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サマータイムオデッセイ 其の一

再臨!金リンゴバカンス

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再臨!金リンゴバカンス
夏と共にやってきたのは一通の謎の手紙だった。どうやら、差出人は誰かを待っているらしい…
キャサリン:
旅人さん、いいところにいらっしゃいましたね。ちょうど、ご友人からの伝言が届いていますよ。
パイモン:
伝言?めずらしいな、誰からだ?
キャサリン:
「親愛なる臣下よ。感じなさい——運命の銀糸に包まれていることを。大幻夢森…ん?森羅万象…の瞳が、あなたを見つめている…」
キャサリン:
……
パイモン:
……
旅人:
……
キャサリン:
すみません、こんなに読みにくい文章はめったになくて…続きも聞かれますか?
パイモン:
げっ…明らかにフィッシュルからだな…どうする?
キャサリン:
「幽夜浄土の至高なる王城へと進むあなたを見守っているわ。速やかに謁見に訪れ、祝福の名の下に誓いを立て、世界の奥底へと同行なさい。」
キャサリン:
とにかく、この伝言を残されたフィッシュルさんは、お二人に大聖堂前の広場まで来てほしいとのことです。
キャサリン:
お時間があれば、行って差し上げてください。ずっと待っているとおっしゃっていました。
パイモン:
はぁ…意味不明の伝言なのに、してほしいことは具体的だな…やれやれだぜ…
パイモン:
来てほしいってことなら、あんまりフィッシュルを待たせない方がいいよな。さっそく大聖堂前の広場に行ってみようぜ。
パイモン:
あっちだ、モナもいるぞ!
フィッシュル:
来たのね、わたくしの最も忠実な従者よ!
モナ:
さっきは臣下だったのに、今は従者なんですね…
オズ:
申し訳ございません。ご機嫌のよろしい時、お嬢さまは大げさに話してしまわれるのです、お許しを。
パイモン:
フィッシュル、オイラたちに用があるんだろ?なにを喜んでるのかオイラにも教えろよ!
旅人:
みんな、久しぶり。
フィッシュル:
永夜の囁きがあなたをわたくしの元へ導いた。実に喜ばしきことだわ…これぞ夜の祝福の恩恵よ!この悦びをいざ、あなたと共に享受すべき…
オズ:
旅人さん、パイモンさん、ご無沙汰しております。お嬢様と私からご挨拶申し上げます。
パイモン:
オ、オイラもちゃんと挨拶したかったけど、どこで口を開けばいいのかわからなかったぞ…
モナ:
普通ここは「旅人さん、お元気ですか。」と言うところでしょう。
旅人:
ありがとう、ぼちぼちだよ。
フィッシュル:
フン!彼とわたくしは、天穹にかかる双星そのもの。この出会いがどんな運命を意味するのか、一番よく分かっているはずでは?
オズ:
その通りです!メギストス卿、そのような想像力に欠ける発言はお控えいただきたい。
パイモン:
メギストス…なんだそれ?
旅人:
またあだ名が変わった?
フィッシュル:
ふふっ。メギストス卿は幽夜浄土の一員であり、長きに渡ってわたくしに仕える、宮廷の首席大魔道士よ。
モナ:
コホン!彼女は私を苗字で呼んでいるだけなので気にしないでください…まったく、私まで恥ずかしくなっちゃったじゃないですか。
モナ:
Путешественник、今日あなたたちがここに来るようキャサリンに伝言を頼んだのは、フィッシュルでしたね?
フィッシュル:
ほう。それをも占うとは——流石は大魔道士。メギストス卿、なんて危険な女なの。
モナ:
そんなの占うまでもないじゃないですか!キャサリンに伝言を残したと、あなたが言ってたんでしょう!
モナ:
コホン!失礼。とにかく、私も家のドアを叩かれて呼び出されたんです…これから彼女がどんな発言をしても驚かないでください。
パイモン:
オイラたちには朝飯前だぜ、だてに世間を知ってないからな。怖くなんかないぞ。
フィッシュル:
我が従者たちよ。暗黒の運命を背負った我が祖国、幽夜浄土がこの世に帰還したわ。わたくしと共に立ち上がり、我が王朝の神聖なる栄光を見届けなさい!
パイモン:
……
パイモン:
待った、やっぱりオイラわからないぞ…
フィッシュル:
かように偉大で極秘なる天の啓示は、我がしもべのみが知る特権を持つ。幽夜浄土、モンド付近にあり!
旅人:
分かった、すぐ騎士団に報告しよう!
オズ:
ああ、なんということでしょう!
モナ:
あり得ないように聞こえるでしょうが、今回の情報は空騒ぎではありません。私もそれを証言できます。
モナ:
実は、フィッシュルは…
フィッシュル:
メギストス卿!
