arrow_back 原神 クエスト
魂を炎やす戦士の雪の旅 2
涙を流す暇はない
任務一覧
ある共通の趣味がみんなを同じ場所に引き寄せた…
旅人:
まだ続けられるよ。
ヴァレサ:
うんうん、それじゃ続けよっか~!次のルートはもっと難しいかも~
ヴァレサ:
常に正しいルートを意識しながらスピードを調節して、関節を痛めないよう注意する…うーん、イアンサコーチの教えは本当に役立つなぁ…
パイモン:
ヴァレサ!貸してくれた漫画、全部読んだけど面白かったぞ。
ヴァレサ:
おはよう~…え?もう読み終わったの?早かったねぇ!
アラニ:
ふふ。やっぱりあなたたちもフィエテナの魅力に取り憑かれたようだね。
パイモン:
思ったんだけど、炎魂戦士ってナタの英雄で、魔獣と戦ってるんだよな。
パイモン:
漫画の中にはマーヴィカも出てきたし、「炎魂戦記」の物語ってナタの歴史と関係あるのか?
ヴァレサ:
そうそう~「炎魂戦記」は歴史をアレンジした漫画なの~登場人物は全員、実際の歴史上の人物をもとにしてるんだぁ。
ヴァレサ:
でも漫画は漫画だから、歴史と混同しちゃダメだけどね~
アラニ:
炎魂戦士は故郷を守るために、アビスの魔獣と戦ってるの。
アラニ:
私たちが憧れてるフィエテナは、多くの炎魂戦士の中でも、特に目立った存在なんだ。
ヴァレサ:
炎神さまの戦闘も、すっごく熱いんだよ~!
ヴァレサ:
炎神さまを主役に描いた漫画はたくさんあるけど…この漫画は、フィエテナさまが自らを奮い立たせ、成長してく過程に焦点を当ててるんだぁ。
ヴァレサ:
どんな絶望的な状況でも、彼女は絶対に希望を失わないの。
ヴァレサ:
戦略なんて何も知らない新人戦士から努力を重ねて、落ち着いた指導者になるまでの間に…仲間たちと出会って、お互いを大切にして…
ヴァレサ:
ああ、フィエテナさま~!
パイモン:
なんかすごく感動してるな。
旅人:
すごく励まされたみたいだね。
アラニ:
分かる分かる、私もそう!自分の論文が却下されても、毎回彼女が経験した困難を思い出せば、自分の直面してる状況なんか取るに足らないことだって感じられるの。
ヴァレサ:
大丈夫~アラニの論文は絶対に通るはずだよ!わたしは信じてるからね~
アラニ:
ヴァレサ…
アラニ:
うん、そうだね!論文なんて大したことじゃない。教令院に戻ったら、何度だって改稿してやるよ!
ヴァレサ:
そういえば、きみたちも「特戦隊」に入ったらどうかな~?
パイモン:
うーん、漫画サークルかぁ…
ヴァレサ:
深く考えなくていいよ~わたしたちは漫画が好きで集まったわけだけど…
ヴァレサ:
「特戦隊」の趣旨は、みんなと楽しみを分かち合って、不幸をなくすことだから~
ヴァレサ:
どんな事があっても、わたしたちはみんなで一緒に立ち向かうんだぁ。
ヴァレサ:
一緒に漫画を楽しんで、美味しいもの食べて、気楽にのんびりと過ごすの~
パイモン:
入る入る!
旅人:
俺も。
ヴァレサ:
わぁ~歓迎するよぉ!
アラニ:
隊長、歓迎の儀式は忘れてないよね?
ヴァレサ:
えへへっ、覚えてるよぉ。みんな、広い場所で待ってて~キャンプに戻って、必要なものを取って来るから~
アラニ:
うん、ここが良さそうだね。
パイモン:
アラニ、ヴァレサがなにを取りにいったか、知ってるのか?
アラニ:
たぶん「誓いの証」だと思うよ。
旅人:
誓いの証?
ヴァレサ:
みんな~そんなに待たせてないよね?ここまで走って来たんだから~!
ヴァレサ:
はい、これ。わたしが手作りしたフィエテナさまの仮面だよ~
パイモン:
ありがとな!あれ?これってヴァレサが戦うときに着けてる仮面じゃないか?
ヴァレサ:
そうそう~フィエテナさまは戦う時、仮面を着けてるでしょ?その仮面をまねて作ってみたの~
ヴァレサ:
えっとぉ…もう少し話を続けてもいい?
パイモン:
ああ、もちろんいいぞ。
ヴァレサ:
…ふぅ。
ヴァレサ:
「炎魂戦記」の物語は、十二巻でようやく完結するくらい長いんだけど、各巻におけるキャラクターの姿は、物語の進展にあわせて変化していくの!
ヴァレサ:
フィエテナさまの仮面だけでも、異なるバージョンが五つもあるんだよ。わたしが作ったのはそのうちの一つで、一番のお気に入りなんだ。
ヴァレサ:
物語の中でたくさんの戦いを経験したあと、フィエテナさまの中に一度迷いが生じるんだけど、仲間がそばでずっと支えてくれるの。
ヴァレサ:
この仮面はね、彼女が仲間から励まされて、元気を取り戻した時に身に着けたものなんだよ。
ヴァレサ:
「特戦隊」に新しい仲間を迎えるのに、ぴったりの証でしょ~?
パイモン:
おお!儀式って感じがしてきたぜ!
ヴァレサ:
あははっ。じゃあ、次はいよいよ正式な入隊儀式だよ~!
アラニ:
おおっ——隊長!あれをやるんだね?
ヴァレサ:
いい、旅人さん、パイモンちゃん。わたしと一緒に「炎魂戦士特戦隊」の信条を、大声で叫んでね~
旅人:
さ、叫ぶの?
ヴァレサ:
そだよ~!美味しい料理を食べた時、大きな声で料理人を褒めるみたいにね。
ヴァレサ:
仲良しの友達と一緒にいるって、すごく楽しいでしょ?だから、大声で感謝の気持ちを表すの~
ヴァレサ:
自分の信じるものは、声を大にして言わなくちゃ!
アラニ:
そう、隊長の言うとおり。さあ、私の後に続いて言ってみて!
パイモン:
わ…わかった!
アラニ:
失敗や痛みを決して恐れることなく!
旅人:
失敗や痛みを決して恐れることなく!
アラニ:
愛と想像力を永遠に守り続ける!
パイモン:
愛と想像力を永遠に守り続ける!
ヴァレサ:
は~い、これで二人も炎魂戦士、「特戦隊」のメンバーだよ~
パイモン:
やったぜ!
ヴァレサ:
えへへ、さっそくこのいい知らせをシロネンさんに伝えにいかなくっちゃ~
アラニ:
確か彼女は今日、ミニーとイーガンとトレーニングをしに行ったはずだよ。
ヴァレサ:
うん、それじゃあ出発しよ~!
ミニー:
はあ…はあ…
タン・イーガン:
…副隊長、今日はこのへんにしとかないか?
