎えるために、杯挙げの儀を行う予定だ。
ジン:
風の導くままに!
一同:
風の導くままに!
パイモン:
レザー!もう来てたのか。
レザー:
うぅ。人が…たくさん…
パイモン:
さあ、こっそり人探しに行くぞ。
レザー:
人…探し?
パイモン:
おう、情報通でお酒好きな吟遊野郎を探すんだ。あいつならなにか知ってるかもしれないからな。
パイモン:
吟遊野郎——!
ウェンティ:
やあ、旅人にパイモン。この素晴らしい祭りの時期なら、君たちに必ず会えると思ってたよ、えへへっ。
パイモン:
綺麗事ばっか言って、オイラ騙されないぞ。素晴らしい祭りとか言いつつ、結局はお酒が目当てなんだろ?
ウェンティ:
あはは、そんなこと言わないでよ。この祭りの魅力は、それだけじゃないんだから。
ウェンティ:
あれれ?レザーじゃないか。最近調子はどうだい?
レザー:
まあまあ。お前に聞きたいことが…ある。
パイモン:
そうそう、レザーはおまえに聞きたいことがあるんだ。吟遊野郎、「サウザンドウィンドブリュー」って知ってるか?
ウェンティ:
おや、なんとも懐かしい名前だね。えーっと…最後にその名前を聞いたのは、いつだったかなぁ?
パイモン:
実は、レザーの両親から木箱をもらったんだ。その中にはお酒が半分入ったボトルがあって、「サウザンドウィンドブリュー」って書かれた紙が貼ってあった。
パイモン:
古い製法で造られる歴史あるお酒らしいから…おまえならなにか知ってるかもって思ったんだけど。
レザー:
いい匂い。でも、何が入ってるか、分からない。
ウェンティ:
なるほど、「サウザンドウィンドブリュー」の製法が知りたいんだね?なら、ボクに聞いて大正解だよ。ボクはとある歌謡を知っている。その名も…同じくサウザンドウィンドブリューっていうんだ。
ウェンティ:
「ブリーズデイ」まで取っておこうと思ってたけど、友達のためだからしょうがない。どうだい、今すぐ謡ってあげようか?
レザー:
歌謡…よく分からない。でも、聞きたい。
ウェンティ:
悪くない返事だね、じゃあ始めるよ。
ウェンティ:
「これらを樽に封印し、
焦らず、待つのだ、風が吹き波が立つまで。
美酒のボトルをまず蝋で封じ、
南風は心地よく、北風は猛る。」
ウェンティ:
「美酒はどんな味か?
モンドの名、自由の夢。
何を発酵させ美酒となったのか?
探求する勇気、優しさに満ちた慈愛。」
ウェンティ:
「守護の執念は在りし日のまま、
謡を掲げる千風と共に。
酸味ある滴は甘くなり、粗雑な樽は潤わん、
焦らず、待つのだ、風が吹き波が立つまで。」
ウェンティ:
えへっ、拍手ありがとう。この歌謡は、みんなの役に立ったかな?
レザー:
お酒と似てる、少し甘くて、少しくらくらする。意味は、分からない。
パイモン:
レザーはともかく、オイラもよく分からなかったぞ!醸造のことを言ってるのは確かだけど、具体的な内容がまったくないじゃないか!
ウェンティ:
ははっ、ぼんやりとしたロマン、これもモンドの歌謡の特徴だからね。
パイモン:
醸造の材料に関係しそうなのは…うーん…
パイモン:
「探求する勇気、優しさに満ちた慈愛。守護の執念、謡を掲げる…千風…」
パイモン:
なんのことを言ってるのか、さっぱり見えてこないぞ。
パイモン:
おい、吟遊野郎!おまえ、実は全部知ってるんだろ?ちょっとくらいヒントをくれよ!
ウェンティ:
おっと、残念だけどボクは教鞭をとる厳しい先生じゃないからね。それに、歌謡にない内容をでっち上げろと言われても無理な相談さ。
ウェンティ:
香りの秘密を知るには、自分たちの力に頼るしかないよ。
パイモン:
自分の力に頼るって…オイラたちで醸造しろってことか?それに…醸造したらなにか分かるのかよ?おい吟遊野郎、嘘ついてないよな?
ウェンティ:
長い付き合いなのに、ボクの誠意を信じてくれないの?すっごく悲しいよ。
レザー:
…信じる。オレ…試してみたい。
レザー:
自分でお酒を造って、答えを探したい。
レザー:
お酒を造る方法が分かれば…パパとママのお酒に、何が入ってるのかも、分かる。
旅人:
同じことをすれば、確かに分かるかも…
レザー:
ああ。
レザー:
その人たちのこと…知りたい。
パイモン:
レザーがこう言ってるし、吟遊野郎のことを信じよう。初めてのお酒造りだ、失敗したって別に恥ずかしくないぞ!