モナ:
あぁ——本当にしょうがないですね!まったく…どうして私のような天才占星術師がこんなおままごとに付き合わないといけないんですか…
モナ:
実は、皇女殿下は昨日、街の外で火花騎士クレーとお会いになりました。お二人は以前からお互いのことをよく知っていたため、すぐに話も弾みました。
モナ:
しかし日が暮れてしまったので、皇女殿下は気遣いと思いやりの精神で、クレーをモンド城までお送りになったんです。
モナ:
道中、皇女殿下はクレーに自分の人生を語り、心優しき小さな騎士は、殿下の祖国が破壊されたことを嘆き、涙を流して尋ねました…
オズ:
「ええっ!その幽夜浄土って場所、本当にほろんじゃったの?もう一回創られたりもしない?」
フィッシュル:
「凡人よ、その誠意と思いやりに感動を受けたわ。教えてあげる…幽夜浄土は不滅であり、いつか再び世に現れるの。」
オズ:
「ほんとに?じゃあどうやったら故郷は元通りになるの?クレーに教えて、お願いお願い!」
フィッシュル:
「偽りなき真心をもって聞くならばいいでしょう…静寂の楽土と無類の敬慕を、そして時間と風を我に与えしとき、世界は蘇らん。」
パイモン:
その時の芝居はいいから、要点を言えよ!
モナ:
簡潔に言えば、幽夜浄土を蘇らせるための大聖地にと、クレーはある島を譲ってくれたんです。私もこの手紙を見るまでは信じられなかったんですが。
オズ:
皆様、これは神がお嬢様に与えてくださった絶好のチャンスなのです。旅人さんは重臣として、偉大なる瞬間を共に見届ける資格がある。
パイモン:
その島って…なんだか覚えがあるような…
旅人:
えっと…
フィッシュル:
旅人!何を呆けているの?幽夜の王座が呼んでいるわ。わたくしの刃となってすべてを切り裂き、すべてを見届けなさい。
モナ:
彼女はただ、あなたたちを島へ誘っているんだと思います。それから、あの島については何も占わない方がいいような気が…
パイモン:
え、なんでだ?
モナ:
クレーと関係するのなら、彼女の母親…つまりあのババアも関わっているかもしれませんから…ほんとに、困ったものです。
旅人:
皇女殿下は俺に何をしてほしいの?
フィッシュル:
万能で旅慣れたあなたは、星屑が手のひらに落ちる軌跡を読み、雨水が運命の兆しに流れ落ちるのを目の当たりにしてきた。そんなあなたには…
オズ:
——お嬢様のために、運命の楽土への道を探していただきます!
パイモン:
道がわからないだけかよ…
旅人:
そう来ると思った…
パイモン:
まあ、せっかく頼んできたんだから教えてやるよ。へへっ、オイラたちは火花騎士クレーの仲間、運命の案内役だぜ!
旅人:
パイモン、ちょっと…
パイモン:
おい、おまえも合わせろよ!
旅人:
いかにも!我こそが星海を渡った唯一の者!
モナ:
見届け人であり案内役、そして幻夢を紡ぐ者、すなわち旅人の登場です。
フィッシュル:
うふふふふ!良い、とても良いわ!
その後もモンド住民から好奇のまなざしを向けられつつ、30分にわたる芝居を続けた…
モナ:
…要するに、旅人にはその島…いえ、聖地に行く手だてがあるんですね。だったら、後はお任せします。
モナ:
はいはい。じゃあ、メギストス卿は帰って支度して寝ます。明日、朝の9時に城門で集合しましょう。
フィッシュル:
ふむ、そうするわ。メギストス卿に安らかな眠りを。旅人も。
オズ:
お嬢さまは皆さまおやすみなさい、明日お会いしましょう、とおっしゃっています。
パイモン:
もううんざりだ…おやすみ!
パイモン:
オイラ疲れたぞ!おまえらみんな普通の役なのに、なんでオイラだけ宮殿の時報時計なんだよ!
パイモン:
「くるっぽーくるっぽー、——幽夜浄土時間12時だぜ——」
旅人:
(自分から始めたんでしょ…)
パイモン:
せっかく不思議な島に行くんだし、ずば抜けた発想を持つやつに手伝ってもらいたいよな?
パイモン:
奇想天外な発想といえば、モンドではガイアを除けば、あいつが一番だ…
パイモン:
この時間なら酒場にいるはずだから、すぐ出発してあいつに手伝ってもらおうぜ!
パイモン:
着いたぞ!えーっと吟遊野郎は…って、え!
パイモン:
おいПутешественник、なんでこいつらまでモンドにいるんだよ!
ウェンティ:
へえ、本当に来るなんてね!さあ、座って楽しくお喋りしようよ。
辛炎:
よう、旅人にパイモン!ちょうど噂をしてたところに現れるなんてすごい偶然だな。
楓原万葉:
ははっ、正に「人事言わば筵敷け」の言葉通りでござるな。
パイモン:
万葉に辛炎。どうしてモンドの酒場にいるんだ?しかも、吟遊野郎と同じテーブルだなんて…
辛炎:
吟遊野郎?はははっ、面白いあだ名だな。どうやらあんちゃんの歌声はかなり有名みてーだ。
ウェンティ:
ロックじゃないのが残念だけどね。辛炎と共演できたかもしれないのに。
ウェンティ:
みんなも彼女と知り合いだったなんて驚いたよ!ボクの新しい友人が、旧友たちの異郷の友だったとはね。えへへっ、すごいよ!
ウェンティ:
せっかくだから、サークルを立ち上げてみないかい?「自由恋文同好会」とか…
旅人:
璃月から来たの?