シロネン:
フィジカルトレーニングは一段落でいいけど、次のコースに慣れるためのトレーニングは絶対やっとかなきゃ。
ヴァレサ:
みんな~!ジャジャーン!「特戦隊」の新メンバー、旅人さんとパイモンちゃんを紹介するよ~
パイモン:
さっき入隊の儀式を終えたから、オイラたちも炎魂戦士だぜ。
シロネン:
お~おめでと。でもたぶん今日は、新人歓迎会を開くのは難しいかもしんないね。
シロネン:
この二人は半日ずっとフィジカルトレーニングをやってたから、もうクタクタだし。
ミニー:
お…おめでとう…
タン・イーガン:
ミニー…まだコース練習をやる元気、あるか?
ミニー:
あるよ…当たり前でしょ。
ミニー:
きょ…競技はわたしたち四人でのリレー方式…ぜ…全員がベストを尽くさないと…ダメだから…
タン・イーガン:
アラニが羨ましいぜ…キャンプで待機してて、後方支援だけやればいいからな…
パイモン:
気にすんな。みんな疲れてるみたいだし、歓迎会は必要ないって!もともと顔見知りだしな。
ヴァレサ:
う~ん残念。なんだか申し訳ないし…あっ、だったらこうしよう~!
ヴァレサ:
みんなで一緒にトレーニングするのを歓迎会ってことにしようよ~コース練習は続けたほうがいいでしょ~?
ヴァレサ:
こんなに寒いんだし、両足を動かして全身が温まれば、快適になるんじゃないかな~
ヴァレサ:
ね、旅人さん。どうかな~?
旅人:
俺が?本気で言ってる?
ヴァレサ:
うん、一緒にやろうよ~!おしゃべりしながらやれば疲れないよ~
旅人:
パイモンはどう思う?
パイモン:
オイラも?や…やめとくぜ。ちゃんとした理由だってあるぞ!
パイモン:
オイラは飛んでくから、走る必要ないだろ?と…飛ぶほうが走るより早いんだからな!
ヴァレサ:
うーん、そっかぁ…だったら、あとでわたしと競走してみようよ~
パイモン:
ええっ?やだぞ…ヴァレサが走ったら、飛ぶより早いだろ!
シロネン:
はいはい、パイっちはだいじょぶだって。飛べる人がリレー競技に参加するってのも、ちょっと無理があるしね。
シロネン:
ウチもそろそろ休憩終わりにするし、一緒に走ったげる。
シロネン:
ミニーとイーガンはこんな状態だし…うん、こうしよ。まだ続ける気ならゆっくり走る。しんどいならここで休む。どう?
タン・イーガン:
助かるぜ、副隊長。俺はここで休んでるよ。
ミニー:
わたしはまだいけるよ。
シロネン:
んじゃ、ウチとヴァレサとミニー、それから旅人の四人でトレーニングしよっか。
ヴァレサ:
それじゃあ、次はチーム分けをしよ~シロネンさんとミニーちゃんはゆっくり走って。わたしは普通のルートを速めに走るねぇ。
ヴァレサ:
旅人さんは、どっちに参加してもいいからね。今日はトレーニングに付き合ってくれてありがと~
旅人:
戻ってミニーと合流しよう。
ヴァレサ:
うんうん——じゃあ今日の練習はここまでだねぇ。
ヴァレサ:
まずは休憩して、午後になったら…一緒にモンド城を見て回ろっか~?
ヴァレサ:
わたしたちが今走ってるルートは、正式なコースの一部なんだぁ。この辺りは比較的なだらかだよね~
ヴァレサ:
あ、魔物がいる…雪山だけあって、野生動物と魔物があちこちにいるねぇ。
ヴァレサ:
ちょっとどいてもらおっか~
ヴァレサ:
うん、これでミニーちゃんたちの邪魔にならないねぇ。
ヴァレサ:
シロネンさんとミニーちゃんはゆっくり走ってるから、もう少しで来るはずだよ~
ヴァレサ:
ここで二人を待とっか~
ヴァレサ:
どう?具合の悪いところはない?
シロネン:
だいじょぶだよ。ミニーのフォーム、前の練習の時より良くなってる。
ミニー:
ゴホゴホッ…でも…やっぱりもう少し練習が必要かな。
ヴァレサ:
ここから先のコースはしばらく上り坂だから、疲れるよ~
ミニー:
大丈夫…まだやれる…どうしても入賞したいんだ。みんなの足を引っ張りたくないし。
ヴァレサ:
無理は禁物だよ~入賞は二の次、身体が一番大事なんだから!
ミニー:
ありがとう、ヴァレサお姉ちゃん。でもわたしは…
シロネン:
でもあんたには理由があって、「絶対に入賞しないといけない」…違う?
シロネン:
あんた、前に両親とある「約束」をしたって言ってたっしょ?ウチの予想が正しいなら、それと関係あるんじゃない?
シロネン:
その事について話してる時、あんたは表情が不自然だった。なんか感情を抑え込んでるってゆーか。
シロネン:
ウチが思うに、子供がそういう表情するのは「誰か私を助けて」って言ってるのと同じなんだよね。
シロネン:
何があったのか言ってみなよ。そしたら、ウチらで解決方法を見つけられるじゃん。
ヴァレサ:
うーん…たしかミニーちゃんは「将来は稲妻で漫画家のアシスタントをやりたい」って手紙に書いてたよね~
ヴァレサ:
それか、読者のために、漫画の中に出てくる道具のレプリカを制作する職人になりたいって~
ヴァレサ:
でも、ミニーちゃんのご両親はそれに反対してるんだよねぇ…ミニーちゃんが練習に一生懸命なのって、そのことに関係してるの~?
ミニー:
…うう、話すしかないね…
ミニー:
ヴァレサお姉ちゃんの言うとおりだよ。両親は、わたしが外国に出て働くのを反対してるの。
ミニー:
わたしは末っ子で、お兄ちゃんともすごく歳が離れてるんだ…小さい頃は病弱で、いつもお父さんとお母さんを心配させてた。
ミニー:
だから両親は、わたしが遠い異国の地で体を壊すんじゃないかって心配してるの。
ミニー:
それに二人とも「仕事は安定が一番」って思ってるから、漫画を仕事にするなんてもってのほか。もっと現実的な仕事に就いてほしいって思ってるんだよ。
ミニー:
ましてや、わたしには絵を描くことと何かを作ること以外、得意なことなんてないから…
旅人:
そんなに自分を卑下することないよ。
ミニー:
何度も二人を説得しようとしたけど、無理だったの。わたしの考えは「子供のままごと遊びだ」って、考えを変えてくれなかった。
ミニー:
でも、今回は違う。わたしと同じ漫画好きのみんなが、すごく遠くからモンドまで来てくれたでしょ。
ミニー:
しかも、一緒にクロスカントリーにエントリーまでしてくれて。二人ともすごくビックリしてた。わたしには、そんなこと絶対無理だって思ってたんでしょうね。
ミニー:
だから、お父さんお母さんと約束したの。もし入賞できたら、私の希望にちゃんと向き合ってほしいって。
ヴァレサ:
安心して、ミニーちゃん!わたしは足が速いんだよぉ。イアンサコーチにだって褒められたんだから~!