ウェンティ:
安心して、自由にやればいいさ。思ったより難しくないから大丈夫。
ウェンティ:
楽しく真摯な気持ちで取り組めば、必ず期待通りの結果を得られるはずだよ。
レザー:
……
レザー:
歌謡、師匠に聞かせる。
レザー:
それから…自分で、考えてみる。
パイモン:
おう、その意気だぜ!じゃあ、二日後にまた会うってことでいいか?場所は同じくここにしよう!
レザー:
ああ、覚えた。じゃあ、また。
リサ:
教育、指導…これは教育者たるものの責任よ。あなたたちが戻ってくるまでに、ちゃんと準備しておくから。
リサ:
早く行ってあげて、可愛い子ちゃんたち。レザーのことは頼むわね。
ジン:
他に聞きたいことはあるか?
ジン:
ああ、手紙を送り届けてくれたミカのおかげだな。皆が無事であることこそが、私にとって最大の励みになる。
ジン:
しかし、ファデュイの執行官「隊長」が現れるとは、予想外だった。
ジン:
大団長の言葉遣いはいつも少し…独特だが、あんなに人を高く評価したのは初めてだ…
ジン:
今後、もし君たちが旅先でその「隊長」と遭遇したら、くれぐれも気を付けてくれ。こいつは只者ではない。
旅人:
さようなら。
ジン:
ああ。ブリュー祭で楽しい時間を過ごしてくれ。
ミカ:
わっ、こ、こんにちは、あなたは、その…ガイア隊長をお探しですか?僕のことはどうかお気になさらず!
ミカ:
えっ、うそ、どうしよう!?あっ、ガイア隊長…僕、何を話せばいいんでしょう?
ガイア:
ははっ、遠征隊に長いこといたのに、相変わらずだな。
ガイア:
さっき龍災について俺に聞いただろ。今、お前の目の前に立っているのが、あの伝説の栄誉騎士だ。
パイモン:
えっへん、そしてオイラが伝説のパイモンだ!
ミカ:
み…みなさん、どうも。お強いのですね。ぼ…僕、感激しました。あの…エウルア隊長に報告しないといけないので、先に失礼します!
ミカは足早に去って行った…
パイモン:
行っちゃったぞ…残念、もっと遠征隊のことを聞きたかったのに。
ガイア:
本当に残念だ。だが気にすることはない。あいつの目には、「街の話題の人物」としてお前たちが映ってるんだからな。
ガイア:
きっと時間が解決してくれるだろう。次に会う時は、自然と仲良くなれるかもしれない。
ガイア:
そうだ、ちょっとしたヒントをやろう。あいつとは野外での探索について話してみるといい。そうすれば信頼を得やすくなる。
ガイア:
どうだ、俺と一緒に来たおかげで、なかなか楽しめただろ?
ガイア:
みんなと「ブリュー祭」を過ごすために、お前らもモンドに滞在するんだよな?思いっきり楽しんでいってくれ。
ベルンハルト:
遠征隊があのファデュイの「隊長」に遭遇するなんて…あぁ、きっと危険な目に遭ったんだろうな。
フィン:
まったく、何を怖がってるんだ?僕たちには大団長がいるんだぞ!大団長なら…隊長十人分に相当するだろ?
フィン:
遠征隊の心配はしなくて大丈夫さ。それよりも、騎士団のチャリティーショップの出店は君の担当だったろ、準備は問題ないのか?
ベルンハルト:
その、まだ何を売るか決まってなくて…
エレン:
あれ、旅人じゃないか。君たちもブリュー祭のためにモンドに帰ってきたのかい?野外で活動するなら、最近はイノシシに気を付けたほうがいいよ。
パイモン:
おまえは、ドゥラフの弟子のエレンだよな!そうだ、レザーを見かけなかったか?奔狼領に住んでるやつなんだけど。
エレン:
レザー、誰だっけ…ああ!ドゥラフさんと一緒に狩りをしてる少年のことだね?今日は見かけてないな。
パイモン:
そうか…この辺りには雷元素の痕跡もないし、他を探してみようぜ。
リサ:
レザーが最初の一歩を踏み出したこと、師匠としてとてもうれしいわ。
リサ:
可愛い子ちゃんも、レザーとあちこち行って疲れたでしょ。お茶を入れてあげるから、一休みしない?
ウェンティ:
へへっ、ちょうどボクも話し足りないと思ってたんだ。
ウェンティ:
おや?じゃあ、もう一度あの部分を謡うね。
ウェンティ:
「これらを樽に封印し、
焦らず、待つのだ、風が吹き波が立つまで。
美酒のボトルをまず蝋で封じ、
南風は心地よく、北風は猛る。」
ウェンティ:
「美酒はどんな味か?
モンドの名、自由の夢。
何を発酵させ美酒となったのか?
探求する勇気、優しさに満ちた慈愛。」
ウェンティ:
「守護の執念は在りし日のまま、
謡を掲げる千風と共に。
酸味ある滴は甘くなり、粗雑な樽は潤わん、
焦らず、待つのだ、風が吹き波が立つまで。」