辛炎:
ああ、アタイは曲のインスピレーションを得るために旅してきたんだ。ちょうど、万葉も旅がしたいって言うから一緒にさ。
辛炎:
先月、北斗さんが「豪傑早飲み大会」って盛大な飲み会を開催してさ。そこで演奏を手伝ったことがきっかけで、万葉と知り合った。
楓原万葉:
辛炎殿は自由奔放に見えるが、音楽に対する理解は非常に繊細かつ独特。拙者たちは、音楽のソウルメイトと言えるであろう。
辛炎:
そうだぜ!万葉は葉っぱを楽器にできるんだ。アタイの友人の中でも屈指の凄腕さ。
辛炎:
璃月を出て、石門の先へまっすぐ進んだらすぐモンドだ。途中、綺麗な荘園もあって素敵だったぜ!
パイモン:
おー!そういえば、その荘園もオイラたちの友達の資産なんだぜ。
辛炎:
ホントか?あんたら、友達が多いんだな!あんなところに住んでるくらいだし、その友達もきっと充実した人生を生きてるんだろ?
パイモン:
えっと…そうかもな…
楓原万葉:
人は同じ志を持つ者同士で集まるものでござる。旅人とパイモンはそのご友人と同様、良き品格を持っているのであろう。
パイモン:
うわっ、口がうまいな!いつもオイラにツッコんでくるこいつとは大違いだぜ。
辛炎:
あ、そうだ。あんたら、テイワット七国全域で開催される「イリデッセンスツアー」を知ってるか?
辛炎:
とどのつまり、掛け声ばっかり大きくて一向に開催されない音楽祭なんだよな。アタイ、主催側に騙されたことがあるんだ。なのにまたやるなんてさ。
辛炎:
担当者の顔が見たかったのに、また祭典についての情報が途絶えちまって…まさか今回も中止になったのか?
ウェンティ:
音楽はインスピレーションが大事だけど、それがなかなか湧かないから、コンサートを中止にしたのかもね。
ウェンティ:
でもまあ、君たちの旅も無駄じゃなかったと思うよ。この旅でボク——つまり生きる「音楽の殿堂」のところに来られたんだから。
辛炎:
優れた音楽には良いメロディーだけでなく、素晴らしいストーリーが必要だ。でないと吟遊詩人は認めてくれない、そうだろ?
ウェンティ:
ははは、その通りさ!君は吟遊詩人のことをよく分かってるね。お返しに、君にある物語を教えてあげるよ。
辛炎:
ははっ、あんちゃんは話し方が独特だな。吟遊詩人はみんなそんな感じなのか?
楓原万葉:
他の土地でも吟遊詩人に会ったが、お主のように面白い人物はいなかった。
ウェンティ:
きっと想像力の差があったんだろうね。だからボクが、二人に奇想天外な物語を教えてあげる。
ウェンティ:
「かつて、海の真ん中にはエメラルドのような島があるという伝説があった。ドド大魔王はそこで臣下と幸せに暮らしていた。」
ウェンティ:
「生まれてきたドドコたちは水に飛び込んだ。泳げる子もいれば、波に流されてしまう子もいた。後者はやがてモンドに辿り着き、子供のよき友達となった。」
ウェンティ:
「ドドコはモンドで新しい友達を作った——その名も、火花騎士。しかしそれに反対した大魔王は小さな騎士に、島へ行って能力を証明するよう求めた。」
ウェンティ:
「そこで小さな騎士は一番大切な仲間たちを引き連れて、風越え波越え海の真ん中へと向かった。けれど、そこに魔王はいなかった。魔王は嘘をついてたんだ…」
ウェンティ:
「試練も炎も審問もそこにはなかった。魔女である母親が創った夏の世界。それをプレゼントとして小さな騎士に贈ったのがこの島だったんだ。」
ウェンティ:
「——夏は愛の季節であり、自由と息抜きの季節でもある。だからここに来る人たちは、歌って踊って、どうか幸せに。」
ウェンティ:
…はい、物語はここでおしまい。
旅人:
(偶然かな、島について聞こうと思ったら先を越されちゃった…)
楓原万葉:
実に面白い。拙者もその島に行ってみたくなった。旅は…やはり前もって計画を立ててはならぬ。心のままに行動するのが得策でござる。
ウェンティ:
ははっ、気に入ってくれてよかったよ。お酒を飲みながら、物語を楽しむ…縁って言うのはこういうことなんだろうね。
辛炎:
さて、音楽に乾杯!旅人も一緒に飲もうよ!
ウェンティ:
安心して、飲めない人向けにジュースも用意してあるから。
楓原万葉:
ならば、それを一杯頼む。うむ、この色のものにしよう。
いつの間にか、みんなと何杯も飲んでいて…気が付くと、誰かが酔いつぶれていた。
パイモン:
あっ!万葉!
辛炎:
あれ、あんちゃんが酔っ払っちまったぞ…果汁を飲んでたんじゃなかったのか?
楓原万葉:
うぅ…の…飲むでござるぅ…
ウェンティ:
あ、うっかりアルコールが入ってるやつを出しちゃったや…えへっ、ごめんね。
パイモン:
おい…
ウェンティ:
大分飲んだことだし、そろそろ本題に入ろうか。何か大切な用事でボクに会いに来たんでしょ?
パイモン:
そういえば、オイラたち飲みに来たわけじゃなかったぞ…
旅人:
ウェンティ、ちょっといい?
辛炎:
よし、じゃあカニを10匹に、魚を20匹捕まえるか!えっと…それで足りるか?こんな大所帯、他に何を用意したらいいんだ?