ヴァレサ:
それに、シロネンさんが全速力で走るところ、見たことある?ほんとにすごいんだから~!もともと部族を代表して出征してた英雄なんだよ~
ヴァレサ:
入賞できたら、ご両親は考えを変えてくれるんでしょ~?だったら、わたしたちも一緒に頑張るよ~!
ミニー:
ヴァレサお姉ちゃん…
シロネン:
ミニー。以前、手作りのフィエテナの仮面と絵をニペカに送ってくれたことあったっしょ?
シロネン:
ニペカはね、それを部族の子供たちにも見せてあげたんだよ。そしたら、みんな気に入っちゃって、お金払うからちょうだいなんて言う子もいてさ。でも、ニペカは売ろうとはしなかったんだ。
ミニー:
えっ?ほ、ほんと?全然知らなかった。わたしの絵を買いたいって人がいるなんて…
シロネン:
そりゃそーっしょ。あんたの作品には価値があるんだからさ。感情的なことを全部抜きにしても…それにお金を出したいって人がいるってこと。
シロネン:
そういう意味ではもう「現実的な仕事」なんじゃない?
ヴァレサ:
ミニーちゃんが制作したフィエテナさまの仮面と絵は、豊穣の邦にまで伝わってるんだよ~こんなすごい絵を描けるのは誰なんだってみんな聞いてくるんだから~!
ヴァレサ:
もしわたしたちの集落を訪問したら、たくさんの人に取り囲まれて、サインを求められるんじゃないかなぁ。
ミニー:
絶対行く!そんなに大勢の人がわたしの作品を認めてくれるなんて…
シロネン:
はいはい、この話はまた後で。今のあんたはとりあえず…ここでひと休みしたほうがいいっしょ。
ミニー:
ありがとう。少し休むね。
シロネン:
オッケー。ウチが一緒に残ったげる。
ヴァレサ:
それじゃあ旅人さん、わたしたちはこのまま、コースを最後まで走ってみよう~
ヴァレサ:
この先のルートに魔物がいたけど、追い払っておいたから、トレーニングには影響ないはずだよ~
ヴァレサ:
どう?具合の悪いところはない?
シロネン:
だいじょぶだよ。ミニーのフォーム、前の練習の時より良くなってる。
ミニー:
ゴホゴホッ…でも…やっぱりもう少し練習が必要かな。
ヴァレサ:
ここから先のコースはしばらく上り坂だから、疲れるよ~
ミニー:
大丈夫…まだやれる…どうしても入賞したいんだ。みんなの足を引っ張りたくないし。
ヴァレサ:
無理は禁物だよ~入賞は二の次、身体が一番大事なんだから!
ミニー:
ありがとう、ヴァレサお姉ちゃん。でもわたしは…
シロネン:
でもあんたには理由があって、「絶対に入賞しないといけない」…違う?
シロネン:
あんた、前に両親とある「約束」をしたって言ってたっしょ?ウチの予想が正しいなら、それと関係あるんじゃない?
シロネン:
その事について話してる時、あんたは表情が不自然だった。なんか感情を抑え込んでるってゆーか。
シロネン:
ウチが思うに、子供がそういう表情するのは「誰か私を助けて」って言ってるのと同じなんだよね。
シロネン:
何があったのか言ってみなよ。そしたら、ウチらで解決方法を見つけられるじゃん。
ヴァレサ:
うーん…たしかミニーちゃんは「将来は稲妻で漫画家のアシスタントをやりたい」って手紙に書いてたよね~
ヴァレサ:
それか、読者のために、漫画の中に出てくる道具のレプリカを制作する職人になりたいって~
ヴァレサ:
でも、ミニーちゃんのご両親はそれに反対してるんだよねぇ…ミニーちゃんが練習に一生懸命なのって、そのことに関係してるの~?
ミニー:
…うう、話すしかないね…
ミニー:
ヴァレサお姉ちゃんの言うとおりだよ。両親は、わたしが外国に出て働くのを反対してるの。
ミニー:
わたしは末っ子で、お兄ちゃんともすごく歳が離れてるんだ…小さい頃は病弱で、いつもお父さんとお母さんを心配させてた。
ミニー:
だから両親は、わたしが遠い異国の地で体を壊すんじゃないかって心配してるの。
ミニー:
それに二人とも「仕事は安定が一番」って思ってるから、漫画を仕事にするなんてもってのほか。もっと現実的な仕事に就いてほしいって思ってるんだよ。
ミニー:
ましてや、わたしには絵を描くことと何かを作ること以外、得意なことなんてないから…
旅人:
そんなに自分を卑下することないよ。
ミニー:
何度も二人を説得しようとしたけど、無理だったの。わたしの考えは「子供のままごと遊びだ」って、考えを変えてくれなかった。
ミニー:
でも、今回は違う。わたしと同じ漫画好きのみんなが、すごく遠くからモンドまで来てくれたでしょ。
ミニー:
しかも、一緒にクロスカントリーにエントリーまでしてくれて。二人ともすごくビックリしてた。わたしには、そんなこと絶対無理だって思ってたんでしょうね。
ミニー:
だから、お父さんお母さんと約束したの。もし入賞できたら、私の希望にちゃんと向き合ってほしいって。
ヴァレサ:
安心して、ミニーちゃん!わたしは足が速いんだよぉ。イアンサコーチにだって褒められたんだから~!
ヴァレサ:
それに、シロネンさんが全速力で走るところ、見たことある?ほんとにすごいんだから~!もともと部族を代表して出征してた英雄なんだよ~
ヴァレサ:
入賞できたら、ご両親は考えを変えてくれるんでしょ~?だったら、わたしたちも一緒に頑張るよ~!
ミニー:
ヴァレサお姉ちゃん…
シロネン:
ミニー。以前、手作りのフィエテナの仮面と絵をニペカに送ってくれたことあったっしょ?
シロネン:
ニペカはね、それを部族の子供たちにも見せてあげたんだよ。そしたら、みんな気に入っちゃって、お金払うからちょうだいなんて言う子もいてさ。でも、ニペカは売ろうとはしなかったんだ。
ミニー:
えっ?ほ、ほんと?全然知らなかった。わたしの絵を買いたいって人がいるなんて…
シロネン:
そりゃそーっしょ。あんたの作品には価値があるんだからさ。感情的なことを全部抜きにしても…それにお金を出したいって人がいるってこと。
シロネン:
そういう意味ではもう「現実的な仕事」なんじゃない?
ヴァレサ:
ミニーちゃんが制作したフィエテナさまの仮面と絵は、豊穣の邦にまで伝わってるんだよ~こんなすごい絵を描けるのは誰なんだってみんな聞いてくるんだから~!
ヴァレサ:
もしわたしたちの集落を訪問したら、たくさんの人に取り囲まれて、サインを求められるんじゃないかなぁ。
ミニー:
絶対行く!そんなに大勢の人がわたしの作品を認めてくれるなんて…
シロネン:
はいはい、この話はまた後で。今のあんたはとりあえず…ここでひと休みしたほうがいいっしょ。
ミニー:
ありがとう。少し休むね。
シロネン:
オッケー。ウチが一緒に残ったげる。
ヴァレサ:
それじゃあ旅人さん、わたしたちはこのまま、コースを最後まで走ってみよう~
ヴァレサ:
交代ポイントに到着だよ。お疲れさま~!
ヴァレサ:
雪山コースの地形って難易度がすごく高いから、事前に慣れておかないと、本番ですぐ迷っちゃうだろうねぇ…
ヴァレサ:
でも、組織委員会がコースを示してくれてるし、ルートに野生動物とか魔物は少ないから、練習中も大きな影響はないはずだよ~
ヴァレサ:
どんな感じかなぁ?もっと練習を続けられそう?
ヴァレサ:
ふぅ~第二段階コースの交代ポイントに到着したよ。今日のトレーニング目標は、完璧に達成できたね~
ヴァレサ:
この先にまだ第三、第四段階のコースがあるんだぁ。そっちはまた明日走ろうね~
ヴァレサ:
この角度から見て初めて気づいたけど、こんなに長い間走ってたのに、まだ雪山の中腹にいるんだねぇ。
ヴァレサ:
中腹でもこんなに寒いのに、山頂はどれだけ寒いんだろうねぇ…うぅ。
ヴァレサ:
やめやめ~今日はもう戻ろっか。風邪引いちゃったらいけないしね。
ヴァレサ:
シロネンさんとミニーちゃんと合流して、みんなで一緒に帰ろ~?
ヴァレサ:
シロネンさん、ミニーちゃん。戻ったよ~
シロネン:
あんたたちが上で練習してる間に、イーガンも追いついたよ。
タン・イーガン:
みんなこんなに頑張ってるのに、俺だけ怠けてるわけには…ハクション!
ミニー:
体が冷えたんだよ。
シロネン:
もういい時間だし、そろそろ戻ろ。必要な人は厚着してさ。
シロネン:
午後はモンド城を散策するんでしょ?ウチが昼寝する時間はあんのかなー…
ヴァレサ:
トレーニングに参加したみんな、お疲れさま~ここからは自由時間だよ。
ヴァレサ:
前もって決めておいた活動計画どおり、午後二時にモンド城の騎士団本部前に集合ね~
アラニ:
図書館だよね?図書館に行くんだよね?
ヴァレサ:
そうそう~アラニさん、すごく楽しみみたいだねぇ?
アラニ:
もちろんだよ。
タン・イーガン:
俺も楽しみだ。ここ数日ずっと雪山にいて、街を見る機会が全然なかったしな。
ヴァレサ:
それじゃあ、午後はしっかり時間を取って、たくさん遊ぼうね~!
アラニ:
ええ!&おう!
パイモン:
元気だなぁ。遊ぶって話になったら、疲れが吹き飛んじゃったみたいだぞ。
シロネン:
辛いトレーニングを終えたら、たっぷり気晴らしするのは当然のことっしょ。
ヴァレサ:
えへへ、わたしは何か食べてお腹を満たしたいなぁ…よ~し、それじゃ解散~!
ミニー:
はぁ…はぁ…わたしは、少し休んでから行きます。
シロネン:
この子はウチが見とくから、気にせずトレーニングを続けて。
「このフィエテナが最も好きなことの一つ。それは、私には無理だと思っている人に『それは違う』と突きつけることよ。」
シロネン:
みんな、集合!
アラニ:
モンドの図書館は、どんな漫画を所蔵してるんだろ?ふふふ…お手並み拝見だね。
パイモン:
シロネン、オイラたちも来たぞ。
シロネン:
よし、集まったみたいだし、さっそく行こ。ミニーとヴァレサは先に入ってったよ。
ミニー:
マスクさん、今日は来てないみたい。いつもは言語学の本棚の近くにいるんだけど。
ヴァレサ:
図書館のことに詳しいんだね~誰がよく来てるかまで知ってるなんて。記憶力がいいなぁ。
ミニー:
当然だよ。図書館はわたしの秘密の拠点だから。
ミニー:
どの本がどこに置かれてるか、誰がよく来るか、リサさんが飲むお茶のブランドまで全部知ってるよ。
ミニー:
わたしが初めて『炎魂戦記』を読み終わった時は、ちょうど今の位置に座ってたんだ。
ミニー:
「特戦隊」の人たちに手紙を書くときも図書館に来てたしね。
ミニー:
ここは快適だよ。リサさんはフレンドリーだし、お菓子を分けてくれるし。
ヴァレサ:
ああ…いいなぁ、お菓子…
ヴァレサ:
コホン…わたしの故郷では「図書館」ってこういう感じじゃないんだよね~
ヴァレサ:
わたしたちが読むウォーベンって、普通は壁に掛けられてるから、あんまり高いところにあると、背の低い子は見えなくなっちゃうの。
ヴァレサ:
えへへ~でも、わたしは背が伸びるのが早かったから、友達がウォーベンを見たい時は、代わりに読んであげてたんだ~
ヴァレサ:
そのうち、みんなと一緒にウォーベンを読むのが習慣になって、漫画を読む時もみんなで一緒に読むのが好きになったんだぁ。賑やかで楽しいんだよ~
ミニー:
本当?でも本を読む速さってみんなバラバラだし、面倒くさいって思わなかったの?
ヴァレサ:
思わなかったよ~読むのが速い人は、ちょっと待てばいいんだし。それにみんなで一緒に読むと、おしゃべりもできるから楽しいんだよ~!
ヴァレサ:
その話で思い出したけど、実はわたしとシロネンさんって、以前はそこまで親しくなかったんだぁ。
ヴァレサ:
ある日、用事があって彼女の工房に行ったら、ニペカちゃんがちょうど漫画を読んでたの。それが『炎魂戦記』だったんだよ~!
ヴァレサ:
それで、ニペカちゃんとおしゃべりしてたら盛り上がっちゃって、ちょうど眠ったばかりだったシロネンさんも話に加わってくれたの~
ヴァレサ:
最初は「静かにして」って言うつもりだったらしいんだけど、わたしたちがあまりに楽しそうに話してるから、一緒に漫画を読むことになったんだぁ。
ヴァレサ:
結局、夜中まで楽しんで…シロネンさんはわたしたちの間で寝落ちしちゃったの…えへへ。それ以来、わたしたちはすっごく仲の良い友達になったんだよ~
ミニー:
いいなぁ。わたしもナタに行ってニペカに会ってみたい。
ヴァレサ:
うんうん、シロネンさんも絶対に喜んで紹介してくれるよ~その時はわたしも呼んでね!