ウェンティ:
こんなところまで来たんだから、きっと面白い話をしてくれるんでしょ。
ウェンティに、火花騎士が島を皇女に贈ったこと、そして皇女が一行を引き連れて島へ行こうとしていることを伝えた…
ウェンティ:
へえ、母親の作ってくれたプレゼントを友達にプレゼントしたのかい。さすが、クレーは優しい子だね。
ウェンティ:
君たちも分かってると思うけど、あの手紙は間違いなくアリスさんが書いたものだよ。
パイモン:
やっぱりそうなのか…
ウェンティ:
それだけじゃない。今日、酒場に来る途中である二人に会ったんだけど、誰だと思う?
パイモン:
うーん…ジン団長?それか…図書館司書のリサ?
ウェンティ:
長いエルフの耳を持った、びっくりするほどかわいい性格の母娘だよ。
パイモン:
アリスとクレーだ!
ウェンティ:
ピンポーン!大当たり。
ウェンティ:
不老の魔女が小さな騎士を連れて休暇に出かけていたところを、たまたまボクが通りかかった。すると魔女は挨拶代わりに、ボクにプレゼントをくれた…
ウェンティ:
面白い友達に出会ったら、プレゼントをシェアするように言われたんだ。だから、これを君にあげる。
パイモン:
うわああ!爆弾だぁ!
ウェンティ:
中身を引っこ抜いてあるから、爆発なんかしないよ。ほら、持っておいて。これを使うと、離れていてもこうやって話ができるんだ。
旅人:
そんなにすごいの?
ウェンティ:
「ドド通話機」って言ってね、何千キロ離れていたとしても連絡を取り合うことができるけど、いつでも使えるわけじゃない。回数制限もあるから、ここ暫くで縁のある人にあげるつもりだったんだ。
ウェンティ:
異世界からインスピレーションを受けた発明なんだって…さすがアリスさんだよね。
ウェンティ:
彼女とクレーから、「これを持って、仲間と一緒に島、いえ。聖地に行って楽しんできてね!」って言われたんだ。
ウェンティ:
行き方については、考案者さんが考えてくれてるから心配しなくて大丈夫だよ。城門を出て橋を渡り、右に曲がると幸せをもたらす何かに出会えるはずさ。
パイモン:
なんだかおまえもグルな感じが…
ウェンティ:
ははっ、そんなわけないだろう。君はボクのことを、そんなやつだと思っているのかい?
ウェンティ:
旅人、君はボクの友人だ。友人として、君が喜ぶものをプレゼントするのは当たり前でしょ?なのにそんな風に思うなんてひどいよ。
旅人:
分かった、そこに行けばいいんだね。
パイモン:
まあ、吟遊野郎はデタラメも言うけど、オイラたちにとっては大切な友達だ。オイラもちょうど、休暇を楽しもうと思ってたところだったしな、へへっ…
パイモン:
そういえば、さっき万葉と辛炎も興味津々だったよな。一緒に来ないか聞いてみたらどうだ?
辛炎:
戻ってきたのか?残念だけど、万葉はまだ熟睡中だぜ…お酒に弱いみたいだな。
パイモン:
辛炎、オイラたちと一緒に島に行かないか?
楓原万葉:
ふぅ…う…冒険…ならぬ…
辛炎:
えっ?行きたくないのか? さっきまで興味津々だったのに。
楓原万葉:
…の機会を逃して…ならぬ…
辛炎:
ハハハッ。万葉のやつ、大人っぽいって思ってたが、ちゃんと新しいものに興味を持つ若者だったんだな。だから果汁とお酒の区別がつかなくなっちまったんだ。
ウェンティ:
それなら絶対、島に行くべきだよ!あの島には吟遊詩人も絶賛する美しい景色があるんだ。
辛炎:
おお!じゃ、決まりだな!でもどうやって行けばいいんだ?
パイモン:
誰かが手配してくれてるらしいぞ。今回は他の友達も一緒なんだけど、明日の朝、城門に集合して全員揃ったら出発するんだ。
旅人:
万葉、起きて!出発するよ。
楓原万葉:
ん…?旅人?
パイモン:
そうだ、こいつらまだフィッシュルを知らなかったよな!えっと、異国の高貴な皇女も、臣下たちを連れて旅に出るんだけど…
辛炎:
……?
辛炎:
パイモン、特に他意はないんだが、一応聞くぞ…えーと、こうもその旅を積極的に推してくるのはもしかして、あんたがイリデッセンスツアーのサクラだからか?
辛炎:
イリデッセンスツアーのために他国まで来たのに結局開催されないってなると、また騙されて旅行だけするはめになっちまうんじゃ…
パイモン:
ああ——!やっぱり誰も信じてくれない!
ウェンティ:
ははっ、みんな心配しないで。また明日の朝会おうよ。
ウェンティ:
皇女も臣下もしゃべる鴉も、異郷の剣士とミュージシャンも…みんな夏の島の大事なお客さんさ!
辛炎:
ワクワクしてきたぜ!
旅人:
あれ、ウェンティは行かないの?
ウェンティ:
ボクは遠慮するよ、まだ仕事が残っているからね。
パイモン:
えっ?吟遊野郎が、仕事するだって?
ウェンティ:
猫の耳としっぽを持った女の子に、競合店に勝てるよう酒場で歌ってあげるって約束したんだ。ああそう、ジョセがいるあの酒場。
パイモン:
猫アレルギーじゃなかったのか?