ミニー:
で、でも…
ヴァレサ:
気を落とさないで~!ご両親と約束したんでしょ?今回の大会で入賞できれば、遠出を許してくれるって~
ヴァレサ:
一緒に頑張って、いい順位を取ろう。そしたら、ミニーちゃんもナタに行けるよぉ。
ミニー:
うん、わたし頑張る!
タン・イーガン:
ここでは漫画と娯楽小説を区分してないんだな。八重堂が出版した本は全部「児童・少年向け」に分類されてるぞ。
旅人:
まぁ、間違ってはいないと思う。
タン・イーガン:
ありえないだろ。『炎魂戦記』と『イノシシプリンセス』が同じジャンルのはずがあるか!
アラニ:
シッ、静かに。あなた、『イノシシプリンセス』を馬鹿にしてるの?
タン・イーガン:
悪い。そういう意味じゃないんだ。実際『イノシシプリンセス』は面白いぞ?万文集舎で買ったことあるしな。
旅人:
イーガンは何を見てるの?
アラニ:
『炎魂戦記:装甲潮流』の第一巻…ああ、炎魂戦士のスピンオフ作品だね。
タン・イーガン:
ああ。このスピンオフ、俺が炎魂戦士シリーズを楽しむようになったきっかけなんだ。
タン・イーガン:
この漫画では、肉体的な力を競い合う昔ながらの戦闘方法を廃して、英雄たちが群玉閣くらい大きなメカに乗って戦うんだ。
タン・イーガン:
斬新なメカの設定に加えて、本編では描かれなかった大迫力の空中戦もあるんだぜ。
タン・イーガン:
あ、ちなみにこのスピンオフを読んだ時は、まだ未成年だったな。空中戦もメカも出てくるなんて、めちゃくちゃカッコいいと思ったよ。
アラニ:
なるほど。あなたはもともとメカ好きなわけね。
タン・イーガン:
へへっ、まあな。その後、炎魂戦士シリーズの作品をあちこち探し回って、八重堂から発売されたメカ戦士のおもちゃも全部買ったんだ。
タン・イーガン:
あー、これはあまり言いたくなかったけど…メカ戦士のおもちゃって、バージョンがめちゃくちゃある上に値段も高いから、貯金がほとんど残ってないんだ。
アラニ:
まあ、当然だね。『炎魂戦記』は定期的に再販されるし、コレクターズ版、スピンオフ、特装版…種類がとにかく多いから。
タン・イーガン:
くそっ、出版社め…漫画やおもちゃを売るためなら、どんな汚い手でも使ってくる。そして俺は何度も騙されるんだ。
アラニ:
実は私も…
シロネン:
ここの雰囲気、めちゃくちゃいい。静かで、ほんのり花の香りがして、椅子も座り心地良さそう。ここを管理してる人、いいセンスしてる。
シロネン:
ただ…手続をしようにも、この図書館を管理してる人が全然見当たらないんだけど。
パイモン:
たぶんリサさんは今、昼休みなんだろ。
シロネン:
昼休み…はぁ…ウチも今の時間は昼休みのはずなんだけどなぁ。
シロネン:
あーっ、ダメだわ…やっぱちょっと寝たい。ヴァレサのところに行ってて。ウチはどっかの机で一眠りしてくる。
シロネン:
こんなに快適な図書館なのに、昼寝しないなんてもったいないっしょ。
シロネン:
うーん…あれにしよっかな。あの大きい机、最初から目を付けてたんだよね。突っ伏したら秒で寝られる。
旅人:
いつの間に品定めを…
パイモン:
シロネンとリサさんって、昼休みについては意見が合いそうだな。
シロネン:
ぐぅ…ぐぅ…
パイモン:
もう寝てる!さすがに早すぎるだろ。さっきまでオイラたちと話してたのに!
旅人:
ここなら仕事に追われないで済む。
パイモン:
シロネンらしいな。
ヴァレサ:
今日はたくさん運動したから、すぐにお腹が空いちゃうよぉ。
シロネン:
そりゃそーっしょ。みんな午前中ずっとトレーニングしてたんだし、お腹が空くのは当然だって。
アラニ:
はあ、組織委員会が今日、大量の防寒物資を配ってたの。
アラニ:
それで物資箱をずっと運んでたから、私もお腹が空いてしょうがないよ。ミニー、モンド人として何かおすすめはある?
ミニー:
じゃあ…「鹿狩り」に行くのはどう?あそこのステーキはすごく美味しいよ。
タン・イーガン:
そりゃあいい。俺の頭の中は今…ハクション!肉のことしか考えられないぜ。
アラニ:
トレーニングの時、また薄着してたんでしょ?
シロネン:
それじゃ行こ。あとで熱々のスープでも頼まなきゃね。
リサ:
昼休みの間に、こんなにたくさんお客さんが来るなんて思わなかったわ。あら、こんにちは、可愛い子ちゃん。それからパイモンちゃんも、久しぶりね。
リサ:
大丈夫よ。ナタから来たこのお客さんは、図書館のルールを読んで、ちゃんと守ってくれる人みたいだから。
リサ:
もう一人のお客さんは…うふふっ、よく眠っているみたい。ここの快適な雰囲気を満喫してるようね。
リサ:
それで、借りたい本は決まったのかしら?
タン・イーガン:
どうも。俺はこの『装甲潮流』を。
ヴァレサ:
わたしはミニーちゃんがおすすめしてくれた『少女ヴィーラの憂鬱』にするね~
リサ:
大丈夫よ。ところで、そこで突っ伏している…ヒョウのお姉さんも、借りたい本はあるのかしら?
シロネン:
ん…あ?本?ウチは…だいじょぶだよ。この本けっこー良かったよ。返してくるね。
リサ:
これは…まあ、『神性と共に』じゃないの。あなた、なかなかいいセンスをしているわね。
リサ:
ふふっ、枕にしたらもっと素敵なんでしょうけど。
シロネン:
コ、コホン…
リサ:
それじゃあ、今言われた本を登録するわね。それが済んだら、持って行って大丈夫よ。
リサはすべての本をきちんと記録し、みんなを出口まで見送った…
ミニー:
「鹿狩り」はすごく人気で、わたしも家族と一緒によく食べに来るんだ。
ミニー:
でもあんまり広くないから、大人数だとテーブルで分かれる必要があるかも。
シロネン:
んーちょっと残念だけど、ここ最近はよくみんなで集まってるし、今回は別々に座ろっか。
アラニ:
ふふっ、隊長の目はさっそくメニューに釘付けみたいだね。
ヴァレサ:
いい香り…ミートスープに、海鮮の匂いもする…わぁ~!
サラ:
ご注文はお決まりですか?
ヴァレサ:
どうしようかな~…うん、まずは軽めのものを頼もう。
ヴァレサ:
えっと、午後のパンケーキを三十皿、完熟トマトのミートソースを三十皿、それとドドリアン海鮮スープを七皿お願いします~
ヴァレサ:
うーん、それから獣肉ハリケーンを三十人前、デザートは~少なめにしとこっかなぁ。アップルシュトゥルーデルを二十人前と、松茸のバター焼きを二十人前。
ヴァレサ:
ほかに何か頼む~?足りなかったら、あとで追加してもいいよぉ。
パイモン:
うわぁ、ヴァレサの胃袋はやっぱりすごいな…サラ、それじゃ今言ったやつを頼んだぞ。
サラ:
だ、大丈夫ですか?皆さんの人数に比べると量が…
シロネン:
だいじょぶ。絶対残さないから。
サラ:
わ…分かりました!えっと…では、少々お待ちくださいね。
ヴァレサ:
えへへ~お腹が空いたら、楽しくたくさん食べないとねぇ。
しばらく待っていると、サラが大量の料理を一生懸命運んできた。
「ありがとう!」と言うと、ヴァレサはすごい勢いで食べ始めた。
シロネン:
いやー何度見ても感心するよ。ヴァレサはまさに「豊穣の邦」のエース選手だね。食欲も実力も驚異的。
ヴァレサ:
お腹いっぱいじゃないと、しっかりトレーニングできないからねぇ。それに…フィエテナさまも「アビスの魔獣ですら、偏食は許されないことだと知っている」って言ってたから~わたしたちもちゃんと食べないと。
アラニ:
隊長が今言ったのって、小劇場特別編『フィエテナとアビスの詠唱者のBBQバトル』のセリフでしょ?
旅人:
よく分かったね…
アラニ:
「炎魂戦記」のセリフだったら全部覚えてる。熱狂的な読者の確固たる自信ってやつだよ。
タン・イーガン:
ハハッ、さすがアラニ。あの話は漫画家たちがジョークを込めて描いたやつだから笑えるんだよな。
タン・イーガン:
実際ナタにいたら、アビスの怪物とフードバトルするなんて想像もできないぜ。
シロネン:
ま、別の世界線なら可能かもしれないけどね。こんな奇想天外なストーリー、よく思いつくよ。
ヴァレサ:
奇抜なストーリーもだけど、わたしが一番すごいと思ったのはぁ、やっぱりキャラクターのコンセプトかな~
ヴァレサ:
歴史上の伝説に基づいて、炎魂戦士フィエテナを創り出した漫画家の人たちって、本当にすごいと思うよ~
ヴァレサ:
「このフィエテナが最も好きなことの一つ。それは、私には無理だと思っている人に『それは違う』と突きつけることよ。」
ヴァレサ:
これ、フィエテナさまのセリフの中で一番好きな言葉なの~
アラニ:
ちなみに、今のは『炎魂戦記』第三巻に出てくるセリフね。
ヴァレサ:
アラニさん、補足ありがとう~
ヴァレサ:
ミニーちゃんは「炎魂戦記」の中でどのセリフが一番好き?エピソードでもいいよ~
ミニー:
わたしはやっぱり…「夢」を描写してる部分かな。
ミニー:
アビスの怪物が無限に湧いてきて、完全に消滅させることは永遠に不可能でも、フィエテナは自分が夢見る理想の故郷のため、努力を欠かさないの。
ミニー:
「試しもしないで、なぜ無理だと分かる?」
ヴァレサ:
おお~!わたしもそのセリフ好きだよぉ。
アラニ:
あ、それも『炎魂戦記』第三巻に出てくるセリフね。
ヴァレサ:
夢のためにまっすぐなフィエテナさまは、わたしの中で一番カッコいい英雄なんだぁ。
ミニー:
うん。でも…フィエテナみたいな根気強さを自分が持とうとすると、実際難しいよ。
ミニー:
一生懸命努力を続けてても、周りの人は「そんなの非現実的だ」って言うし、わたしも…自分は絵が下手だってずっと思ってた。どんなに描いてもまだまだ足りないって。
ミニー:
もう諦めよっかなって思ったこともあるよ。描くのをやめたら気が楽になるんじゃないかなって。
ミニー:
でも、いざ手放すと、ついつい絵のことを考えちゃうんだ。雑貨屋でベーコンを買ってる時も、家事をしてる時も。
シロネン:
で、結局また筆を手にして描き始めるんでしょ?
ミニー:
うん。実は…描くのをやめたり、また描き始めたりっていうサイクルは、何度も経験してるんだ。
ミニー:
もしかしたら、わたしはフィエテナみたいなすごい人にはなれないのかもね。
ヴァレサ:
それは違うよ~ミニーちゃん。フィエテナさまにだって、トレーニングしたくない時や、健康的な食事を取りたくない時はあるんだから!
ヴァレサ:
「根気強さ」っていうのは、必ずしも毎日同じことを繰り返さないといけないってわけじゃないんだよ~
ヴァレサ:
わたしはね~本物の「根気強さ」って、何かを愛し続けて、どんな時でもそれを心に留めておくことだと思うんだぁ。
ヴァレサ:
お腹についたお肉は減らせるし、落ちた筋肉はもう一度取り戻せる。身体能力が落ちたって、またもとに戻せるんだから~
ヴァレサ:
一番大事なのは、愛を持ち続けること!つまり…
ミニー:
「愛こそ、朽ちることのない力の源泉だ。」
ヴァレサ:
そうそう!『炎魂戦記』第六巻で、フィエテナさまが悪役を倒す時のセリフだよね。ほら、しっかり覚えてるでしょ~?
ミニー:
…うん!忘れたことないよ!
旅人:
夢のために乾杯。
パイモン:
…ちょっと待った。ヴァレサ、おまえの近くにあった料理、いつの間に平らげたんだ?
ヴァレサ:
みんなで話してる時だよ~フィエテナさまのことを話しながらだと、お肉がより美味しく感じたよぉ。
パイモン:
ずるいぞ!みんなで一緒に食べようぜ!
一同はナイフとフォークを手に、残りの料理を争って食べた。
パイモン:
お腹いっぱいだぞ…げっぷ。
タン・イーガン:
む、無理だ…もう食べられない。
シロネン:
腹ごなしに、みんなでゆっくりキャンプまで歩いて帰ろ。
タン・イーガン:
ハクション…この気温…やっぱりモンド城の中はまだ暖かいほうなんだな。雪山の麓は寒すぎるぜ。俺、ちょっとテントの中で暖まってくよ。
アラニ:
私も一緒に行く。満腹すぎてちょっと眠っておきたい。
ミニー:
あっ、わたしも。荷物を…
モリッツ:
ミニー!
シェリリン:
この子ったら、探したのよ。
ミニー:
お父さん、お母さん…本当に雪山まで来るなんて。
シェリリン:
こっちから来なければ、家に帰らないつもりだったんでしょ?ほんの数日だと思ってたのに、どうしてずっと帰ってこないの?