ウェンティ:
うん。だけど、屋上で歌えるから大丈夫。
ウェンティ:
売り上げで相手に勝てたら、お酒一か月分をくれるんだって。こんないい話、ボクにうってつけだよね!
ウェンティ:
だから、ボクのことは気にせずみんな楽しんで来て。あははっ、今年の夏はとても楽しくなりそうだよ。
フィッシュル:
今日こそは夜空の真理を観測し、運命に対峙する日!過去の恥、往年の憎しみ…ここにて、結論を——下す!
オズ:
お嬢様、恐れながら「何とかを——下す」というセリフは、お嬢様のキャッチフレーズではないようですが。
フィッシュル:
もちろん違うわ。わたくしはただそれを耳にして…コホン!このセリフは大陸中の知恵と勇気ある言葉の中から、今日の特別さを示すため…
モナ:
ん…どれどれ…わあ、本当に他人の口癖じゃないですか。
パイモン:
うわぁ、おまえら早いな!
モナ:
来たのですね。
モナ:
おや、後ろの方々は…?
パイモン:
コホン!紹介してやるぜ。こいつらは稲妻の伝説的な浪人と、璃月の才能あふれる先駆ミュージシャンだ。
辛炎:
よっ!アタイは璃月の辛炎。ロックミュージックといい天気、それに楽しいことが大好きだ。
辛炎:
きっと、このお嬢ちゃんがパイモンが言ってた異国から来た皇女様なんだろ?見た目だけですごいって分かるぜ。
辛炎:
それから、そこの帽子をかぶったレディ。家族から、最も博識な学者はたいていとんがり帽子をかぶってるって聞いた。あんたもそうなんだろ?
モナ&フィッシュル:
(ん?この女…見る目がある!)
フィッシュル:
辛炎、あなたのその目は夜の霧を見破り、真実を見極める。まさにわたくしが必要としている人材ね。いいわ、わたくし配下の音楽家にしてあげる。
モナ:
あなたは人を見る目があると褒めているんです。まあ、私も同じ意見ですよ。はじめまして、占星術師のモナです。
辛炎:
おう、二人に会えてうれしいぜ!
パイモン:
モナはすごいんだぜ。どんな人でも、たちまちどんなやつか見抜いちゃうんだ!
楓原万葉:
皇女殿下と占星術師、そして雄弁な鴉の臣下…お主たちに比べれば拙者はただの凡人でござるよ。
楓原万葉:
稲妻の楓原万葉、皆に会えて光栄でござる。
フィッシュル:
その…万葉と言う者よ、力と名を告げよ。
オズ:
お嬢様は、職業と趣味はなんですか、とお尋ねになっています。
楓原万葉:
その…拙者はただの通りすがりで、取り柄など…
パイモン:
へへん、こいつは武術にたけていて、誰も耐えられない攻撃を受け流すことができるんだぞ。それに凡人には想像もつかないような速度で、雷みたいに剣を振るうんだ!
フィッシュル:
(えっ?そんなすごい人だったの!?)
モナ:
どれどれ…ん!?こ、これは…
モナ:
万葉さんのような剣の達人にお会いできて、とても光栄です。みんなの護衛をあなたに任せてもいいですか?
フィッシュル:
幽夜浄土の宮廷守衛長に任命するわ。
オズ:
メギストス卿までそうおっしゃるとは、実力は確かなのでしょう。
旅人:
メギストス卿の言う通り!
楓原万葉:
分かった、メ…メ…
辛炎:
メ…メ、なんだっけ?
モナ:
モナでいいですから!その変な名前で呼ばないでください!
パイモン:
そういえばメギストス卿、オイラたちどうやって聖地に行けばいいのか聞いてきたぜ。
パイモン:
へへっ、伝説の大魔女から偉大なアドバイスをもらったんだ。さあみんな、オイラを見ろ!
パイモン:
見ろ、これがオイラたちの交通手段だ。
モナ:
……
モナ:
何だか、急に行きたくなくなりました。
辛炎:
独特だな。見た目が…ちょっとグゥオパァーに似てないか?
旅人:
?
楓原万葉:
グゥオパァー…万民堂の不思議な生き物のことでござるか?そう言われてみれば、確かに…
パイモン:
うぅ…紹介したオイラが言うのもなんだけど、こんなんじゃ島に辿りつけなさそうだ…
フィッシュル:
…フン。
フィッシュル:
理解したわ。なるほど…なるほど。世の果てまで堕ちてこそ、新生幽夜浄土に到達できるということね。
フィッシュル:
うふふ、聖なる雷に焼かれた扉とは、わたくしの現世での断罪に相応しい。オズよ、道を切り開きなさい。
オズ:
先陣を切るのは私です。お嬢さまは動かれませんので。
パイモン:
…入ったら…消えた!?
フィッシュル:
これは、正に聖地への断罪の道!
モナ:
念のため、私が占ってみます…
パイモン:
メギストス卿、これはあのアリス様の創造物だぞ!そんな自己犠牲をはらわなくていいから、オイラたちと一緒に来い。
モナ:
そうでした!忘れてしまうなんて…まあ、いいでしょう。
一行は疑問と期待の気持ちを抱えながら、次々と「魔球ドドキャッスル」の巨大な口の中へ入っていった…
旅はなかなか賑やかで、…むしろ賑やかすぎるくらい?
パイモン:
暗いぞ、誰か灯りをつけてくれよ…オイ、誰だ!押すなよ!
モナ:
ゆっくり進みましょう…ああっ、フィッシュル!私の髪を踏まないでください。
フィッシュル:
蛇じゃなかったの!?
辛炎:
うわあー!浮き上がってきたぜ!?
楓原万葉:
みんな、気を付けるでござる!
辛炎:
ふぅ…やっと着地したぜ。さっきのはいったい何だったんだ…
楓原万葉:
美しい場所でござるな。風と海、そしてこの穏やかさ…うむ、風の匂いも心地よい。
パイモン:
おう!この海を見た瞬間、オイラもいい気分になったぞ。
フィッシュル:
……
オズ:
生命の海、蒼の大地…お嬢様、ついに楽土に辿り着きましたね。幽夜浄土を復活させるには十分な場所です。
フィッシュル:
…臣下諸君、これぞわたくしが長年求めていた祝聖の楽園。さあ、因果終結の降臨を見届けるのよ。
フィッシュル:
闇を支配するこのわたくしが、諸君を夢の扉へと導くわ。
モナ:
……
フィッシュル:
…さあ!夢の扉へ!
モナ:
……
モナ:
大魔道士メギストス、皇女殿下のお恵みに感謝します。私は今日ここにて、幽夜浄土へ祝福を捧げます。
辛炎:
モナ、それにあんたら、いったい…
モナ:
いいから合わせてください!
辛炎:
お…おう!こんな神聖な場所に連れてきてくださった皇女様に感謝するぜ!
楓原万葉:
皇女殿下、このような旅の機会を設けて頂いたこと、ありがたき幸せにござりまする。
フィッシュル:
皆の喜びはわたくしの喜び。このような天命を尊奉する機会に皆を招くことができて、大変嬉しく思っているわ。
フィッシュル:
これより巡礼の旅に出かけ、身をもって国土の命の海を感受する。何せここはどうあっても、わたくしの魂の帰る場所なのだから。
フィッシュル:
けれど、それに対して…メギストス卿、あなたは水元素から生まれた高貴な人物と言われる割に、魂の不純物が多すぎる…
オズ:
お嬢様は、泳ぎに関してはメギストス卿がやや劣るかもしれないとおっしゃっています。
モナ:
くっ…フィッシュル、あなたにはもう我慢できません!
モナ:
普段あなたに合わせて芝居をするのは構いませんが、天才である私を見下してはいませんか?泳ぎであなたに負ける訳がないですよ!
オズ:
おお!お嬢様の闘志が燃えてきました!
パイモン:
いいぞ!正々堂々勝負だ!
フィッシュル:
その挑戦、受けて立ちましょう。メギストス卿、あなたごときがわたくしに挑むなんて、その愚かさを悔いることになるわよ。
モナ:
無駄口はよしてください。私は子供の頃から、泳ぎで負けたことがないんです。さぁ、どちらが先に海まで辿り着けるか勝負です!
辛炎:
二人とも本気か?海まで走るって、ただのかけっこじゃんかよ!
旅人:
気にしない、楽しむことが一番大事。
楓原万葉:
お主は今空いてるか?周囲を見回っておきたいのだが、付き合ってくれぬか。
旅人:
さすが万葉、頼りになる。
楓原万葉:
先程、北西の遠くに小さな島が見えた。特別なものを感じたゆえ、見に行きたいでござる。
楓原万葉:
辛炎殿も一緒に来るか?
辛炎:
みんなやることがあるみたいだから、アタイは留守番しておくぜ。モナとフィッシュルも泳ぎに行ったし、誰かが拠点を準備しておかないとな。
辛炎:
こっちは任せてくれ!ちょっと出かけて来るんだろ? 良い景色が見つかったら、アタイにも教えてくれよな。
パイモン:
おう!じゃあ頼んだぞ!
パイモン:
おい、あっちにでっかい変なやつがいるぞ!
楓原万葉:
道中注意して見ていたが、この用途の分からぬ装置と隣にある軍帽以外に、怪しいものは見当たらなかった。ともかく、この島には明らかに誰かが滞在していたようでござる。
楓原万葉:
それに、ここ数日のものと思われる新しい足跡も見られた。
パイモン:
ホントか?オイラ全く気付かなかったぞ…
楓原万葉:
…ん?
楓原万葉:
……
楓原万葉:
……
楓原万葉:
旅人、パイモン、油断は禁物でござるよ。
パイモン:
ん?どうしたんだ、なにかあったのか?
楓原万葉:
誰かがここに来ていた…そして彼の者はまだ去ってはいない。匂いからして、相手も遠来の客であるはずだ。
パイモン:
他にも誰かいるのか?うぅ、なんだか怖いぞ…なぁ、Путешественник、早く手がかりを探そうぜ!
パイモン:
っていうか、なんでこんなとこにファデュイが集まってるんだ!?ミントとスイートフラワーとファデュイがいない場所なんて、この世に存在しないのか?
旅人:
その三つはどこでも見かける。
パイモン:
だよな。
様子がおかしい兵士:
うぅ…帽子を失くしちゃった…帽子帽子…
楓原万葉:
何か探しているのか?
様子がおかしい兵士:
帽子…ダメだ、失くすわけにはいかない…
様子がおかしい兵士:
ああ!もう俺は何も知らないから、帽子を返してくれ、ううう…
楓原万葉:
この帽子をお探しでござるか?