ミニー:
言ったでしょ、しばらくこっちにいるって。
モリッツ:
たしかにそうだ。でも、家に帰って寝るとも約束しただろ?ほら、家に帰ろう。
ミニー:
分かった…ちょっと友達に言ってくる。
ミニー:
みんな、今日はキャンプに泊まらないで家に帰るね。明日またトレーニングに来るから。
モリッツ:
おい、明日も来るつもりなのか?ミニー、いい加減にしなさい。
モリッツ:
こんなに長いこと友達と遊んだんだし、もう十分楽しんだだろう。お前の体では、こんな極寒の環境に耐えられるはずがない。
モリッツ:
小さい頃、高熱を出して何日も苦しんだことを覚えていないのか?父さんも母さんも、お前のことが心配なんだよ。
ミニー:
でも…
ヴァレサ:
こんにちは。わたしはミニーちゃんの友達で、ヴァレサっていいます~
モリッツ:
おお、君がヴァレサか。ミニーから話は聞いているよ。こんなに長い間、ミニーの遊びに付き合ってくれてありがとう。おっと、何も手土産を持ってこなかったな…
ヴァレサ:
手土産?いえいえ~そんなお気遣いなく!わたしが言いたいのは…ミニーちゃんが今回の大会をすごく真剣に捉えていて、ずっと一緒にトレーニングしてきたってことです。
ヴァレサ:
この数日間、彼女はトレーニングを一番早く始めて、一番最後までやってました。
ヴァレサ:
フィジカルトレーニングでも、コース練習でも、いつだって一番頑張ってたのは彼女なんです。
ヴァレサ:
それに、お二人はミニーちゃんと約束したんですよね?彼女が入賞できたら、希望を前向きに考えてくれるって。
ヴァレサ:
彼女は漫画関係の仕事がどうしてもやりたくて、すごく頑張ってきたんです。ミニーちゃんのこれまでの苦労が無駄になるのは、お二人も見たくないですよね。
シェリリン:
そ、それはそうだけど、でも…
ミニー:
お母さん、わたし…
モリッツ:
何を馬鹿なことを!そんなことより、お前の健康のほうが大事に決まっている!
モリッツ:
趣味を持つことは何の問題もないが、何が遊びで何が真剣な仕事か、はっきり区別するようにと何度も言ってきただろう。
モリッツ:
遊び事のために身体を壊すようなことがあったら、どうするんだ?
シェリリン:
父さんを責めないでね、ミニー。私たちは、あなたのことを思って言っているの。
シェリリン:
あなたはまだ若いんだし、何かに情熱を注ぐことは決して悪いことじゃないわ。でも、将来のことはちゃんと考えないと。
シェリリン:
あなたの描いた漫画、ママも読んだわ。確かにとってもきれいだった。でも漫画を仕事にするっていうのは堅実じゃない。
モリッツ:
…ふぅ。ミニー、父さんはお前をとがめるつもりで言ったんじゃないんだ。
モリッツ:
父さんも母さんも、お前のしてきた努力を見てきた。その根気はすごいことだと思う…お前は自慢の娘だ。
モリッツ:
だが、俺たちの心配も分かってほしい。
モリッツ:
すべての夢が思い通りに叶って、それで食べていけるわけじゃないんだ。
ミニー:
お父さん、お母さん。あっちで話さない?
シェリリン:
そうね、向こうへ行きましょ。
ミニー:
お父さん、お母さん。そうじゃないの。わたしは…
シェリリン:
はいはい。また帰ってから話しましょ。
シロネン:
あ~二人とも、ちょっといい?話したいことがあって。
モリッツ:
君は…シロネン副隊長だね?ミニーから話は聞いているよ。何か用かね?
モリッツ:
大会のことなら、ちゃんとミニーは参加できるよ。ただし、こんなたわごとはこれっきりにするよう、さっき彼女としっかり話し合った。
シロネン:
別によその家の事情に口を挟むつもりはないよ。でもウチらはもうすぐ、ミニーと一緒に大会に出ることになってる。メンバーのコンディションは、チェックしとかなきゃいけないんだよね。
シロネン:
ミニーが心にわだかまりを抱えたまま参加したら、きっと全力を出すことなんてできないっしょ?
シロネン:
それと、娘が夢中になってることを「たわごと」なんて言うのは、彼女の努力を「認めた」ことにならないと思うよ。
シロネン:
さっきも言ったように、おたくの家庭事情に口出ししたいわけじゃない。でも、ウチの生徒はミニーの絵が大好きなんだ。
シロネン:
ミニーの師匠として、ウチには生徒の代わりに想いを伝える義務があると思うんだよね。
モリッツ:
ミニーの絵は確かに素晴らしいさ。だがさっきも言ったように、趣味は趣味、仕事は仕事だ。こういう類のものは、ほんの数人しか気に入ってくれないだろう…
シロネン:
ならこの手紙を見てみなよ。
モリッツ:
これは…?
シロネン:
ミニーの作品が大好きな人が、彼女に送ったプレゼント。
シロネン:
本当なら、一人ひとりが手紙を書くはずだったんだけど、そんなにたくさん手紙を抱えて長旅に出るのは無理だったからさ。
シロネン:
ウチの生徒であるニペカが主導して、全員で一緒にミニーへ贈る絵を描いたんだ。
シロネン:
人数がめっちゃ多いから、だいたい一人ひと筆しか描けなかっただろうね。
ミニー:
ニペカ…それにみんなも…
シロネン:
あーごめんね、ミニー。サプライズのために、大会が終わってから渡してくれってニペカから頼まれてたんだけどさ。
シロネン:
ちょっと急を要する感じだったから…早めにこれを渡すしかなかったんだ。
モリッツ:
い…一体何人でこれを…
シロネン:
ミニーの趣味が「たわごと」だってあんたが思う理由は、「漫画なんて価値のない仕事だ」って思ってるから。
シロネン:
で、あんたが思う漫画に足りない「価値」ってのは、「収入と人気が不安定なところ」…そうでしょ?
モリッツ:
…確かにそのとおりだ。
シロネン:
だったら、いま見た通りだよ。あんたの娘の作品には熱心なファンが大勢いる。
シロネン:
モンド城に来た時ね、「吟遊詩人」ってみんなにすごく尊敬されてる職業だって聞いたんだ。
シロネン:
ミニーがやってることを吟遊詩人に——彼女の作品と集まったファンを、それぞれ詩と聴き手に置き換えてみなよ。
シロネン:
それでも、まだミニーが創作を続けることに反対する?彼女のやってることが「たわごと」だって思う?
シェリリン:
しかし、この子は身体が…
ヴァレサ:
あっ…それはわたしから説明するね~!おじさん、おばさん、ミニーちゃんはお二人が思ってるほど弱い子じゃないですよ~
ヴァレサ:
信じてください。わたしは小さい頃から部族のスポーツ大会に参加してきたから、このことに関してはハッキリ言えるんです。
ヴァレサ:
おじさん、おばさん。ミニーちゃんの身体は頑丈とは言えないけど、そこまで悪くはありませんよ~
ヴァレサ:
適度なトレーニングはプラスになるし、ずっと家に閉じこもってたら逆に不健康になっちゃいます。
ミニー:
お父さん、お母さん。わたし、今…すごく調子がいいの。不調を感じるところも全然ないし。
ミニー:
毎日トレーニングに参加して、前よりたくさん食べられるようになったし、夜もぐっすり眠れる。
モリッツ:
ミニー。お前は大きくなったし、自分で色々考えるようになった。
モリッツ:
お前が毎日のように読んでいる漫画のことも、よく話題にあげる八重堂のことも、父さんたちにはよく分からない。
モリッツ:
はぁ…つまるところ、父さんと母さんはお前が困ることなく、安心して堅実に暮らしていけることを願っているだけなんだ。
モリッツ:
約束もしたわけだし、今回の大会をそこまで大事に思っているのなら、頑張って最後までやってみなさい。
ミニー:
うん!分かった!