様子がおかしい兵士:
兄さんの帽子だ!早くよこせ!
帽子をファデュイの兵士に返した…
パイモン:
こいつ、なんだかあまり賢くなさそうだな…
様子がおかしい兵士:
俺をイジメるな、でないと殴るぞ…うわぁ!でっかい怪物!うぅ…
???:
やめろ、何しやがる!
パイモン:
またファデュイか?それはこっちのセリフだぞ。おまえたち、この島でなにするつもりだ!
様子がおかしい兵士:
帽子…ちゃんと守るんだ…でないと、兄さんに怒られる…
ペルシーコフ:
その帽子に抱きつくのはもうやめろ。まずはお前の兄さんを探し出すのが優先だろうが!
楓原万葉:
その者はどうしたのでござるか?
ペルシーコフ:
…何でもない。病気で少し熱があるせいで、たわごとを言っているだけだ。
ペルシーコフ:
お前らに説明する義理などない、帰れ。
パイモン:
ここはオイラたちの友達の島だから、気を付けた方がいいぜ。
ペルシーコフ:
あ?ここは無人島じゃなかったのか?俺たちはここに…いや、何でもない。
旅人:
あの装置はなに?
ペルシーコフ:
…チッ、別に教えてもいいが、知ったらもう俺にかまうなよ。
ペルシーコフ:
あれは俺の発明した新エネルギー装置だ。無人島に来たのはこいつの性能をテストするため、それだけだ。もういいだろ?
旅人:
ここは俺たちの島だと言ってる。
旅人:
俺たちの休暇を邪魔しないでほしい。
パイモン:
答えないのなら、オイラたちは…こいつの帽子を奪うぞ!
様子がおかしい兵士:
あっ!ダメだ、帽子をとらないでくれ!ううぅ…
ペルシーコフ:
おい、泣くなよ!…分かった、この辺りから遠くへは行かないと約束するから、もう十分だろ!
パイモン:
ところで、その装置、どうして煙が出てるんだ?
ペルシーコフ:
それはこのガラクタがぶっ壊れちまったからだ!言いたかないが…実はテストが上手くいかなくて、元々撤退するつもりだったんだ。
パイモン:
なんだ、じゃあ早く行けよ。
ペルシーコフ:
おい、行くぞ!
様子がおかしい兵士:
あっ、はい…
パイモン:
まったく、せっかくの休暇なのに、こんなやつらと出会うなんて…
楓原万葉:
ファデュイがこのような辺鄙な島に現れるとは…ことはそう単純ではない気がするでござる。
楓原万葉:
休暇中とはいえ、常に警戒を怠らぬように。
旅人:
うん。
楓原万葉:
また、あちらの女子たちの機嫌を損ねないために、拙者から一つ提案があるのだが。
楓原万葉:
この件は当分の間、心に留めておこう。注意や警戒が必要なことについては、旅人と拙者が責任を持って対応する。良いでござるか?
旅人:
なるほど、そうしよう。
パイモン:
万葉は思いやりがあるんだな。
楓原万葉:
過褒でござるよ。拙者はただ、せっかくの休暇がつまらぬことに邪魔されないことを願うのみ。
楓原万葉:
美景の前に、皆には幸せな気分でいてもらいたい。
パイモン:
帰ってきたぞ!
モナ:
ちょうどいいところに来てくれました!旅人、パイモン。あなたたちは私とフィッシュル、どちらが泳ぎ上手だと思いますか!?
フィッシュル:
ふふっ、遠慮なくわたくしの真名を口にするがよい、不埒なメギストス卿が泣きをみるよう!
旅人:
俺はパイモンと同じ意見。
パイモン:
なんだよ!?それって、オイラが決めろってことか?
オズ:
パイモン殿は人を見る目がありますから、誰が真の勝者なのか見極められるに違いありませんぞ。
フィッシュル:
パイモン殿、わたくしに忠誠を誓う時が来たようね。
辛炎:
ちょっと待って、その前にパイモンに何か食べさせてあげようぜ。長い間出かけてたから、きっと腹ペコなんだ。
パイモン:
ううう、辛炎!
楓原万葉:
うむ、確かに長い距離であった。
辛炎:
だろ?あんたらが出かけている間、海辺で海鮮を釣って果物を採ってたんだ。火であぶると、きっと美味しくなるぜ!
モナ:
そういえば、少しお腹が空いてきました…
フィッシュル:
コホン!わたくしも…
辛炎:
たくさん用意したから、一緒に食べようぜ。店をやってる料理人の友達にはかなわねーけどさ、お腹を満たすには十分だと思うんだ。
パイモン:
おう!食べようぜ!
オズ:
辛炎殿を島に招いたのは、間違いなく賢明な判断でしたな。
パイモン:
オイラはもう食べるぞ!おまえらは腹すかせながら喋ってろ!
モナ:
ああ、バーベキューの香り…とっても美味しいです。
フィッシュル:
ふぅ——!悪くないわ!
楓原万葉:
今日は辛炎殿が夕餉を作ってくれたゆえ、明日の朝餉は拙者が作るでござるよ。
旅人:
やった!楽しみ!
パイモン:
よっしゃ!オイラもワクワクだぜ!
パイモン:
そうだ旅人、一つ忘れてないか?
パイモン:
近くで話そうぜ。
楓原万葉:
潮風に吹かれながら食事を楽しむことができたのは、よきことだ。辛炎殿、皆のために夕餉を用意してくれたこと、感謝申し上げる。
辛炎:
なあに、気にすんなって。みんなが楽しく食べているのを見ると、アタイも幸せな気持ちになる。まだ料理を作り慣れてないから、量が足りねーかも…それか、たくさん残っちまうかもな。
辛炎:
あ、そうだ…あんたら出かけたんだろ。どうだった?高いところに行って景色を見たりしなかったか?
楓原万葉:
うむ、吟遊詩人の言う「エメラルドのような」島は、その名に恥じぬ景色だったでござるよ。
辛炎:
おっ?もしかして、あの話って全部ホントのことだったのか?
楓原万葉:
まだわからぬ。しかし、拙者はそう信じている。
辛炎:
明日の朝、目が覚めたら物語の魔王やドドコに会えたりしたら面白いな。
辛炎:
…いや、会えなくたっていい。物語の島に来ることが出来て、モンドの友達を作れたってだけで十分な収穫だ。
フィッシュル:
世の誘惑は真理への道のりを妨げる。勝利の判決はまだわたくしの前に姿を見せていない。
モナ:
またその話ですか?あなたと言う人は…
モナ:
あなたとオズはグルになって、必死に旅人とパイモンを懐柔しようとしていたでしょう。それはとっくに公平さを逸脱しています。
モナ:
それに、そんな風に吠えるのは敗者だけで…
フィッシュル:
何を言ってるの?
オズ:
つまり、お嬢様の負けだとおっしゃっています。
フィッシュル:
オズ!お黙りなさい!
フィッシュル:
コホン…メギストス卿、この神聖なる勝負はひとまず置いておきましょう。幽夜の王座を取り戻したら、あなたを忘憂の王立庭園に招待し、決着をつけるわ。
モナ:
構いません。何度繰り返そうと、結果は同じですので…そんなことより、それはいったいどんなところなんですか?
ウェンティ:
ハクション!
ウェンティ:
うぅ…やっぱり猫に近寄りすぎちゃいけない…屋上で待とう。
辛炎:
万葉、万葉!…はぁ、まだ目を覚まさない。今夜は酒場に泊まることになりそうだな。
楓原万葉:
すぅー…すぅー…
パイモン:
おまえもファデュイのことを気にしてるんだろ?吟遊野郎からもらった爆弾のことを覚えてるか?あれを使えば連絡が取れるぞ。
パイモン:
あ、いや、爆弾じゃなくてドド通話機だった!
パイモン:
聞いてみないか?あいつは情報通だし、重要な手がかりがあるなら、きっと知ってるはずだ。
ドド通話機:
ドド——ドド——ドドコ——
ウェンティ:
ハクション!うぅ…
ウェンティ:
おや、Путешественник、もうボクに会いたくなったのかい?
旅人:
ウェンティ、俺だよ。
ウェンティ:
はははっ、こんな方法でボクと連絡を取れるのは、君だけだよ。
パイモン:
さっきくしゃみしてたよな?
ウェンティ:
キャッツテールの周りは猫がたくさんいるんだよ。オーナーがアレルギーの薬をくれたんだけど、あまり効かなくて…はっくしゅん!…はぁ。さて、どうしたんだい、ボクに何が聞きたいの?
旅人:
詳しいことはパイモンに聞いて。
パイモン:
他人任せにもほどがあるぞ!
パイモン:
しょうがないやつだな!吟遊野郎、オイラたちこの島でファデュイと会ったんだ!なんか変だろ?
ウェンティ:
ファデュイって…どこにでもいるんじゃない?
ウェンティ:
あははっ、氷神の手下は優秀だからね、どこに出てきたって不思議じゃないよ。
パイモン:
でもこんなとこに出てきたらオイラたちの休暇の邪魔だぞ!
旅人:
そうだそうだ。
ウェンティ:
でも聞いた感じ、トラブルがあったわけじゃないんだよね?つまり、問題はもう解決したんでしょ?
パイモン:
そうなんだけど、やっぱりどこかおかしいと思うんだ。だからおまえに聞こうと思って…なにか手がかりはないのか?
ウェンティ:
ファデュイの情報は入ってないよ。でも大丈夫さ、ボクは吟遊詩人だけど、必要ならいつでも連絡していいよ。
ウェンティ:
あまり役に立たなかったとしても、お喋りしてあげるだけでも心強いでしょ?
パイモン:
ふん、おまえってやつは…
ウェンティ:
よく冒険に行く君達なら、旅先でハプニングが起きても不思議じゃないさ。でも出会いのすべてが危険ってわけじゃない。だから怖がる必要もない。
ウェンティ:
風は陸を通り過ぎたら、海の上も通って行くでしょ。白い雲が浮かぶところには、風もやってくる。安心して、風はいつも君の傍にいるよ。
旅人:
うん。
ウェンティ:
じゃあお喋りはここまで。ボクはキャッツテールで演奏しないと!
パイモン:
おう、じゃあな!
パイモン:
聞いた感じ、ファデュイのことはあまり心配するなって意味か?
パイモン:
まぁ、吟遊野郎がああ言うんだ。オイラも変なことが起こらず、旅が無事に終わることを祈るぜ。
パイモン:
友達との旅なんだ、楽しまないとな!
今日こそ水泳勝負の決着を:
大魔道士メギストス vs 断罪の皇女フィッシュル