モリッツ:
感謝するよ、栄誉騎士。実を言って…君がいてくれると、とても安心できる。
モリッツ:
おっと、ここまでにしておこう。ミニー、トレーニングに行くのも、大会への参加も問題ないが、夜は家に帰ってきて寝るんだぞ。いいかい?
ミニー:
もちろん!
荷物を取り、ミニーは両親と共にしばらくキャンプを離れた。ミニーの両親は、翌日のトレーニングにミニーを参加させることを承諾してくれた。
シロネン:
…ふう、これでどうにか一件落着かな。
旅人:
シロネンの説得が効いたね!
シロネン:
いや…実際のところ、ウチはこういうの苦手だかんね?もしあの手紙でもダメだったら、どうしようもなかったって…上手くいってよかったよ。
シロネン:
ウチはただ、ニペカに頼まれてあの…グッズを買いに来ただけなんだけどな…もう誰も覚えてないだろーけど。
旅人:
でも、さっき説得してるとき…
シロネン:
別に何でもないって。ただ、昔のことを急にちょっと思い出しただけ。
シロネン:
世の中にはさ、あまりにも愛が強すぎて、相手を変えようとしちゃう人がいるんだよ…自分の愛する理想の姿に。
シロネン:
でも、愛する人の手足を縛り付ける「愛」なんて、なるべく早く解いたほうがいい。
シロネン:
ま、ミニーの両親はさすがにそこまでではなかったけどね。
シロネン:
ほら、ウチらも準備しに行こ。明日の大会、絶対いい成績を収めるだかんね。
シロネン:
この後はなんも予定入れてないから、キャンプに戻ったら各自休憩ってことで。
ミニー:
よかった、お腹いっぱいでちょっと眠かったんだ。
パットン:
あれっ、ミニー。どうしてこんなとこにいるんだ?ずっと探してたんだぞ。
ミニー:
お兄ちゃん?何かあったの?
パットン:
何かって…何日も家に帰らないから、父さんと母さんが心配してるんだ。
ミニー:
わたし…今日は友達とトレーニングに行ってて、さっき街に戻ったばかりなの。お腹が空いたから、みんなで食事をしてたんだ。
ミニー:
数日後に大会があるから、雪山のキャンプでトレーニングに参加するって、お父さんお母さんにも伝えてあるよ。ちゃんと同意してくれたし…
パットン:
おいおい、父さんと母さんのことを分かってないな。約束は約束だけど、何日もお前に会えなかったら、心配でたまらなくなるに決まってるだろ。
ミニー:
うぅ…
パイモン:
ミニー、この人がおまえのお兄ちゃんなのか?酒場のパットンと兄妹だったんだな。
パットン:
お前の言ってた友達か?あっ、栄誉騎士じゃないか!
パットン:
やあ。俺とミニーはちょっと歳が離れてるけど、本当の兄妹で間違いないよ。
パットン:
ミニー、いつの間に栄誉騎士と友達になったんだ?何も言ってくれないなんて。
ミニー:
あ…うん…栄誉騎士様は最近加わったばかりで、教える時間がなかったの。
パットン:
皆さん、俺の妹が迷惑かけてないといいけど。
ヴァレサ:
まさか~ミニーちゃんはわたしたちの大切な友達だし、一緒にトレーニングできてすっごく嬉しいよ~
パットン:
それならよかった。ミニー、最近家に帰ってないから二人とも会いたがってるぞ。お前を見かけたら「早く家に帰ってきなさい」って伝えるよう頼まれてたんだ。
パットン:
趣味があるのはいいことだけど、楽しむ程度でいいだろ。何日も家に帰らないなんてダメだぞ。
パットン:
トレーニングはまた明日にして、早く家に帰れよ。あんまり父さんと母さんを怒らせるな。
ミニー:
分かったよ、お兄ちゃん…
ミニー:
先に友達とキャンプに戻って、荷物を取ってきてから帰る…
パットン:
ああ、そうしな。でもあまり遅くなるなよ。あの二人は短気だから、ぐずぐずしてると雪山までお前を捕まえにくるぞ。
パットン:
皆さん、引き止めちゃって悪いね。それじゃ俺は酒場の仕事に戻るよ。
パイモン:
ミニーの両親、すごい勢いだったな。なんだか話に割って入る勇気が出なかったぜ…
ヴァレサ:
わたしもミニーちゃんのために何か言おうと思ったけど、どう口を挟んでいいか分からなかったよぉ…
ヴァレサ:
ご両親の話を聞いて、確かにミニーちゃんのためを思って言ってるのは分かったよ。体のことを気遣ってて、慰めてくれてたし…
ヴァレサ:
でも、どこか間違ってる気がするんだ~それが何なのかはよく分からないけど…一体何がいけないんだろう~?
ヴァレサ:
えっ?どういうこと~?お父さんお母さんが自分の子を応援するのは当然でしょ~?
ヴァレサ:
ご飯を食べる時も、眠る時も、トレーニングの時も、お父さんとお母さんはいつも笑顔で会いに来てくれたよぉ。
ヴァレサ:
でも…ミニーちゃんのご両親は彼女に会いにきた時、どうして全然笑顔じゃなかったんだろ~?
ヴァレサ:
彼女のことを大切に思ってる口ぶりだったけど、怒ってるようにも見えた。よく分からないなぁ…
ヴァレサ:
でも、もしこのまま彼女が大会に参加させてもらえなくなったら、今までの努力が全部無駄になっちゃうよぉ。どうしたらいいんだろう…
ヴァレサ:
うぅ…わたしはミニーちゃんの隊長のはずなのに、全然助けてあげられないなんて…
シロネン:
…はぁ。まさかニペカに頼まれて持ってきたこの「贈り物」が、ここで役に立つなんてね。
シロネン:
本当は最後にミニーを驚かせたかったんだけど、今がこれを使うタイミングかもしんないね…
旅人:
何か思いついたの?
シロネン:
ミニーの両親を笑わせることは無理かもしんないけど、ミニーを予定通り大会に参加させることはできるかも。
旅人:
(ミニーは両親と話をしてる。少し重々しい雰囲気だ。)
ミニー:
ナタって…暑いかな…
ヴァレサ:
えへへ、雪山と比べたらどこも暑いよ~!
アラニ:
イーガンはどの本を借りるの?
タン・イーガン:
『装甲潮流』の第一巻だな。代表的な作品を復習するんだ。